JP2004069939A - 光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバケーブルの中間部で光ファイバ心線を引き出す場合、単心線ユニットの識別性が高く、ファイバ心線の引き出し作業が短時間で容易にでき、使用効率の高い光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバ心線(2)を集合させ、光ファイバ心線の外径を越える太さの粗巻き線を巻き付け単心線ユニット(4)を構成し、前記単心線ユニット(4)を複数ユニット集合させてケーブル心を構成し、その外周全体を繊維束(5)で覆い、さらにその外側に外被(6)を形成した光ファイバケーブル(1)。
【選択図】 図1
【解決手段】複数本の光ファイバ心線(2)を集合させ、光ファイバ心線の外径を越える太さの粗巻き線を巻き付け単心線ユニット(4)を構成し、前記単心線ユニット(4)を複数ユニット集合させてケーブル心を構成し、その外周全体を繊維束(5)で覆い、さらにその外側に外被(6)を形成した光ファイバケーブル(1)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブルに係るもので、特にアクセス網で使用する光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高密度光ファイバケーブルとして、複数の光ファイバ心線を並列させ、これらの外側に紫外線硬化樹脂などで一括被覆を施し一体化しテープ心線を形成し、そのテープ心線の複数をそれぞれスロットロッド溝内に積層して収納するとともに、これらの外周に押え巻テープおよびプラスチックの外被を設けた、いわゆるテープスロット構造のものが実用化されている。
また、光ファイバ心線を多数本集合して撚り合わせたストランド構造のものも利用されている。
近年は、情報量の増大、光通信の利用の加速化に伴い、光ファイバが通信局間の長距離通信に加えて、通信局から加入者用への短距離通信にも拡大され、一般家庭の軒先まで光ファイバが布設される状況にある。このようなアクセス系での光ファイバケーブルとしても同様のスロット構造のものが使用されているが、スロットロッドを使用しない簡易構造の光ファイバケーブルを出願人は先に提案している(特開平11−295570号公報)。このケーブルは、図4にその模式断面図を示すように、平行に配置した複数本の光ファイバ心線11を樹脂に埋設して一体化したテープ心線12を構成する。そして、さらに複数枚のテープ心線12を積層して形成したテープ心線積層体をケーブル心とし、その外周全体を長手方向に連続した繊維束13で覆い、その外側に抗張力体15を持つ外被14を施したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
加入者に近いところに布設する従来の光ファイバケーブルでは、複数の光ファイバ心線を樹脂で一体化したテープ心線を多層に積層して使用しているため、アクセス系での加入者への引き落としはテープ心線単位で行わなければならず、テープ心線相互の識別が困難であった。その上、1箇所の引き落とし点での需要が1心又は2心の場合には、テープ心線単位の残りの光ファイバが不使用のままとなり、使用効率が低い難点がある。また、その際、加入者側からの単心線と接続するために、テープ心線を単心線に変換する心線変換装置を設ける必要があった。
さらに、加入者へ1本づつの光ファイバを引き落としていこうとすると、光ファイバテープから1本づつの光ファイバを引き出す必要がある。しかし、光ファイバテープは前述のように樹脂で被覆されているため、被覆樹脂を除去する作業により光ファイバが曲がってしまい、光損失増加を生じる場合が多々ある。そのため伝送に影響なしに光ファイバケーブルから1本の光ファイバ心線を引き出すことは困難な状況にある。
同様に、ストランド構造のものにあっては、各ユニットが中心鋼線の周りに集合しているため、集合した多数本の光ファイバ心線の中から1本又は2本の引き落とし用光ファイバ心線を識別することは非常に困難であった。
そこで、本発明は、光ファイバケーブルの中間部で光ファイバ心線を引き出す場合、単心線ユニットの識別性が高く、ファイバを損傷することなくファイバ心線の引き出し作業が短時間で容易にでき、使用効率の高い光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的に鑑みケーブルの構造について鋭意研究した結果、光ファイバテープ心線を用いず、複数本の光ファイバ心線を集合体とし、その周りに粗巻き線を巻き付けた単心線ユニットを用いることを見出した。そこで、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
上記目的を達成するために本発明は、
(1)複数本の光ファイバ心線を集合させ、光ファイバ心線の外径を越える太さの粗巻き線を巻き付け単心線ユニットを構成し、前記単心線ユニットを複数ユニット集合させてケーブル心を構成し、その外周全体を繊維束で覆い、さらにその外側に外被を形成したことを特徴とする光ファイバケーブル、
(2)前記粗巻き線の太さが0.4mm以上であることを特徴とする(1)記載の光ファイバケーブル、及び、
(3)前記粗巻き線は、単心線ユニット毎にその着色が異なることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光ファイバケーブル、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の単心線ユニットを備えた光ファイバケーブルの好ましい実施の態様について図面に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の光ファイバケーブルの一例を模式的に示す断面図である。ケーブル1は、複数本の光ファイバ心線2を集合し単心線ユニット4を構成し、その単心線ユニット4を複数備えると共に、これら単心線ユニット4の集合体は、その外周を繊維束5で覆われている。そして、さらにその外側は外被6で覆われ、外被6内には1対の抗張力体7が埋設されている。
【0006】
本発明の1つの単心線ユニット4を構成する光ファイバ心線2は、コアとクラッドからなる光ファイバ素線にプラスチックの一次被覆又はさらに二次被覆が施されたもので、一般にその外径が約0.23mm〜0.40mmのもので、0.25mmのものが代表的なものである。光ファイバ心線2の被覆層がそれぞれ異なる色の着色層であるものを用いるのが好ましい。これらの光ファイバ心線2は、図2に示すように複数本、例えば2〜12本(図では4本の場合を示す)で単心線ユニット4を構成し、粗巻き線3で長手方向に亘って所望のピッチで粗く巻き付けられている。図2では光ファイバ心線2は、撚り合わせることなく並列に集合されているが、適当なピッチで撚り合わせることもできる。
【0007】
本発明の単心線ユニット4の粗巻き線3は、光ファイバ心線2をそれぞれユニットに集合させ、保持すると共に、ユニット同士を識別する機能を有するためのものでもある。また、本発明の粗巻き線3は、図3(a)に示すように光ファイバ心線2との識別性も良いものでなくてはならない。一般に光ファイバ心線2は、外径が約0.23mm〜0.40mmのため、粗巻き線の太さが光ファイバ心線と同等あるいはそれ以下であると、光ファイバ心線の引き出し作業において、光ファイバユニット同志の区別がしにくく作業性が極めて良くない。そのため、粗巻き線3は光ファイバ心線2より太い方が識別性に優れ、その太さは0.25mmを越えるものが好ましく、0.4mm以上がさらに好ましい。図3(b)に示すように細すぎると光ファイバ心線との区別もできにくく、太すぎるとケーブル径が大きくなり、コストも高くなるので0.8mm程度までが好ましい。また、ユニット相互の識別が容易なように、この粗巻き線3はそれぞれユニット毎に互いに異なる色に着色されたものを用いるのが好ましい。本発明で使用される粗巻き線3は、特に制限は無いが、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維が好ましいが、コットン、絹等の天然繊維を使用してもよい。
【0008】
本発明では、粗巻き線3で巻かれた単心線ユニット4を複数集合させてケーブル心を構成することにより、各単心線ユニット4の挙動方向をほぼ同一にして一部の単心線ユニットのみが動くのを防止している。集合させる単心線ユニット4の数は複数あればよく、必要とするケーブルにより適宜設定でき、図1では10本のユニットを、即ち40本の光ファイバ心線を採用した場合を示している。各単心線ユニット4は、ファイバ心線と同様互いに撚り合わすことなく並列的に集合させてもよく、また互いに撚り合わせて個々の単心線ユニットが動くのを防止すると共に、ケーブルの伸縮による光ファイバの歪みを限界内に収まるようにしてもよい。
さらに、単心線ユニット4の集合体であるケーブル心は、一括して繊維束5により外側から覆われてゆるく押さえ込まれることにより、ケーブル心に比較的自由度を持たせて光ファイバ自体に側圧等が加わることがない。また、各単心線ユニット自体を撚ることで、単心線ユニットに局所的な座屈によるベントの発生が抑えられるようにすることもできる。
【0009】
光ファイバケーブル1の中間部で単心ユニット4を取り出す際に、ケーブル長に対し繊維束5の余長を大きく取れば、外被6を除去するだけで繊維束5の除去は必要なくケーブル心と繊維束との間に隙間が生じ、図3に示すような状態となり作業がきわめて容易にできる。そのように余長を持たせて繊維束5を設けるには、繊維束をケーブル心の外周に一方向に、あるいは周期的に交互に反転させて巻回するのが良い。特に、繊維束を周期的に交互に反転させて巻回すれば、外被を除去した後、手で繊維束を引っ張るだけで、簡単にケーブル心と繊維束との分離ができる。
また、単心線ユニット4の集合体であるケーブル心の外周は、ジェリー等の充填は無く、繊維束5で覆っているだけであるので、光ファイバケーブルの中間部でケーブル心を取り出す際には、ケーブル心と繊維束との分離が容易であり、取り出し作業を手作業で簡単に行うことができる。
繊維束5の材質としては、例えばポリプロピレン連続糸を使用するが、これに限定されるものではなく、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等を使用することもできる。
【0010】
本発明の外被6はポリエチレンからなるものが好ましく、繊維束の外側に押出し成形などにより被覆するものである。外被6の材質としては、ナイロンや塩化ビニル樹脂等を用いてもよい。抗張力体7は、外被6に埋設するのが好ましい。本例の図1に示すように、2本に限定されるものではなく、ケーブル全体の強度や可撓性を考慮してその本数を定める。材質として、鋼線の他にガラスFRPや高強度繊維FRPを使用することができる。
光ファイバ心線とケーブル外被との間に繊維束が介在しているので、光ファイバに比較的自由度を持たせて構成されているため光ファイバ自体に側圧等が加わることがなく、良好な伝送特性をもつ光ファイバケーブルである。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
最外層にそれぞれ異なる着色を施した外径0.25mmの標準的な着色光ファイバ心線2を4本集合させ、外径0.3mmのナイロン糸からなる粗巻き線3をピッチ約50mmで粗く巻付けて一体化して単心線ユニット4を構成した。その単心線ユニット4を10ユニット集合させてケーブル心とし、その外周をポリプロピレン糸の繊維束5で覆い、抗張力体7の2本と共に一括してポリエチレン被覆を施して外被6とし、図1に示す外径約8mmの光ファイバケーブル1を構成した。
光ファイバ心線とケーブル外被との間に繊維束が介在しているので、光ファイバ自体に側圧等が加わることがなく、ファイバケーブルには良好な伝送特性が得られている。
ケーブル外被6を除去すると、繊維束5の間からケーブル心が現れ、粗巻き線3と光ファイバ心線とはその太さが相違するので、ケーブル心の中から容易に所定の単心線ユニット4を取り出すことができた。また、単心線ユニット4はナイロン糸の粗巻き線3で巻かれているだけであるので、光ファイバ心線2を容易に1本だけ引き出すことが可能である。粗巻き線であるナイロン糸を単心線ユニット毎にその色を変えれば、単心線ユニットの識別はさらに容易なものとなる。
【0012】
実施例2
前記実施例1の光ファイバケーブル1において、同色のナイロン糸の粗巻き線3の太さのみを0.25〜0.7mmまで変化させた光ファイバケーブルA〜Fの6種類を作成した。ファイバケーブル1の中間部分でケーブル外被6を除去し、繊維束5を分離して図3に示すケーブル心の状態にした場合の単心線ユニット4の識別性を比較した。作業者10人に識別性について、“良好”“可”“困難”の3段階評価を実施した。その結果を表1に記載する。
粗巻き線3がファイバ心線2の太さと同一の場合、半数以上の人が識別“困難”であったが、粗巻き線3の太さをファイバ心線2より太くすることで識別“可”及び“良好”の割合が高まった。
さらに粗巻き線の太さを0.4mm以上にすることで識別“困難”を評価する人がいなくなり、かつ“良好”と答えた人も半数以上になった。
このことより、粗巻き線の太さを0.4mm以上とすることで単心線ユニットの識別性がきわめて良好であり、光ファイバ心線の引き出しが容易にできる。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバテープ心線を用いず、太い粗巻き線を巻きつけた単心線ユニットを用いたので、光ファイバケーブルの中間部で光ファイバ心線を取り出すのに、単心線ユニットの識別がやり易く、特に、単心線ユニット毎に色分けした粗巻き線で巻きつけたものは、ケーブル心線から単心線ユニットを取り出すのが極めて容易にできる。そして、ファイバ心線は、粗巻き線で粗く巻かれているのみであるので、ファイバを傷つける恐れもなく、1本でも2本でも必要数を簡単に引き出すことができる。また、不使用のファイバ心線を引き出すことがないので、ケーブルは心線の使用効率が高い。
さらに、光ファイバテープ心線を積層した同じ心数のファイバケーブルに比べ、本発明のものはケーブル径を細くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバケーブルの一例の断面図である。
【図2】本発明の単心線ユニットの一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】ケーブルの中間で、外被及び繊維束を除いた場合の説明図であり、(a)は粗巻き線の太さが単心線より太い場合を示し、(b)は粗巻き線の太さが単心線と同程度の場合を示す。
【図4】従来の光ファイバケーブルの断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバケーブル
2 光ファイバ心線
3 粗巻き線
4 単心線ユニット
5 繊維束
6 外被
7 抗張力体
10 光ファイバケーブル
11 光ファイバ心線
12 テープ心線
13 繊維束
14 外被
15 抗張力体
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブルに係るもので、特にアクセス網で使用する光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高密度光ファイバケーブルとして、複数の光ファイバ心線を並列させ、これらの外側に紫外線硬化樹脂などで一括被覆を施し一体化しテープ心線を形成し、そのテープ心線の複数をそれぞれスロットロッド溝内に積層して収納するとともに、これらの外周に押え巻テープおよびプラスチックの外被を設けた、いわゆるテープスロット構造のものが実用化されている。
また、光ファイバ心線を多数本集合して撚り合わせたストランド構造のものも利用されている。
近年は、情報量の増大、光通信の利用の加速化に伴い、光ファイバが通信局間の長距離通信に加えて、通信局から加入者用への短距離通信にも拡大され、一般家庭の軒先まで光ファイバが布設される状況にある。このようなアクセス系での光ファイバケーブルとしても同様のスロット構造のものが使用されているが、スロットロッドを使用しない簡易構造の光ファイバケーブルを出願人は先に提案している(特開平11−295570号公報)。このケーブルは、図4にその模式断面図を示すように、平行に配置した複数本の光ファイバ心線11を樹脂に埋設して一体化したテープ心線12を構成する。そして、さらに複数枚のテープ心線12を積層して形成したテープ心線積層体をケーブル心とし、その外周全体を長手方向に連続した繊維束13で覆い、その外側に抗張力体15を持つ外被14を施したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
加入者に近いところに布設する従来の光ファイバケーブルでは、複数の光ファイバ心線を樹脂で一体化したテープ心線を多層に積層して使用しているため、アクセス系での加入者への引き落としはテープ心線単位で行わなければならず、テープ心線相互の識別が困難であった。その上、1箇所の引き落とし点での需要が1心又は2心の場合には、テープ心線単位の残りの光ファイバが不使用のままとなり、使用効率が低い難点がある。また、その際、加入者側からの単心線と接続するために、テープ心線を単心線に変換する心線変換装置を設ける必要があった。
さらに、加入者へ1本づつの光ファイバを引き落としていこうとすると、光ファイバテープから1本づつの光ファイバを引き出す必要がある。しかし、光ファイバテープは前述のように樹脂で被覆されているため、被覆樹脂を除去する作業により光ファイバが曲がってしまい、光損失増加を生じる場合が多々ある。そのため伝送に影響なしに光ファイバケーブルから1本の光ファイバ心線を引き出すことは困難な状況にある。
同様に、ストランド構造のものにあっては、各ユニットが中心鋼線の周りに集合しているため、集合した多数本の光ファイバ心線の中から1本又は2本の引き落とし用光ファイバ心線を識別することは非常に困難であった。
そこで、本発明は、光ファイバケーブルの中間部で光ファイバ心線を引き出す場合、単心線ユニットの識別性が高く、ファイバを損傷することなくファイバ心線の引き出し作業が短時間で容易にでき、使用効率の高い光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的に鑑みケーブルの構造について鋭意研究した結果、光ファイバテープ心線を用いず、複数本の光ファイバ心線を集合体とし、その周りに粗巻き線を巻き付けた単心線ユニットを用いることを見出した。そこで、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
上記目的を達成するために本発明は、
(1)複数本の光ファイバ心線を集合させ、光ファイバ心線の外径を越える太さの粗巻き線を巻き付け単心線ユニットを構成し、前記単心線ユニットを複数ユニット集合させてケーブル心を構成し、その外周全体を繊維束で覆い、さらにその外側に外被を形成したことを特徴とする光ファイバケーブル、
(2)前記粗巻き線の太さが0.4mm以上であることを特徴とする(1)記載の光ファイバケーブル、及び、
(3)前記粗巻き線は、単心線ユニット毎にその着色が異なることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光ファイバケーブル、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の単心線ユニットを備えた光ファイバケーブルの好ましい実施の態様について図面に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の光ファイバケーブルの一例を模式的に示す断面図である。ケーブル1は、複数本の光ファイバ心線2を集合し単心線ユニット4を構成し、その単心線ユニット4を複数備えると共に、これら単心線ユニット4の集合体は、その外周を繊維束5で覆われている。そして、さらにその外側は外被6で覆われ、外被6内には1対の抗張力体7が埋設されている。
【0006】
本発明の1つの単心線ユニット4を構成する光ファイバ心線2は、コアとクラッドからなる光ファイバ素線にプラスチックの一次被覆又はさらに二次被覆が施されたもので、一般にその外径が約0.23mm〜0.40mmのもので、0.25mmのものが代表的なものである。光ファイバ心線2の被覆層がそれぞれ異なる色の着色層であるものを用いるのが好ましい。これらの光ファイバ心線2は、図2に示すように複数本、例えば2〜12本(図では4本の場合を示す)で単心線ユニット4を構成し、粗巻き線3で長手方向に亘って所望のピッチで粗く巻き付けられている。図2では光ファイバ心線2は、撚り合わせることなく並列に集合されているが、適当なピッチで撚り合わせることもできる。
【0007】
本発明の単心線ユニット4の粗巻き線3は、光ファイバ心線2をそれぞれユニットに集合させ、保持すると共に、ユニット同士を識別する機能を有するためのものでもある。また、本発明の粗巻き線3は、図3(a)に示すように光ファイバ心線2との識別性も良いものでなくてはならない。一般に光ファイバ心線2は、外径が約0.23mm〜0.40mmのため、粗巻き線の太さが光ファイバ心線と同等あるいはそれ以下であると、光ファイバ心線の引き出し作業において、光ファイバユニット同志の区別がしにくく作業性が極めて良くない。そのため、粗巻き線3は光ファイバ心線2より太い方が識別性に優れ、その太さは0.25mmを越えるものが好ましく、0.4mm以上がさらに好ましい。図3(b)に示すように細すぎると光ファイバ心線との区別もできにくく、太すぎるとケーブル径が大きくなり、コストも高くなるので0.8mm程度までが好ましい。また、ユニット相互の識別が容易なように、この粗巻き線3はそれぞれユニット毎に互いに異なる色に着色されたものを用いるのが好ましい。本発明で使用される粗巻き線3は、特に制限は無いが、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維が好ましいが、コットン、絹等の天然繊維を使用してもよい。
【0008】
本発明では、粗巻き線3で巻かれた単心線ユニット4を複数集合させてケーブル心を構成することにより、各単心線ユニット4の挙動方向をほぼ同一にして一部の単心線ユニットのみが動くのを防止している。集合させる単心線ユニット4の数は複数あればよく、必要とするケーブルにより適宜設定でき、図1では10本のユニットを、即ち40本の光ファイバ心線を採用した場合を示している。各単心線ユニット4は、ファイバ心線と同様互いに撚り合わすことなく並列的に集合させてもよく、また互いに撚り合わせて個々の単心線ユニットが動くのを防止すると共に、ケーブルの伸縮による光ファイバの歪みを限界内に収まるようにしてもよい。
さらに、単心線ユニット4の集合体であるケーブル心は、一括して繊維束5により外側から覆われてゆるく押さえ込まれることにより、ケーブル心に比較的自由度を持たせて光ファイバ自体に側圧等が加わることがない。また、各単心線ユニット自体を撚ることで、単心線ユニットに局所的な座屈によるベントの発生が抑えられるようにすることもできる。
【0009】
光ファイバケーブル1の中間部で単心ユニット4を取り出す際に、ケーブル長に対し繊維束5の余長を大きく取れば、外被6を除去するだけで繊維束5の除去は必要なくケーブル心と繊維束との間に隙間が生じ、図3に示すような状態となり作業がきわめて容易にできる。そのように余長を持たせて繊維束5を設けるには、繊維束をケーブル心の外周に一方向に、あるいは周期的に交互に反転させて巻回するのが良い。特に、繊維束を周期的に交互に反転させて巻回すれば、外被を除去した後、手で繊維束を引っ張るだけで、簡単にケーブル心と繊維束との分離ができる。
また、単心線ユニット4の集合体であるケーブル心の外周は、ジェリー等の充填は無く、繊維束5で覆っているだけであるので、光ファイバケーブルの中間部でケーブル心を取り出す際には、ケーブル心と繊維束との分離が容易であり、取り出し作業を手作業で簡単に行うことができる。
繊維束5の材質としては、例えばポリプロピレン連続糸を使用するが、これに限定されるものではなく、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等を使用することもできる。
【0010】
本発明の外被6はポリエチレンからなるものが好ましく、繊維束の外側に押出し成形などにより被覆するものである。外被6の材質としては、ナイロンや塩化ビニル樹脂等を用いてもよい。抗張力体7は、外被6に埋設するのが好ましい。本例の図1に示すように、2本に限定されるものではなく、ケーブル全体の強度や可撓性を考慮してその本数を定める。材質として、鋼線の他にガラスFRPや高強度繊維FRPを使用することができる。
光ファイバ心線とケーブル外被との間に繊維束が介在しているので、光ファイバに比較的自由度を持たせて構成されているため光ファイバ自体に側圧等が加わることがなく、良好な伝送特性をもつ光ファイバケーブルである。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
最外層にそれぞれ異なる着色を施した外径0.25mmの標準的な着色光ファイバ心線2を4本集合させ、外径0.3mmのナイロン糸からなる粗巻き線3をピッチ約50mmで粗く巻付けて一体化して単心線ユニット4を構成した。その単心線ユニット4を10ユニット集合させてケーブル心とし、その外周をポリプロピレン糸の繊維束5で覆い、抗張力体7の2本と共に一括してポリエチレン被覆を施して外被6とし、図1に示す外径約8mmの光ファイバケーブル1を構成した。
光ファイバ心線とケーブル外被との間に繊維束が介在しているので、光ファイバ自体に側圧等が加わることがなく、ファイバケーブルには良好な伝送特性が得られている。
ケーブル外被6を除去すると、繊維束5の間からケーブル心が現れ、粗巻き線3と光ファイバ心線とはその太さが相違するので、ケーブル心の中から容易に所定の単心線ユニット4を取り出すことができた。また、単心線ユニット4はナイロン糸の粗巻き線3で巻かれているだけであるので、光ファイバ心線2を容易に1本だけ引き出すことが可能である。粗巻き線であるナイロン糸を単心線ユニット毎にその色を変えれば、単心線ユニットの識別はさらに容易なものとなる。
【0012】
実施例2
前記実施例1の光ファイバケーブル1において、同色のナイロン糸の粗巻き線3の太さのみを0.25〜0.7mmまで変化させた光ファイバケーブルA〜Fの6種類を作成した。ファイバケーブル1の中間部分でケーブル外被6を除去し、繊維束5を分離して図3に示すケーブル心の状態にした場合の単心線ユニット4の識別性を比較した。作業者10人に識別性について、“良好”“可”“困難”の3段階評価を実施した。その結果を表1に記載する。
粗巻き線3がファイバ心線2の太さと同一の場合、半数以上の人が識別“困難”であったが、粗巻き線3の太さをファイバ心線2より太くすることで識別“可”及び“良好”の割合が高まった。
さらに粗巻き線の太さを0.4mm以上にすることで識別“困難”を評価する人がいなくなり、かつ“良好”と答えた人も半数以上になった。
このことより、粗巻き線の太さを0.4mm以上とすることで単心線ユニットの識別性がきわめて良好であり、光ファイバ心線の引き出しが容易にできる。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバテープ心線を用いず、太い粗巻き線を巻きつけた単心線ユニットを用いたので、光ファイバケーブルの中間部で光ファイバ心線を取り出すのに、単心線ユニットの識別がやり易く、特に、単心線ユニット毎に色分けした粗巻き線で巻きつけたものは、ケーブル心線から単心線ユニットを取り出すのが極めて容易にできる。そして、ファイバ心線は、粗巻き線で粗く巻かれているのみであるので、ファイバを傷つける恐れもなく、1本でも2本でも必要数を簡単に引き出すことができる。また、不使用のファイバ心線を引き出すことがないので、ケーブルは心線の使用効率が高い。
さらに、光ファイバテープ心線を積層した同じ心数のファイバケーブルに比べ、本発明のものはケーブル径を細くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバケーブルの一例の断面図である。
【図2】本発明の単心線ユニットの一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】ケーブルの中間で、外被及び繊維束を除いた場合の説明図であり、(a)は粗巻き線の太さが単心線より太い場合を示し、(b)は粗巻き線の太さが単心線と同程度の場合を示す。
【図4】従来の光ファイバケーブルの断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバケーブル
2 光ファイバ心線
3 粗巻き線
4 単心線ユニット
5 繊維束
6 外被
7 抗張力体
10 光ファイバケーブル
11 光ファイバ心線
12 テープ心線
13 繊維束
14 外被
15 抗張力体
Claims (3)
- 複数本の光ファイバ心線を集合させ、光ファイバ心線の外径を越える太さの粗巻き線を巻き付け単心線ユニットを構成し、前記単心線ユニットを複数ユニット集合させてケーブル心を構成し、その外周全体を繊維束で覆い、さらにその外側に外被を形成したことを特徴とする光ファイバケーブル。
- 前記粗巻き線の太さが0.4mm以上であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
- 前記粗巻き線は、単心線ユニット毎にその着色が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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