JP2004068214A - マット用バインダー - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な強度でかつ加熱成形時の着色の少ない繊維マットを容易に得ることができる、マット用バインダー及びそれが用いられた繊維マットを提供すること。
【解決手段】酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3である結晶性不飽和ポリエステル、及び脂肪族又は脂環族系粉体状ラジカル発生剤を含有してなるマット用バインダー、該マット用バインダーと繊維基材とからなる繊維マット。
【選択図】 なし
【解決手段】酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3である結晶性不飽和ポリエステル、及び脂肪族又は脂環族系粉体状ラジカル発生剤を含有してなるマット用バインダー、該マット用バインダーと繊維基材とからなる繊維マット。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維を結合するためのマット用バインダー及びそれが用いられた繊維マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車内装材の芯材、エアコンの消音板、FRP成形用のガラスマット、建材用防音板等の基材として使用される繊維マットは、通常、繊維基材間をバインダーを介して結合させることで製造され、加工性、取り扱い性、安全性を始めとして、強度や耐変色性が求められている。
【0003】
前記製造方法において、従来マット用バインダー樹脂としてフェノール樹脂が用いられているが、安全性や臭気の問題があり、本発明者らは特定の不飽和ポリエステル樹脂、具体的には特定の非結晶性不飽和ポリエステル等を用いることを示した(特開2000−212911号公報)。しかし、さらなる強度の向上、さらには耐黄変性の改善が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、十分な強度でかつ加熱成形時の着色の少ない繊維マットを容易に得ることができる、マット用バインダー及びそれが用いられた繊維マットを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
〔1〕 酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3である結晶性不飽和ポリエステル、及び脂肪族又は脂環族系粉体状ラジカル発生剤を含有してなるマット用バインダー、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のマット用バインダーと繊維基材とからなる繊維マットに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる結晶性不飽和ポリエステルは、前記のように、
酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、
アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3であるものである。
【0007】
本発明においては、かかる2成分を併用して得られる結晶性の不飽和ポリエステルを用いるため、強度向上効果があり、かつ特定ラジカル発生剤との併用で着色も少ないという利点がある。
【0008】
前記酸成分として用いられる炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、アジピン酸、シュウ酸、コハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等、好ましくはジカルボン酸、特には不飽和ジカルボン酸が挙げられ、結晶性、強度、耐黄変性の観点から、炭素数4〜6、具体的にはフマル酸、アジピン酸、特にはフマル酸が好ましい。
【0009】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物の量としては、結晶性、強度、耐黄変性の観点から、前記結晶性不飽和ポリエステルに使用される酸成分中、60〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%が更に好ましく、特には100モル%が好ましい。なお、本発明の不飽和ポリエステルとは、不飽和ジカルボン酸を酸成分中に50〜100モル%、特には80〜100モル%含有されるのが好ましい。
【0010】
また、本発明において、酸成分として、前記炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物に加えて、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の炭素数9以上の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等を使用してもよい。
【0011】
本発明において、アルコール成分として使用される単量体は、前記のように、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)を0.5〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは5〜15モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを60〜99.5モル%、好ましくは75〜99モル%、特に好ましくは85〜95モル%含有する。
【0012】
なお、本発明において、前記炭素数2〜8の脂肪族カルボン酸化合物の酸成分中の量が60〜100モル%、炭素数2〜6の脂肪族ジオールのアルコール成分中の量が60〜99.5モル%であることが、結晶性、強度、耐黄変の観点から好ましい。
【0013】
前記ビスフェノールAに付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、好ましくはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドである。また、2種以上のアルキレンオキサイドを付加してもよい。アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1.5〜5が好ましく、2〜3がより好ましい。
【0014】
前記炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、結晶性、強度、耐黄変性の観点から、炭素数4〜6の脂肪族ジオールが好ましく、具体的には1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
【0015】
また、前記以外の他のアルコール成分としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等の2価のアルコールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
【0016】
本発明に使用される結晶性不飽和ポリエステルは、付加重合性不飽和結合を有するものであり、前記酸成分と前記アルコール成分とを公知の方法で縮重合させることによって得ることができる。例えば、前記酸成分、アルコール成分、及び必要に応じて、公知の触媒、ラジカル重合禁止剤、消泡剤等を混合し、窒素等の不活性ガス雰囲気中150〜200℃で5〜20時間反応させ、さらに必要に応じて減圧反応を行なうことにより結晶性不飽和ポリエステルが得られる。なお、分子量調整のために1価のアルコ−ル成分又はカルボン酸成分を、反応を促進させるためにジブチルスズオキサイド等の通常使用されているエステル化触媒や、ゲル化防止用にヒドロキノン等の重合禁止剤等を適宜使用してもよい。
【0017】
なお、酸成分とアルコール成分との仕込み比率(酸成分/アルコール成分:モル比)は、通常、4/6〜6/4であることが好ましい。
【0018】
かくして得られる結晶性不飽和ポリエステルは、加熱時、マット用バインダーの溶融粘度を急激に下げることができるため、硬化時間を低減させ、強度が発現しやすいという効果が発現される。
【0019】
なお、本発明において、「結晶性」とは軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/融解熱のピーク温度)が0.6〜1.3であることをいうが、さらに結晶性の高い樹脂、即ち軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比が好ましくは0.8〜1.1、より好ましくは0.9〜1.05である。
【0020】
軟化点測定は高化式フローテスター((株)島津製作所、商品名:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0021】
融解熱の最大ピーク温度は示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、200℃まで昇温し、その温度から降下速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定した際の融解熱の最大ピーク温度とする。以下、結晶性ポリエステルの融解熱の最大ピーク温度を融点とすることがある。
【0022】
前記結晶性不飽和ポリエステルの融点は、保存性、硬化接着性の点より、90〜150℃が好ましく、95〜120℃がより好ましい。
【0023】
また、結晶性不飽和ポリエステルの軟化点は、強度の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、硬化時間の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。該軟化点は、90〜130℃が好ましく、100〜120℃がより好ましい。
【0024】
結晶性不飽和ポリエステルの平均粒子径は、繊維基材への混合性ならびに洩れ防止の観点から、好ましくは100〜300μm、より好ましくは150〜250μmである。
【0025】
本発明のマット用バインダーは、前記結晶性不飽和ポリエステルに加えて、脂肪族または脂環族系粉体状ラジカル発生剤(以下、単にラジカル発生剤ともいう)を含有する。本発明においては、かかるラジカル発生剤を用いることで、加熱成形時の黄変が抑えられ、着色の少ない成形物が得られる。なお、「粉体状」とは、粉末状であればよく、常温で個体のものならそのまま粉末化すればよく、常温で液体のものは炭酸カルシウムやシリカ粉末等に担持させて粉末化したものでもよい。
【0026】
脂肪族系粉末状ラジカル発生剤としては、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられ、脂環族系粉体状ラジカル発生剤としては、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。中でも、脂環族系粉末状ラジカル発生剤が、特にはジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレートが好ましい。なお、このラジカル発生剤の半減期としては、保存性安定性等を考慮し、30℃で7日以上であることが好ましく、成形時間を長くさせないように1分間半減期温度が150℃以下、好ましくは90〜150℃、特には120〜150℃であることが望ましい。
【0027】
ラジカル発生剤の量としては、マット用バインダー中、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。
【0028】
本発明のマット用バインダーは、必要により、滑剤等の添加剤を含有していてもよい。滑剤は、マット用バインダーの流動性を向上させることができるとともに、繊維に均一に付着させることができるので、好適に使用しうるものである。滑剤としては、例えば、シリカ、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。マット用バインダーにおける滑剤の含有量は、マット用バインダーの流動性の観点から、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0029】
また、マット用バインダーは、必要に応じて、ジアリルフタレートプレポリマー等の常温固体で低臭気の硬化助剤、アミドワックス、合成ワックス、ラテックス、脂肪酸金属塩等の離型剤等の公知の添加剤、増量剤を含有していてもよい。
【0030】
また、過酸化物により水素原子引き抜き後、ラジカルを発生するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレン等のポリマーを低臭気の硬化助剤として含有してもよい。なお、本発明のマット用バインダーは、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン性不飽和基含有単量体を実質的に、好ましくは全く含有しないものである。
【0031】
本発明のマット用バインダーにおいて、各成分の含有量は、得られる成形体の強度が実用上充分な程度であれば特に限定されない。結晶性不飽和ポリエステルとラジカル発生剤の重量比〔(A)/(B)〕は、100/0.1〜100/20が好ましく、さらに好ましくは100/0.5〜100/10である。前記重量比において、(A)成分100に対する(B)成分の比率は、未硬化部分が少なくなるという観点から、0.1以上であることが好ましく、また、架橋密度が大きくなり、成形体の強度が増大するという観点から、20以下であることが好ましい。
【0032】
本発明のマット用バインダーは、前記各成分を公知の方法で添加混合することにより得られる。得られるマット用バインダーは、常態で粉状体ないし粒状体であり、そのまま使用することができるほか、水や低級アルコール等の溶媒に懸濁させて用いることもできる。
【0033】
また、本発明の繊維マットは、前記マット用バインダーと繊維基材とからなるものである。
【0034】
前記繊維基材としては、特に限定はなく、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維やポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維、綿、麻、竹等の天然繊維等の有機繊維を使用することができる。とりわけ、無機繊維が、不燃性、非吸水性、強靱性、断熱性の観点から好ましい。なお、無機繊維と有機繊維を混合して用いてもよい。
【0035】
なお、これらの繊維基材の表面には、本発明のマット用バインダーとの付着性を向上させるために、表面処理剤で表面改質が施されていてもよい。
【0036】
また、前記繊維基材は、例えば、該繊維基材からなる織布、不織布、ウェブ等のマット用基材として使用することができる。
【0037】
繊維マットは、前記マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維基材等を結合することにより、得ることができる。
【0038】
マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維基材を結合する方法としては、例えば、マット用基材にあらかじめ水等の溶媒を付着させ、その繊維表面を濡らした後、その繊維表面にマット用バインダーを付着させ、乾燥させることにより繊維基材を結合する方法;マット用バインダーを水等の溶媒に懸濁させた懸濁液をマット用基材に塗布、含浸等の方法で付着させ、乾燥させることにより繊維基材を結合する方法;粉末状〜粒子状のマット用バインダーをマット用基材に付着させた後、加熱することによりマット用バインダーを溶融させ、溶融したマット用バインダーで繊維基材を結合する方法等が挙げられる。
【0039】
繊維マット中におけるマット用バインダーの含有量は、マットの種類等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、繊維基材どうしの結合強度、マットの風合いや軽量化等を考慮して、好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは0.5〜50重量%、更には0.5〜30重量%である。
【0040】
以上のようにして得られた本発明の繊維マットは、黄色が抑えられた、着色の少ないものであるため、自動車内装材の芯材、エアコンの消音板、FRP成形用のガラスマット、建材用防音板等に用いられる成形体等に好適に使用することができる。
【0041】
【実施例】
(樹脂製造例1)
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物490g(1.4モル)、1,4−ブタンジオール774g(8.6モル)、フマル酸1183g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド6g及びハイドロキノン0.6gを窒素雰囲気下にて160℃、4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて、1時間反応させ、更に8.3kPaで1時間反応させて樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点115℃、融点117℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0042】
(樹脂製造例2)
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物325g(1.0モル)、1,4−ブタンジオール810g(9.0モル)、フマル酸1183g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド6g及びハイドロキノン0.6gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点117℃、融点119℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0043】
(樹脂製造例3)
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物325g(1.0モル)、1,4−ブタンジオール810g(9.0モル)、フマル酸1044g(9モル)、アジピン酸175g(1.2モル)、ジブチルスズオキサイド6g及びハイドロキノン0.6gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点99℃、融点107℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0044】
(樹脂製造例4)
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物235g(0.67モル)、1,4−ブタンジオール840g(9.33モル)、フマル酸1218g(10.5モル)、ジブチルスズオキサイド5.7g及びハイドロキノン0.6gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点118℃、融点121℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0045】
(樹脂製造例5)
1,4−ブタンジオール810g(9.0モル)、1,6−ヘキサンジオール118g(1.0モル)、フマル酸1183g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド5g及びハイドロキノン0.5gを窒素雰囲気下にて160℃、4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて、11時間反応させ、更に8.3kPaで1時間反応させて樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点120℃、融点127℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0046】
(樹脂製造例6)
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物1750g(5.0モル)、エチレングリコール310g(5.0モル)、無水マレイン酸1000g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド11g及びハイドロキノン1.1gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点90℃、融解熱の最大ピーク65℃の非晶質線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0047】
実施例1〜4および比較例1〜4
前記樹脂製造例で得られた樹脂(A成分)をそれぞれコーヒーミルを用いて粉砕して、平均粒径200μmの粒径の粉末とした。これにラジカル発生剤(B成分)、滑剤(C成分)としてステアリン酸亜鉛(堺化学工業製 SZ−PF)を表1に示す割合で混合し、家庭用ミキサーで10秒間混合してマット用バインダーを得た。
次に、縦17cm、横17cmの四角形状のスチール製プレートに、直径1mmの孔が2mm四方の1つの対角線上に2ヶ所の割合でプレート全体に形成されたメッシュプレートを用意した。
【0048】
チョップドストランド用のガラスロービングを長さ5cmにカットしたガラスチョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)製、品番:CS50MAFT692)をメッシュプレート上に均一に散布し、繊維層を形成させた。
【0049】
次に、霧吹きで水を第1層に10秒間スプレーした後、各実施例又は各比較例で得られたマット用バインダーをマットにおける含有量が8〜9重量%となるようにマット上に均一に手で散布した。
【0050】
上記の操作を4回繰り返すことにより、約450g/m2 の目付けを有する4層の繊維層からなるガラス繊維マットを得た。得られたガラス繊維マットをメッシュプレートとともに、250℃オーブン中に90秒間放置した後、オーブンから取り出し、冷却し、供試体マットを得た。
このバインダー処理されたガラスマット供試体の黄変性を目視により評価した。又、ガラスマット供試体を2cm巾にカットし、オートグラフ試験機((株) 島津製作所製 商品名:AGS−500G)により、引張り強度を測定した。結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1、2の結果より、実施例1〜4で得られたガラスマットは、比較例1〜4のものに比べて、引張り強度が大きく、黄変の極めて少ないものであることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の繊維マットは、十分な強度でかつ黄変の極めて少ないものであるので、着色の少ない、商品価値の高い自動車内装材の芯材、エアコンの消音板、FRP成形用のガラスマット、建材用防音板等を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維を結合するためのマット用バインダー及びそれが用いられた繊維マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車内装材の芯材、エアコンの消音板、FRP成形用のガラスマット、建材用防音板等の基材として使用される繊維マットは、通常、繊維基材間をバインダーを介して結合させることで製造され、加工性、取り扱い性、安全性を始めとして、強度や耐変色性が求められている。
【0003】
前記製造方法において、従来マット用バインダー樹脂としてフェノール樹脂が用いられているが、安全性や臭気の問題があり、本発明者らは特定の不飽和ポリエステル樹脂、具体的には特定の非結晶性不飽和ポリエステル等を用いることを示した(特開2000−212911号公報)。しかし、さらなる強度の向上、さらには耐黄変性の改善が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、十分な強度でかつ加熱成形時の着色の少ない繊維マットを容易に得ることができる、マット用バインダー及びそれが用いられた繊維マットを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
〔1〕 酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3である結晶性不飽和ポリエステル、及び脂肪族又は脂環族系粉体状ラジカル発生剤を含有してなるマット用バインダー、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のマット用バインダーと繊維基材とからなる繊維マットに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる結晶性不飽和ポリエステルは、前記のように、
酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、
アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3であるものである。
【0007】
本発明においては、かかる2成分を併用して得られる結晶性の不飽和ポリエステルを用いるため、強度向上効果があり、かつ特定ラジカル発生剤との併用で着色も少ないという利点がある。
【0008】
前記酸成分として用いられる炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、アジピン酸、シュウ酸、コハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等、好ましくはジカルボン酸、特には不飽和ジカルボン酸が挙げられ、結晶性、強度、耐黄変性の観点から、炭素数4〜6、具体的にはフマル酸、アジピン酸、特にはフマル酸が好ましい。
【0009】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物の量としては、結晶性、強度、耐黄変性の観点から、前記結晶性不飽和ポリエステルに使用される酸成分中、60〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%が更に好ましく、特には100モル%が好ましい。なお、本発明の不飽和ポリエステルとは、不飽和ジカルボン酸を酸成分中に50〜100モル%、特には80〜100モル%含有されるのが好ましい。
【0010】
また、本発明において、酸成分として、前記炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物に加えて、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の炭素数9以上の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等を使用してもよい。
【0011】
本発明において、アルコール成分として使用される単量体は、前記のように、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)を0.5〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは5〜15モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを60〜99.5モル%、好ましくは75〜99モル%、特に好ましくは85〜95モル%含有する。
【0012】
なお、本発明において、前記炭素数2〜8の脂肪族カルボン酸化合物の酸成分中の量が60〜100モル%、炭素数2〜6の脂肪族ジオールのアルコール成分中の量が60〜99.5モル%であることが、結晶性、強度、耐黄変の観点から好ましい。
【0013】
前記ビスフェノールAに付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、好ましくはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドである。また、2種以上のアルキレンオキサイドを付加してもよい。アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1.5〜5が好ましく、2〜3がより好ましい。
【0014】
前記炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、結晶性、強度、耐黄変性の観点から、炭素数4〜6の脂肪族ジオールが好ましく、具体的には1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
【0015】
また、前記以外の他のアルコール成分としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等の2価のアルコールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
【0016】
本発明に使用される結晶性不飽和ポリエステルは、付加重合性不飽和結合を有するものであり、前記酸成分と前記アルコール成分とを公知の方法で縮重合させることによって得ることができる。例えば、前記酸成分、アルコール成分、及び必要に応じて、公知の触媒、ラジカル重合禁止剤、消泡剤等を混合し、窒素等の不活性ガス雰囲気中150〜200℃で5〜20時間反応させ、さらに必要に応じて減圧反応を行なうことにより結晶性不飽和ポリエステルが得られる。なお、分子量調整のために1価のアルコ−ル成分又はカルボン酸成分を、反応を促進させるためにジブチルスズオキサイド等の通常使用されているエステル化触媒や、ゲル化防止用にヒドロキノン等の重合禁止剤等を適宜使用してもよい。
【0017】
なお、酸成分とアルコール成分との仕込み比率(酸成分/アルコール成分:モル比)は、通常、4/6〜6/4であることが好ましい。
【0018】
かくして得られる結晶性不飽和ポリエステルは、加熱時、マット用バインダーの溶融粘度を急激に下げることができるため、硬化時間を低減させ、強度が発現しやすいという効果が発現される。
【0019】
なお、本発明において、「結晶性」とは軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/融解熱のピーク温度)が0.6〜1.3であることをいうが、さらに結晶性の高い樹脂、即ち軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比が好ましくは0.8〜1.1、より好ましくは0.9〜1.05である。
【0020】
軟化点測定は高化式フローテスター((株)島津製作所、商品名:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0021】
融解熱の最大ピーク温度は示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、200℃まで昇温し、その温度から降下速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定した際の融解熱の最大ピーク温度とする。以下、結晶性ポリエステルの融解熱の最大ピーク温度を融点とすることがある。
【0022】
前記結晶性不飽和ポリエステルの融点は、保存性、硬化接着性の点より、90〜150℃が好ましく、95〜120℃がより好ましい。
【0023】
また、結晶性不飽和ポリエステルの軟化点は、強度の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、硬化時間の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。該軟化点は、90〜130℃が好ましく、100〜120℃がより好ましい。
【0024】
結晶性不飽和ポリエステルの平均粒子径は、繊維基材への混合性ならびに洩れ防止の観点から、好ましくは100〜300μm、より好ましくは150〜250μmである。
【0025】
本発明のマット用バインダーは、前記結晶性不飽和ポリエステルに加えて、脂肪族または脂環族系粉体状ラジカル発生剤(以下、単にラジカル発生剤ともいう)を含有する。本発明においては、かかるラジカル発生剤を用いることで、加熱成形時の黄変が抑えられ、着色の少ない成形物が得られる。なお、「粉体状」とは、粉末状であればよく、常温で個体のものならそのまま粉末化すればよく、常温で液体のものは炭酸カルシウムやシリカ粉末等に担持させて粉末化したものでもよい。
【0026】
脂肪族系粉末状ラジカル発生剤としては、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられ、脂環族系粉体状ラジカル発生剤としては、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。中でも、脂環族系粉末状ラジカル発生剤が、特にはジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレートが好ましい。なお、このラジカル発生剤の半減期としては、保存性安定性等を考慮し、30℃で7日以上であることが好ましく、成形時間を長くさせないように1分間半減期温度が150℃以下、好ましくは90〜150℃、特には120〜150℃であることが望ましい。
【0027】
ラジカル発生剤の量としては、マット用バインダー中、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。
【0028】
本発明のマット用バインダーは、必要により、滑剤等の添加剤を含有していてもよい。滑剤は、マット用バインダーの流動性を向上させることができるとともに、繊維に均一に付着させることができるので、好適に使用しうるものである。滑剤としては、例えば、シリカ、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。マット用バインダーにおける滑剤の含有量は、マット用バインダーの流動性の観点から、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0029】
また、マット用バインダーは、必要に応じて、ジアリルフタレートプレポリマー等の常温固体で低臭気の硬化助剤、アミドワックス、合成ワックス、ラテックス、脂肪酸金属塩等の離型剤等の公知の添加剤、増量剤を含有していてもよい。
【0030】
また、過酸化物により水素原子引き抜き後、ラジカルを発生するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレン等のポリマーを低臭気の硬化助剤として含有してもよい。なお、本発明のマット用バインダーは、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン性不飽和基含有単量体を実質的に、好ましくは全く含有しないものである。
【0031】
本発明のマット用バインダーにおいて、各成分の含有量は、得られる成形体の強度が実用上充分な程度であれば特に限定されない。結晶性不飽和ポリエステルとラジカル発生剤の重量比〔(A)/(B)〕は、100/0.1〜100/20が好ましく、さらに好ましくは100/0.5〜100/10である。前記重量比において、(A)成分100に対する(B)成分の比率は、未硬化部分が少なくなるという観点から、0.1以上であることが好ましく、また、架橋密度が大きくなり、成形体の強度が増大するという観点から、20以下であることが好ましい。
【0032】
本発明のマット用バインダーは、前記各成分を公知の方法で添加混合することにより得られる。得られるマット用バインダーは、常態で粉状体ないし粒状体であり、そのまま使用することができるほか、水や低級アルコール等の溶媒に懸濁させて用いることもできる。
【0033】
また、本発明の繊維マットは、前記マット用バインダーと繊維基材とからなるものである。
【0034】
前記繊維基材としては、特に限定はなく、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維やポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維、綿、麻、竹等の天然繊維等の有機繊維を使用することができる。とりわけ、無機繊維が、不燃性、非吸水性、強靱性、断熱性の観点から好ましい。なお、無機繊維と有機繊維を混合して用いてもよい。
【0035】
なお、これらの繊維基材の表面には、本発明のマット用バインダーとの付着性を向上させるために、表面処理剤で表面改質が施されていてもよい。
【0036】
また、前記繊維基材は、例えば、該繊維基材からなる織布、不織布、ウェブ等のマット用基材として使用することができる。
【0037】
繊維マットは、前記マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維基材等を結合することにより、得ることができる。
【0038】
マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維基材を結合する方法としては、例えば、マット用基材にあらかじめ水等の溶媒を付着させ、その繊維表面を濡らした後、その繊維表面にマット用バインダーを付着させ、乾燥させることにより繊維基材を結合する方法;マット用バインダーを水等の溶媒に懸濁させた懸濁液をマット用基材に塗布、含浸等の方法で付着させ、乾燥させることにより繊維基材を結合する方法;粉末状〜粒子状のマット用バインダーをマット用基材に付着させた後、加熱することによりマット用バインダーを溶融させ、溶融したマット用バインダーで繊維基材を結合する方法等が挙げられる。
【0039】
繊維マット中におけるマット用バインダーの含有量は、マットの種類等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、繊維基材どうしの結合強度、マットの風合いや軽量化等を考慮して、好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは0.5〜50重量%、更には0.5〜30重量%である。
【0040】
以上のようにして得られた本発明の繊維マットは、黄色が抑えられた、着色の少ないものであるため、自動車内装材の芯材、エアコンの消音板、FRP成形用のガラスマット、建材用防音板等に用いられる成形体等に好適に使用することができる。
【0041】
【実施例】
(樹脂製造例1)
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物490g(1.4モル)、1,4−ブタンジオール774g(8.6モル)、フマル酸1183g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド6g及びハイドロキノン0.6gを窒素雰囲気下にて160℃、4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて、1時間反応させ、更に8.3kPaで1時間反応させて樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点115℃、融点117℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0042】
(樹脂製造例2)
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物325g(1.0モル)、1,4−ブタンジオール810g(9.0モル)、フマル酸1183g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド6g及びハイドロキノン0.6gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点117℃、融点119℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0043】
(樹脂製造例3)
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物325g(1.0モル)、1,4−ブタンジオール810g(9.0モル)、フマル酸1044g(9モル)、アジピン酸175g(1.2モル)、ジブチルスズオキサイド6g及びハイドロキノン0.6gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点99℃、融点107℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0044】
(樹脂製造例4)
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物235g(0.67モル)、1,4−ブタンジオール840g(9.33モル)、フマル酸1218g(10.5モル)、ジブチルスズオキサイド5.7g及びハイドロキノン0.6gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点118℃、融点121℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0045】
(樹脂製造例5)
1,4−ブタンジオール810g(9.0モル)、1,6−ヘキサンジオール118g(1.0モル)、フマル酸1183g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド5g及びハイドロキノン0.5gを窒素雰囲気下にて160℃、4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて、11時間反応させ、更に8.3kPaで1時間反応させて樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点120℃、融点127℃の結晶性線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0046】
(樹脂製造例6)
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物1750g(5.0モル)、エチレングリコール310g(5.0モル)、無水マレイン酸1000g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド11g及びハイドロキノン1.1gを用いて製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂は、軟化点90℃、融解熱の最大ピーク65℃の非晶質線型不飽和ポリエステル樹脂であった。
【0047】
実施例1〜4および比較例1〜4
前記樹脂製造例で得られた樹脂(A成分)をそれぞれコーヒーミルを用いて粉砕して、平均粒径200μmの粒径の粉末とした。これにラジカル発生剤(B成分)、滑剤(C成分)としてステアリン酸亜鉛(堺化学工業製 SZ−PF)を表1に示す割合で混合し、家庭用ミキサーで10秒間混合してマット用バインダーを得た。
次に、縦17cm、横17cmの四角形状のスチール製プレートに、直径1mmの孔が2mm四方の1つの対角線上に2ヶ所の割合でプレート全体に形成されたメッシュプレートを用意した。
【0048】
チョップドストランド用のガラスロービングを長さ5cmにカットしたガラスチョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)製、品番:CS50MAFT692)をメッシュプレート上に均一に散布し、繊維層を形成させた。
【0049】
次に、霧吹きで水を第1層に10秒間スプレーした後、各実施例又は各比較例で得られたマット用バインダーをマットにおける含有量が8〜9重量%となるようにマット上に均一に手で散布した。
【0050】
上記の操作を4回繰り返すことにより、約450g/m2 の目付けを有する4層の繊維層からなるガラス繊維マットを得た。得られたガラス繊維マットをメッシュプレートとともに、250℃オーブン中に90秒間放置した後、オーブンから取り出し、冷却し、供試体マットを得た。
このバインダー処理されたガラスマット供試体の黄変性を目視により評価した。又、ガラスマット供試体を2cm巾にカットし、オートグラフ試験機((株) 島津製作所製 商品名:AGS−500G)により、引張り強度を測定した。結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1、2の結果より、実施例1〜4で得られたガラスマットは、比較例1〜4のものに比べて、引張り強度が大きく、黄変の極めて少ないものであることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の繊維マットは、十分な強度でかつ黄変の極めて少ないものであるので、着色の少ない、商品価値の高い自動車内装材の芯材、エアコンの消音板、FRP成形用のガラスマット、建材用防音板等を得ることができる。
Claims (5)
- 酸成分として、少なくとも炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物と、アルコール成分として、少なくともビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数が1〜10)をアルコール成分中0.5〜20モル%及び炭素数2〜6の脂肪族ジオールを含有した単量体混合物を縮重合してなる、軟化点/融解熱のピーク温度が0.6〜1.3である結晶性不飽和ポリエステル、及び脂肪族又は脂環族系粉体状ラジカル発生剤を含有してなるマット用バインダー。
- 結晶性不飽和ポリエステルの軟化点が、90〜130℃である請求項1記載のマット用バインダー。
- 酸成分中の炭素数2〜8の脂肪族カルボン酸化合物の量が60〜100モル%、アルコール成分中の炭素数2〜6の脂肪族ジオールの量が60〜99.5モル%である請求項1又は2記載のマット用バインダー。
- 請求項1〜3いずれか記載のマット用バインダーと繊維基材とからなる繊維マット。
- 繊維基材が無機繊維である請求項4記載の繊維マット。
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