JP3971118B2 - 成形材料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車内装材に代表される構造部材や、建築物、航空機、車輌、船舶等に使用される断熱材、防音材、エアコンの消音板等に用いられる成形体用の成形材料組成物、ならびに該成形材料組成物を成形して得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車内装材に代表される構造部材や、建築物、航空機、車輌、船舶等に使用される断熱材、防音材、エアコンの消音板等には、充分な強度や耐熱性を保持させるために繊維およびフェノール樹脂/アミン系硬化剤をベースとして含有する成形体が好適に用いられている(特開昭57−55962号公報、特開平7−1666号公報等)。しかし、フェノール樹脂は反応時や分解時にホルムアルデヒドを生成し安全性の点で問題があり、また、アミン系硬化剤は臭気の点で問題がある。
【0003】
また、非結晶性の不飽和ポリエステルおよび該不飽和ポリエステルと相溶性を有するエチレン性不飽和基含有単量体からなる組成物と、ラジカル発生剤とからなる成形材料組成物も知られている(特公平2−31090号公報)。しかし、不飽和ポリエステルと相溶性を有するスチレン等のエチレン性不飽和基含有単量体は、いずれも架橋剤として作用するので成形体の強度が向上するものの、臭気および安全性の点で問題がある。
【0004】
さらに、スチレン等のエチレン性不飽和基含有単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂およびラジカル発生剤にタルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機充填剤を添加して成形体の強度を向上させ、また、安価とした成形材料組成物も知られている(フィラー活用事典、大成社、1994)。しかし、無機充填剤の有機繊維基材を含む系への応用は、特に臭気等を考慮してスチレン等の液体を使用しない場合、繊維基材と無機充填剤との混合性が悪く均一な強度が得られないため、困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実用上充分な強度と耐熱性を有し、かつ安全性や臭気の問題が改善され、しかも安価である成形体を得るのに適した成形材料組成物、ならびにかかる成形体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 繊維基材〔(A)成分〕、樹脂成分、ラジカル発生剤〔(D)成分〕、2価以上の脂肪酸金属塩〔(E)成分〕、および無機充填剤〔(F)成分〕を含有し、かつ添加剤を含有していてもよい成形材料組成物であって、前記(A)成分が綿の裁断切れ地より得られた糸くず状のものであり、前記樹脂成分が、酸価が3〜60KOHmg/gのラジカル重合性不飽和ポリエステル〔(B)成分〕および/または酸価が3〜60KOHmg/gのラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミド〔(C)成分〕であって、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物を含む原料単量体を用いて得られた樹脂であり、前記(E)成分がステアリン酸亜鉛又はステアリン酸アルミニウムであり、該(E)成分の含有量が1〜10重量%であり、(A)成分以外の成分を予め混合したものと(A)成分とを混合して得られることを特徴とする成形材料組成物、
〔2〕 前記〔1〕記載の成形材料組成物を成形して得られる成形体、
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の成形材料組成物は、樹脂として特定の酸価を有するラジカル重合性不飽和ポリエステルおよび/またはラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドと、2価以上の脂肪酸金属塩とを含有してなることを1つの大きな特徴とする。本発明の成形材料組成物は、前記樹脂と脂肪酸金属塩とを共に含むので、当該組成物を、たとえば加熱成形する際、当該組成物の溶融状態において前記樹脂のカルボキシル基と前記金属塩の金属との間に配位結合が形成され、その結果、強度の高い成形体が得られるものと考えられる。また、従来、成形体の強度の向上を目的として無機充填剤を用いても繊維基材との混合性が悪く一様には分散せず、成形体において均一な強度が得られないという欠点があったが、前記脂肪酸金属塩は無機充填剤と繊維基材との濡れ性を改善させる効果をも発揮し得るので、成形材料組成物中に無機充填剤を均一に分散させることができ、従って、前記樹脂と脂肪酸金属塩に加え、さらに無機充填剤を含有してなる成形材料組成物によれば、樹脂のカルボキシル基と脂肪酸金属塩の金属との間の配位結合の形成による強度向上効果と無機充填剤による均一な強度向上効果とが相乗的に発揮され、優れた強度と耐熱性を有する成形体が得られるものと考えられる。
【0008】
(A)成分の繊維基材としては、特に限定はなく、ガラス繊維等の無機繊維や、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維、綿、麻、毛、絹、木繊維等の天然繊維等の有機繊維を使用することができる。成形体(たとえば、成形板)の柔軟性および断熱性の観点から、有機繊維が好ましい。また、無機繊維と有機繊維を混合して用いてもよい。(A)成分は、不織布、織布の形態で用いても良く、糸状の形態で用いても良い。
【0009】
(B)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルとしては、ラジカル重合性不飽和結合を有するポリエステルであって、かつ酸価が3〜60KOHmg/gであれば特に限定されるものではない。酸価としては、5〜50KOHmg/gが好ましく、8〜50KOHmg/gがより好ましい。(B)成分の酸価が3KOHmg/g未満では、(B)成分のカルボキシル基と(E)成分の金属との配位結合の形成が充分でなく、一方、得られる成形体の良好な耐湿性の観点から、60KOHmg/g以下である。なお、酸価はJIS K0070により測定する。
【0010】
(B)成分の原料単量体としては、特に制限はなく、たとえば、公知の2価以上のアルコール成分、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸成分や、ラジカル重合性不飽和基含有単量体が用いられる。これらの原料単量体は、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。なお、ラジカル重合性不飽和基含有単量体は、用いられるアルコール成分、カルボン酸成分等にラジカル重合性不飽和結合が存在しない場合は必須成分である。
【0011】
2価のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられ、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、水素添加ビスフェノールAである。かかるアルキレンオキサイドとしては、好ましくは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドである。また、2種以上のアルキレンオキサイドが付加してもよい。
【0012】
3価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、好ましくは、グリセリン、トリメチロールプロパンである。
【0013】
また、2価のカルボン酸成分としては、各種ジカルボン酸、炭素数1〜20のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸、これらの酸の無水物およびアルキル(炭素数1〜12)エステル等が挙げられ、好ましくは、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸および炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、具体的には、オクテニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸等である。
【0014】
3価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)およびその酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等が挙げられる。
【0015】
また、ラジカル重合性不飽和基含有単量体としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等が挙げられ、好ましくは、フマル酸、無水マレイン酸である。
【0016】
また、(C)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドとしては、ラジカル重合性不飽和結合を有するポリエステルポリアミドであって、かつ酸価が3〜60KOHmg/gであれば特に限定されるものではない。酸価としては、5〜50KOHmg/gが好ましく、8〜50KOHmg/gがより好ましい。(C)成分の酸価が3KOHmg/g未満では(C)成分のカルボキシル基と(E)成分の金属との配位結合の形成が充分でなく、一方、得られる成形体の良好な耐湿性の観点から、60KOHmg/g以下である。
【0017】
(C)成分の原料単量体としては、前記(B)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルで用いられる原料単量体に加え、さらにアミン系単量体が用いられる。アミン系単量体としては、公知の各種ポリアミン、アミノカルボン酸、アミノアルコール、ラクタム等が挙げられ、好ましい具体例としては、メタキシレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミンおよびε−カプロラクタムが挙げられる。これらのアミン系単量体は、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0018】
かかる構成を有する(B)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルおよび(C)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドとしては、成形性が良好で、均一な成形体が得られ、常温および高温下での成形体の強度がさらに向上する観点から、各々、少なくとも1種のラジカル重合性不飽和基含有単量体の含有量が、全構成単量体中、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35〜50重量%であるものが望ましい。その他、前記の原料単量体を適宜用いて100重量%とすればよい。
【0019】
これらの(B)成分および(C)成分は、それぞれ単一のラジカル重合性不飽和ポリエステルおよびラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドからなってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0020】
(B)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルおよび(C)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドは公知の方法に従って製造することができ、たとえば、前記単量体の混合物を好ましくは窒素雰囲気中150〜250℃で5〜20時間反応させることにより得られる。(B)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルおよび(C)成分のラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドは線型または非線型重合体のいずれであってもよい。なお、分子量調整のための1価のアルコール成分またはカルボン酸成分、反応を促進させるための酸化ジブチル錫等の通常使用されているエステル化触媒、(B)または(C)成分の製造中にラジカル重合を併発しないようにするためのハイドロキノン等のラジカルトラップ剤等を、適宜使用してもよい。
【0021】
(B)成分および(C)成分の各樹脂の沃素価は、得られる成形体の強度の観点から、40以上が好ましく、50以上がより好ましく、60〜130がさらに好ましく、70〜130が特に好ましい。なお、沃素価はJIS K0070に基づいて測定する。
【0022】
また、(B)成分または(C)成分の軟化点(℃)は、成形時の溶融性と成形材料組成物の保存安定性の観点から、80℃以上が好ましく、80〜130℃がより好ましい。なお、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所社製)を用い、荷重196N、オリフィス径1mm、オリフィス長さ1mm、3℃/分の昇温条件で測定し、測定対象樹脂の半量が流れ出た温度とする。
【0023】
(B)成分および(C)成分の各樹脂は、結晶性、非結晶性のものどちらでも使用できる。この内、結晶性を有するものについては、成形体の強度の観点から、10℃/分昇温下でのDSC測定時の接線法で90℃以上160℃以下の主融点を有し、該融点より20℃高い温度における溶融粘度が100Pa・s以下であることが好ましい。なお、該溶融粘度は、高化式フローテスター(島津製作所社製)若しくはレオメーター(レオメトリックス社製)により測定する。
【0024】
(D)成分のラジカル発生剤としては、過酸化物系、過硫化物系、アゾ系等が用いられる。ガス発生が少ない観点から、好ましくは過酸化物系、過硫化物系が用いられる。好ましい具体例として、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、この(D)成分の半減期としては成形材料組成物の保存安定性等を考慮し、40℃で7日以上であることが好ましく、成形時間の短縮の観点より250℃で10分以内であることが望ましい。
【0025】
(E)成分の脂肪酸金属塩は2価以上のものであれば特に限定されるものではない。1価のものでは、(E)成分の金属と(B)成分および/または(C)成分のカルボキシル基との間に強度向上に有効な配位結合の形成が生じず、本発明の所望の効果が得られない。
【0026】
当該脂肪酸金属塩の脂肪酸部分としては、ヤシ油系脂肪酸、牛脂系脂肪酸、各種単体脂肪酸等が挙げられるが、特に限定はない。単体脂肪酸としては、分子量の小さい順から、たとえば、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リグノリン酸、セロスチン酸、モンタン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノレイン酸、ジヒドロキシステアリン酸、環状脂肪酸、二塩基性酸等が挙げられる。脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸以上の直鎖アルキル基を持つ炭素数18以上の飽和脂肪酸を90%以上含むものが濡れ性向上の観点から好ましい。
【0027】
また、2価以上の脂肪酸金属塩の金属としては、亜鉛、鉛、鉄、銅、錫、カドミウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、マンガン、バリウム等の各種金属が挙げられる。脂肪酸金属塩としては、特にラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが好適である。これらの脂肪酸金属塩は、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0028】
(E)成分は、(E)成分の金属と(B)成分および/または(C)成分のカルボキシル基との間の配位結合の形成を促す観点から、(E)成分を用いる態様としては、たとえば、ミキサー等を使用して(B)成分および/または(C)成分と予め混合して用いる態様、または、(B)成分および/または(C)成分と予め溶融混練し、もしくは(B)成分および/または(C)成分を製造する際の重合反応末期に添加し、(B)成分および/または(C)成分中に含有せしめて(すなわち、内添して)用いる態様等が好ましい。
【0029】
さらに、本発明の成形材料組成物においては、(B)成分および/または(C)成分のカルボキシル基と(E)成分の金属との間の配位結合の形成による強度向上効果と、無機充填剤による強度向上効果との相乗効果を得る観点から、(F)成分として無機充填剤を含有させるのが好ましい。
【0030】
(F)成分の無機充填剤としては、特に限定はなく、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ガラスフリット等、さらに、それらを、各種カップリング剤で表面処理したものも使用することができる。中でも、炭酸カルシウム、アルミナ、タルクが安価で、且つ強度向上に有効で好ましく用いられる。
【0031】
以上の無機充填剤は、成形体一般に添加されるが、成形体に繊維基材を含有させる場合、単に添加しただけでは繊維基材との混合性が悪く分離してしまい、均一な分散が得られないため、無機充填剤による所望の効果を得にくい。本発明の成形材料組成物では、脂肪酸金属塩の作用により無機充填剤と繊維基材との濡れ性が改善され、成形材料組成物中に無機充填剤が均一に分散されるので、得られる成形体において無機充填剤による所望の効果が充分に発揮される。
【0032】
なお、成形材料組成物中に無機充填剤を均一に分散させることができれば所望の効果の発現が期待できることから、(1)当該組成物中に、樹脂、脂肪酸金属塩、無機充填剤を各々独立に存在させ、脂肪酸金属塩の作用により無機充填剤の均一分散をはかってもよく(樹脂に対し無機充填剤を外添する態様)、または、(2)容易に均一分散する樹脂中に無機充填剤を予め含有せしめて、無機充填剤の均一分散をはかってもよい(樹脂に対し無機充填剤を内添する態様)。
【0033】
前記(1)の態様は、公知の方法に従い、単に各成分を混合して成形材料組成物を得た場合の態様である。一方、前記(2)の態様では、予め無機充填剤を樹脂に対し内添しておくことが必要となる。
【0034】
無機充填剤の内添の方法は、(B)成分または(C)成分として使用する樹脂中に(F)成分の無機充填剤を充分に分散することができれば特に限定されるものではないが、たとえば、(B)成分または(C)成分の樹脂の合成中に添加する、前記樹脂の合成後にかかる樹脂を加熱溶融させて添加混合する、溶剤中に溶解させた前記樹脂中に添加混合した後、脱溶剤する等の方法を挙げることができる。なかでも、樹脂の合成後に溶融状態とした樹脂中に添加混合する方法が工程を簡素化でき好ましい。
【0035】
なお、(F)成分の平均粒径は、分散性に加え、さらに得られる成形体の強度の観点から、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.1〜30μmである。平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2000J(島津製作所社製)により求める。
【0036】
さらに本発明の成形材料組成物には、本発明の所望の効果の発現が阻害されない限り、所望により、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート等の硬化助剤、脂肪酸アミドワックス、合成ワックス等の離型剤等、公知の添加剤を含有させてもよい。
【0037】
本発明の成形材料組成物中の各成分の含有量は、得られる成形体の強度と耐熱性が実用上充分な程度であれば特に限定されない。ここで、「 成形体の強度が実用上充分な程度」 とは、JIS K6911に基づく常温曲げ強度が好ましくは100kg/cm2 以上、より好ましくは120kg/cm2 以上であることをいう。
【0038】
具体的には、(A)成分の含有量は、得られる成形体の比重および強度の観点から、好ましくは29〜99重量%、より好ましくは50〜98.9重量%である。
【0039】
(B)成分および/または(C)成分の含有量は、成形体の強度および比重の観点から、好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは0.9〜50重量%である。
【0040】
(D)成分の含有量は、成形体の強度の観点から、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0041】
(E)成分の含有量は、成形体の強度の観点から、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.3〜8重量%である。
【0042】
さらに(F)成分の含有量は、成形体の強度および価格の観点から、(B)成分および/または(C)成分100重量部に対して好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは0.5〜150重量部、特に好ましくは1〜100重量部である。
【0043】
また、前記硬化助剤、離型剤等の添加剤の含有量は、それらの所望の効果が発揮され、本発明の所望の目的が達せられる範囲内であれば特に限定されない。
【0044】
本発明の成形材料組成物は公知の方法に従い、たとえば、前記(A)成分以外の成分をヘンシェルミキサー、流動層等で予め混合したものを、次いで(A)成分と適宜混合することにより得ることができる。
【0045】
また、本発明の成形材料組成物を成形して、本発明の成形体を得る方法としては特に限定はなく、圧縮成形、積層成形、射出成形、押出成形等の公知の方法を用いることができる。また、かかる成形材料組成物を予熱もしくは加熱して成形に供すると成形時間が短縮でき好ましい。
【0046】
かくして得られた成形体は、実用上充分な強度を有し、また、その耐熱性も良好であるため、自動車内装材に代表される構造部材や、建築物、航空機、車輌、船舶等に使用される断熱材、防音材、エアコンの消音板等に好適に用いられる。なお、耐熱性は後述の実施例において記載する方法により評価する。
【0047】
【実施例】
樹脂製造例1
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物2100g(6モル)、水素添加ビスフェノールA1320g(5.5モル)、エチレングリコール527g(8.5モル)、フマル酸2366g(20.4モル)、ジブチルスズオキサイド16gおよびハイドロキノン0.6gを窒素雰囲気下にて160℃で4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて1時間、さらに9.33kPaの減圧下で1時間反応させた。得られた樹脂は、酸価32KOHmg/g、沃素価75.0、軟化点110℃の非結晶性のラジカル重合性不飽和ポリエステルであった。当該樹脂を樹脂1とする。
【0048】
樹脂製造例2
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物6500g(20モル)、無水マレイン酸2000g(20.4モル)およびハイドロキノン0.9gを窒素雰囲気下にて160℃で4時間反応させた。その後200℃まで昇温後、常圧にて1時間、さらに9.33kPaの減圧下で1時間反応させた。得られた樹脂は、酸価20KOHmg/g、沃素価50、軟化点98℃の非結晶性の非結晶性のラジカル重合性不飽和ポリエステルであった。当該樹脂を樹脂2とする。
【0049】
樹脂製造例3
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物7000g(20モル)、フマル酸2413g(20.8モル)、ジブチルスズオキサイド20gおよびハイドロキノン0.9gを窒素雰囲気下にて160℃で4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて1時間、さらに9.33kPaの減圧下で1時間反応させた。得られた樹脂は、酸価45KOHmg/g、沃素価45、軟化点100℃の非結晶性のラジカル重合性不飽和ポリエステルであった。当該樹脂を樹脂3とする。
【0050】
樹脂製造例4
ビスフェノールA−エチレンオキサイド(平均付加モル数:2.1)付加物650g(2モル)、エチレングリコール217g(3.5モル)、水素添加ビスフェノールA840g(3.5モル)、メタキシレンジアミン136g(1モル)、無水マレイン酸1009g(10.3モル)およびハイドロキノン0.4gを窒素雰囲気下にて160℃で4時間反応させた。その後200℃まで昇温後常圧にて1時間、さらに9.33kPaの減圧下で1時間反応させた。得られた樹脂は、酸価25KOHmg/g、沃素価78.6、軟化点105℃の非結晶性のラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミドであった。当該樹脂を樹脂4とする。
【0051】
樹脂製造例5
上記樹脂1、1500gを窒素雰囲気下、190℃にて溶融させておき、炭酸カルシウム(BF−100、備北粉化工業製、平均粒径3.5μm)860gを添加し、1時間攪拌混合後、冷却し、炭酸カルシウム〔無機充填剤(F)成分〕を内添した樹脂を得た。当該樹脂を樹脂5とする。
【0052】
実施例1〜7および比較例1〜2(但し、実施例1〜4は参考例)
前記樹脂製造例で得られた樹脂1〜5を(B)成分または(C)成分としてそれぞれ粉砕し、30〜200μmの粒径の粉末として使用した。繊維基材〔(A)成分〕には、綿の裁断切れ地より得られた糸くず状のものを使用した。ラジカル発生剤〔(D)成分〕には、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製パーカドックス14)を使用した。また、脂肪酸金属塩〔(E)成分〕には、ステアリン酸亜鉛(S−Z、日本油脂社製)、ステアリン酸アルミニウム(SA−1000、堺化学社製)、ステアリン酸リチウム(S−7000、堺化学社製)を使用した。無機充填剤〔(F)成分〕には、さらに水酸化アルミニウム(H−320、昭和電工社製、平均粒径10μm)を使用した。
【0053】
(A)成分以外の成分を、表1に示す組成でヘンシェルミキサーにて予め混合し、さらに(A)成分とポリエチレン袋中で混合し、成形材料組成物を調製した。なお、実施例5と6は(F)成分を樹脂に対し外添した例であり、実施例7は樹脂に対し内添した例である。実施例7の(F)成分の配合量は、内添と外添とを区別するため、表1中、括弧書きで示す。
【0054】
次いで得られた成形材料組成物を鏡面仕上げしたステンレス板で挟み、190℃の加熱加圧成型機に入れ、6mmのスペーサーを使用して、15kgf/cm2 (1.47MPa)の接触圧の状態で1分間加熱加圧成形し、厚さ6mm、縦20cm×横5cmの成形板を得た。
【0055】
各々の成形板について、常温曲げ強度試験および120℃耐熱性評価を行った。その結果を表1に併記する。なお、いずれの場合も120℃耐熱性評価の際、刺激臭はなかった。また、成形板をデシケーターに入れ、24時間後、ホルマリンガス検知管を用いてデシケーター中の気体を吸引したところ、ホルマリンは検知されなかった。
【0056】
なお、常温曲げ強度試験は、JIS K−6911に基づいて行った。120℃耐熱性評価は、120℃のオーブン中に20gの分銅を中心部にのせた成形板を2時間放置した後、取り出し、以下の評価基準に基づいて判定した。
【0057】
(評価基準)
◎:全くそりがない。
○:中心を地面に設置した際、そりが1mm未満であった。
△:中心を地面に設置した際、そりが1mm以上2.5mm未満であった。
×:中心を地面に設置した際、そりが2.5mm以上であった。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果より、実施例1〜7で得られた成形板はいずれも、(E)成分を使用しない比較例1および(E)成分として1価の脂肪酸金属塩を使用した比較例2で得られた成形板に比べ、実用上充分な強度と耐熱性を有することが分かる。また、実施例5〜7の結果から、無機充填剤を樹脂に対し外添した場合も、内添した場合も、樹脂の含有量が少ないにもかかわらず、同様に優れた成形体が得られることが分かる。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、実用上充分な強度と耐熱性を有し、かつ安全性や臭気の問題が改善され、しかも安価である成形体を得るのに適した成形材料組成物、ならびにかかる成形体が得られる。
Claims (5)
- 繊維基材〔(A)成分〕、樹脂成分、ラジカル発生剤〔(D)成分〕、2価以上の脂肪酸金属塩〔(E)成分〕、および無機充填剤〔(F)成分〕を含有し、かつ添加剤を含有していてもよい成形材料組成物であって、前記(A)成分が綿の裁断切れ地より得られた糸くず状のものであり、前記樹脂成分が、酸価が3〜60KOHmg/gのラジカル重合性不飽和ポリエステル〔(B)成分〕および/または酸価が3〜60KOHmg/gのラジカル重合性不飽和ポリエステルポリアミド〔(C)成分〕であって、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物を含む原料単量体を用いて得られた樹脂であり、前記(E)成分がステアリン酸亜鉛又はステアリン酸アルミニウムであり、該(E)成分の含有量が1〜10重量%であり、(A)成分以外の成分を予め混合したものと(A)成分とを混合して得られることを特徴とする成形材料組成物。
- 成形材料組成物中、(A)成分が29〜99重量%、(B)成分および/または(C)成分が0.5〜70重量%、(D)成分が0.1〜30重量%である請求項1記載の成形材料組成物。
- (F)成分の含有量が、(B)成分および/または(C)成分100重量部に対して0.1〜200重量部である、請求項1又は2記載の成形材料組成物。
- (F)成分の平均粒径が0.1〜50μmである請求項1〜3いずれか記載の成形材料組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の成形材料組成物を成形して得られる成形体。
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