JP6699014B2 - 樹脂材料強化材の製造方法、繊維強化樹脂材料の製造方法、及び樹脂材料強化材 - Google Patents

樹脂材料強化材の製造方法、繊維強化樹脂材料の製造方法、及び樹脂材料強化材 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂材料に添加して当該材料を強化する樹脂材料強化材の製造方法、繊維強化樹脂材料の製造方法、及び樹脂材料強化材に関する。
エラストマー若しくはプラスチックなどから構成される合成樹脂材料にガラス繊維を配合することで繊維強化プラスチックが製造されている。ガラス繊維は比重が重いため、補強繊維としてセルロース繊維を配合することがある。
例えば、特許文献1には、木材パルプシートをヒートミキサーに投入して加熱しながら撹拌して綿状にすることが記載されている。この方法では木材パルプシートを処理するのとは別に、ポリアセタール樹脂に対して摺動性改良剤等を配合して溶融混錬してポリアセタール樹脂組成物を得る。このポリアセタール樹脂組成物を上記のヒートミキサーに投入して綿状にしたセルロース繊維とポリアセタール樹脂組成物とを乾式で混合する。摺動性改良剤として、脂肪酸エステルで表面処理した炭酸カルシウムを、ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.54重量部配合する。
特許文献2には、セルロース繊維と機能性化合物とを含有する水スラリーを、混合物の最終温度が100℃以上となるように該水スラリーを混錬しながら加熱乾燥することによって、機能性セルロース組成物を製造する方法が記載されている。機能性化合物として、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、シリコーン、アルキルケテンダイマー、界面活性剤が使用されている。機能性セルロース組成物は、樹脂材料などの他の材料との複合化による繊維強化複合材料などに応用することが可能とされている。
特許文献3には、吸着水分を除去した天然セルロース繊維の精製物と、ステアリン酸とを粉砕容器にいれてジルコニア製粉砕ボールで粉砕して乾燥扁平セルロース繊維を製造する方法が記載されている。乾燥扁平セルロース粒子は樹脂等に添加混合することができるとされている。
特許文献4には、炭酸カルシウムの表面に、(1)シリカ層、(2)脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、樹脂酸、樹脂酸塩及び樹脂酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる有機酸層、及び(3)シランカップリング剤層を備える改質炭酸カルシウムが開示されている。この改質炭酸カルシウムを配合したポリマーは、ホワイトカーボンを配合したポリマーに匹敵する力学的物性を示すとされている。
国際公開第WO2010/119826号公報 特開2010−106055号公報 特開2004−230719号公報 特許第3826301号公報
特許文献1の方法は、乾式でパルプシートを解繊することから、空気中にセルロース繊維が拡散して歩留まりが低下するおそれがある。また、乾式の撹拌ではナノオーダーまでセルロース繊維のサイズを低下させることが難しい。
特許文献2の方法で製造した機能性セルロース組成物は、樹脂材料に配合した際にどの程度強度が向上するかが具体的に示されておらず不明である。特許文献3の方法についても同様に、樹脂材料に配合するとどの程度強度が向上するか不明である。
特許文献4の方法は、ポリマーが微小セルロース繊維を含むものではなく、強度において不足する。
その他の方法として、木質チップを乾式粉砕してマイクロメートルオーダーのセルロース繊維を含む粉末を製造する方法がある。これを合成樹脂材料に配合した場合は、マイクロサイズのセルロース繊維が異物となるためか、合成樹脂材料を曲げると折れやすいという欠点がある。
本発明は、微小セルロース繊維を乾燥させる過程においてナノセルロース繊維を含む微小セルロース繊維が凝集するのを防止して歩留まりよく、しかも容易に製造することができて、合成樹脂などの樹脂材料に配合した際には従来よりも強度を大きく向上させることができる樹脂材料強化材の製造方法と、樹脂材料強化材とを提供することを目的とする。さらに、本発明は、当該樹脂材料強化材で強化された繊維強化樹脂材料を製造する方法を提供することを目的とする。
水とナノセルロースを含む微小セルロース繊維と脂肪酸類で表面処理した充填材とを剪断力を加えながら混合する工程と、混合物を乾燥する工程と、乾燥後の固形分を粉砕する工程とを含む樹脂材料強化材の製造方法によって、上記の課題を解決する。以下、樹脂材料強化材を単に強化材と称することがある。
また、水と微小セルロース繊維と脂肪酸で表面処理した充填材とを剪断力を加えながら混合する工程と、混合物を乾燥しながら固形分を粉砕する工程とを含む樹脂材料強化材の製造方法によっても、上記の課題を解決することができる。前記樹脂材料強化材を樹脂材料に配合する工程をさらに行うことで、繊維強化樹脂材料を製造することができる。
充填材の配合量は、重量比で、微小セルロース繊維の0.3〜12倍量とすることが好ましい。このような重量比で得た強化材を樹脂材料に配合することで、引張弾性率と最大引張応力値との両方においてバランスのとれた繊維強化樹脂材料を得ることができる。
微小セルロース繊維を乾燥させる過程において微小セルロース繊維が凝集するのを防止して容易に樹脂材料強化材を製造することができる。樹脂材料強化材を樹脂材料に配合した際には従来よりも樹脂材料の強度を大きく向上させることができる。
気流式乾燥機を使用して乾燥及び粉砕を行う例を示した概略図である。 実施例1に係る試験片のマイクロスコープ写真である。 比較例2に係る試験片のマイクロスコープ写真である。 比較例3に係る試験片のマイクロスコープ写真である。 比較例4に係る試験片のマイクロスコープ写真である。 比較例6に係る試験片のマイクロスコープ写真である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態の製造方法は、以下の工程を含む。すなわち、水とナノセルロース繊維を含む微小セルロース繊維と脂肪酸類で表面処理した充填材とを剪断力を加えながら混合する工程、混合物を乾燥する工程、乾燥後の固形分を粉砕する工程とを含む。本実施形態では、これらの工程を記載した順に行う。
微小セルロース繊維は、ナノセルロース繊維を含む。微小セルロース繊維は、公知の種々の方法により得られたものを使用することが可能である。例えば、高圧ホモジナイザー法、マイクロフリュダイザー法、グラインダー摩砕法、凍結粉砕法、強剪断力混練法、ボールミル粉砕法など公知の方法により製造したものを使用することができる。これらの方法では、パルプやコットンを原料として、物理的にセルロースを開繊して微細化する。物理的処理と化学的処理を組み合わせたTEMPO酸化法により製造したものを使用してもよい。また、SEM観察で測定した繊維幅が2〜800nmである市販のナノセルロース繊維を使用してもよい。微小セルロース繊維の繊維幅は、2〜800nmであることが好ましく、2〜400nmであることがさらに好ましい。
水は工水、水道水、蒸留水などを使用することができる。不純物の少ない蒸留水を使用することが好ましい。物理的な粉砕を湿式で行う場合は、微小セルロース繊維は水に分散した状態で得られる。市販のナノセルロース繊維も水に分散した状態で提供されることが多い。その水を分散媒としてそのまま利用してもよい。
脂肪酸類で表面処理した充填材としては、脂肪酸、脂肪酸塩、及び脂肪酸エステルのうちの1種以上の化合物で表面処理した充填材を使用することが好ましい。例えば、充填材と水とを混合して得たスラリーを50〜70℃程度に加熱しながら撹拌し、そこに脂肪酸又は脂肪酸塩を投入してさらに撹拌する。これをプレスして脱水後、乾燥したものを使用することができる。充填材は、脂肪酸又は脂肪酸塩に加えて、その他の成分で処理したものであってもよい。その他の成分としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸、及び不飽和脂肪酸のいずれでもよいが、不飽和脂肪酸は酸化して変質しやすいため、飽和脂肪酸を使用することが好ましい。脂肪酸の炭素数が小さいと、臭気が強くなる。このため脂肪酸の炭素数は6以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。炭素数が大きいと融点が高くなるため、炭素数は30以下であることが好ましく、24以下であることがより好ましい。脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸などが挙げられる。脂肪酸塩としては、例えば、上記の脂肪酸のナトリウム塩や上記の脂肪酸のカリウム塩が挙げられる。
水とセルロース繊維と脂肪酸類で表面処理した充填材とを混合する際には剪断力を加えながら湿式で混合する。乾式で混合すると微小セルロース繊維が空気中に拡散してしまう。湿潤な状態で混合することによって微小セルロース繊維が空気中に拡散して歩留まりが低下することを防ぐことができる。そして、剪断力を加えることによってセルロース繊維と充填剤とが均一に混ざり合う。剪断力を加えることによって、セルロース繊維と充填剤とは、相互に物理的に結合して一体化すると推測される。剪断力を加えながら混合するには、ボールミル、マスコロイダー等の石臼型のミル、ホモジナイザーなどを使用して混合すればよい。カウンターコリジョン法を使用してもよい。剪断応力は、積算のエネルギー量が50〜150KJとなるようにすることが好ましく、80〜120KJとなるようにすることがさらに好ましい。
充填材としては、ゴム若しくはプラスチックなどの合成樹脂材料の成型体に配合される充填材や、塗料などの合成樹脂組成物に配合される充填材を使用することができる。例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノライト、酸化チタン、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
充填材の粒径は、微小セルロース繊維の繊維幅と同程度とすることで、混合工程において充填材と微小セルロース繊維とを均一に混合させることが可能になる。これにより、樹脂材料に配合した際に、樹脂材料の強度をさらに高めることが可能である。充填材の平均粒径は、2〜100μmの範囲内であることが好ましく、2〜50μmの範囲内であることがさらに好ましい。充填材の平均粒径はレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径をいう。
乾燥工程では、混合物の含水率を低下させる。乾燥する方法としては、例えば、任意の容器に剪断・混合後の混合物を容れて、当該容器を温風乾燥機内に収納しておく方法が挙げられる。温風乾燥機に替えて真空乾燥器を使用してもよい。真空乾燥器を使用すれば、沸点を降下させてより短時間で含水率を低下させることができる。
本実施形態の方法で乾燥させた樹脂材料強化材は、手で力を加えれば簡単に解すことができる程度の硬さである。したがって、粉砕後の固形分を粉砕する方法は特に限定されない。例えば、ピンミル、ローラーミル、ハンマーミルなどの装置を使用して簡単に粉砕することが可能である。任意の方法で粉砕することで粉末状の樹脂材料強化材を容易に得ることが可能である。
充填材の配合量は、重量比で、微小セルロース繊維の0.3〜12倍量とすることが好ましい。すなわち、充填材の質量/微小セルロース繊維の質量=0.3〜12であることが好ましく、0.8〜6であることがより好ましく、0.8〜3.5であることがさらに好ましい。これにより、引張弾性率と最大引張応力値との両方において優れる繊維強化樹脂材料を得ることができる。
上記の実施形態においては、混合物を乾燥する工程と、乾燥後の固形分を粉砕する工程とを別々に行う。混合物を乾燥する工程と、固形分を粉砕する工程とは同時に行ってもよい。例えば、図1に記載したような気流式乾燥機1を使用することで乾燥と粉砕とを同時に行うことができる。
図1の気流式乾燥機1は、高温に加熱された気体の供給部11と、乾燥前の処理物の投入部12と、供給部11及び投入部12に接続されており、内部に処理物と高温に加熱された気体を流通させる環状管13と、管13において乾燥加熱されて粉化された処理物を排出する排出部14とからなる。
剪断力を加えて混合した水と微小セルロース繊維と脂肪酸類で表面処理した充填材の混合物を投入部12から管13内に供給すると、当該混合物は高温に加熱された気体と撹拌されながら管13内を循環して排出部14に搬送される。この過程で湿潤な混合物は乾燥されて粉体となる。排出部14を構成する排出菅から排出された粉末状の樹脂材料強化材は、例えばサイクロン15及びバッグフィルター16で回収することができる。
さらに別の実施形態としては、加熱部を備える粉砕機を使用してもよい。例えば、加熱ジャケットを加熱部として備えるボールミルを使用することで、剪断・混合後の混合物を乾燥しながら粉砕することが可能である。
上記実施形態の樹脂材料強化材は、種々の樹脂材料に配合することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、天然ゴムや合成ゴムなどのエラストマーに配合することで、比重をそれほど増大させずに強度を向上させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〔実施例1〕
ペースト状の微小セルロース繊維に対して、脂肪酸で表面処理した充填材を、重量比で3倍量投入し、固形分が7質量%となるように蒸留水を添加した。この混合物をフリッチュ社 遊星型ボールミル 型番.P-5/4 クラシックラインのポットに直径20mmで23.88gのジルコニアボール25個と共に投入して、150rpmで20分間剪断力を加えながら混合した。微小セルロース繊維は、モリマシナリー株式会社のセルロースナノファイバー(LCNF−45)を使用した。この微小セルロース繊維は、水と微小セルロース繊維との混合物であり、含水量は90質量%であり、ペースト状である。SEM観察で測定した繊維幅は50から300nmである。脂肪酸で表面処理した充填材は、白石工業株式会社の白艶華CCを使用した。この充填材は、脂肪酸で表面処理をした炭酸カルシウムであって、レーザー回折・散乱法によって測定した平均粒子径は21.1μmである。充填材は2次凝集体となっているためか、カタログ値よりも粒径が大きい。
剪断力を加えながら混合した後の混合物を耐熱皿に移して、その耐熱皿をアドバンテック東洋株式会社の温風乾燥機(型番DRM620TC)にいれて、50℃で混合物が板状になるまで乾燥させた。板状の混合物は、容易に手で折ることが可能であり、指の間で擦ると容易に砕ける程度の硬さであった。
上記の板状の混合物を、株式会社カワタのスーパーミキサー(型番SMV-20)で粉砕して、粉末状の樹脂材料の強化材を得た。撹拌羽根の回転速度は1800RPMとした。
[実施例2ないし実施例5]
脂肪酸で表面処理した充填材の平均粒子径を表1の実施例2ないし5の該当欄に記載のように変更した点以外は実施例1と同様にして実施例2ないし実施例5に係る樹脂強化材を製造した。実施例2ないし5の充填材は、いずれも脂肪酸で表面処理をした炭酸カルシウムである。具体的には、実施例2では白石工業株式会社製の白艶華CCRを使用し、実施例3では神島化学株式会社製のカルシーズPL10を使用し、実施例4では白石工業株式会社製のVigot10を使用し、実施例5では白石工業株式会社製のVigot15を使用した。レーザー回折・散乱法によって測定した平均粒子径は、表1に記載した通りである。
[実施例6ないし実施例12]
脂肪酸で表面処理した充填材の平均粒子径を13.3μmに変更し、微小セルロース繊維に対する脂肪酸で表面処理した充填材の配合量を表1の実施例6ないし実施例12の該当欄に記載したように変更した。これ以外は実施例1と同様の方法で実施例6ないし実施例12に係る樹脂材料強化材を製造した。
[実施例13ないし実施例16]
実施例13では、脂肪酸で表面処理した充填材として、平均粒径が41.9μmであるタルク(和光純薬株式会社製、209-00015)を使用した。実施例14では脂肪酸で表面処理した充填材として、平均粒径が15.7μmのタルク(和光純薬株式会社製、202-18251)を使用した。実施例15では脂肪酸で表面処理した充填材として、平均粒径が10.8μmのタルク(和光純薬株式会社製、205-18241)を使用した。実施例16では脂肪酸で表面処理した充填材として、平均粒径が31.4μmのシリカ(株式会社和光純薬株式会社製、196-08295)を使用した。これらの実施利例における粒径は、レーザー回折・散乱法による。いずれのタルク及びシリカもステアリン酸で表面処理されている。具体的には、以下のようにして表面処理を行った。タルク又はシリカに、水を加えてスラリー状にして、80℃で湯煎をしながらこのスラリーにステアリン酸ナトリウムを加えて、30分間撹拌した後、濾紙にて脱水した。
[比較例1ないし比較例7]
比較例1は、樹脂材料強化材を何も加えずに後述の方法にしたがってポリプロピレンシートを作製した。比較例2では、脂肪酸で表面処理した充填材や蒸留水は加えずに、実施例1と同じペースト状の微小セルロース繊維のみを実施例1と同様の条件で乾燥し、剪断力を加えながら時間をかけて粉砕処理を行って粉末状の樹脂材料強化材を得た。比較例3では、実施例1と同じペースト状の微小セルロース繊維にステアリン酸ナトリウムと蒸留水とを固形分濃度が7質量%となるようにして表3の割合で混合し、その後、実施例1と同様の方法で乾燥後、剪断力を加えながら時間をかけて粉砕処理を行って粉末状の樹脂材料強化材を得た。
比較例4では、実施例1と同じペースト状の微小セルロース繊維に脂肪酸で表面処理していない炭酸カルシウムと蒸留水とを固形分濃度が7質量%となるようにして表3に記載した割合で混合し、その後、実施例1と同様の方法で乾燥した。乾燥した混合物を剪断力を加えながら時間をかけて粉砕して粉末状の樹脂材料強化材を得た。脂肪酸で表面処理していない炭酸カルシウムは、白石工業株式会社の白艶華PZを使用した。この充填材は、レーザー回折・散乱法により測定した平均粒径が9.7μmである。
比較例5では、実施例1と同じペースト状の微小セルロース繊維に脂肪酸で表面処理していない炭酸カルシウムと、ステアリン酸ナトリウムと、水とを固形分濃度が7質量%となるようにして表3に記載の割合で混合し、その後、実施例1と同様の方法で乾燥した。乾燥した混合物を実施例1と同様の方法で粉砕して粉末状の樹脂材料強化材を得た。脂肪酸で表面処理していない炭酸カルシウムは、比較例4と同じものを使用した。
比較例6では、後述するプラッスチックフィルムの作製に際して、加熱混練して溶融させたポリプロピレンに対して、まず実施例6と同じ脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウムを混合した。その後、微小セルロース繊維の固形分が10質量%で水分が90質量%である実施例1と同じ微小セルロース繊維の水分散液を乾燥後粉砕したものをポリプロピレンに混合して混錬後、押し出した。この混練材を使用して後述の方法でポリプロピレンフィルムを作製した。
比較例7では、実施例1と同じペースト状の微小セルロース繊維に脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウムと、蒸留水とを固形分濃度が7質量%となるようにして表3に記載の割合で混合し、その後、実施例1と同様の方法で乾燥した。乾燥した混合物を剪断力を加えながら時間をかけて粉砕して粉末状の樹脂材料強化材を得た。脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウムは、実施例6と同じものを使用した。
比較例2、比較例3、比較例4、比較例6の方法で製造した樹脂材料強化材は、凝集によって非常に硬くなっていたため、ボールミルによって剪断力をかけながら時間をかけて粉砕した。しかしながら、比較例2、比較例3、比較例4、比較例6の方法では均一な粒度分布を有する樹脂材料強化材は得られなかった。
一方、実施例1ないし実施例16及び後述する実施例17の方法では、ナノセルロース繊維と水との混合物を乾燥させた後の固形分は手で簡単に折ったり、指で簡単に粉状にできる程度の強度であった。このため、粉砕する工程にそれほど長い時間を要せず、また、樹脂補強材の粒度分布も比較例に比べて均一であった。
[プラスチックフィルムの作製]
合成樹脂としてポリプロピレンのペレットを混練機に投入して、加熱混練して溶融したところで、ポリプロピレン100重量部に対して1重量部の相溶化剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(化薬アクゾ株式会社、カヤブリッド006PP)を投入し、その後各実施例及び各比較例に係る樹脂材料強化材を投入した。投入量は、ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、及び樹脂材料強化材を含む全重量に対して樹脂材料強化材が5質量%となるように各実施例及び各比較例に係る樹脂材料強化材を投入した。ただし、比較例6に関しては、樹脂材料強化材を投入する前に、予めポリプロピレン100重量部に対して実施例1と同じ脂肪酸で表面処理した充填材を15重量部配合してある。そして、比較例7に関しては、ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、及び樹脂材料強化材を含む全重量に対して樹脂材料強化材が15質量%となるように炭酸カルシウム粉末を投入した。その後、さらに混錬して押出した。
上記のそれぞれの混練材4gをプレス機にセットして、180℃、15MPaで2分間プレス後、すぐに冷却してポリプロピレンシートを作製した。このプラスチックシートをゴムマットに乗せ、その上から試験片打抜刃(引張 3号形 ダンベル状)を用い手動式プレス機で試験片を切り出し試験片を製作した。
[実施例17、比較例8及び比較例9]
比較例8は、樹脂材料強化材を配合せずに、ポリエチレンのみで上述の試験片を製造した例である。比較例9は、微小セルロース繊維を配合せずに、表4に記載された割合で、蒸留水と、実施例6と同じ脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとを配合して樹脂材料強化材を製造し、当該樹脂繊維補強材をポリエチレン樹脂に混合押し出して試験片を製造した例である。比較例9では、ポリエチレンに樹脂材料強化材を配合して後述の試験片を製造した。
[引張弾性率、最大引張応力]
株式会社島津製作所 オートグラフ AGS-5kNGによって各試験片の最大引張応力値(降伏点における応力値)及び引張弾性率を求めた。条件は以下のとおりである。
試験片の断面積:1.65mm
試験片の標線間距離:20mm
試験速度:5mm/min
弾性率計算の為の2点の規定されたひずみ値:0.0005,0.0025
キーエンス株式会社 マイクロスコープ VHX-1000を使用して、500倍で各試験片を観察して、樹脂強化材の分散状体を観察した。表1ないし表4において、分散状体のよかったものには〇を付し、分散状体の悪かったものには×を付した。
各実施例の弾性率及び最大引張応力の数値から明らかなように、実施例1ないし実施例12の方法で製造した樹脂強化材をポリプロピレンフィルムに配合すると、引張弾性率及び最大引張応力共に向上する。比較例5の方法では、脂肪酸と表面を脂肪酸で処理していない充填材と蒸留水とを別々に配合した。そして、実施例1ないし実施例12の方法で製造した樹脂材料強化材を配合した樹脂材料の最大引張応力値と引張弾性率は、比較例5のそれよりも優れている。このことから、脂肪酸と脂肪酸で表面処理していない充填材とを別々に混合しても、強度はそれほど向上しないことがわかる。
比較例6は、樹脂材料に脂肪酸で表面処理した充填材を予め樹脂材料に対して混合しておき、その後、微小セルロース繊維を乾燥、粉砕したものを樹脂材料に配合した例である。比較例6では、微小セルロース繊維の分散性が損なわれていた。このことから、微小セルロース繊維を良好に分散させるには、脂肪酸で表面処理された充填材と、微小セルロース繊維とを剪断力を加えながら湿式で混合する工程が重要であることがわかる。
実施例13ないし実施例16から、充填材を脂肪酸で表面処理されたタルクに変更しても樹脂材料の引張弾性率と最大引張応力値とが向上することがわかる。
実施例17から、樹脂材料強化材をポリエチレンに配合した場合も、引張弾性率と最大引張応力値が向上することがわかる。
本発明の方法で製造した樹脂材料補強材を樹脂材料に対して配合することで、最大引張応力値や引張弾性率などの強度を向上させることができる。樹脂材料補強材は、高い引張弾性率や最大引張応力値が必要となる自動車部品、家庭電化製品、日用品などの樹脂成形体に好適に利用することができる。また、樹脂材料補強材は、高い引張弾性率や最大引張応力値が必要なゴムや劣化により発生する割れを軽減する目的で油性塗料に好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. 水とナノセルロース繊維を含む微小セルロース繊維と脂肪酸類で表面処理した充填材とを剪断力を加えながら混合する工程と、
    混合物を乾燥する工程と、
    乾燥後の固形分を粉砕する工程とを含む樹脂材料強化材の製造方法。
  2. 水と微小セルロース繊維と脂肪酸類で表面処理した充填材とを剪断力を加えながら混合する工程と、
    混合物を乾燥しながら固形分を粉砕する工程とを含む樹脂材料強化材の製造方法。
  3. 充填材の配合量は、重量比で、微小セルロース繊維の0.3〜12倍量である請求項1又は2に記載の樹脂材料強化材の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載された方法で得られた樹脂材料強化材を樹脂材料に配合する工程を含む繊維強化樹脂材料の製造方法。
  5. 微小セルロース繊維と、脂肪酸類で表面処理した充填材とを含有する樹脂材料強化材であって、
    充填材の含量は、重量比で、微小セルロース繊維の0.3〜12倍量である樹脂材料強化材。
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