JP7410482B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
現在、地球温暖化に対する自動車の影響は深刻な問題となっている。世界の自動車は7億台であり、2030年には14億台に増加すると報告されている。日本では炭酸ガスの約20%が自動車から排出されている。自動車から排出される炭酸ガスを低減するためには、車体の軽量化が有効であり、10%の車体軽量化で10%の燃費向上が実現できるといわれている。自動車部材の樹脂化は、軽量化と生産性向上に大きく貢献しており、近年、金属部品を樹脂部品に置き換える取り組みが一段と加速している。
しかし、樹脂は強度が低く、熱膨張も大きいため、金属の代替とするには限界がある。このため、軽量、高強度・高剛性、低熱膨張等の優れた特性を有する強化材と樹脂を複合化した複合材料の開発が進められている。
従来からガラス繊維はポリオレフィン等の樹脂の強化剤として幅広く使用されている。しかし、ガラス繊維は混練プロセスにおいてガラス繊維の繊維長が著しく短くなり、リサイクル時に樹脂強化特性を著しく低下させたり、サーマルリサイクル時にガラス繊維が燃焼炉の炉材を損傷させたりする等のことから、リサイクルに不向きな複合材料で、改善が強く望まれている。また、ガラス短繊維充填樹脂は高弾性率・高強度複合材料として広く用いられているが、ガラス繊維が成形時に一方向に配向する。このことから、樹脂流動方向とその90°方向で力学特性に大きな異方性が生じてしまうこと、成形品のそりがでやすいこと、成形品の外観が悪いこと、ガラス繊維の比重が大きいこと等の問題があり、自動車プラスチック部品として改善が強く望まれている。
一方、セルロースナノファイバー(CNF)などのナノ繊維はガラス繊維の欠点を総て補う夢の材料として、これを充填した非常に多くのコンポジットに関する研究開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、繊維状ではなく板状の層状鉱物(板状粒子)であるタルク粒子も古くから注目されている。ポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)等の樹脂の強化剤として、タルクの板の粒径やアスペクト比を制御して樹脂に充填する研究も広く行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開2016-176052号公報 特開2011-074130号公報
しかし、セルロースナノファイバーを充填した樹脂であってもガラス繊維やカーボン繊維を充填した樹脂に匹敵する高弾性率、高強度の複合材料は未だに開発されていない。また、一般的なタルクを充填した樹脂では高弾性率で高強度にはなるが、容易に破断し、衝撃に弱い、硬くてもろい複合材料となってしまう。
以上から、本発明は、高弾性率であり、かつ、引張強度及び引張破断伸びにも優れる樹脂成形体を作製できる樹脂組成物の提供を目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、高弾性率を得る観点から板状粒子に着目し、また、優れた引張強度及び引張破断伸びを得る観点からバイオマスナノファイバーに着目した。しかし、これらを単に樹脂に配合しても、それぞれの特性が得られるものではなく、むしろ各材料の欠点が出てしまう。そこで、本発明者らは、まず、ウォータージェット法により板状粒子(例えばタルク粒子)を粉砕して、その板長さ(メジアン径)よりもむしろ板厚(平均厚み)を小さくし、かつ、この板状粒子とともに所定量のバイオマスナノファイバーを樹脂に配合することで上記課題が解決できることを見出した。
特に、上記のような平均粒径に対する平均厚みの小さい板状粒子は高弾性率となるだけではなく、一般タルクに比べ破断ひずみが優れた複合材料となることを見出した。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 板状粒子とバイオマスナノファイバーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記板状粒子の平均厚みが0.50μm以下であり、前記バイオマスナノファイバーの含有量が3.3質量%以下である樹脂組成物。
[2] 前記板状粒子の平均厚みにおける厚みは、樹脂成形体の長さ方向に板状粒子が配向して分散した状態で、前記長さ方向に垂直な断面における断面観察から求めたものである[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記板状粒子の粒度分布測定によるメジアン径が2μm以上である[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記断面観察から求めた前記板状粒子の厚み分布の標準偏差が、0.3μm以下である[2]又は[3]に記載の樹脂組成物。
[5] 前記板状粒子の前記メジアン径と前記平均厚みとの比であるアスペクト比(メジアン径/平均厚み)が7以上である[3]又は[4]に記載の樹脂組成物。
[6] 前記板状粒子がタルク粒子である[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 前記バイオマスナノファイバーがセルロースナノファイバーである[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
本発明によれば、高弾性率であり、かつ、引張強度及び引張破断伸びにも優れる樹脂成形体を作製可能な樹脂組成物を提供できる。
特に、板状粒子であるタルク粒子といった鉱物粒子とバイオマスナノファイバーを含む樹脂組成物は、ガラス繊維等を用いた樹脂組成物とは異なり、マテリアルリサイクル及びサーマルリサイクルの両者に適合した複合材料といえる。
タルク粒子が樹脂中に配向分散した状態を示す試料の断面写真である。
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る樹脂組成物は、板状粒子とバイオマスナノファイバーと熱可塑性樹脂とを含み、板状粒子の平均厚みが0.50μm以下であり、バイオマスナノファイバーの含有量が3.3質量%以下である。
本発明のように、熱可塑性樹脂に板状粒子とバイオマスナノファイバーとを配合する際に、板状粒子の平均厚みを0.50μm以下とし、バイオマスナノファイバーの含有量が3.3質量%以下とすることで、高弾性率であり、かつ、引張強度及び引張破断伸びにも優れる樹脂成形体を作製することが可能となる。
ここで、板状粒子の平均厚みにおける厚みは、樹脂成形体の長さ方向に板状粒子が配向して分散した状態で、その長さ方向に垂直な断面における断面観察から求めたものであることが好ましい。
[板状粒子]
(本実施形態に係る板状粒子)
本実施形態に係る板状粒子は、板状粒子の平均厚みが0.50μm以下であり、特に、樹脂成形体の長さ方向に板状粒子が配向して分散した状態で、長さ方向に垂直な断面における断面観察から求めた板状粒子の厚み分布における板状粒子の平均厚みが0.50μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましい。平均厚みが0.50μm以下であることで、良好な引張破断伸び等が得られる。板状粒子の平均厚みの下限は特に限定されないが、実際上は0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
板状粒子の粒度分布測定によるメジアン径は、2μm以上であることが好ましく、3~15μmであることがより好ましく、3~13μmであることがさらに好ましく、なかでも3~12μmであることが好ましい。2μm以上であることで、板状粒子の板面の大きさが十分で、成形体とした際の弾性率を良好にすることができる。その結果、引張強度が良好となる。板状粒子のメジアン径は後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
既述の断面観察から求めた板状粒子の厚み分布の標準偏差は、0.3μm以下であることが好ましく、0.01~0.25μmであることがより好ましく、0.02~0.2μmであることがさらに好ましい。標準偏差が0.3μm以下であると、板状粒子の板面が大きく厚みの小さい粒子が増えて、樹脂組成物の成形体とした際に引張破断伸びを良好に維持できる。
また、断面観察から求めた厚み分布の標準偏差の比(標準偏差/平均厚み)である変動係数は0.5以下であることが好ましく、0.03~0.43であることがより好ましく、0.07~0.40であることがさらに好ましい。変動係数が、0.5以下であることで板状粒子の板面が大きく厚みの小さい粒子が増えて、樹脂組成物の成形体とした際に引張破断伸びを良好に維持できる。
ここで、既述の断面観察について説明する。まず、当該断面観察によれば、分散した板状粒子の各断面の存在が確認でき、これらの厚みを測定して求めることで、より現実的な厚み情報が得られる。
そして、板状粒子を含有し引張強度、引張破断伸びに優れる樹脂を調製する場合、その板状粒子の形状を設計する際には、板状粒子の板面の長さを維持したまま、厚みを0.50μm以下まで薄くすることが重要であるとの知見を得た。しかし、板状粒子は微粒化するにつれ粉々になり、板面の長さも粒子の厚みも共に小さくなってアスペクト比は小さくなり、結果として引張強度、引張破断伸びの低減を引き起こす。
そこで、本実施形態では、平均厚みを0.50μm以下としながらもメジアン径が大きい、すなわち板面が大きく、好ましくは厚みの標準偏差を規定することで薄厚の板状粒子とし、引張強度、引張破断伸びに優れる樹脂成形体を作製できるようになった。
板状粒子の厚みの測定方法として、板状粒子を単に走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察して算出する方法を開示している文献がある。しかし、この方法では、板状粒子が斜めになって側面を正確に表していない状態であったり、厚みの測り易いものを選んでしまい測定対象が偏ってしまったり、測定数が数点ほどしかなかったりといった場合が多く、厚み精度という観点では信頼性が低い。すなわち、実際の厚みに近い状態を考慮して、その分布等を意図的に制御することは非常に困難と考えられる。
一方で、本態様に係る断面観察では、後述するような手法によるため、樹脂成形体の長さ方向に板状粒子の長さ方向が配向する。そのため、樹脂成形体の長さ方向に垂直な断面は、板状粒子の厚さ方向の断面となる。したがって、この板状粒子の断面の厚みを測定してその分布を求めることで、より現実的な平均厚みが得られる。そして、この平均厚みが0.50μm以下であることで、板状粒子の実際の厚みが考慮されることになる。さらに、粒度分布測定によるメジアン径が2μm以上であることや、断面観察から求めた厚み分布の標準偏差が0.3μm以下であることで、引張破断伸びに優れる樹脂成形体を作製できる樹脂組成物が得られる。
ここで、断面観察から厚みを求めるための厚み測定算出方法を説明する。
(1)まず、ポリプロピレン樹脂に15質量%となるように板状粒子を配合して、樹脂組成物を作製する。
(2)作製した樹脂組成物を射出成型して、試験片(樹脂成形体)を作製する。試験片は、板状粒子断面を200個以上測定できるような形状であれば特に限定されない。
(3)当該試験片を液体窒素中に10分以上載置して、この液体窒素中で当該試験片の中央部付近を長手方向に対して垂直に破断する。
(4)液体窒素から破断した試験片を取り出し、破断面をSEM観察できる大きさに調整し、その破断面(断面)をSEMで観察する。板状粒子がタルク粒子である場合のSEM写真の例を図1に示す。図1に示されるように、タルク粒子は試験片の長さ方向に配向しており、その厚さ方向の断面が非常に明確に確認できる。
(5)断面に存在する板状粒子の最大厚みを、使用したSEMに付属する計測ソフト等により200個計測し、体積基準の粒度分布から板状粒子の平均厚み、厚み分布の標準偏差、変動係数等を求める。
板状粒子のメジアン径と平均厚みとの比であるアスペクト比(メジアン径/平均厚み)は7以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、16以上であることがさらに好ましい。また、35以下であることが好ましく、30以下がより好ましい。アスペクト比が7以上であることで板状粒子の厚みに対する板面の割合が大きくなり、樹脂組成物の成形体とした際に引張強度を向上させることができる。
板状粒子はその用途に応じて、公知の方法で表面処理を施してもよい。表面処理のための表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等が挙げられる。例えば、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤で表面処理された板状粒子は、配合する樹脂との親和性が向上する。そして、その樹脂組成物の成形体は、引張強度や引張破断伸びが優れるだけでなく、衝撃強度、表面硬度等も優れたものになる。
(板状粒子の製造方法)
本実施形態に係る板状粒子の製造方法は、板状粒子の原料を粉砕する粉砕工程と、粉砕後の板状粒子の平均厚みを測定して検査する検査工程とを含むことが好ましい。板状粒子の平均厚みは既述のとおり、樹脂成形体の長さ方向に板状粒子が配向して分散した状態で、その長さ方向に垂直な断面における断面観察(既述の断面観察)から求められることが好ましい。
(1)粉砕工程
板状粒子が例えばタルク粒子である場合、タルク粒子となるタルク原料としては、アメリカ産、インド産、オーストラリア産、中国産、パキスタン産、ヨーロッパ産等の滑石が挙げられる。
板状粒子の原料を粉砕するための粉砕手段としては、種々の装置を使用することができるが、板状粒子を効率よく得ることを考慮すると、ジェットミルやウォータージェットによる粉砕処理、又はローラーミルによる粉砕後に空気分級機等で分級を行う処理を採用することが好ましい。
ウォータージェットによる粉砕処理としては、最高245MPaに加圧した原料同士を斜向衝突させることにより、分散・粉砕行う湿式微粒化装置を用いることが好ましい。
また、ローラーミルによる粉砕後に空気分級機等で分級を行う場合、当該空気分級機等で0.6μm以上の粗粒子を除去する分級を行うことが望ましい。この場合の粗粉排出量は所望の粒径により適宜設定する。
上記いずれの処理でも、板状粒子の平均厚みが0.50μm以下になるように粉砕の条件を設定することが好ましい。
一方、粉砕処理としてビーズミルによる処理があるが、本発明では採用しないことが好ましい。ビーズミルによる処理では、ランダムに粉砕が進み厚みやアスペクト比を制御できず、丸まった形状となって本実施形態に係る板状粒子が得られない。
(2)検査工程
粉砕後の板状粒子は、その平均厚みを測定して検査する検査工程へと送られる。厚みを測定する方法は既述のとおりである。平均厚みが0.50μm以下でなかったり、断面観察から求めた厚み分布の標準偏差が0.3μm以下でなかったりした場合は、さらに(1)の粉砕工程を再度施す等して、本実施形態に係る板状粒子を採取する。
なお、製造された本実施形態に係る板状粒子の純度は、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがさらに好ましい。純度は、蛍光X線分析により側定することができる。
以上のようにして得られた本実施形態に係る板状粒子は、引張強度、引張破断伸びに優れる樹脂成形体を作製するための樹脂組成物に好適に使用することができる。
なお、板状粒子としては、タルク粒子、カオリン粒子、マイカ粒子等が挙げられ、フィラー表面の疎水性の観点から、タルク粒子であることが好ましい。
本実施形態に係る板状粒子の含有量は、樹脂組成物中の固形物の全質量基準で、5~40質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。5~40質量%であることで、複合樹脂の弾性率、強度と破断伸びのバランスを取ることができる。
[バイオマスナノファイバー]
(本実施形態に係るバイオマスナノファイバー)
本実施形態に係るバイオマスナノファイバーは、力学的な補強効果の向上に寄与し、例えば、樹脂成形体とした際に引張強度や曲げ強度等を向上させる。
本実施形態に係るバイオマスナノファイバーの含有量は、樹脂組成物中の固形物の全質量基準で、3.3質量%以下であり、0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~1.5質量%であることがより好ましく、0.5~1.2質量%であることがさらに好ましい。バイオマスナノファイバーの含有量が3.3質量%を超えると、バイオマスナノファイバーが樹脂組成物中で凝集体を生成しやすくなり、本来のバイオマスナノファイバーのフィラーとしての効果である引張強度向上、引張破断伸び向上などの補強効果が低下してしまう。
バイオマスナノファイバーの平均径は、補強効果の向上の観点から、5~100nmであることが好ましく、10~80nmであることがより好ましい。また、平均長さは、補強効果の向上の観点から、0.3~50μmであることが好ましく、1~30μmであることがより好ましい。バイオマスナノファイバーの平均径や平均長さは、適切な倍率で撮影された電子顕微鏡写真により測定することができる。
バイオマスナノファイバーにおけるアスペクト比(平均長さ/平均径)は、樹脂組成物中での分散性および補強効果の向上の観点から、50以上であることが好ましく、50~1000であることがより好ましい。
バイオマスナノファイバーの主原料となるバイオマスとしては、セルロース、キチン、キトサン等が挙げられる。したがってバイオマスナノファイバーとしては、セルロースナノファイバー、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバーが挙げられ、コストの観点から、セルロースナノファイバーが好ましい。
セルロースナノファイバーは、例えば、植物や木材の細胞壁を構成する繊維状のセルロースを、粉砕、解繊することで得ることができる。キチンナノファイバーは、例えば、カニやエビといった各種甲殻類の殻を原料とし、これらを粉砕、解繊することで得ることができる。キトサンナノファイバーは、例えば、カニやエビといった各種甲殻類の殻を原料とし、これらを粉砕、アルカリ処理による脱アセチル化したものを解繊することで得ることができる。
市販のバイオマスナノファイバーとしては、(株)スギノマシン製のBiNFi-sシリーズ、BiNFi-sIMa-10002、BiNFi-sBMa-10002、BiNFi-sWMa-10002、BiNFi-sAMa-10002、BiNFi-sFMa-10002(以上、セルロースナノファイバー)、BiNFi-sSFo-20002(キチンナノファイバー)、BiNFi-sEFo-08002(キトサンナノファイバー)等が挙げられる。
バイオマスナノファイバーの製造方法は特に限定されないが、バイオマスの分散流体を高圧噴射して衝突用硬質体等に衝突させて、バイオマスを湿式粉砕することによって、バイオマスナノファイバーを製造することが好ましい。バイオマスは、繊維状、粒状などの任意の形態であってもよい。
バイオマスを高圧噴射処理すると、セルロース、キチン、キトサンは繊維の長さを保ったまま繊維同士の絡まりがほどけて細くなっていくが、噴射圧力や処理回数などの処理条件を変えることで、分子量を低下させることもできる。
以下、セルロースナノファイバーの製造方法を例に本実施形態に係るバイオマスナノファイバーの具体的な製造方法を説明する。
(セルロースナノファイバーの製造方法)
(1)セルロースナノファイバーのスラリー液の調製
セルロースナノファイバーの原料セルロースとしては、結晶形がI型のセルロース(セルロースI型)である木材パルプや、コットン、リンター、麻、バクテリアセルロース、柔細胞繊維等の非木系パルプ、結晶形がII型のセルロース(セルロースII型)である溶解剤としてN一メチルモルホリンN一オキシド/水溶媒、銅アンモニア錯体、水酸化ナトリウム/二硫化炭素を用いた再生セルロース繊維等が用いられる。セルロースII型は、分子量および結晶化度が低下しているため、セルロースI型よりも繊維が切断されやすく、また、耐熱性も低いので、特に好ましい材料としては、セルロースI型である。セルロースを機械粉砕する方法としては、パルプをビーターやリファイナーで所定の長さとして、高圧ホモジナイザー、グラインダー、衝撃粉砕機、ビーズミルなどを用いて、フィブリル化または微細化することで機械粉砕する方法が知られている。
本例では、セルロースナノファイバーは、直径0.1~0.8mmの噴射ノズルを介して、100~245MPaの高圧噴射処理により、セルロース分散流体を衝突用硬質体に衝突させるか、または互いに噴射衝突させることで解繊することが好ましい。
この解繊手法は、市販されている高圧ホモジナイザーのように、分散流体を高圧低速で狭い流路を通過させ、解放時に均質化させるせん断力だけではなく、分散流体を衝突用硬質体に衝突させることによる衝突力や、キャビテーションを利用した、高圧での連続処理ができる。これらウォータージェット(WJ)のせん断力、衝突力、キャビテーションを利用した解繊手法をWJ法と定義する。また、衝突処理を1回行うことを1パスとして、均一なナノファイバーを得るには、好ましくは1~30パス、さらに好ましくは5~20パスの繰り返し衝突を行う必要がある。
オリフィスノズルからの吐出流は、440~700m/sの高速噴流となるが、その速度までに加速されるオリフィス内では、高い剪断力が発生する。ここで使用するオリフィスノズルの厚みを0.4mmと極端に薄くすると、圧力エネルギーのほぼ100%を噴射の速度エネルギーに変換できる。すなわち、オリフィス内部では、0.1~0.8mmという狭い隙間と、440~700m/sの超高速の状態となり、高い剪断力を得るための構成要素が満たされている。なお、[剪断力]=[スラリーの粘度]×[速度]/[隙間]と定義できる。
440~700m/sの高速噴流(高圧噴射状態)では、キャビテーション気泡が発生し、この気泡が消滅することによって強い衝撃力が発生する。オリフィスノズルの下流側に衝撃増強領域を設けることで、キャビテーションを効率的に発生させることができる。
上記方法により、セルロースナノファイバーのスラリー液が得られるが、当該方法では酸やアルカリを使用せずにセルロースナノファイバーが得られるため、セルロースの分子鎖へのダメージが少なく、結晶化度の高いセルロースナノファイバーが得られる。
(2)セルロースナノファイバー乾燥体の調製
WJ法で得られた1~30質量%セルロースナノファイバーのスラリー液を乾燥速度0.002(kg/m・s)以上になる条件で乾燥しセルロースナノファイバー乾燥体を得ることが好ましい。このときセルロースナノファイバーのスラリー液に所定の有機成分を十分に撹拌混合し、乾燥を行うことが好ましい。混合方法としては、マグネチックスターラーや、プロペラ式の撹拌装置、ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機などが挙げられる。
上記有機成分は、水、及びエタノールやメタノール等の水可溶性アルコールに溶解可能なアニオン系、ノニオン系界面活性剤及びこれらの混合物であれば良く、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、グリセリン、及びその化合物等が挙げられる。
ステアリン酸は、動物性・植物性脂肪で最も多く含まれる飽和脂肪酸であり、油脂成分として天然に広く分布する。ステアリン酸として、具体的には、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸エステル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸PEG、ステアリン酸PEG-グリセリル、ステアリン酸PG、ステアリン酸アスコルビル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリセリド、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸コレステリル、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸スクロース、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸グリセロール、ステアリン酸イソヘキサデシル、モノステアリン酸グリセロール、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸2-エチルヘキシル、モノイソステアリン酸グリセロール、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
オレイン酸は、具体的には、オレイン酸、無水オレイン酸、オレイン酸エチル、オレイン酸エステル、オレイン酸ブチル、オレイン酸メチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸グリシジル、オレイン酸銅(II)、オレイン酸コレステリル、ジオレイン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸ブチルエステル、オレイン酸プロピルエステル、オレイン酸ジブチルアンモニウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチルエステル、N,N-ジエタノールオレイン酸アミド、N,N-ジエタノールオレイン酸アミド、オレイン酸4-メチルウンベリフェリル、トリオレイン酸トリメチロールプロパン、スルホスクシンイミジルオレイン酸ナトリウム、N,N’-エチレンビスオレイン酸アミド、オレイン酸5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシルなどが挙げられる。
グリセリンは、具体的には、グリセリン、ジグリセリン、PPG-9ジグリセリル、PPG-14ポリグリセリル-2エーテル、ジグリセリンモノカプリレート、POP(9)ポリグリセリルエーテル、POP(14)ポリグリセリルエーテル、POP(24)ポリグリセリルエーテル、POE(13)ポリグリセリルエーテル、POE(20)ポリグリセリルエーテル、POE(30)ポリグリセリルエーテル、POE(40)ポリグリセリルエーテル、ポリグリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、縮合リシノレイン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル、アジピン酸、ジエチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、オクトキシグリセリン、オゾン化グリセリン、シクロヘキシルグリセリン、チオグリセリン、ビスジオレオイルグリセロホスホグリセリン2Na、ヘキシルグリセリン、ポリグリセリン-4、ポリグリセリン-6、ポリグリセリン-10、ポリグリセリン-20、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセライド、アセチル化モノグリセライド、有機酸モノグリセライド、中鎖脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール酸脂肪酸エステルなどが挙げられる。
このような有機成分は、セルロースの乾燥重量の0.05~30質量%含有されていることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましい。0.05~30質量%含有されていることで、セルロースナノファイバーの凝集抑制効果や吸水防止効果が得られ、変色や乾燥不良を抑制することができる。
[熱可塑性樹脂]
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(便宜的に、熱可塑性エラストマーを含む)としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、4-メチルペンテン-1樹脂、ポリブテン-1樹脂、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-4-メチルペンテン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-ヘプテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-4-メチルペンテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコール;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンエーテル;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;液状ポリエステル等を挙げることができる。
上記熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、低結晶性1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリマー系熱可塑性エラストマー、イオン架橋熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物中、バイオマスナノファイバーと板状粒子との質量比(バイオマスナノファイバー/板状粒子)は、それぞれの効果を十分に発揮させる観点から、0.01~0.6であることが好ましく、0.02~0.3であることがより好ましく、0.05~0.2であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、耐候性向上剤、離型剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等の1種または2種以上を含有することができる。また、必要に応じて、本発明の一態様に係る板状粒子以外のフィラーを含有させてもよい。かかるフィラーとしては、炭酸カルシウム、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛等が挙げられる。
さらに、用途によっては、溶媒や分散媒を含有させて液状の樹脂組成物としてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、既述の板状粒子とバイオマスナノファイバーと熱可塑性樹脂とを配合し、公知の方法で混練して製造することができる。例えば、ポリプロピレンへの配合、混練には、一般に使用されている単軸混練押出機や二軸混練押出機等が利用できる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[タルク粒子の製造]
タルク粒の物性等は下記のようにして行った。
(1)タルク粒子の平均厚み、厚み分布の標準偏差等
i)タルク粒子の平均厚み、厚み分布の標準偏差等
まず、ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製プライムポリプロY-400GP)に15質量%となるようにタルク粒子を配合し樹脂組成物を作製した。作製した樹脂組成物を射出成型して、直径13mmで長さ132mmの試験片を作製した。この試験片を液体窒素中に15分間載置し、この液体窒素中で試験片の中央部付近を長手方向に対して垂直に破断した。破断面が長さ方向にほぼ垂直で、平滑面あることを確認した。液体窒素から破断した試験片を取り出し、その破断面(断面)をSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、装置名SU8220、3000倍以上で粒径に応じて最適倍率を選択)で観察し、断面に存在するタルク粒子の最大厚みを、使用したSEMに付属する計測ソフト(マウンテック社製MACVIEW)で200個測定し、体積基準の粒度分布から平均厚みを求めた。また、その粒度分布(ヒストグラム)から厚み分布の標準偏差、アスペクト比(メジアン径/平均厚み)等を求めた。
ii)タルク粒子のメジアン径
レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置((株)島津製作所製SALD-200VER)を使用して粒度分布を測定することにより、体積基準のメジアン径(D50:小粒径側からの累積体積50%における粒径)を求めた。
(タルク粒子A)
タルク原料(パキスタン産)をローラーミルにより粗粉砕した。粗粉砕後、(株)スギノマシン社製の湿式微粒化装置:スターバーストラボによりタルク粒子の平均厚みが0.4μm以下となるように微粉砕し、タルク粒子Aを得た。粉砕後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子Aについて平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
(タルク粒子B)
タルク原料(パキスタン産)をローラーミルにより粗粉砕した。粗粉砕後、ホソカワミクロン(株)製のカウンタジェットミルAFG 710/4によりタルク粒子の平均厚みが0.4μm以下となるように微粉砕した。微粉砕後、(株)村上精機工作所製の横型分級機YACA-400HUTにて粗粉排出量が2~3質量%以下となるように空気分級し、タルク粒子Bを得た。分級後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子Bについて平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
(タルク粒子C)
タルク原料(パキスタン産)をローラーミルにより粗粉砕した。粗粉砕後、ホソカワミクロン(株)製のカウンタジェットミルAFG 710/4によりタルク粒子の平均厚みが0.5μm以下となるように微粉砕した。微粉砕後、(株)村上精機工作所製の横型分級機YACA-400HUTにて粗粉排出量が2~3質量%以下となるように空気分級し、タルク粒子Cを得た。分級後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子Cについて平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
(タルク粒子X)
タルク原料(パキスタン産)をローラーミルにより、タルク粒子の平均厚みが0.5μm超となるように微粉砕し、タルク粒子Xを得た。粉砕後の粉末を蛍光X線分析測定したところタルク純度が93%以上であった(粉砕工程)。粉砕工程を経たタルク粒子Xについて平均厚みを測定した(検査工程)。また、各種物性の測定も行った。平均厚みなどの物性値を下記表1に示す。
Figure 0007410482000001
[セルロースナノファイバーの製造]
(セルロースナノファイバーA)
WJ法で得られた10質量%セルロースナノファイバー(スギノマシン製 FMa-10010重合度200程度)にイオン交換水を加えて終濃度が1質量%になるように、また、オレイン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)を加えて終濃度で0.2質量%になるように調整し、スリーワンモーター撹拌機BLW3000(新東科学製)にて十分に撹拌混合させ、セルロースナノファイバー分散液を調製した。得られた1質量%セルロースナノファイバー分散液を噴霧乾燥装置により入口温度200℃、供給量40ml/minにて噴霧乾燥させ、有機成分を含有したセルロースナノファイバー乾燥体(セルロースナノファイバーA)を得た。
[実施例1~4及び比較例1~4]
下記表2に示す配合割合(質量%)でタルク粒子、セルロースナノファイバー、ポリプロピレン(サンアロマー(株)製 PX600N)を混合した後、ブレンダーを用いて20,000rpmで1分間撹拌混合した。その後、2軸混練機(Xplore Instruments社製)によって溶融混錬を行って樹脂組成物を作製した。
混練条件は、200℃、80rpm、混練時間は5分で射出成型を行い、所定のダンベル片(JISK7113)を得た。得られたダンベル片は、1日以上状態調整後にASTM D638に準じて引張試験を行った。結果を下記表2に示す。
なお、射出成型は、射出成型用金型(ASTM D638 Type I)を用いて行い、それによって得られた成形品をASTM D638に準じて(株)島津製作所製のオートグラフAG-Xplusで引張弾性率、引張強度及び引張破断伸びを評価した。
Figure 0007410482000002


Claims (7)

  1. 板状粒子とバイオマスナノファイバーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物であって、
    前記板状粒子の平均厚みが0.50μm以下であり、
    前記バイオマスナノファイバーの含有量が3.3質量%以下であり、
    前記板状粒子のメジアン径と前記平均厚みとの比であるアスペクト比(メジアン径/平均厚み)が7以上30以下であり、
    前記板状粒子がタルク粒子、カオリン粒子、又はマイカ粒子である樹脂組成物。
  2. 前記板状粒子の平均厚みにおける厚みは、樹脂成形体の長さ方向に板状粒子が配向して分散した状態で、前記長さ方向に垂直な断面における断面観察から求めたものである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記板状粒子の粒度分布測定によるメジアン径が2μm以上である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記断面観察から求めた前記板状粒子の厚み分布の標準偏差が、0.3μm以下である請求項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記バイオマスナノファイバーと前記板状粒子との質量比(バイオマスナノファイバー/板状粒子)が、0.01~0.6である請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記板状粒子がタルク粒子である請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記バイオマスナノファイバーがセルロースナノファイバーである請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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