JP2004263124A - マット用バインダー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸、その無水物及びそれらの低級アルキル(C1〜C3)エステルから選ばれる少なくとも1種を含有する酸成分と、(B)2価アルコールとしてプロピレンオキサイドの平均付加モル数が2〜4モルであるビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分とを縮重合させてなる不飽和ポリエステルを含有するマット用バインダーであって、不飽和ポリエステルの数平均分子量が4,000〜6,000、ピークトップ分子量が10,000〜20,000であるマット用バインダ−、並びに該マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維を結合してなるマット。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マット用基材を構成している繊維を結合するためのマット用バインダー及びそれが用いられたマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック成形体は、バインダーで結合された繊維からなるマット等の補強材に繊維強化プラスチック成形用の液状樹脂(以下、「FRP用樹脂」という)を含浸させ、このFRP用樹脂を硬化させて製造されている。FRP用樹脂は、一般に、不飽和ポリエステルを主成分とし、反応性希釈剤としてスチレン等の液状の揮発性モノマーが用いられているが、FRP用樹脂を用いるハンドレイアップ成形やスプレーアップ成形等の開放型成形においては、前記揮発性モノマーが揮散することによる環境の悪化や、成形や硬化時の収縮により、最終成形物の表面性が悪化するという問題がある。
【0003】
そこで、近年、揮発性モノマー量を低減させたFRP用樹脂が開発されている〔非特許文献1参照〕。
【0004】
しかし、例えば、補強材として、従来のビスフェノールAアルキレンオキサイド系の不飽和ポリエステルからなるバインダーで、ガラス繊維を結合したガラスチョップドストランドマットを、揮発性モノマー量が低減されたFRP用樹脂に用いた場合、マットへのFRP用樹脂の浸透が遅く、成形体に白化が生じることがあり、この問題は特に目付け量が少ないマットについて顕著である。
【0005】
そこで、例えば、樹脂の数平均分子量と、重量平均分子量/数平均分子量の比とをそれぞれ特定の範囲に限定する方法が開示されているが〔特許文献1参照〕、さらなる改善が望まれている。
【0006】
【非特許文献1】
第25回FRP総合講演会・展示会「講演要旨集」(社)強化プラスチック協会39〜40頁(2000)
【特許文献1】
特開2003−48255号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、目付け量が少ないマットであっても、マット強度を高め、かつマットへのスチレン浸透性に優れ、スチレン等のモノマー含量の少ないFRP用樹脂用のマットにも適用可能なマット用バインダー及びそれが用いられたマットを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1)(A)α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸、その無水物及びそれらの低級アルキル(C1〜C3)エステルから選ばれる少なくとも1種を含有する酸成分と、
(B)2価アルコールとしてプロピレンオキサイドの平均付加モル数が2〜4モルであるビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(以下、「BPA−PO」という)を含有するアルコール成分
とを縮重合させてなる不飽和ポリエステルを含有するマット用バインダーであって、不飽和ポリエステルの数平均分子量が4,000〜6,000、ピークトップ分子量が10,000〜20,000であるマット用バインダ−、並びに
(2)前記マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維を結合してなるマット
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸(以下、不飽和ジカルボン酸)、その無水物及びそれらの低級アルキルエステル(C1〜C3)(以下、不飽和ジカルボン酸又はカルボン酸とする場合は、特記する場合を除いてこれらを含むとする)としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等、その無水物及びそれらの低級アルキルエステルが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、樹脂の着色を防止する観点から、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれた1種以上が好ましく、フマル酸がより好ましい。なお、前記低級アルキルエステルの炭素数(C)としては、製造時の脱アルコール性の観点から、1〜3、好ましくは1である。
【0010】
酸成分における不飽和ジカルボン酸の含有量は、FRP用樹脂等に用いられている不飽和ポリエステルと反応させ、成形後にバインダーのみが分離することなく、良好な外観を有する成形体を得ることができるようにする観点から、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは60〜100モル%である。
【0011】
また、酸成分には、不飽和ジカルボン酸以外の2価の脂肪族又は芳香族カルボン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種が含有されていてもよく、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、バインダーの靱性の観点から、芳香族カルボン酸が好ましく、特にはイソフタル酸及びテレフタル酸が好ましい。
【0012】
酸成分における不飽和ジカルボン酸以外の2価の脂肪族又は芳香族カルボン酸の含有量は、マット強度とスチレン浸透性の観点から、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%である。
【0013】
また、酸成分には、3価以上のカルボン酸が含有されていることがマット強度を高める観点から好ましい。
【0014】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸無水物又はそれらの低級アルキル(例えば、炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、縮重合反応を迅速に進行させる観点から、無水トリメリット酸が好ましい。
【0015】
酸成分における3価以上のカルボン酸の含有量は、マット強度及びスチレン溶解性の観点から、好ましくは0.5〜20モル%、より好ましくは1〜18モル%である。
【0016】
本発明においては、アルコール成分に、2価アルコールとしてBPA−POを用いる点に一つの大きな特徴があり、かかる特徴を有することで、マットへのスチレン浸透性、及び引張強度を好適に調整することができるという利点がある。
【0017】
BPA−POのプロピレンオキサイドの平均付加モル数は、2〜4モル、好ましくは2.0〜2.5モルであり、平均付加モル数とは、ビスフェノールA1モルあたりの平均付加モル数を意味する。平均付加モル数が、上記範囲外だとスチレン浸透性、マット強度が改善されず、さらには平均付加モル数が2未満では、マットにFRP樹脂を含浸させて硬化させる際、残存したフェノール性水酸基による硬化阻害が生じる。また、平均付加モル数が4を超えると調製された不飽和ポリエステルが粉体状で使用できない。
【0018】
2価アルコール中におけるBPA−POの含有量は、マットへのスチレン浸透性を充分に発現させる観点から、好ましくは70モル%以上、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは100モル%である。
【0019】
本発明においては、アルコール成分に前記BPA−PO以外の他の2価アルコールを含有させてもよい。他の2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族系アルコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などの芳香族アルコール等が挙げられ、特にはスチレン浸透性、マット強度の観点より脂肪族アルコールが好ましく、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
アルコール成分における2価アルコールの含有量は、マットへのスチレン浸透性とマット強度の観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。
【0021】
アルコール成分には、マット強度を向上させる観点から、3価以上のアルコールを含有させることが好ましい。3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、縮重合反応の観点から、グリセリンが好ましい。
【0022】
アルコール成分における3価以上のアルコールの含有量は、マット強度を高める観点から、好ましくは0.3〜20モル%、より好ましくは0.5〜10モル%である。
【0023】
不飽和ポリエステルは、前記酸成分と前記アルコール成分とを公知の方法で縮重合させることによって得ることができる。その際、必要に応じて、公知の触媒、ラジカル重合禁止剤、消泡剤等を使用することができる。
【0024】
なお、酸成分とアルコール成分との仕込み比率(酸成分/アルコール成分:モル比)は、特に制限がないが、通常、4/6〜6/4であることが好ましい。
【0025】
かくして不飽和ポリエステルが得られるが、本発明に用いられる不飽和ポリエステルは、数平均分子量が4,000〜6,000、好ましくは4,000〜5,500で、且つピークトップ分子量が10,000〜20,000、好ましくは12,000〜15,000である。また、重量平均分子量は、10,000〜40,000が好ましく、15,000〜30,000がより好ましい。重量平均分子量/数平均分子量は3〜7が好ましく、3.5〜6がより好ましい。
【0026】
前記不飽和ポリエステルの数平均分子量及びピークトップ分子量については、いずれかの分子量が前記範囲より小さいと、マットの強度が低下し、いずれかの分子量が前記範囲より大き過ぎるとマットへのスチレン浸透性が悪化する。したがって、本発明においては、不飽和ポリエステルが前記特定の範囲の数平均分子量及びピークトップ分子量をともに有することに一つの大きな特徴があり、かかる特徴を有することで、強度が高く、且つスチレン浸透性に優れたマットを得ることができるという利点がある。なお、不飽和ポリエステルの数平均分子量及びピークトップ分子量は、後述の実施例に記載の方法によって得られるものをいう。
【0027】
不飽和ポリエステルの酸価は、マットへの親和性と耐水性の観点から、0.5〜30mgKOH/gが好ましく、5〜30mgKOH/gがより好ましい。かかる酸価は、酸成分とアルコール成分の種類、その仕込み比率等を調整することにより、制御することができる。酸価は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0028】
また、不飽和ポリエステルの軟化点は、マット強度及びスチレン浸透性の観点から、好ましくは80〜130℃、より好ましくは85〜125℃、更には95〜115℃である。また、不飽和ポリエステルの軟化点は、反応率や架橋率等の反応条件を制御することにより、調節することができる。軟化点は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0029】
不飽和ポリエステルは、マット製造時の繊維基材への付着性及びスチレン浸透性を高める観点から、平均粒子径が好ましくは100〜400μm、より好ましくは120〜350μmの粉状物であることが好ましい。
【0030】
本発明のマット用バインダーは、前記不飽和ポリエステルを含有するものである。不飽和ポリエステルには、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和結合を有するモノマーを添加せずに、そのままの状態でマット用バインダーに用いることが好ましい。本発明のマット用バインダーは、不飽和ポリエステルのみで構成されていてもよく、必要により、滑剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0031】
滑剤は、マット用バインダーの流動性を向上させることができるとともに、マット用基材を構成している繊維に均一に付着させることができるので、好適に使用し得るものである。滑剤としては、シリカ、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。滑剤の含有量は、マット用バインダー中において、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0032】
本発明のマット用バインダーは、常態で粉状体ないし粒状体であり、そのまま使用することができるほか、水や低級アルコール等のマット用バインダーを溶解させない溶媒に懸濁させて用いることもできる。
【0033】
マット用基材を構成する繊維としては、無機繊維及び有機繊維が好ましい。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機繊維としては、例えば、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成繊維、綿、麻、竹、ヤシ殻等の天然繊維等が挙げられる。これらの繊維の繊維長は、マットの用途によって異なるので一概には決定することができない。これらの繊維は、短繊維であってもよく、あるいは長繊維であってもよい。また、これらの繊維の繊度も、マットの用途に応じて適宜調整すればよい。
【0034】
なお、これらの繊維の表面には、本発明のマット用バインダーとの付着性を向上させるために、表面処理剤で表面改質が施されていてもよい。
【0035】
マット用基材としては、例えば、前記繊維からなる織布、不織布、ウェブ等が挙げられる。その代表例としては、ガラス繊維マット、炭素繊維マット等が挙げられる。マット用基材の厚さは、マットの用途に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
マットは、マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維を結合することにより、得ることができる。
【0037】
マット用バインダーでマット用基材を構成している繊維を結合する方法としては、例えば、マット用基材にあらかじめ水等の溶媒を付着させ、その繊維表面を濡らした後、その繊維表面にマット用バインダーを付着させ、乾燥、加熱することにより繊維を結合する方法;マット用バインダーを水等の溶媒に懸濁させた懸濁液をマット用基材に塗布、含浸等の方法で付着させ、乾燥、加熱することにより繊維を結合する方法;粉末状〜粒子状のマット用バインダーをマット用基材に付着させた後、加熱することによりマット用バインダーを溶融させ、溶融したマット用バインダーで繊維を結合する方法等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0038】
マット用バインダーの含有量は、マットの種類等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、繊維同士の結合強度、マットの風合いや軽量化等を考慮して、マット重量に対し、好ましくは0.5〜10重量%程度、より好ましくは0.5〜7重量%程度である。
【0039】
特に、本発明のマット用バインダーは、スチレンなどの揮発性モノマー含量が、不飽和樹脂100重量部に対し、20〜50重量部、更には20〜35重量部と少ないFRP用樹脂に用いられるマット用のバインダーとして好適である。
【0040】
本発明のマット用バインダーでマット用基材を構成している繊維同士を結合させたマットは、例えば、繊維強化プラスチックの補強材として好適に使用しうるものである。
【0041】
このようにして得られたマットは、重ね合わせて使用するのが好ましく、中でも、その目付け量が少ない場合、例えば、200〜400g/cm2 程度であっても、十分な引張強度を有するため、好適に使用することができる。
【0042】
【実施例】
各実施例及び各比較例において、「部」は「重量部」を意味し、BPA−POのプロピレンオキサイド平均付加モル数は2.1モルである。
【0043】
製造例1
攪拌機、温度計、窒素ガス導入口及び精留塔を有する5L容の4つ口フラスコ内に、フマル酸1160g(10モル)、BPA−PO3325g(9.5モル)及びラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン1.1gを仕込み、窒素ガスを通じながら160℃で2時間加熱した後、180℃に昇温して2時間加熱し、次いで200℃に昇温して2時間反応した。その後、グリセリン49g(0.5モル)を添加し、210℃まで昇温した後、6kPaまで減圧して反応を継続し、軟化点が100℃となった時点で反応を終了した。
【0044】
反応終了後、得られた反応物をバットに取り出して冷却し、その後粉砕し、酸価13mgKOH/gを有する不飽和ポリエステルAを得た。数平均分子量は5250、重量平均分子量28,600、ピークトップ分子量は14,100であった。
【0045】
なお、各実施例及び各比較例において、軟化点はASTM E28−51Tに従い、環球式軟化点測定機〔明峰社製作所(株)製、品番:ASP−MG〕で測定し、酸価はJIS K 0070に従って測定した。
【0046】
また、不飽和ポリエステルの分子量はテトラヒドロフランを溶解液とし、「GMHXL+G3000HXL」(東ソー(株) 製)のカラムを用いたGPC測定〔測定装置:東ソー(株)製、商品名「GPC−8020」、検出器:「RLSE−61」、カラム溶出液:テトラヒドロフラン、溶出速度:1.0ml/min、カラム温度:40℃〕により求め、標準試料は単分散ポリスチレンを用いた。数平均分子量は、前記のようにして得られる分子量データをシステムコントローラー「SC−8020」を用い、デジタル処理することにより決定した。また、前記のようにして測定される分子量のピークの中でも最もピーク高さの大きな分子量をピークトップ分子量とした。
【0047】
製造例2
製造例1で用いたのと同じ4つ口フラスコ内に、テレフタル酸576g(3モル)、BPA−PO3500g(10モル)及びジブチル錫オキサイド10gを仕込み、窒素ガスを通じながら230℃で4時間反応し、次いで210℃に降温し、フマル酸812g(7モル)を添加し、2時間反応した後、6kPaまで減圧して反応を継続し、軟化点が110℃となった時点で反応を終了し、不飽和ポリエステルBを得た。酸価は20mgKOH/gで、数平均分子量は4,250、重量平均分子量は17,000、ピークトップ分子量は13,400であった。
【0048】
比較製造例1
製造例1で用いたのと同じ4つ口フラスコ内に、フマル酸1160g(10モル)、BPA−PO3675g(10.5モル)、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン1.1gを仕込み、窒素ガスを通じながら160℃で2時間加熱した後、180℃に昇温して2時間加熱し、次いで210℃に昇温して2時間反応した。その後、6kPaまで減圧して反応を継続し、軟化点が98℃となった時点で反応を終了し、不飽和ポリエステルCを得た。酸価は8mgKOH/gで、数平均分子量は4,050、重量平均分子量は16,500、ピークトップ分子量は9,900であった。
【0049】
比較製造例2
製造例2において、210℃、6kPaの減圧下で反応を続行し、軟化点135℃となった時点で反応を終了し、不飽和ポリエステルDを得た。酸価は7mgKOH/gで、数平均分子量は6,400、重量平均分子量は32,600、ピークトップ分子量は22,500であった。
【0050】
比較製造例3
製造例1で用いたのと同じ4つ口フラスコ内に、フマル酸870g(7.5モル)、BPA−PO3675g(10.5モル)、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン1.0gを仕込み、窒素ガスを通じながら160℃で2時間加熱した後、180℃に昇温して2時間加熱し、次いで210℃に昇温して2時間反応した。その後、無水トリメリット酸403g(2.1モル)を添加して2時間反応し、6kPaまで減圧して反応を継続し、軟化点が100℃となった時点で反応を終了し、不飽和ポリエステルEを得た。酸価は12mgKOH/gで、数平均分子量は3,250、重量平均分子量は17,000、ピークトップ分子量は10,500であった。
【0051】
実施例1〜2及び比較例1〜3
製造例1〜2又は比較製造例1〜3で得られた不飽和ポリエステルA〜Eを、コーヒーミルを用いて平均粒子径が200μmとなるまで粉砕した。得られた不飽和ポリエステル粉末100部にステアリン酸亜鉛〔日本油脂(株)製、商品名:S−Z〕0.2部を添加し、家庭用ミキサーで10秒間混合してマット用バインダーを得た。
【0052】
次に、縦35cm、横35cmの四角形状のスチール製プレートに、直径1mmの孔が2mm四方の1つの対角線上に2カ所の割合でプレート全体に形成されたメッシュプレートを用意した。
【0053】
チョップドストランド用のガラスロービングを長さ5cmにカットしたガラスチョップドストランド〔旭ファイバーグラス(株)製、品番:CS50MAFT692〕をメッシュプレート上に均一に散布し、繊維層を形成させた。
【0054】
次に、霧吹きで水を均一に10秒間スプレーした後、各実施例又は各比較例で得られたマット用バインダーをマットにおける含有量が4重量%となるようにマット上に均一に手で散布した。
【0055】
上記の操作を3回繰り返し重ね合せて、300g/m2 の目付けを有する3層の繊維層からなるガラス繊維マットを得た。
【0056】
次に、得られたガラス繊維マットをメッシュプレートとともに、200℃のオーブン中に10分間放置した後、オーブンから取り出して前記メッシュプレート2枚の間に直接挟んで冷却し、マットを得た。
【0057】
次に、各実施例及び各比較例で得られたマットの物性として、引張強度及びスチレン浸透性を以下の方法に従って調べた。その結果を表1に示す。
【0058】
〔引張強度〕
マットから縦25cm、横2cmの大きさに切断し、チャック幅8cmのクランプで短辺を掴み、(株)島津製作所製、オートグラフ引張り試験機を用いて引張強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0059】
なお、引張強度が147N以上のとき合格であると評価し、147N未満であるとき不合格であると評価した。
【0060】
〔スチレン浸透性〕
マットから長さ15cm、幅4cmの試験片を切り出し、縦長状態で上端を保持し、下端に10gの錘を吊るし、スチレンモノマーを入れたガラスビーカー内に試験片をその試験片の長さの半分位まですばやく浸漬し、浸漬から試験片が破断して錘が落下するまでに要する時間を測定した。
【0061】
なお、試験片の浸漬から試験片が破断して錘が落下するまでに要する時間が2分間未満であるとき合格であると評価し、2分間を超える場合を不合格と評価した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示された結果から、実施例1〜2で得られたマットは、引張強度が大きく、しかもスチレン浸透性にも優れることがわかる。このことから、実施例1〜2で得られたマットは、スチレン量が低減されたFRP用樹脂に対しても好適に使用しうるものと考えられる。
【0064】
一方、比較例1、比較例3で得られたマットは、スチレン浸透性に優れるものの、引張強度が小さく、また比較例2で得られたマットは、引張強度が大きいが、その反面、スチレン浸透性に劣ることがわかる。
【0065】
【発明の効果】
本発明のマット用バインダーは、引張強度が大きく、スチレン等の揮発性モノマーの浸透性に優れたマットを与える。また、本発明のマット用バインダーは、スチレン等の揮発性モノマー含量の少ないFRP用樹脂にも好適に使用することができる。
また、本発明のマットは、前記マット用バインダーが用いられているので、引張強度及びスチレン浸透性に優れたものである。
Claims (4)
- (A)α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸、その無水物及びそれらの低級アルキル(C1〜C3)エステルから選ばれる少なくとも1種を含有する酸成分と、
(B)2価アルコールとしてプロピレンオキサイドの平均付加モル数が2〜4モルであるビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分
とを縮重合させてなる不飽和ポリエステルを含有するマット用バインダーであって、不飽和ポリエステルの数平均分子量が4,000〜6,000、ピークトップ分子量が10,000〜20,000であるマット用バインダ−。 - 2価アルコール中のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物の含有量が、70モル%以上である請求項1記載のマット用バインダー。
- 不飽和ポリエステルの軟化点が80〜130℃である請求項1又は2記載のマット用バインダー。
- 請求項1〜3いずれか記載のマット用バインダーでマット用基材を構成している繊維を結合してなるマット。
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2003
- 2003-03-04 JP JP2003057020A patent/JP2004263124A/ja active Pending
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