JP2004067098A - 容器及びキャップ並びにこれらの組合せ - Google Patents

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Abstract

【課題】開封した後の再封止が可能なバイアル瓶用イージーオープン式キャップにおいて、再封止状態でキャップが簡単に外れることを防止する。
【手段】キャップ2は、中栓部7は外筒部8と天板部9とを備えている。外筒部8は環状スコアー12を挟んだで上外筒部8aと下外筒部8bとから成っており、下外筒部8bには、縦長スコア22とタブ14と下環状突起16とを設けている。上外筒部8aには内向きの上環状突起17が形成されており、バイアル瓶1のフランジ5には、上環状突起17が嵌まる環状溝6が形成されている。上環状突起17が環状溝6に嵌まるため、再封止状態でキャップ2は簡単には外れない。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイアル瓶のような容器とこれを塞ぐキャップ、並びにこれらの組合せに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バイアル瓶を塞ぐキャップとしては、ゴムのような軟質材よりなる中栓と、これを外側から覆うアルミ製の外蓋との2パーツの構造のものが多用されており、外蓋の周縁を瓶口のフランジの下面に折曲げる(かしめる)ことによって封止状態を保持している。
【0003】
他方、実開昭59−55151号公報には、2パーツの構造のものの改良案として、外蓋を合成樹脂製として、この外蓋に、当該外蓋を引き裂き可能とするためのタブと破切線とを形成することにより、人が外蓋を指で引き裂いて開封できるようにしたイージーオープン方式のキャップが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記公報の場合、外蓋の天板部に破切線を形成しているため、開封した後は外蓋で再び中栓を押さえて再封止するということはできず、開封と同時に内容物を全て取り出すことになる。すなわち、内容物を何回かに分けて取り出すバイアル瓶(及びその類似品)には使用し難い問題があった。
【0005】
また、前記公報のようなイージーオープン方式とした場合、外蓋に強い外力が掛かって瞬間的に引き裂かれることが多いため、外蓋が引き裂かれた弾みで中栓まで一緒に瓶口から外れてしまうことが懸念される。
【0006】
キャップを中栓と外蓋との2パーツ構造とせずに、中栓部と外筒部とが一体化した単一構造とすると構造が簡単になって製造コストを抑制できるが、このような単一構造のキャップの場合は、引き裂きに際しての弾みで内容物が零れ出ることが一層懸念される。
【0007】
本発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上向き開口の容器と、この容器の口部を塞ぐキャップとの組合せに係るもので、前記キャップは、容器の口部に密嵌する中栓部と、容器の口部に外側から嵌る合成樹脂製の外筒部を備えており、前記外筒部の上下中途高さ位置に、当該外筒部を円周方向に沿って引き裂き可能とするための弱化部を形成することにより、当該外筒部を、弱化部より上方に位置した上外筒部と弱化部よりも下方に位置した下外筒部と成している。
【0009】
そして、前記容器の口部とキャップの下外筒部とに、強制嵌合によって互いに係合して下外筒部を容器から離反不能に保持する第1係合手段を設け、前記キャップの下外筒部に、人が弱化部に引き裂き外力を作用させるためのタブを一体に設けており、更に、前記容器の口部とキャップの上外筒部とに、人が容易に引き離しできる程度の強さで係合する第2係合手段を設けている。
【0010】
請求項2の発明はバイアル瓶とそのキャップとに適用したもので、バイアル瓶の瓶口に、容器の第1係合手段として首部よりも大径のフランジが形成されており、このフランジの外周面のうちキャップの上外筒部に対応した部位に、容器の第2係合手段として環状溝が形成されている。
【0011】
一方、前記キャップは、外筒部と一体化した中栓部を備えており、この中栓部がバイアル瓶の瓶口に密嵌するようになっており、更に、キャップにおける下外筒部の内周面に、キャップの第1係合手段として、前記フランジの下端に係合する内向きの下環状突起が形成されており、キャップの上外筒部に、キャップの第2係合手段として、前記バイアル瓶の環状溝に嵌まる内向きの上環状突起が形成されている。
【0012】
本願発明は、請求項1又は請求項2に記載されている構成の容器又はキャップをも含んでいる。なお、請求項1においては、中栓部と外筒部とは一体の構造であっても良いし、別体の構造であっても良い。
【0013】
【発明の作用・効果】
本願発明によると、キャップの外筒部を弱化部に沿って引き裂くと、容器とキャップとの第1係合手段の係合が解除されることにより、開封可能な状態となる。そして、この開封可能状態でキャップには上外筒部が残っているため、外筒部は何回でも容器の口部に嵌めたり外したりすることができる。
【0014】
従って、内容物を小出ししながら使用する場合、再封止を行うことができて便利である。また、キャップの下外筒部を取り去った状態で上外筒部と容器とは第2係合手段によって係合しているため、外筒部が容器の口部から簡単に外れることを防止できて安全性を向上することができる。
【0015】
更に、下外筒部を取り去った後も容器とキャップとの第2係合手段が互いに係合しているため、開封の弾みで外筒部が容器の口部から外れてしまうことを防止又は著しく抑制することができる利点もある。
【0016】
請求項2のように構成すると、バイアル瓶には環状溝付きのフランジを形成すれば足りる一方、キャップは射出成形法によって簡単に製造できるため、容器及びキャップとも簡単に製造できる利点がある。
【0017】
なお、本願発明において、キャッピングは、キャップを容器の口部に重ねてから下方に押圧することによって行われる。この場合、ハンドル付きの専用の工具を使用して手作業で行っても良いし、道具を使用せずに人が手で強く押圧することによって行っても良いし、或いは、自動機を使用することも可能である。
【0018】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態ではいずれもバイアル瓶に適用した例を示している。
【0019】
(1).第1実施形態(図1〜図4)
図1〜図4では第1実施形態を示している。図1はバイアル瓶1とキャップ2との分離斜視図、図2のうち(A)は密封状態での正面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(A)のC−C視断面図、図3は開封途中での状態を示す断面図、図4は製造装置(金型装置)を示す断面図である。
【0020】
▲1▼.構造
バイアル瓶1は、底付きの胴部2と、その上端に絞り形成した首部4とを備えており、首部4の上端には、当該首部4よりも大径で胴部2よりは小径のフランジ5を一体に設けて、このフランジ5を容器の第1係合手段と成し、更に、フランジ5の外周のうち上端と下端との間の中途高さ部位に、容器の第2係合手段として断面V形の環状溝6を形成している。なお、環状溝6は断面U形等の他の断面形状でも良い。
【0021】
キャップ2は、ポリエチレンのような軟質の合成樹脂を素材とした射出成形によって製造されており、バイアル瓶1の瓶口に内側から密嵌する有底筒状の中栓部7と、バイアル瓶1のフランジ5に外側から嵌まる外筒部8とを備えており、両者はバイアル瓶1の頂面に重なる天板部9を介して一体に繋がっている。
【0022】
ところで、バイアル瓶1の加工精度は必ずしも高くなく、寸法のバラツキも大きい。そこで、中栓部7の下端部には外向きに突出した小さい高さのシール用突条(アンダーカット)10を形成しており、中栓部7の弾性に抗してシール用突条10を瓶口の内周面に密着させることにより、寸法のバラツキを吸収してシール性を向上させている。
【0023】
また、中栓部7の下端には、強度アップのため、当該中栓部7の外径よりもやや小さい外径の筒状リブ11を形成している(その意義は後述する)。
【0024】
外筒部8のうちバイアル瓶1の環状溝6よりもやや下方の部位には、弱化部の一例として薄肉状の環状スコアー12が形成されており、この環状スコアー12を挟んで上方の部位を上外筒部8a成し、環状スコアー12を挟んで下方の部位を下外筒部8bと成している。
【0025】
下外筒部8bには、当該下外筒部8bを分断する縦長スコアー13がやや傾斜状の姿勢で形成されており、更に、下外筒部8bのうち縦長スコアー13の右側の部位にはタブ14を一体に設けている。タブ14は人が指で摘まみ易くなるように先端(下端)を広い面積と成しており、また、ローレット状の突起(或いは凹凸)15を形成している。
【0026】
そして、下外筒部8bの中途高さ部位に、キャップ2の第1係合手段として内向きの下環状突起16をほぼ全周にわたって延びるように形成し、また、上外筒部8aには、キャップ2の第2係合手段として、バイアル瓶1の環状溝6に嵌まる内向きの小さい高さの上環状突起17を形成している。
【0027】
下環状突起16は、弾性に抗しての変形を利用した強制嵌合によってフランジ5を乗り越えると、人が指で摘んで引き上げようとしてもバイアル瓶1から取り外しできない高さに設定している。他方、上環状突起17は、人がキャップ2を握って外力を掛けると環状溝6から離脱するような低い寸法に設定している。
【0028】
キャップ2に、外筒部8の外側に張り出すと共に天板部9よりも上向きに突出した外向き張り出し部18を形成し、その外周面にはローレットを形成している。なお、図2(A)では、作図の便宜からローレットのピッチを等間隔に表示しているが、外向き張り出し部18は円形であるため、実際には、図1に正確に表示しているように、ローレットは中心線から左右両側に行くに従って間隔が狭くなるように見える。
【0029】
▲2▼.開封操作・効果
以上の構成において、タブ14を指で摘んで円周方向(平面視で半時計回り方向)に引っ張って外筒部8のスコアー13,12を引き裂くことにより、下環状突起16とフランジ5との係合が解除される。そこで、上外筒部8aと外向き張り出し部18とを指で摘んでこじ上げることにより、バイアル瓶1を開封することができる。
【0030】
この開封作業において、スコアー13,13を引き裂いた後も上外筒部8aの上環状突起18がフランジ5の環状溝6に軽く係合しているため、スコアー13,12を引き裂いた弾みでキャップ2がバイアル瓶1から外れてしまうことを防止できる。また、内容物を小出ししてからキャップ2を再度バイアル瓶1に装着した状態で、バイアル瓶1に対するキャップ2の取り付け強度を向上することができる。
【0031】
本実施形態のようにキャップ2に外向き張り出し部18を設けると、開封に際してキャップ2に対する指の引っ掛かりを格段に向上できるため、指が滑る現象を防止してキャップ2を軽快に取り外すことができる利点がある。
【0032】
バイアル瓶用のキャップ2は小さいため、指の引っ掛かりを良くするには外向き張り出し部18はある程度の高さ寸法があるのが好ましく、この場合、天板部9を厚くして、天板部9をそのまま外側に張り出すことも考えられるが、かくすると、天板部9の肉厚が厚くなり過ぎるため、成形に際して収縮が不揃いになることに起因したヒケが生じることがある。
【0033】
これに対して本実施形態のように、外向き張り出し部18を天板部9の上方に突出した形態にすると、各部位の肉厚をできるだけ均等化した状態で外向き張り出し部の高さを高くできるため、成形後のヒケを生じることなく、しっかりとキャップ2を掴むことのできる形態と成すことができる。
【0034】
本実施形態のように、下環状突起16を下外筒部8bの上下中途高さ部位に設けると、下環状突起16が広がり変形することを抑制できるため、バイアル瓶1の瓶口への取り付け強度を向上できる利点である。
【0035】
▲3▼.製造工程
図4では、上記したキャップ2の製造装置(金型装置)の一例を示している。この製造装置は、キャップ2に上方から嵌まる形状の固定型20と、外筒部8を掴むような状態に分割された複数個(2個で良い)の割り型21と、キャップ2に下方から嵌まる形状のコア22と、内周縁が下外筒部8bの下端面に重なるストリッパープレート23とを備えており、固定型20にはゲート24を設け、コア22には突き出しピン25を摺動自在に設けている。
【0036】
割型21は互いに接近離反する方向に移動自在である。これらストリッパープレート23に装着しても良いが、本実施形態では固定型20に装着している。
【0037】
この製造装置において、キャビティ内の樹脂が固まってからの型抜きは、割型21の離反→コア22及びストリッパープレート23を固定型20から離反させることによる固定型20からのキャップ2の抜き外し→コア22の後退動と突き出しピン25の前進動によるキャップ2の突き出し、という順序で行われる。
【0038】
この型抜き工程で、中栓部7に筒状リブ11が存在しないと、突き出しピン25によって突き出すにおいて、抜き抵抗のため中栓部7がめくれ返るように変形したり破断したりする虞があるが、本実施形態のように筒状リブ11のような補強手段を設けると、中栓部7の剛性を向上できるため、変形や破損を招来することなくキャップ2を確実に突き出すことができる利点がある。
【0039】
コア22を後退させない場合は、一点鎖線で部分的に示すように、一方の割型21に、タブ14の外面を形成するための下向き部21aを設ければよい(この場合は、スリッパープレート23に、割型21の下向き部が嵌まる穴が空くことになる)。
【0040】
なお、本実施形態のように中栓部7よりもやや小径の筒状リブ11を形成すると、開封後にバイアル瓶1を再封止するにおいて、筒状リブ11がバイアル瓶1の瓶口への嵌め込みのガイドとなる利点もある。
【0041】
(2).変形例
中栓部7に対する補強手段としては、図5に示すように、中栓部7の内部に放射状等の補強リブ26を形成しても良い。放射状のリブに変えて環状のリブを中栓部7の内底面に設けたり、中栓部7の内周面に縦長のリブを適当な間隔で形成したりしても良い。
【0042】
(3).第2実施形態(図6)
図6では2パーツ方式に適用した第2実施形態を示している。
【0043】
すなわち、この実施形態では、キャップ2は、フランジ付きのゴム栓27と、これをバイアル瓶1の瓶口に押さえ固定する外蓋28とから成っており、外蓋28は、第1実施形態と同様の構造の外筒部8と外向き張り出し部18とを備えており、天板部9には、注射器の針をゴム栓27に突き刺しできるように穴29が空いている。
【0044】
一点鎖線で示すように、天板部9と外向き張り出し部18とに繋がる補強リブ30を設けても良い。また、ゴム栓27の素材として軟質のエラストマーを使用して、いわゆる二色成形法やインサート成形法などにより、外蓋28に一体に固着(溶着)することも可能である。
【0045】
(4).その他
本発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化することができる。
【0046】
例えば、第1係合手段及び第2係合手段としては、容器に環状突起を形成してキャップの外筒部に環状溝を形成してもよい。もちろん、他の引っ掛かり構造や嵌合構造も採用できる。弱化部の形成手段としてはミシン線を刻設するなどしても良い。
【0047】
また、タブは指を挿入できるリング状に形成したり、外筒部の外周面に沿って延びるように形成したりすることなども可能である。また、本願発明はバイアル瓶のみでなく、各種の容器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の分離斜視図である。
【図2】(A)は密封状態での正面図、 (B)は (A)の B−B視断面図、 (C)は (A)の C−C視断面図である。
【図3】開封途中の状態を示す断面図である。
【図4】製造装置(金型装置)を示す断面図である。
【図5】変形例の部分的な平面図である。
【図6】第2実施形態の断面図である。
【符号の簡単な説明】
1 容器の一例としてのバイアル瓶
2 キャップ
5 第1係合手段としてのフランジ
6 容器の第2係合手段の一例としての環状溝
7 中栓部
8 外筒部
8a 上外筒部
8b 下外筒部
12,13 弱化部の一例としてのスコアー
16 第1係合手段の一例としての下環状突起
17 第2係合手段の一例としての上環状突起

Claims (3)

  1. 上向き開口の容器と、この容器の口部を塞ぐキャップとの組合せであって、
    前記キャップは、容器の口部に密嵌する中栓部と、容器の口部に外側から嵌る合成樹脂製の外筒部を備えており、前記外筒部の上下中途高さ位置に、当該外筒部を円周方向に沿って引き裂き可能とするための弱化部を形成することにより、当該外筒部を、弱化部より上方に位置した上外筒部と弱化部よりも下方に位置した下外筒部と成し、
    前記容器の口部とキャップの下外筒部とに、強制嵌合によって互いに係合して下外筒部を容器から離反不能に保持する第1係合手段を設け、
    前記キャップの下外筒部に、人が弱化部に引き裂き外力を作用させるためのタブを一体に設けており、
    更に、前記容器の口部とキャップの上外筒部とに、人が容易に引き離しできる程度の強さで係合する第2係合手段を設けている、
    容器とキャップとの組合せ。
  2. 前記容器はバイアル瓶であって、その瓶口に、容器の第1係合手段として首部よりも大径のフランジが形成されており、このフランジの外周面のうちキャップの上外筒部に対応した部位に、容器の第2係合手段として環状溝が形成されている一方、
    前記キャップは、外筒部と一体化した中栓部を備えており、この中栓部がバイアル瓶の瓶口に密嵌するようになっており、
    更に、キャップにおける下外筒部の内周面に、キャップの第1係合手段として、前記フランジの下端に係合する内向きの下環状突起が形成されており、キャップの上外筒部に、キャップの第2係合手段として、前記バイアル瓶の環状溝に嵌まる内向きの上環状突起が形成されている、
    請求項1に記載した容器とキャップとの組合せ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されている構成の容器又はキャップ。
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