JP2004066176A - 粉体塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱効率が良く、風をそれほど必要としないので塗布した粉体が飛散する恐れのない粉体塗装方法を提供する。
【解決手段】粉体塗装方法は、樹脂粉体を被塗装物5表面に塗布する塗布工程と、塗布した粉体を加熱し溶解・硬化させる加熱工程と、被塗装物を冷却する冷却工程とを含み、加熱工程での加熱を赤外線加熱装置8による輻射加熱とし、被塗装物にファン7より微風をかけて、被塗装物の風下に設置した温度センサ9によって微風の温度を測定し、この温度から相対的に被塗装物の温度を把握し、赤外線加熱装置を制御して輻射加熱を調整する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器等の表面を粉体塗装する粉体塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粉体塗装方法は、樹脂粉体を被塗装物表面に塗布する粉体塗布工程と、被塗装物表面の粉体を加熱し、溶解・硬化させる加熱工程と、被塗装物を冷却する冷却工程とからなるが、加熱工程では熱風を利用した熱伝達による加熱が行われていた。
即ち、図2に示すように、従来の粉体塗装装置11は、粉体塗装室12、加熱室13及び冷却室14がこの順に隣接して設けられ、これらの室内を通って、被塗装物15が搬送装置16によって運ばれ、その表面に粉体塗装が施こされるものであった。加熱室13には、バーナー18、循環ファン17及び温度センサ19が設けられており、バーナー18の熱風が循環ファン17によって強制循環され、被塗装物15を加熱していた。また、加熱室13内の温度を温度センサ19で検出し、これに基づきバーナー18を制御して加熱室13内の温度をコントロールしていた。
【0003】
しかしながら、このような熱風による加熱では、被塗装物表面に塗布した粉体が飛ばないように風量を小さくする必要があり、熱伝達効率が悪く長時間の加熱が必要であった。
また、風量を小さくすることができる輻射加熱による方法では、均一な温度にすることが難しく、被塗装物の加熱温度がわからず、加熱し過ぎたり、加熱不足になって不良品ができるという問題があった。
【0004】
これに関連して、粉体塗料加熱用近赤外線ヒータを使用した粉体塗装用乾燥炉が、実開昭62−20670号公報により従来公知である。しかしながら、この近赤外線ヒータは、セラミックファイバープレート等で形成した燃焼面でガス燃料を表面燃焼させるように構成したものであり、この燃焼排ガスを排気する必要があるため排気ファンが設けられている。また、排ガスの排気路にセンサを設け、排気温度に基づいて排気ファンの排気風量を制御して炉内温度を一定にしている。
【0005】
このため、前記公報による公知の粉体塗装用乾燥炉では、燃焼排ガスを排気する必要上、或る程度の排気風量を確保する必要があり、被塗装物表面に塗布した粉体が飛散する恐れがあり、また加熱した熱を排気で逃がしてしまい熱伝達効率も依然として改善されていないという問題がある。また、排ガス温度によって排気ファンを制御しているため、被塗装物の正確な温度を把握することが難しく、被塗装物の均熱性を確保することが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、熱の排出が少なくてすみ、加熱効率が良く、しかもあまり風を流す必要がないので、被塗装物表面に塗布した粉体の飛散が防止できる粉体塗装方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載の粉体塗装方法を提供する。
請求項1に記載の粉体塗装方法では、塗装物表面に塗布された粉体を加熱し、溶解・硬化させる加熱工程での加熱を輻射加熱方法とし、被塗装物に微風をかけて、被塗装物の風下に設置された温度センサによって検出された微風温度から被塗装物の温度を求め、これによって、輻射加熱を制御するようにしたものであり、これにより、加熱効率を改善でき、また被塗装物の加熱温度の測定が可能になり、輻射加熱を制御することで被塗装物の均熱性を向上させることができる。
【0008】
請求項2の粉体塗装方法は、輻射加熱方法が赤外線加熱であることを規定したものであり、これにより、加熱時間の短縮が可能となる。
請求項3の粉体塗装方法は、被塗装物として熱交換器に限定したものである。被塗装物が熱交換器である場合は、微風が通過し易く、被塗装物の温度測定が正確にできるようになり、加熱制御も正確に行え、被塗装物の均熱性も一層向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態の粉体塗装方法について説明する。図1は、本発明の粉体塗装方法を実施するのに使用される粉体塗装装置の概略全体構成を示す正面図と側面図である。粉体塗装装置1は、粉体塗装室2、加熱室3及び冷却室4とを有しており、これらの室2,3,4がこの順に互に隣接して配置されている。また、これらの粉体塗装室2、加熱室3及び冷却室4を貫通するように、被塗装物5を搬送するコンベア等の搬送装置6が設置されている。
【0010】
粉体塗装室2は、樹脂粉体を被塗装物5の表面に塗布する塗布工程を行う室で、搬送装置6によって運ばれてきた被塗装物5は、散布塗装流動浸漬塗装、静電塗装、静電吹付け塗装等の方法で樹脂粉体で塗装される。樹脂粉体としては、エポキシ樹脂系、ポリエステル系、アクリル樹脂系等の熱硬化性樹脂や、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、塩化ビニル樹脂系等の熱可塑性樹脂が使用される。
【0011】
加熱室3は、被塗装物5の表面に塗布された樹脂粉体を加熱し、溶解・硬化させる加熱工程を行う室である。この加熱室3内には、被塗装物5を輻射加熱するための加熱源である赤外線加熱装置8と、微風を発生させるファン7と、搬送されてくる被塗装物5の風下に配置され、被塗装物5を通過した微風の温度を計測する温度センサ9とが設置されている。この赤外線加熱装置8は、温度センサ9による微風の温度に基づいて被塗装物5の温度を把握し、これに基づいて図示されない制御装置によって制御される。微風の温度と被塗装物5の温度の相関関係は、例えば予め計測したデータから、両者の関係を数式化する等により求められ、これらを制御装置内に記憶させておく等によって、相対的に被塗装物の温度が把握され、この温度に基づいて赤外線加熱装置8による加熱が制御される。赤外線加熱装置8としては、電球、シーズド線ヒーター、燃焼ガスバーナー等が利用できるが、本実施形態では、排ガスの排気を必要としないバーナー以外の装置が好適である。
【0012】
冷却室4は、樹脂粉体が塗布され、塗装が施こされた被塗装物5を冷却する冷却工程を行う室である。冷却室4内には、搬送された被塗装物5を強制的にエア冷却するために、例えばファンが設けられている。
また搬送装置6の前部には、塗装前の被塗装物5を搬送装置6に搬入するローダ部6Aが設けられ、その後部には、塗装後の被塗装物5を搬送装置6から搬出するアンローダ部6Bが設けられている。
【0013】
次に、上記のように構成された粉体塗装装置を使用した粉体塗装方法であるその作動について説明する。まず、人手またはローダ等によりローダ部6Aで被塗装物5を搬送装置6上に搬入する。被塗装物5は搬送装置6により粉体塗装室2に搬送され、ここで樹脂粉体が被塗装物5に塗布される。塗料である樹脂粉体を塗布された被塗装物5は、続いて搬送装置6により加熱室3に運ばれ、赤外線加熱装置8によって輻射加熱される。
【0014】
ここでファン7により微風を起こし、被塗装物5上を流して、被塗装物5の風下に配置した温度センサ9により微風の温度を測定する。この測定した微風の温度より、相対的に被塗装物5の温度を把握し、制御装置によって赤外線加熱装置8を制御して、加熱を調整する。この場合、被塗装物5が熱交換器であると、微風が熱交換器を通過するので、微風の温度と熱交換器の温度との相関関係が良いので、熱交換器の温度を正確に測定することができる。
【0015】
輻射加熱により、塗布した樹脂粉体が溶解・硬化した被塗装物5は、次に搬送装置6により冷却室4に搬送され、ここで、例えばエア冷却により冷却される。冷却した被塗装物5は、アンロード部6Bに搬送され、人手もしくはローダ等により搬出される。
【0016】
以上説明したように、本発明においては、輻射加熱方法を採用し、微風を被塗装物にかけると共に被塗装物の風下に温度センサを設けることで、加熱効率が良く、粉体の飛散を防止でき、かつ被塗装物の均熱性を向上できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の粉体塗装方法を実施するための粉体塗装装置の既略の全体構成を示す正面図と側面図である。
【図2】従来の粉体塗装装置の既略の全体構成を示す正面図と側面図である。
【符号の説明】
1…粉体塗装装置
2…粉体塗装室
3…加熱室
4…冷却室
5…被塗装物
6…搬送装置
7…ファン
8…赤外線加熱装置
9…温度センサ

Claims (3)

  1. 少なくとも、樹脂粉体を被塗装物表面に塗布する塗布工程と、被塗装物表面の粉体を加熱し、溶解・硬化させる加熱工程と、被塗装物を冷却する冷却工程とを含む、樹脂粉体で被塗装物表面を塗装する粉体塗装方法において、
    前記加熱工程の加熱を輻射加熱方法とし、被塗装物に微風をかけて、被塗装物の風下に設置された温度センサによって検出された微風温度から被塗装物の温度を求め、これによって輻射加熱を制御することを特徴とする粉体塗装方法。
  2. 前記輻射加熱方法が赤外線加熱であることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗装方法。
  3. 前記被塗装物が熱交換器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体塗装方法。
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