JP2004065249A - フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの富化方法、食品の製造方法、並びに食品 - Google Patents

フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの富化方法、食品の製造方法、並びに食品 Download PDF

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Abstract

【課題】フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの富化方法およびフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された食品の製造方法を提供することである。
【解決手段】胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬して、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化する方法であり、この方法で得られた食品は、健康増進や美容に優れ、また旨味も向上している。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの富化方法、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された食品の製造方法、並びに食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
イノシトールはシクロヘキサン6価アルコールの総称であり、動物の細胞内でグルコース6−リン酸から生合成される。イノシトールの動物体内での合成には限界があるため、イノシトールは穀類等の食物から摂取する必要がある。イノシトールの欠乏は、発育不良、脱毛(マウスによる実験)、脂肪肝(ラットによる実験)、中性脂質蓄積等を引き起こす。
【0003】
フィチン酸(IP6)は、イノシトールのヘキサリン酸エステルであり、植物のリンの貯蔵形態であり、植物の種子や胚、果皮に多く存在する。フィチンはフィチン酸にマグネシウム、カルウム、カルシウム、鉄、亜鉛などの金属やタンパク質が結合したフィチン酸化合物の通称名である。フィチン酸は食品面では金属のキレート性およびこれに基づく抗酸化性を有するので多くの食品保存性の向上に有効である。また、食品の着色防止、食品中の鉄分の除去などにも利用ができる。医療面では胃酸分泌を抑制し、胃炎、十二指腸炎、十二指腸潰瘍や下痢に有効である。さらに、フィチン酸の摂取は腎臓結石や虚血性心臓病の発症を抑え、血中コレステロールを低下させ、血行促進を促すと共に、老人性痴呆症、パーキンソン病、脳血管障害、高脂質血症、糖尿性疾患等の予防、改善、治療にも役立つ。さらに、人体内でDNAやたんぱく質、その他細胞を酸化させるフリーラジカルを、アンチオキシダント(抗活性酸素)であるフィチン酸が阻止するため、癌の予防、改善、治療にも役立つ。歯科面ではフィチン酸の減少に伴い虫歯が増加する傾向にあることから、虫歯予防にも役立つ。化粧品面では、フィチン酸は経口投与によるニキビ治療、皮膚の美白効果、血行促進効果等がある。また、フィチン酸は抗フケ効果もある。以上のような効果があるフィチン酸は、今後、食品面、医療面、化粧品面等多くの産業分野への発展が期待されている。
【0004】
ナイアシンは体内で同じ作用をもつニコチン酸、ニコチン酸アミドの総称であり、酸化還元酵素の補酵素として生体の生理活性に深く関係している。
【0005】
上記のように生体にとって非常に重要なフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンは、マメ科植物(例えば大豆、小豆、豌豆、隠元豆等)やイネ科植物(例えば米、小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、燕麦等)の種子等の食品に含まれているが、その含有量は微量である。したがって、これらの食品中のフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化する方法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの富化方法を提供することである。
本発明の他の目的は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された食品の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された食品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、胚芽を含むマメ科植物やイネ科植物の種子、マメ科植物やイネ科植物の胚芽等を水に浸漬すると、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量が増加するという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明にかかるフィチン酸、イノシトールまたはナイアシンの富化方法は、胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬することを特徴とする。上記フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが増加する原因としては、水浸漬により前記胚芽に含まれる内在性酵素が急激に活性化するためと推測される。したがって、本発明の富化方法では、マメ科やイネ科植物の胚芽を含むもの、例えば胚芽を含む米糠や小麦胚芽を含む麸等も使用することができる。
【0009】
本発明にかかる食品の製造方法は、胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬することを特徴とする。これにより得られる食品は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化されているので、健康増進や美容等に有用であり、さらに旨味も向上している。また、この製造方法により得られる食品をさらに粉砕等により粉状ないし粒状に加工することによって、該食品中のフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの体内吸収性が向上し、旨味もより向上する。
【0010】
上記した本発明により得られる食品は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを豊富に含有するので、胃炎、十二指腸炎、十二指腸潰瘍、下痢等に有効であり、また、腎臓結石や虚血性心臓病の発症を抑え、血中コレステロールを低下させ、血行促進を促すと共に、脂肪肝の予防、中性脂質蓄積の予防、脱毛予防、肥満防止、成人病の予防、高血圧疾患予防、抗脂質血症改善、老人性痴呆症改善、パーキンソン病改善、脳血管障害予防、虫歯の予防、ニキビの治療、フケの発生抑制等の他、食品の変色防止、食品の保存性向上にも効果がある。また、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽は、これを適当な形態(例えば、粉状、粒状等)に加工すること、並びにこれらのマメ科植物の種子や胚芽と、イネ科植物の種子や胚芽とを混合することにより、医薬品、化粧品等の用途にも適用することができる。
【0011】
また、本発明の食品は、60℃以下の温度で水に浸漬することによりフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された、胚芽を含むマメ科植物の種子および/またはマメ科植物の胚芽と、60℃以下の温度で水に浸漬することによりフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された、胚芽を含むイネ科植物の種子および/またはイネ科植物の胚芽との混合物からなるものである。このような混合物からなる食品は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化されているだけでなく、味および香りがよくなって旨味が向上し、しかも高い抗酸化作用が期待できる。
【0012】
上記食品は、前記胚芽を含むマメ科植物の種子および/またはマメ科植物の胚芽と、前記胚芽を含むイネ科植物の種子および/またはイネ科植物の胚芽とを粉状ないし粒状に加工した後で混合して得られる混合物からなるものであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明に用いるマメ科植物としては、例えば大豆、小豆、豌豆、隠元豆等を例示することができる。また、イネ科植物としては、例えば米、小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、燕麦等を例示することができる。これらのマメ科植物およびイネ科植物の品種は特に限定されない。また、胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽の具体例としては、例えば大豆胚芽を含む大豆、大豆胚芽、米胚芽、胚芽米、小麦胚芽、トウモロコシの種子、胚芽を含む米糠、小麦胚芽を含む麸等が挙げられる。
【0014】
例えば、胚芽米(玄米)は、米を精米機で精米し、糠を除去することにより調製することができる。胚芽は胚芽米をさらに研削式精米機で研削した後、適当なふるい(32メッシュ程度)で胚乳部由来の粉および糠から分け取る。小麦胚芽および小麦胚芽を含む麸は、小麦を製粉機によって製粉することにより得られる胚芽含有の麸(コブスマ、オオブスマ)を用いることができる。小麦胚芽は適当なふるい(32メッシュ程度)でふるいにかけることにより麸から得ることができる。
【0015】
以下、大豆を例に挙げて本発明方法を説明する。すなわち、本発明の富化方法は、大豆を所定の条件で水に浸漬することによってフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化させるものである。
【0016】
浸漬時の水の温度は、60℃以下、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃であるのがよい。水の温度が前記範囲にあることによってフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが効率よく富化される。浸漬時の水の量は、富化対象の大豆が水中に没する程度の量であれば特に限定されないが、通常、体積比で大豆の1〜10倍量程度とされる。
【0017】
浸漬時のpHは、特に限定されず、pH2.5〜10程度であればよく、通常pH4〜8程度、好ましくはpH5〜7程度であるのがよい。pH調整には人体への安全性に問題ない限り各種の酸やアルカリが使用可能である。
【0018】
フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの富化量は浸漬時間が長くなる程増加する傾向にある。したがって、浸漬時間は、長い程好ましいが、通常、1〜24時間程度であるのがよい。また、静置した状態で浸漬してもよいが、振とう機等を用いて振とうしたり、あるいは攪拌機で撹拌しながら浸漬してもよい。これにより、大豆におけるフィチン酸の富化量は、重量比(富化後のフィチン酸含有量/富化前のフィチン酸含有量)で1.1以上、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上となる。また、イノシトールおよびナイアシンの富化量も、同様に1.1以上、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上となる。
【0019】
上記条件で水に浸漬することによってフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された大豆は、そのまま食品として、あるいは必要に応じて40〜100℃程度の雰囲気中で乾燥させたり、火にかける等して煎ることにより乾燥させて食品として使用される。大豆を乾燥させる場合、大豆に含まれる水分は8重量%以下、好ましくは5重量%以下であるのがよい。これにより、大豆の保存性が向上する。また、乾燥することによって生でも食べやすくなるという利点もある。
【0020】
また、富化された大豆を必要に応じて粉状ないし粒状に加工してもよく、特に粉状に加工するのが好ましい。これにより、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの体内吸収性を向上させることができ、これを含む食品の旨味もより向上させることができる。大豆を乾燥させて(煎って)粉状にした食品の一例として、「黄粉」が挙げられる。
【0021】
大豆を粉状ないし粒状に加工するには、公知の粉砕機(例えば、ダルトン社製のハンマーミル)を使用することができる。粉状に加工する際には粒度は特に限定されないが、200μm以上、好ましくは400μm以上であるのがよい。粒度がこれより小さいと、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの一部が失われて、これらの含有量が低下するおそれがある。また、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの体内吸収性を考慮すると、上限は1000μm、好ましくは800μm程度であるのがよい。粉砕する場合には、粉砕時に生じる熱等によって大豆の温度が過度に上昇しないような条件で行うのが好ましい。
【0022】
上記のようにして大豆から得られる本発明の食品は、そのままの形態か、あるいは粉状ないし粒状の形態等で、通常の大豆と同様にして、単独であるいは他の食品と混合して炊く、煮る、焼く、茹でる、揚げる、蒸す等して調理することができる。
【0023】
また、上記のようにしてフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された大豆は、例えば粉状ないし粒状に加工して食品添加物として他の食品に添加することもできる。食品添加物は、粉状ないし粒状形態の他、顆粒、カプセル、シロップ、ゲル状、液状、固形状等に調製された形態であってもよい。この食品添加物を添加する食品には、特に制限はなく種々の調理食品や加工食品が挙げられる。なお、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された大豆を食品や食品添加物として使用する場合には、富化された大豆からフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの各成分を公知の方法により単離精製して使用してもよい。
【0024】
フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された本発明の食品は、食品保存性の向上、食品の着色防止、食品中の鉄分除去等の効果があり、また、胃酸分泌を抑制し、胃炎、十二指腸炎、十二指腸潰瘍、下痢等に有効で、さらに、腎臓結石や虚血性心臓病の発症を抑え、血中コレステロールを低下させると共に、老人性痴呆症、パーキンソン病、脳血管障害、高脂質血症、糖尿性疾患等の予防、改善および治療、虫歯予防、ニキビ治療、皮膚の美白効果、血行促進効果、フケの発生抑制効果等がある。
【0025】
フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化した大豆またはこれらから精製単離したフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンは、医薬品および化粧品としても適用可能である。
【0026】
医薬品として使用するには、食品の場合と同様の条件で水に浸漬した大豆を食品の場合と同程度の粉状ないし粒状に加工して、これに通常の製薬上許容される担体を加えて、固体、半固体または液体の形態に調製する。具体的な形態としては、例えば錠剤、カプセル、丸剤、顆粒剤、散剤、乳濁液、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤等の経口投与剤、坐薬等の非経口投与剤、軟膏、クリーム等の外用剤等が挙げられる。
【0027】
製剤化に際しては、剤形に応じて従来より使用されている界面活性剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤などの担体を使用することができる。好ましくは、例えばデンプン、乳糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等の固形担体、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール等のアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の液体担体、さらに各種の動植物油、白色ワセリン、パラフィン、ロウ等の油性担体等が挙げられる。
【0028】
化粧品として使用するには、食品の場合と同様の条件で水に浸漬した大豆を食品の場合と同程度の粉状ないし粒状に加工して、これに通常の化粧品として許容される担体を加えて、固体、半固体または液体の形態に調製する。具体的な形態としては、例えばクリーム、おしろい、口紅等の皮膚に使用する化粧品、シャンプー、リンス、養毛料、整髪料、染毛料、脱毛料等の毛髪に使用する化粧品、歯磨き類、うがい剤、香錠等の口中に使用する化粧品等が挙げられる。
【0029】
以上の説明では大豆を例に挙げたが、他の胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽の場合も同様にして本発明方法に適用可能である。
【0030】
上記のようにしてマメ科植物から得られる本発明の食品と、イネ科植物から得られる本発明の食品とを混合してもよい。混合する際の形態は、特に限定されない。例えば、胚芽を含むマメ科植物の種子および/またはマメ科植物の胚芽と、胚芽を含むイネ科植物の種子および/またはイネ科植物の胚芽とを、60℃以下の温度で水に浸漬することによって得られるマメ科植物由来の食品と、イネ科植物由来の食品とを、そのまま混合してもよく、必要に応じて、例えば粉状ないし粒状に加工した後で混合してもよい。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
大豆(国産丸大豆)1000gを水道水で軽く洗浄し、水切りした後、ステンレス製容器中の水道水2000gに浸漬した。これと同じものを合計6個準備した。ついで、6個の容器中の水温を恒温槽中で10℃、20℃、30℃、40℃、50℃および60℃にそれぞれ調節し、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間経過時点でそれぞれ大豆を取り出し、軽く水切りした後、これらに含まれるフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量をそれぞれ測定した。フィチン酸の含有量は高速液体クロマトグラフ法により測定し、イノシトールおよびナイアシンの含有量は微生物定量法により測定した。結果を表1〜3に示す。
【0033】
【表1】
Figure 2004065249
【表2】
Figure 2004065249
【表3】
Figure 2004065249
【0034】
実施例2
玄米(品種:ひのひかり)を実施例1と同様にして処理し、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量をそれぞれ測定した。その結果を表4〜6に示す。
【0035】
【表4】
Figure 2004065249
【表5】
Figure 2004065249
【表6】
Figure 2004065249
【0036】
表1〜表6から、大豆および玄米は、水に浸漬することによりフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化していることがわかる。特に、水温を20〜40℃に調節して浸漬した場合に、大豆および玄米中のフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量の増加が顕著であった。
【0037】
実施例3
上記実施例1で水温を30℃に調節した水に24時間浸漬した大豆を粉砕機を用いて粉砕し、これをふるいにかけて62メッシュ以下(400μm以下)の粒度範囲の粉末と、62メッシュ〜32メッシュ(400μm〜800μm)の粒度範囲の粉末とに選別した。ついで、この2つの粒度範囲の粉末についてフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量をそれぞれ測定した。含有量は実施例1と同様にして測定した。結果を表7〜表9に示す。
【0038】
【表7】
Figure 2004065249
【表8】
Figure 2004065249
【表9】
Figure 2004065249
【0039】
実施例4
上記実施例2で水温を30℃に調節した水に24時間浸漬した玄米を粉砕機を用いて粉砕し、これをふるいにかけて62メッシュ以下(400μm以下)の粒度範囲の粉末と、62メッシュ〜32メッシュ(400μm〜800μm)の粒度範囲の粉末とに選別した。ついで、この2つの粒度範囲の粉末についてフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量をそれぞれ測定した。含有量は実施例2と同様にして測定した。結果を表10〜表12に示す。
【0040】
【表10】
Figure 2004065249
【表11】
Figure 2004065249
【表12】
Figure 2004065249
【0041】
表7〜表12から、粉砕によって粒度が過度に小さくなるとフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの残存率が低下する傾向にある。したがって、粉状に加工する際の粒度は、表7〜表12の結果から、400μm以上が適切であるが、粒度の下限がこれを下回っても使用可能である。
【0042】
実施例5
実施例1および2と同様にして大豆および玄米を30℃の水にそれぞれ24時間浸漬してフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化させた後、これらを粉砕して250〜450μmの粒度範囲の粉末をそれぞれ準備した。一方、水に浸漬せずに、同様にして粉砕した大豆粉末および玄米粉末をそれぞれ準備した。これらの大豆および玄米の味、香りについて21人のパネラーにより官能検査を実施した。比較方法は官能検査5点評価法を用いた。評価基準は、水に浸漬せず粉砕した大豆粉末および玄米粉末と比べて、水に浸漬して粉砕した大豆粉末および玄米粉末の味、香りが悪い場合には1点、やや悪い場合には2点、同程度の場合には3点、やや良い場合には4点、良い場合には5点とした。結果を表13に示す。
【0043】
【表13】
Figure 2004065249
【0044】
表13から、大豆および玄米を水に浸漬してフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化させ、粉状に加工することによって、味、香りがよくなり、旨味が向上していることがわかる。
【0045】
実施例6
実施例3および4で使用した大豆および玄米のうち、粒度範囲62メッシュ〜32メッシュ(400μm〜800μm)の粉末を、表14に記載の3種類の異なる混合比にて混合し、得られた混合粉末のフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンの含有量をそれぞれ測定した。含有量は実施例3,4と同様にして測定した。結果を表14に示す。
【表14】
Figure 2004065249
【0046】
実施例7
実施例3および4で使用した大豆および玄米のうち、粒度範囲400μm〜800μmの大豆粉末および玄米粉末と、これらを混合比5:5で混合した大豆・玄米の混合粉末(粒度範囲400μm〜800μm)とをそれぞれ準備した。
上記の混合粉末、大豆粉末および玄米粉末の味、香りについて10人のパネラーにより官能検査を実施した。大豆粉末・玄米粉末と比べて、混合粉末の味、香りが悪い場合には1点、やや悪い場合には2点、同程度の場合には3点、やや良い場合には4点、良い場合には5点とした。結果を表15に示す。
【表15】
Figure 2004065249
【0047】
表15から、大豆粉末と玄米粉末とを混合することによって、味、香りがよくなり、旨みが向上していることがわかる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の富化方法によれば、胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽におけるフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンを富化させることができるという効果がある。
【0049】
また、本発明の製造方法によれば、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された食品を得ることができるという効果がある。
【0050】
さらに、前記胚芽を含むマメ科植物の種子および/またはマメ科植物の胚芽と、前記胚芽を含むイネ科植物の種子および/またはイネ科植物の胚芽との混合物からなる本発明の食品は、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化されているだけでなく、味および香りがよくなって旨味が向上し、しかも高い抗酸化作用が期待できるという効果がある。

Claims (7)

  1. 胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬することを特徴とするフィチン酸の富化方法。
  2. 胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬することを特徴とするイノシトールの富化方法。
  3. 胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬することを特徴とするナイアシンの富化方法。
  4. 胚芽を含むマメ科植物若しくは胚芽を含むイネ科植物の種子、またはマメ科植物若しくはイネ科植物の胚芽を60℃以下の温度で水に浸漬することを特徴とする、フィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された食品の製造方法。
  5. 前記食品をさらに粉状ないし粒状に加工する請求項4記載の食品の製造方法。
  6. 60℃以下の温度で水に浸漬することによりフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された、胚芽を含むマメ科植物の種子および/またはマメ科植物の胚芽と、60℃以下の温度で水に浸漬することによりフィチン酸、イノシトールおよびナイアシンが富化された、胚芽を含むイネ科植物の種子および/またはイネ科植物の胚芽との混合物からなる食品。
  7. 前記胚芽を含むマメ科植物の種子および/またはマメ科植物の胚芽と、前記胚芽を含むイネ科植物の種子および/またはイネ科植物の胚芽とを粉状ないし粒状に加工した後で混合して得られる混合物からなる請求項6記載の食品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010063454A (ja) * 2008-08-12 2010-03-25 Shinshu Univ 穀物のポリフェノール富化加工方法、それらの穀物が含まれた食品
JP2014139182A (ja) * 2006-02-17 2014-07-31 Universitat De Les Illes Balears フィチン酸塩と亜鉛の一定量組み合わせ
CN113730420A (zh) * 2021-10-19 2021-12-03 上海交通大学医学院附属第九人民医院 一种天然分子pa在预防、治疗细胞或组织损伤制剂中的应用

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