JP2004062044A - 電子線、x線又はeuv用ネガ型レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子線、X線又はEUV光の照射によるパターン形成において、高感度、高解像力で、現像欠陥が低減されたネガ型レジスト組成物、更には、EUV光のような軟X線を光源とした場合でも、高感度、高解像力、良好なプロファイル、現像欠陥が低減されるとともに、ラインエッジラフネスが良好なネガ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】特定の繰り返し単位を含有するブロック単位Aとアルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bを含有するアルカリ可溶性ブロック共重合体、
電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物、及び
酸により架橋する架橋剤を含有することを特徴とする電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】特定の繰り返し単位を含有するブロック単位Aとアルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bを含有するアルカリ可溶性ブロック共重合体、
電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物、及び
酸により架橋する架橋剤を含有することを特徴とする電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造に於いてはハーフミンクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる照射装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠赤外光やエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArFなど)が検討されるまでになってきている。更に、電子線またはX線により更に微細なパターン形成が検討されるに至っている。
【0002】
特に電子線あるいはX線は次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられている。
電子線リソグラフィーは、加速された電子線がレジスト材料を構成する原子と衝突散乱を起こす過程でエネルギーを放出し、レジスト材料を感光させるものである。高加速化した電子線を用いることで直進性が増大し、電子散乱の影響が少なくなり高解像のパターン形成が可能となるが、一方では電子線の透過性が高くなり、感度が低下してしまう。この様に、電子線リソグラフィーにおいては、感度と解像性・レジスト形状がトレードオフの関係にあり、これを如何に両立し得るかが課題であった。
【0003】
また、化学増幅型ネガレジストについては、種々のアルカリ可溶性樹脂が提案されてきた。特開平8−152717号には部分アルキルエーテル化されたポリビニルフェノールが、特開平6−67431号、特開平10−10733号にはビニルフェノールとスチレンの共重合体が、特許第2505033号にはノボラック樹脂が、特開平7−311463号、特開平8−292559号には単分散ポリビニルフェノールがそれぞれ開示されているが、これらのアルカリ可溶性樹脂では電子線あるいはX線照射下での感度と解像性の特性を両立し得るものではなかった。
【0004】
電子線レジストでは、まずバインダーが電子線を受け、ここから発生する二次電子を酸発生剤が受け取って分解し、酸が発生すると報告されている。バインダーに二次電子を発生しやすい構造、形態を取り入れることにより酸発生効率が高く、電子線レジストに有利と考えられる。
また、EUV(Extreme Ultraviolet: 波長13nm)やX線レジストも同じく二次電子により酸発生剤が分解して酸が発生すると報告されており、バインダーに二次電子を発生しやすい構造、形態を取り入れることは同様に有効に作用するものと考えられる。
【0005】
特開平11−149160号には、アルカリ可溶性のブロック共重合体であって、(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される繰り返し単位を有するブロック単位Aとブロック単位Bよりなる樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物が開示されているが、該記述による組成物をレジスト組成物として適用すると、現像欠陥の増大、及び0.10ミクロン程度の高解像力が得られない(解像力劣化)という問題が生じる。
【0006】
EP1141782号には、フッ素含有ブロック単位と、ペンダント型加水分解性エステルを有するブロック単位を含有する樹脂が開示されているが、アルカリ現像による現像欠陥及びネガ型組成物に適用できるという問題がある。
また、特開平3−119014号、同3−282468号にはカルボキシル基含有樹脂を有する光重合組成物が開示されているが、高解像力が得られないという問題がある。
【0007】
このように、高感度、高解像力とともに、現像欠陥を低減することは困難であった。
【0008】
また、軟X線(例えばEUV光)を光源とする場合、これまで用いられてきた屈折光学系に適したレンズ材料が得られないため反射光学系となり、複数の多層膜ミラー及び反射型マスクを用いた軟X線反射型縮小投影露光法が適用される。この場合、多層膜ミラーの反射率には自ずと限界があるため、複数のミラーで反射されることにより、最終的にウェハー面に到達する光量は著しく低下する。従って、軟X線反射型縮小投影露光法を適用する場合には、用いられるレジストの感度を最大限に高める必要があった。しかしながら、現状実用的な感度を有するレジストが存在しない問題点があった。
【0009】
また、レジストに用いられる材料の軟X線領域での吸収が大きいため、充分な光量がレジスト底部に到達せず、矩形な形状を有するパターンが得られない等の問題点があった。これに対してはレジスト膜を薄膜化することによる対応が考えられるが、この場合、ドライエッチング耐性が不足する別な問題点を誘起する。更には今後益々、レジストパターンの微細化、高精度化が要求される中でレジストパターンのラフネス(Line Edge Roughness:LER)を如何に制御するかが重要課題として挙がっている。
【0010】
以上、軟X線縮小投影露光法が抱える問題点に対して、3層レジスト法を適用したパターン形成法(特開平5−121312号公報)、高濃度の光酸発生剤を用いる方法(特開2002−55457号公報)、電子を効率的に発生する物質からなる層を設けるパターン形成法(特開平5−136026号公報)、多環式不飽和炭化水素誘導体を用いた材料(特開2001−328964号公報)、レジスト膜からの低分子量化合物の発生を抑制することでパターン形状の乱れを制御するパターン形成法(特開2000−347411号公報)、また、装置側からの改良(特開平7−263322号公報、特開2002−15970号公報)等が報告されている。
しかしながら、これらの方法では現状の問題点を解決するには不充分であり、新たな解決法が切望されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、電子線、X線又はEUV光の照射によるパターン形成において、高感度、高解像力で、現像欠陥が低減されたネガ型レジスト組成物を提供することにある。また、EUV光のような軟X線を光源とした場合でも、高感度、高解像力、良好なプロファイル、現像欠陥が低減されるとともに、ラインエッジラフネスが良好なネガ型レジスト組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は下記の構成により達せられた。
(1)(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有するブロック単位Aとアルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bを含有するアルカリ可溶性ブロック共重合体、
(B)電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物、及び
(C)酸により架橋する架橋剤
を含有することを特徴とする電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0013】
【化4】
【0014】
一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表す。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rは、複数のとき同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基を表す。
m及びnは、各々、1〜3の整数を表し、m+n=5である。
但し、nが1のとき、4つのRの内少なくとも一つは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基である。
【0015】
(2)該ブロック単位Bが下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(1)に記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0016】
【化5】
【0017】
一般式(2)において、
R6およびR7は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。
R8は水素原子、フェニル基、シアノ基または−COOR12(但し、R12は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を示す。)を表す。
R9は水素原子、シアノ基または−COOR13(但し、R13は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表す。
【0018】
(3)該アルカリ可溶性ブロック共重合体が含有するブロック単位Aが更に下記一般式(1’)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0019】
【化6】
【0020】
一般式(1’)において、
R2は及びR3は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。
R4は、水素原子、フェニル基、シアノ基または−COOR10(但し、R10は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表す。
R5は水素原子、シアノ基または−COOR11(但し、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表すか、あるいはR4とR5とが結合して酸無水物基を形成する。
【0021】
(4)(B)成分の化合物が、スルホニウム又はヨードニウムのスルホン酸塩化合物から選択されることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0022】
(5)(B)成分の化合物が、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
(6)(C)成分の酸により架橋する架橋剤が、分子内にベンゼン環原子団を3〜5個含み、ヒドロキシメチル基及び/又はアルコキシメチル基をそのベンゼン環原子団に2個以上有するフェノール誘導体であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0023】
(7)更に(D)有機塩基性化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
(8)更に(E)フッ素系及び/またはシリコン系界面活性剤を含むことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
(7)更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のネガ型レジスト組成物を構成する成分について説明する。
【0025】
〔1〕(A)アルカリ可溶性ブロック共重合体
本発明において使用される樹脂は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有するブロック単位Aと、アルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bとを含有するアルカリ可溶性のブロック共重合体である。
アルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bは、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
また、ブロック単位Aは、更に上記式(1’)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
尚、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ現像液(好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)によって溶解し、現像処理を可能とする溶解性を意味する。
【0026】
ブロック共重合体において、式(1)、式(1’)、又は式(2)で表される繰り返し単位は、それぞれ単独でまたは2種以上が存在することができ、またブロック単位Aおよびブロック単位Bが2種以上の繰り返し単位からなる共重合体ブロックであるとき、各ブロックを構成する共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0027】
まず、式(1)で表される繰り返し単位について説明する。
一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表す。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rは、複数のとき同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基を表す。
m及びnは、各々、1〜3の整数を表し、m+n=5である。
但し、nが1のとき、4つのRの内少なくとも一つは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基である。
【0028】
Rとしてのアルキル基としては、直鎖、分岐又は環状であり、好ましくは炭素数1〜6個の直鎖又は分岐アルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、好ましくは、直鎖又は分岐の炭素数1〜4のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基を挙げることができる。
【0029】
アラルキル基としては、好ましくは、炭素数7〜11個のアラルキル基であって、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
アラルキロキシ基としては、例えば、上記アラルキル基にオキシド基が結合したもの、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などを挙げることができる。
【0030】
Rとしてのこれらの基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
尚、Rが水素原子のときは、ベンゼン環の水素原子に対し無置換であることを意味する。
【0031】
Lの2価の連結基としては、置換基を有しても良い、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、もしくはアリーレン基、又は−O−、−SO2−、−O−CO−R25−、−CO−O−R26−、−CO−N(R27)−R28−を表す。R25、R26、R28は同じでも異なっていても良く、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基もしくはウレイド基を有しても良い、また置換基を有しても良い、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基を表す。R27は水素原子、置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。
【0032】
L、R25、R26、R28のアルキレン基としては、好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基であり、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等を挙げることができる。
アルケニレン基としては、好ましくは炭素数2〜6個のアルケニレン基であり、例えばエテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等を挙げることができる。
シクロアルキレン基としては、好ましくは炭素数5〜8個のシクロアルキレン基であり、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等を挙げることができる。
アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜12個のアリーレン基であり、例えばフェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。
また、R27のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8個のアルキル基であって、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を挙げることができる。
シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でも良い。単環型としては炭素数3〜8個の例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を好ましく挙げることができる。多環型としては例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基等を好ましく挙げることができる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜15個のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12個のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0033】
L、R25〜R28が有してもよい置換基としては、例えば、Rが有してもよい置換基と同様のものを挙げることができる。
【0034】
式(1)で表される繰り返し単位の具体例としては、以下のものを挙げることができる。尚、以下において、Phはフェニル基を表す。
【0035】
【化7】
【化8】
【化9】
【0036】
次に、一般式(1’)で表される繰り返し単位について説明する。
R4としてのフェニル基は、置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)及び/又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)を有していてもよい。R4としての−COOR10およびR5としての−COOR11は、例えば、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ポルニルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、トリシクロデカニルオキシカルボニル基、ノルボニルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0037】
式(1’)で表される繰り返し単位の具体例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、無水マレイン酸等に由来する繰り返し単位を挙げることができる。これらの繰り返し単位のうち、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸アダマンチル等に由来する繰り返し単位が好ましい。
【0038】
ブロック単位Aにおいて、式(1)で表される繰り返し単位の含有率は、通常、70〜100モル%、好ましくは90〜100モル%であり、式(1’)で表される繰り返し単位の含有率は、通常、0〜30モル%、好ましくは0〜10モル%である。この場合、式(1)で表される繰り返し単位の含有率が70モル%未満では、ブロック共重合体のアルカリ溶解性が十分でなく、組成物の現像性が低下する傾向がある。
【0039】
本発明における特に好ましいブロック単位Aとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0040】
ポリ(3,4−ジヒドロキシスチレン)、ポリ(3,4,5−トリヒドロキシスチレン)、ポリ(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン)、ポリ(3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン)、ポリ(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)、3,4−ジヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、3,4−ジヒドロキシスチレン/α−メチルスチレン共重合体、3,4,5−トリヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、3,4,5−トリヒドロキシスチレン/α−メチルスチレン共重合体、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン共重合体、
3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン共重合体、
3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸イソボルニル共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル共重合体、
3,4−ジヒドロキシスチレン/4−メトキシスチレン共重合体、
3,4,5−トリヒドロキシスチレン/4−メトキシスチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/4−メトキシスチレン共重合体等からなるブロックを挙げることができる。
【0041】
次に、一般式(2)の繰り返し単位について説明する。
R8としてのフェニル基は、置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)及び/又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)を有していてもよい。
R8の基−COOR12およびR9の基−COOR13としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ボルニルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、トリシクロデカニルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0042】
式(2)で表される繰り返し単位の具体例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル等に由来する繰り返し単位を挙げることができる。これらの繰り返し単位のうち、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル等に由来する繰り返し単位が好ましい。
【0043】
本発明における特に好ましいブロック単位Bとしては、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソボルニル、ポリ(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、スチレン/α−メチルスチレン共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸イソボルニル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル共重合体等からなるブロックを挙げることができる。
【0044】
ブロック共重合体のブロック構造としては、例えば、(A−B)n型(但し、nは1以上の整数である。)、A−B−A型、B−A−B型、3つ以上のポリマー鎖を有する星型等の構造を挙げることができる。これらのブロック構造のうち、1つ以上のブロック単位Aがブロック共重合体の分子鎖末端に存在する構造、例えば、A−B型、A−B−A型、A−B−A−B型等が好ましく、A−B−A型が特に好ましい。
ブロック共重合体、例えば、下記の方法等により製造することができる。
(i)各ブロック単位に対応する単量体を順次、リビングアニオン重合により重合する方法。
(ii)各ブロック単位に対応する単量体を順次、リビングアニオン重合により
重合する方法。
(iii)各ブロック単位に対応する単量体を別々に、リビングアニオン重合により重合して、各ポリマー鎖末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、これらの末端リビングアニオンを活用して両者のポリマー結合する方法。
【0045】
以下、本発明のブロック共重合体の製造方法について説明する。
まず、(i)の方法は、例えば、ブロック単位Aに対応する単量体とブロック単位Bに対応する単量体とを順次、1官能性のアニオン重合開始剤を用いて重合し、必要に応じて、何れか一方の単量体の重合を継続し、あるいは両者の単量体の重合を繰り返すことにより、例えば、(A−B)n型、A−B−A型等のブロック共重合体を合成することができる。また、先に重合させる単量体の重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行なったのち、他方の単量体を重合することにより、例えば、A―B−A型のブロック共重合体を合成することができる。(i)の方法に使用されるアニオン重合開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム等の1官能性のアニオン重合開始剤;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチオヘプタン、1,10−ジリチオオクタン等の2官能性のアニオン重合開始剤等を挙げることができる。(i)の方法におけるリビングアニオン重合は、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒中で、場合により、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物や、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン化合物等の存在下にて実施することができる。この様な(i)の方法により、任意のブロック単位数を有するブロック共重合体を合成することができる。
【0046】
次に、(ii)の方法は、ブロック単位Aに対応する単量体とブロック単位Bに対応する単量体とを順次、例えば、下記一般式(3)で表されるラジカル(以下、「特定ラジカル」という。)および該ラジカル以外のラジカル重合開始剤の存在下で重合し、必要に応じて、何れか一方の単量体の重合を継続し、あるいは両者の単量体の重合を繰り返すことにより、例えば、(A−B)n−型、A−B−A型等のブロック共重合体を合成することができる。
【0047】
【化10】
【0048】
〔一般式(3)において、R14、R15およびR16は相互に独立に水素原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3〜10の脂環式基または置換もしくは非置換の炭素数6〜20の芳香族基を示し、R17、R18、R19およびR20は相互に独立に炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す〕。
【0049】
式(3)において、R14、R15およびR16のアルキル基あるいはアルキル部分としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基等が好ましく、R14、R15およびR16の脂環式基の具体例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基、p−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、R14、R15およびR16の芳香族基の具体例としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基等を挙げることができる。また、R17、R18、R19およびR20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができ、R17、R18、R19およびR20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、p−メチルベンジル基、フェネチル基、p−メチルフェネチル基等を挙げることができる。
【0050】
特定ラジカルの具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−プロピルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−i−プロピルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−ブチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−t−ブチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−ヘキシルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−オクチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−デシルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラベンジルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4−ジヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4,5−トリヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−シアノピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4−ジメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4,5−トリメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−メトキシエチル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−エトキシエチル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシカルボニルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシカルボニルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシカルボニルオキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシカルボニルオキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−シクロヘキシルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェニルピペリジニル−1−オキシラジカル等を挙げることができる。
【0051】
これらの特定ラジカルのうち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル等が好ましい。前記特定ラジカルは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
また、(ii)の方法で特定ラジカルと共に使用されるラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができ、具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。(ii)の方法における特定ラジカルとラジカル重合開始剤との使用割合は、得られるブロック共重合体の特性、特に分子量分布を決定する上で重要であり、特定ラジカルに対するラジカル重合開始剤のモル比が、好ましくは10〜0.5、さらに好ましくは5〜1となる割合である。この場合、前記モル比が10を超えると、得られるブロック共重合体の分子量分布が広がる傾向があり、また0.5未満では、重合速度が低下するとともに、高価な特定ラジカルの使用量が多くなり、工業的観点から好ましくない。また、(ii)の方法における特定ラジカルおよびラジカル重合開始剤の合計使用量は、最初のブロック単位を形成する単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。(ii)の方法のリビングラジカル重合において、重合温度は、通常、50〜150℃、好ましくは60〜140℃であり、重合時間は、通常、5〜30時間、好ましくは5〜20時間である。このような(ii)の方法により、任意のブロック単位数を有するブロック共重合体を合成することができる。
【0053】
次に、(iii)の具体的方法としては、例えば、下記(iii−1)〜(iii−3)の方法等を挙げることができる。
(iii−1)ブロック単位Aに対応する単量体およびブロック単位Bに対応する単量体を別々に、1官能性のアニオン重合開始剤を用いてアニオン重合することにより、片末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、一方のリビングポリマーのリビングアニオンを極性化合物により停止させて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、ハロゲン原子等の官能基を末端に有するポリマーを合成し、該ポリマーの末端官能基と他方のリビングポリマーの末端リビングアニオンとを反応させて結合することにより、例えば、A−B型のブロック共重合体を合成することができる。また、一方のブロック単位に対応する単量体のリビングアニオン重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行ない、上記と同様に処理することにより、例えば、A−B−A型のブロック共重合体を合成することができる。この場合、末端水酸基を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーをエチレンオキシドで停止させることにより得ることができ、末端カルボキシル基を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーを二酸化炭素で停止させることにより得ることができ、末端イソシアネート基を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーを過剰量のトリレンジイソシアネートで停止させることにより得ることができ、末端ハロゲン原子を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーを過剰量の1,2−ジブロモエタンで停止させることにより得ることができる。
【0054】
(iii−2)ブロック単位Aに対応する単量体およびブロック単位Bに対応する単量体を別々に、1官能性のアニオン重合開始剤を用いてアニオン重合することにより、片末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、それぞれのリビングポリマーのリビングアニオン末端を別々に極性化合物により停止させて、例えば、水酸基を末端に有するポリマーとカルボキシル基あるいはイソシアネート基を末端に有するポリマーを合成し、両者の水酸基とカルボキシル基あるいはイソシアナートとをエステル化あるいはウレタン化反応により結合させて、例えば、A―B型のブロック共重合体を合成することができる。また、一方のブロック単位に対応する単量体のリビングアニオン重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行ない、上記と同様に処理することにより、例えば、A−B−A型のブロック共重合体を合成することができる。
【0055】
(iii−3)ブロック単位Aに対応する単量体およびブロック単位Bに対応する単量体を別々に、1官能性のアニオン重合開始剤を用いてアニオン重合することにより、片末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、両者のリビングポリマーの混合物を2官能以上のカップリング剤でカップリングすることにより、A−B型、星型等のブロック共重合体を合成することができる。また、少なくとも一方のブロック単位に対応する単量体のリビングアニオン重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行ない、上記と同様に処理することにより、さらに多くのポリマー鎖を含有するブロック構造を有するブロック共重合体を合成することができる。(iii)の方法におけるリビングアニオン重合は、前記(i)の方法と同様にして実施することができる。また、(iii−3)の方法に使用されるカップリング剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート、ジビニルベンゼン、ジメチルジクロロけい素、メチルトリクロロけい素、テトラクロロけい素、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン等を挙げることができる。なお、(iii−3)の方法では、場合により、ブロック単位Aあるいはブロック単位Bのみからなるポリマーも生成されるが、本発明においては、該ポリマーを含有する混合物をそのまま使用しても、また該ポリマーを除去して使用してもよい。
【0056】
本発明における好ましいブロック共重合体を、各ブロック単位の組み合せ(ブロック単位A−ブロック単位B、ブロック単位A−ブロック単位B−ブロック単位A等)としてより具体的に例示すると、下記のとおりである。
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリα−メチルスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリα−メチルスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリα−メチルスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシ−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸イソボルニル−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸イソボルニル−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。
【0057】
ブロック共重合体における各ブロック単位の含有率は、ブロック単位Aが、通常、50〜90質量%、好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは60〜85質量%であり、ブロック単位Bが、通常、10〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜40質量%である。この場合、ブロック単位Aの含有率が50質量%未満では、ブロック共重合体のアルカリ溶解性が十分でなく、組成物の現像性が低下する傾向があり、一方90質量%を超えると、組成物の非露光部が膨潤しやすくなり、その結果解像度が低下する傾向がある。
ブロック共重合体のゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、3,000〜200,000、好ましくは4,000〜100,000、さらに好ましくは4,000〜50,000である。この場合、ブロック共重合体のMwが3,000未満では、組成物の解像度が低下する傾向があり、一方200,000を超えると、ブロック共重合体のアルカリ溶解性が十分でなく、組成物の現像性が低下する傾向がある。また、ブロック共重合体のMwとゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜3.0、好ましくは1.0〜1.5である。この場合、ブロック共重合体のMw/Mnが3.0を超えると、組成物の現像性が低下する傾向がある。本発明において、ブロック共重合体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
〔2〕(B)電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤ともいう)
アルカリ可溶性樹脂とともに酸発生剤を用いる。アルカリ可溶性樹脂とともに用いられる酸発生剤は、電子線、X線又はEUV光(Extreme Ultraviolet: 波長13nm)の照射により酸を発生する化合物であればいずれの化合物でも用いることができる。
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の電子線の照射により酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0059】
例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表されるスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
また、これらの酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の酸を発生する化合物も使用することができる。
【0060】
本発明においては、有機酸を発生するオニウム塩化合物が好ましく、特に好ましくは下記一般式(I)〜一般式(III)で示されるオニウム塩化合物である。
【化11】
〔一般式(I)〜(III)において、R1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は−S−R38で示せる基を表す。−S−R38中のR38は、アルキル基又はアリール基を表す。R1〜R38は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1〜R15の場合、その中から選択される二つ以上は互いに直接末端で結合しあい、あるいは酸素、イオウ及び窒素から選ばれる元素を介して結合しあって環構造を形成していてもよい。R16〜R27の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。R28〜R37の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。
X−はスルホン酸のアニオンである。〕
【0061】
一般式(I)〜一般式(III)中のR1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、または、−S−R38で示すこと
ができる基である。
【0062】
R1〜R37が表すアルキル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。直鎖状又は分岐状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基など、例えば炭素数1〜4個のアルキル基を挙げることができる。環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など炭素数3〜8個のアルキル基を挙げることができる。
R1〜R37が表すアルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状アルコキシ基でもよい。直鎖状又は分岐状アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜8個のもの例えばメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、オクチルオキシ基などを挙げることができる。環状アルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0063】
R1〜R37が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R1〜R37が表す−S−R38中のR38は、アルキル基、又はアリール基である。R38が表すアルキル基の範囲としては、例えばR1〜R37が表すアルキル基として既に列挙したアルキル基中のいずれをも挙げることができる。
R38が表すアリール基は、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基など、炭素数6〜14個のアリール基を挙げることができる。
R1〜R38が表すアルキル基以下、アリール基までは、いずれも基の一部に更に置換基を結合して炭素数を増やしていてもよく、置換基を有していなくてもよい。更に結合していてもよい置換基としては、好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基を挙げることができ、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等も挙げることができる。その他、ハロゲン原子でもよい。たとえば、フッ素原子、塩素原子、沃素原子を挙げることができる。
【0064】
一般式(I)中のR1〜R15で示す基は、そのうちの2つ以上が結合し、環を形成していてもよい。環は、R1〜R15で示す基の末端が直接結合して形成してもよい。炭素、酸素、イオウ、及び窒素から選択される1種又は2種以上の元素を介して間接的に結びあい、環を形成していてもよい。
R1〜R15のうちの2つ以上が結合して形成する環構造としては、フラン環、ジヒドロフラン環、ピラン環、トリヒドロピラン環、チオフェン環、ピロール環などに見られる環構造と同一の構造を挙げることができる。一般式(II)中のR16〜R27についても同様のことを言うことができる。2つ以上が直接又は間接に結合し、環を形成していてもよい。一般式(III)中のR28〜R37についても同様である。
【0065】
一般式(I)〜(III)はX−を有する。一般式(I)〜(III)が有するX−は、スルホン酸のアニオンである。アニオンを形成している酸は、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸の中から選択される酸であることが好ましい。酸には1以上のフッ素原子が置換しているとより好ましい。又はその酸は、そのフッ素原子とともにあるいはフッ素原子に代え、アルキル基、アルコキシル基、アシル基、アシロキシル基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、からなる群から選択された少なくとも1種の有機基を有し、しかも、その有機基は少なくとも1個のフッ素原子を更に置換していることが好ましい。また、上記のアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、フッ素以外のハロゲン原子、水酸基、ニトロ基等で置換されていてもよい。
【0066】
X−のアニオンを形成するベンゼンスルホン酸などに結合するアルキル基は、例えば炭素数1〜12のアルキル基である。
アルキル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは25個以下のフッ素原子が置換している。具体的にはトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ヘプタフロロイソプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基、パーフロロシクロヘキシル基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が好ましい。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアルコキシ基は、炭素数が1〜12のアルコキシ基である。アルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは25個以下のフッ素原子が置換している。
具体的にはトリフロロメトキシ基、ペンタフロロエトキシ基、ヘプタフロロイソプロピルオキシ基、パーフロロブトキシ基、パーフロロオクチルオキシ基、パーフロロドデシルオキシ基、パーフロロシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルコキシ基が好ましい。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアシル基は、炭素数2〜12、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセチル基、フロロアセチル基、ペンタフロロプロピオニル基、ペンタフロロベンゾイル基等を挙げることができる。
【0067】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアシロキシ基は、炭素数が2〜12、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセトキシ基、フロロアセトキシ基、ペンタフロロプロピオニルオキシ基、ペンタフロロベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するスルホニル基としては、炭素数が1〜12、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニル基、ペンタフロロエタンスルホニル基、パーフロロブタンスルホニル基、パーフロロオクタンスルホニル基、ペンタフロロベンゼンスルホニル基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記スルホニルオキシ基としては、炭素数が1〜12、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルオキシ、パーフロロブタンスルホニルオキシ基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記スルホニルアミノ基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルアミノ基、パーフロロブタンスルホニルアミノ基、パーフロロオクタンスルホニルアミノ基、ペンタフロロベンゼンスルホニルアミノ基等を挙げることができる。
【0068】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アリール基としては、炭素数が6〜14、1〜9個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニル基、4−トリフロロメチルフェニル基、ヘプタフロロナフチル基、ノナフロロアントラニル基、4−フロロフェニル基、2,4−ジフロロフェニル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アラルキル基としては、炭素数が7〜10、1〜15個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニルメチル基、ペンタフロロフェニルエチル基、パーフロロベンジル基、パーフロロフェネチル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アルコキシカルボニル基としては、炭素数が2〜13、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメトキシカルボニル基、ペンタフロロエトキシカルボニル基、ペンタフロロフェノキシカルボニル基、パーフロロブトキシカルボニル基、パーフロロオクチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0069】
このようなアニオンの中で、最も好ましいX−はフッ素置換ベンゼンスルホン酸アニオンであり、中でもペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンが特に好ましい。
また、上記含フッ素置換基を有するアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、さらに直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基(これらの炭素数範囲は前記のものと同様)、ハロゲン(フッ素を除く)、水酸基、ニトロ基等で置換されてもよい。
【0070】
以下に、これらの一般式(I)〜(III)で表される化合物及びその他の具体例を示すが、これに限定されるものではない。また、以下の具体例の各化合物のカチオン部と別の化合物のアニオン部と組み合わせた化合物も、酸発生剤の具体例として例示できる。
一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0071】
【化12】
【0072】
【化13】
【0073】
【化14】
【0074】
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0075】
【化15】
【0076】
【化16】
【0077】
一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】
【化19】
【0081】
式(I)〜(III)で表される化合物以外の化合物の具体例を以下に示す。
【0082】
【化20】
【0083】
【化21】
【0084】
【化22】
【0085】
【化23】
【0086】
【化24】
【0087】
【化25】
【0088】
一般式(I)、一般式(II)の化合物は、次のような方法で合成できる。例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬とフェニルスルホキシドとを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する。別の方法もある。例えば、フェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法がある。また、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。上記のいずれの方法でも、フェニルスルホキシドは、置換基をベンゼン環に置換させていてもよく、そのような置換基がなくてもよい。
一般式(III)の化合物は過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させることにより合成可能である。
【0089】
また、本発明で使用される酸発生剤としては、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル化合物が好ましい。
N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル化合物としては、例えば下記一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体が挙げられる。
【0090】
【化26】
【0091】
R60は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。A60は、置換基を有していてもよい、アルキレン基、環状アルキレン基、アルケニレン基、環状アルケニレン基、又はアリーレン基を示す。
上記一般式(PAG6)中、R60は、置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜18、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、CF3、C4F9等が挙げられる)、又は、置換基を有していてもよいアリール基(好ましくは炭素数6〜14、具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる)を示す。
【0092】
A60は、置換基を有していてもよい、アルキレン基(好ましくは炭素数2〜10)、環状アルキレン基(好ましくは炭素数6〜14)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜10)、環状アルケニレン基(好ましくは炭素数6〜14)、又はアリーレン基(好ましくは炭素数6〜14、例えばベンゼン環、ナフタレン環を含む2価の基)を示す。ここで、環状アルキレン基としては、シクロヘキサン残基、ノルボルナン残基等が挙げられる。環状アルケニレン基としては、シクロヘキセン残基、ノルボルネン残基等が挙げられる。
また、上記の基中で、環状構造を有するものは、環を構成する炭素原子の代わりに酸素原子等を含んでいてもよい。
【0093】
これら基が有していてもよい置換基として、好ましくは、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜5個のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、樟脳残基等が挙げられる。
【0094】
以下、一般式(PAG6)で示される化合物の具体例を示す。本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0095】
【化27】
【0096】
【化28】
【0097】
【化29】
【0098】
【化30】
【0099】
【化31】
【0100】
これらの化合物は、例えばG.F. Jaubert著、Ber., 28, 360(1895)、D.E. Amesら著、J. Chem. Soc., 3518(1955)又はM.A. Stolbergら著、J. Amer. Chcm. Soc., 79, 2615(1957)等に記載の方法により製造される。
環状N−ヒドロキシイミド化合物と、R60−SO2Cl(式中、R60は前記と同じ意味を有する。)で示されるスルホン酸クロリドとを、塩基性条件下に、例えば、L. Baucrら著、J. Org. Chem., 24, 1293(1959)等に記載の方法に従い製造することができる。
【0101】
本発明で使用する酸発生剤の含有量は、全ネガ型レジスト組成物の固形分に対し、0.1〜20質量%が適当であり、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。
【0102】
〔3〕(C)酸により架橋する架橋剤
本発明のネガ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性ブロック共重合体、酸発生剤とともに、酸により架橋する化合物(以下、適宜、酸架橋剤又は単に架橋剤と称する)を使用する。
(3)−1
好ましい架橋剤として、フェノール誘導体を挙げることができる。
本発明において使用する架橋剤としてのフェノール誘導体は、好ましくは、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、さらにヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
フェノール誘導体の分子量は、好ましくは1200以下、250〜1000がより好ましく、250〜800が特に好ましい。
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】
【化34】
【0106】
【化35】
【0107】
【化36】
【0108】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。)
ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL1〜L8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、欧州特許EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
このようにして合成されたヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。
ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(3)−2 上記フェノール誘導体以外にも、例えば、下記の(i)、(ii)の化合物も架橋剤として使用できる。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物
(ii) エポキシ化合物
【0109】
これらの架橋剤については以下に詳細に説明する。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−A」と記載する)第0,133,216号、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号に開示された単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号に開示されたアルコキシ置換化合物等に開示されたベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。
更に好ましい例としては、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が挙げられ、中でもN−アルコキシメチル誘導体が特に好ましい。
【0110】
(ii) エポキシ化合物としては、一つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号公報、英国特許第1,539,192号公報に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0111】
本発明においては、上記のフェノール誘導体が好ましい。
上記のフェノール誘導体に加え、例えば上述のような他の架橋剤(i)、(ii)を併用することもできる。
上記のフェノール誘導体に加えて併用しうる他の架橋剤の比率は、モル比で100/0〜20/80、好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜50/50である。
【0112】
架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。架橋剤の添加量が3質量%未満であると残膜率が低下し、また、70質量%を越えると解像力が低下し、更にレジスト液の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0113】
〔4〕(D)有機塩基性化合物
本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0114】
【化37】
【0115】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251 とR252 は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
【0116】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0117】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0118】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0119】
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0120】
〔5〕(E)界面活性剤類
本発明のネガ型レジスト組成物には、界面活性剤を加えることもできる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173 (大日本インキ(株)製)、フロラ−ドFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等を挙げることができる。
【0121】
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤として、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0122】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0123】
界面活性剤の使用量は、レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.001〜1質量%である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。これらの界面活性剤の添加により、レジスト膜の面内均一性が増し、解像力が向上する効果がある。
〔6〕(F)溶剤類
本発明のネガ型レジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
特に好ましい溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶媒である。
【0124】
〔7〕 染料
本発明のネガ型レジスト組成物には必要に応じて、更に染料などを含有させることができる。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0125】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明のネガ型レジスト組成物を塗布し、次に電子線、X線又はEUV描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
本発明のネガ型レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(通常0.1〜10質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0126】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0127】
1.構成素材の合成例
(1)ブロック共重合体の合成
合成例1
ジビニルベンゼン1000ミリリットルに、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(以下、「TEMPO」という。)0.320モルおよび過酸化ベンゾイル0.267モルを、脱気下で溶解し、90℃にて3時間反応させた。次いで、未反応ジビニルベンゼンを減圧下で除去したのち、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(質量比=90/10)を展開溶媒とする中圧シリカゲルカラム分別により、下記式で表される化合物(以下、「DVB−TEMPO」という。)を得た。
【0128】
【化38】
【0129】
続いて、スチレン100gおよびDVB−TEMPO 42gを、トルエン100gに溶解して均一溶液とし、30分間窒素バブリングを行なったのち、窒素バブリングを継続しつつ、反応温度を125℃に維持して、7時間重合させた。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解させ、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、その後減圧下50℃で乾燥して、白色のポリスチレンを得た。続いて、前記ポリスチレン20gをトルエン100gに溶解し、さらに3,4−ジアセトキシスチレン130gを添加した。この溶液を30分間窒素バブリングを行なったのち、窒素バブリングを継続しつつ、反応温度を125℃に維持して、7時間重合させた。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解させ、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、その後減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。この重合体は、ポリ3,4−ジアセトキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジアセトキシスチレンのブロック共重合体であった。続いて、前記ブロック共重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解したのち、25質量%アンモニア水溶液50gを添加し、80℃で5時間攪拌して、加水分解を行なった。次いで、反応溶液を0.2質量%しゅう酸水溶液中に投入して、共重合体を凝固させ、凝固した共重合体を水洗したのち、減圧下50℃で乾燥して、白色の共重合体を得た。この共重合体は、A−B−A型(ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン)の(イ)ブロック共重合体であり、Mwが8,300、Mw/Mnが1.29であり、13C−NMR測定によるp−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体が70/30であった。この(イ)ブロック共重合体を、アルカリ可溶性樹脂成分(P−1)とする。
【0130】
合成例2
テトラヒドロフラン1000ミリリットルに、アニオン重合開始剤としてn−ブチルリチウム0.0065モルを溶解したのち、−80℃に冷却した。この溶液に、3,4−ジ−t−ブトキシスチレン42gを添加して、2時間重合させたのち、スチレン10gを添加して、2時間重合を継続させ、さらにp−t−ブトキシスチレン30gを添加して、2時間重合を継続させた。次いで、反応溶液にメタノールを添加して重合を停止させたのち、多量のメタノールと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解させ、再度メタノールにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、その後減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。この重合体は、ポリ3,4−ジ−t−ブトキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジ−t−ブトキシスチレンのブロック共重合体であった。続いて、前記ブロック共重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解したのち、20質量%硫酸水溶液20gを添加し、90℃で12時間攪拌して、加水分解を行なった。次いで、反応溶液を蒸留水中に投入して、共重合体を凝固させ、凝固した共重合体を水洗したのち、減圧下50℃で乾燥して、白色の共重合体を得た。この共重合体は、A−B−A型(ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン)の(イ)ブロック共重合体であり、Mwが7,500、Mw/Mnが1.20であり、13C−NMR測定によるp−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合比が80/20であった。この(イ)ブロック共重合体を、アルカリ可溶性樹脂成分(P−2)とする。
【0131】
他のアルカリ可溶性樹脂も同様にして合成した。
【0132】
(2)酸発生剤
(2−1)ペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の合成ペンタフロロベンゼンスルホニルクロリド25gを氷冷下メタノール100mlに溶解させ、これに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液100gをゆっくり加えた。室温で3時間攪拌するとペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液が得られた。この溶液をスルホニウム塩、ヨードニウム塩との塩交換に用いた。
【0133】
(2−2)トリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成ジフェニルスルホキシド50gをベンゼン800mlに溶解させ、これに塩化アルミニウム200gを加え、24時間還流した。反応液を氷2Lにゆっくりと注ぎ、これに濃塩酸400mlを加えて70℃で10分加熱した。この水溶液を酢酸エチル500mlで洗浄し、ろ過した後にヨウ化アンモニウム200gを水400mlに溶解したものを加えた。析出した粉体をろ取、水洗した後酢酸エチルで洗浄、乾燥するとトリフェニルスルホニウムヨージドが70g得られた。
トリフェニルスルホニウムヨージド30.5gをメタノール1000mlに溶解させ、この溶液に酸化銀19.1gを加え、室温で4時間攪拌した。溶液をろ過し、これに過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液を加えた。反応液を濃縮し、これをジクロロメタン500mlに溶解し、この溶液を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、および水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮するとトリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネート(I−1)が得られた。
【0134】
(2−3)ジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成
t−アミルベンゼン60g、ヨウ素酸カリウム39.5g、無水酢酸81g、ジクロロメタン170mlを混合し、これに氷冷下濃硫酸66.8gをゆっくり滴下した。氷冷下2時間攪拌した後、室温で10時間攪拌した。反応液に氷冷下、水500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を炭酸水素ナトリウム、水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウム硫酸塩が得られた。この硫酸塩を、過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液に加えた。この溶液に水500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、および水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンゼンスルホネート(III−1)が得られた。
以下に示す酸発生剤PAG−1及びPAG−2についても上記と同様の方法を用いて合成できる。
【0135】
(3) 架橋剤
架橋剤〔HM−1〕の合成
1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン20g(本州化学工業(株)製Trisp−PA)を10%水酸化カリウム水溶液に加え、撹拌、溶解した。次にこの溶液を撹伴しながら、37%ホルマリン水溶液60mlを室温下で1時間かけて徐々に加えた。さらに室温下で6時間撹伴した後、希硫酸水溶液に投人した。析出物をろ過し、十分水洗した後、メタノール30mlより再結晶することにより、下記構造のヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1]の白色粉末20gを得た。純度は92%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0136】
【化39】
【0137】
架橋剤〔MM−1〕の合成
上記合成例で得られたヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1〕20gを1リットルのメタノールに加え、加熱撹拌し、溶解した。次に、この溶液に濃硫酸1mlを加え、12時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却し、炭酸カリウム2gをを加えた。この混合物を十分濃縮した後、酢酸エチル300mlを加えた。この溶液を水洗した後、濃縮乾固させることにより、下記構造のメトキシメチル基を有するフェノール誘導体〔MM−1〕の白色固体22gを得た。純度は90%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0138】
【化40】
【0139】
さらに、同様にして以下に示すフェノール誘導体を合成した。
【0140】
【化41】
【0141】
【化42】
【0142】
【化43】
【0143】
【化44】
【0144】
2.実施例<電子線照射>
(1)レジストの塗設
表1に示す組成のレジスト組成物の溶液を調製し、各々0.1μmのフィルターで濾過した。
各レジスト溶液をスピンコーターを利用して、8インチシリコンウエハー上に塗布し、120℃、90秒間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚0.3μmのレジスト膜を得た。
(2)レジストパターンの作製
このレジスト膜に電子線描画装置(加速電圧50KeV)を用いて照射を行った。照射後にそれぞれ110℃の真空吸着型ホットプレートで60秒間加熱を行い、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。
(3)評価方法
〔感度及び解像力〕
感度は、0.20μmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射量を感度とし、その照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。0.20μmライン(ライン:スペース=1:1)が解像しないものついては限界の解像力を解像力とし、その時の照射量を感度とした。
〔現像欠陥数〕
上記のようにして得られたレジストパターンについて、ケーエルエー・テンコール株式会社製KLA−2112機により現像欠陥数を測定し、得られた1次データ値を現像欠陥数とした。現像欠陥が認められたものについては、1〜10個をA、11−499個をB、500個以上をCとした。
その結果を表2に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
上記表1に示した各成分の詳細を以下に示す。
【0147】
【化45】
【0148】
【化46】
【0149】
【化47】
【0150】
【化48】
【0151】
【化49】
【0152】
P−103: ABA型(ポリp−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリp−ヒドロキシスチレン)のブロックコポリマー、p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合比=70/30、Mw7,900、Mw/Mn=1.25(特開平11−14916号)
【0153】
CL−1:
【0154】
【化50】
【0155】
(溶剤)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(有機塩基性化合物)
B−1: 2,4,5−トリフェニルイミダゾール
B−2: 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
B−3: 4−ジメチルアミノピリジン
B−4: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
B−5: N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオウレア
(界面活性剤)
W−1: トロイゾル S−366(トロイケミカル社製)
W−2: メガファック F−176(大日本インキ化学工業社製)
W−3: メガファック R08(大日本インキ化学工業社製)
W−4: ポリシロキサンポリマー KP−341(信越化学工業社製)
W−5: サーフロン S−382(旭硝子社製)
【0156】
【表2】
【0157】
表2の結果から、本発明の組成物は、高感度、高解像力で、現像欠陥が低減されていることが判る。
【0158】
3.実施例<等倍X線照射>
上記実施例1の組成物について等倍X線照射装置を用いた評価を行ったところ、同様の効果が観察された。以外は上記実施例1と同様に
してパターニングを行い、上記実施例1と同様の方法でレジスト性能(感度、解像力、及びパターン形状)
【0159】
4.実施例<EUV照射>
上記実施例1〜15の組成物及び比較例101〜103の組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、各々0.1μmのフィルターでろ過した。あらかじめ、ブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を600オングストローム均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後希釈した組成物をスピンコーターで塗布し、120℃で90秒乾燥し、0.15μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、反射型マスクを用いてEUV光(波長13.5nm、NA=0.1)で露光し、露光後直ぐに120℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。70nmの1/1ラインアンドスペースパターンを再現する最低露光量を感度とし、またその露光量で解像する限界の線幅を限界解像として表した。
70nmの1/1ラインアンドスペースのラインのプロファイルを走査型顕微鏡で観察し、矩形なプロファイルを○、僅かなテーパー形状や少し裾引き形状のプロファイルを△、完全なテーパー形状や完全な裾引き形状のプロファイルを×と評価した。
【0160】
また、ラインエッヂラフネス(LER)を次のように評価した。
シリコンウェハー面内の異なった位置(50箇所)において70nmのライン(ライン/スペース=1/1)の寸法(測定点;30ポイント)を測定し(日立製S−9200)、実測値−70nmの分散を求め、3σを算出した。値が小さいほど、LERが良好である。
結果を表3に示す。
【0161】
【表3】
【0162】
これらの結果から明らかなように、実施例1〜15の組成物は、高感度、高解像性で、LER特性に優れる。比較例101〜103のネガ型レジスト組成物は、パターン倒れによって解像力が低下した。
【0163】
【発明の効果】
本発明により、高い感度、高解像力で、現像欠陥が低減されたネガ型レジスト組成物を提供することができる。
また、本発明の組成物は、軟X線(例えば波長13.5nmのEUV光)用感放射線性組成物としても、高感度、高解像性で矩形なパターン形状を有し、LER特性に優れている。
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造に於いてはハーフミンクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる照射装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠赤外光やエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArFなど)が検討されるまでになってきている。更に、電子線またはX線により更に微細なパターン形成が検討されるに至っている。
【0002】
特に電子線あるいはX線は次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられている。
電子線リソグラフィーは、加速された電子線がレジスト材料を構成する原子と衝突散乱を起こす過程でエネルギーを放出し、レジスト材料を感光させるものである。高加速化した電子線を用いることで直進性が増大し、電子散乱の影響が少なくなり高解像のパターン形成が可能となるが、一方では電子線の透過性が高くなり、感度が低下してしまう。この様に、電子線リソグラフィーにおいては、感度と解像性・レジスト形状がトレードオフの関係にあり、これを如何に両立し得るかが課題であった。
【0003】
また、化学増幅型ネガレジストについては、種々のアルカリ可溶性樹脂が提案されてきた。特開平8−152717号には部分アルキルエーテル化されたポリビニルフェノールが、特開平6−67431号、特開平10−10733号にはビニルフェノールとスチレンの共重合体が、特許第2505033号にはノボラック樹脂が、特開平7−311463号、特開平8−292559号には単分散ポリビニルフェノールがそれぞれ開示されているが、これらのアルカリ可溶性樹脂では電子線あるいはX線照射下での感度と解像性の特性を両立し得るものではなかった。
【0004】
電子線レジストでは、まずバインダーが電子線を受け、ここから発生する二次電子を酸発生剤が受け取って分解し、酸が発生すると報告されている。バインダーに二次電子を発生しやすい構造、形態を取り入れることにより酸発生効率が高く、電子線レジストに有利と考えられる。
また、EUV(Extreme Ultraviolet: 波長13nm)やX線レジストも同じく二次電子により酸発生剤が分解して酸が発生すると報告されており、バインダーに二次電子を発生しやすい構造、形態を取り入れることは同様に有効に作用するものと考えられる。
【0005】
特開平11−149160号には、アルカリ可溶性のブロック共重合体であって、(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される繰り返し単位を有するブロック単位Aとブロック単位Bよりなる樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物が開示されているが、該記述による組成物をレジスト組成物として適用すると、現像欠陥の増大、及び0.10ミクロン程度の高解像力が得られない(解像力劣化)という問題が生じる。
【0006】
EP1141782号には、フッ素含有ブロック単位と、ペンダント型加水分解性エステルを有するブロック単位を含有する樹脂が開示されているが、アルカリ現像による現像欠陥及びネガ型組成物に適用できるという問題がある。
また、特開平3−119014号、同3−282468号にはカルボキシル基含有樹脂を有する光重合組成物が開示されているが、高解像力が得られないという問題がある。
【0007】
このように、高感度、高解像力とともに、現像欠陥を低減することは困難であった。
【0008】
また、軟X線(例えばEUV光)を光源とする場合、これまで用いられてきた屈折光学系に適したレンズ材料が得られないため反射光学系となり、複数の多層膜ミラー及び反射型マスクを用いた軟X線反射型縮小投影露光法が適用される。この場合、多層膜ミラーの反射率には自ずと限界があるため、複数のミラーで反射されることにより、最終的にウェハー面に到達する光量は著しく低下する。従って、軟X線反射型縮小投影露光法を適用する場合には、用いられるレジストの感度を最大限に高める必要があった。しかしながら、現状実用的な感度を有するレジストが存在しない問題点があった。
【0009】
また、レジストに用いられる材料の軟X線領域での吸収が大きいため、充分な光量がレジスト底部に到達せず、矩形な形状を有するパターンが得られない等の問題点があった。これに対してはレジスト膜を薄膜化することによる対応が考えられるが、この場合、ドライエッチング耐性が不足する別な問題点を誘起する。更には今後益々、レジストパターンの微細化、高精度化が要求される中でレジストパターンのラフネス(Line Edge Roughness:LER)を如何に制御するかが重要課題として挙がっている。
【0010】
以上、軟X線縮小投影露光法が抱える問題点に対して、3層レジスト法を適用したパターン形成法(特開平5−121312号公報)、高濃度の光酸発生剤を用いる方法(特開2002−55457号公報)、電子を効率的に発生する物質からなる層を設けるパターン形成法(特開平5−136026号公報)、多環式不飽和炭化水素誘導体を用いた材料(特開2001−328964号公報)、レジスト膜からの低分子量化合物の発生を抑制することでパターン形状の乱れを制御するパターン形成法(特開2000−347411号公報)、また、装置側からの改良(特開平7−263322号公報、特開2002−15970号公報)等が報告されている。
しかしながら、これらの方法では現状の問題点を解決するには不充分であり、新たな解決法が切望されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、電子線、X線又はEUV光の照射によるパターン形成において、高感度、高解像力で、現像欠陥が低減されたネガ型レジスト組成物を提供することにある。また、EUV光のような軟X線を光源とした場合でも、高感度、高解像力、良好なプロファイル、現像欠陥が低減されるとともに、ラインエッジラフネスが良好なネガ型レジスト組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は下記の構成により達せられた。
(1)(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有するブロック単位Aとアルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bを含有するアルカリ可溶性ブロック共重合体、
(B)電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物、及び
(C)酸により架橋する架橋剤
を含有することを特徴とする電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0013】
【化4】
【0014】
一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表す。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rは、複数のとき同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基を表す。
m及びnは、各々、1〜3の整数を表し、m+n=5である。
但し、nが1のとき、4つのRの内少なくとも一つは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基である。
【0015】
(2)該ブロック単位Bが下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(1)に記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0016】
【化5】
【0017】
一般式(2)において、
R6およびR7は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。
R8は水素原子、フェニル基、シアノ基または−COOR12(但し、R12は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を示す。)を表す。
R9は水素原子、シアノ基または−COOR13(但し、R13は炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表す。
【0018】
(3)該アルカリ可溶性ブロック共重合体が含有するブロック単位Aが更に下記一般式(1’)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0019】
【化6】
【0020】
一般式(1’)において、
R2は及びR3は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。
R4は、水素原子、フェニル基、シアノ基または−COOR10(但し、R10は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表す。
R5は水素原子、シアノ基または−COOR11(但し、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表すか、あるいはR4とR5とが結合して酸無水物基を形成する。
【0021】
(4)(B)成分の化合物が、スルホニウム又はヨードニウムのスルホン酸塩化合物から選択されることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0022】
(5)(B)成分の化合物が、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
(6)(C)成分の酸により架橋する架橋剤が、分子内にベンゼン環原子団を3〜5個含み、ヒドロキシメチル基及び/又はアルコキシメチル基をそのベンゼン環原子団に2個以上有するフェノール誘導体であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0023】
(7)更に(D)有機塩基性化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
(8)更に(E)フッ素系及び/またはシリコン系界面活性剤を含むことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
(7)更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のネガ型レジスト組成物を構成する成分について説明する。
【0025】
〔1〕(A)アルカリ可溶性ブロック共重合体
本発明において使用される樹脂は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有するブロック単位Aと、アルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bとを含有するアルカリ可溶性のブロック共重合体である。
アルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bは、上記一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
また、ブロック単位Aは、更に上記式(1’)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
尚、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ現像液(好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)によって溶解し、現像処理を可能とする溶解性を意味する。
【0026】
ブロック共重合体において、式(1)、式(1’)、又は式(2)で表される繰り返し単位は、それぞれ単独でまたは2種以上が存在することができ、またブロック単位Aおよびブロック単位Bが2種以上の繰り返し単位からなる共重合体ブロックであるとき、各ブロックを構成する共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0027】
まず、式(1)で表される繰り返し単位について説明する。
一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表す。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rは、複数のとき同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基を表す。
m及びnは、各々、1〜3の整数を表し、m+n=5である。
但し、nが1のとき、4つのRの内少なくとも一つは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基である。
【0028】
Rとしてのアルキル基としては、直鎖、分岐又は環状であり、好ましくは炭素数1〜6個の直鎖又は分岐アルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、好ましくは、直鎖又は分岐の炭素数1〜4のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基を挙げることができる。
【0029】
アラルキル基としては、好ましくは、炭素数7〜11個のアラルキル基であって、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
アラルキロキシ基としては、例えば、上記アラルキル基にオキシド基が結合したもの、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などを挙げることができる。
【0030】
Rとしてのこれらの基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
尚、Rが水素原子のときは、ベンゼン環の水素原子に対し無置換であることを意味する。
【0031】
Lの2価の連結基としては、置換基を有しても良い、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、もしくはアリーレン基、又は−O−、−SO2−、−O−CO−R25−、−CO−O−R26−、−CO−N(R27)−R28−を表す。R25、R26、R28は同じでも異なっていても良く、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基もしくはウレイド基を有しても良い、また置換基を有しても良い、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基を表す。R27は水素原子、置換基を有しても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。
【0032】
L、R25、R26、R28のアルキレン基としては、好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基であり、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等を挙げることができる。
アルケニレン基としては、好ましくは炭素数2〜6個のアルケニレン基であり、例えばエテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等を挙げることができる。
シクロアルキレン基としては、好ましくは炭素数5〜8個のシクロアルキレン基であり、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等を挙げることができる。
アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜12個のアリーレン基であり、例えばフェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。
また、R27のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8個のアルキル基であって、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を挙げることができる。
シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でも良い。単環型としては炭素数3〜8個の例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を好ましく挙げることができる。多環型としては例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基等を好ましく挙げることができる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜15個のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
アラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12個のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0033】
L、R25〜R28が有してもよい置換基としては、例えば、Rが有してもよい置換基と同様のものを挙げることができる。
【0034】
式(1)で表される繰り返し単位の具体例としては、以下のものを挙げることができる。尚、以下において、Phはフェニル基を表す。
【0035】
【化7】
【化8】
【化9】
【0036】
次に、一般式(1’)で表される繰り返し単位について説明する。
R4としてのフェニル基は、置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)及び/又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)を有していてもよい。R4としての−COOR10およびR5としての−COOR11は、例えば、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ポルニルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、トリシクロデカニルオキシカルボニル基、ノルボニルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0037】
式(1’)で表される繰り返し単位の具体例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、無水マレイン酸等に由来する繰り返し単位を挙げることができる。これらの繰り返し単位のうち、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸アダマンチル等に由来する繰り返し単位が好ましい。
【0038】
ブロック単位Aにおいて、式(1)で表される繰り返し単位の含有率は、通常、70〜100モル%、好ましくは90〜100モル%であり、式(1’)で表される繰り返し単位の含有率は、通常、0〜30モル%、好ましくは0〜10モル%である。この場合、式(1)で表される繰り返し単位の含有率が70モル%未満では、ブロック共重合体のアルカリ溶解性が十分でなく、組成物の現像性が低下する傾向がある。
【0039】
本発明における特に好ましいブロック単位Aとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0040】
ポリ(3,4−ジヒドロキシスチレン)、ポリ(3,4,5−トリヒドロキシスチレン)、ポリ(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン)、ポリ(3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン)、ポリ(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)、3,4−ジヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、3,4−ジヒドロキシスチレン/α−メチルスチレン共重合体、3,4,5−トリヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、3,4,5−トリヒドロキシスチレン/α−メチルスチレン共重合体、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン共重合体、
3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン共重合体、
3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/スチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン/α−メチルスチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸イソボルニル共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル共重合体、
3,4−ジヒドロキシスチレン/4−メトキシスチレン共重合体、
3,4,5−トリヒドロキシスチレン/4−メトキシスチレン共重合体、
3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン/4−メトキシスチレン共重合体等からなるブロックを挙げることができる。
【0041】
次に、一般式(2)の繰り返し単位について説明する。
R8としてのフェニル基は、置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)及び/又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)を有していてもよい。
R8の基−COOR12およびR9の基−COOR13としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ボルニルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、トリシクロデカニルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0042】
式(2)で表される繰り返し単位の具体例としては、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル等に由来する繰り返し単位を挙げることができる。これらの繰り返し単位のうち、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル等に由来する繰り返し単位が好ましい。
【0043】
本発明における特に好ましいブロック単位Bとしては、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソボルニル、ポリ(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、スチレン/α−メチルスチレン共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、α−メチルスチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸イソボルニル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル共重合体等からなるブロックを挙げることができる。
【0044】
ブロック共重合体のブロック構造としては、例えば、(A−B)n型(但し、nは1以上の整数である。)、A−B−A型、B−A−B型、3つ以上のポリマー鎖を有する星型等の構造を挙げることができる。これらのブロック構造のうち、1つ以上のブロック単位Aがブロック共重合体の分子鎖末端に存在する構造、例えば、A−B型、A−B−A型、A−B−A−B型等が好ましく、A−B−A型が特に好ましい。
ブロック共重合体、例えば、下記の方法等により製造することができる。
(i)各ブロック単位に対応する単量体を順次、リビングアニオン重合により重合する方法。
(ii)各ブロック単位に対応する単量体を順次、リビングアニオン重合により
重合する方法。
(iii)各ブロック単位に対応する単量体を別々に、リビングアニオン重合により重合して、各ポリマー鎖末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、これらの末端リビングアニオンを活用して両者のポリマー結合する方法。
【0045】
以下、本発明のブロック共重合体の製造方法について説明する。
まず、(i)の方法は、例えば、ブロック単位Aに対応する単量体とブロック単位Bに対応する単量体とを順次、1官能性のアニオン重合開始剤を用いて重合し、必要に応じて、何れか一方の単量体の重合を継続し、あるいは両者の単量体の重合を繰り返すことにより、例えば、(A−B)n型、A−B−A型等のブロック共重合体を合成することができる。また、先に重合させる単量体の重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行なったのち、他方の単量体を重合することにより、例えば、A―B−A型のブロック共重合体を合成することができる。(i)の方法に使用されるアニオン重合開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム等の1官能性のアニオン重合開始剤;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチオヘプタン、1,10−ジリチオオクタン等の2官能性のアニオン重合開始剤等を挙げることができる。(i)の方法におけるリビングアニオン重合は、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒中で、場合により、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物や、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン化合物等の存在下にて実施することができる。この様な(i)の方法により、任意のブロック単位数を有するブロック共重合体を合成することができる。
【0046】
次に、(ii)の方法は、ブロック単位Aに対応する単量体とブロック単位Bに対応する単量体とを順次、例えば、下記一般式(3)で表されるラジカル(以下、「特定ラジカル」という。)および該ラジカル以外のラジカル重合開始剤の存在下で重合し、必要に応じて、何れか一方の単量体の重合を継続し、あるいは両者の単量体の重合を繰り返すことにより、例えば、(A−B)n−型、A−B−A型等のブロック共重合体を合成することができる。
【0047】
【化10】
【0048】
〔一般式(3)において、R14、R15およびR16は相互に独立に水素原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3〜10の脂環式基または置換もしくは非置換の炭素数6〜20の芳香族基を示し、R17、R18、R19およびR20は相互に独立に炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す〕。
【0049】
式(3)において、R14、R15およびR16のアルキル基あるいはアルキル部分としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基等が好ましく、R14、R15およびR16の脂環式基の具体例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル基、p−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、R14、R15およびR16の芳香族基の具体例としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基等を挙げることができる。また、R17、R18、R19およびR20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができ、R17、R18、R19およびR20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、p−メチルベンジル基、フェネチル基、p−メチルフェネチル基等を挙げることができる。
【0050】
特定ラジカルの具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−プロピルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−i−プロピルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−ブチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−t−ブチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−ヘキシルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−オクチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラ−n−デシルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラベンジルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4−ジヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4,5−トリヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−シアノピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4−ジメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−3,4,5−トリメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−メトキシエチル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−エトキシエチル)ピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシカルボニルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシカルボニルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシカルボニルオキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシカルボニルオキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−シクロヘキシルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェニルピペリジニル−1−オキシラジカル等を挙げることができる。
【0051】
これらの特定ラジカルのうち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチルピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル、2,2,6,6−テトラエチル−4−ヒドロキシピペリジニル−1−オキシラジカル等が好ましい。前記特定ラジカルは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
また、(ii)の方法で特定ラジカルと共に使用されるラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができ、具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。(ii)の方法における特定ラジカルとラジカル重合開始剤との使用割合は、得られるブロック共重合体の特性、特に分子量分布を決定する上で重要であり、特定ラジカルに対するラジカル重合開始剤のモル比が、好ましくは10〜0.5、さらに好ましくは5〜1となる割合である。この場合、前記モル比が10を超えると、得られるブロック共重合体の分子量分布が広がる傾向があり、また0.5未満では、重合速度が低下するとともに、高価な特定ラジカルの使用量が多くなり、工業的観点から好ましくない。また、(ii)の方法における特定ラジカルおよびラジカル重合開始剤の合計使用量は、最初のブロック単位を形成する単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。(ii)の方法のリビングラジカル重合において、重合温度は、通常、50〜150℃、好ましくは60〜140℃であり、重合時間は、通常、5〜30時間、好ましくは5〜20時間である。このような(ii)の方法により、任意のブロック単位数を有するブロック共重合体を合成することができる。
【0053】
次に、(iii)の具体的方法としては、例えば、下記(iii−1)〜(iii−3)の方法等を挙げることができる。
(iii−1)ブロック単位Aに対応する単量体およびブロック単位Bに対応する単量体を別々に、1官能性のアニオン重合開始剤を用いてアニオン重合することにより、片末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、一方のリビングポリマーのリビングアニオンを極性化合物により停止させて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、ハロゲン原子等の官能基を末端に有するポリマーを合成し、該ポリマーの末端官能基と他方のリビングポリマーの末端リビングアニオンとを反応させて結合することにより、例えば、A−B型のブロック共重合体を合成することができる。また、一方のブロック単位に対応する単量体のリビングアニオン重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行ない、上記と同様に処理することにより、例えば、A−B−A型のブロック共重合体を合成することができる。この場合、末端水酸基を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーをエチレンオキシドで停止させることにより得ることができ、末端カルボキシル基を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーを二酸化炭素で停止させることにより得ることができ、末端イソシアネート基を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーを過剰量のトリレンジイソシアネートで停止させることにより得ることができ、末端ハロゲン原子を有するポリマーは、例えば、リビングポリマーを過剰量の1,2−ジブロモエタンで停止させることにより得ることができる。
【0054】
(iii−2)ブロック単位Aに対応する単量体およびブロック単位Bに対応する単量体を別々に、1官能性のアニオン重合開始剤を用いてアニオン重合することにより、片末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、それぞれのリビングポリマーのリビングアニオン末端を別々に極性化合物により停止させて、例えば、水酸基を末端に有するポリマーとカルボキシル基あるいはイソシアネート基を末端に有するポリマーを合成し、両者の水酸基とカルボキシル基あるいはイソシアナートとをエステル化あるいはウレタン化反応により結合させて、例えば、A―B型のブロック共重合体を合成することができる。また、一方のブロック単位に対応する単量体のリビングアニオン重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行ない、上記と同様に処理することにより、例えば、A−B−A型のブロック共重合体を合成することができる。
【0055】
(iii−3)ブロック単位Aに対応する単量体およびブロック単位Bに対応する単量体を別々に、1官能性のアニオン重合開始剤を用いてアニオン重合することにより、片末端にリビングアニオンを有するリビングポリマーを合成し、両者のリビングポリマーの混合物を2官能以上のカップリング剤でカップリングすることにより、A−B型、星型等のブロック共重合体を合成することができる。また、少なくとも一方のブロック単位に対応する単量体のリビングアニオン重合を2官能性のアニオン重合開始剤を用いて行ない、上記と同様に処理することにより、さらに多くのポリマー鎖を含有するブロック構造を有するブロック共重合体を合成することができる。(iii)の方法におけるリビングアニオン重合は、前記(i)の方法と同様にして実施することができる。また、(iii−3)の方法に使用されるカップリング剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート、ジビニルベンゼン、ジメチルジクロロけい素、メチルトリクロロけい素、テトラクロロけい素、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン等を挙げることができる。なお、(iii−3)の方法では、場合により、ブロック単位Aあるいはブロック単位Bのみからなるポリマーも生成されるが、本発明においては、該ポリマーを含有する混合物をそのまま使用しても、また該ポリマーを除去して使用してもよい。
【0056】
本発明における好ましいブロック共重合体を、各ブロック単位の組み合せ(ブロック単位A−ブロック単位B、ブロック単位A−ブロック単位B−ブロック単位A等)としてより具体的に例示すると、下記のとおりである。
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリα−メチルスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリα−メチルスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリα−メチルスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシ−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4−ジヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−スチレン/(メタ)アクリル酸アダマンチル共重合体、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸アダマンチル−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸イソボルニル−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル−ポリ3,4,5−トリヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸イソボルニル−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン、
ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル−ポリ3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。
【0057】
ブロック共重合体における各ブロック単位の含有率は、ブロック単位Aが、通常、50〜90質量%、好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは60〜85質量%であり、ブロック単位Bが、通常、10〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜40質量%である。この場合、ブロック単位Aの含有率が50質量%未満では、ブロック共重合体のアルカリ溶解性が十分でなく、組成物の現像性が低下する傾向があり、一方90質量%を超えると、組成物の非露光部が膨潤しやすくなり、その結果解像度が低下する傾向がある。
ブロック共重合体のゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、3,000〜200,000、好ましくは4,000〜100,000、さらに好ましくは4,000〜50,000である。この場合、ブロック共重合体のMwが3,000未満では、組成物の解像度が低下する傾向があり、一方200,000を超えると、ブロック共重合体のアルカリ溶解性が十分でなく、組成物の現像性が低下する傾向がある。また、ブロック共重合体のMwとゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜3.0、好ましくは1.0〜1.5である。この場合、ブロック共重合体のMw/Mnが3.0を超えると、組成物の現像性が低下する傾向がある。本発明において、ブロック共重合体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
〔2〕(B)電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤ともいう)
アルカリ可溶性樹脂とともに酸発生剤を用いる。アルカリ可溶性樹脂とともに用いられる酸発生剤は、電子線、X線又はEUV光(Extreme Ultraviolet: 波長13nm)の照射により酸を発生する化合物であればいずれの化合物でも用いることができる。
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の電子線の照射により酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0059】
例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表されるスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
また、これらの酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の酸を発生する化合物も使用することができる。
【0060】
本発明においては、有機酸を発生するオニウム塩化合物が好ましく、特に好ましくは下記一般式(I)〜一般式(III)で示されるオニウム塩化合物である。
【化11】
〔一般式(I)〜(III)において、R1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は−S−R38で示せる基を表す。−S−R38中のR38は、アルキル基又はアリール基を表す。R1〜R38は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1〜R15の場合、その中から選択される二つ以上は互いに直接末端で結合しあい、あるいは酸素、イオウ及び窒素から選ばれる元素を介して結合しあって環構造を形成していてもよい。R16〜R27の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。R28〜R37の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。
X−はスルホン酸のアニオンである。〕
【0061】
一般式(I)〜一般式(III)中のR1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、または、−S−R38で示すこと
ができる基である。
【0062】
R1〜R37が表すアルキル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。直鎖状又は分岐状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基など、例えば炭素数1〜4個のアルキル基を挙げることができる。環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など炭素数3〜8個のアルキル基を挙げることができる。
R1〜R37が表すアルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状アルコキシ基でもよい。直鎖状又は分岐状アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜8個のもの例えばメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、オクチルオキシ基などを挙げることができる。環状アルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0063】
R1〜R37が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R1〜R37が表す−S−R38中のR38は、アルキル基、又はアリール基である。R38が表すアルキル基の範囲としては、例えばR1〜R37が表すアルキル基として既に列挙したアルキル基中のいずれをも挙げることができる。
R38が表すアリール基は、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基など、炭素数6〜14個のアリール基を挙げることができる。
R1〜R38が表すアルキル基以下、アリール基までは、いずれも基の一部に更に置換基を結合して炭素数を増やしていてもよく、置換基を有していなくてもよい。更に結合していてもよい置換基としては、好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基を挙げることができ、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等も挙げることができる。その他、ハロゲン原子でもよい。たとえば、フッ素原子、塩素原子、沃素原子を挙げることができる。
【0064】
一般式(I)中のR1〜R15で示す基は、そのうちの2つ以上が結合し、環を形成していてもよい。環は、R1〜R15で示す基の末端が直接結合して形成してもよい。炭素、酸素、イオウ、及び窒素から選択される1種又は2種以上の元素を介して間接的に結びあい、環を形成していてもよい。
R1〜R15のうちの2つ以上が結合して形成する環構造としては、フラン環、ジヒドロフラン環、ピラン環、トリヒドロピラン環、チオフェン環、ピロール環などに見られる環構造と同一の構造を挙げることができる。一般式(II)中のR16〜R27についても同様のことを言うことができる。2つ以上が直接又は間接に結合し、環を形成していてもよい。一般式(III)中のR28〜R37についても同様である。
【0065】
一般式(I)〜(III)はX−を有する。一般式(I)〜(III)が有するX−は、スルホン酸のアニオンである。アニオンを形成している酸は、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸の中から選択される酸であることが好ましい。酸には1以上のフッ素原子が置換しているとより好ましい。又はその酸は、そのフッ素原子とともにあるいはフッ素原子に代え、アルキル基、アルコキシル基、アシル基、アシロキシル基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、からなる群から選択された少なくとも1種の有機基を有し、しかも、その有機基は少なくとも1個のフッ素原子を更に置換していることが好ましい。また、上記のアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、フッ素以外のハロゲン原子、水酸基、ニトロ基等で置換されていてもよい。
【0066】
X−のアニオンを形成するベンゼンスルホン酸などに結合するアルキル基は、例えば炭素数1〜12のアルキル基である。
アルキル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは25個以下のフッ素原子が置換している。具体的にはトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ヘプタフロロイソプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基、パーフロロシクロヘキシル基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が好ましい。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアルコキシ基は、炭素数が1〜12のアルコキシ基である。アルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは25個以下のフッ素原子が置換している。
具体的にはトリフロロメトキシ基、ペンタフロロエトキシ基、ヘプタフロロイソプロピルオキシ基、パーフロロブトキシ基、パーフロロオクチルオキシ基、パーフロロドデシルオキシ基、パーフロロシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルコキシ基が好ましい。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアシル基は、炭素数2〜12、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセチル基、フロロアセチル基、ペンタフロロプロピオニル基、ペンタフロロベンゾイル基等を挙げることができる。
【0067】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアシロキシ基は、炭素数が2〜12、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセトキシ基、フロロアセトキシ基、ペンタフロロプロピオニルオキシ基、ペンタフロロベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するスルホニル基としては、炭素数が1〜12、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニル基、ペンタフロロエタンスルホニル基、パーフロロブタンスルホニル基、パーフロロオクタンスルホニル基、ペンタフロロベンゼンスルホニル基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記スルホニルオキシ基としては、炭素数が1〜12、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルオキシ、パーフロロブタンスルホニルオキシ基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記スルホニルアミノ基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルアミノ基、パーフロロブタンスルホニルアミノ基、パーフロロオクタンスルホニルアミノ基、ペンタフロロベンゼンスルホニルアミノ基等を挙げることができる。
【0068】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アリール基としては、炭素数が6〜14、1〜9個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニル基、4−トリフロロメチルフェニル基、ヘプタフロロナフチル基、ノナフロロアントラニル基、4−フロロフェニル基、2,4−ジフロロフェニル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アラルキル基としては、炭素数が7〜10、1〜15個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニルメチル基、ペンタフロロフェニルエチル基、パーフロロベンジル基、パーフロロフェネチル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アルコキシカルボニル基としては、炭素数が2〜13、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメトキシカルボニル基、ペンタフロロエトキシカルボニル基、ペンタフロロフェノキシカルボニル基、パーフロロブトキシカルボニル基、パーフロロオクチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0069】
このようなアニオンの中で、最も好ましいX−はフッ素置換ベンゼンスルホン酸アニオンであり、中でもペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンが特に好ましい。
また、上記含フッ素置換基を有するアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、さらに直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基(これらの炭素数範囲は前記のものと同様)、ハロゲン(フッ素を除く)、水酸基、ニトロ基等で置換されてもよい。
【0070】
以下に、これらの一般式(I)〜(III)で表される化合物及びその他の具体例を示すが、これに限定されるものではない。また、以下の具体例の各化合物のカチオン部と別の化合物のアニオン部と組み合わせた化合物も、酸発生剤の具体例として例示できる。
一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0071】
【化12】
【0072】
【化13】
【0073】
【化14】
【0074】
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0075】
【化15】
【0076】
【化16】
【0077】
一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】
【化19】
【0081】
式(I)〜(III)で表される化合物以外の化合物の具体例を以下に示す。
【0082】
【化20】
【0083】
【化21】
【0084】
【化22】
【0085】
【化23】
【0086】
【化24】
【0087】
【化25】
【0088】
一般式(I)、一般式(II)の化合物は、次のような方法で合成できる。例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬とフェニルスルホキシドとを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する。別の方法もある。例えば、フェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法がある。また、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。上記のいずれの方法でも、フェニルスルホキシドは、置換基をベンゼン環に置換させていてもよく、そのような置換基がなくてもよい。
一般式(III)の化合物は過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させることにより合成可能である。
【0089】
また、本発明で使用される酸発生剤としては、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル化合物が好ましい。
N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル化合物としては、例えば下記一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体が挙げられる。
【0090】
【化26】
【0091】
R60は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。A60は、置換基を有していてもよい、アルキレン基、環状アルキレン基、アルケニレン基、環状アルケニレン基、又はアリーレン基を示す。
上記一般式(PAG6)中、R60は、置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜18、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、CF3、C4F9等が挙げられる)、又は、置換基を有していてもよいアリール基(好ましくは炭素数6〜14、具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる)を示す。
【0092】
A60は、置換基を有していてもよい、アルキレン基(好ましくは炭素数2〜10)、環状アルキレン基(好ましくは炭素数6〜14)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜10)、環状アルケニレン基(好ましくは炭素数6〜14)、又はアリーレン基(好ましくは炭素数6〜14、例えばベンゼン環、ナフタレン環を含む2価の基)を示す。ここで、環状アルキレン基としては、シクロヘキサン残基、ノルボルナン残基等が挙げられる。環状アルケニレン基としては、シクロヘキセン残基、ノルボルネン残基等が挙げられる。
また、上記の基中で、環状構造を有するものは、環を構成する炭素原子の代わりに酸素原子等を含んでいてもよい。
【0093】
これら基が有していてもよい置換基として、好ましくは、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数2〜5個のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、樟脳残基等が挙げられる。
【0094】
以下、一般式(PAG6)で示される化合物の具体例を示す。本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0095】
【化27】
【0096】
【化28】
【0097】
【化29】
【0098】
【化30】
【0099】
【化31】
【0100】
これらの化合物は、例えばG.F. Jaubert著、Ber., 28, 360(1895)、D.E. Amesら著、J. Chem. Soc., 3518(1955)又はM.A. Stolbergら著、J. Amer. Chcm. Soc., 79, 2615(1957)等に記載の方法により製造される。
環状N−ヒドロキシイミド化合物と、R60−SO2Cl(式中、R60は前記と同じ意味を有する。)で示されるスルホン酸クロリドとを、塩基性条件下に、例えば、L. Baucrら著、J. Org. Chem., 24, 1293(1959)等に記載の方法に従い製造することができる。
【0101】
本発明で使用する酸発生剤の含有量は、全ネガ型レジスト組成物の固形分に対し、0.1〜20質量%が適当であり、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。
【0102】
〔3〕(C)酸により架橋する架橋剤
本発明のネガ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性ブロック共重合体、酸発生剤とともに、酸により架橋する化合物(以下、適宜、酸架橋剤又は単に架橋剤と称する)を使用する。
(3)−1
好ましい架橋剤として、フェノール誘導体を挙げることができる。
本発明において使用する架橋剤としてのフェノール誘導体は、好ましくは、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、さらにヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
フェノール誘導体の分子量は、好ましくは1200以下、250〜1000がより好ましく、250〜800が特に好ましい。
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】
【化34】
【0106】
【化35】
【0107】
【化36】
【0108】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。)
ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL1〜L8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、欧州特許EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
このようにして合成されたヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。
ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(3)−2 上記フェノール誘導体以外にも、例えば、下記の(i)、(ii)の化合物も架橋剤として使用できる。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物
(ii) エポキシ化合物
【0109】
これらの架橋剤については以下に詳細に説明する。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−A」と記載する)第0,133,216号、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号に開示された単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号に開示されたアルコキシ置換化合物等に開示されたベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。
更に好ましい例としては、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が挙げられ、中でもN−アルコキシメチル誘導体が特に好ましい。
【0110】
(ii) エポキシ化合物としては、一つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号公報、英国特許第1,539,192号公報に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0111】
本発明においては、上記のフェノール誘導体が好ましい。
上記のフェノール誘導体に加え、例えば上述のような他の架橋剤(i)、(ii)を併用することもできる。
上記のフェノール誘導体に加えて併用しうる他の架橋剤の比率は、モル比で100/0〜20/80、好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜50/50である。
【0112】
架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。架橋剤の添加量が3質量%未満であると残膜率が低下し、また、70質量%を越えると解像力が低下し、更にレジスト液の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0113】
〔4〕(D)有機塩基性化合物
本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0114】
【化37】
【0115】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251 とR252 は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
【0116】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0117】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0118】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0119】
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
【0120】
〔5〕(E)界面活性剤類
本発明のネガ型レジスト組成物には、界面活性剤を加えることもできる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173 (大日本インキ(株)製)、フロラ−ドFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等を挙げることができる。
【0121】
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤として、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0122】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0123】
界面活性剤の使用量は、レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.001〜1質量%である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。これらの界面活性剤の添加により、レジスト膜の面内均一性が増し、解像力が向上する効果がある。
〔6〕(F)溶剤類
本発明のネガ型レジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
特に好ましい溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶媒である。
【0124】
〔7〕 染料
本発明のネガ型レジスト組成物には必要に応じて、更に染料などを含有させることができる。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0125】
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板等)上に、本発明のネガ型レジスト組成物を塗布し、次に電子線、X線又はEUV描画装置を用いて照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。
本発明のネガ型レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(通常0.1〜10質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0126】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0127】
1.構成素材の合成例
(1)ブロック共重合体の合成
合成例1
ジビニルベンゼン1000ミリリットルに、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(以下、「TEMPO」という。)0.320モルおよび過酸化ベンゾイル0.267モルを、脱気下で溶解し、90℃にて3時間反応させた。次いで、未反応ジビニルベンゼンを減圧下で除去したのち、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(質量比=90/10)を展開溶媒とする中圧シリカゲルカラム分別により、下記式で表される化合物(以下、「DVB−TEMPO」という。)を得た。
【0128】
【化38】
【0129】
続いて、スチレン100gおよびDVB−TEMPO 42gを、トルエン100gに溶解して均一溶液とし、30分間窒素バブリングを行なったのち、窒素バブリングを継続しつつ、反応温度を125℃に維持して、7時間重合させた。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解させ、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、その後減圧下50℃で乾燥して、白色のポリスチレンを得た。続いて、前記ポリスチレン20gをトルエン100gに溶解し、さらに3,4−ジアセトキシスチレン130gを添加した。この溶液を30分間窒素バブリングを行なったのち、窒素バブリングを継続しつつ、反応温度を125℃に維持して、7時間重合させた。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解させ、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、その後減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。この重合体は、ポリ3,4−ジアセトキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジアセトキシスチレンのブロック共重合体であった。続いて、前記ブロック共重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解したのち、25質量%アンモニア水溶液50gを添加し、80℃で5時間攪拌して、加水分解を行なった。次いで、反応溶液を0.2質量%しゅう酸水溶液中に投入して、共重合体を凝固させ、凝固した共重合体を水洗したのち、減圧下50℃で乾燥して、白色の共重合体を得た。この共重合体は、A−B−A型(ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン)の(イ)ブロック共重合体であり、Mwが8,300、Mw/Mnが1.29であり、13C−NMR測定によるp−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体が70/30であった。この(イ)ブロック共重合体を、アルカリ可溶性樹脂成分(P−1)とする。
【0130】
合成例2
テトラヒドロフラン1000ミリリットルに、アニオン重合開始剤としてn−ブチルリチウム0.0065モルを溶解したのち、−80℃に冷却した。この溶液に、3,4−ジ−t−ブトキシスチレン42gを添加して、2時間重合させたのち、スチレン10gを添加して、2時間重合を継続させ、さらにp−t−ブトキシスチレン30gを添加して、2時間重合を継続させた。次いで、反応溶液にメタノールを添加して重合を停止させたのち、多量のメタノールと混合して、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をジオキサンに再溶解させ、再度メタノールにより凝固させる操作を数回繰り返して、未反応モノマーを除去し、その後減圧下50℃で乾燥して、白色の重合体を得た。この重合体は、ポリ3,4−ジ−t−ブトキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジ−t−ブトキシスチレンのブロック共重合体であった。続いて、前記ブロック共重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解したのち、20質量%硫酸水溶液20gを添加し、90℃で12時間攪拌して、加水分解を行なった。次いで、反応溶液を蒸留水中に投入して、共重合体を凝固させ、凝固した共重合体を水洗したのち、減圧下50℃で乾燥して、白色の共重合体を得た。この共重合体は、A−B−A型(ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリ3,4−ジヒドロキシスチレン)の(イ)ブロック共重合体であり、Mwが7,500、Mw/Mnが1.20であり、13C−NMR測定によるp−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合比が80/20であった。この(イ)ブロック共重合体を、アルカリ可溶性樹脂成分(P−2)とする。
【0131】
他のアルカリ可溶性樹脂も同様にして合成した。
【0132】
(2)酸発生剤
(2−1)ペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の合成ペンタフロロベンゼンスルホニルクロリド25gを氷冷下メタノール100mlに溶解させ、これに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液100gをゆっくり加えた。室温で3時間攪拌するとペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液が得られた。この溶液をスルホニウム塩、ヨードニウム塩との塩交換に用いた。
【0133】
(2−2)トリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成ジフェニルスルホキシド50gをベンゼン800mlに溶解させ、これに塩化アルミニウム200gを加え、24時間還流した。反応液を氷2Lにゆっくりと注ぎ、これに濃塩酸400mlを加えて70℃で10分加熱した。この水溶液を酢酸エチル500mlで洗浄し、ろ過した後にヨウ化アンモニウム200gを水400mlに溶解したものを加えた。析出した粉体をろ取、水洗した後酢酸エチルで洗浄、乾燥するとトリフェニルスルホニウムヨージドが70g得られた。
トリフェニルスルホニウムヨージド30.5gをメタノール1000mlに溶解させ、この溶液に酸化銀19.1gを加え、室温で4時間攪拌した。溶液をろ過し、これに過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液を加えた。反応液を濃縮し、これをジクロロメタン500mlに溶解し、この溶液を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、および水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮するとトリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネート(I−1)が得られた。
【0134】
(2−3)ジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成
t−アミルベンゼン60g、ヨウ素酸カリウム39.5g、無水酢酸81g、ジクロロメタン170mlを混合し、これに氷冷下濃硫酸66.8gをゆっくり滴下した。氷冷下2時間攪拌した後、室温で10時間攪拌した。反応液に氷冷下、水500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を炭酸水素ナトリウム、水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウム硫酸塩が得られた。この硫酸塩を、過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液に加えた。この溶液に水500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、および水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンゼンスルホネート(III−1)が得られた。
以下に示す酸発生剤PAG−1及びPAG−2についても上記と同様の方法を用いて合成できる。
【0135】
(3) 架橋剤
架橋剤〔HM−1〕の合成
1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン20g(本州化学工業(株)製Trisp−PA)を10%水酸化カリウム水溶液に加え、撹拌、溶解した。次にこの溶液を撹伴しながら、37%ホルマリン水溶液60mlを室温下で1時間かけて徐々に加えた。さらに室温下で6時間撹伴した後、希硫酸水溶液に投人した。析出物をろ過し、十分水洗した後、メタノール30mlより再結晶することにより、下記構造のヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1]の白色粉末20gを得た。純度は92%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0136】
【化39】
【0137】
架橋剤〔MM−1〕の合成
上記合成例で得られたヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1〕20gを1リットルのメタノールに加え、加熱撹拌し、溶解した。次に、この溶液に濃硫酸1mlを加え、12時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却し、炭酸カリウム2gをを加えた。この混合物を十分濃縮した後、酢酸エチル300mlを加えた。この溶液を水洗した後、濃縮乾固させることにより、下記構造のメトキシメチル基を有するフェノール誘導体〔MM−1〕の白色固体22gを得た。純度は90%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0138】
【化40】
【0139】
さらに、同様にして以下に示すフェノール誘導体を合成した。
【0140】
【化41】
【0141】
【化42】
【0142】
【化43】
【0143】
【化44】
【0144】
2.実施例<電子線照射>
(1)レジストの塗設
表1に示す組成のレジスト組成物の溶液を調製し、各々0.1μmのフィルターで濾過した。
各レジスト溶液をスピンコーターを利用して、8インチシリコンウエハー上に塗布し、120℃、90秒間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚0.3μmのレジスト膜を得た。
(2)レジストパターンの作製
このレジスト膜に電子線描画装置(加速電圧50KeV)を用いて照射を行った。照射後にそれぞれ110℃の真空吸着型ホットプレートで60秒間加熱を行い、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。
(3)評価方法
〔感度及び解像力〕
感度は、0.20μmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射量を感度とし、その照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。0.20μmライン(ライン:スペース=1:1)が解像しないものついては限界の解像力を解像力とし、その時の照射量を感度とした。
〔現像欠陥数〕
上記のようにして得られたレジストパターンについて、ケーエルエー・テンコール株式会社製KLA−2112機により現像欠陥数を測定し、得られた1次データ値を現像欠陥数とした。現像欠陥が認められたものについては、1〜10個をA、11−499個をB、500個以上をCとした。
その結果を表2に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
上記表1に示した各成分の詳細を以下に示す。
【0147】
【化45】
【0148】
【化46】
【0149】
【化47】
【0150】
【化48】
【0151】
【化49】
【0152】
P−103: ABA型(ポリp−ヒドロキシスチレン−ポリスチレン−ポリp−ヒドロキシスチレン)のブロックコポリマー、p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合比=70/30、Mw7,900、Mw/Mn=1.25(特開平11−14916号)
【0153】
CL−1:
【0154】
【化50】
【0155】
(溶剤)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(有機塩基性化合物)
B−1: 2,4,5−トリフェニルイミダゾール
B−2: 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
B−3: 4−ジメチルアミノピリジン
B−4: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
B−5: N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオウレア
(界面活性剤)
W−1: トロイゾル S−366(トロイケミカル社製)
W−2: メガファック F−176(大日本インキ化学工業社製)
W−3: メガファック R08(大日本インキ化学工業社製)
W−4: ポリシロキサンポリマー KP−341(信越化学工業社製)
W−5: サーフロン S−382(旭硝子社製)
【0156】
【表2】
【0157】
表2の結果から、本発明の組成物は、高感度、高解像力で、現像欠陥が低減されていることが判る。
【0158】
3.実施例<等倍X線照射>
上記実施例1の組成物について等倍X線照射装置を用いた評価を行ったところ、同様の効果が観察された。以外は上記実施例1と同様に
してパターニングを行い、上記実施例1と同様の方法でレジスト性能(感度、解像力、及びパターン形状)
【0159】
4.実施例<EUV照射>
上記実施例1〜15の組成物及び比較例101〜103の組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、各々0.1μmのフィルターでろ過した。あらかじめ、ブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を600オングストローム均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後希釈した組成物をスピンコーターで塗布し、120℃で90秒乾燥し、0.15μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、反射型マスクを用いてEUV光(波長13.5nm、NA=0.1)で露光し、露光後直ぐに120℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。70nmの1/1ラインアンドスペースパターンを再現する最低露光量を感度とし、またその露光量で解像する限界の線幅を限界解像として表した。
70nmの1/1ラインアンドスペースのラインのプロファイルを走査型顕微鏡で観察し、矩形なプロファイルを○、僅かなテーパー形状や少し裾引き形状のプロファイルを△、完全なテーパー形状や完全な裾引き形状のプロファイルを×と評価した。
【0160】
また、ラインエッヂラフネス(LER)を次のように評価した。
シリコンウェハー面内の異なった位置(50箇所)において70nmのライン(ライン/スペース=1/1)の寸法(測定点;30ポイント)を測定し(日立製S−9200)、実測値−70nmの分散を求め、3σを算出した。値が小さいほど、LERが良好である。
結果を表3に示す。
【0161】
【表3】
【0162】
これらの結果から明らかなように、実施例1〜15の組成物は、高感度、高解像性で、LER特性に優れる。比較例101〜103のネガ型レジスト組成物は、パターン倒れによって解像力が低下した。
【0163】
【発明の効果】
本発明により、高い感度、高解像力で、現像欠陥が低減されたネガ型レジスト組成物を提供することができる。
また、本発明の組成物は、軟X線(例えば波長13.5nmのEUV光)用感放射線性組成物としても、高感度、高解像性で矩形なパターン形状を有し、LER特性に優れている。
Claims (3)
- (A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有するブロック単位Aとアルカリ溶解性基を含有しないブロック単位Bを含有するアルカリ可溶性ブロック共重合体、
(B)電子線、X線又はEUV光の照射により酸を発生する化合物、及び
(C)酸により架橋する架橋剤
を含有することを特徴とする電子線、X線又はEUV用ネガ型レジスト組成物。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rは、複数のとき同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基を表す。
m及びnは、各々、1〜3の整数を表し、m+n=5である。
但し、nが1のとき、4つのRの内少なくとも一つは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアラルキロキシ基である。 - 該アルカリ可溶性ブロック共重合体が含有するブロック単位Aが更に下記一般式(1’)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のネガ型レジスト組成物。
R2は及びR3は、各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。
R4は、水素原子、フェニル基、シアノ基または−COOR10(但し、R10は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表す。
R5は水素原子、シアノ基または−COOR11(但し、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜20の環式基を表す。)を表すか、あるいはR4とR5とが結合して酸無水物基を形成する。
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