JP2004341061A - ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠紫外光、とくにArFエキシマレーザー光を使用するミクロフォトファブリケ−ション本来の性能向上のための技術における課題を解決したポジ型レジスト組成物を提供することにあり、より具体的には、サイドローブマージン特性に優れるポジ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】イソソルバイド(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、活性光線又は放射線の照射により酸を発生するエノン構造を有する特定のスルホニウム化合物を含有する感光性組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】イソソルバイド(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、活性光線又は放射線の照射により酸を発生するエノン構造を有する特定のスルホニウム化合物を含有する感光性組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遠紫外線に感応する半導体素子等の微細加工用ポジ型フォトレジスト組成物に関するものであり、更に詳しくは、遠紫外線露光用ポジ型フォトレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路はその集積度を益々高めており、超LSI等の半導体基板の製造に於いてはハーフミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外線の中でも短波長のエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArF等)を用いることが検討されるまでになってきている。
【0003】
この波長領域におけるリソグラフィーのパターン形成に用いられるものとして、化学増幅系レジストがある。
【0004】
ArF光源用のフォトレジスト組成物としては、ドライエッチング耐性付与の目的で脂環式炭化水素部位が導入された樹脂が提案されている。そのような樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸というカルボン酸部位を有する単量体や水酸基やシアノ基を分子内に有する単量体を脂環式炭化水素基を有する単量体と共重合させた樹脂が挙げられる。
【0005】
一方、前記アクリレート系単量体の側鎖に脂環式炭化水素部位を導入する方法以外にポリマー主鎖として脂環式炭化水素部位を活用したドライエッチング耐性付与する方法も検討されている。
【0006】
また、特許文献1(特許3348789号公報)、特許文献2(特開2002−116546号)、非特許文献1(S. Iwasa et. al., J.Photopolym. Sci. Technol., 13(2), 235 (2000))には、スルフォニウム塩が記載されている。
【0007】
従来の遠紫外線露光用フォトレジストに用いられる、酸分解性基を含有する樹脂は、分子内に同時に脂肪族の環状炭化水素基を含有することが一般的である。しかしながら、従来のポジ型レジスト組成物は、遠紫外光、特にArFエキシマレーザー光を使用したミクロフォトファブリケーションに於いて、サイドローブマージン特性に関する充分な成果が得られていなかった。
【0008】
【特許文献1】
特許3348789号公報
【特許文献2】
特開2002−116546号
【非特許文献1】
イワサら、光高分子科学技術(J. Photopolym. Sci. Technol.) Vol. 13(2), 235ページ (2000)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、遠紫外光、とくにArFエキシマレーザー光を使用するミクロフォトファブリケ−ション本来の性能向上のための技術における課題を解決したポジ型レジスト組成物を提供することにあり、より具体的には、サイドローブマージン特性に優れたポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ポジ型レジスト組成物の構成材料を鋭意検討した結果、下記の構成によって、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
【0011】
(1)
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、および
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(I)または(II)で表される化合物を含有する感光性組成物。
【化3】
式(1)において、Rは水素原子又はアルキル基を表す。
【化4】
一般式(I)及び(II)中、
RB1〜RB3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
RB4及びRB5は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、シアノ基又はアルキル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
Y1及びY2は、同じでも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。nが2以上の場合に複数個存在するRB1及びRB2は、同じでも異なっていてもよい。
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内のいずれか2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
また、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
X−は、非求核性アニオンを表す。
(2)
更に(C)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)
更に有機塩基性化合物を含有する請求項1または2に記載の感光性組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する成分について詳細に説明する。
感光性組成物において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、及び、(C)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を添加することにより、マスク被覆率依存性、現像欠陥(特にブリッジング)が軽減することが見出された。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0013】
〔1〕酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(A成分)
本発明のレジスト組成物が含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(酸分解性樹脂)は、一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する。この樹脂の添加によりマスク被覆率依存性が小さいものとなる。
【0014】
一般式(1)におけるRとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5、例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
【0015】
一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
【0016】
【化5】
【0017】
一般式(1)で表される繰り返し単位に対応する単量体の合成は、通常のエステル化反応により可能である。例えば、イソソルバイドと(メタ)アクリル酸などの重合性基を有するカルボン酸類、対応する酸クロリド、酸無水物と塩基性条件下反応させる方法などを挙げることができる。
【0018】
本発明の樹脂は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)であり、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し、アルカリ可溶性となる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0019】
酸の作用により分解する基としては、−COOA0 、−O−B0 基で示される基を挙げることができる。更にこれらを含む基としては、−R0−COOA0、又は−Ar−O−B0 で示される基が挙げられる。
【0020】
ここでA0 は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)、−C(R04)(R05)−O−R06基もしくはラクトン基を示す。B0は、−A0又は−CO−O−A0基を示す。
【0021】
R01、R02、R03、R04及びR05は、それぞれ同一でも相異していても良く、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基、環状アルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03、及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は単結合もしくは、置換基を有していても良い2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していても良い2価以上の芳香族基を示す。
【0022】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜30個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。環状のアルキル基としては、炭素数3〜30個のものが挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基、ステロイド残基等を挙げることができる。アラルキル基としては、炭素数7〜20個のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。ベンジル基、フェネチル基、クミル基等が挙げられる。
【0023】
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フエネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0024】
また、上記ラクトン基としては、下記構造のものが挙げられる。
【0025】
【化6】
【0026】
上記式中、Ra 、Rb、Rcは各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基を表す。nは、2から4の整数を表す。
【0027】
露光用の光源としてArFエキシマレーザーを使用する場合には、酸の作用により分解する基として、−C(=O)−X1−R0で表される基を用いることが好ましい。ここで、R0としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリル基、3−オキソシクロヘキシル基、上記ラクトン基等を挙げることができる。X1は、酸素原子、硫黄原子を表すが、好ましくは酸素原子である。
【0028】
本発明において使用される酸分解性樹脂において、一般式(I)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは10〜50モル%、更に好ましくは15〜40モル%である。
【0029】
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中、25〜70モル%が好ましく、より好ましくは27〜60モル%、更に好ましくは29〜50モル%である。
【0030】
本発明の組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(A)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環含有酸分解性樹脂」ともいう)であることが好ましい。このような樹脂として、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と共に、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂が好ましい。
【0031】
【化7】
【0032】
式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
【0033】
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
【0034】
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
【0035】
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0036】
【化8】
【0037】
式(II−AB)中:
R11’,R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
【0038】
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0039】
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−A)又は一般式(II−B)であることが更に好ましい。
【0040】
【化9】
【0041】
式(II−A)、(II−B)中:
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
【0042】
ここで、R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は下記の−Y基を表す。
【0043】
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
【0044】
A’は単結合又は2価の連結基を表す。
【0045】
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
【0046】
R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又は下記の−Y基を表す。
【0047】
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。−Y基;
【0048】
【化10】
【0049】
(−Y基中、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0050】
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0051】
R11〜R25における脂環式炭化水素基或いはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0052】
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0057】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0058】
一般式(pI)〜(pVI)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができ、即ち、酸分解性基を構成することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
【0059】
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
【0060】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0061】
【化14】
【0062】
【化15】
【0063】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
【0064】
上記樹脂において、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0065】
【化16】
【0066】
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
【0067】
Aは、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
【0068】
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
【0069】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
【0070】
【化17】
【0071】
上記一般式(II−AB)において、R11’、R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
【0072】
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0073】
上記R11’、R12’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0074】
上記R11’、R12’、R21’〜R30’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0075】
上記のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0076】
上記Z’の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
【0077】
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR11〜R25及び一般式(II−AB)に於けるZ’の脂環式部分の前記構造例(1)〜(51)と同様のものが挙げられる。
【0078】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、前記構造例のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0079】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−A)あるいは(II−B)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
【0080】
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し単位の中でも、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0081】
本発明に係わる脂環含有酸分解性樹脂において、酸分解性基は、前記−C(=O)−X−A’−R17’に含まれてもよいし、一般式(II−AB)のZ’の置換基として含まれてもよい。
【0082】
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
【0083】
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、上記Xと同義である。
【0084】
上記R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0085】
上記R5、R6、R13’〜R16’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0086】
上記R5、R6、R13’〜R16’における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
【0087】
上記R13’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0088】
上記R17’におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0089】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基、アルキル基、環状炭化水素基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0090】
また、アルキル基、環状炭化水素基は、上記で挙げたものが挙げられる。
【0091】
上記A’の2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
【0092】
上記A’におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
【0093】
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0094】
本発明に係る脂環含有酸分解性樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0095】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなるものである。
【0096】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)で表される繰り返し単位の具体例として次のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0097】
【化18】
【0098】
本発明の脂環含有酸分解性樹脂は、ラクトン基を有することが好ましく、より好ましくは下記一般式(Lc)又は下記一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することであり、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
一般式(Lc)中、Ra1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0102】
一般式(V−1)〜(V−5)において、R1b〜R5bは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基又はアルケニル基を表す。R1b〜R5bの内の2つは、結合して環を形成してもよい。
【0103】
一般式(Lc)に於けるRa1〜Re1のアルキル基及び一般式(V−1)〜(V−5)に於けるR1b〜R5bのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
【0104】
直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
【0105】
R1b〜R5bにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
【0106】
R1b〜R5bにおけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
【0107】
また、R1b〜R5bの内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
【0108】
なお、一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1b〜R5bは、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0109】
Ra1〜Re1のアルキル基及びR1b〜R5bのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0110】
一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0111】
【化21】
【0112】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1bとしてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。
【0113】
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
【0114】
A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
【0115】
B2は、一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0116】
【化22】
【0117】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、
ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
【0118】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
【0119】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0120】
以下に、ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0121】
【化23】
【0122】
【化24】
【0123】
【化25】
【0124】
本発明の脂環含有酸分解性樹脂は、下記一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0125】
【化26】
【0126】
一般式(VII)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0127】
一般式(VII)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0128】
一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VII)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0129】
【化27】
【0130】
一般式(AII)中、R1cは、水素原子又はメチル基を表す。
【0131】
R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0132】
以下に、一般式(AII)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0133】
【化28】
【0134】
脂環含有酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
【0135】
【化29】
【0136】
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0137】
上記R41及びR42におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0138】
上記R41及びR42 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R42におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0139】
R41及びR42としてのアルキル基及びハロアルキル基、R42としてのシクロアルキル基又は樟脳残基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜5、例えば、ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5、例えばアセトキシ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル基)等を挙げることができる。
【0140】
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例として、以下が挙げられるが、これらの具体例に限定されるものではない。
【0141】
【化30】
【0142】
【化31】
【0143】
脂環含有酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
【0144】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
これにより、脂環含有酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
【0146】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0147】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0148】
脂環含有酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0149】
脂環含有酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
脂環含有酸分解性樹脂における一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量及び酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、先に酸分解性樹脂について述べたものと同様である。
【0150】
脂環含有酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中25〜60モル%が好ましく、より好ましくは27〜50モル%、更に好ましくは29〜45モル%である。
【0151】
一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜50モル%が好ましく、より好ましくは15〜48モル%、更に好ましくは20〜45モル%である。
【0152】
一般式(Lc)で表される脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中40モル%以下が好ましく、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
【0153】
一般式(V−1)〜(V−5)で表されるラクトン構造を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中5〜60モル%が好ましく、より好ましくは10〜55モル%、更に好ましくは15〜50モル%である。
【0154】
一般式(VII)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。
【0155】
一般式(VIII)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中、10〜70モル%が好ましく、より好ましくは15〜60モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
本発明に用いる脂環含有酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
本発明のポジ型レジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0156】
〔2〕活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B成分)
本発明における(B)下記一般式(I)または(II)で表される化合物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であり、赤外線、可視光、紫外光、遠紫外光等の活性光線、X線、電子線等の荷電粒子線、熱、超音波等により酸を発生する化合物である。
【0157】
【化32】
【0158】
一般式(I)及び(II)中、
RB1〜RB3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
RB4及びRB5は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
Y1及びY2は、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。nが2以上の場合に複数個存在するRB1及びRB2は、同じでも異なっていてもよい。
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内のいずれか2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
また、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
X−は、非求核性アニオンを表す。
【0159】
RB1〜RB5、Y1及びY2のアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を挙げることができる。アルキル基は、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基等を有していてもよい。
RB1〜RB5、Y1及びY2のアリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0160】
RB1〜RB3のアルケニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基であり、例えばビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、3−オキソシクロペンテニル基、3−オキソシクロヘキセニル基等を挙げることができる。
【0161】
RB1〜RB5のアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトオキシ基等を挙げることができる。
【0162】
Y1及びY2のアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
【0163】
ヘテロ原子を含む芳香族基とは、例えば炭素数4〜14のアリール基等の芳香族基に、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を有する基を表す。
Y1及びY2のヘテロ原子を含む芳香族基としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール等の複素環式芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0164】
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内の2つ以上が結合して形成する環構造としては、例えば、RB1又はRB2と、RB3とが結合して形成する環構造、RB1又はRB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、RB1と、RB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、RB1と、RB2と、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、Y1と、Y2とが結合して一般式(I)又は(II)中のS+とともに形成する環構造等を挙げることができる。
【0165】
RB1又はRB2と、RB3とが結合して環構造を形成する場合に、RB1又はRB2と、RB3とが結合して形成する基としては、好ましくは、鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0166】
RB1又はRB2と、RB4又はRB5とが結合して環構造を形成する場合、RB1又はRB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基、カルボニル基等を挙げることができる。アルキレン基としては、好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0167】
RB3と、RB4又はRB5とが結合して環構造を形成する場合に、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する基としては、好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0168】
RB1と、RB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造及びRB1と、RB2と、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造としては、例えば、炭素数5〜15の2環式縮合環構造を挙げることができる。
【0169】
Y1とY2とは結合して、一般式(I)又は(II)中のS+とともに、環構造を形成してもよい。
この場合、Y1とY2とが結合して形成する基としては、例えば、炭素数4〜10のアルキレン基、好ましくはブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、特に好ましくはブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。
また、Y1とY2と結合して、一般式(I)又は(II)中のS+とともに形成した環の中に、ヘテロ原子を含んでいても良い。
【0170】
上記のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族基、環状構造の各々が有してもよい置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、オキソ基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等があげられる。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基が好ましい。
【0171】
X−の非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0172】
アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0173】
上記アルキルスルホン酸アニオン及びアリールスルホン酸アニオンにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0174】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、エイコシルチオ基等を挙げることができる。尚、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基は、更にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
【0175】
アルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基としては、アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基と同様のものを挙げることができる。
アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基と同様のものを挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0176】
上記アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリールスルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0177】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0178】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0179】
X−の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換されたアルカンスルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換されたアリールスルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜8個のパーフロロアルカンスルホン酸アニオン、最も好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオンである。
【0180】
一般式(I)又は(II)において、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0181】
本発明の酸発生剤(B)は、カルボニル基と共役する2重結合を有することが特徴であり、これにより励起状態が安定化され、酸発生能が向上する。
また、R1又はR2と、R4又はR5とが結合して環構造を形成するか、R3と、R4又はR5とが結合して環構造を形成すると、立体構造がカルボニルのπ*起動とC−S+σ起動が平行になるように固定され、酸発生能が向上するので更に好ましい。
酸発生剤(B)に於いて、n=1又は2が好ましく、特に好ましくはn=1である。
R1〜R5の内のいずれか2つがアルキレン基を介して結合し、5〜7員環又は5〜7員環を含有する多環環状構造を形成することが好ましい。
R4、R5は、水素原子又はアルキル基が好ましい。
Y1、Y2は、アルキレン基を介して結合し、5〜7員環を形成することが好ましい。
【0182】
以下に、本発明の上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0183】
【化33】
【0184】
【化34】
【0185】
【化35】
【0186】
【化36】
【0187】
【化37】
【0188】
【化38】
【0189】
【化39】
【0190】
【化40】
【0191】
【化41】
【0192】
【化42】
【0193】
上記一般式(I)又は(II)の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0194】
一般式(I)又は(II)に示す化合物は、対応する不飽和ケトン化合物を塩基性条件下でトリメチルシリルクロリドなどでシリルエノールエーテル化した後、スルホキシドと反応させてスルホニウム塩とし、塩交換することにより合成できる。
また、一般式(I)又は(II)に示す化合物は、対応する不飽和ケトン化合物のケトンのα位又はアリル位を臭素または臭化銅などでハロゲン化してαハロゲン置換不飽和ケトン或いはアリル位がハロゲン化された不飽和ケトンとした後、これにスルフィド化合物を無触媒又は銀触媒の存在下反応させてスルホニウム塩とし、塩交換する事により合成することもできる。
【0195】
(B)成分の化合物の本発明のレジスト組成物中の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
【0196】
(B)成分以外の併用しうる酸発生化合物
本発明においては、成分(B)以外に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を更に併用してもよい。
本発明の(B)成分と併用しうる酸発生剤の使用量は、モル比(成分(B)/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
特に芳香環構造を有する酸発生剤を併用する場合、その使用量は、質量比で全酸発生剤の60%以下が好ましく、更に好ましくは50%以下である。
そのような併用可能な酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0197】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
特に好ましくは、スルホニウム塩であり、トリアリールスルホニウム塩、フェナシルスルホニウム塩、2−オキソアルキル基を有するスルホニウム塩が最も好ましい。
【0198】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3、849、137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0199】
さらに米国特許第3、779、778号、欧州特許第126、712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0200】
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で特に好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0201】
【化43】
【0202】
上記一般式(Z1)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)、(II)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0203】
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
R201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(Z1−1)、(Z1−2)、(Z1−3)における対応する基を挙げることができる。
【0204】
尚、一般式(Z1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(Z1)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(Z1)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0205】
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(Z1−1)、(Z1−2)、及び(Z1−3)を挙げることができる。
【0206】
化合物(Z1−1)は、上記一般式(Z1)の各R201〜R203がアリール基である、トリアリールスルホニム化合物、即ち、トリアリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
トリアリールスルホニウムカチオンのアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。トリアリールスルホニムカチオンが有する3つのアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
各アリール基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状アルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は3つのアリール基のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0207】
次に、化合物(Z1−2)について説明する。
化合物(Z1−2)は、式(Z1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0208】
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0209】
化合物(Z1−3)とは、以下の一般式(Z1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0210】
【化44】
【0211】
R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
R1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
Zc−は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)、(II)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0212】
R1c〜R5cとしてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)、炭素数3〜8の環状アルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
R1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖、分岐、環状アルキル基、又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0213】
R6c及びR7cとしてのアルキル基については、R1c〜R5cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基)を挙げることができる。
Rx及びRyとしてのアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
Rx及びRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
【0214】
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有しててもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
R204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
R204〜R207としてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
X−は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)、(II)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0215】
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0216】
【化45】
【0217】
【化46】
【0218】
【化47】
【0219】
【化48】
【0220】
【化49】
【0221】
【化50】
【0222】
〔3〕フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0223】
本発明のポジ型レジスト組成物が上記酸分解性樹脂と上記界面活性剤とを含有することにより、パターンの線幅が一層細い時に特に有効であり、現像欠陥が一層改良される。
これらのフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0224】
使用できる市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0225】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0226】
例えば、市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0227】
〔4〕有機塩基性化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、有機塩基性化合物を含有することが好ましい。好ましい有機塩基性化合物としては、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましく、例えば下記(A)〜(E)で表される構造が挙げられる。
【0228】
【化51】
【0229】
ここで、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基であり、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0230】
【化52】
【0231】
(式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
含窒素塩基性化合物の好ましい具体例として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、N−ベンジルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CHMETU)等の3級モルホリン誘導体、特開平11−52575号公報に記載のヒンダードアミン類(例えば該公報〔0005〕に記載のもの)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
特に好ましい具体例は、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、4,4−ジメチルイミダゾリン、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、ピリダジン類、ピリミジン類、CHMETU等の3級モルホリン類、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート等のヒンダードアミン類、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、トリオクチルアミン、トリフェニルイミダゾール、アンチピリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等を挙げることができる。
【0232】
中でも、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、CHMETU、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、トリオクチルアミン、トリフェニルイミダゾール、アンチピリン、2,6−ジイソプロピルアニリンが好ましい。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。含窒素塩基性化合物の使用量は、本発明のレジスト組成物の全組成物の固形分に対し、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%未満では上記含窒素塩基性化合物の添加の効果が得られない場合があり、一方、10質量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0233】
〔5〕溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレンカーボネート、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0234】
〔6〕その他の添加剤
本発明の組成物には、必要に応じて更に他の界面活性剤、酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
上記の他の界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0235】
〔7〕組成物の調製
各成分を溶剤に溶解し、調製されるレジスト組成物は、全固形分の濃度として、3〜25質量%であることが好ましく、5〜22質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることが更に好ましい。
本発明のこのようなポジ型レジスト組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗膜の膜厚は0.2〜1.2μmが好ましい。
【0236】
使用することができる基板としては、通常のBareSi基板、SOG基板、あるいは次に記載の無機の反射防止膜を有する基板等を挙げることができる。
【0237】
また、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型が用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0238】
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、ARC25、シプレー社製のAC−2、AC−3、AR19、AR20等を使用することもできる。
上記レジスト液を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上に(必要により上記反射防止膜を設けられた基板上に)、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは150nm〜250nmの波長の光である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液(通常0.1〜10質量%)を使用することができる。
【0239】
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0240】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
合成例(1)樹脂(1)の合成
イソソルバイドメタクリレート、2−アダマンチル−2−プロピルメタクリレート、ノルボルナンラクトンメタアクリレートを30/40/30の割合で仕込み、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=7/3(質量比)に溶解し、固形分濃度22質量%の溶液450gを調製した。この溶液に和光純薬製V−601を1mol%加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて、100℃に加熱したPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=7/3(質量比)の混合溶液50gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ヘキサン/酢酸エチル=9/1の混合溶媒5Lに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である樹脂(1)を回収した。
NMRから求めたポリマー組成比は31/40/29であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は8300であった。上記合成例と同様の操作で、樹脂(2)〜(15)を合成した。繰り返し単位2〜5は、構造式の左からの順である。
【0241】
【化53】
【0242】
【化54】
【0243】
【化55】
【0244】
【表1】
【0245】
実施例1〜24
(ポジ型レジスト組成物組成物の調製と評価)
表2におけるように、上記合成例で合成した樹脂(2g)、
光酸発生剤(配合量は表2に示した)、
有機塩基性化合物(4mg)、
界面活性剤(10mg)
を配合し、固形分10質量%となるように表2に示す溶剤に溶解した後、0.1μmのミクロフィルターで濾過し、更に0.03μmのフィルターで濾過し、実施例1〜24のポジ型レジスト組成物を調製した。尚、表2における各成分について複数使用の際の比は質量比である。
【0246】
〔サイドローブマージンの評価〕
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜ARC−29を78nmの厚さに均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、200℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各感光性組成物をスピンコーターで塗布し所定温度(表2に乾燥温度SBとして記載)で90秒乾燥を行い0.40μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、透過率6%のハーフトーン位相シフトマスクを用いてArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製 NA=0.6)で露光し、露光後直ぐに所定温度(表2に乾燥温度PEBとして記載)で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、コンタクトホールパターンを得た。
ホールサイズ180nm、Duty比1:2のマスクパターンを露光し、作製したパターンを日立製作所製測長SEM S−9260を使用して観察し、140nmのコンタクトホールを再現する露光量を最適露光量Eoptとし、サイドローブが発生する露光量をElimitとして、以下の式で定義されるサイドローブマージンを算出した。値が大きいほどサイドローブ耐性が高いことを示す。
サイドローブマージン(%)=[(Elimit−Eopt)/Eopt]×100
【0247】
この評価結果を表2に示す。
【0248】
【表2】
【0249】
表2における各成分の記号は以下を示す。
〔界面活性剤〕
1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
(フッ素及びシリコーン系)
3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
5:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
〔塩基性化合物〕
1:N,N−ジヒドロキシエチルアニリン
2:N,N−ジブチルアニリン
3:トリオクチルアミン
4:トリフェニルイミダゾール
5:アンチピリン
6:2,6−ジイソプロピルアニリン
7:1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)
を表す。
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S3:γ−ブチロラクトン
S4:シクロヘキサノン
S5:乳酸エチル
S6:酢酸ブチル
【0250】
表2の結果から、本発明の組成物は、上記諸性能に優れていることがわかる。
【0251】
【発明の効果】
本発明は、サイドローブマージン特性に優れたポジ型レジスト組成物を提供することが出来る。本発明のポジ型レジスト組成物は、遠紫外光、特にArFエキシマレーザー光を使用するミクロファブリケーションに好適に使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は遠紫外線に感応する半導体素子等の微細加工用ポジ型フォトレジスト組成物に関するものであり、更に詳しくは、遠紫外線露光用ポジ型フォトレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路はその集積度を益々高めており、超LSI等の半導体基板の製造に於いてはハーフミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外線の中でも短波長のエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArF等)を用いることが検討されるまでになってきている。
【0003】
この波長領域におけるリソグラフィーのパターン形成に用いられるものとして、化学増幅系レジストがある。
【0004】
ArF光源用のフォトレジスト組成物としては、ドライエッチング耐性付与の目的で脂環式炭化水素部位が導入された樹脂が提案されている。そのような樹脂としては、アクリル酸やメタクリル酸というカルボン酸部位を有する単量体や水酸基やシアノ基を分子内に有する単量体を脂環式炭化水素基を有する単量体と共重合させた樹脂が挙げられる。
【0005】
一方、前記アクリレート系単量体の側鎖に脂環式炭化水素部位を導入する方法以外にポリマー主鎖として脂環式炭化水素部位を活用したドライエッチング耐性付与する方法も検討されている。
【0006】
また、特許文献1(特許3348789号公報)、特許文献2(特開2002−116546号)、非特許文献1(S. Iwasa et. al., J.Photopolym. Sci. Technol., 13(2), 235 (2000))には、スルフォニウム塩が記載されている。
【0007】
従来の遠紫外線露光用フォトレジストに用いられる、酸分解性基を含有する樹脂は、分子内に同時に脂肪族の環状炭化水素基を含有することが一般的である。しかしながら、従来のポジ型レジスト組成物は、遠紫外光、特にArFエキシマレーザー光を使用したミクロフォトファブリケーションに於いて、サイドローブマージン特性に関する充分な成果が得られていなかった。
【0008】
【特許文献1】
特許3348789号公報
【特許文献2】
特開2002−116546号
【非特許文献1】
イワサら、光高分子科学技術(J. Photopolym. Sci. Technol.) Vol. 13(2), 235ページ (2000)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、遠紫外光、とくにArFエキシマレーザー光を使用するミクロフォトファブリケ−ション本来の性能向上のための技術における課題を解決したポジ型レジスト組成物を提供することにあり、より具体的には、サイドローブマージン特性に優れたポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ポジ型レジスト組成物の構成材料を鋭意検討した結果、下記の構成によって、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
【0011】
(1)
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、および
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(I)または(II)で表される化合物を含有する感光性組成物。
【化3】
式(1)において、Rは水素原子又はアルキル基を表す。
【化4】
一般式(I)及び(II)中、
RB1〜RB3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
RB4及びRB5は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、シアノ基又はアルキル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
Y1及びY2は、同じでも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。nが2以上の場合に複数個存在するRB1及びRB2は、同じでも異なっていてもよい。
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内のいずれか2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
また、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
X−は、非求核性アニオンを表す。
(2)
更に(C)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
(3)
更に有機塩基性化合物を含有する請求項1または2に記載の感光性組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する成分について詳細に説明する。
感光性組成物において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、及び、(C)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を添加することにより、マスク被覆率依存性、現像欠陥(特にブリッジング)が軽減することが見出された。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0013】
〔1〕酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(A成分)
本発明のレジスト組成物が含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(酸分解性樹脂)は、一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する。この樹脂の添加によりマスク被覆率依存性が小さいものとなる。
【0014】
一般式(1)におけるRとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5、例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
【0015】
一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
【0016】
【化5】
【0017】
一般式(1)で表される繰り返し単位に対応する単量体の合成は、通常のエステル化反応により可能である。例えば、イソソルバイドと(メタ)アクリル酸などの重合性基を有するカルボン酸類、対応する酸クロリド、酸無水物と塩基性条件下反応させる方法などを挙げることができる。
【0018】
本発明の樹脂は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(酸分解性樹脂)であり、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し、アルカリ可溶性となる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0019】
酸の作用により分解する基としては、−COOA0 、−O−B0 基で示される基を挙げることができる。更にこれらを含む基としては、−R0−COOA0、又は−Ar−O−B0 で示される基が挙げられる。
【0020】
ここでA0 は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)、−C(R04)(R05)−O−R06基もしくはラクトン基を示す。B0は、−A0又は−CO−O−A0基を示す。
【0021】
R01、R02、R03、R04及びR05は、それぞれ同一でも相異していても良く、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基、環状アルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03、及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は単結合もしくは、置換基を有していても良い2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していても良い2価以上の芳香族基を示す。
【0022】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜30個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。環状のアルキル基としては、炭素数3〜30個のものが挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基、ステロイド残基等を挙げることができる。アラルキル基としては、炭素数7〜20個のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。ベンジル基、フェネチル基、クミル基等が挙げられる。
【0023】
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フエネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0024】
また、上記ラクトン基としては、下記構造のものが挙げられる。
【0025】
【化6】
【0026】
上記式中、Ra 、Rb、Rcは各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基を表す。nは、2から4の整数を表す。
【0027】
露光用の光源としてArFエキシマレーザーを使用する場合には、酸の作用により分解する基として、−C(=O)−X1−R0で表される基を用いることが好ましい。ここで、R0としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリル基、3−オキソシクロヘキシル基、上記ラクトン基等を挙げることができる。X1は、酸素原子、硫黄原子を表すが、好ましくは酸素原子である。
【0028】
本発明において使用される酸分解性樹脂において、一般式(I)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは10〜50モル%、更に好ましくは15〜40モル%である。
【0029】
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中、25〜70モル%が好ましく、より好ましくは27〜60モル%、更に好ましくは29〜50モル%である。
【0030】
本発明の組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(A)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環含有酸分解性樹脂」ともいう)であることが好ましい。このような樹脂として、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と共に、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂が好ましい。
【0031】
【化7】
【0032】
式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
【0033】
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
【0034】
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
【0035】
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0036】
【化8】
【0037】
式(II−AB)中:
R11’,R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
【0038】
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0039】
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−A)又は一般式(II−B)であることが更に好ましい。
【0040】
【化9】
【0041】
式(II−A)、(II−B)中:
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
【0042】
ここで、R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は下記の−Y基を表す。
【0043】
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
【0044】
A’は単結合又は2価の連結基を表す。
【0045】
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
【0046】
R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又は下記の−Y基を表す。
【0047】
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。−Y基;
【0048】
【化10】
【0049】
(−Y基中、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0050】
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0051】
R11〜R25における脂環式炭化水素基或いはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0052】
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0057】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0058】
一般式(pI)〜(pVI)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができ、即ち、酸分解性基を構成することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
【0059】
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
【0060】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0061】
【化14】
【0062】
【化15】
【0063】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
【0064】
上記樹脂において、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0065】
【化16】
【0066】
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
【0067】
Aは、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
【0068】
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
【0069】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
【0070】
【化17】
【0071】
上記一般式(II−AB)において、R11’、R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
【0072】
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0073】
上記R11’、R12’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0074】
上記R11’、R12’、R21’〜R30’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0075】
上記のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0076】
上記Z’の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
【0077】
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR11〜R25及び一般式(II−AB)に於けるZ’の脂環式部分の前記構造例(1)〜(51)と同様のものが挙げられる。
【0078】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、前記構造例のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0079】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−A)あるいは(II−B)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
【0080】
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し単位の中でも、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0081】
本発明に係わる脂環含有酸分解性樹脂において、酸分解性基は、前記−C(=O)−X−A’−R17’に含まれてもよいし、一般式(II−AB)のZ’の置換基として含まれてもよい。
【0082】
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
【0083】
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、上記Xと同義である。
【0084】
上記R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0085】
上記R5、R6、R13’〜R16’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0086】
上記R5、R6、R13’〜R16’における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
【0087】
上記R13’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0088】
上記R17’におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0089】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基、アルキル基、環状炭化水素基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0090】
また、アルキル基、環状炭化水素基は、上記で挙げたものが挙げられる。
【0091】
上記A’の2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
【0092】
上記A’におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
【0093】
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0094】
本発明に係る脂環含有酸分解性樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0095】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなるものである。
【0096】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)で表される繰り返し単位の具体例として次のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0097】
【化18】
【0098】
本発明の脂環含有酸分解性樹脂は、ラクトン基を有することが好ましく、より好ましくは下記一般式(Lc)又は下記一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することであり、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
一般式(Lc)中、Ra1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0102】
一般式(V−1)〜(V−5)において、R1b〜R5bは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基又はアルケニル基を表す。R1b〜R5bの内の2つは、結合して環を形成してもよい。
【0103】
一般式(Lc)に於けるRa1〜Re1のアルキル基及び一般式(V−1)〜(V−5)に於けるR1b〜R5bのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
【0104】
直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
【0105】
R1b〜R5bにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
【0106】
R1b〜R5bにおけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
【0107】
また、R1b〜R5bの内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
【0108】
なお、一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1b〜R5bは、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0109】
Ra1〜Re1のアルキル基及びR1b〜R5bのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0110】
一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0111】
【化21】
【0112】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1bとしてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。
【0113】
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
【0114】
A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
【0115】
B2は、一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0116】
【化22】
【0117】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、
ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
【0118】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
【0119】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0120】
以下に、ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0121】
【化23】
【0122】
【化24】
【0123】
【化25】
【0124】
本発明の脂環含有酸分解性樹脂は、下記一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0125】
【化26】
【0126】
一般式(VII)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0127】
一般式(VII)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0128】
一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VII)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0129】
【化27】
【0130】
一般式(AII)中、R1cは、水素原子又はメチル基を表す。
【0131】
R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0132】
以下に、一般式(AII)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0133】
【化28】
【0134】
脂環含有酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
【0135】
【化29】
【0136】
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0137】
上記R41及びR42におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0138】
上記R41及びR42 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R42におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0139】
R41及びR42としてのアルキル基及びハロアルキル基、R42としてのシクロアルキル基又は樟脳残基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜5、例えば、ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5、例えばアセトキシ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル基)等を挙げることができる。
【0140】
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例として、以下が挙げられるが、これらの具体例に限定されるものではない。
【0141】
【化30】
【0142】
【化31】
【0143】
脂環含有酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
【0144】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
これにより、脂環含有酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
【0146】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0147】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0148】
脂環含有酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0149】
脂環含有酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
脂環含有酸分解性樹脂における一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量及び酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、先に酸分解性樹脂について述べたものと同様である。
【0150】
脂環含有酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中25〜60モル%が好ましく、より好ましくは27〜50モル%、更に好ましくは29〜45モル%である。
【0151】
一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜50モル%が好ましく、より好ましくは15〜48モル%、更に好ましくは20〜45モル%である。
【0152】
一般式(Lc)で表される脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中40モル%以下が好ましく、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
【0153】
一般式(V−1)〜(V−5)で表されるラクトン構造を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中5〜60モル%が好ましく、より好ましくは10〜55モル%、更に好ましくは15〜50モル%である。
【0154】
一般式(VII)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。
【0155】
一般式(VIII)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中、10〜70モル%が好ましく、より好ましくは15〜60モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
本発明に用いる脂環含有酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
本発明のポジ型レジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0156】
〔2〕活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B成分)
本発明における(B)下記一般式(I)または(II)で表される化合物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物であり、赤外線、可視光、紫外光、遠紫外光等の活性光線、X線、電子線等の荷電粒子線、熱、超音波等により酸を発生する化合物である。
【0157】
【化32】
【0158】
一般式(I)及び(II)中、
RB1〜RB3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
RB4及びRB5は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
Y1及びY2は、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。nが2以上の場合に複数個存在するRB1及びRB2は、同じでも異なっていてもよい。
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内のいずれか2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
また、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
X−は、非求核性アニオンを表す。
【0159】
RB1〜RB5、Y1及びY2のアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を挙げることができる。アルキル基は、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基等を有していてもよい。
RB1〜RB5、Y1及びY2のアリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0160】
RB1〜RB3のアルケニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基であり、例えばビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、3−オキソシクロペンテニル基、3−オキソシクロヘキセニル基等を挙げることができる。
【0161】
RB1〜RB5のアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトオキシ基等を挙げることができる。
【0162】
Y1及びY2のアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等を挙げることができる。
【0163】
ヘテロ原子を含む芳香族基とは、例えば炭素数4〜14のアリール基等の芳香族基に、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を有する基を表す。
Y1及びY2のヘテロ原子を含む芳香族基としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、インドール等の複素環式芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0164】
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内の2つ以上が結合して形成する環構造としては、例えば、RB1又はRB2と、RB3とが結合して形成する環構造、RB1又はRB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、RB1と、RB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、RB1と、RB2と、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造、Y1と、Y2とが結合して一般式(I)又は(II)中のS+とともに形成する環構造等を挙げることができる。
【0165】
RB1又はRB2と、RB3とが結合して環構造を形成する場合に、RB1又はRB2と、RB3とが結合して形成する基としては、好ましくは、鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0166】
RB1又はRB2と、RB4又はRB5とが結合して環構造を形成する場合、RB1又はRB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基、カルボニル基等を挙げることができる。アルキレン基としては、好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0167】
RB3と、RB4又はRB5とが結合して環構造を形成する場合に、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する基としては、好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0168】
RB1と、RB2と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造及びRB1と、RB2と、RB3と、RB4又はRB5とが結合して形成する環構造としては、例えば、炭素数5〜15の2環式縮合環構造を挙げることができる。
【0169】
Y1とY2とは結合して、一般式(I)又は(II)中のS+とともに、環構造を形成してもよい。
この場合、Y1とY2とが結合して形成する基としては、例えば、炭素数4〜10のアルキレン基、好ましくはブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、特に好ましくはブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。
また、Y1とY2と結合して、一般式(I)又は(II)中のS+とともに形成した環の中に、ヘテロ原子を含んでいても良い。
【0170】
上記のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、芳香族基、環状構造の各々が有してもよい置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、オキソ基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等があげられる。更にアリール基、アラルキル基については、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されていてもよい。
また、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基が好ましい。
【0171】
X−の非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0172】
アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0173】
上記アルキルスルホン酸アニオン及びアリールスルホン酸アニオンにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0174】
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜15のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、エイコシルチオ基等を挙げることができる。尚、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基は、更にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
【0175】
アルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基としては、アルキルスルホン酸アニオンにおけるアルキル基と同様のものを挙げることができる。
アリールカルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、アリールスルホン酸アニオンにおけるアリール基と同様のものを挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0176】
上記アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリールスルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0177】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
【0178】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0179】
X−の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換されたアルカンスルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換されたアリールスルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜8個のパーフロロアルカンスルホン酸アニオン、最も好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオンである。
【0180】
一般式(I)又は(II)において、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
【0181】
本発明の酸発生剤(B)は、カルボニル基と共役する2重結合を有することが特徴であり、これにより励起状態が安定化され、酸発生能が向上する。
また、R1又はR2と、R4又はR5とが結合して環構造を形成するか、R3と、R4又はR5とが結合して環構造を形成すると、立体構造がカルボニルのπ*起動とC−S+σ起動が平行になるように固定され、酸発生能が向上するので更に好ましい。
酸発生剤(B)に於いて、n=1又は2が好ましく、特に好ましくはn=1である。
R1〜R5の内のいずれか2つがアルキレン基を介して結合し、5〜7員環又は5〜7員環を含有する多環環状構造を形成することが好ましい。
R4、R5は、水素原子又はアルキル基が好ましい。
Y1、Y2は、アルキレン基を介して結合し、5〜7員環を形成することが好ましい。
【0182】
以下に、本発明の上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0183】
【化33】
【0184】
【化34】
【0185】
【化35】
【0186】
【化36】
【0187】
【化37】
【0188】
【化38】
【0189】
【化39】
【0190】
【化40】
【0191】
【化41】
【0192】
【化42】
【0193】
上記一般式(I)又は(II)の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0194】
一般式(I)又は(II)に示す化合物は、対応する不飽和ケトン化合物を塩基性条件下でトリメチルシリルクロリドなどでシリルエノールエーテル化した後、スルホキシドと反応させてスルホニウム塩とし、塩交換することにより合成できる。
また、一般式(I)又は(II)に示す化合物は、対応する不飽和ケトン化合物のケトンのα位又はアリル位を臭素または臭化銅などでハロゲン化してαハロゲン置換不飽和ケトン或いはアリル位がハロゲン化された不飽和ケトンとした後、これにスルフィド化合物を無触媒又は銀触媒の存在下反応させてスルホニウム塩とし、塩交換する事により合成することもできる。
【0195】
(B)成分の化合物の本発明のレジスト組成物中の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
【0196】
(B)成分以外の併用しうる酸発生化合物
本発明においては、成分(B)以外に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を更に併用してもよい。
本発明の(B)成分と併用しうる酸発生剤の使用量は、モル比(成分(B)/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
特に芳香環構造を有する酸発生剤を併用する場合、その使用量は、質量比で全酸発生剤の60%以下が好ましく、更に好ましくは50%以下である。
そのような併用可能な酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0197】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
特に好ましくは、スルホニウム塩であり、トリアリールスルホニウム塩、フェナシルスルホニウム塩、2−オキソアルキル基を有するスルホニウム塩が最も好ましい。
【0198】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3、849、137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0199】
さらに米国特許第3、779、778号、欧州特許第126、712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0200】
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で特に好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0201】
【化43】
【0202】
上記一般式(Z1)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)、(II)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0203】
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
R201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(Z1−1)、(Z1−2)、(Z1−3)における対応する基を挙げることができる。
【0204】
尚、一般式(Z1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(Z1)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(Z1)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0205】
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(Z1−1)、(Z1−2)、及び(Z1−3)を挙げることができる。
【0206】
化合物(Z1−1)は、上記一般式(Z1)の各R201〜R203がアリール基である、トリアリールスルホニム化合物、即ち、トリアリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
トリアリールスルホニウムカチオンのアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。トリアリールスルホニムカチオンが有する3つのアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
各アリール基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状アルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は3つのアリール基のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0207】
次に、化合物(Z1−2)について説明する。
化合物(Z1−2)は、式(Z1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0208】
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0209】
化合物(Z1−3)とは、以下の一般式(Z1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0210】
【化44】
【0211】
R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
R1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
Zc−は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)、(II)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0212】
R1c〜R5cとしてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)、炭素数3〜8の環状アルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
R1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖、分岐、環状アルキル基、又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0213】
R6c及びR7cとしてのアルキル基については、R1c〜R5cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基)を挙げることができる。
Rx及びRyとしてのアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
Rx及びRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
【0214】
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有しててもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
R204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
R204〜R207としてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
X−は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)、(II)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0215】
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0216】
【化45】
【0217】
【化46】
【0218】
【化47】
【0219】
【化48】
【0220】
【化49】
【0221】
【化50】
【0222】
〔3〕フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型レジスト組成物は、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0223】
本発明のポジ型レジスト組成物が上記酸分解性樹脂と上記界面活性剤とを含有することにより、パターンの線幅が一層細い時に特に有効であり、現像欠陥が一層改良される。
これらのフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0224】
使用できる市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0225】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0226】
例えば、市販のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0227】
〔4〕有機塩基性化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、有機塩基性化合物を含有することが好ましい。好ましい有機塩基性化合物としては、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましく、例えば下記(A)〜(E)で表される構造が挙げられる。
【0228】
【化51】
【0229】
ここで、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基であり、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0230】
【化52】
【0231】
(式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
含窒素塩基性化合物の好ましい具体例として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、N−ベンジルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CHMETU)等の3級モルホリン誘導体、特開平11−52575号公報に記載のヒンダードアミン類(例えば該公報〔0005〕に記載のもの)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
特に好ましい具体例は、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、4,4−ジメチルイミダゾリン、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、ピリダジン類、ピリミジン類、CHMETU等の3級モルホリン類、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート等のヒンダードアミン類、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、トリオクチルアミン、トリフェニルイミダゾール、アンチピリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等を挙げることができる。
【0232】
中でも、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、CHMETU、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、トリオクチルアミン、トリフェニルイミダゾール、アンチピリン、2,6−ジイソプロピルアニリンが好ましい。
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。含窒素塩基性化合物の使用量は、本発明のレジスト組成物の全組成物の固形分に対し、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%未満では上記含窒素塩基性化合物の添加の効果が得られない場合があり、一方、10質量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0233】
〔5〕溶剤
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレンカーボネート、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
上記の中でも、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0234】
〔6〕その他の添加剤
本発明の組成物には、必要に応じて更に他の界面活性剤、酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
上記の他の界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0235】
〔7〕組成物の調製
各成分を溶剤に溶解し、調製されるレジスト組成物は、全固形分の濃度として、3〜25質量%であることが好ましく、5〜22質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることが更に好ましい。
本発明のこのようなポジ型レジスト組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗膜の膜厚は0.2〜1.2μmが好ましい。
【0236】
使用することができる基板としては、通常のBareSi基板、SOG基板、あるいは次に記載の無機の反射防止膜を有する基板等を挙げることができる。
【0237】
また、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型が用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0238】
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、ARC25、シプレー社製のAC−2、AC−3、AR19、AR20等を使用することもできる。
上記レジスト液を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上に(必要により上記反射防止膜を設けられた基板上に)、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは150nm〜250nmの波長の光である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液(通常0.1〜10質量%)を使用することができる。
【0239】
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0240】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
合成例(1)樹脂(1)の合成
イソソルバイドメタクリレート、2−アダマンチル−2−プロピルメタクリレート、ノルボルナンラクトンメタアクリレートを30/40/30の割合で仕込み、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=7/3(質量比)に溶解し、固形分濃度22質量%の溶液450gを調製した。この溶液に和光純薬製V−601を1mol%加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて、100℃に加熱したPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=7/3(質量比)の混合溶液50gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ヘキサン/酢酸エチル=9/1の混合溶媒5Lに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である樹脂(1)を回収した。
NMRから求めたポリマー組成比は31/40/29であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は8300であった。上記合成例と同様の操作で、樹脂(2)〜(15)を合成した。繰り返し単位2〜5は、構造式の左からの順である。
【0241】
【化53】
【0242】
【化54】
【0243】
【化55】
【0244】
【表1】
【0245】
実施例1〜24
(ポジ型レジスト組成物組成物の調製と評価)
表2におけるように、上記合成例で合成した樹脂(2g)、
光酸発生剤(配合量は表2に示した)、
有機塩基性化合物(4mg)、
界面活性剤(10mg)
を配合し、固形分10質量%となるように表2に示す溶剤に溶解した後、0.1μmのミクロフィルターで濾過し、更に0.03μmのフィルターで濾過し、実施例1〜24のポジ型レジスト組成物を調製した。尚、表2における各成分について複数使用の際の比は質量比である。
【0246】
〔サイドローブマージンの評価〕
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜ARC−29を78nmの厚さに均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、200℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各感光性組成物をスピンコーターで塗布し所定温度(表2に乾燥温度SBとして記載)で90秒乾燥を行い0.40μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、透過率6%のハーフトーン位相シフトマスクを用いてArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製 NA=0.6)で露光し、露光後直ぐに所定温度(表2に乾燥温度PEBとして記載)で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、コンタクトホールパターンを得た。
ホールサイズ180nm、Duty比1:2のマスクパターンを露光し、作製したパターンを日立製作所製測長SEM S−9260を使用して観察し、140nmのコンタクトホールを再現する露光量を最適露光量Eoptとし、サイドローブが発生する露光量をElimitとして、以下の式で定義されるサイドローブマージンを算出した。値が大きいほどサイドローブ耐性が高いことを示す。
サイドローブマージン(%)=[(Elimit−Eopt)/Eopt]×100
【0247】
この評価結果を表2に示す。
【0248】
【表2】
【0249】
表2における各成分の記号は以下を示す。
〔界面活性剤〕
1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
(フッ素及びシリコーン系)
3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
5:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
〔塩基性化合物〕
1:N,N−ジヒドロキシエチルアニリン
2:N,N−ジブチルアニリン
3:トリオクチルアミン
4:トリフェニルイミダゾール
5:アンチピリン
6:2,6−ジイソプロピルアニリン
7:1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)
を表す。
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
S3:γ−ブチロラクトン
S4:シクロヘキサノン
S5:乳酸エチル
S6:酢酸ブチル
【0250】
表2の結果から、本発明の組成物は、上記諸性能に優れていることがわかる。
【0251】
【発明の効果】
本発明は、サイドローブマージン特性に優れたポジ型レジスト組成物を提供することが出来る。本発明のポジ型レジスト組成物は、遠紫外光、特にArFエキシマレーザー光を使用するミクロファブリケーションに好適に使用できる。
Claims (3)
- (A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増大する樹脂、および
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する下記一般式(I)または(II)で表される化合物を含有する感光性組成物。
RB1〜RB3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
RB4及びRB5は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、シアノ基又はアルキル基、アリール基若しくはアルコキシ基を表す。
Y1及びY2は、同じでも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む芳香族基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。nが2以上の場合に複数個存在するRB1及びRB2は、同じでも異なっていてもよい。
RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2の内のいずれか2つ以上が結合して環構造を形成してもよい。
また、RB1〜RB3、RB4、RB5、Y1及びY2のいずれかの位置で、連結基を介して結合し、一般式(I)又は(II)の構造を2つ以上有していてもよい。
X−は、非求核性アニオンを表す。 - 更に(C)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- 更に有機塩基性化合物を含有する請求項1または2に記載の感光性組成物。
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