JP2004060978A - 空調制御支援装置、空調制御装置、空調制御支援システムおよび空調制御システム - Google Patents
空調制御支援装置、空調制御装置、空調制御支援システムおよび空調制御システム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御される店内の現在の室内熱負荷を算出する。算出した現在の室内熱負荷を賄うようにヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と店内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線(EN1,EN2,EN3)をヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率(3:1、1:2、1:3)毎に作成し、表示する。店内のPMVの現在位置を黒三角マークM1で明示する。PMVの現在位置におけるエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、エネルギーの消費量を最小とすることのできる現時点における運転比率を知ることができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空調制御支援装置、空調制御装置、空調制御支援システムおよび空調制御システムに関し、特に営業時間が長時間にわたるとともに、空調面積が広く、店内に冷凍・冷蔵などのショーケースを設置しているスーパマーケットやコンビニエンスストアなどに用いて好適な空調制御支援装置、空調制御装置、空調制御支援システムおよび衛生管理が厳しくなりつつある厨房や飲食店などで温湿度コントロールを行うことでHACCP(危機分析重要管理点方式)に対応できる空調制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばコンビニエンスストア(以下、コンビニと略す)では、図8に示すように、空調機1を用いて店内2の空調制御を行っている。店内2にはショーケース3が設けられている。ショーケース3は、冷凍・冷蔵機4を熱源として駆動され、冷気を発生して、庫内に陳列された商品の新鮮度を確保する。
【0003】
空調機1としては電気やガスをエネルギー源とするヒートポンプ型の空調機が使用されている。店内2には、温度設定器5と温度センサ6が設けられており、温度設定器5からの設定温度tspと温度センサ6からの室内温度tpvとが一致するように、ヒートポンプ型の空調機1からの店内2への給気SAの温度が調整される。なお、店内2には、壁7によって仕切られた事務室8が設けられている。
【0004】
店内2において、ショーケース3は、殆どがオープンタイプである。このため、冷凍エネルギーのうち約70%〜90%が漏れ出てしまい、店内の結露での凝縮潜熱、霜発生の冷凍潜熱、そして店内空気の冷却に使われてしまう。ショーケース3からの冷気漏れは、ヒートポンプ型の空調機1を使用しての冷房を助け、消費エネルギーを軽減する。しかし、ショーケース3に霜がつくので、この霜を取り除くために霜取りヒータ(デフロストヒータ)を頻繁に作動させる必要がある。霜取りヒータの使用は消費エネルギーの増大となる。
【0005】
〔デシカント空調機〕
最近、新しいタイプの空調機として、吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機が脚光を浴びている。
図9にデシカント空調機の基本原理図を示す。同図において、9はシリカゲルなどを除湿剤とする吸着式の除湿ロータ、10は顕熱交換ロータ、11はフィルタを含む冷温水コイル、12は排熱利用温水コイルである。
【0006】
〔デシカント空調機の動作:除湿冷房時〕
除湿ロータ9および顕熱交換ロータ10は低速回転している。処理空気として導入される外気OAは、除湿ロータ9を通過する際、その湿分が吸着され除湿される。すなわち、外気OAの水蒸気圧が除湿ロータ9内部の水蒸気圧より高いため、平衡状態になろうとし、外気OA中の水分が移動し、除湿ロータ9の除湿剤に取り込まれる。吸着反応は、発熱反応であるので、除湿ロータ9を通過した外気OAはやや温度が高い乾燥空気(60℃程度)となる。
【0007】
一方、空調された室からの還気RAは、冷温水コイル11を通って顕熱ロータ10へ入る。顕熱ロータ10では、除湿ロータ9からの除湿された外気OA(60℃程度)と冷温水コイル11からの冷却された還気RA(25℃程度)との温度交換が行われる。これにより、除湿ロータ9からの外気OAはやや温度の低い除湿空気OA’(35℃程度)となり、冷温水コイル11からの還気RAはやや温度の高い再生空気RA’(50℃程度)となる。
【0008】
顕熱ロータ10からの除湿空気OA’は、冷温水コイル11において冷却され、所望の温度に調整された給気SA1(20℃程度)とされる。また、冷温水コイル11の手前で分岐され、冷却されずに給気SA2とされる。
顕熱ロータ10からの再生空気RA’は、排熱利用温水コイル12において加熱され、高温の再生空気RA”(80℃程度)となる。この高温の再生空気RA”は、除湿ロータ9の除湿機能の再生(吸湿剤に吸着された水分の除去)に利用された後、排気EAとして排出される。排熱利用温水コイル12に利用する熱源としては、ガスコージェネレーション(ガスエンジン,ガスタービンなど)からの排熱、ソーラ、凝縮熱などの利用が試みられている。
【0009】
〔ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との併用〕
図10にデシカント空調機を併用した空調制御システムを示す。この空調制御システムでは、ヒートポンプ型の空調機1とは別にデシカント空調機13を設け、このデシカント空調機13からの給気SA1を店内の中央寄りの空間に、SA2をショーケース3の近傍の空間に吹き出すようにしている。デシカント空調機13からの給気SA1も設定温度tspと室内温度tpvとが一致するように調整される。なお、図9において、顕熱変換ロータ10の手前で分岐した空気をショーケース3の近傍の空間に吹き出す給気SA2とすることもある。
【0010】
デシカント空調機13にはガスコージェネレーション14からの排熱を供給するようにしている。ガスコージェネレーション14は、ガスから電気を生成するガスコージェネレーションで、生成した電気をショーケース用の冷凍・冷蔵機4や店内2の照明設備など各種の設備に供給する。
【0011】
このようなデシカント空調機を併用したシステムとすることにより、ショーケース3の回りを中心とする店内2の湿度が下がり、ショーケース3に霜がつきにくくなり、霜取りヒータの使用回数が減る。また、店内2の空気のエンタルピーが下がり、ショーケース3からの冷気漏れと合わせて、ヒートポンプ型の空調機1を使用しての冷房に要する消費エネルギーが軽減される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このデシカント空調機を併用した空調制御システムでは、霜取りヒータの使用回数や空気のエンタルピーを下げて省エネルギーを図ることができるが、湿度が低くなりすぎて、お客や従業員に不快感を与えることがあった。すなわち、湿度が低くなると、人間は寒いと感じ、快適度が低下する。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、省エネルギーと快適性の両立を図ることのできるデシカント空調機を併用した空調制御支援装置、空調制御装置、空調制御支援システムおよび空調制御システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される空調制御対象室の現在の室内熱負荷を算出する室内熱負荷算出手段と、この室内熱負荷算出手段により算出された現在の室内熱負荷を賄うようにヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と空調制御対象室内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成し表示するエネルギー消費量予想曲線作成表示手段と、このエネルギー消費量予想曲線作成表示手段が表示するエネルギー消費量予想曲線に対して空調制御対象室内の快適度の現在位置を明示する快適度現在位置明示手段とを設けたものである。
【0015】
この発明によれば、空調制御対象室の現在の室内熱負荷をヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線が、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率(例えば、3:1、1:2、1:3)毎に作成され、表示される。また、このエネルギー消費量予想曲線に対して、空調制御対象室内の快適度の現在位置が明示される。
これにより、例えば快適度を横軸とし、エネルギー消費量の予測値を縦軸とした場合、快適度の現在位置が横軸上に明示され、この快適度の現在位置におけるエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、エネルギーの消費量を最小とすることのできる現時点におけるヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率を知ることができる。
また、快適度の現在位置を見て、快適度の設定を変更したいような場合、変更したい位置の快適度におけるエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、設定変更後の快適度においてエネルギーの消費量を最小とすることのできるヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率を知ることも可能である。
【0016】
第2発明(請求項2に係る発明)は、第1発明の構成に加え、さらに、所望の快適度が空調制御対象室に対する設定快適度として確定された場合、その確定された快適度におけるエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率でヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを運転する空調機運転手段とを設けたものである。
この発明によれば、例えば快適度の設定を変更したいような場合、所望の快適度を空調制御対象室に対する設定快適度として確定すると、その確定された快適度におけるエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率にヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更される。
【0017】
第3発明(請求項3に係る発明)は、ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される空調制御対象室の現在の室内熱負荷を算出する室内熱負荷算出手段と、この室内熱負荷算出手段により算出された現在の室内熱負荷を賄うようにヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と空調制御対象室内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成するエネルギー消費量予想曲線作成手段と、空調制御対象室に対して予め設定されている快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の前記快適度範囲における最小予測値に対応する快適度を空調制御対象室に対する設定快適度とするとともに、最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率でヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを運転する空調機運転手段とを設けたものである。
【0018】
この発明によれば、空調制御対象室の現在の室内熱負荷をヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線が、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率(例えば、3:1、1:2、1:3)毎に作成される。
そして、空調制御対象室に対して予め設定されている快適度範囲(例えば、PMV=−0.5〜+0.5の範囲:PMV(温熱快適指標))においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線の快適度範囲における最小予測値に対応する快適度が空調制御対象室に対する設定快適度とされる。また、最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率に、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更される。
【0019】
第4発明(請求項4に係る発明)は、1日を複数の時間帯に分割した第1の時間帯では予め定められた高快適度の快適度範囲を空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とし、1日を複数の時間帯に分割した第2の時間帯では予め定められた低快適度の快適度範囲を空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とする快適度範囲設定手段と、この快適度範囲設定手段によって設定される所望の快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の前記所望の快適度範囲における最小予測値に対応する快適度を空調制御対象室に対する設定快適度とするとともに、最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率でヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを運転する空調機運転手段とを設けたものである。
【0020】
この発明によれば、第1の時間帯(例えば、営業時間内)では、予め定められた高快適度の快適度範囲(例えば、PMV=−0.5〜+0.5の範囲)が空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とされ、この快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線の前記快適度範囲(高快適度の快適度範囲)における最小予測値に対応する快適度が空調制御対象室に対する設定快適度とされる。また、最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率に、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更される。これにより、第1の時間帯では、省エネルギーと快適性の両立が図られる。
【0021】
一方、第2の時間帯(例えば、営業時間外)では、予め定められた低快適度の快適度範囲(例えば、PMV=+1〜+2の範囲)が空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とされ、この快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線の前記快適度範囲(低快適度の快適度範囲)における最小予測値に対応する快適度が空調制御対象室に対する設定快適度とされる。また、最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率に、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更される。これにより、第2の時間帯では、快適性よりも省エネルギーが優先される、
【0022】
第5発明(請求項5に係る発明)は、センタに設けられた中央監視装置と、ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される第1〜第N(N≧2)の空調制御対象室と、この第1〜第Nの空調制御対象室に対して各個に設けられた第1〜第Nの端末装置と、中央監視装置と第1〜第Nの端末装置とを接続するネットワークとを備えた空調制御支援システムとし、中央監視装置に、第1〜第Nの空調制御対象室について、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成し表示するエネルギー消費量予想曲線作成表示手段と、このエネルギー消費量予想曲線作成表示手段が表示する第1〜第Nの空調制御対象室のエネルギー消費量予想曲線に対してその空調制御対象室内の快適度の現在位置を明示する快適度現在位置明示手段とを設けたものである。
【0023】
この発明によれば、第1〜第Nの端末装置にネットワークを介して接続された中央監視装置において、第1〜第Nの空調制御対象室毎に、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線がヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率(例えば、3:1、1:2、1:3)毎に作成され、表示される。また、この第1〜第Nの空調制御対象室のエネルギー消費量予想曲線に対して、その空調制御対象室内の快適度の現在位置が明示される。
【0024】
これにより、例えば快適度を横軸とし、エネルギー消費量の予測値を縦軸とした場合、快適度の現在位置が横軸上に明示され、この快適度の現在位置における第1〜第Nの空調制御対象室のエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、現在の快適度でエネルギーの消費量を最小とすることのできる各室に対するヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率を知ることができる。
また、例えば快適度の設定を変更したいような場合、変更したい位置の快適度における第1〜第Nの空調制御対象室のエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、設定変更後の快適度においてエネルギーの消費量を最小とすることのできる各室に対するヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率を知ることができる。
【0025】
第6発明(請求項6に係る発明)は、センタに設けられた中央監視装置と、ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される第1〜第N(N≧2)の空調制御対象室と、この第1〜第Nの空調制御対象室に対して各個に設けられた第1〜第Nの端末装置と、中央監視装置と第1〜第Nの端末装置とを接続するネットワークとを備えた空調制御システムとし、中央監視装置に、第1〜第Nの空調制御対象室について、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成するエネルギー消費量予想曲線作成手段と、第1〜第Nの空調制御対象室に対して予め設定されている第1〜第Nの快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の第1〜第Nの快適度範囲における最小予測値に対応する快適度を第1〜第Nの空調制御対象室に対する設定快適度とするとともに、第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率で第1〜第Nの空調制御対象室に対して各個に設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを運転する空調機運転手段とを設けたものである。
【0026】
この発明によれば、第1〜第Nの端末装置にネットワークを介して接続された中央監視装置において、第1〜第Nの空調制御対象室毎に、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線がヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率(例えば、3:1、1:2、1:3)毎に作成される。
【0027】
そして、第1〜第Nの空調制御対象室に対して予め設定されている第1〜第Nの快適度範囲(例えば、PMV=−0.5〜+0.5の範囲)においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の第1〜第Nの快適度範囲における最小予測値に対応する快適度が第1〜第Nの空調制御対象室に対する設定快適度とされる。また、第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率に、第1〜第Nの空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更される。
【0028】
なお、第5および第6発明において、第1〜第Nの空調制御対象室における現在の室内熱負荷は、第1〜第Nの端末装置側で算出して中央監視装置へ送るようにしてもよいし、第1〜第Nの端末装置からデータを送って中央監視装置において算出させるようにしてもよい。
また、第5および第6発明において、第1〜第Nの空調制御対象室内の快適度の現在値は、第1〜第Nの端末装置側で計測して中央監視装置へ送るようにしてもよいし、第1〜第Nの端末装置からデータを送って中央監視装置において計測するようにしてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る空調制御支援装置を用いた空調制御システムの一実施の形態を示す図である。同図において、図10と同一符号は同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0030】
この空調制御システムでは、事務室8に空調制御支援装置15を、店内2に温度センサ6と湿度センサ20と快適度センサ21を、店外に外気温度センサ22と外気湿度センサ23を設け、温度センサ6が検出する室内温度tpv、湿度センサ20が検出する室内湿度RHpv、快適度センサ21が検出する気流速Vairや輻射温度tr、外気温度センサ22が検出する外気温度tout、外気湿度センサ23が検出する外気湿度RHoutを空調制御支援装置15に与えるようにしている。
【0031】
図2に空調制御支援装置15の機能ブロック図を示す。空調制御支援装置15は、冷気漏れ熱負荷算出部15−1と、輻射熱負荷算出部15−2と、外気負荷算出部15−3と、店内熱負荷算出部15−4と、エネルギー消費量予測曲線作成部15−5と、PMV算出部部15−6と、アドバイス画面表示部15−7と、PMV制御部15−8とを備えている。
【0032】
冷気漏れ熱負荷算出部15−1は、室内温度tpvと室内湿度RHpvを入力とし、予め設定されている予測モデル処理プログラムPR1を実行し、ショーケース3からの冷気漏れによって生じるであろう店内の熱負荷Q1を算出する。
輻射熱負荷算出部15−2は、外気温度toutと室内温度tpvと輻射温度trを入力とし、予め設定されている予測モデル処理プログラムPR2を実行し、輻射熱によって生じるであろう店内の熱負荷Q2を算出する。
【0033】
外気負荷算出部15−3は、外気温度toutと外気湿度RHoutと室内温度tpvと室内湿度RHpvを入力とし、予め設定されている予測モデル処理プログラムPR3を実行し、外気の温湿度と店内の温湿度との差によって生じるであろう外気負荷Q3を算出する。
【0034】
店内熱負荷算出部15−4は、冷気漏れ熱負荷算出部15−1によって算出された熱負荷Q1と、輻射熱負荷算出部15−2によって算出された熱負荷Q2と、外気負荷算出部15−3によって算出された外気負荷Q3と、店内2の大きさなどから既定値として与えられる照明熱Q4および人体熱Q5を入力とし、これらQ1〜Q5を加算して現在の店内熱負荷QTを算出する。
【0035】
エネルギー消費量予想曲線作成部15−5は、店内熱負荷算出部15−4によって算出された現在の店内熱負荷QTを入力とし、現在の店内熱負荷QTを賄うようにヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と店内2の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との予め定められた運転比率毎に作成し、アドバイス画面表示部15−7に送る。
【0036】
なお、本実施の形態では、店内2の快適度を表す指標としてPMV(温熱快適指標:Predicted Mean Vote )を用いる。PMVは、数値として−3.0から+3.0の範囲の値をとり、−3.0は非常に寒く、+3.0は非常に暑く感じることを意味する。快適な状態は0付近の環境である。PMVはISO7730で制定され、世界各国で使用されている。人体は、気温,湿度,気流速,輻射温度の物理的因子と活動量,衣服の人的因子の複合的な反応をして、最終的に暑さ寒さを感じている。活動量、着衣量を指定し、残りの物理的因子を計測して方程式(Fangerの方程式)に入力すると、与えられた環境のPMVが求まる。
【0037】
PMV算出部15−6は、室内温度tpvと、室内湿度RHpvと、気流速Vairと、輻射温度trと、既定値として与えられる活動量Metおよび着衣量Iclを入力とし、上述したFangerの方程式より店内2の現在のPMV(PMVpv)を求め、アドバイス画面表示部15−7およびPMV制御部15−8に送る。PMV制御部15−8には、PMVの設定値(PMVsp)として例えば+0.5が与えられており、PMV算出部15−6から入力される現在のPMVpvを設定値PMVspとが一致するように空調機1およびデシカント空調機13からの給気温度を調整する。
【0038】
〔実施の形態1:運転比率のアドバイス〕
図3にアドバイス画面表示部15−7が表示するアドバイス画面を例示する。このアドバイス画面G1には、エネルギー消費量予想曲線作成部15−5から送られてくるエネルギー消費量予想曲線と、PMV算出部15−6から送られてくるPMVの現在値が表示される。エネルギー消費量予想曲線は、PMVを横軸とし、エネルギー消費量を縦軸として表示される、PMVの現在値は横軸上に表示される。
【0039】
この例では、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率を3:1とした場合のエネルギー消費量予想曲線EN1と、1:2とした場合のエネルギー消費量予想曲線EN2と、1:3とした場合のエネルギー消費量予想曲線EN3とが表示されている。また、PMVの現在値(現在位置)は黒色の三角マークM1によって表示されている。
【0040】
このアドバイス画面G1から、どのエネルギー消費量予想曲線を選べば、すなわちヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とをどの運転比率で運転すれば、エネルギーの消費量を最小とすることができるかを知ることができる。
【0041】
〔現在のPMVのままでエネルギー消費量を最小とする場合〕
図3では、PMVの現在位置が+0.5の位置にある。この場合、PMV=+0.5の位置おけるエネルギー消費量予想曲線EN1〜EN3上の予測値を参照すると、エネルギー消費量予想曲線EN2上の予測値が一番小さい。したがって、エネルギー消費量予想曲線EN2の運転比率である1:2でヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを運転すれば、PMV=+0.5としたままで、エネルギーの消費量を最小とすることができることが分かる。このアドバイスに従って、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率をオペレータが手動によって変更することにより、省エネルギーと快適性の両立を図ることが可能となる。
【0042】
〔変更後のPMVにおいてエネルギー消費量を最小とする場合〕
例えば、今、PMVの現在位置を見て、PMVの設定を+0.5から0に変更したいものとする。この場合、設定変更したいPMV=0の位置おけるエネルギー消費量予想曲線EN1〜EN3上の予測値を参照する。この場合も、先のPMV=+0.5の場合と同様、エネルギー消費量予想曲線EN2上の予測値が一番小さい。したがって、エネルギー消費量予想曲線EN2の運転比率である1:2でヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを運転すれば、設定変更後のPMV=0においてエネルギーの消費量を最小とすることができることが分かる。このアドバイスに従って、オペレータが手動によって、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率を変更することによって、またPMV制御部15−8へのPMVの設定値を0に変更することによって、省エネルギーと快適性の両立を図ることが可能となる。
【0043】
なお、アドバイス画面G1において、黒三角マークM1を画面上でクリックすると、例えばポップアップウィンドウが出現し、現在のPMVの位置を2次元平面で示す図4に示すようなグラフG2が表示される。
【0044】
〔実施の形態2:PMVの半自動設定、運転比率の半自動変更〕
上述した実施の形態1では、アドバイス画面G1でのアドバイスに従って、省エネルギーと快適性の両立を図るべく、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率の変更をオペレータが手動によって行うものとした。これに対し、実施の形態2では、基本的にはアドバイス画面G1でのアドバイスに従うが、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率の変更は画面上から自動的に行われるものとする。
【0045】
例えば、今、PMVの設定を+0.5から0に変更したいものとする。この場合、PMV=0を設定快適度として確定すると、空調制御支援装置15は、その確定されたPMV=0におけるエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線EN2を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線EN2の運転比率1:2にヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率を自動的に変更する。なお、設定快適度として確定されたPMV=0は、PMV制御部15−8に自動的に設定される。
【0046】
〔実施の形態3:PMVの自動設定、運転比率の自動変更〕
実施の形態1や2では、アドバイス画面G1を表示し、このアドバイス画面G1において運転比率の変更を支援するようにした。これに対して、実施の形態3では、図1に示した空調制御支援装置15に代えて空調制御装置15’を使用し、PMVの設定や運転比率の変更を自動的(完全自動)に行わせる。図6に空調制御装置15’の機能ブロック図を示す。
【0047】
空調制御装置15’は、空調制御支援装置15と同様、冷気漏れ熱負荷算出部15−1と、輻射熱負荷算出部15−2と、外気負荷算出部15−3と、店内熱負荷算出部15−4と、エネルギー消費量予測曲線作成部15−5と、PMV算出部部15−6と、PMV制御部15−8とを備えている。空調制御装置15’の空調制御支援装置15と異なる点は、アドバイス画面表示部15−7に代えて、運転比率制御部15−9を設けている点である。運転比率制御部15−9には、所望の快適度範囲として、PMV=−0.5〜+0.5を予め設定している。また、運転比率制御部15−9においてPMVの設定値(PMVsp)を求め、PMV制御部15−8へ与えるようにしている。
【0048】
この空調制御装置15’において、エネルギー消費量予想曲線作成部15−5は、店内熱負荷算出部15−4によって算出された現在の店内熱負荷QTを入力とし、現在の店内熱負荷QTを賄うようにヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と店内2の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との予め定められた運転比率毎に作成し、運転比率制御部15−9に送る。
【0049】
また、PMV算出部15−6は、室内温度tpvと、室内湿度RHpvと、気流Vairと、輻射温度trと、既定値として与えられる活動量Metおよび着衣量Iclを入力とし、Fangerの方程式より店内2の現在のPMV(PMVpv)を求め、PMV制御部15−8に送る。
【0050】
運転比率制御部15−9は、設定されている快適度範囲(PMV=−0.5〜+0.5)においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の上記快適度範囲における最小予測値に対応するPMVを店内2に対する設定快適度PMVspとし、PMV制御部15−8へ送る。また、最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率で、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを運転する。
【0051】
例えば、エネルギー消費量予想曲線作成部15−5が、図5に示すように、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率を3:1とした場合のエネルギー消費量予想曲線EN1と、1:2とした場合のエネルギー消費量予想曲線EN2と、1:3とした場合のエネルギー消費量予想曲線EN3とを作成したとする。
【0052】
この場合、運転比率制御部15−9は、設定されている快適度範囲(PMV=−0.5〜+0.5)W1においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線EN2を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線EN2の快適度範囲W1における最小予測値に対応するPMV=−0.5を店内2に対する設定快適度PMVspとし、PMV制御部15−8へ送る。また、最適エネルギー消費量予想曲線EN2の運転比率1:2で、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを運転する。これにより、実施の形態1や2のような画面上でのアドバイスを行うことなく、省エネルギーと快適性の両立が自動的に図られる。
【0053】
なお、この実施の形態3では、所望の快適度範囲としてPMV=−0.5〜+0.5を運転比率制御部15−9へ設定するようにしたが、PMV=0として設定するようにしてもよい。この場合、運転比率制御部15−9は、エネルギー消費量予想曲線EN3を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線EN3の快適度範囲(PMV=0)における最小予測値に対応するPMV(PMV=0)を店内2に対する設定快適度PMVspとし、PMV制御部15−8へ送る。また、最適エネルギー消費量予想曲線EN3の運転比率1:3で、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とを運転する。このように、所望の快適度範囲としてPMVの固定値を設定する場合もあり、本発明で言う快適度範囲はこのような固定値も含むものとする。
【0054】
〔実施の形態4:営業時間内、営業時間外〕
実施の形態3では、所望の快適度範囲としてPMV=−0.5〜+0.5を運転比率制御部15−9へ設定するようにした。1日中、PMV=−0.5〜+0.5として設定した場合、営業時間(例えば、7:00〜23:00)だけではなく、営業時間外(例えば、23:00〜7:00)においても、省エネルギーと快適性の両立が図られる。しかし、営業時間外は、お客がいないので、快適性を満足させる必要はない。
【0055】
そこで、実施の形態4では、営業時間内では、PMV=−0.5〜+0.5(高快適度の快適度範囲)を所望の快適度範囲として運転比率制御部15−9に設定し、営業時間外では、PMV=+1〜+2(低快適度の快適度範囲)を所望の快適度範囲として運転比率制御部15−9に設定する。
【0056】
これにより、営業時間内では、図5に示されるように、PMV=−0.5〜+0.5の快適度範囲W1においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線EN2が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線EN2の快適度範囲W1における最小予測値に対応するPMV=−0.5が店内2に対する設定快適度PMVspとされる。また、最適エネルギー消費量予想曲線EN2の運転比率1:2で、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とが運転される。これにり、営業時間内では、省エネルギーと快適性の両立が図られる。
【0057】
これに対して、営業時間外では、図5に示されるように、PMV=+1〜+2の快適度範囲W2においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線EN3が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線EN3の快適度範囲W2における最小予測値に対応するPMV=+2が店内2に対する設定快適度PMVspとされる。また、最適エネルギー消費量予想曲線EN3の運転比率1:3で、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13とが運転される。これにより、営業時間外では、快適性よりも省エネルギーが優先される。
【0058】
営業時間外では、ヒートポンプ型の空調機1とデシカント空調機13との運転比率が1:3とされることにより、すなわちデシカント空調機13の運転比率が高められることにより、ショーケース3を中心とする湿度の低下が図られ、営業時間内よりもショーケース3に霜がつきにくくなる。従って、霜取りヒータの作動回数が営業時間中よりもさらに削減され、さらなる省エネルギーが図られる。
【0059】
なお、上述においては、1日の時間帯を営業時間内と営業時間外に分けたが、24時間営業のコンビニなどでは、24時間全てが営業時間である。このような場合、お客の数が少なくなる時間帯を低快適度の時間帯とし、お客の数が多くなる時間帯を高快適度の時間帯とするようにしてもよい。
【0060】
〔実施の形態5:遠隔地からの空調制御支援システム〕
実施の形態1では、コンビニに空調制御支援装置15を設け、この空調制御支援装置15の画面上で、その店内2のデシカント空調機13を併用した空調制御の支援を行うようにした。すなわち、コンビニ毎に、事務室8内で、オペレータが支援を受けるものとした。これに対し、実施の形態5では、図7に示すように、中央監視装置24をセンタに設け、このセンタに設けられた中央監視装置24の画面上で、遠隔地に分散するコンビニの店内2−1〜2−Nのデシカント空調機13−1〜13−Nを併用した空調制御の支援を行うようにする。
【0061】
このシステムでは、コンビニ毎に端末装置25−1〜25−Nを設け、この端末装置25−1〜25−Nと中央監視装置24とをネットワーク26を介して接続する。また、端末装置25−1〜25−Nからコンビニ毎に、室内温度tpv,室内湿度RHpv,外気温度tout,外気湿度RHout、輻射温度tr,気流速Vairなどの計測データ、活動量Metや着衣量Iclなどの設定値など情報を送る。
【0062】
中央監視装置24では、端末装置25−1〜25−Nから送られてくる情報に基づいて、コンビニの店内2−1〜2−Nの店内熱負荷QT1〜QTNを算出する。また、コンビニの店内2−1〜2−NのPMVの現在値を算出する。そして、コンビニ毎に、図3に示したと同様のアドバイス画面G1を作成し、表示する。このアドバイス画面G1でのアドバイスに従って、管理者がPMVの設定や運転比率の変更を手動で行うことによって、遠隔地に分散する全てのコンビニに対し省エネルギーと快適性の両立を図ることが可能となる。
【0063】
なお、この中央監視装置24を使用した遠隔地からの空調制御支援システムにおいても、実施の形態2と同様にして、コンビニ毎に、中央監視装置24側からPMVの半自動設定および運転比率の半自動変更を行わせるようにしてもよい。
また、実施の形態3や4と同様にして、中央監視装置24側から、コンビニ毎に、PMVの自動設定や運転比率の自動変更(完全自動)を行わせるようにしてもよい。
【0064】
また、この実施の形態5では、端末装置25−1〜25−Nから中央監視装置24へ情報を送り、中央監視装置24においてコンビニの店内2−1〜2−Nの店内熱負荷QT1〜QTNを算出するようにしたが、端末装置25−1〜25−N側で算出して中央監視装置24へ送るようにしてもよい。
また、この実施の形態5では、端末装置25−1〜25−Nから中央監視装置24へ情報を送り、コンビニの店内2−1〜2−NにおけるPMVの現在値を算出するようにしたが、端末装置25−1〜25−N側で算出して中央監視装置24へ送るようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態1〜5では、空調制御対象室をコンビニの店内として説明したが、スーパマーケットなどの店内にも同様にして適用することが可能であり、コンビニやスーパマーケットの店内への適用に限られるものでないことは言うまでもない。
【0066】
なお、コンビニやスーパーマーケットでは、夏場、出入り口付近で外気温度と店内温度との差があまり大きくなると、来店直後の客が低温度ショックを受ける虞れがある。出入り口付近の外気温度と店内温度との差を例えば5〜6℃以下に抑えると低温度ショックが和らげられることが知られている。そこで、空調機1でコンビニの店内2の空調制御を行う場合、出入り口付近に温度センサを設け、また空調機1からの給気の吹出量を調整するVAV(可変給気量調整ユニット)を設け、VAVからの給気温度の調整によって出入り口付近の外気温度と店内温度との差を5〜6℃以下に抑える。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、第1発明では、空調制御対象室の現在の室内熱負荷をヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線がヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成され表示されるので、また、このエネルギー消費量予想曲線に対して空調制御対象室内の快適度の現在位置が明示されるので、快適度の現在位置におけるエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、エネルギーの消費量を最小とすることのできる現時点におけるヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率を知ることが可能となり、省エネルギーと快適性の両立を図ることができるようになる。
また、快適度の現在位置を見て、快適度の設定を変更したいような場合、変更したい位置の快適度におけるエネルギー消費量予想曲線上の予測値を参照することにより、設定変更後の快適度においてエネルギーの消費量を最小とすることのできるヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率を知ることも可能であり、変更後の快適度においても、省エネルギーと快適性の両立を図ることができるようになる。
【0068】
第2発明では、設定快適度を確定すると、ヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更されるものとなり、運転比率の設定の手間が省け、オペレータの負担が軽減される。
第3発明では、空調制御対象室に対して予め設定されている快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された最適エネルギー消費量予想曲線の快適度範囲における最小予測値に対応する快適度が空調制御対象室に対する設定快適度とされ、また最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率にヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更されるものとなり、すなわち快適度の自動設定と運転比率の自動変更(完全自動)が行われるものとなり、オペレータに負担をかけることなく、省エネルギーと快適性の両立が図られるようになる。
【0069】
第4発明では、第1の時間帯(例えば、営業時間内)では、予め定められた高快適度の快適度範囲(例えば、PMV=−0.5〜+0.5の範囲)が空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とされ、第2の時間帯(例えば、営業時間外)では、予め定められた低快適度の快適度範囲(例えば、PMV=+1〜+2の範囲)が空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とされ、第1の時間帯では省エネルギーと快適性の両立が図られる一方、第2の時間帯では快適性よりも省エネルギーが優先されるものとなって、空調制御対象室の使用状況に応じた合理的な空調制御を行われる。
【0070】
第5発明では、第1〜第Nの端末装置にネットワークを介して接続された中央監視装置において、第1〜第Nの空調制御対象室毎に、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線がヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成され表示されるので、また、この第1〜第Nの空調制御対象室のエネルギー消費量予想曲線に対してその空調制御対象室内の快適度の現在位置が明示されるので、各地に分散するコンビニなどの店内のデシカント空調機を併用した空調制御の支援を一括して行い、総合的に省エネルギーを図ることができるようになる。また、オペレータを空調制御対象室に配備する必要もないので、人件費も削減することが可能である。
【0071】
第6発明では、第1〜第Nの端末装置にネットワークを介して接続された中央監視装置において、第1〜第Nの空調制御対象室毎に、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線がヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成され、第1〜第Nの空調制御対象室に対して予め設定されている第1〜第Nの快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線が第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線として選択され、この選択された第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の第1〜第Nの快適度範囲における最小予測値に対応する快適度が第1〜第Nの空調制御対象室に対する設定快適度とされ、また、第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率に第1〜第Nの空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機との運転比率が自動的に変更されるものとなり、すなわち快適度の自動設定と運転比率の自動変更(完全自動)が行われるものとなり、センタの管理者に負担をかけることなく、全ての空調制御対象室においてネルギーと快適性の両立が図られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空調制御支援装置を用いた空調制御システムの一実施の形態を示す図である。
【図2】この空調制御システムに使用する空調制御支援装置の機能ブロック図である。
【図3】この空調制御支援装置のディスプレイ上に表示されるアドバイス画面を例示する図である。
【図4】このアドバイス画面において黒三角マークをクリックすることによって現れるグラフを示す図である。
【図5】エネルギー消費量予想曲線作成部が作成するエネルギー消費量予測曲線を例示する図である。
【図6】空調制御支援装置に代えて使用する空調制御装置の機能ブロック図である。
【図7】遠隔地からの空調制御支援システムの一例を示すシステム構成図である。
【図8】ヒートポンプ型の空調機のみを使用した従来の空調制御システムを示す図である。
【図9】デシカント空調機の基本原理を説明する図である。
【図10】デシカント空調機を併用した従来の空調制御システムを示す図である。
【符号の説明】
1(1−1〜1−N)…ヒートポンプ型の空調機、2(2−1〜2−N)…店内、3…ショーケース、4…ショーケース用の冷凍・冷蔵機、6…温度センサ、8…事務室、13(13−1〜13−N)…デシカント空調機、14…ガスコージェネレーション、15…空調制御支援装置、15’…空調制御装置、15−1…冷気漏れ熱負荷算出部、15−2…輻射熱負荷算出部、15−3…外気負荷算出部、15−4…店内熱負荷算出部、15−5…エネルギー消費量予測曲線作成部、15−6…PMV算出部部、15−7…アドバイス画面表示部、15−8…PMV制御部、15−9…運転比率制御部、20…湿度センサ、21…快適度センサ、22…外気温度センサ、23…外気湿度センサ、EN1〜EN3…エネルギー消費量予測曲線、G1…アドバイス画面、M1…黒三角マーク、W1…高快適度の快適度範囲、W2…低快適度の快適度範囲、25−1〜15−N…端末装置、26…ネットワーク、24…中央監視装置。
Claims (6)
- ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される空調制御対象室の現在の室内熱負荷を算出する室内熱負荷算出手段と、
この室内熱負荷算出手段により算出された現在の室内熱負荷を賄うように前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と前記空調制御対象室内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成し表示するエネルギー消費量予想曲線作成表示手段と、
このエネルギー消費量予想曲線作成表示手段が表示するエネルギー消費量予想曲線に対して前記空調制御対象室内の快適度の現在位置を明示する快適度現在位置明示手段と
を備えたことを特徴とする空調制御支援装置。 - ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される空調制御対象室の現在の室内熱負荷を算出する室内熱負荷算出手段と、
この室内熱負荷算出手段により算出された現在の室内熱負荷を賄うように前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と前記空調調制御対象室内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成し表示するエネルギー消費量予想曲線作成表示手段と、
前記エネルギー消費量予想曲線作成表示手段が表示するエネルギー消費量予想曲線に対して前記空調制御対象室内の快適度の現在位置を明示する快適度現在位置明示手段と、
所望の快適度が前記空調制御対象室に対する設定快適度として確定された場合、その確定された快適度におけるエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率で前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを運転する空調機運転手段と
を備えたことを特徴とする空調制御支援装置。 - ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される空調制御対象室の現在の室内熱負荷を算出する室内熱負荷算出手段と、
この室内熱負荷算出手段により算出された現在の室内熱負荷を賄うように前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と前記空調制御対象室内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成するエネルギー消費量予想曲線作成手段と、
前記空調制御対象室に対して予め設定されている快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の前記快適度範囲における最小予測値に対応する位置の快適度を前記空調制御対象室に対する設定快適度とするとともに、前記最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率で前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを運転する空調機運転手段と
を備えたことを特徴とする空調制御装置。 - ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される空調制御対象室の現在の室内熱負荷を算出する室内熱負荷算出手段と、
この室内熱負荷算出手段により算出された現在の室内熱負荷を賄うように前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量と前記空調制御対象室内の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成するエネルギー消費量予想曲線作成手段と、
1日を複数の時間帯に分割した第1の時間帯では予め定められた高快適度の快適度範囲を前記空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とし、1日を複数の時間帯に分割した第2の時間帯では予め定められた低快適度の快適度範囲を前記空調制御対象室に対する所望の快適度範囲とする快適度範囲設定手段と、
この快適度範囲設定手段によって設定される所望の快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した最適エネルギー消費量予想曲線の前記所望の快適度範囲における最小予測値に対応する快適度を前記空調制御対象室に対する設定快適度とするとともに、前記最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率で前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機とを運転する空調機運転手段と
を備えたことを特徴とする空調制御装置。 - センタに設けられた中央監視装置と、
ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される第1〜第N(N≧2)の空調制御対象室と、
この第1〜第Nの空調制御対象室に対して各個に設けられた第1〜第Nの端末装置と、
前記中央監視装置と前記第1〜第Nの端末装置とを接続するネットワークとを備えた空調制御支援システムであって、
前記中央監視装置は、
前記第1〜第Nの空調制御対象室について、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成し表示するエネルギー消費量予想曲線作成表示手段と、
このエネルギー消費量予想曲線作成表示手段が表示する前記第1〜第Nの空調制御対象室のエネルギー消費量予想曲線に対してその空調制御対象室内の快適度の現在位置を明示する快適度現在位置明示手段と
を備えたことを特徴とする空調制御支援システム。 - センタに設けられた中央監視装置と、
ヒートポンプ型の空調機と,吸湿剤を用いて空気中の湿分を取り除く除湿機能を備えたデシカント空調機とを併用して空調制御される第1〜第N(N≧2)の空調制御対象室と、
この第1〜第Nの空調制御対象室に対して各個に設けられた第1〜第Nの端末装置と、
前記中央監視装置と前記第1〜第Nの端末装置とを接続するネットワークとを備えた空調制御システムであって、
前記中央監視装置は、
前記第1〜第Nの空調制御対象室について、現在の室内熱負荷を賄うようにその空調制御対象室に対して設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを併用して空調制御した場合のエネルギー消費量とその室の快適度との関係を示すエネルギー消費量予想曲線を、前記ヒートポンプ型の空調機と前記デシカント空調機との予め定められた運転比率毎に作成するエネルギー消費量予想曲線作成手段と、
前記第1〜第Nの空調制御対象室に対して予め設定されている第1〜第Nの快適度範囲においてそのエネルギー消費量の予測値が最も小さいエネルギー消費量予想曲線を第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線として選択し、この選択した第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の前記第1〜第Nの快適度範囲における最小予測値に対応する快適度を前記第1〜第Nの空調制御対象室に対する設定快適度とするとともに、前記第1〜第Nの最適エネルギー消費量予想曲線の運転比率で前記第1〜第Nの空調制御対象室に対して各個に設けられたヒートポンプ型の空調機とデシカント空調機とを運転する空調機運転手段と
を備えたことを特徴とする空調制御システム。
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