JP2004059834A - アウトガス抑制粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】ハロゲン化物を含まないオレフィン系樹脂を主成分とし、クリーンルーム等で使用してもシリコンウェハへの有機揮発成分の吸着等を生じさせることのないアウトガス抑制粘着テープを提供すること。
【解決手段】有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤を粘着層を形成して構成する。
【選択図】 なし
【解決手段】有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤を粘着層を形成して構成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置のクリーンルームにおいて電気配線に用いられる電線・ケーブル等の結束などに使用される粘着テープに係り、特に有機揮発成分の少ない低アウトガス性の粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体や液晶の製造装置におけるクリーンルーム、高エネルギー実験装置およびプラズマ実験装置などでは、電線やケーブルによる機器配線を粘着テープで結束したり、また他の用途で粘着テープが慣用される。粘着テープはテープ基材なるフィルム層にPVC(ポリ塩化ビニル)を使用し、この表面の粘着層には溶剤タイプの粘着剤を付着させて構成したものが一般的である。
このようにポリ塩化ビニル樹脂組成物をテープ基材に用いた従来の粘着テープにあっては、焼却廃却処分するにあたって粘着テープを燃焼すると、ポリ塩化ビニル樹脂組成物から腐食性を有する塩化水素ガスが発生するという問題がある。
そこで、近年、ハロゲン化物を用いない絶縁体としてポリエチレン等のオレフィン系樹脂組成物を粘着テープに用いる試みがなされている。このようなノンハロゲン難燃粘着テープは、使用場所が特定されているわけではなく、半導体製造用のクリーンルーム内に配線して使用する場合もある。このような半導体製造用のクリーンルーム内に配線して使用する場合、クリーンルーム内にいかなるものも存在してはならず、配線するノンハロゲン難燃粘着テープから如何なる物質も発生させてはならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のノンハロゲン難燃粘着テープにあっては、酸化防止剤(BHT)を配合したり、ノンハロゲン樹脂に柔軟性を持たせるため、可塑剤(DOP,DBP等)が配合されている。この酸化防止剤であるBHT(ブチルヒドロキシトルエン)、可塑剤であるDOP(ジオクチルフタレート),DBP(フタル酸ジブチル)は、揮発性を有しており、半導体製造用のクリーンルーム内に配線して使用すると、揮発し、このノンハロゲン難燃粘着テープからの有機揮発成分(BHT,DOP,DBP等)がシリコーンウェハに吸着され、シリコーンウェハの特性上好ましくないという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、ハロゲン化物を含まないオレフィン系樹脂を主成分とし、クリーンルーム等で使用してもシリコンウェハへの有機揮発成分の吸着等を生じさせることのないアウトガス抑制粘着テープを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1に記載のアウトガス抑制粘着テープは、有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤を粘着層を形成して構成したものである。
【0006】
このオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材の有機揮発成分は、光や熱などによって空気中で酸素によって高分子化合物が徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で配合する酸化防止剤(BHT)、加工温度を低下して成形時の可塑性を高め、かつ弾性率や転移温度が低下して使用時の柔軟性や耐衝撃性を与えるために配合する可塑剤(DOP,DBP等)である。
また、水系粘着剤によって構成される粘着層の有機揮発成分も、BHT、DOP,DBPである。
請求項1記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しておらず、また粘着層にもエマルジョンタイプ(水系)の粘着剤を用いるため、有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0007】
また、請求項2に記載のアウトガス抑制粘着テープは、添加剤として難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤および加工助剤のいずれかを混合して構成したものである。
【0008】
難燃剤は、オレフィン系樹脂を焼し難くしたり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させ保形性を持たせる作用を有する添加物である。この難燃剤として例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなど無機系金属水和物を用いることで、ハロゲン化物を含まず、所要の難燃性を確保するとともに、脆化を抑え、また耐摩耗性など耐久性の低下を防ぎ、クリーンルームなどで使用した場合でも揮発成分を発生しないので、シリコンウエハへの有機揮発成分の吸着の心配が解消される。
【0009】
ここで、可塑剤には、フタル酸系エステル可塑剤、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、バリウム亜鉛系安定剤等がある。この可塑剤は、高分子物質に添加して、加工温度を低下して成形加工の際の可塑性を高め、かつ弾性率や転移温度が低下して使用時の柔軟性、耐衝撃性を与えるもので、代表的なフタル酸ジオチクル(DOP)は、有機溶剤に溶け、ビニル系樹脂と相溶性が良く、揮発性が少ないとはいえ、空気中での揮発度0.02mg/cm2hr(100℃)と揮発性を有するものである。又、フタル酸ジブチル(DBP)は、有機溶剤に溶け、ビニル系樹脂と相溶性が良く、安価であるが揮発性が大きい性質を有している。このような有機揮発成分の可塑剤は、半導体製造用のクリーンルーム内で揮発すると、粘着テープからの有機揮発成分(DOP,DBP)がシリコーンウェハに吸着され、シリコーンウェハの特性上好ましくない結果を生じる可能性が有るので適さない。したがって、粘着テープのフィルム層及び粘着層に用いられる樹脂は、有機揮発成分(BHT)を含有する酸化防止剤及び有機揮発成分(DOP,DBP)を含有する可塑剤を配合してない樹脂であることが必要である。
【0010】
さらに、架橋剤としては、ジクミルパーオキサイト(DCP)、2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンがある。そして、架橋助剤は、複合材料の強化材と樹脂母材の両方と反応し界面において強い結合を形成するかまたはそれを助長することのできる化学物質で、オレフィン系樹脂の分子間を橋渡すものである。架橋助剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン等がある。
【0011】
酸化防止剤は、光や熱などによって空気中で酸素により高分子化合物は徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で合成樹脂などの高分子化合物に添加する薬剤である。この酸化防止剤には、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、チオビスフェノール系酸化防止剤、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)がある。このBHTは、その有機揮発成分が、半導体製造用のシリコンウェハに吸着し易いため半導体製造用のクリーンルーム内の配線のために用いられるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に配合する酸化防止剤としては適さない。すなわち、アウトガス抑制粘着テープに用いられるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に配合する酸化防止剤は、BHTを使用していないものである。
【0012】
また、加工助剤には、ポリメタクリル酸メチル、ステアリン酸、ポリエチレンワックス等がある。さらに、充填剤としては、難燃剤、酸化チタン、カーボン、炭酸カルシウム等がある。すなわち、酸化チタンは、難燃性を向上するためのもので、金属水酸化物の配合量を少なく抑制したときの難燃性の確保を行っている。そして、カーボンブラックは、炭化水素の熱分解と不完全燃焼とを、制御して生産される微結晶を含む球状または鎖状の黒色粒子で、このカーボンブラックを配合して、剥離性を向上している。そして、炭酸カルシウムは、炭酸ガスキャッチャーとして必要量が添加される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、必要な添加剤として難燃剤などをそれぞれ適量配合することで、所要の難燃性をもたせることができ、また所要の強度など機械的性質を備えさせることができる。
【0014】
請求項3に記載のアウトガス抑制粘着テープは、酸化防止剤及び可塑剤に、有機揮発成分を含有していないものを用いて構成したものである。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しないことから有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載のアウトガス抑制粘着テープは、金属水和物を、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種又は2種以上の混合物で構成したものである。
【0017】
この金属水和物をオレフィン系樹脂に配合することによってオレフィン系樹脂組成物が燃焼した時、配合されている金属水和物に含まれる結晶水が噴出して消火作用を行うためオレフィン系樹脂が燃焼し難くなり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させ保形性を持たせる作用を有している。
このように請求項4に記載の発明によると、十分な難燃性を持たせることができる。
【0018】
請求項5に記載のアウトガス抑制粘着テープは、オレフィン系樹脂100重量部に対して、金属水和物を30〜150重量部、その他必要な添加剤を適量配合してなるフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合してなる粘着層を塗布して形成したものである。
【0019】
ここでフィルム基材に配合する金属水和物の配合量をオレフィン系樹脂100重量部に対し、30〜150重量部配合としたのは、30重量部未満では、所望の難燃性を得ることができず、150重量部を超えて配合すると、機械的強度が低下して所望の強度(10MPa以上)が得られないからである。
また、粘着層に配合するタッキファイヤエマルジョンを100重量部、軟化剤を30重量部、酸化防止剤エマルジョンを3重量部としたのは、フィルム基材の粘着層として最適の粘着性が得られる水系粘着剤であるからである。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、フィルム基材としてベース樹脂のオレフィン系樹脂や難燃剤を適量配合し、粘着層として水系粘着剤を適量配合することにより、汚染ガスが発生する懸念もなく、所要の難燃性や機械的強度のものを得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるアウトガス抑制粘着テープの実施の形態について説明する。
本粘着テープのフィルム基材は、オレフィン樹脂組成物またはオレフィン系樹脂をベース樹脂として、これに難燃剤および難燃助剤を配合したオレフィン系難燃樹脂組成物で構成される。
【0022】
フィルム基材のベース樹脂に上記オレフィン系樹脂を用いる場合、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)が好ましく、さらにはエチレンアクリル酸エステル共重合体(EEA)やエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)といったエチレン系共重合体が好ましい。その場合、樹脂製造時にBHTなど比較的揮発性の高いとされる酸化防止剤を使用しておらず、直鎖状低密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンのように低分子ポリマ分量を極力抑えたものの使用が望まれる。ポリエチレンはエチレンを重合した熱可塑性樹脂であり、ポリプロピレンはプロピレンをチーグラー系触媒たとえば塩化チタン−ジエチルアルミニウムクロリドを用いて配位アニオン重合することによって得られるプロピレンの重合体である。
【0023】
さらに、フィルム基材は、かかるオレフィン系樹脂に難燃剤,難燃助剤,架橋剤,架橋助剤,酸化防止剤,滑剤および加工助剤など、必要とされるものを配合して組成物とされる。
【0024】
難燃剤については、無機系の水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムなどを用いることができる。これらの金属水和物を配合することにより、ノンハロゲン難燃オレフィン組成物が燃焼した場合でも、金属水和物に含まれる結晶水が噴出して消火作用を行うために燃焼し難くなり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させて保形性を持たせる機能が得られる。
【0025】
酸化防止剤は、光や熱などによって空気中で酸素によって高分子化合物が徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で合成樹脂などの高分子化合物に添加する薬剤で、ここではアウトガス抑制粘着テープに用いられるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に配合する酸化防止剤としてBHTを使用していない。
【0026】
可塑剤については、高分子物質に添加し、加工温度を低下して成形時の可塑性を高め、かつ弾性率や転移温度が低下して使用時の柔軟性や耐衝撃性を与えるために配合される。そして、本アウトガス抑制粘着テープでは、有機揮発成分としてDOPやDBPを含有していない可塑剤を用いる。
【0027】
次に、かかるフィルム基材上に形成される粘着層は、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックスをベースに、タッキファイヤエマルジョン、軟化剤、酸化防止剤エマルジョンを配合する。このような材料配合からなる粘着層の組成物としてはBHT、DOP、シリコン、リンを含まない水系粘着剤とする。
【0028】
【実施例】
以下、本発明に係るアウトガス抑制粘着テープに用いるフィルム基材と粘着材の具体的実施例について比較例と比較して説明する。
【0029】
実施例1
実施例1は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を100重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を1重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0030】
実施例2
実施例2は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を30重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を0.5重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0031】
実施例3
実施例3は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を150重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を0.5重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0032】
実施例4
実施例4は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を60重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0033】
比較例1
比較例1は、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)100重量部に対し、可塑剤(フタル酸ジオチクル(DOP))を55重量部、Pb系安定剤(三塩基性硫酸鉛)を4重量部、難燃剤(炭酸カルシウム)を10重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0034】
比較例2
比較例2は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を100重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を1重量部配合したフィルム基材に、従来の溶剤タイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0035】
これらの実施例1〜4、比較例1〜2の組成に基づくフィルム基材に粘着層を形成して粘着テープを製造した。このように製造した実施例1〜4の粘着テープ、1〜2の粘着テープのそれぞれについて揮発性有機化合物(アウトガス)の発生量(単位:μg/m2h)の測定を行った。その比較結果が表1に示してある。
【0036】
【表 1】
この表1中の揮発性有機化合物(アウトガス)の検出(BHTの検出、DOPの検出)は、クリーンルーム内装材・設備機械から発生する分子状汚染物質の低減を目的とした材料選択を行うための発生ガス評価法であるダイナミックヘッドスペース−スクリーニングテスト法(社団法人 日本空気洗浄協会『クリーンルーム構成材料から発生する分子状汚染物質の測定方法指針』附属書2)に準拠して、マイクロチャンバを用いて行う。
【0037】
この表1から明らかなように、実施例1のアウトガス量が600μg/m2hで、実施例2のアウトガス量が400μg/m2hで、実施例3のアウトガス量が300μg/m2hで、実施例4のアウトガス量が400μg/m2hとなっている。すなわち、実施例1〜4の粘着テープから発生するアウトガス量が300〜600μg/m2hであることがわかる。
これに対し、比較例1のアウトガス量が4000μg/m2hで、比較例2のアウトガス量が2500μg/m2hとなっている。すなわち、比較例1〜2の粘着テープから発生するアウトガス量が2500〜4000μg/m2hと、実施例1〜4の粘着テープから発生するアウトガス量の約8倍〜約13倍強と甚だしく高いアウトガス量を示している。
【0038】
以上の説明で判るように、本発明の実施例として製造された粘着テープはアウトガスの発生が抑制・抑止されていることが顕著であり、特に、半導体製造装置におけるクリーンルームでの配線使用などに最適であることが判る。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しておらず、また粘着層にもエマルジョンタイプ(水系)の粘着剤を用いるため、有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、必要な添加剤として難燃剤などをそれぞれ適量配合することで、所要の難燃性をもたせることができ、また所要の強度など機械的性質を備えさせることができる。
【0041】
請求項3に記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しないことから有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0042】
請求項4に記載の発明によると、十分な難燃性を持たせることができる。
【0043】
請求項5に記載の発明によれば、フィルム基材としてベース樹脂のオレフィン系樹脂や難燃剤難燃剤を適量配合し、粘着層として水系粘着剤を適量配合することにより、汚染ガスが発生する懸念もなく、所要の難燃性や機械的強度のものを得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置のクリーンルームにおいて電気配線に用いられる電線・ケーブル等の結束などに使用される粘着テープに係り、特に有機揮発成分の少ない低アウトガス性の粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体や液晶の製造装置におけるクリーンルーム、高エネルギー実験装置およびプラズマ実験装置などでは、電線やケーブルによる機器配線を粘着テープで結束したり、また他の用途で粘着テープが慣用される。粘着テープはテープ基材なるフィルム層にPVC(ポリ塩化ビニル)を使用し、この表面の粘着層には溶剤タイプの粘着剤を付着させて構成したものが一般的である。
このようにポリ塩化ビニル樹脂組成物をテープ基材に用いた従来の粘着テープにあっては、焼却廃却処分するにあたって粘着テープを燃焼すると、ポリ塩化ビニル樹脂組成物から腐食性を有する塩化水素ガスが発生するという問題がある。
そこで、近年、ハロゲン化物を用いない絶縁体としてポリエチレン等のオレフィン系樹脂組成物を粘着テープに用いる試みがなされている。このようなノンハロゲン難燃粘着テープは、使用場所が特定されているわけではなく、半導体製造用のクリーンルーム内に配線して使用する場合もある。このような半導体製造用のクリーンルーム内に配線して使用する場合、クリーンルーム内にいかなるものも存在してはならず、配線するノンハロゲン難燃粘着テープから如何なる物質も発生させてはならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のノンハロゲン難燃粘着テープにあっては、酸化防止剤(BHT)を配合したり、ノンハロゲン樹脂に柔軟性を持たせるため、可塑剤(DOP,DBP等)が配合されている。この酸化防止剤であるBHT(ブチルヒドロキシトルエン)、可塑剤であるDOP(ジオクチルフタレート),DBP(フタル酸ジブチル)は、揮発性を有しており、半導体製造用のクリーンルーム内に配線して使用すると、揮発し、このノンハロゲン難燃粘着テープからの有機揮発成分(BHT,DOP,DBP等)がシリコーンウェハに吸着され、シリコーンウェハの特性上好ましくないという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、ハロゲン化物を含まないオレフィン系樹脂を主成分とし、クリーンルーム等で使用してもシリコンウェハへの有機揮発成分の吸着等を生じさせることのないアウトガス抑制粘着テープを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1に記載のアウトガス抑制粘着テープは、有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤を粘着層を形成して構成したものである。
【0006】
このオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材の有機揮発成分は、光や熱などによって空気中で酸素によって高分子化合物が徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で配合する酸化防止剤(BHT)、加工温度を低下して成形時の可塑性を高め、かつ弾性率や転移温度が低下して使用時の柔軟性や耐衝撃性を与えるために配合する可塑剤(DOP,DBP等)である。
また、水系粘着剤によって構成される粘着層の有機揮発成分も、BHT、DOP,DBPである。
請求項1記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しておらず、また粘着層にもエマルジョンタイプ(水系)の粘着剤を用いるため、有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0007】
また、請求項2に記載のアウトガス抑制粘着テープは、添加剤として難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤および加工助剤のいずれかを混合して構成したものである。
【0008】
難燃剤は、オレフィン系樹脂を焼し難くしたり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させ保形性を持たせる作用を有する添加物である。この難燃剤として例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなど無機系金属水和物を用いることで、ハロゲン化物を含まず、所要の難燃性を確保するとともに、脆化を抑え、また耐摩耗性など耐久性の低下を防ぎ、クリーンルームなどで使用した場合でも揮発成分を発生しないので、シリコンウエハへの有機揮発成分の吸着の心配が解消される。
【0009】
ここで、可塑剤には、フタル酸系エステル可塑剤、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、バリウム亜鉛系安定剤等がある。この可塑剤は、高分子物質に添加して、加工温度を低下して成形加工の際の可塑性を高め、かつ弾性率や転移温度が低下して使用時の柔軟性、耐衝撃性を与えるもので、代表的なフタル酸ジオチクル(DOP)は、有機溶剤に溶け、ビニル系樹脂と相溶性が良く、揮発性が少ないとはいえ、空気中での揮発度0.02mg/cm2hr(100℃)と揮発性を有するものである。又、フタル酸ジブチル(DBP)は、有機溶剤に溶け、ビニル系樹脂と相溶性が良く、安価であるが揮発性が大きい性質を有している。このような有機揮発成分の可塑剤は、半導体製造用のクリーンルーム内で揮発すると、粘着テープからの有機揮発成分(DOP,DBP)がシリコーンウェハに吸着され、シリコーンウェハの特性上好ましくない結果を生じる可能性が有るので適さない。したがって、粘着テープのフィルム層及び粘着層に用いられる樹脂は、有機揮発成分(BHT)を含有する酸化防止剤及び有機揮発成分(DOP,DBP)を含有する可塑剤を配合してない樹脂であることが必要である。
【0010】
さらに、架橋剤としては、ジクミルパーオキサイト(DCP)、2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンがある。そして、架橋助剤は、複合材料の強化材と樹脂母材の両方と反応し界面において強い結合を形成するかまたはそれを助長することのできる化学物質で、オレフィン系樹脂の分子間を橋渡すものである。架橋助剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン等がある。
【0011】
酸化防止剤は、光や熱などによって空気中で酸素により高分子化合物は徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で合成樹脂などの高分子化合物に添加する薬剤である。この酸化防止剤には、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、チオビスフェノール系酸化防止剤、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)がある。このBHTは、その有機揮発成分が、半導体製造用のシリコンウェハに吸着し易いため半導体製造用のクリーンルーム内の配線のために用いられるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に配合する酸化防止剤としては適さない。すなわち、アウトガス抑制粘着テープに用いられるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に配合する酸化防止剤は、BHTを使用していないものである。
【0012】
また、加工助剤には、ポリメタクリル酸メチル、ステアリン酸、ポリエチレンワックス等がある。さらに、充填剤としては、難燃剤、酸化チタン、カーボン、炭酸カルシウム等がある。すなわち、酸化チタンは、難燃性を向上するためのもので、金属水酸化物の配合量を少なく抑制したときの難燃性の確保を行っている。そして、カーボンブラックは、炭化水素の熱分解と不完全燃焼とを、制御して生産される微結晶を含む球状または鎖状の黒色粒子で、このカーボンブラックを配合して、剥離性を向上している。そして、炭酸カルシウムは、炭酸ガスキャッチャーとして必要量が添加される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、必要な添加剤として難燃剤などをそれぞれ適量配合することで、所要の難燃性をもたせることができ、また所要の強度など機械的性質を備えさせることができる。
【0014】
請求項3に記載のアウトガス抑制粘着テープは、酸化防止剤及び可塑剤に、有機揮発成分を含有していないものを用いて構成したものである。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しないことから有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載のアウトガス抑制粘着テープは、金属水和物を、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種又は2種以上の混合物で構成したものである。
【0017】
この金属水和物をオレフィン系樹脂に配合することによってオレフィン系樹脂組成物が燃焼した時、配合されている金属水和物に含まれる結晶水が噴出して消火作用を行うためオレフィン系樹脂が燃焼し難くなり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させ保形性を持たせる作用を有している。
このように請求項4に記載の発明によると、十分な難燃性を持たせることができる。
【0018】
請求項5に記載のアウトガス抑制粘着テープは、オレフィン系樹脂100重量部に対して、金属水和物を30〜150重量部、その他必要な添加剤を適量配合してなるフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合してなる粘着層を塗布して形成したものである。
【0019】
ここでフィルム基材に配合する金属水和物の配合量をオレフィン系樹脂100重量部に対し、30〜150重量部配合としたのは、30重量部未満では、所望の難燃性を得ることができず、150重量部を超えて配合すると、機械的強度が低下して所望の強度(10MPa以上)が得られないからである。
また、粘着層に配合するタッキファイヤエマルジョンを100重量部、軟化剤を30重量部、酸化防止剤エマルジョンを3重量部としたのは、フィルム基材の粘着層として最適の粘着性が得られる水系粘着剤であるからである。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、フィルム基材としてベース樹脂のオレフィン系樹脂や難燃剤を適量配合し、粘着層として水系粘着剤を適量配合することにより、汚染ガスが発生する懸念もなく、所要の難燃性や機械的強度のものを得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるアウトガス抑制粘着テープの実施の形態について説明する。
本粘着テープのフィルム基材は、オレフィン樹脂組成物またはオレフィン系樹脂をベース樹脂として、これに難燃剤および難燃助剤を配合したオレフィン系難燃樹脂組成物で構成される。
【0022】
フィルム基材のベース樹脂に上記オレフィン系樹脂を用いる場合、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)が好ましく、さらにはエチレンアクリル酸エステル共重合体(EEA)やエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)といったエチレン系共重合体が好ましい。その場合、樹脂製造時にBHTなど比較的揮発性の高いとされる酸化防止剤を使用しておらず、直鎖状低密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンのように低分子ポリマ分量を極力抑えたものの使用が望まれる。ポリエチレンはエチレンを重合した熱可塑性樹脂であり、ポリプロピレンはプロピレンをチーグラー系触媒たとえば塩化チタン−ジエチルアルミニウムクロリドを用いて配位アニオン重合することによって得られるプロピレンの重合体である。
【0023】
さらに、フィルム基材は、かかるオレフィン系樹脂に難燃剤,難燃助剤,架橋剤,架橋助剤,酸化防止剤,滑剤および加工助剤など、必要とされるものを配合して組成物とされる。
【0024】
難燃剤については、無機系の水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムなどを用いることができる。これらの金属水和物を配合することにより、ノンハロゲン難燃オレフィン組成物が燃焼した場合でも、金属水和物に含まれる結晶水が噴出して消火作用を行うために燃焼し難くなり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させて保形性を持たせる機能が得られる。
【0025】
酸化防止剤は、光や熱などによって空気中で酸素によって高分子化合物が徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で合成樹脂などの高分子化合物に添加する薬剤で、ここではアウトガス抑制粘着テープに用いられるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に配合する酸化防止剤としてBHTを使用していない。
【0026】
可塑剤については、高分子物質に添加し、加工温度を低下して成形時の可塑性を高め、かつ弾性率や転移温度が低下して使用時の柔軟性や耐衝撃性を与えるために配合される。そして、本アウトガス抑制粘着テープでは、有機揮発成分としてDOPやDBPを含有していない可塑剤を用いる。
【0027】
次に、かかるフィルム基材上に形成される粘着層は、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックスをベースに、タッキファイヤエマルジョン、軟化剤、酸化防止剤エマルジョンを配合する。このような材料配合からなる粘着層の組成物としてはBHT、DOP、シリコン、リンを含まない水系粘着剤とする。
【0028】
【実施例】
以下、本発明に係るアウトガス抑制粘着テープに用いるフィルム基材と粘着材の具体的実施例について比較例と比較して説明する。
【0029】
実施例1
実施例1は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を100重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を1重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0030】
実施例2
実施例2は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を30重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を0.5重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0031】
実施例3
実施例3は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を150重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を0.5重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0032】
実施例4
実施例4は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を60重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0033】
比較例1
比較例1は、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)100重量部に対し、可塑剤(フタル酸ジオチクル(DOP))を55重量部、Pb系安定剤(三塩基性硫酸鉛)を4重量部、難燃剤(炭酸カルシウム)を10重量部配合したフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合したエマルジョンタイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0034】
比較例2
比較例2は、EEA100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業株式会社製 キスマ5A)を100重量部、酸化防止剤(具体的には、チバスペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 IR1010)を1重量部配合したフィルム基材に、従来の溶剤タイプ粘着剤の粘着層を形成したものである。
【0035】
これらの実施例1〜4、比較例1〜2の組成に基づくフィルム基材に粘着層を形成して粘着テープを製造した。このように製造した実施例1〜4の粘着テープ、1〜2の粘着テープのそれぞれについて揮発性有機化合物(アウトガス)の発生量(単位:μg/m2h)の測定を行った。その比較結果が表1に示してある。
【0036】
【表 1】
この表1中の揮発性有機化合物(アウトガス)の検出(BHTの検出、DOPの検出)は、クリーンルーム内装材・設備機械から発生する分子状汚染物質の低減を目的とした材料選択を行うための発生ガス評価法であるダイナミックヘッドスペース−スクリーニングテスト法(社団法人 日本空気洗浄協会『クリーンルーム構成材料から発生する分子状汚染物質の測定方法指針』附属書2)に準拠して、マイクロチャンバを用いて行う。
【0037】
この表1から明らかなように、実施例1のアウトガス量が600μg/m2hで、実施例2のアウトガス量が400μg/m2hで、実施例3のアウトガス量が300μg/m2hで、実施例4のアウトガス量が400μg/m2hとなっている。すなわち、実施例1〜4の粘着テープから発生するアウトガス量が300〜600μg/m2hであることがわかる。
これに対し、比較例1のアウトガス量が4000μg/m2hで、比較例2のアウトガス量が2500μg/m2hとなっている。すなわち、比較例1〜2の粘着テープから発生するアウトガス量が2500〜4000μg/m2hと、実施例1〜4の粘着テープから発生するアウトガス量の約8倍〜約13倍強と甚だしく高いアウトガス量を示している。
【0038】
以上の説明で判るように、本発明の実施例として製造された粘着テープはアウトガスの発生が抑制・抑止されていることが顕著であり、特に、半導体製造装置におけるクリーンルームでの配線使用などに最適であることが判る。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しておらず、また粘着層にもエマルジョンタイプ(水系)の粘着剤を用いるため、有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、必要な添加剤として難燃剤などをそれぞれ適量配合することで、所要の難燃性をもたせることができ、また所要の強度など機械的性質を備えさせることができる。
【0041】
請求項3に記載の発明によれば、テープ基材のフィルム層が例えばDOPなどの可塑剤、揮発性の高いBHTといった酸化防止剤を使用しないことから有機揮発成分によるアウトガスの発生を有効に抑制することができる。
【0042】
請求項4に記載の発明によると、十分な難燃性を持たせることができる。
【0043】
請求項5に記載の発明によれば、フィルム基材としてベース樹脂のオレフィン系樹脂や難燃剤難燃剤を適量配合し、粘着層として水系粘着剤を適量配合することにより、汚染ガスが発生する懸念もなく、所要の難燃性や機械的強度のものを得ることができる。
Claims (5)
- 有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤を粘着層を形成してなるアウトガス抑制粘着テープ。
- 前記オレフィン系樹脂組成物は、添加剤として難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤および加工助剤のいずれかを混合したものである請求項1に記載のアウトガス抑制粘着テープ。
- 前記酸化防止剤及び前記可塑剤は、有機揮発成分を含有していないものである請求項1又は2に記載のアウトガス抑制粘着テープ。
- 前記金属水和物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種又は2種以上の混合物である請求項2又は3に記載のアウトガス抑制粘着テープ。
- オレフィン系樹脂100重量部に対して、金属水和物を30〜150重量部、その他必要な添加剤を適量配合してなるフィルム基材に、天然又はスチレンブタジエンのゴムラテックス100重量部に対して、タッキファイヤエマルジョン100重量部、軟化剤30重量部および有機揮発成分を含有しない酸化防止剤エマルジョン3重量部を配合してなる粘着層を塗布してなるアウトガス抑制粘着テープ。
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