JP2004058782A - サンルーフのフレーム構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のフレーム構造体は、一対のサイドフレーム14、16とフロントフレーム22とによって構成される。フロントフレーム22のレインレール54は、サイドフレーム14、16のサンルーフ駆動用案内レール50への水の流入を防ぐために、サンルーフ駆動用案内レール50よりも下方に段差をもって配置されている。そして、コーナ部材18、20において、フロントフレーム22のレインレール54の低い面から、サイドフレーム14、16のレインレール52付近まで緩やかに傾斜したレインレール58を形成し、レインレール58とサイドフレーム14、16のレインレール52との間を水が連続して流れることができるように、レインレール52に開口部64を形成している。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体屋根に形成されたサンルーフ用開口部に取り付けられるサンルーフのフレーム構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用サンルーフは、車体屋根に形成されたサンルーフ用開口部にフレーム構造体を取り付け、このフレーム構造体を構成する一対のサイドフレーム部材に沿ってルーフパネルを移動させることにより、前記開口部が開閉される。
【0003】
従来のフレーム構造体は、前記一対のサイドフレーム部材のほか、この一対のサイドフレーム部材の前端部又は後端部を連結する横フレーム部材から構成される。
【0004】
一対のサイドフレーム部材は、車体屋根に形成されたサンルーフ用開口部の車体前後方向側縁に沿って配設されるとともに、ルーフパネルを駆動するメカ部が摺動されるサンルーフ駆動用案内レールと、レインレール部(排水溝)とがその長手方向に沿って形成されている。
【0005】
横フレーム部材は、その長手方向にレインレール部が形成される。また、横フレーム部材には、そのレインレール部を塞き止めるようにサンルーフ駆動用ケーブル経路が一体に形成されたものもある。このケーブル経路は、横フレーム部材のレインレール部の下面を通り、上方へ曲げられ、各サイドフレームへと導かれている。
【0006】
サイドフレーム部材に対して横フレーム部材は、段差が付けられて下方に連結され、横フレーム部材のレインレール部に溜まっている水が、サイドフレーム部材のサンルーフ駆動用案内レールに流入しないようにしている。また、サイドフレーム部材及び横フレーム部材の各レインレール部は、所定の位置でドレンパイプと連結され、各レインレール部に溜まった水がドレンパイプから車外に排水されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のサンルーフのフレーム構造体は、横フレーム部材のレインレール部とサイドフレーム部材のサンルーフ駆動用案内レールとに段差があるために、横フレーム部材のレインレール部とサイドフレーム部材のレインレール部にも同様に段差ができ、その段差部に溜まった水をスムーズにドレンパイプに流すことができないという欠点があった。
【0008】
また、段差部に溜まった水をスムーズに流すために、横フレーム部材のレインレール部とサンルーフのレインレール部の間を傾斜した面を有する部材で構成すると、横フレーム部材のレインレール部に大きな切れ込みが必要となるので、フレーム自体の剛性が弱くなるという問題があった。
【0009】
更に、横フレーム部材に、前述したサンルーフ駆動用ケーブル経路が一体に形成されたものでは、その経路が、水の流れの一部を塞き止めるため、横フレーム部材のレインレール部に溜まった水が溢れてサイドフレーム部材のサンルーフ駆動用案内レールや室内側に漏出する場合があるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、フレーム部材の強度を落とすことなく段差部に溜まった水、及びサンルーフ駆動用ケーブル経路で塞き止められていた水をスムーズにドレンパイプに導くことができるサンルーフのフレーム構造体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、車体屋根に形成されたサンルーフ用開口部の車体前後方向側縁に沿って配設されるとともに、その長手方向にサンルーフ駆動用案内レールと第1の排水溝とが形成された一対のサイドフレーム部材と、車体幅方向に沿って配設されて前記一対のサイドフレーム部材の端部同士を連結し、その長手方向に第2の排水溝が形成されるとともに、該第2の排水溝を塞き止めるようにサンルーフ駆動用ケーブル経路が形成された横フレーム部材と、を有するサンルーフのフレーム構造体であって、前記横フレーム部材の、前記サイドフレーム部材との連結部には、該サイドフレーム部材の第1の排水溝に向けて傾斜した第3の排水溝が形成され、前記サイドフレーム部材の第1の排水溝の、前記第3の排水溝との交差部には開口部が形成され、前記サンルーフ駆動用ケーブル経路には、前記第2の排水溝と前記第3の排水溝とを連通する連通孔が形成され、横フレーム部材の第2の排水溝とサイドフレーム部材の第1の排水溝とが、前記連通孔、前記第3の排水溝及び前記開口部を介して連通されていることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、横フレーム部材の第2の排水溝は、サンルーフ駆動用案内レールへの水の流入を防ぐために、サンルーフ駆動用案内レールよりも下方に段差をもって配置し、横フレーム部材とサイドフレーム部材との連結部においては、横フレーム部材の第2の排水溝の低い面から、サイドフレーム部材の第1の排水溝付近まで緩やかに傾斜した第3の排水溝を形成し、その第3の排水溝と第1の排水溝との間を水が連続して流れることができるように、第1の排水溝に開口部を形成した構造とした。これにより、横フレーム部材の第2の排水溝とサイドフレーム部材の第1の排水溝との間をスムーズに水が流れるので、各排水溝から水が溢れることがなくなり、また、サイドフレーム部材に深い切れ込みが不要になることからフレームとしての剛性も確保できる。
【0013】
また、本発明は、サンルーフ駆動用ケーブル経路に、前記第2の排水溝と前記第3の排水溝とを連通する連通孔を形成しているので、サンルーフ駆動用ケーブル経路で水が塞き止められるのを防止でき、その水をドレンパイプにスムーズに導くことができる。また、フレーム構造体(車体)がどのような角度にあっても、各排水溝の水は確実にドレンパイプに導くことができる構造となる。更に、サンルーフ駆動用ケーブル経路を急激に曲げる必要がないため、ケーブルをガイドする部分の摺動抵抗低減、磨耗に対しても有利となる。ケーブルをガイドする部分と横フレーム部材とが樹脂一体構造の場合には、部品点数、及びコストを削減できる。また、水漏れ防止のシール部材が必要な部分も減るので、水漏れの心配もなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るサンルーフのフレーム構造体の好ましい実施の形態について説明する。
【0015】
図1、図2に示す車両10の屋根12には、サンルーフ用の矩形状開口部13が形成されている。サンルーフ用開口部13の左右(図2では上下)の縁部には、サイドフレーム(サイドフレーム部材)14、16がそれぞれ車体前後方向に左右対象に配設されるとともに、サイドフレーム14、16の先端(図2では左端)には、フロントフレーム(横フレーム部材)22がそのコーナ部材18、20を介して連結されている。サイドフレーム14、16及びフロントフレーム22によって、サンルーフのフレーム構造体が構成される。なお、図2では、サイドフレーム14、16の先端を連結するフロントフレーム22を、横フレーム部材として例示したが、横フレーム部材は、サイドフレーム14、16の後端を連結するリヤフレームであってもよい。
【0016】
フロントフレーム22の中央部には、モータ24が設けられている。このモータ24から各サイドフレーム14、16に向けて、一対のプッシュ・プルケーブル(不図示)が配設される。一方側のプッシュ・プルケーブル(以下、「ケーブルA」と称する)の一端は、フロントフレーム22の近傍に形成されたガイドパイプ部26に挿通された状態で、コーナ部材18を介してサイドフレーム14のケーブル経路48(図3参照)に配設され、不図示の駆動部に連結される。他方側のプッシュ・プルケーブル(以下、「ケーブルB」と称する)の一端は、ガイドパイプ部30に挿通された状態で、コーナ部材20を介してサイドフレーム16のケーブル経路48(図3参照)に配設され、不図示の駆動部に連結される。
【0017】
ケーブルA、Bは、外表面にギアが形成されたケーブルであり、モータ24の出力軸に減速機構を介して取り付けられた駆動ギア34に噛合されている。したがって、モータ24を駆動して駆動ギア34を正・逆方向に回転させると、ケーブルA、Bが同時に押し引き操作され、これらのケーブルA、Bに連結されている各駆動部がサイドフレーム14、16の各サンルーフ駆動用案内レール50、50(図3参照)に沿って同方向に同速度で移動される。各駆動部には、ルーフパネル36が連結されているので、ルーフパネル36がサイドフレーム14、16の各サンルーフ駆動用案内レール50、50に沿って前後移動され、サンルーフ用開口部13が開閉される。
【0018】
サンルーフ用開口部13には、図1に示すようにエアデフレクタ40が設けられている。エアデフレクタ40のエアデフレクタ本体42は、サンルーフ用開口部13の車体前方側縁部13Aに沿った長尺板状に形成されるとともに、その上面42Aは車体前方に向けて緩やかに下方に傾斜した傾斜面となっている。
【0019】
エアデフレクタ本体42の長手方向両側には、コーナ部43を介してアーム44の先端部がそれぞれ一体的に連結されている。アーム44は長尺状に形成され、その基端部46がサイドフレーム16(14)に形成された雌のヒンジ部(不図示)に揺動自在に支持されている。
【0020】
次に、サンルーフのフレーム構造体について図3〜図7を参照して説明する。
【0021】
サイドフレーム14、16には、サンルーフ用開口部13の内側から外側に向けてサンルーフ駆動用案内レール50、ケーブル経路48、及びレインレール(第1の排水溝)52がその長手方向に沿って形成されている。サンルーフ駆動用案内レール50とケーブル経路48とは連通され、ケーブル経路48に配設されたケーブルと、サンルーフ駆動用案内レール50に摺動可能に設けられた駆動部とが連結できるようになっている。レインレール52は、ケーブル経路48と側壁を介して形成され、レインレール52に溜まった水がケーブル経路48やサンルーフ駆動用案内レール50に流入するのが防止されている。
【0022】
一方、フロントフレーム22には、その長手方向にレインレール(第2の排水溝)54が形成される。レインレール54は、このレインレール54に溜まった水が、サイドフレーム14、16のサンルーフ駆動用案内レール50に流入しなように、サンルーフ駆動用案内レール50に対して下方に段差をもって形成されている。また、このレインレール54は、エアデフレクタ本体42の収納用凹部としても兼用される。
【0023】
フロントフレーム22のコーナ部材18、20には、図3〜図5に示すようにサンルーフ駆動用ケーブル経路56、56が一体に形成されている。なお、フロントフレーム22は樹脂の成形品であり、サイドフレーム14、16はステンレス等の金属品である。
【0024】
サンルーフ駆動用ケーブル経路56は、レインレール54の両端を塞き止めるようにレインレール54から突出して形成されるとともに、フロントフレーム22のレインレール54の下面近傍を通り、図6の如く上方へ曲げられ、サイドフレーム14、16のケーブル経路48に向けて形成されている。これらのサンルーフ駆動用ケーブル経路56、56にケーブルA、Bが配設される。
【0025】
フロントフレーム22の、サイドフレーム14、16との連結部には、すなわち、フロントフレーム22のコーナ部材18、20には、図4、図7の如く、サイドフレーム14、16のレインレール52に向けて緩やかに上方に傾斜したレインレール(第3の排水溝)58が形成されている。このレインレール58は、レインレール54から平坦部無しで傾斜形成されていることにより、緩やかな形状となっている。平坦部が無いことによって、レインレール58には水が溜まらないようになっている。また、このレインレール58は、分岐した2本のレインレール60、62が合流して形成されたレインレールである。レインレール60、62については後述する。
【0026】
図4、図7の如くサイドフレーム14、16のレインレール52の、レインレール58の上端部58Aとの交差部には矩形状開口部64が形成され、レインレール58とレインレール52とが開口部64を介して連通されている。この開口部64は、サイドフレーム14、16の先端部から所定距離離間した位置に形成されている。
【0027】
サンルーフ駆動用ケーブル経路56には、レインレール54とレインレール58とを連通するトンネル(連通孔)66が形成される。図4の如く、このトンネル66を介してレインレール58に至るレインレールが、前述のレインレール60であり、レインレール54からサンルーフ駆動用ケーブル経路56を迂回してレインレール58に至るレインレールが、前述のレインレール62である。これにより、フロントフレーム22のレインレール54とサイドフレーム14、16のレインレール52とが、トンネル66及びレインレール58(レインレール60、62を含む)を介して連通されている。
【0028】
レインレール60のコーナ部には、不図示のドレンパイプと接続される排水孔68が形成される。また、図3の如くレインレール52の後端に、不図示のドレンパイプと接続される排水孔70が形成される。すなわち、車体がどの方向に傾斜しても、レインレール52、54、58、60、62に溜まった水が排水孔68、若しくは排水孔70から車外へ排水されるようにフレーム構造体が構成されている。
【0029】
次に、実施の形態のフレーム構造体の特徴について説明する。
【0030】
フロントフレーム22のレインレール54は、サイドフレーム14、16のサンルーフ駆動用案内レール50への水の流入を防ぐために、サンルーフ駆動用案内レール50よりも下になるよう段差をもって配置されている。そして、コーナ部材18、20において、フロントフレーム22のレインレール54の低い面から、サイドフレーム14、16のレインレール52付近まで緩やかに傾斜したレインレール58を形成し、レインレール58とサイドフレーム14、16のレインレール52との間を水が連続して流れることができるように、レインレール52に開口部64を形成した構造としている。
【0031】
これにより、レインレール54とレインレール52との間をスムーズに水が流れるので、各レインレール52、54等から水が溢れることがなくなり、また、レインレール52に深い切れ込みが不要になることからフレーム全体としての剛性も確保できる。
【0032】
また、実施の形態のフレーム構造体は、サンルーフ駆動用ケーブル経路56にレインレール54とレインレール58とを連通するトンネル66を形成しているので、サンルーフ駆動用ケーブル経路56で水が塞き止められるのを防止でき、その水を排水孔68にスムーズに導くことができる。
【0033】
更に、ケーブルをガイドする部分の摺動抵抗低減、磨耗に対しても有利となる。ケーブルをガイドするガイドパイプ部26、30とフロントフレーム22とが樹脂一体構造のため、部品点数、及びコストを削減できる。また、水漏れ防止のシール部材が必要な部分も減るので、水漏れの心配もなくなる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るサンルーフのフレーム構造体によれば、サイドフレーム部材の第1の排水溝と横フレーム部材の第2の排水溝とを、サンルーフ駆動用ケーブル経路に形成した連通孔、及び緩やかに傾斜した第3の排水溝から第1の排水溝に形成した開口部を介して連通したので、フレーム部材の強度を落とすことなく段差部に溜まった水、及びサンルーフ駆動用ケーブル経路で塞き止められていた水をスムーズにドレンパイプに導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両のサンルーフ用開口部に設置されたエアデフレクタ及びルーフパネルの斜視図
【図2】図1に示したサンルーフのフレーム構造体を示す平面図
【図3】図2に示したフレーム構造体を簡略して示した斜視図
【図4】図3に示したフレーム構造体のコーナ部の拡大斜視図
【図5】図3に示したフレーム構造体のコーナ部の拡大平面図
【図6】図5の6−6線上に沿う連結部の断面図
【図7】図5の7−7線上に沿う連結部の断面図
【符号の説明】
10…車両、12…屋根、13…サンルーフ用開口部、14、16…サイドフレーム、24…モータ、40…エアデフレクタ、42…エアデフレクタ本体、44…アーム、48…ケーブル経路、50…サンルーフ駆動用案内レール、52…、54、58、60、62…レインレール、56…サンルーフ駆動用ケーブル経路、64…開口部、66…トンネル、68、70…排水孔
Claims (1)
- 車体屋根に形成されたサンルーフ用開口部の車体前後方向側縁に沿って配設されるとともに、その長手方向にサンルーフ駆動用案内レールと第1の排水溝とが形成された一対のサイドフレーム部材と、
車体幅方向に沿って配設されて前記一対のサイドフレーム部材の端部同士を連結し、その長手方向に第2の排水溝が形成されるとともに、該第2の排水溝を塞き止めるようにサンルーフ駆動用ケーブル経路が形成された横フレーム部材と、を有するサンルーフのフレーム構造体であって、
前記横フレーム部材の、前記サイドフレーム部材との連結部には、該サイドフレーム部材の第1の排水溝に向けて傾斜した第3の排水溝が形成され、
前記サイドフレーム部材の第1の排水溝の、前記第3の排水溝との交差部には開口部が形成され、
前記サンルーフ駆動用ケーブル経路には、前記第2の排水溝と前記第3の排水溝とを連通する連通孔が形成され、
横フレーム部材の第2の排水溝とサイドフレーム部材の第1の排水溝とが、前記連通孔、前記第3の排水溝及び前記開口部を介して連通されていることを特徴とするサンルーフのフレーム構造体。
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