JP2004058393A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの用紙への着弾位置を正確に制御し、高画質の画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙Pの幅方向(X方向)の全域にわたってノズル10を併設するノズルアレイ2を備えた画像形成装置1において、往復振動手段によりノズルアレイ2を用紙Pの幅方向(X方向)に往復振動させるとともに、マイコン11aによりインクを吐出するノズル10の先端部から用紙Pの印刷面までの距離H、インクの吐出速度Vhead、およびノズルアレイの振動速度Vink に基づいて、往動時または復動時のそれぞれで用紙Pの幅方向(X方向)におけるインクの着弾位置IL 、IR を調整するためにインクを吐出するタイミングを制御する。
【選択図】図2
【解決手段】用紙Pの幅方向(X方向)の全域にわたってノズル10を併設するノズルアレイ2を備えた画像形成装置1において、往復振動手段によりノズルアレイ2を用紙Pの幅方向(X方向)に往復振動させるとともに、マイコン11aによりインクを吐出するノズル10の先端部から用紙Pの印刷面までの距離H、インクの吐出速度Vhead、およびノズルアレイの振動速度Vink に基づいて、往動時または復動時のそれぞれで用紙Pの幅方向(X方向)におけるインクの着弾位置IL 、IR を調整するためにインクを吐出するタイミングを制御する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、用紙に対してインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の画像形成装置における画像形成処理は、供給される画像信号に対応して、ヘッドに設けられたインクノズルからインクを用紙に対して吐出して、インクを用紙に付着させ用紙上に画像を構成する各ドットを形成することにより行われる。通常、用紙の搬送方向に直交する幅方向の全域にわたってインクノズルを配置している画像形成装置では、インクノズルを走査させる必要がない。つまり、このような画像形成装置では、原則として画像形成処理時においてインクノズルの位置を移動させる必要はなく、したがって、インクノズルを搭載しているノズルアレイを用紙の幅方向において移動させる必要はないといえる。
【0003】
ところが、ノズルアレイに搭載されるインクノズルにおける一部のインクノズルの吐出方向が異なる場合を考えると、たとえ幅方向の全域にわたってインクノズルが配置されているノズルアレイであっても用紙の幅方向に移動させることが有効である場合がある。また、近年のカラー印刷においては、さらなる画像の高画質化が要求されるため、ノズルの配置間隔よりも細かい解像度の画像を形成できることが望ましいが、ノズルアレイを静止させた状態ではノズルの配置間隔よりも細かい解像度の画像を形成することはできない。
【0004】
そこで、従来技術のなかには、幅方向の全域にわたってインクノズルを配置しているノズルアレイであっても、用紙の幅方向において往復振動させる技術を採用しているものがあった。
【0005】
例えば、特開昭58−199166号公報には、記録の主走査方向に対し異なった方向に印刷ヘッドをランダムに、または高周波振動させることで、画質ムラを除去することができるインクジェット方式の画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特開平10−235854号公報には、画像形成処理中に印刷ヘッドを印刷ヘッドと対向する記録紙の面と平行な方向に振動させる手段を有するインクジェット方式の画像形成装置が開示されている。これによれば、インクの吐出位置が多少ずれても、画像形成には影響なく、常に高画質の画像を形成することができる、とされている。
【0007】
さらに、特開2001−301147号公報には、印刷ヘッドをノズル列の配置間隔の幅以内で用紙の送り方向に直交する方向に振動させ、その振幅のなかで少なくとも2回以上インクの吐出を行うインクジェット方式の画像形成装置が開示されている。これによれば、ノズルの解像度以上にインクを吐出させることができ、ノズルの配置ピッチよりも高密度での印刷、すなわち、高解像度で印刷を行うことが可能になる、とされている。
【0008】
このように従来では、ノズルを複数備えたノズルアレイを往復振動させて、そのノズルアレイの振動における振幅の中で、一回または複数回インクを吐出して画像形成処理における便宜の向上を図っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の画像形成装置では、ノズルアレイからのインクの吐出タイミングを制御していないため、インクの用紙への着弾位置が正確に制御できなかった。
【0010】
したがって、従来の画像形成装置によるインクの用紙への着弾位置は、図7(b)に示すように、ばらついている。すなわち、インクドット間の距離が均一でなくなり、画質が低下するという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、インクの用紙への着弾位置を正確に制御し、高画質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0013】
(1)用紙に対してインクを吐出するノズルを用紙の搬送方向に直交する幅方向の全域にわたって複数有するノズルアレイを備えた画像形成装置において、
前記ノズルアレイを前記幅方向に往復振動させる往復振動手段と、インクを吐出するノズルの先端部から用紙面までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度に基づいて、往動時または復動時のそれぞれで前記幅方向におけるインクの着弾位置を調整するためにインクを吐出するタイミングおよび前記往復振動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、用紙の幅を一度に印刷するのに必要なドット数のインク吐出用のノズルを有しているノズルアレイを用紙の幅方向に往復振動させながら印刷を行う際に、ノズルアレイと用紙までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度から総合的に判断して最適なタイミングでインクが用紙に対して吐出される。
【0015】
したがって、インクの吐出タイミングが適正に調整され、インクの着弾位置が往動時および復動時のそれぞれで適正に定まることにより、用紙の搬送方向の全域にわたってインクの着弾位置が整然と配列されるため、インクの吐出のタイミングを制御しない場合に比べて、ドットむらのない、均一で高画質の画像形成処理が行われる。
【0016】
(2)前記制御手段は、インクを吐出するノズル先端部から用紙面までの距離がH、インクの吐出速度がVink 、インク吐出時のノズルアレイの振動速度がVhead、および解像度がRn〔dpi〕であるときに、
(H/Vink )×Vhead=6.35/Rn
に示す関係が成立するように前記往復振動を制御することを特徴とする。
【0017】
この構成においては、往動時におけるインクの着弾位置と復動時におけるインクの着弾位置とが用紙の幅方向において互いに半画素分ずつズレた状態で連続的に整然と配置される。したがって、各画素毎が隙間なく配列されるため、さらに高画質の画像形成処理が実行される。
【0018】
(3)前記制御手段は、インクを吐出するタイミングをノズルアレイの振動速度が最大になる瞬間に一致させることを特徴とする。
【0019】
この構成においては、ノズルアレイの振動振幅を小さく保ったままの状態でも往動時および復動時におけるインクの着弾位置のズレが拡大される。したがって、振動振幅を可能な限り小さくすることで振動の周波数を大きくして高速に印刷が実行される。また、ノズルアレイの往復振動のための空間が縮小するため、装置の小型化が図られる。
【0020】
(4)前記往復振動手段の状態を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングを決定することを特徴とする。
【0021】
この構成においては、ノズルアレイの振動は機械振動であり精密に制御することは困難であるのに対して、ノズル駆動周波数は電気信号であるため比較的容易に制御することが可能であることを考慮して、往復振動手段の状態を検出する検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングが決定される。
【0022】
したがって、ノズルから吐出したインクの着弾位置がよりきめ細かく調整されるため、より高画質の画像が再現される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明に係る画像形成装置に関する実施の一形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の画像形成装置の主要部の構成を示している。同図では図中の左右方向が用紙搬送方向(Y方向)であり、紙面に垂直な方向が用紙の幅方向(X方向)である。
【0025】
同図が示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙カセット3、搬送ローラ4、ノズルアレイ2、および排紙ローラ5を備えている。
【0026】
給紙カセット3は、画像形成装置1の下部に設けられており、印刷用の用紙Pをセットするためのものである。この給紙カセット3から画像形成位置を経由して排紙ローラ5にわたって用紙搬送路が形成される。なお、ここで、用紙とは、通常使用されるインクジェット紙だけでなく、単なるシート材や記録用紙等を含むものとする。
【0027】
図2は、ノズルアレイ2の一部の構成を示す図である。ノズルアレイ2は、用紙Pの幅方向(X方向)に複数のノズル10を備えている。また、ノズル10は、印刷すべき用紙Pの印刷面に対向した状態で、画像形成装置1が印刷可能な最大サイズの用紙の幅方向の全域にわたって配置されている。このため、搬送されてきた用紙Pに対して1ライン分の画像(ライン画像)を一括して印刷することが可能である。なお、ライン画像の幅は、インクヘッドの縦幅(Y方向の幅)に相当する。ノズルアレイ2は、制御基板11から供給される画像データに基づいて用紙Pに対してインクを吐出して印刷処理をするものであるが、本発明は、印刷時においてノズルアレイ2を所定の周期で振動させつつ、所定のタイミングでインクの吐出が確実に行われるように制御することを特徴とするものである。なお、ノズルアレイ2の振動動作やインク吐出のタイミングについては後述する。
【0028】
搬送ローラ4は、円柱形状を呈しており、その周面の一部が用紙搬送路の一部を形成する。また、搬送ローラ4は、後述する制御基板11から受ける給紙命令に応じて、給紙カセット3にセットされた用紙Pのうちの最上位の用紙Pを1枚ごとにノズル10に対向する印刷領域における所定の位置に搬送する。
【0029】
このとき、搬送ローラ4は、給紙カセット3から搬送してきた用紙の印刷領域の先端を、印刷領域の上流側端部に配置させ、その状態で用紙を一旦停止させる。そして、1つのライン画像が印刷された後、搬送ローラ4は、用紙Pを1ライン画像の幅分だけ搬送させる。このように、画像形成装置1は、1つのライン画像の印刷および用紙Pを1ライン画像の幅分の搬送を繰り返し行うことで、画像データに応じた画像を用紙に印刷する。
【0030】
排紙ローラ5は、用紙搬送路における印刷領域の下流側に配置されており、印刷された用紙を画像形成装置1の外部へ排出する。
【0031】
図3は、画像形成装置1のブロック図を示している。同図に示すように、画像形成装置1は、画像データ入力手段12、メモリ13、搬送ローラ4、ノズルアレイ振動手段14、および制御基板11を備えている。
【0032】
制御基板11は、本発明の制御手段を構成する。また、制御基板11は、マイコン11aを備えている。マイコン11aは、例えば、画像データ入力手段12により入力された画像データをメモリ13に記憶した後に、この画像データをノズルアレイ2に適合する印刷データに変換する役割を行う。また、搬送ローラ4により給紙カセット3から用紙搬送路に供給された用紙の印刷位置への給紙タイミングを決定する。さらに、所定のタイミングで、ノズルアレイ振動手段14によりノズルアレイ2を振動させノズル10を駆動して印刷を開始する。印刷が終了すると、用紙は排紙ローラ5により排出される。なお、連続印刷時には、上述の動作が繰り返される。
【0033】
次に、画像形成装置1の特徴的な部材であるノズルアレイ振動手段14について詳細に説明する。
【0034】
図4は、ノズルアレイ2近傍の構成を示している。同図においては、左右方向が用紙Pの幅方向(X方向)であり、上下方向が用紙Pの搬送方向(Y方向)である。ノズルアレイ2におけるX方向の両端面にその外周が接するように2つの偏心カム6が配置されている。偏心カム6は、図示しないモータの回転軸8に固定されている。この回転軸8は、偏心カム6の直径上において中心から所定の距離だけ離れた位置に配置されるため、偏心カム6の矢印A方向の回転にともなって、ノズルアレイ2はX方向に往復振動する。なお、モータおよび偏心カム6により本発明の振動手段であるノズルアレイ振動手段14が構成される。また、ノズルアレイ2の振動速度は、偏心カム6の直径と偏心カム6を駆動しているモータの回転数およびギヤ比とから計算で求められる。
【0035】
偏心カム6は、端面に突起部7を有している。突起部7は、偏心カム6の直径上において中心を挟んで回転軸8と反対側に配置される。また、偏心カム6の近傍には、凹状構造のフォトインタラプタ9等のセンサが設けられる。なお、本実施形態では、フォトインタラプタ9が本発明の検出手段を構成する。
【0036】
図5は、偏心カム6とフォトインタラプタ9との位置関係を示す図である。同図においては、上下方向が用紙の幅方向(X方向)であり、紙面に垂直な方向が用紙の搬送方向(Y方向)である。同図が示すように偏心カム6に設けられた突起部7がフォトインタラプタ9の凹部内を通過すると、フォトインタラプタ9は突起部7を検出する。この構成においては、偏心カム6の1回転周期に1度、フォトインタラプタ9の凹部を突起部7が通過してフォトインタラプタ9が偏心カム6の動作を検出することにより、制御基板11が偏心カム6の回転状態を把握する。
【0037】
このように、制御基板11が、偏心カム6の回転状態を検出することで、ノズルアレイ2の振動における速度(以下、単に振動速度という。)が最大になるタイミングを検出することが可能になる。なお、偏心カム6における突起部7の配置位置は、上述の位置に限定されることはなく、偏心カム6の回転に支障を来さない任意の位置に配置することが可能である。
【0038】
さらに、ノズルアレイ2を振動させるための振動手段の構成は、上述のモータおよび偏心カム6による機械的な手段に限定されるものではない。例えば、ノズルアレイ2の外部に圧電素子または電磁石を設け、この圧電素子または電磁石に振動信号としての電流を流して、ノズルアレイ2を振動させる電気的な手段を使用してもよい。
【0039】
図6は、フォトインタラプタ9の出力波形を示している。同図に示すように、フォトインタラプタ9の凹部内を突起部7が通過するとき、フォトインタラプタ9は、出力波形としてパルス波形の信号を出力する。なお、本実施形態では、フォトインタラプタ9の凹部内を突起部7が通過する前後においてノズルアレイ2の振動方向が切り換わるように突起部7が配置されているため、フォトインタラプタ9が出力波形としてパルス波形の信号を出力する際のノズルアレイ2の振動速度はゼロである。
【0040】
マイコン11aは、図6に示すフォトインタラプタ9のパルス波形を基準として、偏心カム6の周期より所定時間遅れて、ノズルアレイ2がインクを吐出するようにインクの吐出タイミングを決定する。本実施形態では、インクの吐出タイミングを1/4周期および3/4周期にしている。
【0041】
つまり、本実施形態では、偏心カム6が1回転する間に、すなわちノズルアレイ2がX方向に1往復する間にノズルアレイ2からインクが2回吐出される。そして、このインクの吐出タイミングが1/4周期および3/4周期であることにより、往動時および復動時のそれぞれにおけるノズルアレイ2の振動速度が最も速いときにインクが吐出される。
【0042】
また、図2に示すように、ノズルアレイ2は、上述したように、インクの吐出用ノズル10を複数備えており、これらのノズル10はX方向において等間隔に並んでいる。
【0043】
そして、ノズルアレイ2の往復振動時において、左側にノズルアレイ2が移動する場合を往動時、右側にノズルアレイ2が移動する場合を復動時とすると、例えば、ノズルアレイ2が速度Vheadで左方向に移動する往動時にインクを吐出すると、インクはそのときの吐出速度Vink と、ノズルアレイ2の振動速度Vheadとが合成された速度でノズル10から吐出される。
【0044】
したがって、往動時にインクを吐出した場合のインク着弾位置は、インク吐出時のノズル10の真下の位置から、左にずれた位置IL (往動時のインク着弾位置)に着弾する。また、ノズルアレイ2が速度Vheadで右方向に移動したとき、即ち、復動時にインクを吐出すると、復動時のインク着弾位置は、インク吐出時のノズル10の真下の位置から、右にずれた位置IR (復動時のインク着弾位置)に着弾する。
【0045】
ここで、ノズルアレイ2のノズル10先端部と用紙までの距離をH、インクの吐出速度をVink 、ノズルアレイ2の振動速度をVhead、往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR との間の距離をD、解像度をRn(dpi)とすると、インクの着弾位置は、以下の式(1)で算出される。
【0046】
(H/Vink )×Vhead=D/2・・・(1)
さらに、画像の再現性を考慮すると、往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR との間の距離Dは、
0<D≦25.4/Rn・・・(2)
の範囲内であることが好ましい。なお、ここで、25.4/Rnは、インクの吐出口であるノズル10の間隔を示している。
【0047】
特に、D=12.7/Rnであるとき、すなわち、
(H/Vink )×Vhead=6.35/Rnであるときにおいては、往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR とが、半画素分だけズレて最適な画像を再現することが可能になる。なお、インクには重力加速度も加わるが、インクの用紙への速度に対して重力が与える影響は微小であるので無視することができる。
【0048】
マイコン11aは、式(1)により往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR を算出する。また、式(2)によりインクの適正に印刷を行うために許容される振動速度や吐出速度等を算出する。このように、インクの吐出タイミング等を適正に制御することにより、図7(a)に示すように、インクドットは、往動時、復動時ともに規則正しく着弾して画像の再現性が向上する。
【0049】
上述の構成によれば、画像形成装置1は、ノズルアレイ2から吐出されたインクが、用紙に着弾する位置を正確に制御することが可能となりドットむらのない、均一で高画質の画像形成が行える。
【0050】
また、ノズルアレイ2の振動速度が最大になるタイミングで、ノズル10からインクを吐出させることにより、ノズルアレイ2の振動振幅が小さくても、往動時および復動時のインクの着弾位置を大きくズラすことが可能になるため、画像の画質を下げることなく、ノズルアレイ2の振動振幅を小さくできる。そして、ノズルアレイ2の振動振幅が小さいと振動の周波数を大きくできるため、高速印刷が可能となるとともに画像形成装置の小型化も可能となる。
【0051】
さらに、きめ細かな調整が可能なノズル駆動周波数、すなわち、インクの吐出タイミングを、フォトインタラプタ9から出力されるパルス波形の信号に基づいて決定すること、つまり、ノズル駆動周波数をノズルアレイ2の振動周波数に同期させることにより、容易に、インクの着弾位置の調整を行うことが可能になる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0053】
(1)用紙の幅を一度に印刷するのに必要なドット数のインク吐出用のノズルを有しているノズルアレイを用紙の幅方向に往復振動させながら印刷を行う際に、ノズルアレイと用紙までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度から総合的に判断して最適なタイミングでインクを用紙に対して吐出するため、インクの吐出タイミングを適正に調整でき、インクの着弾位置を往動時および復動時のそれぞれで適正に定めることができるため、用紙の搬送方向の全域にわたってインクの着弾位置を整然と配列でき、インクの吐出のタイミングを制御しない場合に比べて、ドットむらのない、均一で高画質の画像形成処理を行うことが可能になる。
【0054】
(2)往動時におけるインクの着弾位置と復動時におけるインクの着弾位置とを用紙の幅方向において互いに半画素分ずつズレた状態で連続的に整然と配置できるため、各画素毎を隙間なく配列することができ、さらに高画質の画像形成処理を実行することができる。
【0055】
(3)ノズルアレイの振動振幅を小さく保ったままの状態でも往動時および復動時におけるインクの着弾位置のズレを拡大できるため、ノズルアレイの振動振幅を可能な限り小さくすることで振動の周波数を大きくして高速に印刷を実行することができるとともに、ノズルアレイの往復振動のための空間を縮小することで装置の小型化を図ることができる。
【0056】
(4)ノズルアレイの振動は機械振動であり精密に制御することは困難であるのに対して、ノズル駆動周波数は電気信号であるため比較的容易に制御することが可能であることを考慮して、往復振動手段の状態を検出する検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングを決定するため、ノズルから吐出したインクの着弾位置がよりきめ細かく調整されるため、より高画質の画像が再現される。よって、インクの用紙への着弾位置を正確に制御し、高画質の画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の主要部の構成を示す図である。
【図2】ノズルアレイの一部の構成を示す図である。
【図3】画像形成装置のブロック図である。
【図4】ノズルアレイ近傍の構成を示している。
【図5】偏心カムとフォトインタラプタとの位置関係を示す図である。
【図6】フォトインタラプタの出力波形を示している。
【図7】用紙に着弾したインクの配列状態を示す図である。
【符号の説明】
1−画像形成装置
2−ノズルアレイ
3−給紙カセット
4−給紙ローラ
5−排紙ローラ
6−偏心カム
7−突起部
8−回転軸
9−フォトインタラプタ
10−ノズル
11−制御基板
【発明の属する技術分野】
この発明は、用紙に対してインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の画像形成装置における画像形成処理は、供給される画像信号に対応して、ヘッドに設けられたインクノズルからインクを用紙に対して吐出して、インクを用紙に付着させ用紙上に画像を構成する各ドットを形成することにより行われる。通常、用紙の搬送方向に直交する幅方向の全域にわたってインクノズルを配置している画像形成装置では、インクノズルを走査させる必要がない。つまり、このような画像形成装置では、原則として画像形成処理時においてインクノズルの位置を移動させる必要はなく、したがって、インクノズルを搭載しているノズルアレイを用紙の幅方向において移動させる必要はないといえる。
【0003】
ところが、ノズルアレイに搭載されるインクノズルにおける一部のインクノズルの吐出方向が異なる場合を考えると、たとえ幅方向の全域にわたってインクノズルが配置されているノズルアレイであっても用紙の幅方向に移動させることが有効である場合がある。また、近年のカラー印刷においては、さらなる画像の高画質化が要求されるため、ノズルの配置間隔よりも細かい解像度の画像を形成できることが望ましいが、ノズルアレイを静止させた状態ではノズルの配置間隔よりも細かい解像度の画像を形成することはできない。
【0004】
そこで、従来技術のなかには、幅方向の全域にわたってインクノズルを配置しているノズルアレイであっても、用紙の幅方向において往復振動させる技術を採用しているものがあった。
【0005】
例えば、特開昭58−199166号公報には、記録の主走査方向に対し異なった方向に印刷ヘッドをランダムに、または高周波振動させることで、画質ムラを除去することができるインクジェット方式の画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特開平10−235854号公報には、画像形成処理中に印刷ヘッドを印刷ヘッドと対向する記録紙の面と平行な方向に振動させる手段を有するインクジェット方式の画像形成装置が開示されている。これによれば、インクの吐出位置が多少ずれても、画像形成には影響なく、常に高画質の画像を形成することができる、とされている。
【0007】
さらに、特開2001−301147号公報には、印刷ヘッドをノズル列の配置間隔の幅以内で用紙の送り方向に直交する方向に振動させ、その振幅のなかで少なくとも2回以上インクの吐出を行うインクジェット方式の画像形成装置が開示されている。これによれば、ノズルの解像度以上にインクを吐出させることができ、ノズルの配置ピッチよりも高密度での印刷、すなわち、高解像度で印刷を行うことが可能になる、とされている。
【0008】
このように従来では、ノズルを複数備えたノズルアレイを往復振動させて、そのノズルアレイの振動における振幅の中で、一回または複数回インクを吐出して画像形成処理における便宜の向上を図っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の画像形成装置では、ノズルアレイからのインクの吐出タイミングを制御していないため、インクの用紙への着弾位置が正確に制御できなかった。
【0010】
したがって、従来の画像形成装置によるインクの用紙への着弾位置は、図7(b)に示すように、ばらついている。すなわち、インクドット間の距離が均一でなくなり、画質が低下するという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、インクの用紙への着弾位置を正確に制御し、高画質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0013】
(1)用紙に対してインクを吐出するノズルを用紙の搬送方向に直交する幅方向の全域にわたって複数有するノズルアレイを備えた画像形成装置において、
前記ノズルアレイを前記幅方向に往復振動させる往復振動手段と、インクを吐出するノズルの先端部から用紙面までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度に基づいて、往動時または復動時のそれぞれで前記幅方向におけるインクの着弾位置を調整するためにインクを吐出するタイミングおよび前記往復振動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、用紙の幅を一度に印刷するのに必要なドット数のインク吐出用のノズルを有しているノズルアレイを用紙の幅方向に往復振動させながら印刷を行う際に、ノズルアレイと用紙までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度から総合的に判断して最適なタイミングでインクが用紙に対して吐出される。
【0015】
したがって、インクの吐出タイミングが適正に調整され、インクの着弾位置が往動時および復動時のそれぞれで適正に定まることにより、用紙の搬送方向の全域にわたってインクの着弾位置が整然と配列されるため、インクの吐出のタイミングを制御しない場合に比べて、ドットむらのない、均一で高画質の画像形成処理が行われる。
【0016】
(2)前記制御手段は、インクを吐出するノズル先端部から用紙面までの距離がH、インクの吐出速度がVink 、インク吐出時のノズルアレイの振動速度がVhead、および解像度がRn〔dpi〕であるときに、
(H/Vink )×Vhead=6.35/Rn
に示す関係が成立するように前記往復振動を制御することを特徴とする。
【0017】
この構成においては、往動時におけるインクの着弾位置と復動時におけるインクの着弾位置とが用紙の幅方向において互いに半画素分ずつズレた状態で連続的に整然と配置される。したがって、各画素毎が隙間なく配列されるため、さらに高画質の画像形成処理が実行される。
【0018】
(3)前記制御手段は、インクを吐出するタイミングをノズルアレイの振動速度が最大になる瞬間に一致させることを特徴とする。
【0019】
この構成においては、ノズルアレイの振動振幅を小さく保ったままの状態でも往動時および復動時におけるインクの着弾位置のズレが拡大される。したがって、振動振幅を可能な限り小さくすることで振動の周波数を大きくして高速に印刷が実行される。また、ノズルアレイの往復振動のための空間が縮小するため、装置の小型化が図られる。
【0020】
(4)前記往復振動手段の状態を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングを決定することを特徴とする。
【0021】
この構成においては、ノズルアレイの振動は機械振動であり精密に制御することは困難であるのに対して、ノズル駆動周波数は電気信号であるため比較的容易に制御することが可能であることを考慮して、往復振動手段の状態を検出する検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングが決定される。
【0022】
したがって、ノズルから吐出したインクの着弾位置がよりきめ細かく調整されるため、より高画質の画像が再現される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明に係る画像形成装置に関する実施の一形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の画像形成装置の主要部の構成を示している。同図では図中の左右方向が用紙搬送方向(Y方向)であり、紙面に垂直な方向が用紙の幅方向(X方向)である。
【0025】
同図が示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙カセット3、搬送ローラ4、ノズルアレイ2、および排紙ローラ5を備えている。
【0026】
給紙カセット3は、画像形成装置1の下部に設けられており、印刷用の用紙Pをセットするためのものである。この給紙カセット3から画像形成位置を経由して排紙ローラ5にわたって用紙搬送路が形成される。なお、ここで、用紙とは、通常使用されるインクジェット紙だけでなく、単なるシート材や記録用紙等を含むものとする。
【0027】
図2は、ノズルアレイ2の一部の構成を示す図である。ノズルアレイ2は、用紙Pの幅方向(X方向)に複数のノズル10を備えている。また、ノズル10は、印刷すべき用紙Pの印刷面に対向した状態で、画像形成装置1が印刷可能な最大サイズの用紙の幅方向の全域にわたって配置されている。このため、搬送されてきた用紙Pに対して1ライン分の画像(ライン画像)を一括して印刷することが可能である。なお、ライン画像の幅は、インクヘッドの縦幅(Y方向の幅)に相当する。ノズルアレイ2は、制御基板11から供給される画像データに基づいて用紙Pに対してインクを吐出して印刷処理をするものであるが、本発明は、印刷時においてノズルアレイ2を所定の周期で振動させつつ、所定のタイミングでインクの吐出が確実に行われるように制御することを特徴とするものである。なお、ノズルアレイ2の振動動作やインク吐出のタイミングについては後述する。
【0028】
搬送ローラ4は、円柱形状を呈しており、その周面の一部が用紙搬送路の一部を形成する。また、搬送ローラ4は、後述する制御基板11から受ける給紙命令に応じて、給紙カセット3にセットされた用紙Pのうちの最上位の用紙Pを1枚ごとにノズル10に対向する印刷領域における所定の位置に搬送する。
【0029】
このとき、搬送ローラ4は、給紙カセット3から搬送してきた用紙の印刷領域の先端を、印刷領域の上流側端部に配置させ、その状態で用紙を一旦停止させる。そして、1つのライン画像が印刷された後、搬送ローラ4は、用紙Pを1ライン画像の幅分だけ搬送させる。このように、画像形成装置1は、1つのライン画像の印刷および用紙Pを1ライン画像の幅分の搬送を繰り返し行うことで、画像データに応じた画像を用紙に印刷する。
【0030】
排紙ローラ5は、用紙搬送路における印刷領域の下流側に配置されており、印刷された用紙を画像形成装置1の外部へ排出する。
【0031】
図3は、画像形成装置1のブロック図を示している。同図に示すように、画像形成装置1は、画像データ入力手段12、メモリ13、搬送ローラ4、ノズルアレイ振動手段14、および制御基板11を備えている。
【0032】
制御基板11は、本発明の制御手段を構成する。また、制御基板11は、マイコン11aを備えている。マイコン11aは、例えば、画像データ入力手段12により入力された画像データをメモリ13に記憶した後に、この画像データをノズルアレイ2に適合する印刷データに変換する役割を行う。また、搬送ローラ4により給紙カセット3から用紙搬送路に供給された用紙の印刷位置への給紙タイミングを決定する。さらに、所定のタイミングで、ノズルアレイ振動手段14によりノズルアレイ2を振動させノズル10を駆動して印刷を開始する。印刷が終了すると、用紙は排紙ローラ5により排出される。なお、連続印刷時には、上述の動作が繰り返される。
【0033】
次に、画像形成装置1の特徴的な部材であるノズルアレイ振動手段14について詳細に説明する。
【0034】
図4は、ノズルアレイ2近傍の構成を示している。同図においては、左右方向が用紙Pの幅方向(X方向)であり、上下方向が用紙Pの搬送方向(Y方向)である。ノズルアレイ2におけるX方向の両端面にその外周が接するように2つの偏心カム6が配置されている。偏心カム6は、図示しないモータの回転軸8に固定されている。この回転軸8は、偏心カム6の直径上において中心から所定の距離だけ離れた位置に配置されるため、偏心カム6の矢印A方向の回転にともなって、ノズルアレイ2はX方向に往復振動する。なお、モータおよび偏心カム6により本発明の振動手段であるノズルアレイ振動手段14が構成される。また、ノズルアレイ2の振動速度は、偏心カム6の直径と偏心カム6を駆動しているモータの回転数およびギヤ比とから計算で求められる。
【0035】
偏心カム6は、端面に突起部7を有している。突起部7は、偏心カム6の直径上において中心を挟んで回転軸8と反対側に配置される。また、偏心カム6の近傍には、凹状構造のフォトインタラプタ9等のセンサが設けられる。なお、本実施形態では、フォトインタラプタ9が本発明の検出手段を構成する。
【0036】
図5は、偏心カム6とフォトインタラプタ9との位置関係を示す図である。同図においては、上下方向が用紙の幅方向(X方向)であり、紙面に垂直な方向が用紙の搬送方向(Y方向)である。同図が示すように偏心カム6に設けられた突起部7がフォトインタラプタ9の凹部内を通過すると、フォトインタラプタ9は突起部7を検出する。この構成においては、偏心カム6の1回転周期に1度、フォトインタラプタ9の凹部を突起部7が通過してフォトインタラプタ9が偏心カム6の動作を検出することにより、制御基板11が偏心カム6の回転状態を把握する。
【0037】
このように、制御基板11が、偏心カム6の回転状態を検出することで、ノズルアレイ2の振動における速度(以下、単に振動速度という。)が最大になるタイミングを検出することが可能になる。なお、偏心カム6における突起部7の配置位置は、上述の位置に限定されることはなく、偏心カム6の回転に支障を来さない任意の位置に配置することが可能である。
【0038】
さらに、ノズルアレイ2を振動させるための振動手段の構成は、上述のモータおよび偏心カム6による機械的な手段に限定されるものではない。例えば、ノズルアレイ2の外部に圧電素子または電磁石を設け、この圧電素子または電磁石に振動信号としての電流を流して、ノズルアレイ2を振動させる電気的な手段を使用してもよい。
【0039】
図6は、フォトインタラプタ9の出力波形を示している。同図に示すように、フォトインタラプタ9の凹部内を突起部7が通過するとき、フォトインタラプタ9は、出力波形としてパルス波形の信号を出力する。なお、本実施形態では、フォトインタラプタ9の凹部内を突起部7が通過する前後においてノズルアレイ2の振動方向が切り換わるように突起部7が配置されているため、フォトインタラプタ9が出力波形としてパルス波形の信号を出力する際のノズルアレイ2の振動速度はゼロである。
【0040】
マイコン11aは、図6に示すフォトインタラプタ9のパルス波形を基準として、偏心カム6の周期より所定時間遅れて、ノズルアレイ2がインクを吐出するようにインクの吐出タイミングを決定する。本実施形態では、インクの吐出タイミングを1/4周期および3/4周期にしている。
【0041】
つまり、本実施形態では、偏心カム6が1回転する間に、すなわちノズルアレイ2がX方向に1往復する間にノズルアレイ2からインクが2回吐出される。そして、このインクの吐出タイミングが1/4周期および3/4周期であることにより、往動時および復動時のそれぞれにおけるノズルアレイ2の振動速度が最も速いときにインクが吐出される。
【0042】
また、図2に示すように、ノズルアレイ2は、上述したように、インクの吐出用ノズル10を複数備えており、これらのノズル10はX方向において等間隔に並んでいる。
【0043】
そして、ノズルアレイ2の往復振動時において、左側にノズルアレイ2が移動する場合を往動時、右側にノズルアレイ2が移動する場合を復動時とすると、例えば、ノズルアレイ2が速度Vheadで左方向に移動する往動時にインクを吐出すると、インクはそのときの吐出速度Vink と、ノズルアレイ2の振動速度Vheadとが合成された速度でノズル10から吐出される。
【0044】
したがって、往動時にインクを吐出した場合のインク着弾位置は、インク吐出時のノズル10の真下の位置から、左にずれた位置IL (往動時のインク着弾位置)に着弾する。また、ノズルアレイ2が速度Vheadで右方向に移動したとき、即ち、復動時にインクを吐出すると、復動時のインク着弾位置は、インク吐出時のノズル10の真下の位置から、右にずれた位置IR (復動時のインク着弾位置)に着弾する。
【0045】
ここで、ノズルアレイ2のノズル10先端部と用紙までの距離をH、インクの吐出速度をVink 、ノズルアレイ2の振動速度をVhead、往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR との間の距離をD、解像度をRn(dpi)とすると、インクの着弾位置は、以下の式(1)で算出される。
【0046】
(H/Vink )×Vhead=D/2・・・(1)
さらに、画像の再現性を考慮すると、往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR との間の距離Dは、
0<D≦25.4/Rn・・・(2)
の範囲内であることが好ましい。なお、ここで、25.4/Rnは、インクの吐出口であるノズル10の間隔を示している。
【0047】
特に、D=12.7/Rnであるとき、すなわち、
(H/Vink )×Vhead=6.35/Rnであるときにおいては、往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR とが、半画素分だけズレて最適な画像を再現することが可能になる。なお、インクには重力加速度も加わるが、インクの用紙への速度に対して重力が与える影響は微小であるので無視することができる。
【0048】
マイコン11aは、式(1)により往動時の着弾位置IL と復動時の着弾位置IR を算出する。また、式(2)によりインクの適正に印刷を行うために許容される振動速度や吐出速度等を算出する。このように、インクの吐出タイミング等を適正に制御することにより、図7(a)に示すように、インクドットは、往動時、復動時ともに規則正しく着弾して画像の再現性が向上する。
【0049】
上述の構成によれば、画像形成装置1は、ノズルアレイ2から吐出されたインクが、用紙に着弾する位置を正確に制御することが可能となりドットむらのない、均一で高画質の画像形成が行える。
【0050】
また、ノズルアレイ2の振動速度が最大になるタイミングで、ノズル10からインクを吐出させることにより、ノズルアレイ2の振動振幅が小さくても、往動時および復動時のインクの着弾位置を大きくズラすことが可能になるため、画像の画質を下げることなく、ノズルアレイ2の振動振幅を小さくできる。そして、ノズルアレイ2の振動振幅が小さいと振動の周波数を大きくできるため、高速印刷が可能となるとともに画像形成装置の小型化も可能となる。
【0051】
さらに、きめ細かな調整が可能なノズル駆動周波数、すなわち、インクの吐出タイミングを、フォトインタラプタ9から出力されるパルス波形の信号に基づいて決定すること、つまり、ノズル駆動周波数をノズルアレイ2の振動周波数に同期させることにより、容易に、インクの着弾位置の調整を行うことが可能になる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0053】
(1)用紙の幅を一度に印刷するのに必要なドット数のインク吐出用のノズルを有しているノズルアレイを用紙の幅方向に往復振動させながら印刷を行う際に、ノズルアレイと用紙までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度から総合的に判断して最適なタイミングでインクを用紙に対して吐出するため、インクの吐出タイミングを適正に調整でき、インクの着弾位置を往動時および復動時のそれぞれで適正に定めることができるため、用紙の搬送方向の全域にわたってインクの着弾位置を整然と配列でき、インクの吐出のタイミングを制御しない場合に比べて、ドットむらのない、均一で高画質の画像形成処理を行うことが可能になる。
【0054】
(2)往動時におけるインクの着弾位置と復動時におけるインクの着弾位置とを用紙の幅方向において互いに半画素分ずつズレた状態で連続的に整然と配置できるため、各画素毎を隙間なく配列することができ、さらに高画質の画像形成処理を実行することができる。
【0055】
(3)ノズルアレイの振動振幅を小さく保ったままの状態でも往動時および復動時におけるインクの着弾位置のズレを拡大できるため、ノズルアレイの振動振幅を可能な限り小さくすることで振動の周波数を大きくして高速に印刷を実行することができるとともに、ノズルアレイの往復振動のための空間を縮小することで装置の小型化を図ることができる。
【0056】
(4)ノズルアレイの振動は機械振動であり精密に制御することは困難であるのに対して、ノズル駆動周波数は電気信号であるため比較的容易に制御することが可能であることを考慮して、往復振動手段の状態を検出する検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングを決定するため、ノズルから吐出したインクの着弾位置がよりきめ細かく調整されるため、より高画質の画像が再現される。よって、インクの用紙への着弾位置を正確に制御し、高画質の画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の主要部の構成を示す図である。
【図2】ノズルアレイの一部の構成を示す図である。
【図3】画像形成装置のブロック図である。
【図4】ノズルアレイ近傍の構成を示している。
【図5】偏心カムとフォトインタラプタとの位置関係を示す図である。
【図6】フォトインタラプタの出力波形を示している。
【図7】用紙に着弾したインクの配列状態を示す図である。
【符号の説明】
1−画像形成装置
2−ノズルアレイ
3−給紙カセット
4−給紙ローラ
5−排紙ローラ
6−偏心カム
7−突起部
8−回転軸
9−フォトインタラプタ
10−ノズル
11−制御基板
Claims (4)
- 用紙に対してインクを吐出するノズルを用紙の搬送方向に直交する幅方向の全域にわたって複数有するノズルアレイを備えた画像形成装置において、
前記ノズルアレイを前記幅方向に往復振動させる往復振動手段と、インクを吐出するノズルの先端部から用紙面までの距離、インクの吐出速度、およびノズルアレイの振動速度に基づいて、往動時または復動時のそれぞれで前記幅方向におけるインクの着弾位置を調整するためにインクを吐出するタイミングおよび前記往復振動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、インクを吐出するノズル先端部から用紙面までの距離がH、インクの吐出速度がVink 、インク吐出時のノズルアレイの振動速度がVhead、および解像度がRn〔dpi〕であるときに、
(H/Vink )×Vhead=6.35/Rn
に示す関係が成立するように前記往復振動を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、インクを吐出するタイミングをノズルアレイの振動速度が最大になる瞬間に一致させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記往復振動手段の状態を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいてノズルの吐出タイミングを決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002218275A JP2004058393A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20080067937A (ko) * | 2007-01-17 | 2008-07-22 | 삼성전자주식회사 | 화상형성장치 및 그 잉크분사방법 |
JP2009519848A (ja) * | 2005-12-21 | 2009-05-21 | エルジー・ケム・リミテッド | インク噴射方法及び装置 |
-
2002
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