JP2004056548A - 直交周波数多重信号を受信する装置、及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する装置であって、各受信部要素20により遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成して、ヘッドガード信号抽出器21がこの受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成し、またテイルガード信号抽出器28が受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成し、重み設定部29及び重み制御部22により、ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号に基づく受信信号のうちのガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う受信装置である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上波ディジタル放送などに用いられる直交周波数多重信号(OFDM信号)を受信する装置、及び方法に係り、特に固定受信局での受信品質の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上波ディジタル・テレビ放送の変調方式として採用されている直交周波数多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式の研究が盛んに行われている。このOFDMは、互いに直交する多数のキャリアを用いた変調方式で、周波数利用効率が高く、FFT(Fast Fourier Transform)による変復調処理が可能であることなどの特徴を有する。また、遅延波の影響を軽減するために、各OFDMの有効シンボルの直前にガード区間を付加している。このため、特にマルチパス環境下において、単一キャリア方式に比べ優れた性能を発揮することが知られている。
【0003】
具体的に、一般的なOFDM信号を生成する送信側の装置について説明する。送信側装置は、図10に示すように、シリアル/パラレル変換器(S/P)1と、複数の変調器2と、逆DFT(Descrete Fourier Transform)器(IDFT)3と、ガード信号付加器4と、D/A変換器5と、ローパスフィルタ(LPF)6と、局部信号発振器7と、乗算器8と、バンドパスフィルタ9と、アンテナ10とを含んで構成されている。
【0004】
S/P1は、送信の対象となったデータストリームの入力を受けて、これをパラレルに変換し、複数のデータ系列を生成して出力する。変調器2は、S/P1が出力する各データ系列に対応して設けられ、対応するデータ系列を所定の方式で変調して出力する。逆DFT(Digiral Fourier Transform)器3は、複数の変調器2から出力された、変調されたデータ系列に対して逆離散フーリエ変換を施してOFDM変調を行う。
【0005】
ガード信号付加器4は、ODFM変調された信号のうち、有効シンボルの末尾の所定時間分(例えばTg時間分)を抽出して、各有効シンボルの直前にガード区間として付加して出力する。D/A変換器5は、ガード区間が付加された信号をアナログ信号に変換して出力する。LPF6は、所定の帯域外成分を除去して出力する。局部信号発振器7は、搬送波周波数の信号を出力している。乗算器8は、LPF6が出力した信号と、局部信号発振器7が出力した信号とを乗じて、LPF6が出力した信号を搬送波周波数にアップコンバートする。BPF9は、搬送波周波数にアップコンバートされた信号のうち、所定の帯域のみを通過させて送信信号として出力する。アンテナ10は、この送信信号を空間に放射する。
【0006】
こうして生成されたOFDM信号は、模式的には、図11に示すように、ガード区間Gと、有効シンボルSとの繰り返しとなる。ここでガード区間Gには、ガード信号付加器4によって有効シンボルの末尾Tgの時間分と略同一の信号が付加されている。従ってこのガード区間Gの時間もTgとなる。以下の説明では便宜上、このガード区間Gの時間をヘッドガード区間と呼び、この信号の元となった有効シンボルの末尾Tgの時間をテイルガード区間と呼ぶ。また、有効シンボル時間長をTe、ガード区間Gを含んだシンボル全体の時間長をTsと表記する。
【0007】
このように有効シンボル区間の末尾Tgの時間の部分の信号と同一の信号を有効シンボルの直前に付加することで、ガード区間時間長までの遅延時間で到来する波(遅延波)によるキャリア干渉が防止される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この一般的な送信側装置で生成されたOFDM信号を放送に利用するときには、例えば次のような問題が予見される。一般に固定受信の多くは高利得のアンテナが地上から高い位置に設置されるので、遠方の送信局からの信号も受信可能となる。この結果、最近接の信号に対して、ガード区間Gを超える遅延波が、遠方の送信局から到来してシンボル間干渉が生じ、受信品質が劣化すると想定される。このことは、太田弘毅他による「地上ディジタル放送の移動受信の検討」,映情学技報,Vol.20,No.12,pp.13−18,Feb.1997においても指摘されている。
【0009】
そこで、干渉波を抑圧して良好な通信品質を確保するシステムとしてアダプティブ・アレー・アンテナが知られている。その一つであるMMSE(Minimum Mean Square Error)アダプティブ・アレーは、受信側で用意する参照信号と実際のアレー出力信号との差(誤差信号)を最小にすることによって最適な重みを決定する。このシステムは、例えば菊間信良による「アレーアンテナによる適応信号処理」,科学技術出版,東京,1998等に詳しい。
【0010】
これまでにOFDMを含むマルチキャリア伝送方式におけるアダプティブアレーの適用について様々な研究がされている。その一例は、松江武典、他による「OFDM用アダプティブアレーアンテナの一検討」,信学総合大会,B−1−83,Mar.2001の予稿集や、堀智、他による「OFDM用におけるガード区間を利用したMMSEアダプティブアレー」,信学技報,A.P2001−50,Jul.2001等である。しかし、これらは移動通信への適用を前提に、分離受信の際に必要となる所望波1波のみを受信し、他の波をガード区間の内外に関わらず抑圧するシステム等であり、固定受信の際にガード区間内に遅延して到来する遅延波を抑圧することなく、ガード区間を越える遅延波のみを抑圧することには配慮されていなかった。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ガード区間を越える遅延波を抑圧し、固定受信局での受信品質を改善できる、直交周波数多重信号を受信する装置、及び方法を提供することをその目的の一つとする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する装置であって、遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成する受信手段と、前記受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成する手段と、前記受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成する手段と、前記ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号により、前記受信信号にガード区間を越える遅延波が含まれているか否かを検出する検出手段と、を含み、前記検出手段により、ガード区間を越える遅延波が含まれていると判断された場合に、前記差信号を利用して、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う、ことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の別の態様によると、各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する装置であって、遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成する受信手段と、前記受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成する手段と、前記受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成する手段と、前記ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号により、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う処理手段と、を含むこととした。
【0014】
ここで、さらに前記受信手段は、複数のアンテナ要素を含み、前記複数のアンテナ要素の各々に到来した各信号を受信し、受信した各信号に対して、設定された重みを乗じて合成し、受信信号を生成し、前記処理手段は、前記差信号を利用して、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧するよう前記重みの設定を調整することとするのも好ましい。また、前記重みとして、差信号から得られる平均二乗誤差の絶対値の二乗の逆数を設定することとするのも好ましい。
【0015】
また本発明のある態様によれば、各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する方法であって、遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成する工程と、前記受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成する工程と、前記受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成する工程と、前記ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号により、前記受信信号にガード区間を越える遅延波が含まれているか否かを検出する検出工程と、を含み、前記検出工程において、ガード区間を越える遅延波が含まれていると判断された場合に、前記差信号を利用して、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う、こととした。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る直交周波数多重信号の受信装置は、ヘッドガード区間の信号(ヘッドガード信号と呼ぶ)と、テイルガード区間の信号(テイルガード信号と呼ぶ)とが遅延波がない場合には略同一であることを利用して、これらの信号の差信号を生成し、当該差信号の性状に応じてガード区間を越えて到来する遅延波を検出するものである。具体的に本実施の形態の受信装置は図1に示すように、複数の受信部要素20と、受信部要素20ごとに設けられたヘッドガード信号抽出器(図中ではCHOPと記している)21及び重み制御部22と、加算器23と、ガード信号除去器24と、DFT器25と、復調器26と、パラレル/シリアル変換器(P/S)27と、テイルガード信号抽出器28と、重み設定部29とを含んで構成されている。また、各受信部要素20は、アンテナ31と、バンドパスフィルタ(BPF)32と、局部発振器33と、乗算器34と、ローパスフィルタ(LPF)35と、A/D変換器36とを含む。
【0017】
ここで、受信部要素20が受信手段に、ヘッドガード信号抽出器21がヘッドガード信号を生成する手段に、テイルガード信号抽出器28がテイルガード信号を生成する手段に、重み制御部22及び重み設定部29が処理手段または検出手段にそれぞれ基本的に対応する。
【0018】
各受信部要素20のアンテナ31に到来した信号は、BPF32によって帯域制限され、局部発振器33が出力する信号と乗算器34において混合されてダウンコンバートされ、LPF35によって帯域制限されてベースバンド信号となり、A/D変換器36でディジタル信号に変換されて出力される。i番目の受信部要素20−iにおいてディジタル信号に変換されたベースバンド信号をx’iと表記する。
【0019】
ヘッドガード信号抽出器21は、対応する受信部要素20から出力される信号からヘッドガード区間の先頭(つまりはシンボルの先頭)を基準としてガード区間分(Tg時間)の信号を抽出して出力する。i番目のヘッドガード信号抽出器21−iが出力する信号を以下、xiと表記する。
【0020】
重み制御部22は、対応する受信部要素20からディジタル信号に変換されたベースバンド信号の入力を受けて、これに重み設定部29から入力される設定値に応じた重みを乗じ、加算器23に出力する。以下、i番目の重み制御部22に設定される重みの設定値をwiと表記する。加算器23は、各重み制御部22から入力される重みづけされた信号を総和して、合成信号y’(t)を生成し、出力する。従って、合成信号y’(t)は、
【数1】
のように定義して、
【数2】
と表すことができる。ここで上添字のT,Hはそれぞれ転置と、共役転置とを表す。
【0021】
ガード信号除去器24は、合成信号y’(t)から先頭のガード区間分の信号を除去して、有効シンボル区間の信号を抽出して出力する。この有効シンボル区間の信号は、DFT器25によって離散フーリエ変換され、各キャリアの受信信号が生成される。これら各キャリアの受信信号は、それぞれ対応して設けられている復調器26によって復調され、P/S27によってシリアルの信号系列として出力される。
【0022】
テイルガード信号抽出器28は、加算器23が出力する合成信号y’(t)からテイルガード区間の先頭(つまり、有効シンボル区間の末尾Tg時間分の先頭)からガード区間の時間(Tg時間)分の信号y(t)を抽出して出力する。
【0023】
重み設定部29は、テイルガード信号抽出器28が出力する信号y(t)の定数倍a×y(t)(aは定数)を参照信号として、入力信号xi(iは、1からK、ここでKは、受信部要素20の数)からなる入力信号ベクトルXと、このa×y(t)との差信号の二乗平均値の平方根(平均二乗誤差;Mean Square Error)e(t)を演算し、これを最小にするように重みwiを決定して設定する。この平均二乗誤差から重みを決定する方法は、MMSE規範と呼ばれるアダプティブアレーアンテナの重みの設定方法として通常の方法を利用できる。なお、ここではテイルガード信号に対応するa×y(t)を参照信号、ヘッドガード信号に対応するXを入力信号としているが、これとは逆に、テイルガード信号を抽出して入力信号とし、ヘッドガード信号を抽出して参照信号として、これらの平均二乗誤差から重みを決定して設定してもよい。最適な重みを決定する方法については、後に詳しく述べる。
【0024】
本実施の形態において特徴的なことの一つは、ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号に基づき、ガード区間を越える遅延波の存在の有無を規定していることである。その動作を具体的な例を挙げて説明する。例えば図2に示すように、所望波の直接波(a)と、その反射波として、時間DTをおいて到来する遅延波(b)とが、受信されているとし、また、不要波(c)は、ガード区間分の時間を越えて遅延して到来しているとする。
【0025】
このとき、所望波の直接波のシンボルのヘッドガード区間(GH)と、テイルガード区間(GT)とに対して、遅延波のヘッドガード区間及びテイルガード区間は、DTだけずれて受信される。いま、所望波のみを考えれば、ヘッドガード信号抽出器21と、テイルガード信号抽出器28とがそれぞれ抽出した信号(図2のCHOPで示した区間の信号)の差信号では、その先頭DTの時間を除く後半は、略同一のガード信号があるのでその差信号は略「0」の直流信号となるが、先頭DTの時間部分は、必ずしも差信号が「0」とはならない。つまり、これらの区間での差信号は、形式的には図3(a)に示すように、DTの時間までは値があり、DTの時間以降Tgまでは値が略「0」となる信号となる。ところが、ガード区間を越えて遅延して到来する不要波(c)が存在するときには、図3(b)に形式的に示すようにDTの時間以降も、Tgの時間まで何らかの信号が残ってしまう。
【0026】
このように、差信号がTgの時間まで何らかの信号成分を有しているときには、ガード区間を越えて遅延して到来する不要波が受信されていると検出できることとなる。そして、かかる不要波が受信されているときには、差信号の分析から、例えば到来波数や方向、遅延時間といった不要波の特性をさらに検出し、これらに応じて適応的に重み制御部22の重みを設定して、不要波の影響を抑制する。つまり、図3(b)に示したDTの時間以降Tgまでの信号を最小にするよう重みを決定する。
【0027】
[最適な重みの決定方法]
ここで、最適な重みを決定する方法について説明する。具体的に図3(b)に示したような差信号が得られている場合は、ガード区間内で最も遅く到来した(最も長い遅延時間を有する)遅延波の遅延時間(DT)に応じて、図4(a)に示すように変化する重み関数f(t)が存在すればよい。同期のとれている所望波1波のみを受信し、他の波をガード区間の内外にかかわらず抑圧する場合には、図4(b)に示すような、すべての到来波が含まれる部分を抽出する重み関数が有効である。しかし、固定受信を対象とする場合は、ガード区間内の到来波を抑圧せずに、ガード区間を越える遅延波のみを抑圧することが望ましい。そこで図4(a)に示すような、ガード区間を越える到来波のみが含まれる部分を抽出する重み関数が適していると考えられる。
【0028】
具体的には、ガード区間内で最も遅く到来する遅延波の遅延時間を推定し、重み関数を決定する方法がある。しかしながら、同期のとれている所望波1波のみを受信し、他の波をガード区間の内外にかかわらず抑圧する場合には重み関数として平均二乗誤差e(t)の絶対値の二乗が有効であることから、遅延時間推定を必要としない、平均二乗誤差e(t)の絶対値の二乗の逆数、
【数3】
を用いる。
【0029】
この場合の最適な重みベクトルWoptは、
【数4】
で与えられ、ここでベクトルRxxと、rxrとは、次の式で表される。
【数5】
【0030】
最適化の手法としては、SMI(Sample Matrix Inversion)方式を用いて求めることができる。すなわち、具体的には、次のようにしてシンボルごとに最適な重みを決定する。
【数6】
ここで、βは0<β<1を満たす実数のパラメータ(忘却係数)であり、推定の時定数を制御する。また、ave[]は、1シンボルのガード区間における平均を表す。
【0031】
これらを(4)式に代入して最適な重みを決定する。すなわち、
【数7】
とする。
【0032】
【実施例】
次に、図1に示した受信装置について、その特性を計算機シミュレーションにより検討した結果を示す。このシミュレーションにあたり、想定した条件は、次の表1に示すようなものである。
【表1】
なお、受信部要素20のアンテナ群からなるアレーのブロードサイド方向を0度とし、シンボル同期及び周波数オフセット補償(搬送波周波数同期)は完全であるとした。また、最適な重みを既に説明したSMI方式を利用して求め、1シンボルごとに重みを更新し、30回の更新を行った。ここで、所望波合成のための伝送路歪み補正については、最初に雑音のない状態で、全キャリアでパイロット信号を送信することにより理想的な等化処理を行っている。また、すべての到来波はフェージング変動のない単一波として扱っている。
【0033】
ここでは、重み関数として用いている(3)式の関数の実際の変化を見るために、次の表2に示す電波環境を想定した。
【表2】
そして第2波の遅延時間を変化させて、シミュレーションを行った。この電波環境では、到来波は、所望波2波と、ガード区間を越える遅延波(第3波)の合計3波とし、所望波の内訳は、同期が完全である第1波と、ガード区間内の遅延時間を有し、その遅延時間がDTとなっている第2波とした。また、第1波に対するCNR(Carrier to Noise Ratio)は、20dBとした。
【0034】
第2波の遅延時間DTと(3)式の重み関数との関係について図5に示す。この図5において横軸は時間、縦軸は二乗誤差の逆数となっている。また、図5(a)ではDT=Tg/4であり、図5(b)ではDT=Tg/2である。この図5によれば、遅延時間DTが変化すると、100程度の低い値を有する部分の時間幅が変化し、その幅は遅延時間(DT)に関係していることが理解できる。このことから、図4(a)に示したような理想的な重み関数として(3)式の関数が有効であると考えられる。
【0035】
さらに、30回更新後のビームパターンにおけるBER(Bit Error Rate)特性を図6に示す。この図6において、横軸は第2波の遅延時間を、縦軸はBERを表している。比較のため、アンテナが1つ(1素子;1 Element)の場合、及び1素子で第3波がない(1 Element (without #3 wave))場合のBER特性を併せて表している。この結果によると、図1に示した受信装置によれば、1素子の場合に比べてBER特性の改善が見られる(Adaptive)。また、第2波の遅延時間が長くなるにつれてBER特性がよくなるという傾向が確認できる。
【0036】
さらに図7に30回更新後のビームパターンを示す。この図7では、横軸は到来角度、縦軸はアレー応答値を表す。図7から理解できるように、所望波である第1、第2波については良好に受信でき、不要波である第3波は、20dB程度抑圧しており、アダプティブアレーとして良好に動作している。また、図7では遅延時間DTがそれぞれTg×1/4である場合を実線で、Tg×2/4である場合を一点鎖線で、Tg×3/4である場合を破線で、それぞれ示しているが、第2波の遅延時間が長くなるほど第2波に対する利得が小さくなることが分かる。これは、図4(a)に示す理想的な重み関数ではDTより前は「0」であるのに対して、ここで用いている(3)式の重み関数では、図5から分かるように最大値を「1」に正規化した場合、1/100程度の値を有しているためである。これによりDTが長くなるほど、ガード区間内の到来波も抑圧の対象となるものと考えられる。
【0037】
次に、到来波数がアレーの自由度を越えた場合についてシミュレーションを行った結果を示す。この場合の電波環境の設定は、次の表3のようにしている。
【表3】
すなわち、到来波として、所望波3波(第1〜第3波)と、ガード区間を越える遅延波3波(第4〜第6波)の合計6波としている。
【0038】
この場合における30回更新後のビームパターンは、図8に示すようになる。なお図8において横軸は到来角度を、縦軸はアレー応答値を表す。この図8に示す通り、CNRが低くなると、不要波に対する抑圧性能は劣化するが、所望波である第1〜第3波を良好に受信し、不要波である第4〜第6波を20dB程度抑圧している。また、アレーの自由度を越える到来波に対しては、ガード区間を越える遅延波に対してのみアレーの自由度を使い、ガード区間内の所望波に対しては自由度を消費していないことも理解できる。
【0039】
さらに、30回更新後のビームパターンにおけるBER特性を図9に示す。この図9では、横軸にCNRを、縦軸にBERをとっている。この図9から理解できるように、図1に示した受信装置によれば、1アンテナ素子(1 Element及び、その場合に不要波をなくした1 Element (without #4,#5,#6 waves))に比べてBER特性の改善が見られる(Adaptive)。また、その効果はCNRが高くなる程、大きくなることも理解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る受信装置の構成ブロック図である。
【図2】到来波の一例を表す概要図である。
【図3】差信号の状態の例を表す説明図である。
【図4】重み関数の例を表す説明図である。
【図5】シミュレーションの結果の一例を表す説明図である。
【図6】シミュレーションの結果の一例を表す説明図である。
【図7】シミュレーションの結果の一例を表す説明図である。
【図8】シミュレーションの結果の一例を表す説明図である。
【図9】シミュレーションの結果の一例を表す説明図である。
【図10】一般的なOFDM信号の送信装置の例を表す構成ブロック図である。
【図11】OFDM信号の概要を表す説明図である。
【符号の説明】
1 シリアル/パラレル変換器、2 変調器、3 逆DFT器、4 ガード信号付加器、5 D/A変換器、6,35 ローパスフィルタ、7,33 局部信号発振器、8,34 乗算器、9,32 バンドパスフィルタ、10,31 アンテナ、20 受信部要素、21 ヘッドガード信号抽出器、22 重み制御部、23 加算器、24 ガード信号除去器、25 DFT器、26 復調器、27 パラレル/シリアル変換器、28 テイルガード信号抽出器、29 重み設定部、36 A/D変換器。
Claims (5)
- 各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する装置であって、
遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成する受信手段と、
前記受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成する手段と、
前記受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成する手段と、
前記ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号により、前記受信信号にガード区間を越える遅延波が含まれているか否かを検出する検出手段と、
を含み、
前記検出手段により、ガード区間を越える遅延波が含まれていると判断された場合に、前記差信号を利用して、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う、
ことを特徴とする装置。 - 各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する装置であって、
遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成する受信手段と、
前記受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成する手段と、
前記受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成する手段と、
前記ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号により、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う処理手段と、
を含むことを特徴とする装置。 - 請求項2に記載の装置において、さらに、
前記受信手段は、複数のアンテナ要素を含み、前記複数のアンテナ要素の各々に到来した各信号を受信し、受信した各信号に対して、設定された重みを乗じて合成し、受信信号を生成し、
前記処理手段は、前記差信号を利用して、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧するよう前記重みの設定を調整することを特徴とする装置。 - 請求項3に記載の装置において、
前記重みとして、差信号から得られる平均二乗誤差の絶対値の二乗の逆数を設定することを特徴とする装置。 - 各有効シンボルの直前に、当該有効シンボルの末尾部分と略同一の波形を、それぞれガード区間として付加して生成された直交周波数多重信号、を受信する方法であって、
遅延波を含んで到来した直交周波数多重信号を受信し、受信信号を生成する工程と、
前記受信信号から有効シンボルの直前に付加されたガード区間部分を抽出したヘッドガード信号を生成する工程と、
前記受信信号から有効シンボル末尾部分を抽出したテイルガード信号を生成する工程と、
前記ヘッドガード信号とテイルガード信号との差信号により、前記受信信号にガード区間を越える遅延波が含まれているか否かを検出する検出工程と、
を含み、
前記検出工程において、ガード区間を越える遅延波が含まれていると判断された場合に、前記差信号を利用して、前記受信信号のうちガード区間を越える遅延波を抑圧する所定処理を行う、
ことを特徴とする方法。
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