JP2004055758A - 圧電トランス及びその圧電トランスを有するストロボ装置 - Google Patents

圧電トランス及びその圧電トランスを有するストロボ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチ(スイッチング素子)を用いること無くコンデンサへの充電機能と、放電管のトリガ機能とを切り替えると共に、充電回路とトリガ回路とで共通の昇圧手段として共用可能な、昇圧率に優れる圧電トランス及びその圧電トランスを備えるストロボ装置を提供する。
【解決手段】圧電トランス13Bは、1次側領域に2種類の入力電極(31A,31B,32A,32B)、2次側領域に2種類の出力電極22,23を備えており、SW1及び2を切り替えることにより、当該2種類の入力電極に同一または逆相の入力電圧が印加されると共に、第1共振モードにて駆動中に出力電極23に発生する電圧によって放電コンデンサ3を充電する一方で、第2共振モードにて駆動中に出力電極22に発生する電圧によって放電管4のトリガを駆ける。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば各種カメラに内蔵または外付けして好適なストロボ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、銀塩写真を撮影するカメラ、或いは撮像素子を用いて画像を撮像するデジタルカメラには、撮影時に被写体を照明する所謂ストロボ装置が普及している。
【0003】
このようなストロボ装置の一例として、本願出願人は、先行する特願2000−395929号及びその国内優先権主張を伴う特願2001−160983号において、放電コンデンサに電気エネルギを充電する充電回路と、放電管の放電を促す高電圧信号を発生させるトリガ回路とを備えるストロボ装置であって、充電回路及びトリガ回路の昇圧手段として共用されるところの、1つの圧電トランスを含む昇圧回路を備え、その圧電トランスの出力と放電コンデンサとを接続するラインには、圧電トランスの出力電圧を、放電コンデンサまたは放電管に印加すべく、スイッチ(またはスイッチング素子)が直列に設けられており、このスイッチを適宜オン・オフ操作することにより、放電コンデンサの充電動作と、放電管のトリガ動作とを実現する技術を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の回路構成によれば、1つの昇圧回路だけで充電機能とトリガ機能を両立することができ、シンプルな回路構成で、省スペース性に優れるストロボ装置を実現することができる。
【0005】
但し、上記の回路構成において、放電コンデンサの充電動作と、放電管のトリガ動作とを切り替えるスイッチには、その切り替え動作に応じて、圧電トランスから出力される交流高電圧(数kV程度)が印加されるため、その交流高電圧に耐え得る高耐圧のスイッチング素子を採用しなければならない。
【0006】
しかしながら、係るスイッチの如く圧電トランスの出力電圧をオン・オフすべく本願出願時点で採用可能な高耐圧のスイッチング素子は、高価であり、且つ外形サイズが比較的大きいため、ストロボ装置の全体形状の小型化を阻む要因となり、ストロボ装置の更なる小型化の要求に応えるためには、未だ十分とは言えない。
【0007】
ところで、国際公開番号(再公表特許)WO97/28568号公報には、2種類の入力電極と2種類の出力電極とを備える圧電トランス(同公報の図6及び図7)の素子構造が提案されているが、その駆動方法については開示されていない。
【0008】
また、特開平10−23753号公報には、2種類の入力電極と1種類の出力電極とを備える圧電トランス(同公報の図1及び図2)の素子構造及び駆動方法が提案されている。
【0009】
そして特開2002−94139号公報には、2種類の入力電極と1種類の出力電極とを備える圧電トランス(同公報の図1及び図7)において、それら2種類の入力電極に互いに逆相の入力電圧を印加する技術が提案されている。
【0010】
本発明は、上述した1つの昇圧回路だけで充電機能とトリガ機能を両立する場合における課題を鑑みてなされたものであり、スイッチ(スイッチング素子)を用いること無くコンデンサへの充電機能と、放電管のトリガ機能とを切り替えると共に、充電回路とトリガ回路とで共通の昇圧手段として共用可能な、昇圧率に優れる圧電トランス及びその圧電トランスを備えるストロボ装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る圧電トランスは、以下の構成を特徴とする(ここで、下記の各構成に含まれる括弧内の参照番号等は、本発明とその具体的な例示である後述する第2の実施形態との対応を表わす)。
【0012】
即ち、長手方向の片側が1次側領域、他方が2次側領域をなす矩形状の外形形状を有し、その1次側領域に少なくとも2種類の入力電極が形成された圧電トランス(13B)であって、
前記2次側領域には、少なくとも2種類の出力電極(22,23)が形成されており、
前記圧電トランスの1次側領域には、前記少なくとも2種類の入力電極(31A,31B,32A,32B)として、互いに同一または反対方向に分極されると共に、同一または異なる入力電圧が印加される2種類の入力電極が形成されており、
その2種類の入力電極にそれぞれ前記入力電圧が印加されると共に、前記複数種類の共振モードにて選択的に駆動されることにより、前記少なくとも2種類の出力電極から、大きさの異なる複数種類の出力電圧を切り替えて取り出し可能である
ことを特徴とする。
【0013】
また、上記の構成において、好ましくは、前記2次側領域には、その端部に形成された電極、並びにその端部と前記1次側領域との間に形成された中間電極との2種類の出力電極が形成されており、
前記2種類の出力電極において、第1共振モードにて駆動されているときには、第1の出力電圧を第1出力電極から取り出し可能である一方で、その第1共振モードとは異なる第2共振モードにて駆動されているときには、該第1の出力電圧とは大きさが異なる第2の出力電圧を第2出力電極から取り出し可能に構成すると良い。
【0014】
また、例えば前記圧電トランスの2次側領域において、前記1次側領域と前記中間電極間の領域における分極方向と、前記中間電極と前記2次側領域の端部間の領域における分極方向とは、互いに逆方向に構成すると良い。
【0015】
尚、上記何れの構成においても、より好ましくは、昇圧比の向上及び圧電トランスの小型化を図るべく、前記圧電トランスの1次側領域において、前記個々の入力電極は、複数の内部電極が一層おきに導体によって接続された積層構造をなすと良い。
【0016】
そして、上記の同目的を達成するため、本発明に係るストロボ装置は、閃光用の放電管と、該放電管を発光させる電気エネルギを蓄えるコンデンサと、該コンデンサに電気エネルギを充電する充電回路と、該放電管の放電を促す高電圧信号を発生させるトリガ回路と、前記充電回路及び前記トリガ回路の昇圧手段として共用されるところの、1つの圧電トランスを含む昇圧回路とを備えるストロボ装置であって、
上記2種類の入力電極と2種類の出力電極とが形成された圧電トランスを備えており、
前記昇圧回路において、前記第1または第2共振モードにて前記圧電トランスを駆動するのに応じて、前記2種類の出力電極から出力電圧を切り替えて取り出すことにより、前記昇圧回路を、前記充電回路用または前記トリガ回路用に切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記昇圧回路において、前記圧電トランスが前記第1共振モードにて駆動されているときには、前記2種類の出力電極のうち、前記第1出力電極から取り出された前記第1の出力電圧によって前記コンデンサが充電される一方で、前記第1共振モードから前記第2共振モードに駆動状態が切り替えられるのに応じて、前記第2共振モードにて前記圧電トランスが駆動されることにより、前記第2出力電極から取り出された前記第2の出力電圧によって前記放電管にトリガが駆けられると良い。
【0018】
また、好適な実施形態において、前記昇圧回路は、前記圧電トランスの前記2種類の入力電極に印加される入力電圧を切り替える切り替え手段(SW1〜SW3,SWd)を含むと良い。
【0019】
この場合、前記切り替え手段は、例えば、前記圧電トランスが前記第1共振モードにて駆動されるときに、前記2種類の入力電極を含む第1及び第2の入力領域が互いに逆方向の振動状態(応力発生状態)で駆動される第1の切り替え状態(「B側」)を採る一方で、前記第2共振モードにて駆動されているときには、前記第1及び第2の入力領域が同方向の振動状態で駆動される第2の切り替え状態「A側」を採ると良い。
【0020】
また、例えば前記昇圧回路において、
前記圧電トランスの1次側領域において、前記少なくとも2種類の入力電極は、互いに同一方向に分極されており、
前記圧電トランスの2次側領域において、前記1次側領域と前記中間電極間の領域における分極方向と、前記中間電極と前記2次側領域の端部間の領域における分極方向とは、互いに逆方向である場合に、
前記切り替え手段は、前記圧電トランスが前記第1共振モードにて駆動されるときに、前記第1及び第2の入力領域に逆極性の入力電圧が印加される前記第1の切り替え状態を採る一方で、前記第2共振モードにて駆動されているときには、前記第1及び第2の入力領域に同極性の入力電圧が印加される前記第2の切り替え状態を採ると良い。
【0021】
また、上記何れの構成を有する前記ストロボ装置においても、前記昇圧回路は、
前記第1共振モードにおいて前記コンデンサを充電すべく、前記圧電トランスを、2波長モードにて駆動する一方で、
前記第2共振モードにおいて前記放電管にトリガを駆けるべく、前記圧電トランスを、1/2波長モードまたは1波長モードにて駆動すると良い。
【0022】
好適な実施形態において、前記ストロボ装置は、カメラに内蔵または外付けされるカメラ用のストロボ装置であって、
前記昇圧回路において、前記第1及び第2共振モードは、該カメラのシャッター操作に応じて切り替えると良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る圧電トランス及びその圧電トランスを有するストロボ装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
<圧電トランス>
図1は、第1の実施形態に係る圧電トランスを示す図であり、図1(a)は、その圧電トランスの斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す圧電トランスを手前から見た正面図である。
【0025】
同図に示す圧電トランス13Aは、一例として、長手方向の長さLが30mmの矩形形状であって、その左側の1次側領域に、入力電極25A,25Bが形成されており、その位置において、昇圧用のトランスとしての1次側領域をなす。
【0026】
図1(a)に示すように、1次側領域には、上下方向で相対する入力電極25Aと不図示の入力電極25Bとが形成されている。また、1次側領域の内部には、昇圧比を高めるべく、複数の内部電極26A及び26Bが交互に複数積層されており、側面に設けられた層間接続導体27には、1次側領域内部の複数の内部電極26Aがそれぞれ接続されると共に、入力電極25B(不図示)に接続されている。そして、他方の側面に設けられた層間接続導体24には、1次側領域内部の複数の内部電極26Bがそれぞれ接続されると共に、入力電極25Aに接続されている。
【0027】
また、圧電トランス13Aにおいて、外形形状を構成する6つの面のうち、圧電トランス13Aの長手方向の1つの面(端面)には、出力電極23が形成されており、その出力電極23と1次側領域との間(本実施形態では、一例として出力電極23から長手方向にL/4の中間位置)には、一例として、複数の内部電極28が、出力電極としても機能する層間接続導体(以下、「出力電極」と称する場合がある)22に接続されている。
【0028】
尚、圧電トランス13Aの1次側領域は、図1に示す如く層間接続導体24、27によって複数の内部電極26A及び26Bを当該1次側領域の外部において一層おきに接続したが、この構造に限られるものではなく、当該1次側領域の内部に形成された層間接続用の導体によって、一層おきに接続された積層構造であっても良い。
【0029】
また、本実施形態では、層間接続導体22の形状はこれに限られるものではなく、例えば、相対する2組の面(側面)を取り巻く形状であっても良い。
【0030】
また、出力電極23についても、2次側領域の端面に形成せずに、その端面近傍の2次側領域の内部に形成された複数の内部電極が当該2次側領域の内部または外部に形成された層間接続用の導体によって接続された積層構造を採用しても良い。また、係る層間接続用の導体が当該2次側領域の外部に形成された場合には、図1に示すような形状の出力電極23を設けることは必ずしも必要ではなく、その層間接続用の導体自体を出力電極として利用しても良い。
【0031】
このような構造を有する圧電トランス13Aを、図2に示すストロボ装置において駆動回路12によって駆動することにより、層間接続導体(出力電極)22と、出力電極23とから、異なる大きさの出力電圧を取り出すことができる。
【0032】
即ち、「第1共振モード」をλ(波長)/2モード、「第2共振モード」をλモードとした組み合わせ、或いは、「第1共振モード」を3λ/2モード、「第2共振モード」をλモードとした組み合わせにそれぞれ着目して、入力電極25A,25Bが「第1共振モード」にて駆動されているときに、圧電トランス13Aは、第1の出力電圧を第1出力電極から取り出し可能である一方で、その第1共振モードとは異なる「第2共振モード」にて駆動されているときには、該第1の出力電圧とは大きさが異なる第2の出力電圧を第2出力電極から取り出し可能である。
【0033】
また、「第1共振モード」を5λ/2モード、「第2共振モード」をλ/2モードまたはλモードとした組み合わせによっても、上述した圧電トランス13Aと同様な動作を実現することができる。
【0034】
<ストロボ装置>
次に、圧電トランス13Aを昇圧手段として備えるストロボ装置について説明する。
【0035】
図2は、第1の実施形態に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すストロボ装置は、大別して、閃光用の放電管(例えばキセノン放電管)4、放電管4を発光させる電気エネルギを蓄える放電コンデンサ3、放電コンデンサ3に電気エネルギを充電する充電回路1、並びに放電管4の放電を促す高電圧信号を発生させるトリガ回路2により構成されている。
【0037】
充電回路1とトリガ回路2とは、発振回路11、駆動回路12、並びに圧電トランス13Aからなる1組の昇圧回路を、共通の昇圧手段として備えており、駆動回路12は、発振回路11より出力される所定周波数の発振信号に応じて、圧電トランス13Aを駆動する。
【0038】
本実施形態において、発振回路11は、上記の所定周波数として、周波数の異なる少なくとも2種類の発振信号を出力可能であって、駆動回路12は、その発振信号と、外部より印加される所定の直流電圧とに基づいて、周波数が異なる少なくとも2種類の駆動信号を、入力電極25A,25Bに供給することにより、圧電トランス13Aは、異なる2種類の共振モード(「第1共振モード」または「第2共振モード」)の何れによっても駆動することができる。
【0039】
充電回路1において、2つのダイオード15及び16は、一般的な整流回路を構成しており、この整流回路には、圧電トランス13Aが「第1共振モード」にて駆動されているときに、出力電極23から出力される出力電圧V1が印加される。そして、放電コンデンサ3は、整流された電圧(直流電圧)の電気エネルギを、放電管4の放電用として充電する。
【0040】
一方、トリガ回路2において、圧電トランス13Aが「第2共振モード」にて駆動されているときには、層間接続導体(出力電極)22から出力される出力電圧V2が、放電管4のトリガ端子に印加される。このとき、放電コンデンサ3が所定の充電状態である場合には、放電管4のトリガ端子に出力電圧V2が印加されるのに応じて、その印加電圧をトリガとして、放電コンデンサ3に充電されていた電気エネルギにより、放電管4が閃光を発する。
【0041】
尚、発振回路11、駆動回路12、並びに整流用ダイオード15及び16からなる整流回路の個々の回路構成については、現在では一般的なデバイスを採用すれば良いので、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0042】
上述した本実施形態のストロボ装置によれば、圧電トランス13Aが「第1共振モード」にて駆動されているときには、2種類の出力電極22,23のうち、第1出力電極から取り出された第1の出力電圧によって放電コンデンサ3を充電する一方で、その共振モードが、「第1共振モード」から「第2共振モード」に切り替えられるのに応じて、「第2共振モード」にて圧電トランス13Aが駆動されることにより、第2出力電極から取り出された第2の出力電圧によって放電管4にトリガを駆けることができる。即ち、圧電トランス13Aの共振モードが切り替えられるのに応じて、放電コンデンサ3への第1の出力電圧の印加と、放電管4のトリガ端子への第2の出力電圧の印加とを切り替え可能であり、充電回路1とトリガ回路2とで1組の昇圧回路を共用することができる。
【0043】
このように本実施形態では、負荷の大きさに応じて昇圧比(出力電圧)が変化するという圧電トランス素子の特性に着目することにより、単一の圧電トランスを2つの目的(放電コンデンサ3の充電及び放電管4の放電トリガ)に共用すると共に、1組の昇圧回路を、上記2つの目的に共用する回路構成に採用している。係る構成自体は、「従来の技術」において上述した本願出願人によるストロボ装置と基本的に同様であるが、本実施形態では、図1に示す圧電トランス13Aを、図2に示す回路構成のストロボ装置に採用することにより、出力電極22,23から得られる2種類の出力電圧V1,V2を、共振モードを適宜切り替えることによって使い分けるという本願特有の方法により、上述した本願出願人による従来のストロボ装置では必要であったスイッチ(スイッチング素子)を用いること無く、放電コンデンサ3への充電機能と、放電管4のトリガ機能とを適切に切り替えることを実現している。
【0044】
従って、本実施形態によれば、シンプルな装置構成で、省スペース性に優れるストロボ装置を実現することができ、各種カメラに内蔵または外付けされるカメラ用のストロボ装置として採用して好適である。この場合、2種類の共振モードの切り替えは、当該カメラのシャッター操作に応じて、例えば、発振回路11が駆動回路12に供給する発振信号の周波数を変更することによって実現すれば良い。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係る圧電トランス及びストロボ装置を基本とする第2の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0046】
上述したように、第1の実施形態に係る圧電トランス及びストロボ装置によれば、2種類の共振モードの切り替えに応じて、圧電トランス13Aの2種類の出力電極22,23から2種類の出力電圧V1,V2を選択的に得られるので、従来は必要であった充電機能及びトリガ機能切り替え用のスイッチを省略することができる。しかしながら、本願出願人による更なる実験の結果、1次側領域に1つ(1組)の入力電極25A,25Bを有する圧電トランス13Aの構造(1次側領域が単板型の構造の場合を含む)においては、その1次側領域において半波長(λ/2)以上の振動モードが起こる駆動を行なった場合には、上記充電機能及びトリガ機能のための何れの共振モードにおいても、当該1次側領域の内部で、機械的な振動の一部が抑制されている(相殺されている)ことが判った。圧電トランス内部における機械的な振動の抑制は、昇圧性能に悪影響を及ぼすことを表わす。
【0047】
そこで、本実施形態では、第1の実施形態と比較して更に昇圧比(昇圧率)に優れる圧電トランス及びストロボ装置を実現することを目的とする。
【0048】
<圧電トランス>
図3は、第2の実施形態に係る圧電トランスを示す図であり、図3(a)は、その圧電トランスの斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す圧電トランスを手前から見た正面図である。
【0049】
同図に示す圧電トランス13Bは、一例として、長手方向の長さLが30mmの矩形形状であって、その左側の1次側領域(本実施形態では、長さL/2)において、図3(a)に示す如く上下方向に相対する位置に、2種類(2組)の入力電極31A,31Bと、入力電極32A,32Bとが形成されており、その位置において、昇圧用のトランスとしての1次側領域をなす。
【0050】
即ち、同図に示す2種類の入力電極31A,31Bと、入力電極32A,32Bとは、その個々の構造が、大きさは異なるものの、上述した第1の実施形態において説明した入力電極25Aと入力電極25B(不図示)と同様な積層構造をなしている。
【0051】
より具体的に、1次側領域の内部において、入力電極31A及び31Bの間には、複数の内部電極33A及び33Bが交互に複数積層されており、係る積層構造は、当該1次側領域の略1/2を占める。そして、側面に設けられた層間接続導体37には、1次側領域内部の複数の内部電極33Aがそれぞれ接続されると共に、入力電極31B(不図示)に接続されており、他方の側面に設けられた層間接続導体36には、1次側領域内部の複数の内部電極33Bがそれぞれ接続されると共に、入力電極31Aに接続されている。以下、入力電極31A及び31Bの間の領域を、「第1の入力領域」と称する場合がある。
【0052】
また、1次側領域の内部において、入力電極32A及び32Bの間には、複数の内部電極34A及び34Bが交互に複数積層されており、係る積層構造は、当該1次側領域の略1/2を占める。そして、側面に設けられた層間接続導体39には、1次側領域内部の複数の内部電極34Aがそれぞれ接続されると共に、入力電極32B(不図示)に接続されており、他方の側面に設けられた層間接続導体38には、1次側領域内部の複数の内部電極34Bがそれぞれ接続されると共に、入力電極32Aに接続されている。以下、入力電極32A及び32Bの間の領域を、「第2の入力領域」と称する場合がある。
【0053】
そして、圧電トランス13Bの2次側領域は、第1の実施形態における圧電トランス13Aの2次側領域と同様な構造を備えるが、本実施形態においても、上述した如く他の構造を採用しても良い(尚、本実施形態では、説明の便宜上から、圧電トランス13Bの2次側領域に関して、1次側領域と出力電極22との間を「第1の出力領域」、出力電極22と出力電極23との間を「第2の出力領域」と称する場合がある)。
【0054】
本実施形態では、このような構造を有する圧電トランス13Bを、図4に示すストロボ装置に示す如く、スイッチ(SW)1及びスイッチ2を介して、駆動回路12によって駆動することにより、2次側領域内において中間電極として存在する出力電極22と、2次側領域の端部に設けられた出力電極23とから、異なる大きさの出力電圧を取り出す。
【0055】
尚、圧電トランス13Bの1次側領域の分極方向は、入力電極31A,31B側の第1の入力領域と、入力電極32A,32B側の第2の入力領域とで同一方向であっても互いに異なる方向であっても良く、一方、2次側領域の分極方向は、当該1次側領域と中間電極である出力電極22間の領域における分極方向と、その中間電極と当該2次側領域の端部に設けられた出力電極23間の領域における分極方向とで、互いに向き合う方向であっても相反する方向であっても良い。従って、本実施形態に係る圧電トランス13Bは、1次側及び2次側領域の分極方向を考慮すると、4通りの分極形態が想定されるが、圧電トランス13Bの分極方向のバリエーションと、係る圧電トランスが採用されたストロボ装置の駆動方法に関しては、[表1]を参照して後述する。
【0056】
<ストロボ装置>
図4は、第2の実施形態に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図である。
【0057】
図4に示すストロボ装置は、大別して、閃光用の放電管(例えばキセノン放電管)4、放電管4を発光させる電気エネルギを蓄える放電コンデンサ3、放電コンデンサ3に電気エネルギを充電する充電回路1A、並びに放電管4の放電を促す高電圧信号を発生させるトリガ回路2Aにより構成されている。
【0058】
充電回路1Aとトリガ回路2Aとは、本実施形態においても、発振回路11、駆動回路12、並びに圧電トランス13Bからなる1組の昇圧回路を、共通の昇圧手段として備えており、駆動回路12は、発振回路11より出力される所定周波数の発振信号に応じて、圧電トランス13Bを駆動する。
【0059】
そして、発振回路11は、本実施形態においても、上記の所定周波数として、周波数の異なる少なくとも2種類の発振信号を出力可能であり、駆動回路12は、発振回路11から供給される発振信号と、外部より印加される所定の直流電圧とに基づいて、周波数が異なる少なくとも2種類の駆動信号を、圧電トランス13Bの1次側領域に供給することにより、圧電トランス13Bは、異なる2種類の共振モード(「第1共振モード」または「第2共振モード」)の何れによっても駆動することができる。
【0060】
但し、本実施形態において、圧電トランス13Bの1次側領域には、図3に示すように2種類(2組)の入力電極31A,31B(第1の入力領域)と、入力電極32A,32B(第2の入力領域)とが設けられており、駆動回路12は、複数種類の共振モードにおいて、圧電トランス13Bを、係る2種類の入力電極を介して、以下に説明する如く選択的に駆動する必要がある。そこで、本実施形態では、圧電トランス13Bの選択的な駆動動作を実現すべく、図4に模式的に示すように、駆動回路12と圧電トランス13Bとの間に、スイッチ(SW)1及びSW2が設けられている。
【0061】
即ち、本実施形態において、SW1及びSW2は、接続状態として、それぞれ「A側」と「B側」とを採り得る。係る2つのスイッチSW1及びSW2は、2種類の共振モードにおいて一方の共振モードから他方の共振モードに変化するのに応じて切り替えられる。ここで、係る切り替え動作を実現する具体的な回路構成例について、図5を参照して説明する。
【0062】
図5は、第2の実施形態に係るストロボ装置において、圧電トランス13Bの2種類の入力電極(第1及び第2の入力領域)に印加する入力電圧を、2種類の共振モードの切り替えに応じて切り替え可能とする駆動回路の回路構成を例示する図であり、図4に示すストロボ装置の回路構成における駆動回路12と、SW1及びSW2とに対応する。
【0063】
同図に示す駆動回路は、大別して、2つのスイッチング素子(電界効果トランジスタ(FET)等)が交互にスイッチング動作を行なう所謂ハーフブリッジ型の駆動回路が2組(121−1と121−2、122−1と122−2)並列に設けられると共に、それら合計4つのスイッチング素子のうち、スイッチング素子122−1及び122−2のそれぞれのゲート端子への発振回路11からの駆動信号(発振信号)の入力状態を、上記「A側」または「B側」に切り替え可能なSWd、並びにSWdの「B側」端子に接続され、入力される駆動信号の極性(位相)を反転する反転回路123により構成されている。
【0064】
即ち、スイッチング素子121−1及び121−2からなる第1のハーフブリッジ型駆動回路において、それら2つのスイッチング素子のそれぞれのゲート端子には、発振回路11が出力する駆動信号がそのまま入力され、そのスイッチング動作に応じた同極性の出力電圧が、圧電トランス13Bの入力電極31A,31B(第1の入力領域)に印加されることにより、圧電トランス13Bは駆動状態(応力発生状態)となる。
【0065】
一方、スイッチング素子122−1及び122−2からなる第2のハーフブリッジ型駆動回路において、それら2つのスイッチング素子のそれぞれのゲート端子には、SWdを介して、発振回路11が出力する駆動信号またはその反転信号(逆極性の信号)が入力され、そのスイッチング動作に応じた出力電圧が、圧電トランス13Bの入力電極32A,32B(第1の入力領域)に印加されることにより、圧電トランス13Bは駆動状態(応力発生状態)となる。
【0066】
ここで、SWdは、アナログスイッチや、3ステートバッファとゲートとを組み合わせたスイッチング素子を採用すれば良い。
【0067】
次に、このような駆動回路(図5)を備える本実施形態に係るストロボ装置の動作の詳細について、[表1]及び図6を参照して説明する。
【0068】
[表1]は、本実施形態に係る圧電トランス13Bの1次側及び2次側領域の分極方向と、スイッチSWdの接続状態との関係を示す。
【0069】
【表1】
Figure 2004055758
【0070】
上述したように、本実施形態に係るストロボ装置に採用可能な圧電トランス13Bには、その分極方向に複数のバリエーションがあり、より具体的には、1次側領域を構成する第1及び第2の入力領域の分極方向と、2次側領域を構成する第1及び第2の出力領域の分極方向との組み合わせに応じて、[表1]に示すケースI乃至IVの4つの場合が想定され、その個々のケースによって、SWdの好ましい接続状態も異なる。
【0071】
即ち、ケースIでは、圧電トランス13Bにおいて、第1及び第2の入力領域が互いに同方向に分極され、且つ第1及び第2の出力領域は互いに異なる方向に分極されており、この場合に、SWdは、放電コンデンサ3を充電する充電状態では「B側」、放電管4にトリガを駆ける際には「A側」に接続する必要がある。
【0072】
また、ケースIIでは、圧電トランス13Bにおいて、第1及び第2の入力領域が互いに異なる方向に分極され、且つ第1及び第2の出力領域は互いに異なる方向に分極されており、この場合に、SWdは、充電状態では「A側」、トリガを駆ける際には「B側」に接続する必要がある。
【0073】
また、ケースIIIでは、圧電トランス13Bにおいて、第1及び第2の入力領域が互いに同じ方向に分極され、且つ第1及び第2の出力領域は互いに同じ方向に分極されており、この場合に、SWdは、充電状態では「B側」、トリガを駆ける際には「A側」に接続する必要がある。
【0074】
そして、ケースIVでは、圧電トランス13Bにおいて、第1及び第2の入力領域が互いに異なる方向に分極され、且つ第1及び第2の出力領域は互いに同じ方向に分極されており、この場合に、SWdは、充電状態では「A側」、トリガを駆ける際には「B側」に接続する必要がある。
【0075】
図6は、第2の実施形態に係るストロボ装置の動作を説明する図であり、図6(a)に示す第1共振モード(充電状態)、図6(b)に示す第2共振モード(トリガ状態)のそれぞれの駆動状態における圧電トランス13B内部の長手方向の応力分布と、その応力によって出力端子に発生する出力電圧(実効値)とを示している(尚、圧電トランス13Bとしては、一例として、上述したケースIを採用している)。
【0076】
即ち、図6(a)に示す第1共振モードでは、充電コンデンサ3を充電すべく、圧電トランス13Bが2λモードにて駆動されており、且つSWdが「B側」に接続された状態において、2次側領域の出力電極23からは、出力電圧V1を取り出すことができる。
【0077】
そして、係る2λモードによる駆動が継続され、例えば充電コンデンサ3が所定の満充電状態に至ったことが不図示の回路にて検出された後、あるタイミングにおいて、放電管4にトリガを駆けるべく、発振回路11から駆動回路12に供給される発振信号の周波数が変更されることによって第2共振モード(この例ではλモード)となり、且つSWdが「A側」に切り替えられると、圧電トランス13Bは、図6(b)に示す状態を採る。これにより、2次側領域の出力電極22からは、出力電圧V2を取り出すことができ、放電管4は、出力電圧V2がトリガラインを介して放電管4のトリガ端子(不図示)に印加されるのに応じて発光する。
【0078】
尚、上記の例では、第2共振モードでは、圧電トランス13Bをλモードにて駆動したが、これに限られるものではなく、λ/2モードにて駆動しても良い。
【0079】
ここで、「発明が解決しようとする課題」に挙げた従来技術では、圧電トランス(圧電トランス素子)と外部との接続を容易にすべく、1次側領域をなす2種類(第1及び第2)の入力領域は、互いに逆方向に分極されていることが望ましいが、互いに異なる分極方向の場合には、当該2種類の入力領域の境界部分に分極時の応力歪みが発生するため、素子の強度に弱くなるという問題がある。
【0080】
一方、圧電トランス13Bの分極方向としては、上述した4つのケースがあり、本実施形態においても、上述したように1次側領域をなす2種類(第1及び第2)の入力領域の分極方向を、ケースIIまたはケースIVの如く互いに逆方向にすることも可能であるが、その場合、係る従来技術と同様な強度的な問題が生じることが予想される。
【0081】
しかしながら、本実施形態では、圧電トランス13Bを駆動するに際して、2種類の入力領域(即ち、2組み入力電極間)を上記の如くスイッチSWdを適宜切り替えることが前提となるので、外部接続を容易にすべく当該2種類の入力領域を互いに逆方向に分極する必要は無い。即ち、本実施形態では、圧電トランス13Bにおいて、1次側領域をなす2種類(第1及び第2)の入力領域の分極方向を、ケースIまたはケースIIIの如く同じ方向にすることにより、反対方向に分極する場合と比較して素子の強度に優れ、且つ製造時の分極工程も容易にすることができる。
【0082】
このように、本実施形態では、図3に示す圧電トランス13Bを、図4に示す回路構成のストロボ装置に採用することにより、出力電極22,23から得られる2種類の出力電圧V1,V2を、共振モードを適宜切り替えることによって使い分けるという本願特有の方法により、上述した本願出願人による従来のストロボ装置では必要であったスイッチ(スイッチング素子)を用いること無く、放電コンデンサ3への充電機能と、放電管4のトリガ機能とを適切に切り替えることを実現している。
【0083】
即ち、本実施形態では、共振モードの切り替えに応じて、スイッチSWdの接続状態が「A側」または「B側」に切り替えられるが、ストロボ装置(図4)の回路構成においてSWdが切り替える対象は、発振回路11から出力される発振信号である。このため、上述した本願出願人による従来のストロボ装置において圧電トランスの2次側領域に接続されたスイッチ(スイッチング素子)とは異なり、スイッチSWd2は、数kV程度の交流高電圧に耐え得るような高耐圧のスイッチング素子である必要はなく、そのようなスイッチング素子と比較して廉価で小型のスイッチング素子を採用することができる。
【0084】
従って、本実施形態に係る圧電トランス13Bによれば、1次側領域内部における機械的な振動を促進することができるので、上述した第1の実施形態に係る圧電トランス13Aと比較して昇圧率に優れ、充電速度の迅速化を図ることができる。そして、このような特徴を有する圧電トランス13Bを備えるストロボ装置(図4及び図5)によれば、シンプルな装置構成で、省スペース性に優れるストロボ装置を実現することができ、各種カメラに内蔵または外付けされるカメラ用のストロボ装置として採用して好適である。この場合、2種類の共振モードの切り替え動作と、SWdの切り替え動作とは、当該カメラのシャッター操作に応じて、例えば、発振回路11が駆動回路12に供給する発振信号の周波数を変更することによって実現すれば良い。
【0085】
<第2の実施形態の変形例>
図7は、第2の実施形態の変形例に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図である。
【0086】
図7に示すストロボ装置は、図4を参照して上述したストロボ装置と同様な構成を基本としており、本変形例において、充電回路1Bとトリガ回路2Bとは、発振回路11、駆動回路12、並びに圧電トランス13Bからなる1組の昇圧回路を、共通の昇圧手段として備えているが、圧電トランス13Bの2種類の入力領域のうち一方(同図に示す例では、第2の入力領域)に印加される入力電圧の位相を反転させるべく、反転回路123の代わりに、移相回路41が設けられている点が異なる(尚、移相回路41には一般的なものを採用可能であるため、詳細な説明は省略する)。
【0087】
即ち、図5を参照して上述した回路構成では、スイッチング素子122−1及び122−2からなる第2のハーフブリッジ型駆動回路の前段にスイッチSWd及び反転回路123が設けられていたのに対して、本変形例では、図7に示す如く、駆動回路12の後段に、スイッチSW3と移相回路41とが設けられ、そのSW3の接続状態が「B側」の場合に、第2の入力領域(入力電極32A−32B間)に印加される入力電圧の位相が反転される。
【0088】
本変形例においても、SW3は、発振回路11から駆動回路12に供給される発振信号の周波数が変更されることによって共振モードが変更されるのに応じて、「A側」または「B側」に切り替え可能であって、その好適な切り替え動作は、[表1]に示す如く圧電トランス13Bの分極方向のバリエーションに応じて決定される。
【0089】
このような本変形例によっても、上述した図4に示すストロボ装置と同様な効果を享受することができる。
【0090】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、スイッチ(スイッチング素子)を用いること無くコンデンサへの充電機能と、放電管のトリガ機能とを切り替えると共に、充電回路とトリガ回路とで共通の昇圧手段として共用可能な、昇圧率に優れる圧電トランス及びその圧電トランスを備えるストロボ装置の提供が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る圧電トランスを示す図であり、図1(a)は、その圧電トランスの斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す圧電トランスを手前から見た正面図である。
【図2】第1の実施形態に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】第2の実施形態に係る圧電トランスを示す図であり、図3(a)は、その圧電トランスの斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す圧電トランスを手前から見た正面図である。
【図4】第2の実施形態に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態に係るストロボ装置において、圧電トランス13Bの2種類の入力電極(第1及び第2の入力領域)に印加する入力電圧を、2種類の共振モードの切り替えに応じて切り替え可能とする駆動回路の回路構成を例示する図である。
【図6】第2の実施形態に係るストロボ装置の動作を説明する図である。
【図7】第2の実施形態の変形例に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,1A,1B:充電回路,
2,2A,2B:トリガ回路,
3:放電コンデンサ,
4:放電管,
11:発振回路,
12:駆動回路,
13,13A,13B:圧電トランス,
15,16:整流用ダイオード,
21A,21B,25A,25B:入力電極,
22:出力電極(2次側層間接続導体),
23:出力電極,
24,27,36,37,38,39:1次側層間接続導体,
26A,26B,33A,33B,34A,34B:1次側内部電極,
28:2次側内部電極,
41:位相回路,
121−1,121−2,122−1,122−2:スイッチング素子,
123:反転回路,
SW1〜SW3,SWd:スイッチ(スイッチング素子)

Claims (10)

  1. 長手方向の片側が1次側領域、他方が2次側領域をなす矩形状の外形形状を有し、その1次側領域に少なくとも2種類の入力電極が形成された圧電トランスであって、
    前記2次側領域には、少なくとも2種類の出力電極が形成されており、
    前記圧電トランスの1次側領域には、前記少なくとも2種類の入力電極として、互いに同一または反対方向に分極されると共に、同一または異なる入力電圧が印加される2種類の入力電極が形成されており、
    それらの入力電極にそれぞれ前記入力電圧が印加されると共に、前記複数種類の共振モードにて選択的に駆動されることにより、前記少なくとも2種類の出力電極から、大きさの異なる複数種類の出力電圧を切り替えて取り出し可能であることを特徴とする圧電トランス。
  2. 前記少なくとも2種類の入力電極は、互いに同一方向に分極されている
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電トランス。
  3. 前記2次側領域には、その端部に形成された電極、並びにその端部と前記1次側領域との間に形成された中間電極との2種類の出力電極が形成されており、
    前記2種類の出力電極において、第1共振モードにて駆動されているときには、第1の出力電圧を第1出力電極から取り出し可能である一方で、その第1共振モードとは異なる第2共振モードにて駆動されているときには、該第1の出力電圧とは大きさが異なる第2の出力電圧を第2出力電極から取り出し可能である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧電トランス。
  4. 前記圧電トランスの2次側領域において、前記1次側領域と前記中間電極間の領域における分極方向と、前記中間電極と前記2次側領域の端部間の領域における分極方向とは、互いに逆方向である
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電トランス。
  5. 閃光用の放電管と、該放電管を発光させる電気エネルギを蓄えるコンデンサと、該コンデンサに電気エネルギを充電する充電回路と、該放電管の放電を促す高電圧信号を発生させるトリガ回路と、前記充電回路及び前記トリガ回路の昇圧手段として共用されるところの、1つの圧電トランスを含む昇圧回路とを備えるストロボ装置であって、
    前記圧電トランスとして、請求項1記載の圧電トランスを備えており、
    前記昇圧回路において、前記第1または第2共振モードにて前記圧電トランスを駆動するのに応じて、前記2種類の出力電極から出力電圧を切り替えて取り出すことにより、前記昇圧回路を、前記充電回路用または前記トリガ回路用に切り替え可能である
    ことを特徴とするストロボ装置。
  6. 前記昇圧回路において、
    前記圧電トランスが前記第1共振モードにて駆動されているときには、前記2種類の出力電極のうち、前記第1出力電極から取り出された前記第1の出力電圧によって前記コンデンサが充電される一方で、前記第1共振モードから前記第2共振モードに駆動状態が切り替えられるのに応じて、前記第2共振モードにて前記圧電トランスが駆動されることにより、前記第2出力電極から取り出された前記第2の出力電圧によって前記放電管にトリガが駆けられる
    ことを特徴とする請求項5記載のストロボ装置。
  7. 前記昇圧回路は、
    前記圧電トランスの前記2種類の入力電極に印加される入力電圧を切り替える切り替え手段を含む
    ことを特徴とする請求項5または請求項6記載のストロボ装置。
  8. 前記切り替え手段は、
    前記圧電トランスが前記第1共振モードにて駆動されるときに、前記2種類の入力電極を含む第1及び第2の入力領域が互いに逆方向の振動状態で駆動される第1の切り替え状態を採る一方で、前記第2共振モードにて駆動されているときには、前記第1及び第2の入力領域が同方向の振動状態で駆動される第2の切り替え状態を採る
    ことを特徴とする請求項7記載のストロボ装置。
  9. 前記昇圧回路において、
    前記圧電トランスの1次側領域において、前記少なくとも2種類の入力電極は、互いに同一方向に分極されており、
    前記圧電トランスの2次側領域において、前記1次側領域と前記中間電極間の領域における分極方向と、前記中間電極と前記2次側領域の端部間の領域における分極方向とは、互いに逆方向であって、
    前記切り替え手段は、
    前記圧電トランスが前記第1共振モードにて駆動されるときに、前記第1及び第2の入力領域に逆極性の入力電圧が印加される前記第1の切り替え状態を採る一方で、前記第2共振モードにて駆動されているときには、前記第1及び第2の入力領域に同極性の入力電圧が印加される前記第2の切り替え状態を採る
    ことを特徴とする請求項8記載のストロボ装置。
  10. 前記昇圧回路は、
    前記第1共振モードにおいて前記コンデンサを充電すべく、前記圧電トランスを、2波長モードにて駆動する一方で、
    前記第2共振モードにおいて前記放電管にトリガを駆けるべく、前記圧電トランスを、1/2波長モードまたは1波長モードにて駆動する
    ことを特徴とする請求項5乃至請求項9の何れかに記載のストロボ装置。
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