JP2004055371A - 円筒型電池とそれを用いた電池間接続構造 - Google Patents

円筒型電池とそれを用いた電池間接続構造 Download PDF

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尾藤 誠二
Fujio Hirano
平野 不二夫
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加藤 正彦
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Abstract

【課題】ケースと負極集電体は1点のみの接続であるため、ケースと集電体の接続抵抗が高く、大電流で放電すると、ケースと負極集電体の溶接部の抵抗が高いため、電池の電圧が急激に低下してしまう。
【解決手段】正極板1と負極板2とセパレータ6により、前記正極板はその先端部分の芯材を上方に突出させ、負極板はその先端部分の芯材4を下方へ突出させて渦巻状に巻回した電極群と、この電極群の上方へ突出した正極板の芯材突出部に溶接した正極集電体7と、下方へ突出した芯材突出部に溶接した負極集電体8と、これらを内部に収容するとともに負極の入出力端子を兼ねた金属製ケース9と、このケースを封口するとともに電気的にケースとは絶縁されていて上方に正極の入出力端子を兼ねたキャップを備えた封口体11とからなり、前記負極集電体は、前記下方へ突出した芯材突出部と接続された底面部と、前記ケースと接続された筒状部とからなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、渦巻状電極群を備えたアルカリ蓄電池に関し、その電極群下部に接合した集電体を有底円筒型に改良して、負極端子であるケースとの接合を強化し、大電流での入出力を可能とした。
【0002】
【従来の技術】
円筒型アルカリ蓄電池には種々あるが、ニッケル−カドミウム蓄電池やニッケル−水素蓄電池などが代表的であり、これらは信頼性が高く、そのメンテナンスも容易であることから、携帯電話やノートパソコン等の各種用途に幅広く使用されている。また、近年では、電動補助付自転車、芝刈機、さらに電気自動車などの電源として大電流放電に適した円筒型蓄電池の開発が要望されている。
【0003】
このような大電流用の円筒型電池は、帯状の長い正・負極板一枚づつと、隔離用のセパレータとともに全体を渦巻き状に巻いた電極群が金属製の電池ケースに収納されている。なお、大電流に適した極板からの出入力集電構造としては、電極群の上下端面からそれぞれ外方へ突出した極板の先端部分に各一枚づつの矩形状の集電体を複数個所で溶接し、集電体の中央部の透孔に挿入した直径約3mmの溶接電極とケース底部に配置した溶接電極によって、ケースと負極集電体はケース中央底部に一点の溶接が施されている。例えば、特開平11−031497号公報に開示されているように、これらが一般的に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のケースと負極集電体は1点のみの接続であるため、ケースと集電体の接続抵抗が高く、例えば、100Aのような大電流で放電すると、ケースと負極集電体の溶接部の抵抗が高いため電池の電圧が急激に低下してしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は正極と負極とセパレータにより、前記正極板はその先端部分の芯材を上方に突出させ、負極板はその先端部分の芯材を下方へ突出させて渦巻状に巻回した電極群と、下方へ突出した芯材突出部に溶接した負極集電体と、これらを内部に収容するとともに負極の入出力端子を兼ねた金属製ケースと、このケースを封口するとともに電気的にケースとは絶縁されていて上方に正極の入出力端子を兼ねたキャップを備えた封口体とからなり、前記負極集電体は、前記下方へ突出した芯材突出部と接続された底面部と、前記ケースと接続された筒状部とからなる円筒型電池構造を特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は請求項1記載の円筒型電池の模式断面図である。正極板1と負極板2とセパレータ6よりなり、正極板1はその先端部分の芯材3を上方に突出させ、負極板2はその先端部分の芯材4を下方へ突出させて渦巻状に巻回した電極群5と、この電極群5の上方へ突出した正極板の芯材突出部3に溶接した正極集電体7と、下方へ突出した芯材突出部4に溶接した負極集電体8と、これらを内部に収容するとともに負極板2の入出力端子を兼ねた金属製ケース9と、このケースを封口するとともに電気的にケースとは絶縁されていて上方に接続リード10によって前記正極集電体7と接続された正極端子を兼ねたキャップを備えた封口体11とからなり、前記負極集電体8は、有底円筒型で、前記下方へ突出した芯材突出部4と接続された底面部と、前記ケースと接続された筒状部とからなる円筒型電池である。
【0007】
図2は請求項2記載の円筒型電池の模式断面図であり、負極集電体の筒状部8aとケースは、溶接電極13aと13b、もしくは13cによって2箇所の抵抗溶接が施されている。また、レーザ溶接、ビーム溶接でも接続可能である。
【0008】
図3は請求項4記載の円筒型電池の模式断面図であり、平面部とケースは、溶接電極13aと13dによってケースの底面中心部に抵抗溶接が施されている。また、負極集電体の筒状部とケース、平面部とケースの溶接は同時に行うことも可能である。
【0009】
負極集電体8の筒状部8aにプロジェクション溶接用の突起があることにより、負極集電体の筒状部とケースの溶接強度は安定する。さらに、上記筒状部に等間隔で3点以上のプロジェクション溶接用の突起があると、振動に対する負極集電体の筒状部とケースの溶接強度は安定する。
【0010】
図4は請求項6記載の電池間接続の構成を示す模式断面図であり、接続体12によって接続される電池X,Yは、請求項1記載の同一種類、規格のもので電池Xの封口体11と、電池Yのケース9との間を前記接続体12で接続することにより、電池X,Yの直列接続がなされる。前記接続体12の筒状部12aと電池Yのケース9の接続は、負極集電体8の筒状部8aがケース9に当接するその反対側に施されている。
【0011】
【実施例】
次に、本発明の具体例を示す。有底円筒型の負極集電体を有する電池Aは直径33mm、高さ61mm、公称容量6000mAhであり、以下にこの構成方法を詳しく説明する。
【0012】
厚さ0.5mmの焼結式ニッケル正極と、厚さ0.3mmの水素吸蔵合金負極とを用い、それぞれの極板にはその長さ方向の先端に露出した芯材部を設け、この露出芯材部がそれぞれ電極群の上下に約1.5mmずれて突出するようにセパレータを間に介在さて、全体を渦巻状に巻回させ直径30mm、高さ50mmの電極群を構成した。
【0013】
上記の電極群の上端面の真上に、中心部に透孔をあけた矩形で対角の長さ27mmの集電体を配置し、電極群の下端面の露出芯材部には底部に、上記と同様な透孔をあけた有底円筒型の負極集電体を接触させながら一対の溶接電極を用いてそれぞれ露出芯材部と複数の箇所で溶接した。この電極群を金属ケースに挿入し、正極集電体の中央透孔部に1本の溶接電極棒を通して負極集電体の中央部を加圧しながら電池ケースの内底面に溶接し、続いて、この溶接電極棒を用いてケース側面と負極集電体8の筒状部8aを溶接した。
【0014】
次に、所定量のアルカリ電解液を正極集電体の中央透孔部から金属ケース内に注入した後、正極集電体に設けた接続リードの先端を正極端子となる封口体に溶接し、封口体でケースの開口部を密閉して本発明の電池Aを作製した。
【0015】
電池Aと比較のために負極集電体を集電体とした電池Bを作製した。この2つの電池A,Bを用いて内部抵抗を測定し比較を行った。室温(25℃)で2Aの電流値で電池電圧が0.9Vになるまで放電させた後、6Aの電流値で30分充電した。ついで、1時間休止させた後、25Aの電流値で20秒間放電させ、10秒目の電池電圧を測定した。ついで、放電させた容量分を充電した後、同様に、50A,75A,100Aの電流値で20秒間放電させ、10秒後の電池電圧をそれぞれ測定した。このようにして得られた10秒後の電池電圧を縦軸とし、各電流値を横軸としてI−V特性における直線の傾きを求めた。図5に示すような結果となった。
【0016】
図5から明らかなように、比較電池Bの直線の傾き(内部抵抗)が大きいのに対して、電池Aの傾きは小さいことがわかる。それぞれの電池の内部抵抗は、2.9mΩ,2.7mΩとなり、電池Aの内部抵抗が0.2mΩ小さいことがわかる。これは、負極集電体とケースの接合面積が大きいことと、負極集電体からケース(負極端子)まで電流が流れる経路が短いため内部抵抗が低減し、高効率放電が可能となったと考える。
【0017】
【発明の効果】
本発明の円筒型電池の構造によれば、有底円筒型の負極集電体とケースが2点以上の溶接が施されているため、電池の内部抵抗の低減を達成でき、電池の高効率充放電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る円筒型電池の縦断面模式図
【図2】本発明の一実施形態に係る負極集電体の筒状部とケースを抵抗溶接した円筒型電池の縦断面模式図
【図3】本発明の一実施形態に係る負極集電体の平面部とケースを抵抗接続した円筒型電池の縦断面模式図
【図4】本発明の一実施形態に係る電池間接続構造の構成を示す縦断面模式図
【図5】I(電流)−V(電圧)特性を示す図
【符号の説明】
1 正極板
2 負極板
3 正極板先端部分の芯材
4 負極板先端部分の芯材
5 電極群
6 セパレータ
7 正極集電体
8 負極集電体
8a 負極集電体の筒状部
9 ケース
10 接続リード
11 封口体
12 接続体
12a 接続体の筒状部
13a,13b,13c,13d 溶接電極

Claims (6)

  1. 正極と負極とセパレータにより、前記正極板はその先端部分の芯材を上方に突出させ、負極板はその先端部分の芯材を下方へ突出させて渦巻状に巻回した電極群と、下方へ突出した芯材突出部に溶接した負極集電体と、これらを内部に収容するとともに負極の入出力端子を兼ねた金属製ケースと、このケースを封口するとともに電気的にケースとは絶縁されていて上方に正極の入出力端子を兼ねたキャップを備えた封口体とからなり、前記負極集電体は、有底円筒型で、前記下方へ突出した芯材突出部と接続された底面部と、前記ケースと接続された筒状部とからなる円筒型電池。
  2. 負極集電体の筒状部とケースとは抵抗溶接、レーザ溶接、ビーム溶接のいずれかによって接続された請求項1記載の円筒型電池。
  3. 負極集電体の筒状部には、少なくとも2点以上のプロジェクション溶接用の突起が形成されていて、この突起がケースと溶接されている請求項1記載の円筒型電池。
  4. 負極集電体の平面部とケースとは接続されている請求項1記載の円筒型電池。
  5. 抵抗溶接、レーザ溶接、ビーム溶接のいずれかによって接続された請求項4記載の円筒型電池。
  6. 請求項1記載の円筒型電池を直列接続すべく、電池間に配置した接続体を一方の電池の封口体と他方の電池のケースとに溶接する電池間接続構造において、前記接続体は、一方の電池の前記封口体に溶接された平面部と、他方の電池の負極集電体の筒状部が前記のケースに当接しているそのケースの反対側に溶接された筒状部とを備える電池間接続構造。
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