JP4522123B2 - 円筒型電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
図7(a)に示すように、集電体142は、略円形をした薄板であって、その中央部分にコの字状の切り欠き142sが設けられ、これによって舌部142aが形成されている。また、集電体142の面上の略全域には、外装体110内において電極体120の側に向けてバーリング加工部142wが形成されている。
ところで、図7のような集電体142を用いた場合には、集電体142と外装体110の缶底との接合箇所が舌部142aの1箇所となり、電気(電池)抵抗、接合強度などの観点から問題を有する。また、図7に示す従来の電池では、集電体142と外装体110との接合箇所が中央部の1箇所であることから、電池使用時において、電流集中による不均一な反応を生じることになり、電池の寿命が短くなる。そこで、特許文献3には、集電体における外装体との接合側面に複数の突起部を設け、この複数の突起部をもって外装体との接合を図ることで上記問題を解決しようとしている。
(1)正負両極板がセパレータを介して巻回され、巻回芯部分が中空となっている電極体と、導電性材料からなる有底円筒状体であり、電極体を収納する外装体と、導電性材料からなり、外装体の内底と電極体との電気接続を図るのに間に介挿される集電体とを有する円筒型電池であって、電極体の巻回芯部分を巻回軸方向に延長した延長領域を想定し、この延長領域と集電体との重畳領域を集電体の中央領域とし、集電体における中央領域を除く領域を外縁領域とするとき、集電体は、外装体の内底に複数の箇所で接合され、且つ、当該複数の箇所は、その全てが外縁領域にのみ存在することを特徴とする。
(3)上記(2)に係る円筒型電池であって、複数の突起部は、電極体の巻回軸中心から略等距離に配置されていることを特徴とする。
(5)上記(2)〜(4)の何れかに係る円筒型電池であって、電極体と集電体とは、集電体において電極体の側に向けて形成された接合部と正極板または負極板の端面とで接合されており、突起部は、前記電極体の径方向において、接合部と重畳しない位置に形成されているることを特徴とする。
*電極体形成ステップ;セパレータを介して正負両極板を対向配置し、この状態で巻回加工することで、巻回芯部分が中空である電極体を形成する。
*集電体接合ステップ;電極体における巻回軸方向の少なくとも一端面に、導電性材料からなる集電体を接合する。
*接合ステップ;集電体を外装体の内底に接合する。
ここで、電極体の巻回芯部分を巻回軸方向に延長した延長領域を想定し、この延長領域と集電体との重畳領域を集電体の中央領域とし、集電体における中央領域を除く領域を外縁領域とするとき、接合ステップにおいて、集電体は、外装体の内底に複数の箇所で接合され、且つ、当該複数の箇所は、その全てが外縁領域にのみ位置することを特徴とする。
(8)上記(6)または(7)に係る円筒型電池の製造方法であって、中央領域において、集電体と外装体の内底との間には、絶縁体が介挿されていることを特徴とする。
(9)上記(6)〜(8)の何れかに係る円筒型電池の製造方法であって、接合ステップにおいては、抵抗溶接法を用いて、集電体と外装体の内底とを接合することを特徴とする。
なお、本発明に係る円筒型電池においては、製造時に集電体と外装体との間に押さえつける力を加えた場合にも、中央領域における集電体と外装体との間の間隙をより確実に確保するために、この領域における集電体と外装体の内底との間に絶縁体を介挿させておくことが望ましい。
本発明に係る円筒型電池の製造方法は、電極体の巻回軸方向の端面に接合する集電体の外縁領域に位置する少なくとも1箇所を含む複数の箇所を用いて集電体と外装体との接合を実施するので、上述のように集電体と外装体との間の低い電気抵抗、高い溶接強度を実現することができる。また、この方法を用いて製造された円筒型電池では、複数の接合箇所の内、少なくとも1箇所が外縁領域に配置されているので、電池使用時において、電流が中央領域に集中することがなく、電流分散による反応の均一性を高く維持し得る。
以下では、発明を実施するための最良の形態について、円筒型のニッケル−水素密閉二次電池(以下では、単に「電池」という。)1を一例に、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明する電池1は、本発明の構成および作用・効果を説明するために一例として用いるものであって、本発明はこれに限定を受けるものではない。
(電池1の全体構成)
本発明の実施の形態に係る電池1の構造について、図1を用いて説明する。
電極体20の構成要素の内、正極板21は、例えば、パンチングメタルからなる芯体の表面にニッケル焼結多孔体を形成した後、このニッケル焼結多孔体の内方に化学含浸法をもって水酸化ニッケルを主体とする活物質を充填して作製されたものである。また、負極板22は、例えば、パンチングメタルを芯体とし、この芯体表面に水素吸蔵合金からなるペースト状活物質を充填し、乾燥させた後に、所定の厚みとなるまで圧延することで作製されるものである。
外装体10は、金属材料からなる有底円筒状体であり、その内径は、電極体20の外径と略同等に設定されている。外装体10の缶底部分10Bの径方向中央部分においては、外装体10と負極集電体42との間に絶縁部材50が介挿されている。
なお、外装体10の内方には、電極体20、正負両集電体41、42および絶縁部材50の他に、例えば、30(mass%)水酸化カリウム水溶液からなる電解液が注入されている(不図示)。
(缶底部分10Bにおける電池1の詳細構造)
次に、電池1の構成の内、本実施の形態の最も特徴的な部分である缶底部分10Bの周辺の構造について、図2を用いて説明する。
電極体20に負極集電体42を接合した状態において、巻回芯部分20hを巻回方向(Z方向)に延長した領域を想定し、この延長した領域と負極集電体42との重畳する領域を負極集電体42における中央領域42aと仮定するとき、絶縁部材50は、負極集電体42の缶底側(Z方向下側)であって、中央領域42aよりもやや径方向に大きいサイズに設定されている。
(電池1の優位性)
以上のように、電池1では、外装体10の缶底に収納された負極集電体42が、その外縁部分42bに形成された複数の突起部42pで外装体10と接合されており、集電体142が舌部142aだけで外装体110に接合されている上記図7の従来電池よりも、その接合強度の面で優れる。また、本実施の形態に係る電池1では、外縁領域42bに存在する複数の突起部42pをもって負極集電体42と外装体10とが接合されているので、その間での低い電気抵抗が実現されるとともに、電池使用時において、導電経路の分散により反応の均一性が向上される。
(電池1の製造方法)
電池1の製造方法について、図3〜5を用いて説明する。
図3に示すように、渦巻状の巻回成形された電極体20に対し、その上端面に正極集電体41を接合し、下端面に負極集電体42を接合する。本実施の形態においては、抵抗溶接法を用いて、電極体20の端面に各集電板41、42を接合する。なお、この接合に際しては、抵抗溶接法の他に、レーザビーム溶接法、電子ビーム溶接法なども用いることができ、その場合には、バーリング加工部42wの形成は不要となる。
電極体20は、正極板21と負極板22とを間にセパレータ23を挟んだ状態で対向配置し、巻回加工して形成されたものであって、その巻回芯部分20hが中空となっている。そして、電極体20の図3上方からは正極板21の端部が露出しており、また、下方からは負極板22の端部が露出している。
また、図4(a)に示すように、4箇所の突起部42pは、負極集電体42の外縁領域42bに形成されており、電極体20の巻回軸を中心とする同一円周上に配されている。そして、図4(c)に示すように、突起部42pは、負極集電体42が外装体10の缶底部分10Bに向けて張り出し加工され形成されたものである。なお、突起部42pの形成については、複数であれば必ずしも4箇所である必要はないが、集電の均一性を確保するという観点から、その位置を外縁部分42bとすることが望ましく、電極体20の巻回軸から等距離にすることが望ましい。
このようにして、電極体20への集電体41、42の接合が完了する。
2.負極集電体42と外装体10の缶底部分10Bとの接合
次に、電極体20に接合された負極集電体42と外装体10との接合方法について、図5を用いて説明する。
電極体20の収納後に、電極体20の巻回芯部分20hを通して溶接用電極501を挿入し、その一端を負極集電体42における中央領域42aに接触させる。そして、溶接用電極501の侵入方向において、外装体10と溶接用電極501との間に所要の加圧力F1をかける。そして、加圧状態を維持したまま、溶接電流I0を一定時間流すことによって、負極集電体42の突起部42pの先端およびその周辺部分が外装体10の缶底部分10Bに溶接される。ここで、溶接用電極501の加圧時においては、同時に加圧部材(例えば、ゴムなどの弾性部材)で正極集電体41の外側主面を缶底部分10Bの側に向かって加圧力F2をかける。これは、負極集電体42と外装体10の缶底部分10Bの内底とがより確実に密着するようにするためのものである。ここで、加圧力F1と加圧力F2とは、必ずしも同一である必要はない。
SQD(加圧状態で通電開始までの時間):100(msec.)
WE(通電時間):8(msec.)
UP SLOPE(電流値立ち上がりまでの時間):4(msec.)
HEAT(通電電流):12(kA)
このように溶接電流I0を溶接用電極501から流したとき、負極集電体42における電流は、図5(a)に示すように、4つ設けられた突起部42pに分岐され、各突起部42pと外装体10の缶底部分10Bとの間には、電流I1が各々流れることになる。そして、負極集電体42における溶接用電極501の先端部分が接触した部分の裏面と、外装体10の底面部分10Bの内底面との間には、絶縁部材50が介挿されているので、加圧力F1をかけて溶接を実行した際にも、負極集電体42の中央領域42a(図2参照。)で溶接電流I0が流れることはない。
(変形例)
次に、変形例に係る電池について、上記実施の形態に係る電池1との差異部分を中心に、図5(b)を用いて説明する。
なお、本変形例では、負極集電体42の外縁領域に複数の突起部42pを配置することとしたが、突起部42pの配置については、必ずしもその全てが外縁領域である必要はない。突起部42pは、複数存在し、且つ、その内の少なくとも1つが外縁領域に存在すればよい。
(優位性を確認するための実験)
以下では、上述のような優位性を確認するために実施した実験について説明する。本実験においては、以下に示すような各構成の実施例1、2および比較例の各電池を、各々10セルづつ作製し、評価した。
(実施例1)
実施例1に係る電池の構成は、上記実施の形態に係る電池1と同様である。そして、実施例1に係る電池の構成のために用いた部材は次の通りである。
バーリング高さ:0.6mm
突起部高さ:0.4mm
絶縁部材;PPテープ(t=0.04mm)
電解液;30(mass%)の水酸化カリウム水溶液
注入量:12(ml)
負極集電体と外装体との溶接条件についても、上記実施の形態と同様である。
(実施例2)
実施例2に係る電池の構成は、上記実施例1の電池と、絶縁部材を有していない点だけが相違する。それ以外の構成に変更はない。
(比較例)
比較例に係る電池の構成は、図7に示す従来の電池の構成と同様であって、負極集電体に突起部の形成がなく、中央領域に舌部を有したものである。
SQD(加圧状態で通電開始までの時間):100(msec.)
WE(通電時間):8(msec.)
UP SLOPE(電流値立ち上がりまでの時間):4(msec.)
HEAT(通電電流):10(kA)
(評価方法)
まず、上記実施例1、2および比較例に係る各電池に対して、1200(mAh)で6(hr.)充電し、続いて、同電流値をもって終止電圧0.8(V)まで放電させるという充放電サイクルを、25(℃)の雰囲気温度下で10回繰り返した。
なお、各ステップの間には、10(min.)の休止期間を設け、各放電ステップ実施後の10(min.)休止後において、10(sec.)間づつ放電を行い、この10(sec.)経過時点における各電圧値を上記リード511、512を介して測定した。そして、この値を各電池毎にプロットし、その傾きより電池抵抗を求め、各構成の電池についての平均値を表1に示す。
(その他の事項)
なお、上記実施の形態および変形例については、本発明の一例を示すものであって、本発明がこれらに限定を受けるものではない。例えば、上記実施の形態および変形例においては、電池種類としてNi−MH電池を一例としたが、円筒形の外観を有し、渦巻状電極体および集電体を備えるような電池であれば、本発明を適用することができる。具体的には、Ni−Cd電池やLi電池などにも適用することができる。
本発明は、突起部42pの形成個数およびその形成位置についても、複数の箇所(リング状に連続したものも含む。)上記実施の形態および変形例に限定を受けるものではない。ただし、集電体42と外装体10との溶接時における高い溶接性を確保するためには、集電体42における中央領域42aの中心から同距離に複数の突起部42pを設けるようにすることが望ましい。
また、外装体10には密封性が要求されるのに対して集電体42には密封性が要求されることはないので、集電体42の側に突起部42pを設けるようにすることが望ましいが、逆に外装体10の缶底部分10Bの内底面の側に突起部を設ける構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明は、上記電池1のように渦巻状の電極体20と集電体42とを備えるような構成の場合には、一次電池に対しても適用が可能である。
10.外装体
20.渦巻電極体
21.正極板
22.負極板
23.セパレータ
30.封口蓋
41.正極集電体
42.負極集電体
50.絶縁部材
Claims (9)
- 正負両極板がセパレータを介して巻回され、巻回芯部分が中空となっている電極体と、導電性材料からなる有底円筒状体であり、前記電極体を収納する外装体と、導電性材料からなり、前記外装体の内底と前記電極体との電気接続を図るのに間に介挿される集電体とを有する円筒型電池であって、
前記電極体の巻回芯部分を巻回軸方向に延長した延長領域を想定し、この延長領域と前記集電体との重畳領域を前記集電体の中央領域とし、前記集電体における前記中央領域を除く領域を外縁領域とするとき、
前記集電体は、前記外装体の内底に複数の箇所で接合され、
前記複数の箇所は、その全てが前記外縁領域にのみ存在する
ことを特徴とする円筒型電池。 - 前記集電体は、前記外縁部分に前記外装体の内底に向けた突起部が複数形成されており、当該複数の突起部の先端領域が前記外装体の内底に接合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の円筒型電池。 - 前記複数の突起部は、前記電極体の巻回軸中心から略等距離に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の円筒型電池。 - 前記中央領域における前記集電体と外装体の内底との間には、絶縁体が介挿されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の円筒型電池。 - 前記電極体と集電体とは、前記集電体において前記電極体の側に向けて形成された接合部と前記正極板または負極板の端面とで接合されており、
前記突起部は、前記電極体の径方向において、前記接合部と重畳しない位置に形成されている
ことを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の円筒型電池。 - セパレータを介して正負両極板を対向配置し、この状態で巻回加工することで、巻回芯部分が中空である電極体を形成する電極体形成ステップと、
前記電極体における巻回軸方向の少なくとも一端面に、導電性材料からなる集電体を接合する集電体接合ステップと、
前記集電体が接合されてなる電極体を、前記集電体の側を内底に向けた状態で、導電性材料からなる有底円筒状の外装体に収納する収納ステップと、
前記集電体を外装体の内底に接合する接合ステップとを有し、
電極体の巻回芯部分を巻回軸方向に延長した延長領域を想定し、この延長領域と前記集電体との重畳領域を前記集電体の中央領域とし、前記集電体における前記中央領域を除く領域を外縁領域とするとき、
前記接合ステップにおいて、前記集電体は、前記外装体の内底に複数の箇所で接合され、且つ、当該複数の箇所は、その全てが前記外縁領域にのみ位置する
ことを特徴とする円筒型電池の製造方法。 - 前記複数の突起部は、前記電極体の巻回軸中心から略等距離に配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の円筒型電池の製造方法。 - 前記中央領域において、前記集電体と外装体の内底との間には、絶縁体が介挿されている
ことを特徴とする請求項6または7に記載の円筒型電池の製造方法。 - 前記接合ステップにおいては、抵抗溶接法を用いて、前記集電体と外装体の内底とを接合する
ことを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の円筒型電池の製造方法。
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