JP2004055320A - 電極表面被膜形成剤。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(I):
R1CH2−O−R2 (I)
(式(I)中、R1およびR2は、同一又は異なって、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基またはフッ素原子で置換されていてもよいアルコキシアルキル基を示す。ただし、R1およびR2の一方又は両方はフッ素原子で置換されたアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルコキシアルキル基を示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む電極表面被膜形成剤。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
フッ素含有有機化合物を用いた電極表面被膜形成剤に関する。本発明の電極表面被膜形成剤を含む非水電解液電池、例えばリチウム二次電池は、電気自動車、携帯電話、携帯パソコンなどの移動体通信用電源、電気自動車、深夜電力の貯蔵、太陽電池などと組み合わせて用いられる電力貯蔵用電源として用いることができる。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
負極にリチウム金属やその合金あるいはリチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物を備えたいわゆるリチウムイオン電池はそのエネルギー密度の高さから需要が大幅に拡大している。
【0003】
一方、リチウムイオン電池は、内部・外部ショート、外部発熱などがトリガーとなり発熱し、電池の発火、発煙などが起こることがあり、リチウムイオン電池安全性の向上のために高温での電解液の安定性の向上が求められている。
【0004】
第67回電気化学会(2000年4月4日〜6日、予稿集24頁、2B21)および第41回電池討論会(2000年11月20日〜22日、予稿集296頁、2C10)において、ジフルオロ酢酸メチルエステルがリチウム電池の熱安定性を高めることが報告された。また、本発明者は、特開2002−124263号において、ジメチルジフルオロマロネートがリチウムイオン電池の熱安定性の向上に寄与し得ることを報告した。それによると、通常、電池に用いられる電解液がリチウム金属の融点(180℃)かそれ以下で発熱を開始するのに対し、ジフルオロ酢酸メチルおよびジメチルジフルオロマロネートはリチウム金属共存下にそれぞれ250℃、280℃まで発熱が起こらないことが示された。これらの化合物においては、フッ素導入によりリチウム金属との反応性が増すことが知られているため、この傾向はリチウム金属表面に生じるジフルオロ酢酸メチルおよびジメチルジフルオロマロネートによる被膜の影響である可能性が示唆されている。
【0005】
しかしながら、ジフルオロ酢酸メチルおよびジメチルジフルオロマロネートは誘電率が低く、高い電池性能を得るためには一般的に電解液として用いられている誘電率の高いエチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート(PC)および炭酸ジメチル(DMC)などといっしょに用いる必要がある。しかし、電解液中のジメチルジフルオロマロネートの含有量が低下すると、発熱を抑制する効果が著しく減少するという問題点が発生した。これはリチウム金属とジメチルジフルオロマロネートによって形成した保護膜がEC、GBL、PCおよびDMCなどの溶媒によって溶かされ、保護膜の一部または大部分がはがれたためであると考えられる。
【0006】
そこで、実用化されている電池に用いられているような誘電率の高い有機溶媒系の非水電解液の共存下でも電極表面上で強固に保護膜として作用し、電池の熱安定性を高める電極表面被膜形成剤が求められている。
【0007】
そのような観点で、本発明者は電極表面被膜形成剤として−(CF2CO2R)基を複数有する含フッ素エステル化合物(特願2001−120881)、含フッ素ニトリル化合物(特願2001−120889)、含フッ素炭酸エステル(特願2001−197183)、含フッ素アミド化合物(特願2001−213972)を提案している。
【0008】
本発明は、電池構成成分として、熱安定性を高める電極表面被膜形成剤を提供することを目的とする。また、本発明は、熱安定性の向上した電池の製造方法をも提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の電極表面被膜形成剤は、これまでのものに比べ低コストで同程度の性能が得られるため、経済効果も期待できる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、実用化されている電池に用いられているような誘電率の高い有機溶媒系の非水電解液の共存下でも高い電解液の熱安定性を有する電池を得るべく検討を行った結果、R1−CH2O−R2(R1およびR2は、同一又は異なって、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基または、アルコキシ基で置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。ただし、R1およびR2の一方又は両方はアルコキシで置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。)
の構造を有する含フッ素エーテル化合物が、電解液と負極、特にリチウムなどの反応を抑制し、電池の熱安定性の向上に寄与し得ることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の項1〜項11に関する。
項1. 式(I):
R1CH2−O−R2 (I)
(式(I)中、R1およびR2は、同一又は異なって、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基または、アルコキシ基で置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。ただし、R1およびR2の一方又は両方はアルコキシで置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む電極表面被膜形成剤。
項2. 式(II):
R3−(CX1X2−CX3X4)nCH2OR4 (II)
(式(II)中、R3はH、またはFを表し、R4はアルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基または、アルコキシ基で置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。X1、X2、X3およびX4は、水素又はフッ素を示す。ただし、X1、X2、X3およびX4が全て水素になることはない。nは1、2、3または4を示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。
項3. 式(III):
R5−(CX1X2−CX3X4)n−CH2O−CX5X6−CX7X8−R6 (III)
(式(III)中、R5はHまたはFを表し、R6はHまたはCF3を表す。X1、X2、X3、X4及びnは前記に同じ。X5、X6、X7およびX8は、水素又はフッ素を示す。ただし、X5、X6、X7およびX8が全て水素になることはない。少なくとも1つがフッ素原子を示し、その他はHを示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む項1に記載の電極表面被膜形成剤。
項4. 下記6種の化合物:
HCF2CF2CH2OCF2CF2H、HCF2CF2CH2OCF2CFHCF3、H(CF2CF2)2CH2OCF2CF2H、
H(CF2CF2)2CH2OCF2CFHCF3、CF3CF2CH2OCF2CFHCF3、CF3CF2CH2OCF2CF2H
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む項1に記載の電極表面被膜形成剤。
項5. 下記4種の化合物:CF3CFHCF2CH2OCF2H、(CF3)2CHCF2OCH3、HCF2CF2CH2OCF2H、CF3CFHCF2OCH2CH3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。
項6. 下記4種の化合物:HCF2CF2CH2OCH2CH2OCH3、H(CF2CF2)2CH2OCH2CH2OCH3、H(CF2CF2)3CH2OCH2CH2OCH3、CF3CF2CH2OCH2CH2OCH3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。
項7. 電池作成時および/または電池使用時に、電極材料表面に保護膜として作用することを特徴とする項1〜6のいずれかに記載の電極表面被膜形成剤。
項8. 電極がリチウム金属、リチウムインターカレート化合物またはリチウム合金からなる負極である項7記載の電極表面被膜形成剤。
項9. 項1〜6のいずれかに記載の化合物の少なくとも1種を含む電池電解液。
項10. 項9記載の電解液を用いることを特徴とする電池。
項11. 負極がリチウム金属、リチウムインターカレート化合物またはリチウム合金からなる項10記載の電池。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電極表面被膜形成剤は、リチウム一次電池およびリチウム二次電池等の一次電池および二次電池のいずれにも用いることができる。
【0013】
本発明の一般式(I)において、R1およびR2は、同一又は異なって、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基または、アルコキシ基で置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。ただし、R1およびR2の一方又は両方はアルコキシで置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。
【0014】
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が例示される。
【0015】
フルオロアルキル基としては、前記アルキル基の1〜(2×フルオロアルキル基の炭素数+1)個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
【0016】
アルコキシアルキル基(アルコキシ基で置換されたアルキル基)としては、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−ブトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、などの炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(アルコキシアルキル基の炭素数は2〜12,好ましくは3〜8)が挙げられる。
【0017】
アルコキシ基で置換されたフルオロアルキル基としては、水素原子を1以上有する前記フルオロアルキル基の1つの水素原子がアルコキシ基(O−(前記アルキル基))で置換されたフルオロアルキル基が挙げられる。
【0018】
式(II)において、R3はHまたはFを表し、R4はフッ素原子またはアルコキシ基で置換されてもよいアルキル基を表す。X1、X2、X3およびX4は、水素又はフッ素を示す。ただし、X1、X2、X3およびX4が全て水素になることはない。換言すれば、X1、X2、X3およびX4の1〜4個がフッ素原子を示し、3〜0個が水素原子を示す。nは1、2、3または4、好ましくは1,2または3,より好ましくは1または2を示す。アルコキシ基で置換されたアルキル基は、前記に例示された通りである。
【0019】
式(III)中、R5はHまたはFを表し、R6はHまたはCF3を表す。X1、X2、X3、X4及びnは前記に同じ。X5、X6、X7およびX8は、水素又はフッ素を示す。ただし、X5、X6、X7およびX8が全て水素になることはない。換言すれば、X5、X6、X7およびX8の1〜4個がフッ素原子を示し、3〜0個が水素原子を示す。
【0020】
R1およびR2で示される好ましい基は、たとえばフルオロメチル、ジフルオロエチル、テトラフルオロエチル、パーフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、H(CF2)2−、H(CF2)4−、H(CF2)6−、CF3CFHCF2−、CH3OCH2CH2−、CH3CH2OCH2CH2−である。
【0021】
より具体的には、以下の電極表面被膜形成剤が挙げられる。
【0022】
【化1】
【0023】
本発明の含フッ素電極被膜形成剤は公知の化合物であり、例えばWO94/17023号に記載の方法に従い製造される。
【0024】
本発明の化合物として、CF3CF2CH2OCF2CFHCF3、HCF2CF2CH2OCF2CF2H、HCF2CF2CH2OCF2CFHCF3、H(CF2CF2)3CH2OCF2CF2H、(CF3)2CHCF2OCH3、H(CF2CF2)2CH2OCH2CH2OCH3、および比較例としてメチルジフルオロアセテート、ジメチルジフルオロマロネートの発熱温度や発熱量をパーキンエルマー社の示差走査カロリーメーター(DSC7)を用いて測定した。結果を図1〜8に示した。
【0025】
図1〜8は本発明の化合物または比較例の化合物と1M LiPF6/EC+DMC=1:1(vol%)電解液を体積比1:1とし、リチウム金属1.3 mgと混合し、DSC測定したものである。これより、比較例であるジメチルジフルオロマロネートは213℃付近で大きな発熱が見られるが、本発明の化合物はそれを上回り、たとえばCF3CF2CH2OCF2CFHCF3では約240℃となり、熱安定性の向上が見られる。これらの結果は、本発明における該化合物がリチウムイオン電池の熱安定性を一層向上させることを示している。
【0026】
本発明で用いる含フッ素化合物が特に優れた特性を有する理由については明確ではないが、以下のように考えられる。
【0027】
J. Power Sources 102 (2001) 288でジフルオロ酢酸メチル/LiPF6を用いたリチウム金属との熱安定性を報告しているが、その中で、リチウム金属表面に形成されるSolid Electrolyte Interface(SEI)はジフルオロ酢酸リチウムまたはリチウムフロリドである可能性が述べられている。しかしながら、前述したようにそれらSEIは誘電率の高い有機溶媒系の非水電解液の共存下で剥がれ落ちる問題があり、それはジフルオロ酢酸リチウムによるものと考えられる。本発明の含フッ素化合物を電極表面被膜形成剤として用いた場合、実施例1と比較例2の比較から一層熱安定性が向上していることよりリチウム金属表面に、より良質な保護膜が形成されているものと考えられる。リチウム金属表面に形成される保護膜は本化合物が何らかの形でリチウム金属表面と結合したものであるか、または強い電子求引力を持ったフッ素原子によって還元されやすくなっており、そのリチウム金属表面に形成される保護膜はリチウムフロリドと予想され、非常に強固な保護膜を形成するものと考えられる。負極としてリチウムインターカレート化合物、すなわち炭素材料あるいは種々の金属酸化物を用いた場合にも、急速充電あるいは過放電により、金属リチウムが析出する場合があるので、本発明における該化合物は熱安定性、安全性を高める上で有効である。
【0028】
また、ジフルオロ酢酸メチルで形成されるSEIは同時にメタンガスが発生する可能性も述べられており、電池内部の圧力が上昇による破裂等の事故につながる危険性がある。本発明の含フッ素化合物を用いた電極表面被膜形成剤では構造上そのようなガスが発生することはないため、安全性も向上すると考えられる。
【0029】
本発明の電極表面被膜形成剤に用いられる含フッ素エーテル化合物は、単独で用いても良いが、通常用いられている有機溶媒系電解液に対して通常0.1〜80重量%程度、好ましくは1〜50重量%程度、より好ましくは5〜30重量%程度含まれる。
【0030】
本発明において、含フッ素エーテル化合物とともに非水電解液二次電池の電解液として用いられる有機溶媒系電解液としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート等も用いることができる。さらには、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、スルホラン等も用いることができるがこれらに限定されるわけではない。これらは単独で本発明の含フッ素エーテル化合物と混合して用いても良いし、2種類以上の有機溶媒系電解液を用いてもよい。
【0031】
これら本発明の含フッ素エーテル化合物を少なくとも1種含む有機溶媒系電解液は下記リチウム塩を溶解した電池の電極表面被膜形成剤として用いてもよいし、特に負極表面被膜形成剤として電池製造前の段階で、あるいは電池を製造する過程で、負極を処理することに用いても良い。負極の処理方法としては、本発明の含フッ素エーテル化合物を少なくとも1種含む有機溶媒に負極を浸す方法、あるいは、霧状にして噴霧する方法、ハケなどで負極表面に塗る方法などが例示される。
【0032】
リチウムイオン(一次または二次)電池に用いる場合の好ましい電解液は、本発明の含フッ素エーテル化合物と有機溶媒を含む上記非水溶媒と、その溶媒に溶解するリチウム塩から構成される。
【0033】
リチウム塩としては、LiPF6, LiPF4(CF3)2, LiPF4(C2F5)2, LiPF4(C3F7)2, LiAsF6, LiBF4, LiClO4, LiCF3SO3, LiC4F9SO3, LiN(CF3SO2)2, LIN(C2F5SO2)2, LiN(C4F9SO2)2, LiN(CF3SO2)(C4F9SO2), LiC(CF3SO2)3, LiB(OCOCF3)4等を用いることができる。
【0034】
上記電解液は、リチウムイオン伝導性を有する非水溶液状電解質として、およびこれをポリマーマトリックスで固定したゲル電解質として用いることができる。
【0035】
本発明のリチウムイオン電池は、上記電解液を用いることを特徴としており、その他の条件、例えばリチウムイオン電池の形状や構成要素は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。
【0036】
例えば電池の形状としては、円筒型、角型、コイン型、フィルム状等を挙げることができる。
【0037】
負極材料としては、リチウム金属およびその合金、リチウムをドープ・脱ドープできる炭素材料や高分子材料、金属酸化物などが挙げられる。
【0038】
正極材料としては、LiCoO2, LiNiO2, LiMn2O4, LiMnO2などのリチウムと遷移金属の複合酸化物や、高分子材料などが挙げられる。
【0039】
セパレーターとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の高分子材料の多孔膜や、本発明の電解液を吸蔵して固定化する高分子材料(いわゆるゲル電解質)として用いることができる。
【0040】
集電体の材料としては、銅、アルミ、ステンレススチール、チタン、ニッケル、タングステン鋼、炭素材料などが用いられ、その形状は箔、網、不織布、パンチドメタルなどが挙げられる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0042】
実施例1〜6
DSC測定はパーキンエルマー製のDSC7を用いた。また、測定用の試料は、チタン製耐圧密閉容器に1M LiPF6/EC+DMC=1:1(vol%)電解液5 μl、表1に示す本発明化合物5 μlをリチウム金属1.3 mgと混合し調整した。昇温速度は5℃/minで行い、発熱反応ピーク温度を測定した。種々の含フッ素エーテル化合物を用いて測定した結果を図1〜6に示す。
【0043】
比較例1〜2
実施例1〜6の本発明化合物のかわりに表1に示すメチルジフルオロアセテートまたはジメチルジフルオロマロネートを用いて同様に測定した。結果を図7〜8に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、電池の熱安定性を向上させ得る電極表面被膜形成剤および電池製造方法が提供できる。これにより、急速充電時にも安全性が向上し、さらに負極にリチウム金属を用いる安全な電池を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1:本発明の化合物であるCF3CF2CH2OCF2CFHCF3の発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図2】実施例2:本発明の化合物であるHCF2CF2CH2OCF2CF2Hの発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図3】実施例3:本発明の化合物であるのHCF2CF2CH2OCF2CFHCF3発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図4】実施例4:本発明の化合物であるH(CF2CF2)3CH2OCF2CF2Hの発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図5】実施例5:本発明の化合物である(CF3)2CHCF2OCH3の発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図6】実施例6:本発明の化合物であるH(CF2CF2)2CH2OCH2CH2OCH3の発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図7】比較例1:本発明の化合物との比較例であるメチルジフルオロアセテートの発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
【図8】比較例2:本発明の化合物との比較例であるジメチルジフルオロマロネートの発熱温度、発熱量の測定結果を示す。
Claims (11)
- 式(I):
R1CH2−O−R2 (I)
(式(I)中、R1およびR2は、同一又は異なって、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基または、アルコキシ基で置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。ただし、R1およびR2の一方又は両方はアルコキシで置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む電極表面被膜形成剤。 - 式(II):
R3−(CX1X2−CX3X4)nCH2OR4 (II)
(式(II)中、R3はH、またはFを表し、R4はアルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基または、アルコキシ基で置換されていてもよいフルオロアルキル基を示す。X1、X2、X3およびX4は、水素又はフッ素を示す。ただし、X1、X2、X3およびX4が全て水素になることはない。nは1、2、3または4を示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。 - 式(III):
R5−(CX1X2−CX3X4)n−CH2O−CX5X6−CX7X8−R6 (III)
(式(III)中、R5はHまたはFを表し、R6はHまたはCF3を表す。X1、X2、X3、X4及びnは前記に同じ。X5、X6、X7およびX8は、水素又はフッ素を示す。ただし、X5、X6、X7およびX8が全て水素になることはない。少なくとも1つがフッ素原子を示し、その他はHを示す。)で表される少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。 - 下記6種の化合物:
HCF2CF2CH2OCF2CF2H、HCF2CF2CH2OCF2CFHCF3、H(CF2CF2)2CH2OCF2CF2H、
H(CF2CF2)2CH2OCF2CFHCF3、CF3CF2CH2OCF2CFHCF3、CF3CF2CH2OCF2CF2H
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。 - 下記4種の化合物:CF3CFHCF2CH2OCF2H、(CF3)2CHCF2OCH3、HCF2CF2CH2OCF2H、CF3CFHCF2OCH2CH3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。
- 下記4種の化合物:HCF2CF2CH2OCH2CH2OCH3、H(CF2CF2)2CH2OCH2CH2OCH3、H(CF2CF2)3CH2OCH2CH2OCH3、CF3CF2CH2OCH2CH2OCH3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の電極表面被膜形成剤。
- 電池作成時および/または電池使用時に、電極材料表面に保護膜として作用することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極表面被膜形成剤。
- 電極がリチウム金属、リチウムインターカレート化合物またはリチウム合金からなる負極である請求項7記載の電極表面被膜形成剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物の少なくとも1種を含む電池電解液。
- 請求項9記載の電解液を用いることを特徴とする電池。
- 負極がリチウム金属、リチウムインターカレート化合物またはリチウム合金からなる請求項10記載の電池。
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