JP2004055293A - 電球形蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルブ51端部から突出する細管52の先端部52aを口金11側部位まで延出し、点灯中比較的温度が低いカバー体10内に接触させているので、細管52の先端部が点灯中最も高温となるバルブ51の熱影響を受けにくくなって、比較的温度の低い状態となり、水銀蒸気圧の上昇に伴って光出力特性が損なわれることが抑制され、消灯時の温度状態における水銀蒸気圧を高くすることが可能となり、点灯直後の光束立上り特性を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光束立ち上がり特性を改善した電球形蛍光ランプおよび照明装置に関する。
【従来の技術】
一般に、蛍光ランプはその最冷部温度が40℃から60℃のときに発光効率が最大となる特性を有している。そして、そのときの周囲温度は、ほぼ25℃となるよう設計されている。しかし、放電路を折曲げたり、複数の屈曲バルブを連結するなどして構成された管壁負荷が高い蛍光ランプは、点灯中にランプが高温になりやすい。特に、蛍光ランプをグローブなどで覆った電球形蛍光ランプの場合は、グローブ内の発光管温度が高くなるため、最冷部が最適温度を超えてしまい、ランプ効率が低下してしまう。
【0002】
このため、発光管の細管内に水銀蒸気圧制御用の主アマルガムを配置することで、点灯中の水銀蒸気圧を適正な範囲内に制御するとともに、電極近傍に補助アマルガムを配置して、点灯直後に必要な水銀を管内に供給し、始動時の光束立上り特性を向上させる技術が例えば、特開平5−3017号公報(従来技術1)に開示されている。
【0003】
また、特許第3275797号(従来技術2)には、点灯中アマルガムの温度が高くなりすぎることを抑制するために、アマルガム収容部と口金を熱伝導部材で接続した電球形蛍光ランプが開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来技術を応用した電球形蛍光ランプは、消灯時には周囲温度が低いため、水銀蒸気圧が低下しており、点灯直後に補助アマルガムから水銀が蒸発したとしても、発光管の温度が所定値まで上昇するには時間がかかるため、光束の立ち上がり特性としては、充分満足できるものではなかった。
【0004】
また従来技術2は、通常金属である口金に熱伝導部材でアマルガム温度を下げようとすると消灯時の口金の急激な温度低下により、蛍光ランプ内の水銀のほとんどがアマルガムに吸収されてしまうため、再点灯する時、光束立ち上がりがわるかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、水銀蒸気圧制御用のアマルガムが封入された場合であっても、簡単な構成により光束立上り特性を改善することができる電球形蛍光ランプおよびこの電球形蛍光ランプを使用した照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する蛍光ランプと;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を蛍光ランプに供給する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に蛍光ランプを保持する保持部を有し、点灯装置を収容したカバー体と;上記蛍光ランプの屈曲バルブ端部から突出し、先端部がカバー体の口金側部位に熱的に接続するよう延出している細管と;を具備していることを特徴とするものである。
【0006】
口金側部位とは、口金が設けられるカバー体の部分および当該部分から蛍光ランプ側に連続的に延在した比較的温度が低いカバー体の点灯装置収容部内面部分をいうが、口金自体も含まれる。
【0007】
ここでいう「比較的温度が低い」とは、その温度が通常点灯時に65℃以下になることを意味する。
【0008】
「熱的に接続されている」とは、直接的、間接的に口金側部位と接続されていてもよく、細管先端部の熱がカバー体側に放熱可能で、接続部分の温度が低くすることが可能であれば、接続方法は限定されない。
【0009】
バルブ端部から突出形成された細管を封着する方法は、フレアステム等の封止用ガラス部材を使用していても、バルブの端部を加熱溶融して側方よりピンチャー等の治具で挟み、変形させる圧潰封着方法を用いても構わない。
【0010】
屈曲バルブは、直管状ガラスバルブのほぼ中央部を加熱溶融し、屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲形成された」とは、放電路が屈曲部で折り返されて放電が屈曲するようにガラスバルブが形成されていることを意味し、屈曲部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、屈曲部が角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直線部の一端同士が連続するように形成されたバルブを意味する。また、屈曲バルブは、ほぼ平行な2本の直線部の一端同士を吹き破りなどによって形成された連通管によって接続されたものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくてもよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックスなどの材質で形成することが許容される。
【0011】
蛍光ランプは、屈曲バルブ単体で構成される他、複数の屈曲バルブの端部同士を連通管を介してつなぎ合わせることで内部に少なくとも一本の放電路が形成されるようにガラスバルブ間が連通するように並設されたものであってもよい。
【0012】
屈曲バルブの内面には直接または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体などが挙げられるが、これに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の蛍光体を使用するのが好ましい。
【0013】
蛍光ランプには、蛍光ランプ内に形成された放電路の両端位置に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放射物質が坦持されたセラミック電極、ニッケルなどから形成された冷陰極などが挙げられる。
【0014】
蛍光ランプには、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスおよび水銀からなる。
【0015】
細管は、屈曲バルブの端部から延出するように封着されたものであり、排気管として使用されるものであってもよい。
【0016】
カバー体は、口金が取付けられるとともに、口金が取付けられた方向と逆の部位に蛍光ランプを支持する保持体を備えたものであり、内部に点灯装置の収容空間を形成する収容部が形成されている。保持体は、蛍光ランプの端部が挿入可能な形状を有するホルダとしてカバー体とは別体構造とするのが好ましいが、カバー体と一体構造であっても構わない。
【0017】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的にケースに装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0018】
点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバーに対して直接的または間接的に取付けられて収納されている。点灯装置は、平滑用電解コンデンサを備えるものが一般的であるが、これに限定されない。
【0019】
請求項1記載の電球形蛍光ランプによれば、バルブ端部から突出する細管の先端部を口金側部位まで延出し、点灯中比較的温度が低いカバー体内に接触させているので、細管の先端部が点灯中最も高温となるバルブの熱影響を受けにくくなって、比較的温度の低い状態となり、水銀蒸気圧の上昇に伴って光出力特性が損なわれることが抑制される。さらに、消灯時の温度状態における水銀蒸気圧を高くすることが可能となり、点灯直後の光束立上り特性を向上させることができる。
【0020】
請求項2記載の電球形蛍光ランプは、請求項1記載の電球形蛍光ランプにおいて、細管の先端部に主アマルガムが位置するように封入されており、主アマルガムは、通常点灯時にカバー体内の周囲温度が40〜65℃となるカバー体の内側空間に配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
細管に封入された主アマルガムを、通常点灯時に40〜65℃の範囲となる空間に位置させるのは、水銀蒸気圧特性の高い主アマルガムを使用して、光束立ち上がり特性を改善するためにである。
【0022】
細管内に封入される主アマルガムは、点灯直後の水銀蒸気圧が純水銀に近く、安定点灯時の水銀蒸気圧も適正な値に制御可能な特性を有するものが使用される。例えば、Bi−Sn−Hgで構成される合金などからなり、主アマルガムの温度が25℃のときに0.1〜0.24Pa、好ましくは0.15〜0.24Paであって、主アマルガムの温度が50〜60℃のときに1.0〜2.0Paとなるものが好ましい。なお、主アマルガムを封入するにあたっては、点灯直後の水銀蒸気拡散を補うため、補助アマルガムをバルブ内に配置することが好ましいが、この補助アマルガムは必須ではなく、点灯直後に発光管内に適度な水銀蒸気拡散が起こる条件で発光管が構成されていれば主アマルガムのみを封入したものであってもよい。
【0023】
請求項2記載の電球形蛍光ランプによれば、細管内に先端部分に封入した主アマルガムを、周囲温度が40〜65℃であるカバー体内空間に配置しているので、主アマルガムを所定温度に保つことができるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガムを使用することが可能となり、光束立ち上がり特性を改善することができる。
【0024】
請求項3記載の電球形蛍光ランプは、請求項1または2記載の電球形蛍光ランプにおいて、カバー体内面に熱的に細管の先端部の少なくとも一部が接続するように配設された熱伝導部材を具備していることを特徴とするものである。
【0025】
熱伝導部材は、細管の少なくとも一部とカバー体内面に接触しており、互いに接触している部分の熱を熱伝導部材を介して伝導させるものである。光束立ち上がり特性を向上させるには、細管先端に封入されたアマルガムの温度を所定温度に保つ必要があるため、熱伝導部材と接触する部分は、アマルガムが封入されている細管先端部である必要がある。また、アマルガムが封入されている細管先端周囲にわたり熱伝導部材で完全に被覆すれば、アマルガムの温度をより確実に最適温度に保つことが可能となる。熱伝導部材が細管の先端部から電極側に形成されていても、電極および点灯装置の発熱部材からの熱影響を受けずにアマルガムが最適温度を維持できる程度であれば許容される。
【0026】
請求項3記載の電球形蛍光ランプによれば、細管の先端部分に熱伝導部材が配設されているので、効率よくカバー体内の熱をカバー体に伝導させることができ、細管の先端部の温度の過剰上昇を規制することができ、発光効率を向上することができる。
【0027】
請求項4記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する蛍光ランプと;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を蛍光ランプに供給する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に蛍光ランプを保持する保持部を有し、点灯装置を収容したカバー体と;上記蛍光ランプの屈曲バルブ端部から突出し、その先端部に主アマルガムが封入された細管と;上記細管の少なくとも一部とカバー体内面とが熱的に接続されるように設けられた熱伝導部材と;上記細管および熱伝導部材の大部分を覆っている断熱材と;を具備していることを特徴とするものである。
【0028】
請求項4で使用された用語のうち、請求項1ないし3いずれか一記載のものと同一であれば、特に説明がない限り同様の定義とする。
【0029】
細管および熱伝導部材の大部分を覆っている断熱材は、細管の先端部が比較的温度が高い部分からの熱影響を防ぐためのものである。すなわち、点灯中高温となる蛍光ランプおよび点灯回路の発熱部材が配置されたカバー体の蛍光ランプ側の比較的温度が高い空間に位置している部分は、細管の中間部または熱伝導部材に近接しており、熱影響を受けやすいので、断熱手段により覆う必要がある。具体的には、バルブ端部から口金側方向に突出した細管全てを含み、さらに断熱手段は、カバー体内に位置している熱伝導部材のほぼ全域にわたり覆われていることが望ましい。
【0030】
断熱手段は、温められた蛍光ランプ内空間の熱を遮断することが可能であれば蛍光ランプを構成する例えばカバー体に一体的形成されるような構造となっていてもよく、また別部品により構成されていても構わない。
【0031】
請求項4記載の電球形蛍光ランプによれば、細管と熱伝導部材を断熱手段により覆っているので、点灯中高温となる蛍光ランプおよびカバー体内の比較的温度が高い部分からの熱影響を受けることが抑制され、細管の先端部を最適温度に保つことができる。
【0032】
請求項5記載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし4いずれか一記載の蛍光ランプにおいて、基板は蛍光ランプの全端部を覆うようにカバー体に装着されており、細管は基板に形成された挿通部を介してカバー体の口金側に延在していることを特徴とするものである。
【0033】
点灯装置の基板による遮熱効果は、基板が蛍光ランプの端部を覆い、かつ細管を貫通孔や切欠きなどによって基板に形成された挿通部を介して口金側に延在させることでより確実に得ることができる。特に、基板が蛍光ランプの全端部を覆うことで、蛍光ランプの全端部を覆っていない場合に比べて蛍光ランプの放射熱が効率よく遮断されて口金側の空間に熱が伝わりにくくなり、挿通部を介して細管を突出させるのでこの遮熱効果が大きく損なわれることがない。このとき、挿通部と細管との隙間はできるだけ小さく、好ましくは1mm以下にするとよい。なお、「蛍光ランプの全端部を覆う」とは、蛍光ランプに複数の端部が形成されている場合には、各端部の全ての端面を完全に覆う必要は無く、基板が遮熱に必要な蛍光ランプの端部の端面の一部分を全て覆っていればよい。例えば、蛍光ランプが複数の屈曲バルブを並設して形成されている場合には、バルブ軸中心よりも蛍光ランプの外周側に位置する部分は覆わなくても十分な遮熱効果が得られる。
【0034】
請求項5記載の電球形蛍光ランプによれば、基板が蛍光ランプの全端部を覆う状態でカバー体に装着され、細管が基板に形成された挿通部を介して口金側に延在されているので、カバー体内の口金側の空間温度を上昇させることなく細管の先端部を口金側に位置させることができるので、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0035】
請求項6記載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし5いずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、蛍光ランプはカバー体に装着されたグローブに覆われていることを特徴とするものである。
【0036】
蛍光ランプを覆うグローブは、光透過性を有していれば、光拡散性、透明性のいずれであってもよく、模様または着色が施してあるものでもよい。グローブの材質はガラス、プラスチックのいずれでもよい。グローブの形状は任意であるが、一般に普及している白熱電球形状に類似するいわゆるA形と称される形状、ほぼ球形状のいわゆるG形と称される形状、先端球形で円筒状のいわゆるT形と称される形状等を採用することができる。
【0037】
このようにグローブ付の電球形蛍光ランプの場合、カバー体内の空間の温度が上昇しやすく、水銀蒸気圧特性の低いアマルガムを使用する必要があり、消灯時の水銀蒸気圧が低くなるため、光束立上り特性が特に悪かった。
【0038】
請求項6の電球形蛍光ランプによれば、グローブ付の電球形蛍光ランプであっても消灯時の水銀蒸気圧を高くすることが可能となり、光束立上り特性の改善効果が顕著となる。
【0039】
請求項7記載の照明装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;を具備していることを特徴とする照明装置。
【0040】
請求項7記載の照明装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の電球形蛍光ランプの作用を有することができる。
【発明の実施の形態】
【0041】
以下、本発明の電球形蛍光ランプの一実施形態を図面を参照して説明する。
【0042】
図1は第1の本実施形態の電球形蛍光ランプの断面図、図2は蛍光ランプの構造を説明する展開図である。
【0043】
図1および図2において、この電球形蛍光ランプは、口金11を有するカバー体10と、カバー体10の一部としてカバー体10の開口部12に装着された保持部としてのホルダ20と、カバー体10に収納された点灯装置30と、透光性を有するグローブ40と、このグローブ40に収納された蛍光ランプ50としてのガラスバルブ51とを備えている。そして、グローブ40とカバー体10とから構成される外囲器は、定格電力60W形相当の白熱電球などの一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、口金11を含む高さH1 は110〜125mm程度、直径すなわちグローブの外形D1 が50〜60mm程度、カバー体10の外形D2 が40mm程度に形成されている。なお、一般照明用電球とはJIS C 7501に定義されるものである。
【0044】
ガラスバルブ51の内面には、アルミナ(Al2O3)保護膜(図示しない)とその上に蛍光体層(図示しない)が形成されている。
【0045】
蛍光ランプ50は、略同形状の3本のU字状屈曲形バルブ51を所定の位置に配置し、連通管を介して順次接続することによって、1本の放電路が形成されている。
【0046】
3本のガラスバルブ51は、バルブ51の直線部が円周上に位置するように配設して3つの屈曲部が三角形状をなすトリプルU形に構成されている。なお、ガラスバルブ51を4本使用して屈曲部が四角形状をなすように構成してもよい。
【0047】
各バルブ51は、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、110〜130mm程度の直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように屈曲形成したものであり、屈曲部を備えた略U字状に形成されている。管外径が9.0〜13mm、肉厚が0.5〜1.5mmのガラスバルブ51を用いた蛍光ランプ50としては、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wとして設計することで、白熱電球形状に近似した電球形蛍光ランプを構成することが可能となる。さらに、放電路長が大きくなることによってランプ効率が改善される点灯領域について検討した結果、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wの範囲内であれば、ランプ効率が特に改善される。
【0048】
屈曲バルブ51は、ピンチシール部などにより、一端部が封着されているとともに、他端部には内径2〜5mmの細管52がピンチシールによって封着されている。中間の屈曲バルブ51に封着された細管52内には主アマルガム60が封入されている。
【0049】
蛍光ランプ50の両側に位置する屈曲バルブ51の非連通管側の一端部には、電極としてのフィラメントコイルが、一対のウエルズに支持されて配置されている。一対のウエルズは、両端の屈曲バルブ51の端部にマウントを用いないピンチシールなどにより封着されたジュメット線を介して、屈曲バルブ51の外部に導出されたランプ側ワイヤーに接続されている。そして、蛍光ランプ50から導出された2対すなわち4本のランプ側ワイヤーは、点灯装置30に電気的に接続されている。
【0050】
中間の屈曲バルブ51の所望の一端部および電極近傍のウエルズには補助アマルガム61が設けられている。中間の屈曲バルブ51に設けられた補助アマルガム61は、ピンチシールなどにより封着されたウエルズに取付けられており、放電路の中間位置に配設される。補助アマルガム61は、縦2mm、横7mm、厚さ40μmのステンレスの基板に金(Au)または銀(Ag)を約3mgメッキした形成されたものである。
【0051】
中間の屈曲バルブ51に封着された細管52は、その先端52aが カバー体10内の口金11側に位置するように屈曲バルブ51の端部からの突出長L1は15〜50mmの長さとするのが好ましく、本実施形態では直線長さにして約45mmで突出している。細管52は、熱伝導部材70である例えばシリコーン樹脂を介してカバー体10の口金11が被される筒部13内面に当接しており、屈曲バルブ51の端部から細管先端52aまでの突出高さL1は約40mmである。
【0052】
主アマルガム60は、ビスマス(Bi)が50〜65質量%、錫(Sn)が35〜50質量%からなる合金を基体とし、この合金に対して水銀を12〜25質量%含有させたものである。
【0053】
そして、蛍光ランプ50は、バルブ51の高さが50〜60mm、放電路長が200〜350mm、バルブ51並設方向の最大幅が32〜43mmに形成されている。
【0054】
そして、蛍光ランプ50には、封入ガス比率が99%以上のアルゴンガスが封入圧力400〜800Paで封入される。
【0055】
以下、口金11側を上側、グローブ40側を下側として説明する。
【0056】
蛍光ランプ50は、蛍光ランプ50固定部材であり、また点灯装置30固定部材でもあるホルダ20に取り付けられ、このホルダ20がカバー体10の開口部12を覆うようにカバー体10に装着されている。また、ホルダ20には点灯装置30の回路基板31が嵌合手段(図示しない)により取り付けられている。点灯装置30は、水平状、すなわち蛍光ランプ50の長手方向と垂直に配置される円板状の回路基板31を備え、この回路基板31の両面すなわち口金11側である上面および蛍光ランプ50側である下面に、複数の部品(電気部品)が実装されて、高周波点灯を行なうインバータ回路(高周波点灯回路)が構成されている。
【0057】
回路基板31には、直径約6mmの挿通部としての円径状の挿通孔32が形成されており、この挿通孔32を介して細管先端部52aが口金11側まで延在している。回路基板32の一面側には、平滑用電解コンデンサ30aや、インダクタ、トランス、抵抗やフィルムコンデンサなどからなる電子部品の大部分が実装されている。回路基板32の蛍光ランプ50側の他面には、電界効果形トランジスタ(FET)や整流ダイオード(REC)、チップ抵抗など、比較的耐熱温度が高い小形電子素子が実装されている。平滑用電解コンデンサ30aは、電界効果形トランジスタ、トランス、限流インダクタ、抵抗、共振コンデンサなどの発熱量が比較的多い電子部品よりもその先端部が口金11側に突出している。主アマルガム60は、電解コンデンサ30aを除く電子部品よりも口金11側である電解コンデンサ30aに隣接して位置するように細管52内に収容されている。このとき、主アマルガム60は回路基板32の口金11側の面からの距離が約40mmになるように離間している。
【0058】
そして、カバー体10は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂などにて形成されたカバー本体10を備えている。そして、このカバー本体10は、下方に拡開する略筒状をなし、上方には、E26形などの口金11が被せられる筒部13を有し、接着剤またはかしめなどにより固定されている。
【0059】
また、グローブ40は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、定格電力60W形相当の一般照明用電球のガラス球とほぼ同一形状の滑らかな曲面状に形成されているとともに、開口部の縁部には、カバー体10の下端の開口部12の内側に嵌合する嵌合縁部が形成されている。なお、このグローブ40は、拡散膜などの別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上することもできる。
【0060】
回路基板32は、略円板状で、蛍光ランプ50の最大幅 の1.2倍以下の直径(最大幅寸法)に形成されている。
【0061】
そして、点灯装置30は、7〜15Wのランプ電力により蛍光ランプ50内の電流密度(断面積当たりの電流)が3〜5 mA/mm2で点灯させるように構成されている。本実施形態の電球形蛍光ランプは、入力電力定格12Wで、蛍光ランプ50には、10.5Wの電力の高周波で加わり、ランプ電流は190mA、ランプ電圧は58Vとなり、蛍光ランプ50からの光出力により全光束が約810lmとなっている。
【0062】
このように規定された電球形蛍光ランプを、一般照明用電球の照明器具に用いた場合、電球形蛍光ランプの配光が一般照明用電球の配光に近似することで、照明器具内に配設されたソケット近傍の反射体への光照射量が十分に確保され、反射体の光学設計どおりの器具特性を得ることができる。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。図3は、本実施形態の温度分布を示す概略断面図である。この温度分布の測定条件は、周囲温度を25℃の無風状態にて口金上向き点灯とした。このとき、電球形蛍光ランプは入力電力12.1Wの約1割が点灯回路で消費されている。
【0064】
各部の温度はそれぞれ次のとおりであった。アマルガム60近傍の細管先端52a温度T1は55℃、口金11の内側空間温度T2は53℃、カバー体10中央の空間温度(発熱部品の上端が位置する空間温度)T3は62℃、回路基板32の上面温度T4は98℃、カバー体10の外面の上部温度T5は62℃、中間部温度T6は62℃、バルブ51の電極近傍温度T7は158℃、陽光柱温度T8は136℃、屈曲部温度T9は106℃、グローブ40外面の上部温度T10は81℃、最大外径部温度T11は60℃、頂部温度T12は57℃。
【0065】
このように、点灯装置30の近傍は、主発熱要素である蛍光ランプ50の上部に位置するために温度が高くなる。これは熱が上部方向および外径方向へと拡散すること、および点灯装置30のうち主たる発熱部品であるバラスト巻線やトランジスタの近傍には高温の空間ができることを意味している。このような高温領域に実装された部品群よりも口金11側のカバー体10内の空間は比較的温度が低く、この空間に主アマルガム60を位置させることによって、主アマルガム60の温度を低下させている。これは、カバー体10内の空気がよどんでおり、カバー体10内の対流があまり起こっていないため、点灯装置30の主要部品よりも口金11側付近は比較的温度が低くなるためと考えられる。主アマルガム60に近接する電解コンデンサはほとんど発熱しない部品であり、また口金近傍の内部は50〜60℃程度である。ちなみに、主アマルガム60が封入された細管52の突出長が約10mmの蛍光ランプ50を備えた従来例(ショートチップ方式)の主アマルガム60の温度を測定したところ約90℃であった。このように、本実施形態のように主アマルガム60を口金11側に配置させたロングチップ方式では、主アマルガム60の温度を約30〜40℃低減する効果がある。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
図5は、第2実施形態の電球形蛍光ランプを示す一部切欠き断面図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
本実施形態の電球形蛍光ランプは、第一の実施形態とほぼ同様の水銀蒸気圧特性を有する主アマルガム60が封入された細管52の突出長は約10mmの従来通りの構造(ショートチップ方式)である。
【0069】
この細管52とカバー体10の筒部13の間は、熱伝導部材70である熱伝導性の良い例えば銅線などにより熱的に接触しており、屈曲バルブ51端部の細管根元付近から熱伝導部材70のほぼ全域にわたりシリコーンチューブからなる断熱手段80により覆われている。主アマルガム60封入用の細管52が熱伝導部材70によりカバー体10に接続され、かつこれらを断熱手段80で覆っているので、カバー体10内空間中比較的温度が高い電極近傍、および発熱部品により温められた熱影響を受けることなく主アマルガム60を最適温度に保つことができる。細管52は、安定点灯時98℃まで上昇するカバー体10内の回路基板32側にも位置しているが、断熱手段80により覆われておりさらに細管52は、熱伝導部材である銅線を介して口金11と熱的に接続しているので、点灯中のカバー体10内温度が高くなっていても、細管52部分は温度が低く保たれているため、水銀蒸気圧の高いアマルガム60を使用することが可能となる。したがって、安定点灯時の光出力が損われることが抑制され、光束立上り特性が向上する。また、断熱手段80は、薄肉のガラス管からなる細管52は、外部からの衝撃に弱く、それら衝撃から保護する緩衝材としても作用することも考えられる。
【0070】
さらに、細管52は排気管として使用されるものであり、第1の実施形態で使用された細管52はガラスバルブ51の製造時に使用された後、端部付近でチップオフされているため、バルブ51の端部から突出しているのは実質的に細管52のみとなり、ホルダ20と蛍光ランプ50との距離を小さくできるので、電球形蛍光ランプの高さ寸法を短くすることが可能である。
【0071】
なお、本実施形態の電球形蛍光ランプの、主アマルガム60を封入したが、亜鉛(Zn)アマルガムからなる水銀封入構体としての定量封入用水銀ペレットなど使用して蛍光ランプ50内に水銀を封入したものであっても同等の効果が得られる。
【0072】
また、細管52とカバー体10内面を熱的に接続する熱伝導部材70は、熱劣化せず、空気よりも熱伝導性が良い材料であれば、シリコーン樹脂の他に金属類などの使用も可能である。
【0073】
細管52および熱伝導部材70を覆う断熱手段80はシリコーンチューブ他にガラスウールなどが考えられる。
【0074】
次に本発明の一実施形態である照明器具を図6を用いて説明する。図6は本発明の照明器具の一実施形態を示す断面概略図である。図において61は電球形蛍光ランプ、60は埋め込み形照明器具本体である。器具本体60は、基体62と反射板63などより構成されている。
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、バルブ端部から突出する細管の先端部を口金側部位まで延出し、点灯中比較的温度が低いカバー体内に接触させているので、細管の先端部が点灯中最も高温となるバルブの熱影響を受けにくくなって、比較的温度の低い状態となり、水銀蒸気圧の上昇に伴って光出力特性が損なわれることが抑制される。さらに、消灯時の温度状態における水銀蒸気圧を高くすることが可能となり、点灯直後の光束立上り特性を向上させることができる。
【0075】
請求項2記載の発明によれば、細管内に先端部分に封入した主アマルガムを、周囲温度が40〜65℃であるカバー体内空間に配置しているので、主アマルガムを所定温度に保つことができるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガムを使用することが可能となり、光束立ち上がり特性を改善することができる。
【0076】
請求項3記載の発明によれば、細管の先端部分に熱伝導部材が配設されているので、効率よくカバー体内の熱をカバー体に伝導させることができ、細管の先端部の温度の過剰上昇を規制することができ、発光効率を向上することができる。
【0077】
請求項4記載の発明によれば、細管と熱伝導部材を断熱手段により覆っているので、点灯中高温となる蛍光ランプおよびカバー体内の比較的温度が高い部分からの熱影響を受けることが抑制され、細管の先端部を最適温度に保つことができる。
【0078】
請求項5記載の発明によれば、基板が蛍光ランプの全端部を覆う状態でカバー体に装着され、細管が基板に形成された挿通部を介して口金側に延在されているので、カバー体内の口金側の空間の温度を上昇させることなく細管の先端部を口金側に位置させることができるので、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0079】
請求項6記載の発明によれば、グローブ付の電球形蛍光ランプであっても消灯時の水銀蒸気圧を高くすることが可能となり、光束立上り特性の改善効果が顕著となる。
【0080】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の電球形蛍光ランプの作用を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電球形蛍光ランプの一部断面図。
【図2】図1の電球形蛍光ランプの発光管の構造を説明する展開図。
【図3】図1の電球形蛍光ランプの点灯時の温度分布を説明する概略断面図。
【図4】第2の実施形態の電球形蛍光ランプの一部断面図。
【図5】本実施の形態照明器具の一実施形態を示す側面一部断面図。
【符号の説明】
10…カバー体、30…点灯装置、30a…電解コンデンサ、
40…グローブ、50…蛍光ランプ、60…主アマルガム、
70…熱伝導部材、70…断熱手段
Claims (7)
- 屈曲形バルブを有する蛍光ランプと;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を蛍光ランプに供給する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に蛍光ランプを保持する保持部を有し、点灯装置を収容したカバー体と;
上記蛍光ランプの屈曲バルブ端部から突出し、先端部がカバー体の口金側部位に熱的に接続するように延出している細管と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 細管の先端部に主アマルガムが位置するように封入されており、主アマルガムは、通常点灯時にカバー体内の周囲温度が40〜65℃となるカバー体の内側空間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
- 前記細管の先端部の少なくとも一部にカバー体内面と熱的に接続するための熱伝導部材が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載の電球形蛍光ランプ。
- 屈曲形バルブを有する蛍光ランプと;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を蛍光ランプに供給する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に蛍光ランプを保持する保持部を有し、点灯装置を収容したカバー体と;
上記蛍光ランプの屈曲バルブ端部から突出し、その先端部に主アマルガムが封入された細管と;
上記細管の少なくとも一部とカバー体内面と熱的に接続されるように設けられた熱伝導部材と;
上記細管および熱伝導部材の大部分を覆っている断熱手段と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 基板は蛍光ランプの全端部を覆うようにカバー体に装着されており、細管は基板に形成された挿通部を介してカバー体の口金側に延出していることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 蛍光ランプはカバー体に装着されたグローブに覆われていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 請求項1ないし6いずれか一記載の蛍光ランプと;
この蛍光ランプが装着された器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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