JP2004055169A - 積層型電池を用いた組電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層型電池個々の封止部分の密封性を確保しつつ、組電池化した場合の全体をコンパクト化する。
【解決手段】正極板と負極板との間にセパレータを介在させた発電要素の両面を第1,第2ラミネートフィルム12,13で覆い、その周縁部同士を内部に電解液を封入しつつ接合して積層型電池10を構成する。この積層型電池10を複数積層して組電池1を構成する。複数積層した積層型電池10を全体的に外部ケース18に収納し、積層型電池10の第1,第2ラミネートフィルム12,13の封止部分17に、外部ケース18に支持した状態で加圧力を付加する弾性部材からなる加圧部材20を設ける。
【選択図】   図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極板と負極板との間にセパレータを介在させて発電要素とした積層型電池を用いた組電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の排ガスによる大気汚染が世界的な問題となっている中で、電気を動力源とする電気自動車や、エンジンとモータを組み合わせて走行するハイブリッドカーが注目を集めており、これらに搭載する高エネルギ密度、高出力密度となる高出力型電池の開発が産業上重要な位置を占めている。
【0003】
このような高出力型電池としては例えばリチウムイオン電池があり、この場合、正極板と負極板との間にセパレータを介在させて巻回した円筒型電池や、平板状の正極板と負極板とをセパレータを介在させつつ積層した積層型電池がある。
【0004】
後者の積層型電池では、扁平状で矩形状となった発電要素の両面を、外装材となる一対のラミネートフィルムにより挟み、その周縁部を熱溶着により接合して発電要素とともに電解液を密封している(特開平11−224652号公報参照)。
【0005】
ところで、このようにラミネートフィルムで外装した積層型電池は、電池性能の劣化を防止するために、熱溶着した封止部分の密封性を高めてこの封止部分からの電解液の漏液や水分の浸入を抑制する必要があり、従来の積層型電池では、その電池単体を1個ずつ前記外装材を覆う外部ケースに収納している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、積層電池として大電流あるいは大容量を得るために、積層型電池を複数積層して組電池化する場合があり、このように組電池化した場合、積層型電池を外部ケースに収納した状態で複数積層することになる。
【0007】
このため、組電池化した場合の積層型電池は個々に外部ケースを備えることになり、この外部ケースが余分なスペースを占有して組電池化した場合の体積効率が悪化し、組電池の大型化を招く。
【0008】
そこで、本発明は、積層型電池個々の封止部分の密封性を確保しつつ、組電池化した場合の全体をコンパクト化することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電池を用いた組電池は、正極板と負極板との間にセパレータを介在しつつ積層した発電要素の両面をラミネートフィルムで構成した外装材で覆い、その周縁部同士を内部に電解液を封入しつつ接合して密封した積層型電池を備え、この積層型電池を複数積層して構成した積層型電池を用いた組電池において、前記複数積層した積層型電池を全体的に収納する外部ケースを設ける一方、互いに隣接する前記各積層型電池の外装材の封止部分相互間に、この封止部分に対して前記積層型電池の積層方向に加圧力を付加する加圧部材を設けてある。
【0010】
【発明の効果】
本発明の積層型電池を用いた組電池によれば、複数積層した積層型電池を全体的に外部ケースに収納したので、個々の積層型電池は外装材で密封した裸状態であるため、外部ケース内で積層した積層型電池の容積効率が高まり、ひいては外部ケースを含めた組電池全体をコンパクト化することができる。
【0011】
また、複数積層した積層型電池の外装材の封止部分は、加圧部材によって加圧力を付加するようにしたので、それぞれ封止部分は加圧部材の加圧力で密閉性が増大し、この封止部分からの漏液や水分の浸入を効果的に抑制して、電池性能の劣化を長期に亘って防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図5は、本発明の積層型電池を用いた組電池の第1実施形態を示している。図1は積層型電池の単体を示す平面図、図2は図1の拡大したA−A断面図、図3は外部ケースを透視して示す組電池の斜視図、図4は図3の要部を拡大したB−B断面図、図5は図3の拡大したC−C断面図である。
【0014】
この第1実施形態の組電池1を構成する積層型電池10は、図1,図2に示すように発電要素としての長方形状の積層電極11を、外装材としての長方形状の第1,第2ラミネートフィルム12,13の中央部間に配置し、これら第1,第2ラミネートフィルム12,13によって積層電極11の両面(図1中、表裏方向)を挟むようにして覆ってある。
【0015】
前記積層電極11は、図2に示すように、一方の第1ラミネートフィルム12に形成した収納凹部16に電解液とともに収納する。そして、この収納凹部16を覆うように平坦に形成した他方の第2ラミネートフィルム13を配置して、これら両方の第1,第2ラミネートフィルム12,13の周縁部12a,13aを熱溶着して接合することにより密封してある。
【0016】
前記積層電極11は、図2に示すように複数枚の正極板11A,11A…および負極板11B,11B…を、それぞれセパレータ11C,11C…を介在しつつ順次積層して構成してある。各正極板11A,11A…および各負極板11B,11B…は、正極リード11Dおよび負極リード11Eを介して正極タブ14および負極タブ15に接続し、これら正極タブ14および負極タブ15を第1,第2ラミネートフィルム12,13の対向する短辺側の封止部分17から外方に引き出している。
【0017】
そして、前記ラミネートフィルム12,13によって積層電極11を密封した積層型電池10は、図3に示すように複数を上下方向Xに積層(本実施形態では4段)するとともに、この積層した積層型電池10の長辺側を互いに隣接させた状態で積層方向と直交する左右方向Yに並列配置(本実施形態では6列)して組電池1を構成している。
【0018】
このように複数の積層型電池10,10…を4段・6列に積層した組電池1を全体的に外部ケース18に収納し、この外部ケース18内で各積層型電池10,10…を直列および/または並列に適宜接続している。なお、図3中で符号18aおよび18bは、外部に接続する正極端子および負極端子である。
【0019】
外部ケース18はアルミ板などで形成して所定の剛性を確保してあり、また、4段・6列に積層した積層型電池10,10…の上下端と外部ケース18との間にゴムシート19を介装して絶縁性を確保してある。
【0020】
前記組電池1を構成する積層型電池10としては、例えばリチウムイオン二次電池があり、この場合、正極板11A,11A,……を形成している正極の正極活物質として、リチウムニッケル複合酸化物、具体的には一般式LiNi1−xMxO(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Co,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物を含有する。
【0021】
また、正極はリチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質を含有することも可能である。リチウムニッケル複合酸化物以外の正極活物質としては、例えば一般式LiyMn2−zM’zO(但し、0.9≦y≦1.2、0.01≦z≦0.5であり、M’はFe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表される化合物であるリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。また、一般式LiCo1−xMxO(但し、0.01≦x≦0.5であり、MはFe,Ni,Mn,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの少なくとも一つである。)で表せる化合物であるリチウムコバルト複合酸化物を含有してもよい。
【0022】
リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物およびリチウムコバルト複合酸化物は、例えばリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気中において600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。なお、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物、硝酸塩、有機酸塩等からも同様に合成可能である。
【0023】
なお、リチウムニッケル複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物などの正極活物質の平均粒径は、30μm以下であることが好ましい。
【0024】
また、負極板11B,11B,……を形成している負極活物質としては、比表面積が0.05m/g以上、2m/g以下の範囲であるものを使用する。この範囲とすることにより、負極表面上におけるSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)の形成を充分に抑制することができる。
【0025】
負極活物質の比表面積が0.05m/g未満である場合、リチウムの出入り可能な場所が小さすぎるため、充電時において負極活物質中にドープされたリチウムが放電時において負極活物質中から充分に脱ドープされず、充放電効率が低下する。一方、負極活物質の比表面積が2m/gを越える場合、負極表面上におけるSEI形成を制御することができない。
【0026】
負極活物質としては、対リチウム電位が2.0V以下の範囲でリチウムをドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば何れも使用可能であり、具体的には難黒鉛化性炭素材料、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解黒鉛類、ピッチコークスやニードルコークスや石油コークスなどのコークス類、グラファイト、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラックなどの炭素質材料を使用することが可能である。
【0027】
また、リチウムと合金を形成可能な金属、およびその合金も使用可能であり、具体的には、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化スズ等の比較的低電位でリチウムをドープ・脱ドープする酸化物やその窒化物、3B族典型元素の他、SiやSnなどの元素、または例えばMxSi、MxSn(但し、式中MはSi又はSnを除く1つ以上の金属元素を表す。)で表されるSiやSnの合金などを使用することができる。これらの中でも、特にSiまたはSi合金を使用することが好ましい。
【0028】
さらに、電解液としては、電解質塩を非水溶媒に溶解して調製される液状のものの他、電解質塩を非水溶媒に溶解した溶液を高分子マトリクス中に保持させたポリマーゲル電解質であってもよい。
【0029】
非水電解質としてはポリマーゲル電解質を用いる場合、使用する高分子材料として、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0030】
非水溶媒としては、この種の非水電解質二次電池においてこれまで使用されている非水溶媒であれば何でも使用可能であり、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。なお、これらの非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0031】
特に、非水溶媒は不飽和カーボネートを含有することが好ましく、具体的には、ビニレンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロプロピリデンカーボネート、プロピリデンカーボネートなどを含有することが好ましい。また、これらの中でも、ビニレンカーボネートを含有することが最も好ましい。非水溶媒として不飽和カーボネートを含有することにより、負極活物質に生成するSEIの性状(保護膜の機能)に起因する効果が得られ、耐過放電特性がより向上すると考えられる。
【0032】
また、この不飽和カーボネートは電解質中に0.05重量%以上、5重量%以下の割合で含有されることが好ましく、特に0.5重量%以上、3重量%以下の割合で含有されることが最も好ましい。不飽和カーボネートの含有量を上記範囲とすることで、初期放電容量が高く、エネルギ密度の高い非水二次電池となる。
【0033】
電解質塩としては、イオン伝導性を示すリチウム塩であれば特に限定されることはなく、例えばLiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLiなどが使用可能である。これらの電解質塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0034】
前記組電池1を構成した複数の積層型電池10,10…は、図4,図5に示すように、積層方向である上下方向Xに隣接した積層型電池10の平坦な第2ラミネートフィルム13同士を互いに面方向に突き合わせ、それぞれの長辺側の封止部分17を互いに突き合わせて突き合わせ部分P0としている。
【0035】
なお、この第1実施形態では、第2ラミネートフィルム13同士を突き合わせる積層型電池10は、上下に4段に積層した中央側2段のみであり、その他の上下両端部に配置した積層型電池10は、第2ラミネートフィルム13を外方に向けて配置してある。
【0036】
したがって、4段に積層した積層型電池10,10…の上方2段および下方2段は、第1ラミネートフィルム12の外方に突出する収納凹部16の頂面同士を突き合わせた状態となっている。
【0037】
このとき、第1ラミネートフィルム12の突き合わせ面は接着することが好ましいが、接着しない場合でも外部ケース18によって位置ずれを防止することができる。
【0038】
ここで、本実施形態では図4,図5に示すように、前記第1,第2ラミネートフィルム12,13の封止部分17相互間に、前記外部ケース18に支持した状態で加圧力を付加する加圧部材20を設けてある。
【0039】
加圧部材20は、前記封止部分17の短辺側および長辺側を含む全周に沿って配置してある。また、この第1実施形態での加圧部材20は、左右方向(並列方向)Yに6列配列した一連の積層型電池10全体で連続する梯子状に形成し、図4に示すように並列方向に隣接する積層型電池10相互間で共有している。
【0040】
もちろん、加圧部材20は、各積層型電池10毎に独立させたものでもよく、この場合、加圧部材20を封止部分17の外周形状に沿って連続した矩形状として形成してもよく、または、各辺毎に独立させて形成してもよい。
【0041】
このとき、積層した中央側2段の積層型電池10では、平坦状に形成した第2ラミネートフィルム13同士を互いに面方向に突き合わせ、それぞれの長辺側の封止部分17を互いに突き合わせてあるが、この突き合わせた封止部分17,17の両面に前記加圧部材20を配置している。
【0042】
そして、このように前記中央側2段の封止部分17の両面に配置した加圧部材20は、上下両端部の積層型電池10の封止部分17との間に、弾性的に圧縮された状態で配置される。
【0043】
したがって、上下両端部の封止部分17と中央側2段の封止部分17との間に圧縮状態で配置した加圧部材20には、図4,図5中で上下方向に伸張しようとする復元力が発生する。この復元力は、上下両端部の封止部分17が外部ケース18の上,下壁18c,18dで支持された状態で、各封止部分17を閉じる方向に作用する加圧力となる。
【0044】
つまり、前記加圧部材20の加圧力は、これの反力を外部ケース18で受け止めた状態で、上下4段に積層した積層型電池10のそれぞれの封止部分17を密閉する方向に作用する。
【0045】
なお、実際は外部ケース18内に、下端部の積層型電池10、加圧部材20、中央側2段の積層型電池10,10、加圧部材20、上端部の積層型電池10の順に入れ、外部ケース18の上壁18cとなる蓋体を圧力を付加しつつ閉止することにより、加圧部材20に加圧力を発生させるようにしている。
【0046】
また、前記加圧部材20による封止部分17への加圧力は、第1,第2ラミネートフィルム12,13の積層電極11を収納した内部圧力、つまり収納凹部16内に封入した電解液の圧力よりも大きくなるように設定してある。
【0047】
前記加圧部材20としては、所定の弾発力、つまり、封止部分17に充分な加圧力を付加することができる程度の弾発力を有する弾性部材、例えば合成樹脂、合成樹脂と金属とを交互に積層した積層体、または板ばねやスプリングを間に挟んだ金属板などによって構成することができる。
【0048】
また、前記加圧部材20は、熱伝導率の大きな部材で形成することが望ましく、この場合は金属を素材として選択するのが好ましいが、熱伝導率の高い合成樹脂を用いることもできる。
【0049】
以上の構成により、第1実施形態の積層型電池10を用いた組電池1は、複数積層した積層型電池10,10…を全体的に外部ケース18に収納して構成してあり、個々の積層型電池10,10…は第1,第2ラミネートフィルム12,13で単に密封した裸状態であるため、外部ケース18内で積層した積層型電池10,10…の容積効率を高め、ひいては外部ケース18を含めた組電池1全体をコンパクト化することができる。
【0050】
したがって、限られた空間、例えば自動車などへの積層型電池10の搭載効率を高めて、大電流や大容量の組電池1を提供できるようになる。
【0051】
また、積層した積層型電池10,10…の第1,第2ラミネートフィルム12,13の封止部分17は、加圧部材20によって外部ケース18に支持、つまり反力を受けた状態で加圧力が付加されているので、それぞれの封止部分17は加圧部材20の加圧力によって密閉性が増大し、この封止部分17から電解液の漏液や水分の浸入を効果的に抑制でき、電池性能の劣化を長期に亘って防止することができる。
【0052】
さらに、この第1実施形態の組電池1では、加圧部材20による封止部分17への加圧力を、第1,第2ラミネートフィルム12,13の積層電極11を収納した内部圧力よりも大きく設定してあるので、収納凹部16に封入した電解液が封止部分17から漏液するのを確実に防止することができる。
【0053】
また、加圧部材20は、所定の弾発力、つまり、封止部分17に充分な加圧力を付加することができる程度の弾発力を有する弾性部材で形成したので、長期間経過しても加圧力が低下するのを抑制でき、長期間に亘って入力される振動や温度・湿度などの環境の変化による密封性の低下を防止し、漏液や水分の浸入による電池性能の劣化を長期に亘って防止することができる。
【0054】
さらに、加圧部材20を、熱伝導率の大きな金属や合成樹脂などで形成したので、個々の積層型電池10で発生した熱を加圧部材20を介して外部ケース18側へと逃がし、そして、この外部ケース18から外方に放出することができるため、組電池1内部の放熱性を高めることができる。
【0055】
さらにまた、積層型電池10は、中央側2段の積層型電池10のように積層方向に隣接した第1,第2ラミネートフィルム12,13の平坦側、つまり第2ラミネートフィルム13を互いに面方向に突き合わせてそれぞれの封止部分17を互いに突き合わせ、この突き合わせ部分P0に加圧部材20を配置したので、突き合わせた封止部分17を両面の加圧部材20で同時に加圧することができる。これにより、加圧部材20の数を削減できるとともに、外部ケース18に収納する積層型電池10の容積効率を高め、組電池1のコンパクト化を図ることができる。
【0056】
図6は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0057】
図6は積層した積層型電池の封止部分に加圧部材を配置した状態を示す要部の拡大した断面図で、この第2実施形態の積層型電池を用いた組電池1aは、加圧部材20aに放熱用空洞部21を設けている。
【0058】
放熱用空洞部21は加圧部材20aの内部に形成してあり、その放熱用空洞部21の形状および数は、加圧部材20aによって封止部分17を加圧する機能を損なわない範囲で任意に形成することができる。この実施形態では、中央部上下に肉厚の加圧力伝達部分22を残した状態で、この加圧力伝達部分22の両側に上下2箇所づつ計4箇所の断面矩形状の放熱用空洞部21を形成してある。
【0059】
そして、この放熱用空洞部21は、外部ケース18(図3参照)の幅方向一面から対向面までを連続して貫通している。
【0060】
また、この第2実施形態では、左右方向Y(図3参照)に隣接する積層型電池10の封止部分17を互いに重ね合わせ、この重ね合わせ部分P1,P2に前記加圧部材20aを配置している。
【0061】
なお、P1は4段に積層した中央側2段の封止部分17の重ね合わせ部分で、P2は上下両端部の封止部分17の重ね合わせ部分である。
【0062】
この第2実施形態にあっても、前記第1実施形態と同様に上下に4段積層の中央側2段の積層型電池10では、第2ラミネートフィルム13同士を互いに面方向に突き合わせて、それぞれの長辺側の封止部分17を互いに突き合わせてある。
【0063】
そして、中央側2段の積層型電池10の重ね合わせ部分P1は、左右方向Yに隣接する一方の重なった封止部分17の上下両面を、他方の重なった封止部分17の先端部を上下に分離して挟み込んである。
【0064】
したがって、この第2実施形態の積層型電池10を用いた組電池1aでは、加圧部材20aに放熱用空洞部21を形成したので、この放熱用空洞部21を介して積層型電池10の発生熱をより効果的に放熱できるとともに、軽量化も達成できる。
【0065】
また、前記放熱用空洞部21は、外部ケース18の幅方向一面から対向面までを連続して貫通したので、積層型電池10の発生熱を効率良く外部ケース18に伝達し、ひいては、この外部ケース18からの放熱効果を高めて、外部ケース18内に収納した積層型電池10群の冷却を促進することができる。
【0066】
なお、さらに冷却効率を向上するために放熱用空洞部21に冷却液などを流してもよい。
【0067】
さらに、左右方向Yに隣接した積層型電池10の封止部分17を重ね合わせ部分P1,P2で互いに重ね合わせたので、外部ケース18内に収納する積層型電池10の容積効率を高め、組電池1aの並列方向Yのコンパクト化を促進することができる。
【0068】
ところで、本発明の積層型電池を用いた組電池は、第1,第2実施形態に例を取って説明したが、これに限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。例えば、第1実施形態の組電池1では、積層型電池10を4段積層し、かつ、6列並列する場合を示したが、積層型電池10の積層段数や左右方向の配列数はこれに限ることなく、必要とする電流や容量に応じて任意に選択することができる。
【0069】
また、図1,図2に示した積層型電池10では、対向する短辺部分から正極タブ14と負極タブ15をそれぞれ反対方向に引き出したが、この引き出し方向は特に限定されるものではなく、例えば、同一の辺からこれら両電極タブ14,15を平行に引き出したものにあっても本発明を適用することができる。
【0070】
さらに、積層型電池10としてはリチウムイオン二次電池に限ることなく、同様の構成となる他の電池にあっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における積層型電池の単体を示す平面図である。
【図2】図1の拡大したA−A断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における外部ケースを透視して示す組電池の斜視図である。
【図4】図3の要部を拡大したB−B断面図である。
【図5】図3の拡大したC−C断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態における積層した積層型電池の封止部分に加圧部材を配置した状態を示す要部の拡大した断面図である。
【符号の説明】
1,1a 組電池
10 積層型電池
11 積層電極(発電要素)
11A 正極板
11B 負極板
11C セパレータ
12 第1ラミネートフィルム(外装材)
13 第2ラミネートフィルム(外装材)
12a,13a 周縁部
16 収納凹部
17 封止部分
18 外部ケース
20,20a 加圧部材
21 放熱用空洞部
P0 突き合わせ部分
P1,P2 重ね合わせ部分

Claims (7)

  1. 正極板と負極板との間にセパレータを介在しつつ積層した発電要素の両面をラミネートフィルムで構成した外装材で覆い、その周縁部同士を内部に電解液を封入しつつ接合して密封した積層型電池を備え、この積層型電池を複数積層して構成した積層型電池を用いた組電池において、前記複数積層した積層型電池を全体的に収納する外部ケースを設ける一方、互いに隣接する前記各積層型電池の外装材の封止部分相互間に、この封止部分に対して前記積層型電池の積層方向に加圧力を付加する加圧部材を設けたことを特徴とする積層型電池を用いた組電池。
  2. 前記加圧部材による前記封止部分への加圧力は、前記外装材の前記発電要素を収納した内部圧力よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の積層型電池を用いた組電池。
  3. 前記加圧部材は、所定の弾発力を有する弾性部材であることを特徴とする請求項1または2記載の積層型電池を用いた組電池。
  4. 前記加圧部材は、熱伝導率の大きな部材で形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の積層型電池を用いた組電池。
  5. 前記加圧部材は、放熱用空洞部を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の積層型電池を用いた組電池。
  6. 複数積層した前記積層型電池を、この積層方向と直交する方向に複数並列配置し、この並列配置した各積層型電池の互いに隣接する前記外装材の封止部分を互いに重ね合わせ、この重ね合わせ部分に前記加圧部材を配置したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の積層型電池を用いた組電池。
  7. 前記ラミネートフィルムは、前記発電要素の片面を覆う部分に発電要素を収納する収納凹部を設ける一方、他面を覆う部分を平坦に形成して前記収納凹部の開口部分を覆い、前記各積層型電池の積層方向に隣接したラミネートフィルムの前記平坦側を互い面方向に突き合わせて、それぞれの封止部分を互いに突き合わせ、この突き合わせ部分に前記加圧部材を配置したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の積層型電池を用いた組電池。
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