JP2004055055A - 磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置内部の水蒸気の濃度を低くすることでより安定な性能を発揮する磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】孔6aに空気中の水分を吸収する性質を有するフィルタを用いることにより水蒸気を選択的に除去することで、塵埃、有害ガス等のみならず水蒸気の侵入を防ぎ、水蒸気が選択的に出て行くようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】孔6aに空気中の水分を吸収する性質を有するフィルタを用いることにより水蒸気を選択的に除去することで、塵埃、有害ガス等のみならず水蒸気の侵入を防ぎ、水蒸気が選択的に出て行くようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置に関するものであり、特に筐体内外の気圧を等しくするフィルタが空気中の水分子を選択的に出入りさせる手段を併せ持つという特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置は従来から図8に記載のようなものが提案されている。図8において、磁気ディスク媒体1が組み込まれたモーターユニット2、情報を記録するための磁気ヘッドを取り付けたテンションアームユニット3およびその他主要な構成部品は、筐体4に取り付けられている。カバー5には孔6aがあり、その孔6dにはフィルタ7dが接着剤等で取り付けられている。筐体4とカバー5の間にはシールドをするためのパッキン材8が取り付けられており、カバー5の上穴よりビス9で筐体4に締め付けられているので、筐体4内には外部からごみ等が入ってこないようになっている。 図8において、磁気ディスク媒体1が組み込まれた筐体4にフィルタ7dが貼られた孔6dが開口され、この孔6dを通して筐体4外部と内部の空気が流通する。
【0003】
磁気ディスク装置では磁気ディスク媒体に情報を記録しているが、近年では記録密度向上のために記録媒体として塗布媒体や薄膜金属媒体が使用され、さらに磁気ディスク表面からの磁気ヘッドの浮上量を極力小さく抑えたものが検討されている。
【0004】
上述した従来の磁気ディスク装置は、筐体内部と外気との温度差等によって圧力差を生じ、筐体が変形するのを避けるため、筐体の上面部には呼吸フィルタ7aが取り付けられている。この呼吸フィルタには、通常、不織布からなるフィルタなどが組み込まれており、筐体の空気と外気との流通をはかって圧力差を解消するとともに、外部からの塵埃の侵入を防止している。
【0005】
筐体内部の湿度がある程度高いと、記録媒体において、塗布媒体の場合ではヘッドの吸着、薄膜金属媒体の場合では磁性体が非酸化物であるため腐食するという問題が発生する。さらに、磁気ディスク表面からの磁気ヘッドの浮上量が極力抑えられていると、局部的な結露が発生して磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着して動作不能となる場合がある。そのために、筐体内部にシリカゲル等の乾燥剤を収容したケース等を配置しているものが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、磁気ディスク装置は、高速化、大容量化、小型化の要求が高く、それに伴い、狭スペースで十分な低湿度状態を維持できる除湿方法が望まれているが、従来筐体内に乾燥剤を封入する方式では、乾燥剤用のスペースを確保しなければならないという問題がある。
【0007】
また従来の磁気ディスク装置に使用されている呼吸フィルタの構成は、いわゆるフィルタのみ、もしくはフィルタと活性炭とを組み合わせたものなどからなっているが、空気中の水分の侵入を防ぐことはできない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の磁気ディスク装置は、情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするエアフィルタを備えている前記磁気ディスク装置において、前記フィルタが空気中の水分の透過選択性を有する膜からなることを特徴としたものである。
【0009】
本発明によれば、これら空気中の水分の透過選択性を有する膜を呼吸フィルタに用いることにより筐体内の気圧と大気圧を等しくし、かつ筐体内部に余分なスペースを取られることなく呼吸フィルタで磁気ディスク装置の動作に支障をきたすような空気中の水分、塵埃などの、筐体内部への外部からの侵入を抑えることが可能であり、より安定な磁気ディスク装置を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の磁気ディスク装置は、情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするためのエアフィルタを備えている磁気ディスク装置において、前記フィルタが水分透過選択性を有する膜からなることを特徴とする磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0011】
次に、本発明の請求項2に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが水分を吸収する性質を有する物質から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0012】
次に、本発明の請求項3に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混合して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0013】
次に、本発明の請求項4に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0014】
次に、本発明の請求項5に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタの取り付け孔部に撥液剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、かつ撥液剤を塗布することにより装置内部への空気中の水分の侵入を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0015】
次に、本発明の請求項6に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが水分を吸収する性質を有する物質から越す英されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及び有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0016】
次に、本発明の請求項7に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混入して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0017】
次に、本発明の請求項8に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0018】
次に、本発明の請求項9に記載の磁気ディスク装置は、前記撥液剤が水よりも低い表面張力を有することを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分等の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0019】
次に、本発明の請求項10に記載の磁気ディスク装置は、情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするエアフィルタを備えている前記磁気ディスク装置において、前記フィルタが少なくとも2箇所以上に配置され、かつフィルタの取り付け孔部に撥液剤を塗布することを特徴とする磁気ディスク装置であり、前記筐体内部へ乾燥空気が優先的に透過し、さらに筐体外部へ優先的に空気中の水分が透過し、かつ撥液剤を塗布することにより装置内部への空気中の水分の侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を押さえ、装置の安定化を実現しうるものである。
【0020】
次に、本発明の請求項11に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタのうち少なくとも1個は水分を吸収する性質を有する膜からなることを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及び有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0021】
次に、本発明の請求項12に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混入して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0022】
次に、本発明の請求項13に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0023】
次に、本発明の請求項14に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが少なくとも1個所は空気中の水分を選択的に透過する性質の膜であることを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部へ空気中の水分が優先的に透過することで、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの装置への影響を抑え、かつ筐体内の気圧と大気圧が等しくなることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0024】
次に、本発明の請求項15に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタの水蒸気透過係数が空気の透過係数よりも大きい膜であることを特徴とする請求項14に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0025】
次に、本発明の請求項16に記載の磁気ディスク装置は、前期撥液剤が水よりも表面張力の低い撥液剤を塗布することを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分等の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0026】
(実施の形態1)
以下に、本発明の請求項1から請求項4に記載された発明の実施の形態について、図1および図2を用いて説明する。
【0027】
図1において、磁気ディスク媒体1が組み込まれたモーターユニット2、情報を記録するための磁気ヘッドを取り付けたテンションアームユニット3およびその他主要な構成部品は、筐体4に取り付けられている。カバー5には孔6aがあり、その孔6aにはフィルタ7aが接着剤等で取り付けられており、このフィルタ7aには、空気中の水分を吸収する性質を有する膜が用いられている。水分を選択的に吸収する膜としては、アルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質の親水性および吸着性に着目して膜状に合成し、吸湿性膜としたものがある。また、アルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質をカルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの親水性高分子に混合して作製された膜も吸湿性膜としての特性を有することが知られている。この他にも、吸湿性高分子を膜状に合成し、吸湿性膜としたものもある。これらは架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリレートおよび架橋ポリアクリロニトリルなどが代表的なものであり、架橋ポリアクリル酸ナトリウムは鐘紡株式会社から、架橋ポリアクリレートおよび架橋ポリアクリロニトリルは東洋紡績株式会社から吸湿性繊維として市販されており、いずれも安価かつ簡便に吸湿性を有するフィルタを作製することができる。
【0028】
筐体4とカバー5の間にはシールドをするためのパッキン材8が取り付けられており、カバー5の上穴よりビス9で筐体4に締め付けられているので、筐体4内には外部からごみ等が入ってこないようになっている。 図1において、磁気ディスク媒体1が組み込まれた筐体4にフィルタ7aが貼られた孔6aが開口され、この孔6aを通して筐体4外部と内部の空気が流通する。
【0029】
図2は孔6aの断面図である。図2において、孔6aにはフィルタ7aが接着剤等によりカバー5に貼り付けられている。筐体4外部から空気中の水分がフィルタ7a表面に達すると、フィルタ7aは親水性であり、水分と膜分子とが吸着、あるいは親和する性質を有しているため空気中の水分を吸収することができる原理に従って、空気中の水分を選択的に吸収する。なお、本実施の形態においては、フィルタ7aが空気中の水分を選択的に吸収する性質の膜であれば、この原理に従わない膜でもよいことは言うまでもなく、膜素材も上述の物質に限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の請求項5から請求項9に記載された発明の実施の形態について図3および図4を用いて説明する。なお、前述した実施の形態と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0031】
図3において、孔6bにはフィルタ7bが貼られており、このフィルタ7bにはアルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質を膜状に合成したもの、アルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質をカルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの親水性高分子に混合して作製したもの、あるいは吸湿性高分子である架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリロニトリルなどを膜状に合成し、吸湿性膜としたものなどの空気中の水分を吸収する性質を有する膜が用いられている。
【0032】
図4は孔6bの断面図である。図4において、孔6bにはフィルタ7bが接着剤等によりカバー5に貼り付けられている。筐体4外部から空気中の水分がフィルタ7b表面に達すると、フィルタ7bは親水性であり、水分と膜分子とが吸着、あるいは親和する性質を有しているため空気中の水分を吸収することができる原理に従って、空気中の水分を選択的に吸収する。
【0033】
さらに孔6bには撥液剤10が塗布されている。通常、撥液剤は表面張力の低い物質を被処理物に塗布し、被処理物の表面張力を著しく低下させることにより対象物質を弾く作用を有するものであり、従って撥水剤は空気中の水分よりも表面張力の低い物質を用いる必要があり、このことによりいわゆる撥水状態となり、フィルタ7bが吸収した空気中の水分が筐体4内部に入ってこないようにすることが可能である。
【0034】
なお、本実施の形態においては、撥液剤が空気中の水分を弾く性質のものであればよく、またフィルタ7bが空気中の水分を選択的に吸収する性質の膜であれば、この原理に従わない膜でもよいことは言うまでもなく、膜素材も上述の物質に限定されるものではない。
【0035】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の請求項10から請求項16に記載された発明の実施の形態について、図5、図6、図7を用いて説明する。 なお、前述した実施の形態と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0036】
図5において、磁気ディスク媒体1が組み込まれた筐体4にフィルタ7bおよびフィルタ7cが貼られた孔6bおよび6cが開口され、この孔6bおよび6cを通して筐体4外部と内部の空気が流通する。
図6は孔6cの断面図である。図5において、孔6cにはフィルタ7cが貼られており、このフィルタ7cには水分を選択的に透過する膜が用いられている。水分を選択的に透過する膜としては、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン等が代表的な透過膜として知られている。これらは水蒸気の溶解と拡散機構、すなわち水蒸気が膜内に溶解し、膜中での濃度勾配により拡散し透過するという機構によって水蒸気分離性を有すると考えられている。
【0037】
膜材料の分離機能は一般的にP=D×Sで定義され、ここでPとは透過係数〔cm3(STP)cm/cm2・s・cmHg〕、Dとは拡散係数〔cm2/s〕、Sとは溶解度係数〔cm3(STP)cm/cm3〕である。SとDは分離膜素材と水蒸気との間の物質定数的なものであり、膜素材としてはPが大きいことが望ましい。従ってこれらの観点から上述した材料が水分透過膜として用いられることが多く、これらを用いれば安価かつ簡便に水分透過性を有するフィルタを作製することができる。こうして筐体4外部に選択的に水分が透過することにより、筐体内部の相対湿度が低い磁気ディスク装置が得られる。なお、本実施の形態においては、撥液剤が空気中の水分を弾く性質のものであればよく、またフィルタ7cが空気中の水分を選択的に透過する性質の膜であれば何でもよいことは言うまでもなく、膜素材も上述の物質に限定されるものではない。
【0038】
図7はフィルタ7cの空気中の水分分離の原理を示した図である。フィルタ7cは非多孔質膜から構成されており、空気中の水分がフィルタ7cに達すると微量ながらフィルタ7c表面に空気中の水分が溶解し、界面で平衡に達する。溶解した空気中の水分はフィルタ7c内部に拡散していき、フィルタ7cの反対側に達して脱着していく。この溶解と拡散によって透過させたい空気中の水分子11を膜の反対側に選択的に透過し、その他のガス分子12を選択的に透過しないようにすることができ、いわゆる空気中の水分を分離することが可能であり、筐体4内部の水分が外部に選択的に透過していくよう制御できる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明の磁気ディスク装置によれば、空気中の水分透過選択性膜を磁気ディスク装置に用いることで、装置の能力をそのままにして、より安定な磁気ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ディスク装置の一実施例を示す斜視図
【図2】図1の孔6aを示す部分断面図
【図3】本発明の磁気ディスク装置の一実施例を示す斜視図
【図4】図2の孔6bを示す部分断面図
【図5】本発明の磁気ディスク装置の一実施例を示す斜視図
【図6】図4の孔6bを示す部分断面図
【図7】フィルタ7cの空気中の水分分離の原理を示す図
【符号の説明】
1 磁気ディスク媒体
2 モーターユニット
3 テンションアームユニット
4 筐体
5 カバー
6a 孔
6b 孔
6c 孔
6d 孔
7a フィルタ
7b フィルタ
7c フィルタ
7d フィルタ
8 パッキン材
9 ビス
10 撥液剤
11 空気中の水分分子
12 その他のガス分子
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置に関するものであり、特に筐体内外の気圧を等しくするフィルタが空気中の水分子を選択的に出入りさせる手段を併せ持つという特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置は従来から図8に記載のようなものが提案されている。図8において、磁気ディスク媒体1が組み込まれたモーターユニット2、情報を記録するための磁気ヘッドを取り付けたテンションアームユニット3およびその他主要な構成部品は、筐体4に取り付けられている。カバー5には孔6aがあり、その孔6dにはフィルタ7dが接着剤等で取り付けられている。筐体4とカバー5の間にはシールドをするためのパッキン材8が取り付けられており、カバー5の上穴よりビス9で筐体4に締め付けられているので、筐体4内には外部からごみ等が入ってこないようになっている。 図8において、磁気ディスク媒体1が組み込まれた筐体4にフィルタ7dが貼られた孔6dが開口され、この孔6dを通して筐体4外部と内部の空気が流通する。
【0003】
磁気ディスク装置では磁気ディスク媒体に情報を記録しているが、近年では記録密度向上のために記録媒体として塗布媒体や薄膜金属媒体が使用され、さらに磁気ディスク表面からの磁気ヘッドの浮上量を極力小さく抑えたものが検討されている。
【0004】
上述した従来の磁気ディスク装置は、筐体内部と外気との温度差等によって圧力差を生じ、筐体が変形するのを避けるため、筐体の上面部には呼吸フィルタ7aが取り付けられている。この呼吸フィルタには、通常、不織布からなるフィルタなどが組み込まれており、筐体の空気と外気との流通をはかって圧力差を解消するとともに、外部からの塵埃の侵入を防止している。
【0005】
筐体内部の湿度がある程度高いと、記録媒体において、塗布媒体の場合ではヘッドの吸着、薄膜金属媒体の場合では磁性体が非酸化物であるため腐食するという問題が発生する。さらに、磁気ディスク表面からの磁気ヘッドの浮上量が極力抑えられていると、局部的な結露が発生して磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着して動作不能となる場合がある。そのために、筐体内部にシリカゲル等の乾燥剤を収容したケース等を配置しているものが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、磁気ディスク装置は、高速化、大容量化、小型化の要求が高く、それに伴い、狭スペースで十分な低湿度状態を維持できる除湿方法が望まれているが、従来筐体内に乾燥剤を封入する方式では、乾燥剤用のスペースを確保しなければならないという問題がある。
【0007】
また従来の磁気ディスク装置に使用されている呼吸フィルタの構成は、いわゆるフィルタのみ、もしくはフィルタと活性炭とを組み合わせたものなどからなっているが、空気中の水分の侵入を防ぐことはできない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の磁気ディスク装置は、情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするエアフィルタを備えている前記磁気ディスク装置において、前記フィルタが空気中の水分の透過選択性を有する膜からなることを特徴としたものである。
【0009】
本発明によれば、これら空気中の水分の透過選択性を有する膜を呼吸フィルタに用いることにより筐体内の気圧と大気圧を等しくし、かつ筐体内部に余分なスペースを取られることなく呼吸フィルタで磁気ディスク装置の動作に支障をきたすような空気中の水分、塵埃などの、筐体内部への外部からの侵入を抑えることが可能であり、より安定な磁気ディスク装置を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の磁気ディスク装置は、情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするためのエアフィルタを備えている磁気ディスク装置において、前記フィルタが水分透過選択性を有する膜からなることを特徴とする磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0011】
次に、本発明の請求項2に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが水分を吸収する性質を有する物質から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0012】
次に、本発明の請求項3に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混合して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0013】
次に、本発明の請求項4に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0014】
次に、本発明の請求項5に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタの取り付け孔部に撥液剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、かつ撥液剤を塗布することにより装置内部への空気中の水分の侵入を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0015】
次に、本発明の請求項6に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが水分を吸収する性質を有する物質から越す英されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及び有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0016】
次に、本発明の請求項7に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混入して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0017】
次に、本発明の請求項8に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0018】
次に、本発明の請求項9に記載の磁気ディスク装置は、前記撥液剤が水よりも低い表面張力を有することを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分等の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0019】
次に、本発明の請求項10に記載の磁気ディスク装置は、情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするエアフィルタを備えている前記磁気ディスク装置において、前記フィルタが少なくとも2箇所以上に配置され、かつフィルタの取り付け孔部に撥液剤を塗布することを特徴とする磁気ディスク装置であり、前記筐体内部へ乾燥空気が優先的に透過し、さらに筐体外部へ優先的に空気中の水分が透過し、かつ撥液剤を塗布することにより装置内部への空気中の水分の侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を押さえ、装置の安定化を実現しうるものである。
【0020】
次に、本発明の請求項11に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタのうち少なくとも1個は水分を吸収する性質を有する膜からなることを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及び有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0021】
次に、本発明の請求項12に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混入して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0022】
次に、本発明の請求項13に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0023】
次に、本発明の請求項14に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタが少なくとも1個所は空気中の水分を選択的に透過する性質の膜であることを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部へ空気中の水分が優先的に透過することで、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの装置への影響を抑え、かつ筐体内の気圧と大気圧が等しくなることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0024】
次に、本発明の請求項15に記載の磁気ディスク装置は、前記フィルタの水蒸気透過係数が空気の透過係数よりも大きい膜であることを特徴とする請求項14に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分及びその他の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0025】
次に、本発明の請求項16に記載の磁気ディスク装置は、前期撥液剤が水よりも表面張力の低い撥液剤を塗布することを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置であり、筐体外部からの空気中の水分等の有害ガスの筐体内部への侵入を抑えることにより、磁気ディスク装置への悪影響を抑え、装置の安定化を実現しうるものである。
【0026】
(実施の形態1)
以下に、本発明の請求項1から請求項4に記載された発明の実施の形態について、図1および図2を用いて説明する。
【0027】
図1において、磁気ディスク媒体1が組み込まれたモーターユニット2、情報を記録するための磁気ヘッドを取り付けたテンションアームユニット3およびその他主要な構成部品は、筐体4に取り付けられている。カバー5には孔6aがあり、その孔6aにはフィルタ7aが接着剤等で取り付けられており、このフィルタ7aには、空気中の水分を吸収する性質を有する膜が用いられている。水分を選択的に吸収する膜としては、アルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質の親水性および吸着性に着目して膜状に合成し、吸湿性膜としたものがある。また、アルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質をカルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの親水性高分子に混合して作製された膜も吸湿性膜としての特性を有することが知られている。この他にも、吸湿性高分子を膜状に合成し、吸湿性膜としたものもある。これらは架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリレートおよび架橋ポリアクリロニトリルなどが代表的なものであり、架橋ポリアクリル酸ナトリウムは鐘紡株式会社から、架橋ポリアクリレートおよび架橋ポリアクリロニトリルは東洋紡績株式会社から吸湿性繊維として市販されており、いずれも安価かつ簡便に吸湿性を有するフィルタを作製することができる。
【0028】
筐体4とカバー5の間にはシールドをするためのパッキン材8が取り付けられており、カバー5の上穴よりビス9で筐体4に締め付けられているので、筐体4内には外部からごみ等が入ってこないようになっている。 図1において、磁気ディスク媒体1が組み込まれた筐体4にフィルタ7aが貼られた孔6aが開口され、この孔6aを通して筐体4外部と内部の空気が流通する。
【0029】
図2は孔6aの断面図である。図2において、孔6aにはフィルタ7aが接着剤等によりカバー5に貼り付けられている。筐体4外部から空気中の水分がフィルタ7a表面に達すると、フィルタ7aは親水性であり、水分と膜分子とが吸着、あるいは親和する性質を有しているため空気中の水分を吸収することができる原理に従って、空気中の水分を選択的に吸収する。なお、本実施の形態においては、フィルタ7aが空気中の水分を選択的に吸収する性質の膜であれば、この原理に従わない膜でもよいことは言うまでもなく、膜素材も上述の物質に限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の請求項5から請求項9に記載された発明の実施の形態について図3および図4を用いて説明する。なお、前述した実施の形態と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0031】
図3において、孔6bにはフィルタ7bが貼られており、このフィルタ7bにはアルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質を膜状に合成したもの、アルミナ質もしくはゼオライトに代表されるアルミノケイ酸質をカルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの親水性高分子に混合して作製したもの、あるいは吸湿性高分子である架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリロニトリルなどを膜状に合成し、吸湿性膜としたものなどの空気中の水分を吸収する性質を有する膜が用いられている。
【0032】
図4は孔6bの断面図である。図4において、孔6bにはフィルタ7bが接着剤等によりカバー5に貼り付けられている。筐体4外部から空気中の水分がフィルタ7b表面に達すると、フィルタ7bは親水性であり、水分と膜分子とが吸着、あるいは親和する性質を有しているため空気中の水分を吸収することができる原理に従って、空気中の水分を選択的に吸収する。
【0033】
さらに孔6bには撥液剤10が塗布されている。通常、撥液剤は表面張力の低い物質を被処理物に塗布し、被処理物の表面張力を著しく低下させることにより対象物質を弾く作用を有するものであり、従って撥水剤は空気中の水分よりも表面張力の低い物質を用いる必要があり、このことによりいわゆる撥水状態となり、フィルタ7bが吸収した空気中の水分が筐体4内部に入ってこないようにすることが可能である。
【0034】
なお、本実施の形態においては、撥液剤が空気中の水分を弾く性質のものであればよく、またフィルタ7bが空気中の水分を選択的に吸収する性質の膜であれば、この原理に従わない膜でもよいことは言うまでもなく、膜素材も上述の物質に限定されるものではない。
【0035】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の請求項10から請求項16に記載された発明の実施の形態について、図5、図6、図7を用いて説明する。 なお、前述した実施の形態と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0036】
図5において、磁気ディスク媒体1が組み込まれた筐体4にフィルタ7bおよびフィルタ7cが貼られた孔6bおよび6cが開口され、この孔6bおよび6cを通して筐体4外部と内部の空気が流通する。
図6は孔6cの断面図である。図5において、孔6cにはフィルタ7cが貼られており、このフィルタ7cには水分を選択的に透過する膜が用いられている。水分を選択的に透過する膜としては、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン等が代表的な透過膜として知られている。これらは水蒸気の溶解と拡散機構、すなわち水蒸気が膜内に溶解し、膜中での濃度勾配により拡散し透過するという機構によって水蒸気分離性を有すると考えられている。
【0037】
膜材料の分離機能は一般的にP=D×Sで定義され、ここでPとは透過係数〔cm3(STP)cm/cm2・s・cmHg〕、Dとは拡散係数〔cm2/s〕、Sとは溶解度係数〔cm3(STP)cm/cm3〕である。SとDは分離膜素材と水蒸気との間の物質定数的なものであり、膜素材としてはPが大きいことが望ましい。従ってこれらの観点から上述した材料が水分透過膜として用いられることが多く、これらを用いれば安価かつ簡便に水分透過性を有するフィルタを作製することができる。こうして筐体4外部に選択的に水分が透過することにより、筐体内部の相対湿度が低い磁気ディスク装置が得られる。なお、本実施の形態においては、撥液剤が空気中の水分を弾く性質のものであればよく、またフィルタ7cが空気中の水分を選択的に透過する性質の膜であれば何でもよいことは言うまでもなく、膜素材も上述の物質に限定されるものではない。
【0038】
図7はフィルタ7cの空気中の水分分離の原理を示した図である。フィルタ7cは非多孔質膜から構成されており、空気中の水分がフィルタ7cに達すると微量ながらフィルタ7c表面に空気中の水分が溶解し、界面で平衡に達する。溶解した空気中の水分はフィルタ7c内部に拡散していき、フィルタ7cの反対側に達して脱着していく。この溶解と拡散によって透過させたい空気中の水分子11を膜の反対側に選択的に透過し、その他のガス分子12を選択的に透過しないようにすることができ、いわゆる空気中の水分を分離することが可能であり、筐体4内部の水分が外部に選択的に透過していくよう制御できる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明の磁気ディスク装置によれば、空気中の水分透過選択性膜を磁気ディスク装置に用いることで、装置の能力をそのままにして、より安定な磁気ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ディスク装置の一実施例を示す斜視図
【図2】図1の孔6aを示す部分断面図
【図3】本発明の磁気ディスク装置の一実施例を示す斜視図
【図4】図2の孔6bを示す部分断面図
【図5】本発明の磁気ディスク装置の一実施例を示す斜視図
【図6】図4の孔6bを示す部分断面図
【図7】フィルタ7cの空気中の水分分離の原理を示す図
【符号の説明】
1 磁気ディスク媒体
2 モーターユニット
3 テンションアームユニット
4 筐体
5 カバー
6a 孔
6b 孔
6c 孔
6d 孔
7a フィルタ
7b フィルタ
7c フィルタ
7d フィルタ
8 パッキン材
9 ビス
10 撥液剤
11 空気中の水分分子
12 その他のガス分子
Claims (16)
- 情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするためのエアフィルタを備えている磁気ディスク装置において、前記フィルタが水分透過選択性を有する膜からなることを特徴とする磁気ディスク装置。
- 前記フィルタが水分を吸収する性質を有する物質から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混合して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタの取り付け孔部に撥液剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタが水分を吸収する性質を有する物質から越す英されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混入して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスク装置。
- 前記撥液剤が水よりも低い表面張力を有することを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置。
- 情報を記憶する磁気ディスクと、前記磁気ディスクを保持し回転させるモーターと、前記情報の記録・再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ディスク、前記モーター及び前記磁気ヘッドを収納する筐体を有し、前記筐体内の気圧と大気圧を等しくするエアフィルタを備えている前記磁気ディスク装置において、前記フィルタが少なくとも2箇所以上に配置され、かつフィルタの取り付け孔部に撥液剤を塗布することを特徴とする磁気ディスク装置。
- 前記フィルタのうち少なくとも1個は水分を吸収する性質を有する膜からなることを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタがアルミナ質もしくはアルミノケイ酸質で形成されるか、あるいはアルミナ質またはアルミノケイ酸質を混入して形成された高分子膜であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタが吸湿性高分子で形成された膜であることを特徴とする請求項11に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタが少なくとも1個所は空気中の水分を選択的に透過する性質の膜であることを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置。
- 前記フィルタの水蒸気透過係数が空気の透過係数よりも大きい膜であることを特徴とする請求項14に記載の磁気ディスク装置。
- 前期撥液剤が水よりも表面張力の低い撥液剤を塗布することを特徴とする請求項10に記載の磁気ディスク装置。
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-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212020A patent/JP2004055055A/ja active Pending
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