JP2004054369A - 車両と基地局による動的優先制御方法 - Google Patents

車両と基地局による動的優先制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】道路交通システムにおいては、交通状況に応じたメッセージの送信を実行できなかった。
【解決手段】路側通信網に接続された複数の路側機器と道路を走行する車両によって構成される道路交通システムにおいて、事故情報等の緊急情報メッセージを受信した路側機器が、メッセージのサービスコード等から緊急度関数を決定し、メッセージの位置情報等から距離を算出し、算出した距離と決定した緊急度関数とから個々の車両にとっての情報の緊急性を示す緊急度を算出し、緊急度とメッセージに付与された優先レベルの高いメッセージから順番に車両に送信する。
個々の車両は前方走行車両等の車両周辺情報をセンサから検出し、車両速度等から検出結果に関するメッセージの緊急度を決定し、路側機器から送信されたメッセージと車両センサの検知結果のメッセージとを、最も緊急度の高いメッセージから順番に車両内構成員に伝達する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路に沿って設置された路側機器と車両によって構成される道路交通システムにおいて、緊急性の高いメッセージを車両の運転者に伝達して運転の安全性を高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
受信パケットの優先度に従ってパケットを送信する中継器においては、最も優先度の高いパケットを優先的に送信するために、中継器に対してパケットを送信する送信側にて、優先度とは別に「優先フラグ」を設定し、中継器にて優先フラグの設定されたパケットを受信した場合においては、同一優先度のパケットでも優先的に送信する優先制御方法が例えば(特開平7−336389)に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記優先制御方法では、中継器は、同一優先度のパケットでも最も優先度の高いパケットであることを示す「優先フラグ」が設定されたパケットに対しては、優先的に送信することができたが、優先フラグは中継器に対してパケットを送信する送信側で設定されるため、中継器は、優先フラグが設定されたパケットを複数受信した場合においては、パケットを受付順に従って送信することになる。従って、前記優先制御方法を道路交通システムに適用した場合においては、路側機器は、交通事故情報等のドライバにとって緊急な情報を複数受信した場合、最も緊急な情報を優先的に車両に送信することを保証できないといった問題が生じていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明における動的優先制御方法は、
(1)事故情報や落下物情報等の緊急性を必要とする走行支援情報を受けて、
(2)送信側ノードによって付与された送信元位置情報と情報種別等の送信情報と、受信側ノードで管理する車両位置や車両速度等の走行状態に基づいて、
(3)受信側ノードにて情報の緊急性を算出し、算出した緊急性に基づいて車両に送信する情報の優先順位を決定する。
車両側は、
(4)前方走行車両等の緊急性を必要とする車両周辺情報を受けて、
(5)車両側にて管理する車両位置や車両速度等の走行状態に基づいて情報の緊急性を算出し、
(6)路側機器から送信された情報の緊急性と、車両が算出した情報の緊急性を比較して、ドライバ等の車両内構成員に伝達する情報の優先順位を決定する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における第一の実施例について説明する。図1は、速度の異なる二台の車両に対して情報配信を行うITS(Intelligent Transport System)路車間通信システムの全体構成図で、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、車両接触事故の発生と障害物が道路上に落下した場合を想定している。路側機器101−1、路側機器101−2、路側機器101−3は路側通信網100に接続され、各路側機器は路側通信網100を介して相互に通信を行うことができ、また車両111と車両112は例えばミリ波レーダ等の無線通信を用いて相互に通信を行うことができる。
【0006】
また、路側機器101−1、路側機器101−2、路側機器101−3は道路120を走行する車両と無線通信を介して相互に通信を行うことができる。中継器102は、路側通信網100とインターネット等の外部ネットワーク103とに接続されおり、道路を走行する車両は、路側機器と中継器を介して例えば音楽や映像等のマルチメディア情報をダウンロードすることができる。路側通信網100は、例えば道路に沿って敷設した光ファイバーケーブルである。
【0007】
図1の例では、道路120を走行する車両113と車両114が衝突事故を起こした場合、路側機器101−3が路側機器に設置された例えば音センサーにより衝撃音を感知し、同時に路側機器に搭載されたカメラにより付近の画像を撮影し、画像処理を行うことで衝突事故が発生したことを感知する。また、路側機器に搭載されたカメラは例えば1秒周期で道路の画像を定期的に更新することで、道路上に障害物が落下しても落下物を認識することができる。車両事故を感知した路側機器101−3は、事故情報を路側通信網100を介して他の路側機器に送信する。
【0008】
また、落下物を検知した路側機器101−2は、落下物情報を路側通信網100を介して他の路側機器に送信する。路側機器101−1は、事故情報と落下物情報を無線通信によりV1km/hの速度143とV2km/hの速度144で走行する車両111と車両112に送信する。無線通信とは、例えば路側機器と道路を走行する車両との間で短距離かつ双方向通信を行う狭域無線通信DSRC(Dedicated Short Range Communications)である。
【0009】
図2に、事故情報と落下物情報とインターネットからの音楽情報を道路を走行する車両に送信する場合のメッセージフロー例を示す。車両113、車両114が衝突事故を起こした場合、事故を感知した路側機器101−3は、事故情報に路側機器101−3の位置情報と情報種別を示すサービスコードとメッセージの内容毎に付与される優先レベルとメッセージを識別するメッセージIDを付与し、事故情報メッセージ221を路側通信網100に対してブロードキャストする。
【0010】
情報種別とは、例えば事故情報や落下物情報や音楽情報等である。また優先レベルとは、情報の路側通信網への送信順序を決定するためのもので、優先レベルが高い情報程優先的に路側通信網へ送信される。例えば事故情報や落下物情報の道路上の障害を示す情報には最高優先レベル0が付与される。落下物230を検知した路側機器101−2は、落下物情報に路側機器101−2の位置情報と情報種別を示すサービスコードとメッセージの内容毎に付与される優先レベルとメッセージを識別するメッセージIDを付与し、落下物情報メッセージ222を路側通信網100に対してブロードキャストする。
【0011】
中継器102は、インターネットからの音楽情報に中継器102の位置情報と情報種別を示すサービスコードとメッセージの内容毎に付与される優先レベルとメッセージを識別するメッセージIDを付与し、音楽情報メッセージ223を路側通信網100に対してブロードキャストする。
【0012】
メッセージを受信した各路側機器はサービスコードと位置情報と優先レベルに基づいて車両に送信するメッセージの優先順位を決定し、高優先のメッセージから車両にメッセージを送信する。例えば、事故情報メッセージ221、落下物情報メッセージ222を受信した路側機器101−1は、事故情報メッセージと落下物情報メッセージの優先順位をサービスコードと位置情報と優先レベルと走行車両の車両速度に基づいて決定する。各メッセージの各走行車両への送信順序を決定した路側機器101−1は、走行車両111に対して落下物情報241、事故情報242の送信順序で送信し、走行車両112に対して事故情報242、落下物情報241の送信順序で送信する。
【0013】
各路側機器の構成を図3に示す。路側機器101は、情報処理を行う計算機350、車両と無線通信を行うための無線通信装置330、カメラや各種センサなどの外部デバイス320により構成される。計算機350は、プログラム実行などの演算を行うためのプロセッサ301、OS(Operating System)などの基本プログラムや基本データを格納するためのROM302、プログラム実行時の処理領域やデータの一時格納領域として使用するRAM303、路側通信網360と接続するための通信インタフェース311、外部デバイスとデータを授受するための外部デバイスインタフェース312、無線通信装置との間でデータを授受するための通信インタフェース313により構成され、これらの構成要素はバス310を介して相互にデータを授受することができる。
【0014】
プロセッサ301上で実行されるプログラムは、通信インタフェース313と無線通信装置330を介して1台または複数の車両と通信を行うことができ、通信インタフェース311と路側通信網100を介して他の路側機器と通信を行うことができ、また外部デバイスインタフェース312と外部デバイス320を介して外部の映像、音声、振動、温度、湿度、気圧などの情報を収集できる。本発明の優先制御方法を実行するプログラムはROM302に格納され、車両に送信されるパケットはRAM303上の送信バッファに一時格納される。格納された送信パケットはプロセッサ301によって処理され、処理されたデータは通信インタフェース313と無線通信装置330を介して車両に送信される。
【0015】
図4(1)に各路側機器の優先制御方法機能ブロックを示し、図4(2)に各路側機器の優先制御処理フローを示す。優先制御部400は受信部402、緊急度判別部403、緊急度管理部404、送信部405により構成される。受信メッセージ401を受信した受信部402では、メッセージに付与されたサービスコードによりメッセージを受け取るか否かをサービスコードテーブルから判断する(ステップ411)。サービスコードテーブルの構成を図7に示す。サービスコードテーブル700はサービスの種別を示すサービスコード701とその内容を示す702により構成される。
例えば、サービスコード1には、事故情報が登録されている。受信メッセージに付与されたサービスコードに対応するサービスコードがサービスコードテーブルに登録されている場合、受信部402はパケットを受信する。
【0016】
次に、緊急度判別部403では受信メッセージに付与されたサービスコードと無線通信を介して接続中の走行車両の車両管理テーブルと緊急度関数テーブルに基づいて緊急度関数を決定し緊急度を判別する(ステップ412)。緊急度は、メッセージの緊急性の程度を示す評価指標で0<緊急度<1の値をとる。緊急度が高い程メッセージの緊急性は高い。
【0017】
車両管理テーブルを図8(1)に、緊急度関数テーブルを図8(2)に示す。車両管理テーブル800は、無線通信を介して接続中の走行車両を識別するための車両ID801と該車両の速度を示す車両速度802により構成される。例えば車両ID1には車両速度V1が、車両ID2には車両速度V2が登録されている。緊急度関数テーブル810は、サービスの種別を示すサービスコード811と緊急度関数を決定するための車両速度812と車両速度範囲に基づいて決定される緊急度関数813により構成される。例えば、サービスコード1の車両速度範囲0〜100km/hには緊急度関数F1(D)が登録されている。Dは緊急度を決定するための変数で、事故等の道路障害発生現場からの距離を表す。
【0018】
次に、緊急度管理部404では、緊急度管理テーブルに、メッセージに付与されたメッセージIDと優先レベルと緊急度判別部403によって導出された緊急度を登録し、優先レベルと緊急度の高いメッセージから順に並べ替えを行う(ステップ413)。
【0019】
緊急度管理テーブルを、図12(1)に示す。緊急度管理テーブル1200は、メッセージの送信順序を示す送信順1201と優先レベル1202とメッセージID1203と緊急度1204により構成され、また緊急度管理テーブルは車両毎に管理される。例えば、車両1の送信順1には優先レベル0、メッセージID1、緊急度0.7のメッセージが登録されている。車両毎の緊急度管理テーブルに新たにメッセージが登録されると、優先レベルと緊急度の高いメッセージ順に並べ替えが行われる。
【0020】
送信部405では、優先レベル毎の緊急度管理テーブルで送信順1201の値が低いメッセージから順次車両ID毎の送信バッファにメッセージを格納し、各車両にメッセージを送信する(ステップ414)。車両ID毎の送信バッファの構成例を図12(2)に示す。図12(2)の例では、車両ID毎の送信バッファは、車両1の送信バッファ1211、車両2の送信バッファ1212により構成され、各車両ID毎の送信バッファからは均一にメッセージが送信されていく。
【0021】
例えば、車両1の送信バッファには緊急度0.7の落下物情報メッセージと緊急度0.5の事故情報メッセージが格納され、車両2の送信バッファには緊急度0.7の事故情報メッセージと緊急度0.5の落下物情報メッセージが格納されている。車両ID毎の送信バッファに格納されるメッセージは緊急度管理テーブルから送信された送信メッセージ406で、送信メッセージにはメッセージを送信する車両を識別するための車両IDが付与されている。
【0022】
図5(1)に受信メッセージフォーマットを示し、図5(2)に送信メッセージフォーマットを示す。受信メッセージフォーマット510は、情報種別を示すサービスコード511、メッセージを識別するメッセージID512、送信元路側機器の位置情報を示す513、メッセージの内容毎に付与される優先レベル514、情報内容を示す515により構成される。サービスコード511は、受信部402にてメッセージを受信するか否かを決定するために利用され、サービスコードテーブルに受信メッセージ510に付与されたサービスコード511が登録されている場合、該メッセージを受信する。
【0023】
メッセージID512は、メッセージをシステム内で一意に決定するためのもので、例えば送信元路側機器の路側機器IDと該路側機器によって送信されるメッセージ通番によって構成される。位置情報513には例えば(経度、緯度)が付与され、受信判別部403にて送信元路側機器との距離Dを算出する際に利用される。優先レベル514は、送信元路側機器にて付与されるメッセージの内容毎の優先レベルで、優先レベルが高い程送信されるメッセージの優先順序は高くなる。情報内容515には例えば事故情報、落下物情報、音楽情報が付与される。
【0024】
送信メッセージフォーマット520は、車両を識別する車両ID521と情報内容515により構成される。各路側機器は車両ID521に基づいてメッセージ送信先の車両を決定し、メッセージを送信する。また、情報内容515は、受信メッセージフォーマット510の情報内容と同じである。
【0025】
図6に、緊急度判別部の処理フローを示す。受信部402にて受信メッセージ401を受け取ると判断すると、緊急度判別部403ではメッセージ内に付与されたサービスコードと車両管理テーブルと緊急度関数テーブルより緊急度関数を決定し(ステップ601)、メッセージ内に付与された位置情報と、路側機器の設置時に予め位置情報テーブルに登録されている自路側機器の位置情報より、メッセージ送信元の路側機器間との距離Dを算出し(ステップ602)、決定した緊急度関数と算出した距離Dより受信メッセージの緊急度Eを決定する(ステップ603)。図9に各路側機器の位置情報テーブルの構成図を示す。
【0026】
位置情報テーブル900は、経度情報901と緯度情報902により構成され、メッセージを受信した路側機器は、メッセージ内に付与された位置情報(経度情報と緯度情報の座標情報)と位置情報テーブルの座標情報とから距離Dを算出する。また、中継器等の計算機は道路に設置されていないため、NULLが登録される。
【0027】
例えば、路側機器101−1は、路側機器101−3より送信された事故情報メッセージ221と路側機器101−2より送信された落下物情報メッセージ222を受信すると、車両管理テーブルより無線通信を介して接続中の車両1と車両2の車両速度V1と車両速度V2を確認し、次に緊急度関数テーブルより事故情報のサービスコード1と車両速度V1の緊急度関数F1(D)と事故情報のサービスコード1と車両速度V2の緊急度関数F2(D)と落下物情報のサービスコード2と車両速度V1の緊急度関数G1(D)と落下物情報のサービスコード2と車両速度V2の緊急度関数G2(D)を決定し、路側機器203との距離D1(141)と路側機器202との距離D2(142)を算出し、算出した路側機器203との距離D1と路側機器202との距離D2を、決定した速度V1に対する事故情報の緊急度関数F1(D)と速度V1に対する落下物情報の緊急度関数G1(D)と速度V2に対する事故情報の緊急度関数F2(D)と落下物情報の緊急度関数G2(D)に代入することで、速度V1と速度V2の事故情報と落下物情報に対する緊急度Eを決定する。
【0028】
図10(1)に速度V1の緊急度関数を、図10(2)に速度V2の緊急度関数を示す。緊急度関数は、例えば財団法人交通工学研究会「交通工学ハンドブック」記載の制動停止距離とブレーキ反応時間の間に車両が進む距離である停止距離S(V)を用いて、F(D)=−D/10S(V)+1、G(D)=−D/5S(V)+1で表され、S(V)はドライバのブレーキ反射時間0.75秒、摩擦係数は安全を考慮した値で0.07とし、S(V)=0.208V+0.056V2で表され、横軸に距離D、縦軸に緊急度Eをもつ。事故情報の緊急度関数F1(D)1001は事故発生地点1005で緊急度Eが最大となる関数で、F1(D)=−D/10S(V1)+1であり、落下物情報の緊急度関数G1(D)1002は落下物地点1006で緊急度Eが最大となる関数で、G1(D)=−D/5S(V1)+1である。
【0029】
例えば、路側機器101−1は事故情報メッセージ221、落下物情報メッセージ222を受信すると、車両111の走行位置1007からの路側機器101−3、路側機器101−2との距離D1、D2に対し、F1(D1)=0.7、G1(D2)=0.5を得る。車両111の走行位置は、車両111と無線通信を介して接続中の路側機器の位置で、例えば路側機器101−1の設置位置である。
【0030】
事故情報の緊急度関数F2(D)1011は事故発生地点1015で緊急度Eが最大となる関数で、F2(D)=−D/10S(V2)+1であり、落下物情報の緊急度関数G2(D)1012は落下物地点1016で緊急度Eが最大となる関数で、G2(D)=−D/5S(V2)+1である。例えば、路側機器101−1は事故情報メッセージ221、落下物情報メッセージ222を受信すると、車両111の走行位置1017からの路側機器101−3、路側機器101−2との距離D1、距離D2に対しF2(D1)=0.5、G2(D2)=0.7を得る。車両112の走行位置は、車両111の走行位置と同じで路側機器101−3の設置位置である。
【0031】
図11に、緊急度管理部の処理フローを示す。緊急度判別部403にて受信メッセージ401に対する緊急度Eが決定されると、車両管理テーブルに登録されている各車両毎の緊急度管理テーブルにメッセージID512と優先レベル514と緊急度Eを登録する(ステップ1101)。次に緊急度管理テーブル1200内のメッセージを高優先レベル、高緊急度順に並べ替え(ステップ1102)、緊急度管理テーブルの送信順の値が低いメッセージから車両ID毎の送信バッファに格納していく(ステップ1103)。
【0032】
例えば、事故情報メッセージ221のメッセージID1と緊急度E=0.7は車両1の緊急度管理テーブルに登録され、落下物情報メッセージ222のメッセージID2と緊急度E=0.5は車両1の緊急度管理テーブルに登録され、事故情報メッセージ221のメッセージID1と緊急度E=0.5は車両2の緊急度管理テーブルに登録され、落下物情報メッセージ222のメッセージID2と緊急度E=0.7は車両2の緊急度管理テーブルに登録される。車両1の緊急度管理テーブルは、事故情報メッセージの優先レベルと落下物情報メッセージの優先レベルは同じで、緊急度E=0.7>緊急度E=0.5であるため、車両1の緊急度管理テーブルの送信順1には事故情報メッセージのメッセージID1と緊急度E=0.7が、送信順2には落下物情報メッセージのメッセージID2と緊急度E=0.5が格納されるように並べ替えが行われる。
【0033】
車両2の緊急度管理テーブルは、事故情報メッセージの優先レベルと落下物情報メッセージの優先レベルは同じで、緊急度E=0.5<緊急度E=0.7であるため、車両2の緊急度管理テーブルの送信順1には落下物情報メッセージのメッセージID2と緊急度E=0.7が、送信順2には事故情報メッセージのメッセージID1と緊急度E=0.5が格納されるように並べ替えが行われる。次に、緊急度管理テーブル1200の送信順1201に従って、車両1の送信バッファ1211に緊急度E=0.7の事故情報メッセージ221と緊急度E=0.5の落下物情報メッセージ222とが格納され、車両2の送信バッファ212に緊急度E=0.7の落下物情報メッセージ緊急度E=0.5の事故情報メッセージが格納される。車両ID毎の送信バッファに格納された送信メッセージ406は、均一に送信メッセージに付与された車両ID521に対して送信される。
【0034】
ITS路車間通信システムにおいて、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、車両接触事故の発生と障害物が道路上に落下した場合、道路を走行する速度の異なる複数台の車両に対して、情報を送信する路側機器の優先制御方法について説明した。事故情報メッセージと落下物情報メッセージを受信した路側機器が、車両位置や車両速度等の走行状態に基づいて、各々のメッセージの緊急度を予め路側機器に登録されている緊急度関数テーブルの緊急度関数から決定し、高緊急度な情報から順番に各走行車両に対して情報を送信する。
【0035】
これにより、優先レベルが同一のメッセージを複数受信した場合に、メッセージの受付順に基づいた情報の送信を行うのではなく、車両位置と車両速度に対するメッセージの緊急度に基づいて、各走行車両に対するメッセージの送信順序を決定するため、後から受付けたメッセージに対しても、より緊急性の高いメッセージを優先的に送信することができ、安全で適切な情報配信をドライバに対して行うことができる。
【0036】
次に、第二の実施例について説明する。第一の実施例では、道路の路面状態を一定としているため、晴れの日や雨の日等の天候の変化によって、路面状態が変っていたとしても、車両へ送信するメッセージの優先順位は変更されない。路面状態によって路面の摩擦係数が変る場合、ドライバがブレーキを踏んでから車両が停止するまでに進む距離は異なるため、より適切な情報配信を行うには、路面状態を考慮した優先制御方法が必要である。第二の実施例では、車両位置、車両速度とさらに路面状態を考慮した優先制御方法について説明する。
【0037】
路面状態を考慮して情報配信を行うITS路車間通信システムの全体構成図は、図1の全体構成図と同じで、道路120には、例えば「古川電工時報 第105号 路面湿潤センサシステムの開発」に記載の接触型の路面センサが埋設されており、路側機器101−1、路側機器101−2、路側機器101−3は、路側通信網100を介して定期的に路面情報を受信することができる。
【0038】
図13に、各路側機器の優先制御処理フローを示す。各路側機器の優先制御方法機能ブロックは図4(1)と同じである。受信メッセージ401を受信した受信部402では、メッセージに付与されたサービスコードによりメッセージを受け取るか否かをサービスコードテーブル700から判断する(ステップ1311)。
【0039】
次に、緊急度判別部403では受信メッセージに付与されたサービスコードと無線通信を介して接続中の走行車両の車両管理テーブルと路面管理テーブルと緊急度関数テーブルに基づいて緊急度関数を決定し緊急度を判別する(ステップ1312)。車両管理テーブルは図8(1)と同じである。路面管理テーブルを図15(1)に、緊急度関数テーブルを図15(2)に示す。路面管理テーブル1500は、路面の状態を表す路面情報1501と摩擦係数1502と現在の路面状態を識別する現状態1503により構成される。
【0040】
例えば、1時間間隔の一定周期で道路120に埋設された路面センサから路面情報を受信すると、路面管理テーブル1500の路面情報1501から該当する路面状態を検索し、該当する路面情報の現状態1503のフラグを1に設定し、それ以外の現状態を0に設定する。例えば、路面情報「乾」の摩擦係数はμ1で、現状態には1が設定されており、現在の路面が乾燥状態であることを表す。緊急度関数テーブル1510のテーブルフォーマットは図8(2)と同じで、緊急度関数1513には、摩擦係数を考慮した緊急度関数が設定されている。例えばサービスコード1の車両速度範囲0〜100km/hには緊急度関数F1(D)(μ)が登録されている。μは現在の路面状態から判断した摩擦係数を表す。
【0041】
次に、緊急度管理部404では、車両毎の緊急度管理テーブルにメッセージに付与されたメッセージIDと緊急度判別部403によって導出された緊急度を登録し、優先レベルと緊急度の高いメッセージから送信順の並べ替えを行う(ステップ1313)。
【0042】
送信部405では、車両毎の緊急度管理テーブルで送信順1201の値が低いメッセージから順次車両ID毎の送信バッファにメッセージを格納し、各車両にメッセージを送信する(ステップ1314)。緊急度管理テーブルは図12(1)と同じである。車両ID毎の送信バッファの構成例は図12(2)と同じである。また、車両ID毎の送信バッファに格納される送信メッセージ406のメッセージフォーマットは図5(2)と同じである。
【0043】
図14に、緊急度判別部の処理フローを示す。受信部402にて受信メッセージ401を受け取ると判断すると、緊急度判別部403ではメッセージ内に付与されたサービスコードと車両管理テーブルと緊急度関数テーブルより各走行車両に対する緊急度関数を決定し(ステップ1401)、路面管理テーブルよりメッセージを受信した時点での路面の摩擦係数μを決定し(ステップ1402)、メッセージ内に付与された位置情報と路側機器の設置時に予め位置情報テーブルに登録された自路側機器の位置情報より距離Dを算出し(ステップ1403)、決定した緊急度関数と路面の摩擦係数μと算出した距離Dより受信メッセージの緊急度Eを決定する(ステップ1404)。
【0044】
路側機器に登録されている位置情報テーブルは図9の位置情報テーブル900と同じである。また緊急度関数は、例えば財団法人交通工学研究会「交通工学ハンドブック」記載の制動停止距離とブレーキ反応時間の間に車両が進む距離である停止距離S(V)を用いて、F(D)=−D/10S(V)+1、G(D)=−D/5S(V)+1で表され、S(V)はドライバのブレーキ反射時間を0.75秒として、S(V)=0.208V+0.014V2/μで表され、横軸に距離D、縦軸に緊急度Eをもつ。
【0045】
ITS路車間通信システムにおいて、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、車両接触事故の発生と障害物が道路上に落下した場合、道路上を走行している速度の異なる複数台の車両に対して、情報を送信する路側機器の優先制御方法について説明した。事故情報メッセージと落下物情報メッセージを受信した路側機器が、車両位置や車両速度や路面状態等の走行状態に基づいて、各々のメッセージの緊急度を予め路側機器に登録されている緊急度関数テーブルの緊急度関数から決定し、高緊急度な情報から順番に各走行車両に対して情報を送信する。これにより、優先レベルが同一のメッセージを複数受信した場合に、メッセージの受付順に基づいた情報の送信を行うのではなく、車両位置と車両速度と路面状態に対するメッセージの緊急度に基づいて、各走行車両に対するメッセージの送信順序を決定するため、後から受付けたメッセージに対しても、より緊急性の高いメッセージを優先的に送信することができ、情報配信の遅延を要因とする急ブレーキによる車両スリップ等の危険を事前に回避することができる。
【0046】
次に、第三の実施例について説明する。第一、第二の実施例では、車両密度が小さい場合を想定しているため、渋滞等の車両密度が高い場合においても、車両へ送信するメッセージの優先順位は変更されない。事故等の道路障害発生の影響により、車両が現場に到達するまでの間に渋滞が発生した場合、追突事故等の危険が新たに発生するため、より安全な情報配信を行うには、車両密度を考慮した優先制御方法が必要である。第三の実施例では、車両位置、車両速度、路面情報とさらに車両密度を考慮した優先制御方法について説明する。
【0047】
車両密度を考慮して情報配信を行うITS路車間通信システムの全体構成図は、図1の全体構成図と同じで、道路120には接触型の路面センサが埋設されており、また路側機器101−1、路側機器101−2、路側機器101−3は、通信接続中の通信チャネル数より車両密度を計測し、定期的に車両密度情報を路側通信網100にブロードキャストしている。また各路側機器は、路面情報を定期的に路側通信網100を介して受信することができる。
【0048】
図16に、各路側機器の優先制御処理フローを示す。各路側機器の優先制御方法の機能ブロック図は図4(1)と同じである。受信メッセージ401を受信した受信部402は、メッセージに付与されたサービスコードによりメッセージを受け取るか否かをサービスコードテーブル700から判断する(ステップ1611)。
【0049】
次に、緊急度判別部403では受信メッセージに付与されたサービスコードと無線通信を介して接続中の走行車両の車両管理テーブルと路面管理テーブルと車両密度テーブルと緊急度関数テーブルに基づいて緊急度関数を決定し緊急度を判別する(ステップ1612)。車両管理テーブルは図8(1)と同じである。路面管理テーブルは図15(1)と同じである。緊急度関数テーブルは図15(2)と同じである。車両密度テーブルを図18(1)に示す。車両密度テーブル1800は、車両密度を計測した路側機器ID1801、計測した路側機器の位置情報1802、計測された車両密度1803により構成される。車両密度ρとは、通信エリア内を単位時間当たりに走行する車両台数のことであり、ρ=M/Tで表される。
【0050】
Mは時間Tで路側機器と通信を行った総車両台数であり、時間Tは車両密度メッセージが路側通信網に送信される一定周期時間である。例えば、路側機器101−3の位置情報は(経度3、緯度3)で、路側機器101−3が計測した車両密度はρ3である。路側機器の位置情報は、各路側機器がもつ位置情報テーブルからの情報で、経度情報、緯度情報は図9の経度情報901、緯度情報902と同じである。次に、緊急度管理部404では、車両毎の緊急度管理テーブルにメッセージに付与されたメッセージIDと緊急度判別部403によって導出された緊急度を登録し、優先レベルと緊急度の高いメッセージから順に並べ替えを行う(ステップ1613)。
【0051】
送信部405では、車両毎の緊急度管理テーブルで送信順1201の値が低いメッセージから順次車両ID毎の送信バッファにメッセージを格納し、各車両にメッセージを送信する(ステップ1614)。緊急度管理テーブルは図12(1)と同じである。車両ID毎の送信バッファの構成例は図12(2)と同じである。また、車両ID毎の送信バッファに格納される送信メッセージ406のメッセージフォーマットは図5(2)と同じである。
【0052】
図17に、緊急度判別部の処理フローを示す。受信部402にて受信メッセージ401を受け取ると判断すると、緊急度判別部403ではメッセージ内に付与されたサービスコードと車両管理テーブルと緊急度関数テーブルより各走行車両に対する緊急度関数を決定し(ステップ1701)、路面管理テーブルよりメッセージを受信した時点での路面の摩擦係数μを決定し(ステップ1702)、メッセージ内に付与された位置情報と路側機器の設置時に予め位置情報テーブルに登録された自路側機器の位置情報より距離Dを算出する(ステップ1703)。
【0053】
次に、距離Dと車両密度テーブルに登録されている全ての路側機器との距離Diを比較し、D>Diとなる全ての車両密度ρiと安全車両密度ρsの比較を、車両密度テーブルと安全車両密度テーブルに基づいて行う(ステップ1704)。車両密度ρiとは、車両密度テーブルに登録されている路側機器ID= i に対する車両密度のことである。距離Diとは、車両密度ρiを計測した路側機器とメッセージを受信した路側機器間との距離のことである。安全車両密度ρsとは、車両間隔が十分保たれており追突事故等の車両事故が起きないことを前提とした安全な車両密度のことであり、路側機器内に安全車両密度テーブルとして登録されている。
【0054】
車両間隔が十分保たれている距離とは、例えば100m以上のことである。安全車両密度テーブルを図18(2)に示す。安全車両密度テーブル1810には、安全車両密度を示す値が登録されており、例えば0.02が登録されている。安全車両密度テーブル1810は、路側機器が道路に設置される際に登録される。車両密度テーブルに登録されている全ての車両密度ρiに対して安全車両密度ρsとの比較を行った結果(ステップ1705)、ρi>ρsとなるρiが存在する場合、距離Diの中から最小となる距離Diを緊急度関数で用いる距離Dとする(ステップ1706)。また、全てのρiに対してρi<=ρsとなる場合、メッセージを受信した時点で算出した距離Dを緊急度関数で用いる距離Dとする(ステップ1707)。最後に、決定した緊急度関数と摩擦係数μと決定した距離Dより受信メッセージの緊急度Eを決定する(ステップ1708)。緊急度関数は、実施例2で示した緊急度関数と同じである。
【0055】
ITS路車間通信システムにおいて、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、車両接触事故の発生と障害物が道路上に落下した場合、道路上を走行している速度の異なる複数台の車両に対して、情報を送信する路側機器の優先制御方法について説明した。事故情報メッセージと落下物情報メッセージを受信した路側機器が、車両位置や車両速度や路面状態や車両密度等の走行状態に基づいて、各々のメッセージの緊急度を予め路側機器に登録されている緊急度関数テーブルの緊急度関数から決定し、高緊急度な情報から順番に各走行車両に対して情報を送信する。これにより、優先レベルが同一のメッセージを複数受信した場合に、メッセージの受付順に基づいた情報の送信を行うのではなく、車両位置と車両速度と路面状態と車両密度に対するメッセージの緊急度に基づいて、各走行車両に対するメッセージの送信順序を決定するため、後から受付けたメッセージに対しても、より緊急性の高いメッセージを優先的に送信することができ、車両前方が渋滞していた場合に対しても、情報配信の遅延による追突事故等の危険を事前に回避することができる。尚本実施例では、路側通信網に接続された各路側機器が、通信接続中の車両台数に基づいて算出した車両密度情報を用いているが、例えば、VICS(Vehicle Information & Communication System)や道路交通情報センターからの渋滞情報を用いてもよい。
【0056】
次に、第四の実施例について説明する。第一、第二、第三の実施例では、直線道路を想定しているため、道路の分岐により、車両が事故等の道路障害発生現場を通過しない場合においても、車両へ送信するメッセージの優先順位は変更されない。車両が障害発生現場を通過しない場合、必ずしも走行支援情報を最緊急情報として扱う必要がないため、より安全で適切な情報配信を行うには、車両の移動経路を考慮した優先制御方法が必要である。第四の実施例では、車両位置、車両速度、路面情報、車両密度とさらに車両の移動経路を考慮した優先制御方法について説明する。
【0057】
図19は、移動経路を考慮して情報配信を行うITS路車間通信システムの全体構成図で、分岐先の道路で車両衝突事故が発生した場合を想定している。路側機器101−1、路側機器101−2、路側機器101−3、路側機器101−4、路側機器101−5は路側通信網100に接続され、各路側機器は路側通信網100を介して相互に通信を行うことができる。また、中継器102は路側通信網100とインターネット等の外部ネットワーク103とに接続されており、車両111は路側機器と中継器を介して例えば音楽や映像等のマルチメディア情報をダウンロードすることができる。図19の例では、道路120を走行する車両113と車両114が衝突事故を起こした場合、車両事故を感知した路側機器101−5は事故情報を路側通信網100を介して他の路側機器に送信する。事故情報を受信した路側機器101−1は、事故情報を無線通信によりV1km/hの速度143で走行する車両111に送信する。また、道路120には、路面状態を識別するための路面センサが埋設されている。
【0058】
図20に、事故情報を道路を走行する車両に送信する場合のメッセージフロー例を示す。車両113と車両114が事故を起こした場合、事故を感知した路側機器101−5は、事故情報と路側機器101−5の位置情報と情報種別を示すサービスコードとメッセージの内容毎に付与される優先レベルとメッセージを識別するメッセージIDと路側機器101−5が設置されている道路の属性を識別する道路属性IDを付与し、事故情報メッセージ221を路側通信網100に対してブロードキャストする。道路属性IDとは、路側機器が設置されている例えば道路名称を識別するためのもので、メッセージを受信した路側機器は、道路属性IDによって送信元路側機器が、どこに設置されているかを識別することができる。
【0059】
各路側機器は、第二、第三の実施例と同様に、定期的に路面情報を路側通信網100から受信することができ、また計測した自通信エリアを走行する車両密度情報を路側通信網100に対してブロードキャストしている。事故情報メッセージを受信した各路側機器は、サービスコードと位置情報と優先レベルと自路側機器が管理する位置情報と車両速度情報と車両密度情報と路面情報と経路情報に基づいて車両に送信するメッセージの優先順位を決定し、高優先のメッセージから車両に送信する。例えば、事故情報メッセージ221を受信した路側機器101−1は、事故情報メッセージの優先順位をサービスコードと路側機器101−5の位置情報と事故情報メッセージの優先レベルと路側機器101−1が管理する位置情報と車両111の車両速度情報と、メッセージを受信した時点での道路120の車両密度情報と道路120の路面情報と車両111の経路情報に基づいて決定する。メッセージの送信順序を決定した路側機器101−1は、走行車両111に対して事故情報242を送信する。各路側機器の構成は図3と同じである。
【0060】
図21に、各路側機器の優先制御処理フローを示す。各路側機器の優先制御方法機能ブロックは図4(1)と同じである。受信メッセージ401を受信した受信部402では、メッセージに付与されたサービスコードによりメッセージを受け取るか否かをサービスコードテーブル700から判断する(ステップ2101)。
【0061】
次に、緊急度判別部403では受信メッセージに付与されたサービスコードと無線通信を介して接続中の走行車両の車両管理テーブルと路面管理テーブルと車両密度テーブルと経路管理テーブルと緊急度関数テーブルに基づいて緊急度関数を決定し緊急度を判別する(ステップ2102)。車両管理テーブルは図8(1)と同じである。路面管理テーブルは図15(1)と同じである。緊急度関数テーブルは図15(2)と同じである。車両密度テーブルを図24(1)に、経路管理テーブルは図24(2)に示す。車両密度テーブル2400は、車両密度を計測した路側機器ID1801、計測した路側機器の位置情報1802、計測された車両密度1803、計測した路側機器が設置されている道路属性ID2401により構成される。例えば、路側機器101−3の位置情報は(経度3、緯度3)で、路側機器101−3が計測した車両密度はρ3で、路側機器101−3が設置されている道路属性IDは2である。経路管理テーブル2410は、自通信エリアを走行する車両の識別子である車両ID2411、車両ID2411の進行経路の道路属性を示す経路情報2412、経路情報に示された道路属性を識別する道路属性ID2413により構成される。例えば、車両ID1はA号線を北方面に通過する経路を辿り、行先の道路属性IDは1である。
【0062】
次に、緊急度管理部404では、車両毎の緊急度管理テーブルにメッセージに付与されたメッセージIDと緊急度判別部403によって導出された緊急度を登録し、優先レベルと緊急度の高いメッセージから順に並べ替えをおこなう(ステップ2103)。
【0063】
送信部405では、車両毎の緊急度管理テーブルで送信順1201の値が低いメッセージから順次車両ID毎の送信バッファにメッセージを格納し、各車両にメッセージを送信する(ステップ2104)。緊急度管理テーブルは図12(1)と同じである。車両ID毎の送信バッファの構成例は図12(2)と同じである。また、車両ID毎の送信バッファに格納される送信メッセージ406のメッセージフォーマットは図5(2)と同じである。
【0064】
図22(1)に受信メッセージフォーマットを示し、図22(2)に各路側機器が保持する経路情報テーブルを示す。受信メッセージフォーマット2200は、情報種別を示すサービスコード511、メッセージを識別するメッセージID512、送信元路側機器の位置情報を示す513、メッセージの内容毎に付与される優先レベル514、道路の道路属性を識別する道路属性ID2201、情報内容を示す515により構成される。サービスコード511、メッセージID512、位置情報513、優先レベル514、情報内容515は、図5(1)の受信メッセージフォーマットと同じである。道路属性ID2101は、緊急度判別部403で利用され、メッセージを受信した路側機器は、自路側機器が設置されている道路と、メッセージ送信元の道路属性IDとを比較することで、例えば事故等の道路障害が発生した場合に、同一道路上で発生したか否かを判断できる。道路属性IDは、各道路によって一意に決定されるもので、また道路属性IDが同一の道路で、分岐が複数ある場合には、自路側機器の位置情報に対する送信元路側機器の位置情報への方向ベクトルを考えることで、車両の進行経路と比較する。
【0065】
例えば、A号線の北方面に向かっている車両に対するメッセージの送信時、受信メッセージの送信元路側機器がA号線の路側機器である場合には、受信側路側機器に対する送信側路側機器の方向ベクトルを考慮することで、例えば同一道路の北方面からのメッセージか西方面からのメッセージか否かを判断することができる。経路情報テーブル2210は、道路の属性を示す道路属性2211、道路の属性を識別する道路属性ID2212により構成される。経路情報テーブルは、路側通信網に接続された全ての路側機器によって保持され、メッセージの路側通信網送信時に道路属性ID2212を付与する。
【0066】
道路属性2211は、経路情報テーブルを保持する路側機器が設定されている道路名称で、道路属性ID2212と対応付けされている。例えば、道路属性がA号線で、道路属性IDが1の道路に路側機器が設置されている。
【0067】
図23に、緊急度判別部の処理フローを示す。受信部402にて受信メッセージ401を受け取ると判断すると、緊急度判別部403ではメッセージ内に付与されたメッセージの道路属性IDと経路管理テーブルの道路属性IDを比較し(ステップ2301)、同一の場合、図17に示す処理フローに従った処理を行う。同一でない場合、車両密度テーブルに登録されている全ての路側機器の車両密度ρiに対して、安全車両密度ρsとの比較を車両密度テーブルと安全車両密度テーブルに基づいて行い(ステップ2302)、登録されている全てのρiに対して、ρi<=ρsの場合、緊急度Eは例えばE=0.4等の一定の値をとる(ステップ2303)。安全車両密度テーブルは、図18(2)と同一である。ρi>ρsとなるρiがある場合、ρiに対する道路属性IDと受信メッセージに付与されている道路属性IDとを比較し(ステップ2304)、全てのρiに対して道路属性IDが異なる場合、緊急度Eは一定の値をとる(ステップ2303)。
【0068】
受信メッセージに付与された道路属性IDと同一の道路属性IDをもつρiが登録されている場合、メッセージ内に付与されたサービスコードと車両管理テーブルと緊急度関数テーブルより、車両管理テーブルに登録されている各走行車両に対する緊急度関数を決定し(ステップ2305)、路面管理テーブルよりメッセージを受信した時点での摩擦係数μを決定し(ステップ2306)、車両密度ρiをもつ全ての路側機器との距離Diを車両密度テーブルの位置情報と、自路側機器が保持する位置情報テーブルより算出し、算出した全ての距離Diの中で最小の値をとるDiを緊急度関数で用いる距離Dとする(ステップ2307)。
【0069】
最後に、決定した緊急度関数と摩擦係数μと距離Dより受信メッセージの緊急度Eを決定する(ステップ2308)。車両管理テーブルは図9(1)と同じである。路面管理テーブルは図15(1)と同じである。緊急度関数テーブルは、図15(2)と同じである。路側機器が保持する位置情報テーブルは、図9と同じである。緊急度関数は、実施例2で示した緊急度関数と同じである。
【0070】
ITS路車間通信システムにおいて、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、分岐先の道路上で車両接触事故が発生した場合、道路を走行している車両に対して、情報を送信する路側機器の優先制御方法について説明した。事故情報メッセージを受信した路側機器が、車両位置や車両速度や路面状態や車両密度や移動経路等の走行状態に基づいて、メッセージの緊急度を予め路側機器に登録されている緊急度関数テーブルの緊急度関数から決定し、高緊急度な情報から順番に走行車両に対して情報を送信する。
【0071】
これにより、優先レベルが同一のメッセージを複数受信した場合に、メッセージの受付順に基づいた情報の送信を行うのではなく、車両位置と車両速度と路面状態と車両密度と移動経路に対するメッセージの緊急度に基づいて、走行車両に対するメッセージの送信順序を決定するため、車両の進行経路とは異なる地点で事故等の道路障害が発生した場合には、車両の移動経路に基づいて情報が本当に緊急を要するか否かを判断することができ、緊急ではない情報を緊急情報として扱うことによる、例えばドライバの混乱や焦り等の運転操作上の問題を回避し、さらにドライバに影響しない情報まで優先的に扱うことによる、例えば路車間通信帯域等のリソースのオーバヘッドを回避することができる。
【0072】
次に、第五の実施例について説明する。第一、第二、第三、第四の実施例では、路側機器間で伝達された複数のメッセージのみの優先レベルを緊急度に基づいて決定しているため、前方走行車両に対する緊急度は考慮されない。ドライバの安全で快適な走行を支援するためには、第三の実施例のように進行方向の渋滞を考慮するだけなく、最も接近している車両に対する例えば追突等の危険も考慮した優先制御方法が必要である。第五の実施例では、路側機器が決定する緊急度とさらに車両が決定する緊急度を考慮した優先制御方法について説明する。
【0073】
図25は、車車間の緊急度も判断して優先レベルを決定する、ITS路車間通信システムの全体構成図である。路側機器101−1、路側機器101−2、路側機器101−3、は路側通信網100に接続され、各路側機器は路側通信網100を介して相互に通信を行うことができる。また、中継器102は路側通信網100とインターネット等の外部ネットワーク103とに接続されており、車両2501、車両2502は路側機器と中継器を介して例えば音楽や映像等のマルチメディア情報をダウンロードすることができる。図25の例では、道路120を走行する車両113と車両114が衝突事故を起こした場合、車両事故を感知した路側機器101−3は事故情報を路側通信網100を介して他の路側機器に送信する。事故情報を受信した路側機器101−1は、事故情報を無線通信により車両2501に送信する。一方、車両2501には例えばミリ波式センサ等のセンサが据付けられており、車両2501はセンサから距離D3前方を走行する車両2502の情報も受信できる。また、道路120には、路面状態を識別するための路面センサが埋設されている。
【0074】
図26に、各車両の優先制御方法機能ブロックを示す。優先制御部2600は、路側機器インタフェース2601、緊急度管理部2602、緊急度判別部2603、車両機器インタフェース2604より構成される。路側機器メッセージ2611は、路側機器から送信された例えば前方事故情報で、路側機器インタフェース2601は、路側機器メッセージ2611を受信すると、メッセージに付与された緊急度と情報内容を緊急度管理部2602に伝達する。一方、車両機器メッセージ2612は、車両に据付けられたセンサ等の車両機器から入力される情報で、車両機器インタフェース2604は、車両機器メッセージ2612を受信すると、メッセージを緊急度判別部2603に伝達し、緊急度判別部2603で決定された緊急度と情報内容が緊急度管理部に伝達される。緊急度管理部2602は、受信したメッセージの緊急度に基づいて最も重要な情報からユーザインタフェース2620を介して車内構成員2630にメッセージを伝達する。ユーザインタフェース2620は、例えばカーナビゲーションシステム等の画面と音声を用いる車載端末である。
【0075】
図27(1)に路側機器からのメッセージ処理フローを示す。路側機器メッセージ2611を受信した路側機器インタフェース2601は、路側機器メッセージ内に付与されている緊急度と情報内容を取出し、緊急度管理部2602に伝達する(ステップ2701)。緊急度管理部2602は、路側機器インタフェース2601から緊急度と情報内容を受信すると、緊急度管理部2602が保持する緊急度管理テーブル2800に登録する(ステップ2702)。緊急度管理テーブルを図28に示す。緊急度管理テーブル2800は、送信順1201、緊急度1203、路側機器メッセージ及び車両機器メッセージに付与されている情報内容を示す情報内容2803により構成される。例えば、送信順1には、緊急度0.8、情報内容「前方車両情報」のメッセージが登録されている。緊急度管理テーブル2800に新たにメッセージが登録されると、緊急度の高いメッセージ順に並べ替えが行われる。
【0076】
図27(2)に車両機器からのメッセージ処理フローを示す。車両機器メッセージ2612を受信した車両機器インタフェース2604は、車両機器メッセージ内に付与されているサービスコードと距離と車両速度と路面情報と情報内容を取出し、緊急度判別部2603に伝達する(ステップ2711)。緊急度判別部2603は、車両機器インタフェース2604からサービスコードと距離と車両速度と路面情報を受取ると、緊急度判別部が保持する緊急度関数テーブルに基づいて緊急度を決定し、決定した緊急度と情報内容を緊急度管理部2602に伝達する(ステップ2712)。緊急度管理部2602は、車両機器インタフェース2604から緊急度と情報内容を受信すると、緊急度管理テーブル2800に登録する(ステップ2713)。緊急度判別部2603が保持する緊急度関数テーブルは図15(2)の緊急度関数テーブルと同じである。
【0077】
図29に緊急度判別部が処理する緊急度関数を示す。緊急度関数は、例えば財団法人交通工学研究会「交通工学ハンドブック」記載の制動停止距離とブレーキ反応時間の間に車両が進む距離である停止距離S(V)を用いて、F(D)=−D/10S(V)+1、G(D)=−D/5S(V)+1で表され、S(V)はドライバのブレーキ反射時間を0.75秒として、S(V)=0.208V+0.014V2/μで表され、横軸に距離D2902、縦軸に緊急度E1004をもつ。μとVは、各々車両機器メッセージ2612に付与された路面摩擦係数と車両速度である。例えば図29では、緊急度関数2901は、前方車両走行位置2904が最も緊急度が高く、距離D3後方を走行している自車両走行位置2903の緊急度は0.8である。
【0078】
図30(1)に路側機器メッセージフォーマットを示し、図30(2)に車両機器メッセージフォーマットを示す。路側機器メッセージフォーマット3000は、車両ID521と緊急度3001と情報内容522から構成される。車両ID521と情報内容522は、図5(2)の送信メッセージフォーマットと同じで、緊急度3001には図16のステップ1612で決定される緊急度が設定されている。車両機器メッセージフォーマット3010は、サービスコード511と距離3011と車両速度3012と路面情報3013と情報内容3014から構成される。サービスコード511は、図5(1)の受信メッセージフォーマットと同じで、距離3011には、例えば車両に据付けられたミリ波式センサがミリ波の反射を利用して検出した距離情報が設定される。車両速度3012には、例えばスピードメータに出力される車両速度が設定される。路面情報3013には、例えば車両に据付けられたレーザレーダ式センサが光の行程時間差と反射強度を利用して検出した路面情報と、車両が予め保持する路面管理テーブルに基づいて設定される。路面管理テーブルは図15(1)に示す路面管理テーブルと同じである。情報内容3014は、サービスコードに設定された内容で、例えば「前方走行車両」等が設定される。
【0079】
ITS路車間通信システムにおいて、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、車両接触事故が発生した場合、路側機器からのメッセージと車両機器からのメッセージを考慮して、車内構成員に情報を伝達する車両の優先制御方法について説明した。車両は路側機器から送信されるメッセージに付与された緊急度と、車両機器から送信されるメッセージに付与された距離と車両速度と路面情報から決定される緊急度とを比較し、最も高緊急な情報から車内構成員に伝達する。これにより、車両進行方向で発生した事故と自車両位置との間に、他の車両が走行していた場合に、前方走行車両に対する危険も考慮して車内構成員に伝達すメッセージの送信順序を決定するので、事故情報が優先的に伝達されたことによる前方走行車両との追突の危険を事前に回避することができる。
【0080】
次に第五の実施例の変形例について説明する。第五の実施例では、前方走行車両との距離が車両に据付けられたセンサによって正確に検出されることを前提としているため、急カーブや遮蔽物等の道路形状の影響や天候の影響等で、センサが正確に前方走行車両との距離を検出することができない場合については考慮されない。センサからの検出情報が仮に不正確な場合であっても、ドライバの安全で快適な走行を支援するためには、例えば車両による緊急度の決定と、さらに車両が決定した緊急度を路側機器が再度判別する優先制御方法が必要である。第五の実施例の変形例では、路側機器が、車両が一度決定した緊急度が正しいか否かを判断して、高緊急なメッセージを車両に送信する優先制御方法について説明する。
【0081】
図31に各車両の優先制御方法の機能ブロックを示す。優先制御部2600は、路側機器インタフェース2601、緊急度管理部2602、緊急度判別部3101、車両機器インタフェース2604より構成される。路側機器メッセージ2611は、路側機器から送信された例えば前方事故情報で、路側機器インタフェース2601は、路側機器メッセージ2611を受信すると、メッセージに付与された緊急度と情報内容を緊急度管理部2602に伝達する。路側機器メッセージのメッセージフォーマットは図30(1)の路側機器メッセージフォーマット3000と同じである。一方、車両機器メッセージ2612は、車両に据付けられたセンサ等の車両機器から入力される情報で、車両機器インタフェース2604は、車両機器メッセージ2612を受信すると、メッセージを緊急度判別部3101に伝達し、緊急度判別部3101で決定された緊急度と情報内容が緊急度管理部2602に伝達される。また、緊急度判別部3101は、決定した緊急度とサービスコードと情報内容を車両メッセージ3111に設定し、路側機器に送信する。車両機器メッセージのメッセージフォーマットは図30(2)の車両機器メッセージフォーマット3010と同じである。緊急度管理部2602は、受信したメッセージの緊急度に基づいて最も重要な情報からユーザインタフェース2620を介して車内構成員2630にメッセージを伝達する。ユーザインタフェース2620は、例えばカーナビゲーションシステム等の画面と音声を用いる車載端末である。
【0082】
図32に各路側機器の優先制御方法の機能ブロックを示す。優先制御部400は受信部402、車両側受信部3201、緊急度判別部3202、緊急度管理部404、送信部405により構成される。受信メッセージ401を受信した受信部402では、メッセージに付与されたサービスコードによりメッセージを受け取るか否かをサービスコードテーブルから判断する。サービスコードテーブルは図7と同じである。車両メッセージ3111を受信した車両側受信部3201では、メッセージに付与されたサービスコードと車両IDと緊急度と情報内容を取出し、緊急度判別部3202に伝達する。緊急度判別部3202では、車両側受信部3201から受信した緊急度が正しいか否かを判別し、正しくない場合、補正された緊急度と車両IDと情報内容とサービスコードを緊急度管理部404に伝達し、車両毎の緊急度管理テーブル1200に登録する。緊急度管理部404は、緊急度判別部3202より受信したサービスコードから、受信した緊急度が緊急度判別部3202によって補正された緊急度であることを認識することができ、緊急度補正結果を車両毎の緊急度管理テーブル1200に登録する。この場合、優先レベルは常に0を設定し、またメッセージIDは、車両IDと通番によって生成される値を設定し、緊急度には補正された緊急度を設定する。緊急度管理部404は、図11のステップ1102に従って緊急度の並べ替えの処理を実行すると、高緊急度のメッセージから送信部404に伝達し、送信部404では車両IDと緊急度と情報内容を路側機器メッセージ2611に設定し、車両に送信する。
【0083】
図33に車両機器からのメッセージ処理フローを示す。車両機器メッセージ2612を受信した車両機器インタフェース2604は、車両機器メッセージ内に付与されているサービスコードと距離と車両速度と路面情報と情報内容を取出し、緊急度判別部3101に伝達する(ステップ2711)。緊急度判別部3101は、車両機器インタフェース2604からサービスコードと距離と車両速度と路面情報を受取ると、緊急度判別部が保持する緊急度関数テーブルに基づいて緊急度を決定し、決定した緊急度と情報内容を緊急度管理部2602に伝達する(ステップ2712)。緊急度管理部2602は、車両機器インタフェース2604から緊急度と情報内容を受信すると、緊急度管理テーブル2800に登録すると同時に、車両IDと車両からのメッセージを識別するサービスコードを車両メッセージ3111に設定し、路側機器に車両メッセージ3111を送信する(ステップ3301)。緊急度判別部2603が保持する緊急度関数テーブルは図15(2)の緊急度関数テーブルと同じである。
【0084】
図34に、車両からメッセージを受信した路側機器の処理フローを示す。車両メッセージ3111を受信した車両側受信部3201は、車両メッセージ内に付与されているサービスコードと車両IDと緊急度と情報内容を取出し、緊急度判別部2603に伝達する(ステップ3401)。緊急度判別部3202は、車両側受信部3201からサービスコードを受取り、サービスコードから緊急度の補正判別が必要であると判断し、車両管理テーブルに登録されている車両台数Nと、路側機器が有する無線通信の通信範囲Xより算出した平均的な車車間距離D=N/Xと、路面管理テーブルから現状態が1である摩擦係数と、車両管理テーブルに登録されている該車両の車両速度から、緊急度関数テーブルに登録されている緊急度関数に基づいて、緊急度を補正し、補正した緊急度が、車両メッセージに付与された緊急度より大きい場合、補正した緊急度とサービスコードと車両IDと情報内容を緊急度管理部404に伝達する(ステップ3402)。車両管理テーブルは図8(1)の車両管理テーブル800と同じである。路面管理テーブルは図15(1)の路面管理テーブル1500と同じである。緊急度関数テーブルは図15(2)の緊急度関数テーブル1510と同じである。次に、緊急度管理部404では、緊急度管理テーブルに、メッセージIDと優先レベルと緊急度判別部3202によって補正された緊急度を登録し、優先レベルと緊急度の高いメッセージから順に並べ替えを行う(ステップ413)。送信部405では、優先レベル毎の緊急度管理テーブルで送信順1201の値が低いメッセージから順次車両ID毎の送信バッファにメッセージを格納し、各車両にメッセージを送信する(ステップ414)。
【0085】
図35に車両からの車両メッセージフォーマットを示す。車両メッセージフォーマット3500は、サービスコード511と車両ID521と緊急度3501と情報内容3014から構成される。サービスコード511は、図5(1)の受信メッセージフォーマットと同じである。車両ID521は、図5(2)の送信メッセージフォーマットと同じである。緊急度3501には緊急度判別部3101によって決定された緊急度が設定されている。情報内容3014は、図30(2)の車両機器メッセージフォーマットと同じである。
【0086】
ITS路車間通信システムにおいて、走行車両に対してインターネットから例えば音楽や映像等のマルチメディア情報を配信中に、車両接触事故が発生し、前方走行車両情報を車両に据付けられたセンサが正確に検出できなかった場合、車両が決定した緊急度を路側機器が補正し、補正された緊急度に従って、車両にメッセージを送信する優先制御方法について説明した。路側機器は、車両から送信されるメッセージに付与された緊急度と、路側機器が管理する車両台数や路面情報から決定した緊急度を比較し、路側機器が決定した緊急度の方が高い場合に、補正緊急度として路側機器が決定した緊急度を路側機器メッセージに設定して車両に送信するので、車両に据付けられたセンサの不具合の影響による、前方走行車両との追突の危険を事前に回避することができる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、車両の状態に応じた情報提供を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における優先制御方法を具備する道路交通システムの全体構成図である。
【図2】事故情報、落下物情報、マルチメディア情報が混在した場合におけるメッセージフローである。
【図3】路側機器の構成図である。
【図4】本発明における優先制御部の処理フローである。
【図5】送信メッセージと受信メッセージのメッセージフォーマットである。
【図6】車両位置と車両速度等の走行状態を考慮した緊急度判別部処理フローである。
【図7】サービスコードテーブルのテーブル構成例である。
【図8】路側機器が管理する車両管理テーブルと緊急度関数テーブルのテーブル構成例である。
【図9】路側機器が保持する位置情報テーブルのテーブル構成例である。
【図10】路側機器が保持する車両速度毎の緊急度関数例である。
【図11】緊急度管理部の処理フローである。
【図12】車両ID毎の緊急度管理テーブル構成例と車両ID毎の送信バッファ構成例である。
【図13】本発明における優先制御部の処理フローである。
【図14】車両位置と車両速度と路面状態を考慮した緊急度判別部の処理フローである。
【図15】路側機器が管理する路面管理テーブルと緊急度関数テーブルのテーブル構成例である。
【図16】本発明における優先制御部の処理フローである。
【図17】車両位置と車両速度と路面状態と車両密度を考慮した緊急度判別部の処理フローである。
【図18】路側機器が管理する車両密度テーブルと安全車両密度テーブルのテーブル構成例である。
【図19】本発明における優先制御方法を具備する、分岐がある場合の道路交通システムの全体構成図である。
【図20】事故情報、マルチメディア情報が混在した場合におけるメッセージフロー例である。
【図21】本発明における優先制御部の処理フローである。
【図22】受信メッセージのメッセージフォーマットと路側機器が保持する経路情報テーブルである。
【図23】車両位置と車両速度と路面状態と車両密度と移動経路を考慮した緊急度判別部の処理フローである。
【図24】路側機器が保持する車両密度テーブルと経路管理テーブルのテーブル構成例である。
【図25】本発明における、道路交通システムの全体構成図である。
【図26】本発明における、車両側優先制御部の機能ブロックである。
【図27】車両側優先制御部における、路側機器からのメッセージ及び車両機器からのメッセージ処理フローである。
【図28】緊急度管理テーブルの構成例である。
【図29】車両が保持する緊急度関数例である。
【図30】路側機器からのメッセージフォーマットと車両機器からのメッセージフォーマットである。
【図31】本発明における、車両側優先制御部の機能ブロックである。
【図32】本発明における、路側機器優先制御部の機能ブロックである。
【図33】車両側優先制御部における、車両機器からのメッセージ処理フローである。
【図34】路側機器優先制御部における、車両からのメッセージ処理フローである。
【図35】車両からのメッセージフォーマットである。
【符号の説明】
100:路側通信網、101:路側機器、102:中継器、103:インターネット、111:走行車両、113,114:車両、120:道路、130:落下物。

Claims (3)

  1. ネットワークに接続された複数の路側機器とにより構成される分散処理システムを利用した動的優先制御方法において、 前記複数の路側機器に含まれる路側機器が、車両の走行状態を検知し、
    検知した前記路側機器が、前記走行状態に基づいて、前記ネットワークを介して当該路側機器に送信され、前記車両に送信すべき複数のメッセージそれぞれに対する、送信の優先度を決定し、決定した路側機器が、決定された優先度に従った順序で、前記複数のメッセージを、前記車両に送信し、
    前記車両が例えば前方走行車両等の車両周辺情報を検知し、車両が検知した複数のメッセージそれぞれに対する、送信の優先度を決定し、決定された優先度に従った順序で、前記複数のメッセージを、前記車両の車両操作者を含めた車両内の構成員に伝達し、
    前記路側機器より送信されたメッセージの優先度と、前記車両が検知したメッセージの優先度を比較し、比較結果に従った順序で前記構成員に伝達することを特徴とする動的優先制御方法。
  2. 請求項1に記載の動的優先制御方法において、前記車両が定めたメッセージの優先度を、前記路側機器に送信し、
    前記路側機器が、前記車両から送信されたメッセージの優先度と、前記路側機器が決定したメッセージの優先度を比較し、比較結果に従った順序でメッセージを前記車両に送信することを特徴とする動的優先制御方法。
  3. 車両の周辺情報を検出する手段と、
    上記検出結果に応じた第1のメッセージを出力する手段と、
    無線通信手段と、
    該無線通信手段を介して受信される第2のメッセージを出力する手段と、
    上記第1、第2のメッセージの優先度に応じて、上記第1、第2のメッセージの出力順を制御する手段とを備えた動的優先制御機能付車両。
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