JP2004051663A - 感圧接着剤組成物および情報担持用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天然ゴム系ラテックスと、スチレン系ラテックスと、可塑剤エマルジョンと、場合によりシリカ、デンプン系充填剤を配合してなる感圧接着剤組成物を使用する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ゴム系の感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シートに関するものであり、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報担持用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなど、天然ゴム系の感圧接着剤組成物により、その重ね合わせ面同士を接着するための情報担持用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持する情報担持用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面、部分的あるいは線状に感圧接着剤層が設けられている。この感圧接着剤は自着性感圧接着剤とも言われ、その接着剤層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散したりアンカー効果により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
この様な情報担持用シートの例として、親展性を有するハガキシステム等が実用化され、普及している。
【0004】
親展性を有するハガキシステムの例としては、個人的用件、プリント情報および印刷情報等の各種情報が記載されたハガキを、折り畳み、切り重ね、または別体同士を重ね合わせたものがある。
【0005】
これらのハガキシステムにおいては、各種の重ね合わせ態様で接着剤層が剥離可能に圧着され、親展性情報が隠蔽された後、郵送され、受取人が重ね合わせ面を再び剥離して隠蔽情報が読取られる。
【0006】
また、親展性を有するハガキシステムの他の例として、各種の重ね合わせ態様で接着剤層が剥離不能に圧着され、親展性情報が隠蔽された後、郵送され、受取人が接着部分を切取り除去して重ね合わせ面を再び開き、隠蔽情報が読取られるものがある。
【0007】
これらの情報担持用シートで使用される感圧接着剤は、その接着剤基剤として、一般的に、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、アクリル系エマルジョンといったエマルジョンタイプのものが採用され、特に、接着性や再剥離性に優れた天然ゴムラテックスを利用したものが多用されている。
【0008】
例えば、特開平10−95964号公報には、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーの少なくとも一方により共重合された天然ゴム系粘着剤が記載されている。また、特許第2847366号公報には、天然ゴムとスチレンとメタクリル酸メチルをグラフト共重合されてなる天然ゴムラテックスが記載されている。
【0009】
また、特開平4−59395号公報には、天然ゴム系粘着剤を含む接着剤基剤に対して、非親和性を示す微粒子充填剤が添加された接着剤組成物が記載されている。
【0010】
また、特開平9−235530号公報には、天然ゴム系粘着剤とスチレン−ブタジエン系粘着剤とを含んでなる接着剤基剤を用いた、感圧接着剤組成物が記載されている。更に、特開2001−240832号公報および特開2001−335769号公報には、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤とポリスチレンエマルジョンとを含む感圧接着剤組成物が記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の様な天然ゴム系ラテックスを接着剤基剤とする感圧接着剤においては、接着剤層の紙などの基体シートへの定着性が不足したり、接着剤皮膜の凝集力が不足するため、印刷機、シーリングマシン及びプリンターなどを走行中に接着剤層が摩耗する場合があり、脱落する場合もあった。
【0012】
また、これらの不具合を抑制するため、ポリスチレンラテックスを添加することが考えられるか、一般にポリスチレンのガラス転移温度(Tg)が高いため、十分な品位の接着剤層を作製し難い場合があった。このため、接着剤層の基体シートへの定着性を十分向上できず、接着剤皮膜の凝集力を十分向上することもできない場合があり、依然、印刷機、シーリングマシン及びプリンターなどを走行中に接着剤層が摩耗したり、脱落したりする場合があった。
【0013】
更に、天然ゴム系ラテックスを接着剤基剤とする感圧接着剤の用途分野の拡大に従い、接着力(接着強度)及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を更に向上することも要求されている。
【0014】
以上の様な状況に鑑み、本発明では、接着力(接着強度)及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を向上すると共に、接着剤層の耐磨耗性および表面硬度を向上することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、天然ゴム系ラテックスと、スチレン系ラテックスと、可塑剤エマルジョンとを配合してなる感圧接着剤組成物が提供される。
【0016】
本発明においては、可塑剤エマルジョンに含まれる可塑剤がスチレン系ラテックスのポリスチレン系微粒子に作用し、ポリスチレン系微粒子が改質される。この結果、接着剤層の基体シートへの定着性を十分に向上でき、接着剤皮膜の凝集力を十分に向上できるため、接着剤層の耐磨耗性および表面硬度を向上できる。よって、印刷機、シーリングマシン及びプリンターなどを走行中に接着剤層が摩耗することを抑制でき、脱落も抑制できる。
【0017】
また、同時に、接着力(接着強度)及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を、バランス良く向上できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
(天然ゴム系ラテックス)
天然ゴム系ラテックスは圧着により接着力を発現する主成分であり、天然ゴム系ラテックス中の天然ゴム系微粒子は天然ゴムの主成分であるイソプレン骨格を有し、十分な自着性を有するものであれば天然物および合成物の何れでも構わず、これらを総称して天然ゴムと呼ぶ。
【0020】
天然ゴム系微粒子としては、接着力、耐ブロッキング性、耐磨耗性および表面硬度の観点から、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーの少なくとも何れか一方でグラフトされているものが好ましい。また、同様に、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーの少なくとも何れか一方で架橋されているものが好ましい。
【0021】
天然ゴム系微粒子をグラフト及び架橋するアクリル系モノマーとしては十分な反応性を有するものであれば特に制限されないが、天然ゴム系微粒子との相溶性が良好でイソプレン骨格の2重結合と反応し易いものが好ましく、この様な観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ラウリル−トリデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル−ステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル及びメタクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド及び(メタ)アクリル酸メチロールアミド等の(メタ)アクリル酸アミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の反応性アクリル系モノマー類;ジ(メタ)アクリル酸エチレン、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸デカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ブチレン、(メタ)アクリル酸アリル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール及びジ(メタ)アクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の架橋性アクリル系モノマー類などを使用する。
【0022】
また、天然ゴム系微粒子をグラフト及び架橋するスチレン系モノマーとしては十分な反応性を有するものであれば特に制限されないが、天然ゴム系微粒子との相溶性が良好でイソプレン骨格の2重結合と反応し易いものが好ましく、この様な観点から、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン及びブロモスチレン等を使用する。
【0023】
更に、必要に応じてアクリル系モノマー及び/又はスチレン系モノマーと共重合可能なモノマーを併用することもできる。この様な共重合可能なモノマーとしては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル化合物類; 塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル化合物類;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等の有機酸基含有ビニル化合物類;エチレン、マレイン酸およびイタコン酸等の反応性単量体類;アクリル変性シリコーン類;クロロエチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレート等の架橋性共重合モノマー類などを使用できる。
【0024】
なお、天然ゴム系微粒子のグラフト及び架橋は、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーを、それぞれ10〜40質量部添加して行われ、必要に応じて、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーを併用することや、複数のアクリル系モノマー、複数のスチレン系モノマーを使用することもできる。
【0025】
以上の様な天然ゴム系ラテックスおよびモノマーを、最適な乳化剤および触媒を用い適当な条件で反応することにより、グラフト構造および/または架橋構造を天然ゴムに導入することができる。また、架橋密度等が所望の範囲内である天然ゴムを得ることができる。
【0026】
(スチレン系ラテックス)
スチレン系ラテックスは接着剤層の耐磨耗性および表面強度を向上する主成分であり、この様な観点から、ポリスチレンラテックス又はスチレン−ブタジエンゴムラテックスが好ましく、これらを併用することもできる。
【0027】
なお、可塑剤エマルジョンの効果が顕著であることを鑑みれば、ポリスチレンラテックスが好ましい。
【0028】
また、スチレン系ラテックスの使用量は、接着力、耐ブロッキング性、耐磨耗性および表面硬度に強く影響するため、注意深く決定する。具体的には、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対してスチレン系ラテックスの固形分の使用量は、4質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、一方、60質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましい。
【0029】
なお、複数のスチレン系ラテックスを併用する場合は、それぞれのスチレン系ラテックスの使用量が上記の範囲であることが好ましい。
【0030】
ポリスチレンラテックスはポリスチレン微粒子が水性媒体中に分散されたエマルジョンであり、必要に応じて、ロジン石鹸、脂肪酸石鹸、スルホン酸化合物、スルホン酸化合物の塩類などの界面活性剤が添加されていても構わない。
【0031】
スチレン−ブタジエンゴムラテックスに含まれるスチレン−ブタジエンゴム微粒子は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)から主になり、SBRとしては、SBRドライバー及びSBRラテックス等の乳化重合SBR;ランダムSBR、ブロックSBR及び対称ブロックSBR等の溶液重合SBR等を用いることができる。
【0032】
また、SBRの特性は、スチレン及びブタジエンの共重合比に大きく依存する。この様な観点から、スチレン含有量が低い(30質量%以下)もの、スチレン含有量が中程度(30質量%より多く70質量%以下)のもの、スチレン含有量が高い(70質量%を超える)もの等を注意深く選択し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスにおいて使用する。
【0033】
更に、スチレン及びブタジエンの共重合比の指標として、スチレン−ブタジエンゴムラテックスのガラス転移温度(Tg)を考慮することが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、スチレン−ブタジエンゴムラテックスの動的粘弾性挙動より実測できる。また、物質および基準物質の温度をプログラミングに従って変化させながら、その物質と基準物質に対するエネルギー入力の差を温度の関するとして測定する、示差走査熱量測定(DSC)により、ガラス転移温度(Tg)を実測することもできる。
【0034】
具体的には、−30℃以上が好ましく、−20℃以上がより好ましく、−10℃以上が更に好ましく、一方、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。
【0035】
加えて、非変性タイプ、ビニルピリジン変性タイプ及びカルボキシ変性タイプル等のSBRを使用することもできる。
【0036】
(可塑剤エマルジョン)
可塑剤エマルジョンに含まれる可塑剤の種類は、接着力、耐ブロッキング性、耐磨耗性および表面硬度に強く影響するため、注意深く決定する。具体的には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル類;トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート(TOP)、トリブトキシエチルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル類;ブチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート等の安息香酸エステル類;サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル等のサリチル酸エステル類;酢酸ベンジル;ジメチルアジペート(DMA)、ジイソプロピルアジペート、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼテート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノレート等の脂肪酸エステル類;フマル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、しゅう酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸エステル類;o−アセチルトリエチルシトレート等のクエン酸エステル類;メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、モノイソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン類;o−メチルジフェニルエーテル、m−メチルジフェニルエーテル、p−メチルジフェニルエーテル等のアルキルジフェニルエーテル類;N,N−ジメチルラウリロアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等の高級脂肪酸または芳香族スルホン酸のアミド化合物類;トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル類;ジメチルジフェニルメタン等のジアリールメタン、1−フェニル−1−メチルフェニルエタン、1−ジメチルフェニル−1−フェニルエタン、1−エチルフェニル−1−フェニルエタン等のジアリールエタン等のジアリールアルカン類などを使用する。
【0037】
これらの可塑剤の中でも、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル類;トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート(TOP)、トリブトキシエチルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ブチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート等の安息香酸エステル類;サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル等のサリチル酸エステル類;酢酸ベンジル;ジメチルアジペート(DMA)、ジイソプロピルアジペート、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼテート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノレート等の脂肪酸エステル類;フマル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、しゅう酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸エステル類が好ましい。
【0038】
以上の様な可塑剤を水性媒体中に分散しエマルジョンとして、感圧接着剤組成物に添加する。可塑剤エマルジョンを調製する際には、必要に応じて界面界面活性剤を使用する。界面活性剤としては、アニオン性単量体、カチオン性単量体、ノニオン性単量体、アニオン性重合体、カチオン性重合体、ノニオン性重合体などを使用する。
【0039】
具体的には、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カイゼン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油などを使用する。
【0040】
これらの界面活性剤の使用量は、可塑剤エマルジョンの全体に対して普通0.1〜10質量%とする。
【0041】
また、可塑剤エマルジョンの使用量は、接着力、耐ブロッキング性、耐磨耗性および表面硬度に強く影響するため、注意深く決定する。具体的には、スチレン系ラテックスの固形分100質量部に対して可塑剤エマルジョンの可塑剤の使用量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、一方、400質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましく、50質量部以下が最も好ましい。
【0042】
なお、複数の可塑剤を併用することもでき、その場合は、それぞれの可塑剤の使用量が上記の範囲であることが好ましい。
【0043】
(感圧接着剤組成物)
感圧接着剤組成物を調製する際には、必要に応じて例えば、充填剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤および着色剤なども併用する。
【0044】
充填剤としては、耐ブロッキング性を向上させるために天然ゴムとの親和力が小さい微細粒子が好ましく、接着剤層の透明性を阻害しない様にする必要がある場合には、粒子形状が規則的に整ったものが好ましい。この様なものとしては、例えば、各種シリカ系充填剤、各種デンプン系充填剤、合成ゼオライト、微球状(メタ)アクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、活性白土、酸化チタン及び酸化亜鉛などが挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
なお、これらの充填剤の平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、一方、35μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。また、粒子径の異なる2種以上を組み合わせて用いると、接着剤層の表面を凹凸状に形成し易いので、耐ブロッキング性の向上に有利である。
【0046】
以上の様な充填剤の中でも、天然ゴムとの親和力が小さく、十分な耐ブロッキング性を実現できるため、シリカ系充填剤およびデンプン系充填剤が好ましい。
【0047】
充填剤の配合量は、十分量の充填剤を配合することにより、接着剤層の耐ブロッキング性を向上でき、一方、適当量の充填剤を配合することにより、十分な接着力を実現できる観点から、注意深く決定する。
【0048】
具体的には、シリカ系充填剤の場合、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましく、一方、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、60質量部以下が更に好ましい。
【0049】
また、デンプン系充填剤の場合、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましく、一方、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、160質量部以下が更に好ましい。
【0050】
pH調整剤としては、天然ゴムラテックスの抗凝固剤や防腐剤としての機能も併せ持つ、アンモニアが好ましい。また、天然ゴムラテックスにpH調整剤を予め添加しておき、pHの調整された天然ゴムラテックスを使用することにより、最終的に得られる感圧接着剤組成物のpHを所望の範囲とすることもできる。
【0051】
具体的には、感圧接着剤組成物のpHは、十分な塗工適性を確保するため、9以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、一方、感圧接着剤組成物の劣化を抑制するために、13以下が好ましく、12以下がより好ましい。
【0052】
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、ブチルフェニルサリシレート及びオクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;ジヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、ヒドロキシドデシルオキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシスルホベンゾフェノン及びビス(メトキシヒドロキシベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン類;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシブチルメチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジブチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジアミルフェニル)ベンゾトリアゾール及び[ヒドロキシ(テトラヒドロフタルイミドメチル)メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;エチルヘキシルシアノジフェニルアクリレート及びエチルシアノジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;ヒンダードアミン類等を挙げることができる。
【0053】
酸化防止剤としては、アミン−ケトン系、ジフェニルアミン系、ジアリール−P−フェニレンジアミン系およびアルキルアリール−P−フェニレンジアミン系等の芳香族第2級アミン系を含むアミン類;モノフェノール系、ビスフェノール系およびヒドロキノン系を含むフェノール類;有機イオウ類;ホスファイト類;これらの複合系などを使用することができる。
【0054】
アミン類の具体例としては、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−オクチル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン及びN,N′−ジ(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン誘導体;2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(重合物)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、アセトンとジフェニルアミンの縮合物およびアセトンとN−フェニル−2−ナフチルアミンとの縮合物などのケトン−アミン縮合物;N−フェニル−1−ナフチルアミン等のナフチルアミン類;オクチル化ジフェニルアミン及び4,4′−ジメトキジジフェニルアミン等のジフェニルアミン誘導体などを挙げることができる。
【0055】
フェノール類の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、アルキル化フェノール及びシクロヘキシル化フェノール等のモノフェノール類;2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′メチレンビス(4−メチル−6−メチルシクロヘキシルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類などを挙げることができる。
【0056】
以上の酸化防止剤の中でも、汚染性および着色性が少ないことからフェノール類が好ましい。
【0057】
更に、必要に応じて、合成ゴムエマルジョンを併用して感圧接着剤組成物を作製することもできる。合成ゴムエマルジョンとしては、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタンゴム、チオコールゴム及びアクリルゴム等の合成ゴムを水性溶媒中に分散させたエマルジョンを例示することができる。なお、これらの合成ゴムのエマルジョン中での固形分濃度は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、一方、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。
【0058】
加えて、合成樹脂エマルジョンを併用して感圧接着剤組成物を作製することもできる。合成樹脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体系エマルジョン、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン及びポリ塩化ビニル系エマルジョン等を例示することができる。なお、これらの合成樹脂エマルジョンのなかでも、ガラス転移温度(Tg)が−30〜20℃のものが好適である。また、これらの合成樹脂のエマルジョン中での固形分濃度は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、一方、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。
【0059】
なお、ラテックス粒子を分散安定化させるために乳化剤を添加することもできる。この様な乳化剤としては、ロジン石鹸、ナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸およびアルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン系やノニオン系の界面活性剤が用いられる。
【0060】
(情報担持用シート)
以下に本発明の情報担持用シートの製造方法の例について説明する。
【0061】
先ず、グラビアコーター、フレキソ、エアーナイフコーター及びバーコーター等の塗布手段により、感圧接着剤組成物を基体シート上に塗布し、塗膜を形成する。
【0062】
基体シートとしては、通常の紙の他に、合成紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン及び塩化ビニル等の合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面にマット処理およびコロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0063】
また、基体シート面への接着剤組成物の塗布量は、接着剤層の接着性、剥離性および透明性を維持するため、1g/m2以上が好ましく、3g/m2以上がより好ましく、4g/m2以上が更に好ましく、一方、30g/m2以下が好ましく、20g/m2以下がより好ましく、7g/m2以下が更に好ましい。
【0064】
感圧接着剤組成物よりなる塗膜は、例えば90〜250℃の温度で熱風乾燥され、接着剤層が基体シート上に積層される。
【0065】
ここで、図1(a)に、接着剤層が剥離可能な情報担持用シートの例を、図2(a)に、接着剤層が剥離不能な情報担持用シートの例を、それぞれ示した。
【0066】
図1(a)の場合、図1(b)に示す様に、接着剤層10上に必要な情報12が印刷される。その後、図1(c)に示す様に、接着剤層10が重合わされる様に情報担持用シートを折り線11で折り曲げ、接着剤層10を圧着する。そして、図1(d)に示す様に、必要な時に接着剤層10は剥離され情報12が読取られる。よって、この場合、接着剤層は、圧着後の所望な時期に容易に剥離できることが要求される。
【0067】
一方、図2(a)の場合、図2(b)に示す様に、必要な情報22は接着剤層20が形成されていない位置に印刷される。その後、図2(c)に示す様に、接着剤層10が重合わされる様に情報担持用シートを折り線21で折り曲げ、接着剤層20を圧着する。そして、図2(d)に示す様に、情報22の読取りは、接着剤層20を剥離することなく、基体シートの所定位置(例えば、ミシン目23)を切断する等して行われる。よって、この場合、接着剤層は、圧着後において実質的に剥離しないことが要求される。
【0068】
なお、感圧接着剤組成物の構成物質の配合比率および圧着条件などを変化させることにより、接着剤層を剥離可能とすることもできるし、剥離不能とすることもできる。
【0069】
接着剤層が剥離可能な場合、得られた接着剤層上に、必要な情報が印刷および印字されるが、印刷および印字後に接着剤層を形成することもできる。
【0070】
印刷方式では一般的な印刷機の他、電子写真法、また、印字方式としてはインクジェット法などを採用することができる。インクジェット法の場合、印刷剤はインクであり、電子写真法の場合、印刷剤はトナーである。
【0071】
その後、印刷剤を乾燥および/または定着するため、必要に応じて接着剤層にUVを照射する。また、印刷剤を乾燥および/または定着するために加熱する場合もある。
【0072】
一方、接着剤層が剥離不能な場合、接着剤層が形成されている以外の所定の領域に、必要な情報が印刷および印字される。なお、印刷および印字後に接着剤層を形成することもできる。
【0073】
その後、印刷部および印字部を乾燥および/または定着するため、例えば、UVインキならば紫外線を照射して定着させる。
【0074】
印刷剤の乾燥および/または定着後、接着剤層は重ね合わされ圧着されるが、圧着時に十分な接着性を維持でき、このため、接着剤層は実質的に剥離しない。
【0075】
以上に説明した情報情報担持用シートは、2つ折り、3つ折り、切り重ね及び各種の重ね合わせの形で接着でき、見開き面を有するハガキ、各種帳票、通知書および各種カード等として好適に利用できる。
【0076】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用した。
【0077】
(測定方法)
以下に、各種特性の評価方法を説明する。
【0078】
(1)接着力の測定方法
シートを幅25mm及び長さ100mmに裁断して試料を作製し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ7MPaの荷重を加えて圧着した。得られた積層体の剥離強度をJIS K 6854に準じて測定し、接着剤の接着力を評価した。測定には島津製作所製オートグラフAGS50(商品名)を用い、90°T型剥離接着力を測定し、以下の基準で評価した;
◎(非常に良好):980〜1470(mN/25mm)
○(良 好):490〜980(mN/25mm)又は1470〜1960(mN/25mm)
△(使用できる):294〜490(mN/25mm)又は1960〜2940(mN/25mm)
×(使用 不可):294(mN/25mm)以下又は2940(mN/25mm)以上。
【0079】
(2)耐ブロッキング性
試料の接着層面同士を合わせ、50kPaの加圧下50℃で30分間放置後、剥離強度を測定した。耐ブロッキング性(剥離強度)(mN/cm)が、19.6以下のものを◎(非常に良好)、19.6〜49の範囲のものを○(良好)、49〜98の範囲のものを△(使用可)、98以上のものを×(使用不可)とした。剥離強度の測定には、島津製作所社製の引張試験機オートグラフAGS50型(商品名)を使用した。
【0080】
(3)耐摩耗性
熊谷理機社製のJIS式板紙耐摩耗試験機(商品名)を用い、100回摩耗した際の接着層表面を目視により判定し、耐磨耗性を評価した。その結果、試験した面積のうち破壊された面積の割合が、10%以下の場合を◎(非常に良好)、30%以下の場合を○(良好)、50%以下の場合を△(使用可)、51%以上の場合を×(使用不可)とした。
【0081】
(4)表面強度
接着剤層に、住友スリーエム社製スコッチ(登録商標)メンディングテープ(商品名)を貼り、2kgのローラー(巾50mm)を1往復させ加重をかけた。その後5分間放置し、紙破れを起こさないように剥がして、メンディングテープの粘着面への接着剤の転写を観察し、次の基準で評価した;
○(良 好):接着剤の転写が全く見られない、
△(使用できる):僅かに接着剤の転写が見られる、
×(使用 不可):顕著に接着剤の転写が見られる。
【0082】
(スチレン・MMAグラフト共重合天然ゴムラテックスの調製)
天然ゴム(NR)ラテックスの天然ゴム固形分100質量部に、スチレン10質量部とメタクリル酸メチル(MMA)25質量部とを混合し、グラフト共重合を行い、スチレン・MMAグラフト共重合天然ゴムラテックスを得た。
【0083】
(可塑剤エマルジョンAの調製)
界面活性剤として2質量%の部分けん化ポリビニルアルコール(PVA)(ユニチカ社製、商品名:UP240G)水溶液100質量部に、可塑剤としてアジピン酸ジオクチル(DOA)50質量部を加え、高速撹拌することによりO/W型可塑剤エマルジョンAを得た。
【0084】
(可塑剤エマルジョンBの調製)
界面活性剤として2質量%の部分けん化ポリビニルアルコール(PVA)(ユニチカ社製、商品名:UP240G)水溶液100質量部に、可塑剤フタル酸ジブチル(DBP)50質量部を加え、高速撹拌することによりO/W型可塑剤エマルジョンBを得た。
【0085】
(実施例1)感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1
先に得たスチレン・MMAグラフト共重合天然ゴムラテックス100質量部(固形分)と、ポリスチレンラテックス(商品名:ニポールV1004、日本ゼオン社製)20質量部(固形分)と、可塑剤エマルジョンAを2質量部(可塑剤分)とを混合した。この混合物の固形分100質量部に対し、平均粒子径4μmの市販のシリカ30質量部と平均粒子径15μmの市販のスターチ40質量部とを添加し、感圧接着剤組成物1を調製した。この感圧接着剤組成物1を、連量70kgの上質紙にグラビアオフセット方式により塗工量6g/m2で塗工した。次いで、105℃で45秒間加熱を行い乾燥処理して接着剤層を形成した。この様にして得られた情報担持用シート1の製造直後の接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0086】
(実施例2)感圧接着剤組成物2および情報担持用シート2
感圧接着剤組成物1で使用したポリスチレンラテックスを日本ゼオン社製ニポール LX−303A(商品名)に変更した以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物2および情報担持用シート2を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0087】
(実施例3)感圧接着剤組成物3および情報担持用シート3
感圧接着剤組成物1で使用した可塑剤エマルジョンAを可塑剤エマルジョンBに変更した以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物3および情報担持用シート3を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0088】
(実施例4)感圧接着剤組成物4および情報担持用シート4
感圧接着剤組成物2で使用した可塑剤エマルジョンAを可塑剤エマルジョンBに変更した以外は、感圧接着剤組成物2および情報担持用シート2と同様にして感圧接着剤組成物4および情報担持用シート4を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0089】
(実施例5)感圧接着剤組成物5および情報担持用シート5
ポリスチレンラテックスの使用量(固形分)を5質量部とし、可塑剤エマルジョンAの使用量(可塑剤分)を15質量部に変更した以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物5および情報担持用シート5を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0090】
(実施例6)感圧接着剤組成物6および情報担持用シート6
ポリスチレンラテックスの使用量(固形分)を50質量部とし、可塑剤エマルジョンAの使用量(可塑剤分)を1質量部に変更した以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物6および情報担持用シート6を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0091】
(実施例7)感圧接着剤組成物7および情報担持用シート7
ポリスチレンラテックスの使用量(固形分)を3質量部とし、可塑剤エマルジョンAの使用量(可塑剤分)を15質量部に変更した以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物7および情報担持用シート7を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
(比較例1)感圧接着剤組成物8および情報担持用シート8
ポリスチレンラテックス及び可塑剤エマルジョンAを使用しないこと以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物8および情報担持用シート8を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0094】
(比較例2)感圧接着剤組成物9および情報担持用シート9
可塑剤エマルジョンAを使用しないこと以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物9および情報担持用シート9を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0095】
(比較例3)感圧接着剤組成物10および情報担持用シー10
ポリスチレンラテックスを使用しないこと以外は、感圧接着剤組成物1および情報担持用シート1と同様にして感圧接着剤組成物10および情報担持用シート10を作製し、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
以上の評価結果より、スチレン系ラテックス及び可塑剤エマルジョンを使用することにより、優れた接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を実現できることが分かった。
【0098】
また、情報担持用シート1〜4を印刷機、シーリングマシン及びプリンターに通紙しても、接着剤層の摩耗および脱落は発生しなかった。
【0099】
【発明の効果】
天然ゴム系ラテックスと、スチレン系ラテックスと、可塑剤エマルジョンとを含有する感圧接着剤組成物を使用することにより、接着力(接着強度)及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を向上すると共に、接着剤層の耐磨耗性および表面硬度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着剤層が剥離可能な場合の情報担持用シートを説明するための模式図である。
【図2】接着剤層が剥離不能な場合の情報担持用シートを説明するための模式図である。
【符号の説明】
10 接着剤層
11 折り線
12 情報
20 接着剤層
21 折り線
22 情報
23 ミシン目
Claims (9)
- 天然ゴム系ラテックスと、スチレン系ラテックスと、可塑剤エマルジョンとを配合してなる感圧接着剤組成物。
- 前記天然ゴム系ラテックスは、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーの少なくとも何れか一方で、グラフトされているか及び架橋されているかの少なくとも何れかである天然ゴムのラテックスである請求項1記載の感圧接着剤組成物。
- 前記スチレン系ラテックスは、ポリスチレンラテックス及びスチレン−ブタジエンゴムラテックスの少なくとも何れか一方である請求項1又は2記載の感圧接着剤組成物。
- 前記可塑剤エマルジョンの可塑剤は、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、安息香酸エステル類、サリチル酸エステル類、酢酸ベンジル、脂肪酸エステル類、脂肪族ジカルボン酸エステル類、クエン酸エステル類、アルキルナフタレン類、アルキルジフェニルエーテル類、アミド化合物類、トリメリット酸エステル類およびジアリールアルカン類からなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1乃至3何れかに記載の感圧接着剤組成物。
- 前記スチレン系ラテックスの固形分の含有量は、前記天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して4〜60質量部である請求項1乃至4何れかに記載の感圧接着剤組成物。
- 前記可塑剤エマルジョンの可塑剤の含有量は、前記スチレン系ラテックスの固形分100質量部に対して1〜400質量部である請求項1乃至5何れかに記載の感圧接着剤組成物。
- 微細粒子を更に含むことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の感圧接着剤組成物。
- 前記微細粒子はシリカ系充填剤であり、前記天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対する該シリカ系充填剤の含有量は10〜100質量部であるか、
前記微細粒子はデンプン系充填剤であり、前記天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対する該デンプン系充填剤の含有量は10〜200質量部であることを特徴とする請求項7記載の感圧接着剤組成物。 - 請求項1乃至8何れかに記載の感圧接着剤組成物からなる接着剤層が基体シート上に形成される情報担持用シート。
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