JP4421826B2 - 耐摩耗性感圧接着剤組成物、耐摩耗性情報担持用シート - Google Patents

耐摩耗性感圧接着剤組成物、耐摩耗性情報担持用シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性が改良され他の性能にも優れる、ゴム系の感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シートに関するものであり、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報担持用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなど、天然ゴム系の感圧接着剤組成物により、その重ね合わせ面同士を接着するための情報担持用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持する情報担持用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面、部分的あるいは線状に感圧接着剤層が設けられている。この感圧接着剤は自着性感圧接着剤とも言われ、その接着剤層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散したりアンカー効果により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
この様な情報担持用シートの例として、親展性を有するハガキシステム等が実用化され、普及している。
【0004】
親展性を有するハガキシステムの例としては、個人的用件、プリント情報および印刷情報等の各種情報が記載されたハガキを、折り畳み、切り重ね、または別体同士を重ね合わせたものがある。
【0005】
これらのハガキシステムにおいては、各種の重ね合わせ態様で接着剤層が剥離可能に圧着され、親展性情報が隠蔽された後、郵送され、受取人が重ね合わせ面を再び剥離して隠蔽情報が読取られる。
【0006】
また、親展性を有するハガキシステムの他の例として、各種の重ね合わせ態様で接着剤層が剥離不能に圧着され、親展性情報が隠蔽された後、郵送され、受取人が接着部分を切取り除去して重ね合わせ面を再び開き、隠蔽情報が読取られるものがある。
【0007】
これらの情報担持用シートで使用される感圧接着剤は、その接着剤基剤として、一般的に、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、アクリル系エマルジョンといったゴム系ラテックス(エマルジョン)が採用され、特に、接着性や再剥離性に優れた天然ゴムラテックスを利用したものが多用されている。
【0008】
以上の様に、感圧接着剤は実際に実用化されているものであるが、各種の性能を更に向上させる要望は依然強い。なかでも、接着剤層の紙などの基体シートへの定着性が不足したり、接着剤皮膜の凝集力が不足するため、印刷機、シーリングマシン及びプリンターなどを走行中に接着剤層が摩耗する場合があり、脱落する場合もあり、この様な不具合を抑制することが長く望まれてきた。
【0009】
この要望に応え、接着剤層の摩耗および脱落などの不具合を抑制するため、接着剤層の表面強度を向上することが考えられるが、接着剤層の表面強度を向上すると、接着力(接着強度)、高進性及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能が低下する場合があり、新たな不具合が発生することもあった。
【0010】
接着剤層の耐摩耗性を向上するのであれば、接着剤層の表面強度を向上するのではなく潤滑性を向上することも考えられる。この観点から、タルク等の滑剤を添加することが考えられ、例えば、特許文献1の第0089段落には粒径2〜5μmタルクを添加することが記載されている。また、当該公報の第0093段落には、天然ゴム系ラテックスの100質量部に対してタルクを40〜70質量部添加することも記載されており、天然ゴム系ラテックスは通常50質量%の固形分を含んでいるので、同該記載は、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対してタルクを80〜140質量部添加することと同等である。
【0011】
しかしながら、当該公報の主目的は、第0012〜0026段落に記載されるようにトナーのブロッキングを抑制することである。このため、使用するタルクの粒径は小さく、接着剤層の潤滑性が不十分な恐れがある。また、タルクの使用量が多いため、接着剤層の他の性能が低下する恐れもある。タルクの使用量が多いと、例えば、特許文献2の第0006段落に記載される様に、「タルクディレッション」等の新たな不具合も危惧される。
【0012】
滑剤としては、タルク以外に高級脂肪酸塩を接着剤層に添加することも考えられる。例えば、特許文献3の第0031及び0032段落には、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム等を0.03〜5質量%添加することが記載されている。しかしながら、第0006及び0008段落に記載される様に、当該公報の主目的はインクジェット用のインキの乾燥性を向上することであり、どの様な高級脂肪酸が滑剤として好適であるかなどの詳細な記載はない。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−169320号公報
【特許文献2】
特開平07−134528号公報
【特許文献3】
特開平10−324079号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上の様な状況に鑑み、本発明では、接着力(接着強度)、高進性及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を十分確保または向上し、同時に接着剤層の耐摩耗性を向上することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、ゴム系ラテックスの固形分100質量部と、ゴム親和性偏平状充填剤5〜55質量部とを含む耐摩耗性感圧接着剤組成物であって、ここで、前記ゴム親和性偏平状充填剤は、耐摩耗性感圧接着剤組成物中においてラテックスの水相よりもゴム系粒子相に多く分配される偏平状充填剤であり、
前記ゴム親和性偏平状充填剤は偏平状鉱物系充填剤であり、
前記ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径は5〜25μmである、
耐摩耗性感圧接着剤組成物が提供される。
【0016】
また、上記の様な耐摩耗性感圧接着剤組成物からなる接着剤層が基体シート上に形成される耐摩耗性情報担持用シートが提供される。
【0017】
本発明においては、特定の特徴を有する滑剤を特定量使用することにより、接着剤層の他の性能を低下させることなく、接着剤層の表面強度ではなく潤滑性を向上し、接着剤層の耐摩耗性を改良する。この結果、印刷機、シーリングマシン及びプリンターなどを走行中に接着剤層が摩耗することを抑制でき、脱落も抑制できる。
【0018】
また、接着剤層の表面強度を向上するのではなく潤滑性を向上するため、同時に、接着力(接着強度)、高進性及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を、バランス良く維持できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】
(ゴム親和性偏平状充填剤)
ゴム親和性偏平状充填剤は、表面が疎水性であるため接着剤組成物中においてラテックスの水相よりもゴム系粒子相に多く分配されると考えられ、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できると考えられる。なお、ここで言う「疎水性」の程度とは、接着剤組成物中においてラテックスの水相よりもゴム系粒子相に多く分配される程度を言い、ゴム親和性偏平状充填剤の表面が、この程度に疎水性であれば、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できると考えられる。
【0021】
また、ゴム親和性偏平状充填剤は、形状が偏平状であるため、幾何学的な摺動効果から優れた滑剤効果が実現され、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できると考えられる。
【0022】
この様なゴム親和性偏平状充填剤としては、偏平状タルク、偏平状カリオン、偏平状マイカ、偏平状グラファイト等の偏平状鉱物系充填剤;偏平状アルミナ、偏平状ガラス、偏平状チタニア、偏平状ボロンナイトライド等の偏平状セラミック系充填剤;偏平状表面メチル化シリカ、偏平状表面オクチル化シリカ等の偏平状表面アルキル化シリカ;偏平状二硫化モリブデン、偏平状二硫化タングステン等の偏平状二硫化物系充填剤;偏平状フッ素系樹脂充填剤;偏平状カーボンブラック、偏平状ケッチェンブラック等の偏平状炭素繊維系充填剤などを使用する。
【0023】
中でも、接着剤層の他の性能を低下させることなく特に十分な耐摩耗性を実現できるため、偏平状鉱物系充填剤が好ましく、特に偏平状タルクが好ましい。
【0024】
ゴム親和性偏平状充填剤の添加量は、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対するゴム親和性偏平状充填剤は5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持し、タルクディレッション等の充填剤に起因する感光体の劣化などを抑制する観点から、55質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、25質量部以下が最も好ましい。
【0025】
また、ゴム親和性偏平状充填剤を十分に添加することで高進性も抑制でき、十分な耐ブロッキング性も保持できる。更に、ゴム親和性偏平状充填剤の添加量を適度とすることで、十分な接着力も実現できる。
【0026】
ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡で観察でき、電子顕微鏡で得られた画像中のゴム親和性偏平状充填剤の直径を計測し平均することで、数平均粒子径および標準偏差を算出できる。また、光散乱法などを利用することにより、体積平均粒子径および標準偏差を測定できる。体積平均粒子径は、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて測定できる。
【0027】
ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径は、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径は5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持する観点から、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。
【0028】
また、十分な大きさの平均粒子径を有するゴム親和性偏平状充填剤を使用することで高進性も抑制でき、十分な耐ブロッキング性も保持できる。更に、適度な大きさの平均粒子径を有するゴム親和性偏平状充填剤を使用することで、塗工時にゴム親和性偏平状充填剤が分離することを抑制でき、均一な物性を実現できる。
【0029】
ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径分布の標準偏差も、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の力学的安定性などの観点から、ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径分布の標準偏差は0.1以上が好ましく、一方、接着剤層の十分な耐摩耗性および均一な物性、接着剤組成物中でのゴム親和性偏平状充填剤の分散安定性などの観点から、0.5以下が好ましい。
【0030】
(ゴム親和性球状充填剤)
以上に説明したゴム親和性偏平状充填剤に加えゴム親和性球状充填剤を併用することで、必要に応じて更に良好な物性を実現できる。
【0031】
ゴム親和性球状充填剤は、表面が疎水性であるため接着剤組成物中においてラテックスの水相よりもゴム系粒子相に多く分配されると考えられ、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できると考えられる。なお、ここで言う「疎水性」の程度とは、接着剤組成物中においてラテックスの水相よりもゴム系粒子相に多く分配される程度を言い、ゴム親和性偏平状充填剤の表面が、この程度に疎水性であれば、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できると考えられる。
【0032】
また、ゴム親和性球状充填剤は、形状が球状であるため、幾何学的なコロ効果から優れた滑剤効果が実現され、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できると考えられる。
【0033】
この様なゴム親和性球状充填剤としては、球状タルク、球状カリオン、球状マイカ、球状グラファイト等の球状鉱物系充填剤;球状アルミナ、球状チタニア、球状ボロンナイトライド等の球状セラミック系充填剤;球状表面メチル化シリカ、球状表面オクチル化シリカ等の球状表面アルキル化シリカ;球状二硫化モリブデン、球状二硫化タングステン等の球状二硫化物系充填剤;球状カーボンブラック、球状ケッチェンブラック等の球状炭素繊維系充填剤;球状炭酸カルシウム等の球状無機塩系充填剤;ガラスビーズ等の球状ガラス系充填剤;球状架橋型スターチ;球状メラミン樹脂、球状メラミン−シリカ複合粒子、球状フッ素系樹脂などの球状樹脂系充填剤などを使用する。
【0034】
ゴム親和性球状充填剤の添加量は、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対するゴム親和性球状充填剤は5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持し、タルクディレッション等の充填剤に起因する感光体の劣化などを抑制する観点から、55質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、25質量部以下が最も好ましい。
【0035】
また、ゴム親和性球状充填剤を十分に添加することで高進性も抑制でき、十分な耐ブロッキング性も保持できる。更に、ゴム親和性球状充填剤の添加量を適度とすることで、十分な接着力も実現できる。
【0036】
なお、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の組合わせに依っては、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の総量がゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましく、一方、55質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、25質量部以下が最も好ましい場合もある。
【0037】
ゴム親和性球状充填剤の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡で観察でき、電子顕微鏡で得られた画像中のゴム親和性球状充填剤の直径を計測し平均することで、数平均粒子径および標準偏差を算出できる。また、光散乱法などを利用することにより、体積平均粒子径および標準偏差を測定できる。体積平均粒子径は、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて測定できる。
【0038】
ゴム親和性球状充填剤の平均粒子径は、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム親和性球状充填剤の平均粒子径は3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、8μm以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持する観点から、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。
【0039】
また、十分な大きさの平均粒子径を有するゴム親和性球状充填剤を使用することで高進性も抑制でき、十分な耐ブロッキング性も保持できる。更に、適度な大きさの平均粒子径を有するゴム親和性球状充填剤を使用することで、塗工時にゴム親和性球状充填剤が分離することを抑制でき、均一な物性を実現できる。
【0040】
ゴム親和性球状充填剤の平均粒子径分布の標準偏差も、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の力学的安定性などの観点から、ゴム親和性球状充填剤の平均粒子径分布の標準偏差は0.1以上が好ましく、一方、接着剤層の十分な耐摩耗性および均一な物性、接着剤組成物中でのゴム親和性球状充填剤の分散安定性などの観点から、0.5以下が好ましい。
【0041】
(金属石鹸)
ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方に加え金属石鹸を併用することでも、必要に応じて更に良好な物性を実現できる。金属石鹸とは一般的に高級脂肪酸の金属塩を言い、芳香族カルボン酸の金属塩も含むものとし、優れた滑剤効果を有するため、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現できる。
【0042】
具体的には、接着剤層の他の性能を低下させることなく十分な耐摩耗性を実現する観点から、金属石鹸としては、Li、Mg、Ca、Ba、Zr、Mn、Co、Pb、Cu、Zn及びAlからなる群より選ばれる1種以上の金属と、炭素数6〜36の炭化水素基を有する有機酸とを含有すものが好ましい。
【0043】
本発明者らは、得られる接着剤層の耐摩耗性が金属石鹸の金属成分の種類に大きく左右されることを見出し、どのような金属が適当であるかを検討した結果、Li、Mg、Ca、Ba、Zr、Mn、Co、Pb、Cu、Zn及びAlからなる群より選ばれる1種以上の金属が好ましいことを見出し、中でもCa及びZnの少なくとも何れか一方がより好ましく、Caが更に好ましいことを見出した。
【0044】
また、有機酸の種類も接着剤層の耐摩耗性に強く影響することを見出し、どのような有機酸が適当であるかを検討した結果、炭素数6〜36の炭化水素基を有する有機酸が好ましいことを見出し、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸が好ましく、中でも、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、特にステアリン酸が好ましいことを見出した。
【0045】
金属石鹸の添加量も、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対する金属石鹸は0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましく、0.25質量部以上が最も好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持する観点から、35質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましく、1質量部以下で十分な場合もあれば、0.5質量部以下が十分な場合もある。
【0046】
また、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤に対する金属石鹸の使用量も、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム親和性偏平状充填剤、ゴム親和性球状充填剤および金属石鹸の合計に対して金属石鹸は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持する観点から、95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
【0047】
また、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方と金属石鹸とを併用する場合、接着剤組成物を作製するのに先立ち、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方を金属石鹸と予め混合し予め表面処理することにより、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤と金属石鹸との相乗効果を更に高めることができ、接着剤層の耐摩耗性を更に向上できる。
【0048】
ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方と、金属石鹸とを予め混合し予め表面処理することにより、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤に金属石鹸が吸着、反応および相互佐用する等により、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の表面が改質されると考えられる。
【0049】
ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤を金属石鹸で予め処理する際の、金属石鹸の使用量は、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム親和性偏平状充填剤、ゴム親和性球状充填剤および金属石鹸の合計に対して金属石鹸は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持する観点から、95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
【0050】
ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方を金属石鹸と予め混合し予め表面処理する際には、適当な分散剤を共存させることにより表面処理の効率を向上できるため好ましい。
【0051】
分散剤としては、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等のポリリン酸系分散剤;ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸アルカリ金属塩、ポリアクリル酸アルカリ金属塩、ポリアクリルアミド等のポリカルボン酸系分散剤;カゼイン、ゼラチン等の蛋白系水溶性高分子;ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性高分子などを使用する。
【0052】
分散剤の使用量は、表面処理を良好に行う観点から、ゴム親和性偏平状充填剤、ゴム親和性球状充填剤および金属石鹸の合計100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましい。一方、他の物性を良好に維持する観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下が更に好ましく、7質量部以下が更に好ましい。
【0053】
ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方と金属石鹸とを併用する場合も、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の添加量は、最終的に得られる接着剤層の性能を大きく左右するため、注意深く決定する。具体的には、接着剤層の十分な耐摩耗性を実現する観点から、ゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対するゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方は5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましい。一方、接着剤層の他の性能を十分維持し、タルクディレッション等の充填剤に起因する感光体の劣化などを抑制する観点から、55質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、25質量部以下が最も好ましい。
【0054】
また、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方を十分に添加することで高進性も抑制でき、十分な耐ブロッキング性も保持できる。更に、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の少なくとも何れか一方の添加量を適度とすることで、十分な接着力も実現できる。
【0055】
なお、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の組合わせに依っては、ゴム親和性偏平状充填剤およびゴム親和性球状充填剤の総量がゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましく、一方、55質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、35質量部以下が更に好ましく、25質量部以下が最も好ましい場合もある。
【0056】
(ゴム系ラテックス)
ゴム系ラテックスはエマルジョンとも呼ばれ、圧着により接着力を発現する主成分であり、天然ゴム系ラテックスや、スチレン系ゴムラテックス、アクリル系ゴムラテックス及びアクリルニトリル系ゴムラテックス等の合成ゴム系ラテックス等を使用する。
【0057】
ゴム系ラテックスの使用量は、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面硬度に強く影響するため、注意深く決定する。具体的には、感圧接着剤組成物全体に対して、ゴム系ラテックスの固形分を普通10〜80質量%とする。
【0058】
(ア)天然ゴム系ラテックス
天然ゴム系ラテックス中の天然ゴム系微粒子は天然ゴムの主成分であるイソプレン骨格を有し、十分な自着性を有するものであれば天然物および合成物の何れでも構わず、これらを総称して天然ゴムと呼ぶ。
【0059】
天然ゴム系微粒子としては、接着力、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面硬度の観点から、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーの少なくとも何れか一方でグラフトされているものが好ましい。また、同様に、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーの少なくとも何れか一方で架橋されているものが好ましい。
【0060】
天然ゴム系微粒子をグラフト及び架橋するアクリル系モノマーとしては十分な反応性を有するものであれば特に制限されないが、天然ゴム系微粒子との相溶性が良好でイソプレン骨格の2重結合と反応し易いものが好ましく、この様な観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ラウリル−トリデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル−ステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル及びメタクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド及び(メタ)アクリル酸メチロールアミド等の(メタ)アクリル酸アミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の反応性アクリル系モノマー類;ジ(メタ)アクリル酸エチレン、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸デカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ブチレン、(メタ)アクリル酸アリル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール及びジ(メタ)アクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の架橋性アクリル系モノマー類などを使用する。
【0061】
また、天然ゴム系微粒子をグラフト及び架橋するスチレン系モノマーとしては十分な反応性を有するものであれば特に制限されないが、天然ゴム系微粒子との相溶性が良好でイソプレン骨格の2重結合と反応し易いものが好ましく、この様な観点から、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン及びブロモスチレン等を使用する。
【0062】
更に、必要に応じてアクリル系モノマー及び/又はスチレン系モノマーと共重合可能なモノマーを併用することもできる。この様な共重合可能なモノマーとしては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル化合物類; 塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル化合物類;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等の有機酸基含有ビニル化合物類;エチレン、マレイン酸およびイタコン酸等の反応性単量体類;アクリル変性シリコーン類;クロロエチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレート等の架橋性共重合モノマー類などを使用できる。
【0063】
なお、天然ゴム系微粒子のグラフト及び架橋は、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーを、それぞれ10〜40質量部添加して行われ、必要に応じて、アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーを併用することや、複数のアクリル系モノマー、複数のスチレン系モノマーを使用することもできる。
【0064】
以上の様な天然ゴム系ラテックスおよびモノマーを、最適な乳化剤および触媒を用い適当な条件で反応することにより、グラフト構造および/または架橋構造を天然ゴムに導入することができる。また、架橋密度等が所望の範囲内である天然ゴムを得ることができる。
【0065】
(イ)スチレン系ゴムラテックス
スチレン系ゴムラテックスはスチレン系ゴム微粒子が水性媒体中に分散されたエマルジョンであり、スチレン系ゴム微粒子は接着剤層の耐摩耗性および表面強度を向上する主成分である。この観点から、ポリスチレンラテックス又はスチレン−ブタジエンゴムラテックスが好ましく、これらを併用することもできる。
【0066】
なお、天然ゴム系ラテックスと併用する場合は、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対してスチレン系ゴムラテックスの固形分の使用量は、4質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、一方、60質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましい。
【0067】
なお、複数のスチレン系ゴムラテックスを併用する場合は、それぞれのスチレン系ゴムラテックスの使用量が上記の範囲であることが好ましい。
【0068】
ポリスチレンラテックスはポリスチレン微粒子が水性媒体中に分散されたエマルジョンであり、必要に応じて、ロジン石鹸、脂肪酸石鹸、スルホン酸化合物、スルホン酸化合物の塩類などの界面活性剤が添加されていても構わない。
【0069】
スチレン−ブタジエンゴムラテックスに含まれるスチレン−ブタジエンゴム微粒子は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)から主になり、SBRとしては、SBRドライバー及びSBRラテックス等の乳化重合SBR;ランダムSBR、ブロックSBR及び対称ブロックSBR等の溶液重合SBR等を用いることができる。
【0070】
また、SBRの特性は、スチレン及びブタジエンの共重合比に大きく依存する。この様な観点から、スチレン含有量が低い(30質量%以下)もの、スチレン含有量が中程度(30質量%より多く70質量%以下)のもの、スチレン含有量が高い(70質量%を超える)もの等を注意深く選択し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスにおいて使用する。
【0071】
更に、スチレン及びブタジエンの共重合比の指標として、スチレン−ブタジエンゴムラテックスのガラス転移温度(Tg)を考慮することが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、スチレン−ブタジエンゴムラテックスの動的粘弾性挙動より実測できる。また、物質および基準物質の温度をプログラミングに従って変化させながら、その物質と基準物質に対するエネルギー入力の差を温度の関数として測定する、示差走査熱量測定(DSC)により、ガラス転移温度(Tg)を実測することもできる。
【0072】
具体的には、−30℃以上が好ましく、−20℃以上がより好ましく、−10℃以上が更に好ましく、一方、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。
【0073】
加えて、非変性タイプ、ビニルピリジン変性タイプ及びカルボキシ変性タイプ等のSBRを使用することもできる。
【0074】
(ウ)アクリル系ゴムラテックス
アクリル系ゴムラテックスはアクリル系ゴム微粒子が水性媒体中に分散されたエマルジョンであり、アクリル系ゴム微粒子としては、主成分となるアクリル系エステル化合物と架橋成分となる架橋性水酸基または架橋性塩素原子を有する共重合性モノマーからなり、必要に応じてアクリル系エステル化合物と共重合可能なビニルモノマーと共重合されていても良い。
【0075】
主成分となるアクリル系エステル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等を使用するが、得られる接着剤層の性能の観点から、(メタ)アクリル酸エチル30〜70モル%と(メタ)アクリル酸n−ブチル50〜10モル%とが共重合されたものが好ましい。
【0076】
架橋性基となる架橋性水酸基または架橋性塩素原子を有する共重合性モノマーとしては、架橋性水酸基の場合、フェノール性水酸基が好ましく、架橋性塩素原子の場合、活性塩素原子である。具体的には、o,m,p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、o−カビコール、p,m−ヒドロキシ安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、オイゲノール、イソオイゲノール、p−イソプロペニルフェノール、o,m,p−アリルフェノール、2,2−(o,m,p−ヒドロキシフェニル−4−ビニルアセチル)プロパン等の架橋性水酸基含有モノマー;2−クロロエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル、クロロメチルスチレン、アリルクロライド等の活性塩素原子含有モノマーを使用する。
【0077】
アクリル系エステル化合物と共重合可能なビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、メタクリル酸アルキルエステル類;メタクリル酸アルコキシアルキルエステル類などが使用可能である。
【0078】
(エ)アクリルニトリル系ゴムラテックス
アクリルニトリル系ゴムラテックスはアクリルニトリル系ゴム微粒子が水性媒体中に分散されたエマルジョンである。
【0079】
(オ)合成ゴムエマルジョン
以上以外にも、必要に応じて、各種の合成ゴムエマルジョンを併用して感圧接着剤組成物を作製することもできる。合成ゴムエマルジョンとしては、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタンゴム、チオコールゴム等の合成ゴムを水性溶媒中に分散させたエマルジョンを使用する。
【0080】
(微細粒子)
微細粒子としては、耐ブロッキング性を向上させるために天然ゴム等のゴム成分との親和力が小さいものが好ましく、接着剤層の透明性を阻害しない様にする必要がある場合には、粒子形状が規則的に整ったものが好ましい。この様なものとしては、例えば、シリカ系充填剤、デンプン系充填剤、ゼオライト系充填剤、アクリル系充填剤、ポリエチレン系充填剤、アルミナ系充填剤、ガラス系充填剤、シラスバルーン、活性白土、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの微細粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0081】
なお、これらの微細粒子の平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、一方、35μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。また、粒子径の異なる2種以上を組み合わせて用いると、接着剤層の表面を凹凸状に形成し易いので、耐ブロッキング性の向上に有利である。
【0082】
以上の様な微細粒子の中でも、天然ゴム等のゴム成分との親和力が小さく、十分な耐ブロッキング性を実現できるため、シリカ系微細粒子およびデンプン系微細粒子が好ましい。
【0083】
微細粒子の配合量は、十分量の微細粒子を配合することにより、接着剤層の耐ブロッキング性を向上し高進性を抑制でき、一方、適当量の微細粒子を配合することにより、十分な接着力を実現できる観点から、注意深く決定する。
【0084】
具体的には、接着剤層の十分な耐ブロッキング性および高進性の抑制の観点から、ゴム系ラッテクスの固形分100質量部に対する微細粒子は50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、100質量部以上が更に好ましい。一方、接着剤層の接着力などの他の性能を十分維持する観点から、250質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、150質量部以下が更に好ましい。
【0085】
特に、シリカ系充填剤の場合、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましく、一方、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、60質量部以下が更に好ましい場合もある。
【0086】
また、デンプン系充填剤の場合、天然ゴム系ラテックスの固形分100質量部に対して10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましく、一方、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、160質量部以下が更に好ましい場合もある。
【0087】
(感圧接着剤組成物)
感圧接着剤組成物を調製する際には、必要に応じて例えば、更に、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤および消臭剤なども併用する。
【0088】
pH調整剤としては、天然ゴムラテックス等のゴムラテックスの抗凝固剤や防腐剤としての機能も併せ持つ、アンモニアが好ましい。また、天然ゴムラテックス等のゴムラテックスにpH調整剤を予め添加しておき、pHの調整された天然ゴムラテックス等のゴムラテックスを使用することにより、最終的に得られる感圧接着剤組成物のpHを所望の範囲とすることもできる。
【0089】
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、ブチルフェニルサリシレート及びオクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;ジヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、ヒドロキシドデシルオキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシスルホベンゾフェノン及びビス(メトキシヒドロキシベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン類;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシブチルメチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジブチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジアミルフェニル)ベンゾトリアゾール及び[ヒドロキシ(テトラヒドロフタルイミドメチル)メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;エチルヘキシルシアノジフェニルアクリレート及びエチルシアノジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;ヒンダードアミン類等を挙げることができる。
【0090】
酸化防止剤としては、アミン−ケトン系、ジフェニルアミン系、ジアリール−P−フェニレンジアミン系およびアルキルアリール−P−フェニレンジアミン系等の芳香族第2級アミン系を含むアミン類;モノフェノール系、ビスフェノール系およびヒドロキノン系を含むフェノール類;有機イオウ類;ホスファイト類;これらの複合系などを使用することができる。
【0091】
アミン類の具体例としては、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−オクチル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン及びN,N′−ジ(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン誘導体;2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(重合物)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、アセトンとジフェニルアミンの縮合物およびアセトンとN−フェニル−2−ナフチルアミンとの縮合物などのケトン−アミン縮合物;N−フェニル−1−ナフチルアミン等のナフチルアミン類;オクチル化ジフェニルアミン及び4,4′−ジメトキジジフェニルアミン等のジフェニルアミン誘導体などを挙げることができる。
【0092】
フェノール類の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、アルキル化フェノール及びシクロヘキシル化フェノール等のモノフェノール類;2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′メチレンビス(4−メチル−6−メチルシクロヘキシルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類などを挙げることができる。
【0093】
以上の酸化防止剤の中でも、汚染性および着色性が少ないことからフェノール類が好ましい。
【0094】
また、合成樹脂エマルジョンを併用して感圧接着剤組成物を作製することもできる。合成樹脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体系エマルジョン、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン及びポリ塩化ビニル系エマルジョン等を例示することができる。なお、これらの合成樹脂エマルジョンのなかでも、ガラス転移温度(Tg)が−30〜20℃のものが好適である。また、これらの合成樹脂のエマルジョン中での固形分濃度は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、一方、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。
【0095】
なお、ラテックス粒子を分散安定化させるために乳化剤を添加することもできる。この様な乳化剤としては、ロジン石鹸、ナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸およびアルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン系やノニオン系の界面活性剤が用いられる。
【0096】
(情報担持用シート)
以上で説明してきた感圧接着剤組成物を用いて、情報担持用シートの製造方法の例について以下に説明する。
【0097】
先ず、グラビアコーター、フレキソ、エアーナイフコーター及びバーコーター等の塗布手段により、感圧接着剤組成物を基体シート上に塗布し、塗膜を形成する。
【0098】
基体シートとしては、通常の紙の他に、合成紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン及び塩化ビニル等の合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面にマット処理およびコロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0099】
また、基体シート面への接着剤組成物の塗布量は、接着剤層の接着性、剥離性および透明性を維持するため、1g/m2以上が好ましく、3g/m2以上がより好ましく、4g/m2以上が更に好ましく、一方、30g/m2以下が好ましく、20g/m2以下がより好ましく、7g/m2以下が更に好ましい。
【0100】
感圧接着剤組成物よりなる塗膜は、例えば90〜250℃の温度で熱風乾燥され、接着剤層が基体シート上に積層される。
【0101】
ここで、図1(a)に、接着剤層が剥離可能な情報担持用シートの例を、図2(a)に、接着剤層が剥離不能な情報担持用シートの例を、それぞれ示した。
【0102】
図1(a)の場合、図1(b)に示す様に、接着剤層10上に必要な情報12が印刷される。その後、図1(c)に示す様に、接着剤層10が重ね合わされる様に情報担持用シートを折り線11で折り曲げ、接着剤層10を圧着する。そして、図1(d)に示す様に、必要な時に接着剤層10は剥離され情報12が読取られる。よって、この場合、接着剤層は、圧着後の所望な時期に容易に剥離できることが要求される。
【0103】
一方、図2(a)の場合、図2(b)に示す様に、必要な情報22は接着剤層20が形成されていない位置に印刷される。その後、図2(c)に示す様に、接着剤層10が重ね合わされる様に情報担持用シートを折り線21で折り曲げ、接着剤層20を圧着する。そして、図2(d)に示す様に、情報22の読取りは、接着剤層20を剥離することなく、基体シートの所定位置(例えば、ミシン目23)を切断する等して行われる。よって、この場合、接着剤層は、圧着後において実質的に剥離しないことが要求される。
【0104】
なお、感圧接着剤組成物の構成物質の配合比率および圧着条件などを変化させることにより、接着剤層を剥離可能とすることもできるし、剥離不能とすることもできる。
【0105】
接着剤層が剥離可能な場合、得られた接着剤層上に、必要な情報が印刷および印字されるが、印刷および印字後に接着剤層を形成することもできる。
【0106】
印刷方式では一般的な印刷機が使用でき、また、印字方式としては電子写真法、インクジェット法などを採用することができる。インクジェット法の場合、印字剤はインクであり、電子写真法の場合、印字剤はトナーである。
【0107】
その後、印刷剤を乾燥および/または定着するため、必要に応じて接着剤層にUVを照射する。また、印刷剤を乾燥および/または定着するために加熱する場合もある。
【0108】
一方、接着剤層が剥離不能な場合、接着剤層が形成されている以外の所定の領域に、必要な情報が印刷および印字される。なお、印刷および印字後に接着剤層を形成することもできる。
【0109】
その後、印刷部および印字部を乾燥および/または定着するため、例えば、UVインキならば紫外線を照射して定着させる。
【0110】
印刷剤の乾燥および/または定着後、接着剤層は重ね合わされ圧着されるが、圧着時に十分な接着性を維持でき、このため、接着剤層は実質的に剥離しない。
【0111】
以上に説明した情報情報担持用シートは、2つ折り、3つ折り、切り重ね及び各種の重ね合わせの形で接着でき、見開き面を有するハガキ、各種帳票、通知書および各種カード等として好適に利用できる。
【0112】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用した。
【0113】
(測定方法)
以下に、各種特性の評価方法を説明する。
【0114】
(1)接着力
シートを幅25mm及び長さ100mmに裁断して試料を作製し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ7MPaの荷重を加えて圧着した。得られた積層体の剥離強度をJIS K 6854に準じて測定し、接着剤の接着力を評価した。測定には島津製作所製オートグラフAGS50(商品名)を用い、90°T型剥離接着力を測定し、以下の基準で評価した;
◎(非常に良好):980〜1470(mN/25mm)
○(良 好):490〜980(mN/25mm)
又は1470〜1960(mN/25mm)
△(使用できる):294〜490(mN/25mm)
又は1960〜2940(mN/25mm)
×(使用 不可):294(mN/25mm)以下
又は2940(mN/25mm)以上。
【0115】
(2)高進性
圧着葉書をシール後、経時でその剥離接着力が増加または減少する程度をもって、高進性を評価した。
【0116】
上記(1)の条件で貼合した試料を30℃で80RH%の環境に暴露し、2週間後の接着力を上記(1)に従って測定し、高進率=(2週間後の接着力)/(初期接着力)として、以下のように評価した;
◎(非常に良好):高進率が90〜110%
○(良 好):高進率が80〜90%又は110〜140%
△(使用できる):高進率が70〜80%又は140〜200%
×(使用 不可):高進率が0〜70%又は200%以上。
【0117】
(3)耐ブロッキング性
試料の接着層面同士を合わせ、50kPaの加圧下50℃で30分間放置後、以下の様に剥離強度を測定した;
Figure 0004421826
【0118】
なお、剥離強度の測定には、島津製作所社製の引張試験機オートグラフAGS50型(商品名)を使用した。
【0119】
(4)耐摩耗性
熊谷理機社製のJIS式板紙耐摩耗試験機(商品名)を用い、100回摩耗した際の接着層表面を目視により判定し、以下の様に耐摩耗性を評価した;
Figure 0004421826
【0120】
(5)表面強度
市販のRIテスターを使用して親展葉書用圧着用紙を市販のインキタック20で印刷した際に、感圧接着剤層が転写ロールに付着するか否かを観察して、以下の様に表面強度を評価した;
◎(良 好):転写ロールに塗工層が全く付着しない
△(使 用 可):転写ロールに塗工層がルーペで見て付着
×(使用 不可):転写ロールに塗工層が肉眼で見て付着。
【0121】
(基紙の製造)
針葉樹晒クラフトパルプ20質量部および広葉樹晒クラフトパルプ80質量部を430mL(C.S.F.)に叩解し、荒川化学工業(株)製ロジンサイズ剤サイズパインE(商品名)0.7質量部および硫酸バンド3.5質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量85g/m2の紙を抄造し、カレンダーで厚さ0.11mmに調整して基紙を得た。
【0122】
(MMAグラフト共重合天然ゴムラテックスの調製)
天然ゴム(NR)ラテックスの天然ゴム固形分100質量部にメタクリル酸メチル(MMA)17.6質量部を混合し、グラフト共重合を行い、MMAグラフト共重合天然ゴムラテックスを得た。
【0123】
(実施例1−1)感圧接着剤組成物1−1および情報担持用シート1−1
先に得たMMAグラフト共重合天然ゴムラテックス100質量部(固形分)と、日本ゼオン社製SBRラテックス(商品名:ニポールLX430)10質量部(固形分)とを混合した。この混合物の固形分100質量部に対し、トクヤマ(株)製シリカゲル(商品名:ファインシールX37B、平均粒子径:3.7μm)25質量部と、千葉製粉(株)製スターチ(商品名:AS−225、平均粒子径:16μm)100質量部と、日本タルク(株)製の偏平状タルク(商品名:MS、平均粒径13μm、標準偏差:0.31)20質量部とを配合して、感圧接着剤組成物1−1を調製した。
【0124】
得られた感圧接着剤組成物1−1を、エアーナイフコーターを用いて、先に得た基紙に塗工量5.0g(固形分)/m2で塗工した。次いで、105℃で45秒間加熱を行い乾燥処理して接着剤層を形成した。この様にして得られた情報担持用シート1−1の製造直後の接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0125】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも極めて良好であることが分った。
【0126】
(実施例1−2)感圧接着剤組成物1−2および情報担持用シート1−2
偏平状タルクの添加量を7質量部とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物1−2を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物1−2とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート1−2を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0127】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも十分であることが分った。
【0128】
(実施例1−3)感圧接着剤組成物1−3および情報担持用シート1−3
偏平状タルクの添加量を50質量部とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物1−3を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物1−3とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート1−3を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0129】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも十分であることが分った。
【0130】
(実施例1−4)感圧接着剤組成物1−4および情報担持用シート1−4
感圧接着剤組成物1−1で使用したの偏平状タルクMSを、日本タルク(株)製の偏平状タルク(商品名:SG−1000、平均粒径:2μm、標準偏差:0.3)とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物1−4を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物1−4とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート1−4を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0131】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも十分であることが分った。
【0132】
(実施例1−5)感圧接着剤組成物1−5および情報担持用シート1−5
感圧接着剤組成物1−1で使用したの偏平状タルクMSを、日本タルク(株)製の偏平状タルク(商品名:MS−KY、平均粒径:26μm、標準偏差:0.5)とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物1−5を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物1−5とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート1−5を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0133】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも十分であることが分った。
【0134】
(実施例1−6)感圧接着剤組成物1−6および情報担持用シート1−6
感圧接着剤組成物1−1で使用したの偏平状タルクを、エンゲルハード社製の偏平状カオリン(商品名:ウルトラ・ホワイト90、平均粒子径:1.8μm、標準偏差:0.1)とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物1−6を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物1−6とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート1−6を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0135】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも十分であることが分った。
【0136】
(実施例1−7)感圧接着剤組成物1−7および情報担持用シート1−7
感圧接着剤組成物1−1で使用したの偏平状タルクを、コープケミカル(株)製の偏平状マイカ(商品名:ミクロマイカMK−200、平均粒子径:8.2μm、標準偏差:0.3)とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物1−7を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物1−7とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート1−7を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0137】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも十分であることが分った。
【0140】
(実施例2−1)感圧接着剤組成物2−1および情報担持用シート2−1
先に得たMMAグラフト共重合天然ゴムラテックス100質量部(固形分)と、日本ゼオン社製SBRラテックス(商品名:ニポールLX430)10質量部(固形分)とを混合した。この混合物の固形分100質量部に対し、トクヤマ(株)製シリカゲル(商品名:ファインシールX37B、平均粒子径:3.7μm)25質量部と、千葉製粉(株)製スターチ(商品名:AS−225、平均粒子径:16μm)100質量部と、日本タルク(株)製の偏平状タルク(商品名:MS、平均粒径13μm、標準偏差:0.31)20質量部と、ステアリン酸カルシウム0.4質量部とを配合して、感圧接着剤組成物2−1を調製した。
【0141】
得られた感圧接着剤組成物2−1を、エアーナイフコーターを用いて、先に得た基紙に塗工量5.0g(固形分)/m2で塗工した。次いで、105℃で45秒間加熱を行い乾燥処理して接着剤層を形成した。この様にして得られた情報担持用シート2−1の製造直後の接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0142】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも極めて良好であることが分った。
【0143】
(実施例3−1)感圧接着剤組成物3−1および情報担持用シート3−1
日本タルク(株)製の偏平状タルク(商品名:MS、平均粒径13μm、標準偏差:0.31)50質量部と、ステアリン酸カルシウム50質量部と、カゼイン5質量部とを配合して、偏平状タルクを表面処理した。
【0144】
この混合物11質量部を偏平状タルク20質量部の代わりに使用以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物3−1を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物3−1とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート3−1を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0145】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも極めて良好であることが分った。
【0146】
(実施例3−2)感圧接着剤組成物3−2および情報担持用シート3−2
エンゲルハード社製の偏平状カオリン(商品名:ウルトラ・ホワイト90、平均粒子径:1.8μm、標準偏差:0.1)50質量部とステアリン酸カルシウム50質量部とをカゼイン5質量部を分散剤として予めブレンドして複合化物を得た。
【0147】
次いで、感圧接着剤組成物1−1の偏平状タルク20質量部を、偏平状カオリン−ステアリン酸カルシウムの複合化物換算で(カゼインを除外して換算した)25質量部とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物3−2を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物3−2とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート3−2を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0148】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも極めて良好であることが分った。
【0149】
(実施例3−3)感圧接着剤組成物3−3および情報担持用シート3−3
コープケミカル(株)製の偏平状マイカ(商品名:ミクロマイカMK−200、平均粒子径:8.2μm、標準偏差:0.3)50質量部とステアリン酸カルシウム50質量部とをカゼイン5質量部を分散剤として予めブレンドして複合化物を得た。
【0150】
次いで、感圧接着剤組成物1−1の偏平状タルク20質量部を、偏平状マイカ−ステアリン酸カルシウムの複合化物換算で(カゼインを除外して換算した)25質量部とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物3−3を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物3−3とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート3−3を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0151】
接着力、高進性、耐ブロッキング性、耐摩耗性および表面強度の何れも極めて良好であることが分った。
【0155】
(比較例1)感圧接着剤組成物4−1および情報担持用シート4−1
偏平状タルクを使用しない以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物4−1を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物4−1とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート4−1を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0156】
(比較例2)感圧接着剤組成物4−2および情報担持用シート4−2
偏平状タルクの添加量を2質量部とした以外は、感圧接着剤組成物1−1と同様にして感圧接着剤組成物4−2を調製した。また、感圧接着剤組成物1−1を感圧接着剤組成物4−2とした以外は、情報担持用シート1−1と同様にして情報担持用シート4−2を作製し、各種性能を評価して結果を表1に示した。
【0157】
【表1】
Figure 0004421826
【0158】
【発明の効果】
ゴム系ラテックスの固形分100質量部と、ゴム親和性偏平状充填剤5〜55質量部とを含む耐摩耗性感圧接着剤組成物を使用することにより、接着力(接着強度)、高進性及び耐ブロッキング性と言った感圧接着剤の基本性能を十分確保または向上し、同時に接着剤層の耐摩耗性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着剤層が剥離可能な場合の情報担持用シートを説明するための模式図である。
【図2】接着剤層が剥離不能な場合の情報担持用シートを説明するための模式図である。
【符号の説明】
10 接着剤層
11 折り線
12 情報
20 接着剤層
21 折り線
22 情報
23 ミシン目

Claims (6)

  1. ゴム系ラテックスの固形分100質量部と、ゴム親和性偏平状充填剤5〜55質量部とを含む耐摩耗性感圧接着剤組成物であって、
    ここで、前記ゴム親和性偏平状充填剤は、耐摩耗性感圧接着剤組成物中においてラテックスの水相よりもゴム系粒子相に多く分配される偏平状充填剤であり、
    前記ゴム親和性偏平状充填剤は偏平状鉱物系充填剤であり、
    前記ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径は5〜25μmである、
    耐摩耗性感圧接着剤組成物
  2. 前記ゴム親和性偏平状充填剤の平均粒子径分布の標準偏差は0.1〜0.5である請求項記載の耐摩耗性感圧接着剤組成物。
  3. 更に、シリカ系微細粒子およびデンプン系微細粒子のうちの少なくとも一方である微細粒子を50〜250質量部含む請求項1または2記載の耐摩耗性感圧接着剤組成物。
  4. 更に、金属石鹸を0.01〜35質量部含む請求項1乃至何れか記載の耐摩耗性感圧接着剤組成物。
  5. 前記ゴム親和性偏平状充填剤は金属石鹸により予め表面処理されている請求項1乃至何れか記載の耐摩耗性感圧接着剤組成物。
  6. 請求項1乃至何れか記載の耐摩耗性感圧接着剤組成物からなる接着剤層が基体シート上に形成される耐摩耗性情報担持用シート。
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