JP2004051488A - 1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工業的に有利に、高収率、高純度の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する方法を提供すること。
【解決手段】4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法に関する。
【0002】
1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、他の重合性単量体との相溶性に優れると共に、高い屈折率を有し、眼鏡用プラスチックレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディスク基盤、プラスチック光ファイバー、LCD用プリズムシート、導光板等の光学材料の原料モノマーとして好適である1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造中間体である。
【0003】
【従来の技術】
1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類、例えば、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]の製造方法としては、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)と1,2−ジクロロエタンとを、相間移動触媒の存在下に反応させる方法が知られている(ЖУРНАЛ ОРГАНИЧЕСКОЙ ХИМИИ,Т.28,ВЫП.9 1905,1992)。しかしながら、この方法では、副生成物である二量体が生成し、この二量体は、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]と分離が困難なため、得られる1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]の純度および収率が低いという問題がある。また、この方法では、1,2−ジクロロエタンを反応基質としてだけでなく溶媒としても使用しているため、環境負荷が大きく、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的に有利に、高収率、高純度の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることにより、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を工業的に有利に、高収率、高純度で製造することができることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は、下記一般式(1);
【0007】
【化5】
(式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0008】
で表される4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と、下記一般式(2);
【0009】
【化6】
(式中、X1は、ハロゲン原子を示す。)
【0010】
で表される2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、下記一般式(3);
【0011】
【化7】
(式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。)
【0012】
で表される1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする、下記一般式(4);
【0013】
【化8】
(式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。X2は、ハロゲン原子を示す。)
【0014】
で表される1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する。
【0016】
本発明において用いられる4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類は、下記一般式(1);
【0017】
【化9】
【0018】
で表される化合物である。
【0019】
式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【0020】
上記ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0021】
上記炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0022】
上記4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類の具体例としては、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−クロロベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,6−ジクロロベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,3,5,6−テトラクロロベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,6−ジブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,3,5,6−テトラブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,6−ジメチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,3,5,6−テトラメチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−エチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−n−プロピルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチルベンゼンチオール)等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高いという観点から、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)が好適に用いられる。
【0023】
本発明において用いられる2−ハロゲノエタノールは、下記一般式(2);
【0024】
【化10】
【0025】
で表される化合物である。
【0026】
式中、X1は、ハロゲン原子を示す。
【0027】
ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0028】
上記2−ハロゲノエタノールの具体例としては、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、2−ヨードエタノール等が挙げられる。これらの中でも、安価で容易に入手でき、反応性が高いという観点から、2−クロロエタノールが好適に用いられる。
【0029】
上記2−ハロゲノエタノールの使用量は、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して、2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルであることが望ましい。2−ハロゲノエタノールの使用量が2倍モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、2−ハロゲノエタノールの使用量が4倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0030】
本発明において用いられるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらの中でも、経済的な観点から、アルカリ金属水酸化物、とりわけ、水酸化ナトリウムが好適に用いられる。
【0031】
上記アルカリ金属化合物の使用量は、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して、2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルであることが望ましい。アルカリ金属化合物の使用量が2倍モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、アルカリ金属化合物の使用量が4倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0032】
上記アルカリ金属化合物は、通常、水溶液として用いられ、その水溶液の濃度は、10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%であることが望ましい。水溶液の濃度が10重量%未満の場合、容積効率が悪化し、経済的でない。また、水溶液の濃度が60重量%を超える場合、水溶液の粘度が上昇し、攪拌が困難になるおそれがある。
【0033】
上記4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させる際に、効率よく反応を進めるという観点から、溶媒の存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、生成物である1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類の溶解度が高いという観点から、トルエンが好適に用いられる。
【0034】
上記溶媒の使用量は、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して30倍重量以下、好ましくは0.5〜20倍重量であることが望ましい。反応溶媒が30倍重量を超える場合、経済的でないばかりか容積効率が悪化するおそれがある。
【0035】
上記4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させる際の温度は、30〜150℃、好ましくは40〜130℃であることが望ましい。反応温度が30℃未満の場合、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が150℃を超える場合、副反応が起こりやすく、収率および純度が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、0.5〜15時間である。
【0036】
反応終了後、通常の抽出、晶析、蒸留等の方法により、容易に1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類を単離、精製することができる。また、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類を単離することなくハロゲン化剤と反応させることもできる。
【0037】
かくして得られる1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類は、下記一般式(3);
【0038】
【化11】
【0039】
で表される化合物である。
【0040】
式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。
【0041】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類の具体例としては、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]等が挙げられる。
【0042】
次に、上記の方法により得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることにより、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する。
【0043】
本発明においては、ハロゲン化剤として、所望の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類に対応するハロゲン化剤が用いられる。例えば、クロロ化剤としては、塩化チオニル、ホスゲン、三塩化リン、五塩化リン、塩化水素、ホスホン酸トリフェニル−塩素、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素;ブロモ化剤としては、三臭化リン、五臭化リン、臭化チオニル、臭化水素、ホスホン酸トリフェニル−臭素、トリフェニルホスフィン−四臭化炭素;ヨード化剤としては、ヨウ化水素、三ヨウ化リン、ホスホン酸トリフェニル−ヨウ素、ホスホン酸トリフェニルメチオジド等が挙げられる。これらの中でも、安価に容易に入手できる観点からクロロ化剤では塩化チオニル、ブロモ化剤では三臭化リン、ヨード化剤では三ヨウ化リンが好適に用いられる。
【0044】
上記ハロゲン化剤の使用量は、出発原料である4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して、2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルであることが望ましい。ハロゲン化剤の使用量が2倍モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、ハロゲン化剤の使用量が4倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0045】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させる際に、効率よく反応を進めるという観点から、溶媒の存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類の溶解度が高いという観点から、トルエンが好適に用いられる。
【0046】
上記溶媒の使用量は、出発原料である4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して30倍重量以下、好ましくは0.5〜20倍重量であることが望ましい。反応溶媒が30倍重量を超える場合、経済的でないばかりか容積効率が悪化するおそれがある。
【0047】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させる際の温度は、30〜150℃、好ましくは40〜130℃であることが望ましい。反応温度が30℃未満の場合、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が150℃を超える場合、副反応が起こりやすく、収率および純度が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、0.5〜15時間である。
【0048】
かくして得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、通常の抽出、晶析、蒸留等の方法により容易に単離、精製することができる。
【0049】
本発明により得られる1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、下記一般式(4);
【0050】
【化12】
【0051】
で表される化合物である。
【0052】
式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。X2は、ハロゲン原子を示す。
【0053】
ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0054】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の具体例としては、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]等が挙げられる。
【0055】
【実施例】
以下に、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0056】
なお、実施例および比較例で得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)純度の測定は、以下の方法に従って行った。
【0057】
GPC純度
得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の純度を、GPCカラム(▲1▼昭和電工株式会社製、品番:GPC KF−802 ▲2▼東ソー株式会社製、品番:TOSOH TSKgel G1000H6;▲1▼▲1▼▲2▼の順で直列に接続)を取り付けた高速液体クロマトグラム(株式会社島津製作所製、品番:LC−10A)を用いて、波長:254nm、溶離液:テトラヒドロフラン、流量:1mL/min、カラム温度:40℃の条件で測定した。測定後、得られたチャートから、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の面積百分率を算出し、GPC純度とした。
【0058】
実施例1
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた2L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)250.4g(1.0モル)、17重量%水酸化ナトリウム水溶液480.0g(2.0モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール169.1g(2.1モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1.5時間反応させた。
【0059】
反応終了後、20℃に冷却して、析出した結晶をろ過し、水400gで2回洗浄して、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ492.5gを得た。
【0060】
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ492.5g、トルエン1500gを仕込み、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。次いで、70℃に冷却後、塩化チオニル249.9g(2.1モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で2時間反応させた。
【0061】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液600g(1.5モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]348.0g(0.93モル)を得た。得られた1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は98.3%、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)に対する収率は91.1%であった。
【0062】
実施例2
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた2L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)278.5g(1.0モル)、17重量%水酸化ナトリウム水溶液495.0g(2.1モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール177.1g(2.2モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1時間反応させた。
【0063】
反応終了後、20℃に冷却して、析出した結晶をろ過し、水400gで2回洗浄して、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ547.8gを得た。
【0064】
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、得られた1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ547.8g、トルエン1500gを仕込み、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。次いで、70℃に冷却後、塩化チオニル261.8g(2.2モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で1.5時間反応させた。
【0065】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液760.0g(1.9モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]378.7g(0.94モル)を得た。得られた1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は98.0%、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)に対する収率は92.0%であった。
【0066】
実施例3
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた2L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)408.2g(1.0モル)、18重量%水酸化ナトリウム水溶液490.0g(2.2モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール193.2g(2.4モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1時間反応させた。
【0067】
反応終了後、20℃に冷却して、析出した結晶をろ過し、水400gで2回洗浄して、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ700.1gを得た。
【0068】
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、得られた1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ700.1g、トルエン1500gを仕込み、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。次いで、70℃に冷却後、塩化チオニル285.6g(2.4モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で2時間反応させた。
【0069】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液1080.0g(2.7モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]を503.4g(0.94モル)得た。1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は98.5%、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)に対する収率は93.0%であった。
【0070】
実施例4
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)250.4g(1.0モル)、トルエン1500g、17重量%水酸化ナトリウム水溶液480.0g(2.0モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール169.1g(2.1モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1.5時間反応させた。
【0071】
反応終了後、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。
【0072】
次に、70℃に冷却して、塩化チオニル249.9g(2.1モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で2時間反応させた。
【0073】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液600.0g(1.5モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃まで冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]を355.7g(0.95モル)得た。1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は99.2%、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)に対する収率は94.0%であった。
【0074】
比較例
攪拌機および温度計を備えた1L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)250.4g(1.0モル)、17重量%水酸化ナトリウム水溶液480.0g(2.0モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌して、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)の水酸化ナトリウム水溶液730.4gを得た。
【0075】
別途用意した、攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、テトラブチルアンモニウムブロミド 3.2g(0.01モル)、1,2−ジクロロエタン1682.3g(17.0モル)を仕込み、上記により得られた4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)の水酸化ナトリウム水溶液730.4gを25℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後25℃で1時間反応させた。
【0076】
反応終了後、水500gを添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、1,2−ジクロロエタン500gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]367.9g(0.98モル)を得た。1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は85.0%、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)に対する収率は83.3%であった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に有利に、高収率、高純度の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法に関する。
【0002】
1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、他の重合性単量体との相溶性に優れると共に、高い屈折率を有し、眼鏡用プラスチックレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディスク基盤、プラスチック光ファイバー、LCD用プリズムシート、導光板等の光学材料の原料モノマーとして好適である1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造中間体である。
【0003】
【従来の技術】
1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類、例えば、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]の製造方法としては、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)と1,2−ジクロロエタンとを、相間移動触媒の存在下に反応させる方法が知られている(ЖУРНАЛ ОРГАНИЧЕСКОЙ ХИМИИ,Т.28,ВЫП.9 1905,1992)。しかしながら、この方法では、副生成物である二量体が生成し、この二量体は、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]と分離が困難なため、得られる1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]の純度および収率が低いという問題がある。また、この方法では、1,2−ジクロロエタンを反応基質としてだけでなく溶媒としても使用しているため、環境負荷が大きく、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的に有利に、高収率、高純度の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることにより、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を工業的に有利に、高収率、高純度で製造することができることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は、下記一般式(1);
【0007】
【化5】
(式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0008】
で表される4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と、下記一般式(2);
【0009】
【化6】
(式中、X1は、ハロゲン原子を示す。)
【0010】
で表される2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、下記一般式(3);
【0011】
【化7】
(式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。)
【0012】
で表される1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする、下記一般式(4);
【0013】
【化8】
(式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。X2は、ハロゲン原子を示す。)
【0014】
で表される1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する。
【0016】
本発明において用いられる4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類は、下記一般式(1);
【0017】
【化9】
【0018】
で表される化合物である。
【0019】
式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【0020】
上記ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0021】
上記炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0022】
上記4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類の具体例としては、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−クロロベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,6−ジクロロベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,3,5,6−テトラクロロベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,6−ジブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,3,5,6−テトラブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,6−ジメチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2,3,5,6−テトラメチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−エチルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−n−プロピルベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチルベンゼンチオール)等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高いという観点から、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)が好適に用いられる。
【0023】
本発明において用いられる2−ハロゲノエタノールは、下記一般式(2);
【0024】
【化10】
【0025】
で表される化合物である。
【0026】
式中、X1は、ハロゲン原子を示す。
【0027】
ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0028】
上記2−ハロゲノエタノールの具体例としては、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、2−ヨードエタノール等が挙げられる。これらの中でも、安価で容易に入手でき、反応性が高いという観点から、2−クロロエタノールが好適に用いられる。
【0029】
上記2−ハロゲノエタノールの使用量は、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して、2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルであることが望ましい。2−ハロゲノエタノールの使用量が2倍モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、2−ハロゲノエタノールの使用量が4倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0030】
本発明において用いられるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらの中でも、経済的な観点から、アルカリ金属水酸化物、とりわけ、水酸化ナトリウムが好適に用いられる。
【0031】
上記アルカリ金属化合物の使用量は、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して、2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルであることが望ましい。アルカリ金属化合物の使用量が2倍モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、アルカリ金属化合物の使用量が4倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0032】
上記アルカリ金属化合物は、通常、水溶液として用いられ、その水溶液の濃度は、10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%であることが望ましい。水溶液の濃度が10重量%未満の場合、容積効率が悪化し、経済的でない。また、水溶液の濃度が60重量%を超える場合、水溶液の粘度が上昇し、攪拌が困難になるおそれがある。
【0033】
上記4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させる際に、効率よく反応を進めるという観点から、溶媒の存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、生成物である1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類の溶解度が高いという観点から、トルエンが好適に用いられる。
【0034】
上記溶媒の使用量は、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して30倍重量以下、好ましくは0.5〜20倍重量であることが望ましい。反応溶媒が30倍重量を超える場合、経済的でないばかりか容積効率が悪化するおそれがある。
【0035】
上記4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させる際の温度は、30〜150℃、好ましくは40〜130℃であることが望ましい。反応温度が30℃未満の場合、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が150℃を超える場合、副反応が起こりやすく、収率および純度が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、0.5〜15時間である。
【0036】
反応終了後、通常の抽出、晶析、蒸留等の方法により、容易に1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類を単離、精製することができる。また、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類を単離することなくハロゲン化剤と反応させることもできる。
【0037】
かくして得られる1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類は、下記一般式(3);
【0038】
【化11】
【0039】
で表される化合物である。
【0040】
式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。
【0041】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類の具体例としては、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]等が挙げられる。
【0042】
次に、上記の方法により得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることにより、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する。
【0043】
本発明においては、ハロゲン化剤として、所望の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類に対応するハロゲン化剤が用いられる。例えば、クロロ化剤としては、塩化チオニル、ホスゲン、三塩化リン、五塩化リン、塩化水素、ホスホン酸トリフェニル−塩素、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素;ブロモ化剤としては、三臭化リン、五臭化リン、臭化チオニル、臭化水素、ホスホン酸トリフェニル−臭素、トリフェニルホスフィン−四臭化炭素;ヨード化剤としては、ヨウ化水素、三ヨウ化リン、ホスホン酸トリフェニル−ヨウ素、ホスホン酸トリフェニルメチオジド等が挙げられる。これらの中でも、安価に容易に入手できる観点からクロロ化剤では塩化チオニル、ブロモ化剤では三臭化リン、ヨード化剤では三ヨウ化リンが好適に用いられる。
【0044】
上記ハロゲン化剤の使用量は、出発原料である4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して、2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルであることが望ましい。ハロゲン化剤の使用量が2倍モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、ハロゲン化剤の使用量が4倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0045】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させる際に、効率よく反応を進めるという観点から、溶媒の存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類の溶解度が高いという観点から、トルエンが好適に用いられる。
【0046】
上記溶媒の使用量は、出発原料である4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類に対して30倍重量以下、好ましくは0.5〜20倍重量であることが望ましい。反応溶媒が30倍重量を超える場合、経済的でないばかりか容積効率が悪化するおそれがある。
【0047】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させる際の温度は、30〜150℃、好ましくは40〜130℃であることが望ましい。反応温度が30℃未満の場合、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が150℃を超える場合、副反応が起こりやすく、収率および純度が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、0.5〜15時間である。
【0048】
かくして得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、通常の抽出、晶析、蒸留等の方法により容易に単離、精製することができる。
【0049】
本発明により得られる1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、下記一般式(4);
【0050】
【化12】
【0051】
で表される化合物である。
【0052】
式中、R1〜R8は、前記一般式(1)と同様である。X2は、ハロゲン原子を示す。
【0053】
ハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0054】
上記1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の具体例としては、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−クロロ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジブロモ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブロモ−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラメチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−n−プロピル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−ブロモエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4−[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]等が挙げられる。
【0055】
【実施例】
以下に、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0056】
なお、実施例および比較例で得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)純度の測定は、以下の方法に従って行った。
【0057】
GPC純度
得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の純度を、GPCカラム(▲1▼昭和電工株式会社製、品番:GPC KF−802 ▲2▼東ソー株式会社製、品番:TOSOH TSKgel G1000H6;▲1▼▲1▼▲2▼の順で直列に接続)を取り付けた高速液体クロマトグラム(株式会社島津製作所製、品番:LC−10A)を用いて、波長:254nm、溶離液:テトラヒドロフラン、流量:1mL/min、カラム温度:40℃の条件で測定した。測定後、得られたチャートから、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の面積百分率を算出し、GPC純度とした。
【0058】
実施例1
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた2L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)250.4g(1.0モル)、17重量%水酸化ナトリウム水溶液480.0g(2.0モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール169.1g(2.1モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1.5時間反応させた。
【0059】
反応終了後、20℃に冷却して、析出した結晶をろ過し、水400gで2回洗浄して、1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ492.5gを得た。
【0060】
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、得られた1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ492.5g、トルエン1500gを仕込み、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。次いで、70℃に冷却後、塩化チオニル249.9g(2.1モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で2時間反応させた。
【0061】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液600g(1.5モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]348.0g(0.93モル)を得た。得られた1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は98.3%、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)に対する収率は91.1%であった。
【0062】
実施例2
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた2L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)278.5g(1.0モル)、17重量%水酸化ナトリウム水溶液495.0g(2.1モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール177.1g(2.2モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1時間反応させた。
【0063】
反応終了後、20℃に冷却して、析出した結晶をろ過し、水400gで2回洗浄して、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ547.8gを得た。
【0064】
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、得られた1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ547.8g、トルエン1500gを仕込み、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。次いで、70℃に冷却後、塩化チオニル261.8g(2.2モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で1.5時間反応させた。
【0065】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液760.0g(1.9モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]378.7g(0.94モル)を得た。得られた1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は98.0%、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)に対する収率は92.0%であった。
【0066】
実施例3
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた2L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)408.2g(1.0モル)、18重量%水酸化ナトリウム水溶液490.0g(2.2モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール193.2g(2.4モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1時間反応させた。
【0067】
反応終了後、20℃に冷却して、析出した結晶をろ過し、水400gで2回洗浄して、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ700.1gを得た。
【0068】
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、得られた1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]の湿ケーキ700.1g、トルエン1500gを仕込み、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。次いで、70℃に冷却後、塩化チオニル285.6g(2.4モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で2時間反応させた。
【0069】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液1080.0g(2.7モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]を503.4g(0.94モル)得た。1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は98.5%、4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)に対する収率は93.0%であった。
【0070】
実施例4
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)250.4g(1.0モル)、トルエン1500g、17重量%水酸化ナトリウム水溶液480.0g(2.0モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌した。次いで、2−クロロエタノール169.1g(2.1モル)を60℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後60℃で1.5時間反応させた。
【0071】
反応終了後、110℃で水を留去した。なお、留去中に、水との共沸により留去されたトルエンは、水と分離してフラスコ内に戻した。
【0072】
次に、70℃に冷却して、塩化チオニル249.9g(2.1モル)を70℃で2時間を要して滴下し、滴下終了後70℃で2時間反応させた。
【0073】
反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液600.0g(1.5モル)を添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃まで冷却し、析出した結晶をろ過し、n−ヘプタン600gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]を355.7g(0.95モル)得た。1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は99.2%、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)に対する収率は94.0%であった。
【0074】
比較例
攪拌機および温度計を備えた1L容の4つ口フラスコに、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)250.4g(1.0モル)、17重量%水酸化ナトリウム水溶液480.0g(2.0モル)を仕込み、60℃で1時間攪拌して、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)の水酸化ナトリウム水溶液730.4gを得た。
【0075】
別途用意した、攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3L容の4つ口フラスコに、テトラブチルアンモニウムブロミド 3.2g(0.01モル)、1,2−ジクロロエタン1682.3g(17.0モル)を仕込み、上記により得られた4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)の水酸化ナトリウム水溶液730.4gを25℃で1.5時間を要して滴下し、滴下終了後25℃で1時間反応させた。
【0076】
反応終了後、水500gを添加し、70℃で分液した。分液により得られた有機層を10℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、1,2−ジクロロエタン500gで洗浄して、50℃、減圧下で乾燥し、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]367.9g(0.98モル)を得た。1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]のGPC純度は85.0%、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)に対する収率は83.3%であった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に有利に、高収率、高純度の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類を製造する方法を提供することができる。
Claims (3)
- 下記一般式(1);
で表される4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類と、下記一般式(2);
で表される2−ハロゲノエタノールとを、アルカリ金属化合物の存在下に反応させて、下記一般式(3);
で表される1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類となし、次いで、該1,1’−チオビス[4−[(2−ヒドロキシエチル)チオ]ベンゼン]類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする、下記一般式(4);
で表される1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法。 - 4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)類が、4,4’−チオビス(ベンゼンチオール)、4,4’−チオビス(2−メチルベンゼンチオール)または4,4’−チオビス(2−ブロモベンゼンチオール)である請求項1に記載の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法。
- ハロゲン化剤が、塩化チオニルである請求項1または2に記載の1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の製造方法。
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WO2020188993A1 (ja) | 2019-03-15 | 2020-09-24 | 住友精化株式会社 | 硬化性樹脂組成物及びその硬化物 |
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