JP2003183246A - 1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造方法 - Google Patents

1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造方法

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JP2003183246A
JP2003183246A JP2001383231A JP2001383231A JP2003183246A JP 2003183246 A JP2003183246 A JP 2003183246A JP 2001383231 A JP2001383231 A JP 2001383231A JP 2001383231 A JP2001383231 A JP 2001383231A JP 2003183246 A JP2003183246 A JP 2003183246A
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Japan
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benzene
thiobis
ethenylthio
aliphatic hydrocarbon
impurities
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JP2001383231A
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English (en)
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Isamu Kawabata
勇 川端
Katsumasa Yamamoto
勝政 山本
Hideaki Nishiguchi
英明 西口
Michio Suzuki
三千雄 鈴木
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)
ベンゼン]類を、高収率で製造する方法を提供する。 【解決手段】 一般式(1); 【化1】 (式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原
子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xは、ハロ
ゲン原子を表す。)で表される1,1’−チオビス[4
−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類とアル
カリ金属化合物とを、脂肪族炭化水素溶媒中で、相間移
動触媒の存在下に、不均一系で反応させることを特徴と
する一般式(2); 【化2】 (式中、R1〜R8は、前記と同様である。)で表される
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,1’−チオビ
ス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造方法に関
する。
【0002】1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類は、他の重合性単量体との相溶性に優
れると共に、高い屈折率を有し、眼鏡用プラスチックレ
ンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディ
スク基盤、プラスチック光ファイバー、LCD用プリズ
ムシート、導光板等の光学材料の原料モノマーとして好
適である。
【0003】
【従来の技術】1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類、例えば、1,1’−チオビス[4−
(エテニルチオ)ベンゼン]の製造方法としては、
(1)ジメチルスルホキシド中で、水酸化カリウムの存
在下に、4,4’−チオジベンゼンチオールとアセチレ
ンとを高圧で反応させる方法、(2)ジメチルスルホキ
シド中で、1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲノ
エチル)チオ]ベンゼン]と水酸化カリウムを均一系で
反応させて、1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]を製造する方法が知られている(両者と
も、ЖУРНАЛ ОРГАНИЧЕСКОЙ ХИМ
ИИ,Т.28,ВЫП.9 1905,1992参
照)。
【0004】しかしながら、上記(1)の方法は、不純
物が多く生成して収率が低く、さらに高圧での反応であ
るために安全面に問題があり、工業的に有利な方法とは
言い難い。また、上記(2)の方法は、不純物が多く生
成して収率が低く、さらに使用した溶媒の回収が困難で
あるために、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0005】一方、上記の方法で得られた1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類から不純物
を除去する方法としては、再結晶、蒸留またはクロマト
グラフィー等の方法が知られている。しかしながら、再
結晶する方法は、高純度の1,1’−チオビス[4−
(エテニルチオ)ベンゼン]類を得ることが困難であ
る。また、蒸留による精製方法については、1,1’−
チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類には高沸
点のものが多いので、工業的に有利な方法とは言い難
い。さらに、クロマトグラフィーを用いる精製方法に
は、コストがかかるという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]類を、高収率で製造する方法を提供することにあ
る。さらに、本発明の第2の目的は、高純度で透明性の
高い1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]類を、簡便な工程で製造する方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1,1’−チオビ
ス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類
とアルカリ金属化合物とを、特定の溶媒中で、相間移動
触媒の存在下に、不均一系で反応させることにより、
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
類を高収率で製造できることを見出した。さらに、不純
物を含有する1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素溶液から、特定温度
で不純物を析出させた後、該不純物を脂肪族炭化水素溶
液から除去することにより、高純度で透明性の高い1,
1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類が
得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基
づいて完成されたものである。
【0008】すなわち、本発明は、下記に示すとおりの
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
類の製造方法を提供するものである。 項1. 一般式(1);
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原
子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を表
す。Xは、ハロゲン原子を表す。)で表される1,1’
−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベン
ゼン]類とアルカリ金属化合物とを、脂肪族炭化水素溶
媒中で、相間移動触媒の存在下に、不均一系で反応させ
ることを特徴とする一般式(2);
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1〜R8は、前記と同様であ
る。)で表される1,1’−チオビス[4−(エテニル
チオ)ベンゼン]類の製造方法。 項2. 不純物を含有する1,1’−チオビス[4−
(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素溶液か
ら、0〜40℃の温度で不純物を析出させた後、該不純
物を脂肪族炭化水素溶液から除去する工程を、さらに有
する項1に記載の1,1’−チオビス[4−(エテニル
チオ)ベンゼン]類の製造方法。 項3. 脂肪族炭化水素が、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ンおよびn−オクタンからなる群より選択される少なく
とも1種である項1または2に記載の1,1’−チオビ
ス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造方法。 項4. 相間移動触媒が、テトラブチルアンモニウムブ
ロマイドである項1〜3のいずれかに記載の1,1’−
チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の製造方
法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第1の特徴は、1,1’
−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベン
ゼン]類とアルカリ金属化合物とを、脂肪族炭化水素溶
媒中で、相間移動触媒の存在下に、不均一系で反応させ
ることにより、1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類を高収率で製造できる点にある。
【0014】本発明で用いられる1,1’−チオビス
[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類
は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0015】
【化5】
【0016】式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、
ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
また、Xはハロゲン原子を表す。
【0017】ハロゲン原子の具体例としては、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0018】炭素数1〜4のアルキル基の具体例として
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基等が挙げられる。
【0019】1,1’−チオビス[4−[(2−ハロゲ
ノエチル)チオ]ベンゼン]類の具体例としては、1,
1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベ
ンゼン]、1,1’−チオビス[4−[(2−ブロモエ
チル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[4−
[(2−ヨードエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−
チオビス[3−クロロ−4−[(2−クロロエチル)チ
オ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロ
ロ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、
1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラクロロ−
4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,
1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−クロロエチ
ル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−
ジブロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼ
ン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブ
ロモ−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]、
1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−クロロ
エチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3,
5−ジメチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベン
ゼン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラ
メチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼ
ン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4−[(2−
クロロエチル)チオ]ベンゼン]、1,1’−チオビス
[3−n−プロピル−4−[(2−クロロエチル)チ
オ]ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−tert−
ブチル−4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]
等が挙げられる。
【0020】ここで、1,1’−チオビス[4−[(2
−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類は、4,4’−
チオジベンゼンチオール類と1,2−ジハロゲノエタン
とを反応させる方法等により製造することができる(Ж
УРНАЛ ОРГАНИЧЕСКОЙ ХИМИИ,
Т.28,ВЫП.9 1905,1992参照)。
【0021】本発明に用いられるアルカリ金属化合物と
しては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が
挙げられる。中でも、アルカリ金属水酸化物が好まし
く、経済的な観点からは水酸化ナトリウムがより好まし
い。
【0022】アルカリ金属化合物の使用量は、1,1’
−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベン
ゼン]類1モルに対して、好ましくは2〜20モル、よ
り好ましくは2.5〜5モルである。アルカリ金属化合
物の使用量が2モル未満の場合、反応が完結しにくくな
るおそれがある。また、アルカリ金属化合物の使用量が
20モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済
的でない。
【0023】アルカリ金属化合物は、通常、水溶液とし
て用いられ、その水溶液の濃度は、好ましくは30〜6
0重量%、より好ましくは40〜50重量%である。水
溶液の濃度が30重量%未満の場合、反応が完結しにく
くなるだけでなく、容積効率が悪化し、経済的でない。
また、水溶液の濃度が60重量%を超える場合、水溶液
の粘度が上昇し、撹拌が困難になるおそれがある。
【0024】本発明に用いられる脂肪族炭化水素溶媒と
しては、炭素数5〜10の脂肪族炭化水素溶媒が好まし
く、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロヘ
キサン等が挙げられる。これらの中でも、反応終了後、
脂肪族炭化水素溶媒を留去しやすい観点から、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタンが好適に用いられ
る。なお、これらの脂肪族炭化水素溶媒は、1種単独で
用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0025】脂肪族炭化水素溶媒の使用量は、1,1’
−チオビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベン
ゼン]類に対して、好ましくは1〜10倍重量、より好
ましくは2〜5倍重量である。脂肪族炭化水素溶媒の使
用量が1倍重量未満の場合、1,1’−チオビス[4−
[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類の溶解量
が減少し、反応が完結しにくくなるおそれがある。ま
た、脂肪族炭化水素溶媒の使用量が10倍重量を超える
場合、容積効率が悪化し、経済的でない。
【0026】本発明で用いられる相間移動触媒として
は、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチ
ルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム
クロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テ
トラブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチル
アンモニウムハイドロジェンサルフェート、トリラウリ
ルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチル
アンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニ
ウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロ
ライド等の第4級アンモニウム塩;テトラブチルホスホ
ニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライ
ド等の第4級ホスホニウム塩;エチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のエ
チレングリコール類;ジメチルスルホキシド等のスルホ
キシド類等が挙げられる。中でも、反応速度が高く、経
済的である観点から、テトラブチルアンモニウムブロマ
イドが好適に用いられる。
【0027】相間移動触媒の使用量は、1,1’−チオ
ビス[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]
類1モルに対して、好ましくは0.01〜0.2モル、
より好ましくは0.02〜0.1モルである。相間移動
触媒の使用量が0.01モル未満の場合、反応が完結し
にくくなるおそれがある。また、相間移動触媒の使用量
が0.2モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく
経済的でない。
【0028】反応温度は、好ましくは50〜100℃、
より好ましくは70〜90℃である。反応温度が50℃
未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。ま
た、反応温度が100℃を超える場合、目的物である
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
類が分解するおそれがある。反応時間は、反応温度によ
り異なるが、通常、4〜8時間である。
【0029】反応終了後、反応液を分液して、脂肪族炭
化水素層を得る。得られた脂肪族炭化水素層から脂肪族
炭化水素溶媒を常圧または減圧下で留去することによ
り、1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]類を得ることができる。ここで、脂肪族炭化水素溶
媒を常圧または減圧下で留去する際には、1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類が分解する
のを回避する観点から、0.5〜30kPaで、50℃
未満の温度で留去することが望ましい。
【0030】かくして得られる1,1’−チオビス[4
−(エテニルチオ)ベンゼン]類は、下記一般式(2)
で表される化合物である。
【0031】
【化6】
【0032】式中、R1〜R8は、一般式(1)と同様で
ある。
【0033】1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類の具体例としては、例えば、1,1’
−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]、1,
1’−チオビス[3−クロロ−4−(エテニルチオ)ベ
ンゼン]、1,1’−チオビス[3,5−ジクロロ−4
−(エテニルチオ)ベンゼン]、1,1’−チオビス
[2,3,5,6−テトラクロロ−4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4
−(エテニルチオ)ベンゼン]、1,1’−チオビス
[3,5−ジブロモ−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]、1,1’−チオビス[2,3,5,6−テトラブ
ロモ−4−(エテニルチオ)ベンゼン]、1,1’−チ
オビス[3−メチル−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]、1,1’−チオビス[3,5−ジメチル−4−
(エテニルチオ)ベンゼン]、1,1’−チオビス
[2,3,5,6−テトラメチル−4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]、1,1’−チオビス[3−エチル−4
−(エテニルチオ)ベンゼン]、1,1’−チオビス
[3−n−プロピル−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]、1,1’−チオビス[3−tert−ブチル−4
−(エテニルチオ)ベンゼン]等が挙げられる。
【0034】本発明の第2の特徴は、前記反応で得られ
る1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]類の脂肪族炭化水素溶液から、特定温度で不純物を
析出させ、該不純物を脂肪族炭化水素溶液から除去する
ことにより、高純度で透明性の高い1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類が得られる点にあ
る。すなわち、前記反応で得られる1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素
溶液を特定温度にすることにより、該脂肪族炭化水素溶
液に溶解して含まれていた不純物が析出するので、濾過
等により該不純物を脂肪族炭化水素溶液から容易に除去
することができる。
【0035】本発明で用いられる1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素
溶液としては、特に限定されないが、上記の製造方法に
より得られた不純物を含む1,1’−チオビス[4−
(エテニルチオ)ベンゼン]類を脂肪族炭化水素に50
〜100℃で溶解させた溶液を用いることもできるし、
あるいは、脂肪族炭化水素溶媒中で1,1’−チオビス
[4−[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類と
アルカリ金属化合物とを反応させて得られる反応液を分
液して得られる、1,1’−チオビス[4−(エテニル
チオ)ベンゼン]類を溶解して含む脂肪族炭化水素層を
そのまま用いることもできる。
【0036】なお、1,1’−チオビス[4−(エテニ
ルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素溶液の濃度は、
特に限定されないが、好ましくは5〜50重量%、より
好ましくは15〜35重量%である。1,1’−チオビ
ス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水
素溶液の濃度が5重量%未満の場合、脂肪族炭化水素が
多量に必要となり、経済的でないばかりか容積効率が悪
化するおそれがある。また、1,1’−チオビス[4−
(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素溶液の
濃度が50重量%を超える場合、不純物が充分に除去で
きなくなるおそれがある。
【0037】本発明に用いられる脂肪族炭化水素として
は、炭素数5〜10の脂肪族炭化水素が好ましく、例え
ば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−
オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロヘキサン等
が挙げられる。これらの中でも、不純物を効率よく取り
除く観点より、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タンが好適に用いられる。なお、これらの脂肪族炭化水
素は、1種単独で用いても2種以上混合して用いてもよ
い。
【0038】1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素溶液から不純物を析
出させる際の温度は、好ましくは0〜40℃、より好ま
しくは10〜30℃である。析出させる際の温度が0℃
未満の場合、それに見合う効果が得られず、経済的に不
利である。また、析出させる際の温度が40℃を超える
場合、不純物が析出し難くなり、得られる1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の純度や透
明性が低くなる。析出させる際の時間は、温度により異
なるが、通常、5分〜2時間である。
【0039】1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素溶液から析出させた
不純物を除去する方法としては、特に限定されず、例え
ば、濾過、遠心分離等の方法が挙げられる。
【0040】不純物を除去した後の1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素
溶液から1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベ
ンゼン]類を単離する方法としては、脂肪族炭化水素を
常圧または減圧下で留去する方法等が挙げられる。中で
も、1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]類が分解するのを回避する観点から、0.5〜30
kPaで、50℃未満の温度で留去することが望まし
い。
【0041】また、脂肪族炭化水素を常圧または減圧下
で留去する際に、1,1’−チオビス[4−(エテニル
チオ)ベンゼン]類の重合を防止する目的で、1,1’
−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類に対し
て0.0001〜0.05倍重量の重合禁止剤を添加し
てもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、
2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキシトルエン、
ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノチア
ジン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、
ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピ
オネート]等が挙げられる。
【0042】かくして、高純度で透明性の高い1,1’
−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類を簡便
な工程で製造することができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を詳
細に説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0044】なお、実施例および比較例で得られた1,
1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GP
Cと略す。)純度およびハーゼン単位色数の測定は、以
下の方法に従って行った。
【0045】(1)GPC純度 得られた1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベ
ンゼン]類を、GPCカラム(昭和電工株式会社製、
品番:GPC KF−802;東ソー株式会社製、品
番:TOSOH TSKgel G1000H6
の順で直列に接続)を取り付けた高速液体クロマトグ
ラム(株式会社島津製作所製、品番:LC−10A)を
用いて、波長:254nm、溶離液:テトラヒドロフラ
ン、流量:1ml/min、カラム温度:40℃の条件
で測定した。測定後、得られたチャートから、1,1’
−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の面積
百分率を算出し、GPC純度とした。
【0046】(2)ハーゼン単位色数 ハーゼン単位色数試験方法(JIS K0071)に従
って測定した。まず、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウ
ム1.245gと塩化コバルト(II)六水和物1.00
0gを適量の水に溶かし、塩酸100mlを加えた後、
水を添加して1000mlとし、これをハーゼン標準比
色液500番とした。このハーゼン標準比色液500番
の吸光度を、分光光度計(吸収セル光路長10mm)を
用いて、水を対照液として測定し、表1の範囲に入るこ
とを確認した。
【0047】
【表1】
【0048】次に、得られたハーゼン標準比色液500
番を表2に従って比色管に取り、水を加えて100ml
とし、ハーゼン標準比色液を調製した。
【0049】
【表2】
【0050】実施例および比較例で得られた1,1’−
チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類を上記と
別の比色管に入れ、それぞれの試料と最も近似したハー
ゼン標準比色液の番号を選択した。2つの標準比色液の
中間であるときは、2つのうちの濃い方の番号を選択し
た。
【0051】なお、ハーゼン単位色数(標準比色液の番
号)が200以下の場合、透明性に優れていると判断で
きる。
【0052】実施例1 撹拌機および温度計を備えた3L容の4つ口フラスコ
に、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)
チオ]ベンゼン]375g(1モル)、n−ヘプタン8
40g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16g
(0.05モル)および48重量%水酸化ナトリウム水
溶液250g(3モル)を仕込み、75〜85℃で、
5.5時間反応させた。
【0053】反応終了後、水460gを添加し、60℃
で分液を行い、有機層をさらに水400gで2回洗浄し
て、1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のn−ヘプタン溶液1140gを得た。
【0054】得られたn−ヘプタン溶液から、0.6k
Pa、40℃の条件でn−ヘプタンを留去して、1,
1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]30
2g(1モル)を得た。得られた1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]のGPC純度は95
%、ハーゼン単位色数は500以上であった。1,1’
−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼ
ン]に対する収率は95%であった。
【0055】実施例2 撹拌機および温度計を備えた3L容の4つ口フラスコ
に、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ク
ロロエチル)チオ]ベンゼン]403g(1モル)、n
−ヘプタン840g、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド16g(0.05モル)および48重量%水酸化ナ
トリウム水溶液250g(3モル)を仕込み、75〜8
5℃で、6時間反応させた。
【0056】反応終了後、水460gを添加し、60℃
で分液を行い、有機層をさらに水400gで2回洗浄し
て、1,1’−チオビス[3−メチル−4−(エテニル
チオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液1170gを得
た。
【0057】得られたn−ヘプタン溶液から、0.6k
Pa、40℃の条件でn−ヘプタンを留去して、1,
1’−チオビス[3−メチル−4−(エテニルチオ)ベ
ンゼン]331g(1モル)を得た。得られた1,1’
−チオビス[3−メチル−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のGPC純度は95%、ハーゼン単位色数は500
以上であった。1,1’−チオビス[3−メチル−4−
[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]に対する収率
は95%であった。
【0058】実施例3 撹拌機および温度計を備えた3L容の4つ口フラスコ
に、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ク
ロロエチル)チオ]ベンゼン]533g(1モル)、n
−ヘプタン840g、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド16g(0.05モル)および48重量%水酸化ナ
トリウム水溶液250g(3モル)を仕込み、75〜8
5℃で、6.5時間反応させた。
【0059】反応終了後、水460gを添加し、60℃
で分液を行い、有機層をさらに水400gで2回洗浄し
て、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−(エテニル
チオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液1300gを得
た。
【0060】得られたn−ヘプタン溶液から、0.6k
Pa、40℃の条件でn−ヘプタンを留去して、1,
1’−チオビス[3−ブロモ−4−(エテニルチオ)ベ
ンゼン]460g(1モル)を得た。得られた1,1’
−チオビス[3−ブロモ−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のGPC純度は95%、ハーゼン単位色数は500
以上であった。1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−
[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼン]に対する収率
は95%であった。
【0061】実施例4 2L容のフラスコに、実施例1で得られた1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]302g(G
PC純度95%)およびn−ヘキサン840gを仕込
み、60℃で1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]をn−ヘキサンに溶解した。得られた
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
のn−ヘキサン溶液を20℃で30分間静置して、不純
物を析出させた。析出した不純物を同温度で濾過して、
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
のn−ヘキサン溶液から除去した。この時の、除去され
た不純物は14gであった。
【0062】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、n−ヘキサンを留去し、1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]289gを得
た。得られた1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]のGPC純度は99%、ハーゼン単位色
数は100であった。
【0063】実施例5 2L容のフラスコに、実施例1で得られた1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]302g(G
PC純度95%)およびn−オクタン840gを仕込
み、60℃で1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]をn−オクタンに溶解した。得られた
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
のn−オクタン溶液を20℃で30分間静置して、不純
物を析出させた。析出した不純物を同温度で濾過して、
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
のn−オクタン溶液から除去した。この時の、除去され
た不純物は12gであった。
【0064】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、n−オクタンを留去し、1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]291gを得
た。得られた1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]のGPC純度は98%、ハーゼン単位色
数は150であった。
【0065】実施例6 2L容のフラスコに、実施例1で得られた1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]302g(G
PC純度95%)およびn−ヘプタン840gを仕込
み、60℃で1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]をn−ヘプタンに溶解した。得られた
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
のn−ヘプタン溶液を20℃で30分間静置して、不純
物を析出させた。析出した不純物を同温度で濾過して、
1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
のn−ヘプタン溶液から除去した。この時の、除去され
た不純物は15gであった。
【0066】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、n−ヘプタンを留去し、1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]288gを得
た。得られた1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]のGPC純度は99%、ハーゼン単位色
数は70であった。
【0067】実施例7 撹拌機および温度計を備えた3L容の4つ口フラスコ
に、1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2−ク
ロロエチル)チオ]ベンゼン]403g(1モル)、n
−ヘプタン840g、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド16g(0.05モル)および48重量%水酸化ナ
トリウム水溶液250g(3モル)を仕込み、75〜8
5℃で、6時間反応させた。
【0068】反応終了後、水460gを添加し、60℃
で分液を行い、有機層をさらに水400gで2回洗浄し
て、1,1’−チオビス[3−メチル−4−(エテニル
チオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液1170gを得
た。
【0069】得られた1,1’−チオビス[3−メチル
−4−(エテニルチオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液
1170gを10℃で1時間静置して、不純物を析出さ
せた。析出した不純物を同温度で濾過して、1,1’−
チオビス[3−メチル−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のn−ヘプタン溶液から除去した。この時の、除去
された不純物は17gであった。
【0070】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、n−ヘプタンを留去し、1,1’−チ
オビス[3−メチル−4−(エテニルチオ)ベンゼン]
315g(0.95モル)を得た。得られた1,1’−
チオビス[3−メチル−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のGPC純度は99%、ハーゼン単位色数は70で
あった。1,1’−チオビス[3−メチル−4−[(2
−クロロエチル)チオ]ベンゼン]に対する収率は94
%であった。
【0071】実施例8 撹拌機および温度計を備えた3L容の4つ口フラスコ
に、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2−ク
ロロエチル)チオ]ベンゼン]533g(1モル)、n
−ヘプタン840g、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド16g(0.05モル)および48重量%水酸化ナ
トリウム水溶液250g(3モル)を仕込み、75〜8
5℃で、6.5時間反応させた。
【0072】反応終了後、水460gを添加し、60℃
で分液を行い、有機層をさらに水400gで2回洗浄し
て、1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−(エテニル
チオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液1300gを得
た。
【0073】得られた1,1’−チオビス[3−ブロモ
−4−(エテニルチオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液
1300gを10℃で1時間静置して、不純物を析出さ
せた。析出した不純物を同温度で濾過して、1,1’−
チオビス[3−ブロモ−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のn−ヘプタン溶液から除去した。この時の、除去
された不純物は23gであった。
【0074】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、n−ヘプタンを留去し、1,1’−チ
オビス[3−ブロモ−4−(エテニルチオ)ベンゼン]
438g(0.95モル)を得た。得られた1,1’−
チオビス[3−ブロモ−4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のGPC純度は99%、ハーゼン単位色数は70で
あった。1,1’−チオビス[3−ブロモ−4−[(2
−クロロエチル)チオ]ベンゼン]に対する収率は94
%であった。
【0075】比較例1 撹拌機および温度計を備えた5L容の4つ口フラスコ
に、1,1’−チオビス[4−[(2−クロロエチル)
チオ]ベンゼン]375g(1モル)、ジメチルスルホ
キシド2000gおよび48重量%水酸化ナトリウム水
溶液250g(3モル)を仕込み、30℃で、2時間反
応させた。
【0076】反応終了後、水2000gを添加し、水お
よびジメチルスルホキシドの混合層と有機層との2層と
なし、60℃で分液して、有機層を得た。次いで、この
有機層をさらに水500gで2回洗浄して、1,1’−
チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]260g
(0.86モル)を得た。得られた1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]のGPC純度は95
%、ハーゼン単位色数は500以上であった。1,1’
−チオビス[4−[(2−クロロエチル)チオ]ベンゼ
ン]に対する収率は82%であった。
【0077】比較例2 1L容のフラスコに、実施例1で得られた1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]302g(G
PC純度95%)およびn−ヘプタン150gを仕込
み、60℃で溶解して1,1’−チオビス[4−(エテ
ニルチオ)ベンゼン]のn−ヘプタン溶液とした。得ら
れた1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のn−ヘプタン溶液を50℃で1時間静置して、不
純物を析出させた。析出した不純物を同温度で濾過し
て、1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼ
ン]のn−ヘプタン溶液から除去した。この時の、除去
された不純物は5gであった。
【0078】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、n−ヘプタンを留去し、1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]298gを得
た。得られた1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]のGPC純度は96%、ハーゼン単位色
数は500であった。
【0079】比較例3 2L容のフラスコに、実施例1で得られた1,1’−チ
オビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]302g(G
PC純度95%)およびトルエン840gを仕込み、6
0℃で溶解して1,1’−チオビス[4−(エテニルチ
オ)ベンゼン]のトルエン溶液とした。得られた1,
1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]のト
ルエン溶液を20℃で1時間静置して、不純物を析出さ
せた。析出した不純物を同温度で濾過して、1,1’−
チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]のトルエン
溶液から除去した。この時の、除去された不純物は1g
であった。
【0080】引き続き、2,6−ジ−tert−ブチル
ハイドロキシトルエン1gを添加して、0.6kPa、
40℃の条件で、トルエンを留去し、1,1’−チオビ
ス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]302gを得た。
得られた1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベ
ンゼン]のGPC純度は95%、ハーゼン単位色数は5
00以上であった。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、1,1’−チオビス
[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類を、高収率で製造
することができる。さらに、高純度で透明性の高い1,
1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類
を、簡便な工程で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西口 英明 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社精密化学品研究所内 (72)発明者 鈴木 三千雄 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社精密化学品研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC13 BA49 BA65 BB11 BB31 BE10 BE11 BE12 BE13 TA04 TB14 TB23 TB72 4H039 CA21 CG20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1); 【化1】 (式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原
    子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xは、ハロ
    ゲン原子を表す。)で表される1,1’−チオビス[4
    −[(2−ハロゲノエチル)チオ]ベンゼン]類とアル
    カリ金属化合物とを、脂肪族炭化水素溶媒中で、相間移
    動触媒の存在下に、不均一系で反応させることを特徴と
    する一般式(2); 【化2】 (式中、R1〜R8は、前記と同様である。)で表される
    1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
    類の製造方法。
  2. 【請求項2】 不純物を含有する1,1’−チオビス
    [4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の脂肪族炭化水素
    溶液から、0〜40℃の温度で不純物を析出させた後、
    該不純物を脂肪族炭化水素溶液から除去する工程を、さ
    らに有する請求項1に記載の1,1’−チオビス[4−
    (エテニルチオ)ベンゼン]類の製造方法。
  3. 【請求項3】 脂肪族炭化水素が、n−ヘキサン、n−
    ヘプタンおよびn−オクタンからなる群より選択される
    少なくとも1種である請求項1または2に記載の1,
    1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]類の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 相間移動触媒が、テトラブチルアンモニ
    ウムブロマイドである請求項1〜3のいずれかに記載の
    1,1’−チオビス[4−(エテニルチオ)ベンゼン]
    類の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7122134B2 (en) * 2002-03-29 2006-10-17 Hiroki Sasaki Optical members, compositions, methods and S-containing compounds for producing them
WO2020188993A1 (ja) 2019-03-15 2020-09-24 住友精化株式会社 硬化性樹脂組成物及びその硬化物
WO2021192858A1 (ja) 2020-03-26 2021-09-30 住友精化株式会社 感光性樹脂組成物、パターンが形成された成形品、及びパターンが形成された成形品の製造方法

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