JP2004050028A - コンデンサの解体設備 - Google Patents

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Nobuhiko Irie
入江 暢彦
Toshimi Otsuka
大塚 利美
Ryuichiro Tanaka
田中 隆一郎
Takashi Tsutsuba
筒場 孝志
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Abstract

【課題】コンデンサを簡単かつ確実に解体することができる設備を提供する。
【解決手段】PCB油1を含有するコンデンサ20を受入部240から受け取って当該コンデンサ20の容器25の座板25bや耳金25c等の突起部を除去するグラインダ等の突起部除去装置と、コンデンサ20の容器25に孔を開けて容器25内のPCB油1を回収すると共に当該孔から容器25内に洗浄液を供給して容器25内を洗浄する内部処理装置110と、容器25の天板25d側を切断する第一の容器切断装置120と、容器25の底板25e側を切断する第二の容器切断手段130と、容器25の内部から素子21を取り出す素子取出装置140と、コンデンサ20を移動させるコンデンサ移動装置150と、コンデンサ20の向きを変更できるように当該コンデンサ20を旋回可能に把持するコンデンサ保持装置160とを備えている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサの解体設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
【0004】
このPCBは平成4(1997)年に廃PCB、PCBを含む廃油、PCB汚染物が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく特別管理廃棄物に指定され、さらに、平成9(1997)年にはPCB汚染物として木くず、繊維くずが、追加指定された。
【0005】
PCB処理物となる電気機器としては、高圧トランス、高圧コンデンサ、低圧トランス・コンデンサ、柱上トランスがあり、廃PCB等としては、熱媒体に用いたものや絶縁油として用いたもの、また、これらの洗浄に用いた灯油等があり、廃感圧紙としては、ノーカーボン紙に使用されたカプセルオイルがあり、さらに、これらのPCBの使用又は熱媒の交換、絶縁油の再生、漏洩の浄化、PCB含有物の処理等の際に用いられた活性炭や、廃白土、廃ウェス類、作業衣等のPCB汚染物がある。現在これらは厳重に保管がなされているが、早急なPCBの処理が望まれている。
【0006】
近年では、このようなトランス等に使用されているPCBを処理する技術が種々開発されており、例えば特開平9−79531号公報に記載の技術が知られている。図9に上記提案にかかるPCBの処理方法のフローチャートを示す。
【0007】
図9に示すように、まず、PCBが封入されているトランスからPCB油を抜き取り(S901)、さらに溶剤洗浄によって内部に付着しているPCB油を除去し(S902)、回収する(S903)。洗浄後の溶剤は、トランスから抜き出したPCB油と共に分解処理され(S904)、無害化される。
【0008】
つぎに、油抜きしたトランスを乾燥させてPCBを無酸素下高温常圧加熱によって蒸発させ(S905)、PCBの飛散を防止する。そして、乾燥後のトランスを解体し(S906)、ケースとトランスコアを分離する。ケースは、電炉や転炉のスクラップ源に供される(S907)。一方、トランスコアは、モービルシャー等によってその銅コイルを切断され、コイル線と鉄心とに分離される(S908)。
【0009】
分離された鉄心は溶融炉にて溶融され、回収される(S909)。また、分離した銅コイル等の金属製の無機物およびこれに付着した紙などの有機物は、誘導加熱炉にて溶融される(S910)。そして、上記溶融した銅は回収され、各溶融炉で発生したPCBガスは、1200℃で高温熱分解することにより無害化される(S911)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような従来のPCB処理方法では、金属製の無機物および有機物の各種部材(被処理物)を溶融させてPCBを分解処理しているため、設備が大規模化してしまうだけでなく、多大な熱エネルギが必要となってしまい、イニシャルコストおよびランニングコストが高くなってしまっている。
【0011】
このため、無機物の部材と有機物の部材とを分離して各々個別に処理することが考えられている。しかしながら、例えば、コンデンサにおいては、容器の内部に素子と共に高濃度(100%)のPCB油が充填されているため、その解体処理を簡単かつ確実に行うことが強く求められている。
【0012】
このようなことから、本発明は、コンデンサを簡単かつ確実に解体することができる設備を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明によるコンデンサの解体設備は、PCB油を含有するコンデンサを受入部から受け取って当該コンデンサの容器の突起部を除去する突起部除去手段と、前記コンデンサの前記容器に孔を開けて当該容器内のPCB油を回収すると共に当該孔から当該容器内に洗浄液を供給して当該容器内を洗浄する内部処理手段と、前記容器の一端面側を切断する第一の容器切断手段と、前記容器の他端面側を切断する第二の容器切断手段と、前記容器の内部から素子を取り出す素子取出手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第二番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第一番目の発明において、前記コンデンサを着脱可能に固定保持し、前記内部処理手段と前記第一の容器切断手段との間、前記第一の容器切断手段と前記第二の容器切断手段との間、前記第二の容器切断手段と前記内部処理手段との間で当該コンデンサを移動させるコンデンサ移動手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
第三番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第二番目の発明において、前記コンデンサの向きを変更できるように当該コンデンサを旋回可能に把持すると共に、当該コンデンサを前記受入部から前記コンデンサ移動手段に受け渡すコンデンサ保持手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
第四番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第三番目の発明において、前記容器の一端面側を搬出する第一の切断部材搬出手段と、前記容器の他端面側を搬出する第二の切断部材搬出手段と、前記素子を搬出する素子搬出手段と、前記容器を搬出する容器搬出手段とを備えていることを特徴とする。
【0017】
第五番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第四番目の発明において、前記容器の一端面側を前記第一の切断部材搬出手段に受け渡す第一の切断部材受渡手段と、前記容器の他端面側を前記第二の切断部材搬出手段に受け渡す第二の切断部材受渡手段と、前記素子を前記素子搬出手段に受け渡す素子受渡手段と、前記容器を前記容器搬出手段に受け渡す容器受渡手段とを備えていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明によるコンデンサの解体設備の実施の形態を図1〜8を用いて説明する。図1は、解体設備の全体概略構成を表す平面図、図2は、図1の一部抽出拡大平面図、図3は、図2の側面図、図4は、図1の一部抽出拡大平面図、図5は、図4の側面図、図6は、図1の一部抽出拡大平面図、図7は、図6の側面図、図8は、コンデンサの概略構成図である。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
[コンデンサ]
本発明で解体処理する被処理物は、絶縁油としてPCB油を使用しているコンデンサである。このコンデンサの概略構成を図8を用いて説明する。
【0020】
図8に示すように、コンデンサ20は、複数の素子21がプレスボード22を介して固定バンド23で束ねてなるものを絶縁紙24で覆った状態で容器25内に充填され、PCB油1が封入口25aから内部に封入され封止されてなるものである。なお、図8中、25bは座金、25cは耳金、25dは天板、25eは底板、27は接地端子、28は高圧端子、29は碍子である。上記素子21は、アルミニウム箔、絶縁紙、プラスチックスフィルム及びスペーサ等から構成されている。一般的なコンデンサの容量範囲は、数〜500kvarであり、本発明ではすべての範囲において処理ができる。
【0021】
[解体設備]
次に、本実施の形態にかかるコンデンサの解体設備を説明する。
【0022】
本実施の形態にかかるコンデンサの解体設備は、図1に示すように、PCB油1を含有するコンデンサ20を受入部240から受け取って当該コンデンサ20の容器25の座金25bや耳金25c等の突起部を除去する突起部除去手段であるグラインダ等の突起部除去装置(図示せず)と、コンデンサ20の容器25に孔を開けて容器25内のPCB油1を回収すると共に当該孔から容器25内に洗浄液を供給して容器25内を洗浄する内部処理手段である内部処理装置110と、容器25の天板25d側(一端面側)を切断する第一の容器切断手段である第一の容器切断装置120と、容器25の底板25e側(他端面側)を切断する第二の容器切断手段である第二の容器切断手段130と、容器25の内部から素子21を取り出す素子取出手段である素子取出装置140とを備えている。
【0023】
また、本実施の形態にかかるコンデンサの解体設備は、図1に示すように、コンデンサ20を着脱可能に固定保持し、内部処理装置110と第一の容器切断装置120との間、第一の容器切断装置120と第二の容器切断装置130との間、第二の容器切断装置130と内部処理装置110との間でコンデンサ20を移動させるコンデンサ移動手段であるコンデンサ移動装置150と、コンデンサ20の向きを変更できるように当該コンデンサ20を旋回可能に把持すると共に、当該コンデンサ20を受入部240からコンデンサ移動装置150に受け渡すコンデンサ保持手段であるコンデンサ保持装置160とを備えている。
【0024】
さらに、本実施の形態にかかるコンデンサの解体設備は、図1に示すように、容器25の天板側(一端面側)を搬出する第一の切断部材搬出手段である第一の切断部材搬出装置170と、容器25の底板側(他端面側)を搬出する第二の切断部材搬出手段である第二の切断部材搬出装置180と、素子21を搬出する素子搬出手段である素子搬出装置190と、容器25を搬出する容器搬出手段である容器搬出装置200とを備えると共に、容器25の天板側(一端面側)を第一の切断部材搬出装置170に受け渡す第一の切断部材受渡手段である第一の切断部材受渡装置210と、容器25の底板側(他端面側)を第二の切断部材搬出装置180に受け渡す第二の切断部材受渡手段である第一の切断部材受渡装置220と、素子21を素子搬出装置190に受け渡す素子受渡手段である前記素子取出装置140と、容器25を容器搬出装置200に受け渡す容器受渡手段である容器受渡装置230(図7参照)とを備えている。
【0025】
なお、図1〜3中、240は受入部、241はコンデンサ20を搬送するローラコンベア、242はローラコンベア241からコンデンサ20を受け取って水平面に沿って旋回可能な旋回台である。
【0026】
前記コンデンサ保持装置160は、図2,3に示すように、コンデンサ20の受入部240の旋回台242とコンデンサ移動装置150との間を連絡するガイドレール161と、ガイドレール161に沿ってスライド移動できるように当該ガイドレール161上に設けられたスライドテーブル162と、スライドテーブル162上に水平面に沿って旋回可能に設けられたターンテーブル163と、ターンテーブル163上に立設されたコラム164と、長手方向を鉛直方向へ向けるようにコラム164の正面に取り付けられたガイドレール165と、当該ガイドレール165に沿ってスライド移動できるように当該ガイドレール165に取り付けられた昇降台166と、昇降台166の正面に鉛直面に沿って旋回可能に設けられた旋回台167と、互いに接近離反移動できるように旋回台167の正面に取り付けられた一対の把持アーム168とを備えている。
【0027】
前記コンデンサ移動装置150は、図1〜7に示すように、前記コンデンサ保持装置160のガイドレール161の下流側近傍に配設されて水平面に沿って旋回できると共に上面にガイドローラ156を有するターンテーブル155と、ターンテーブル155と内部処理装置110との間、内部処理装置110と第一の容器切断装置120との間、第一の容器切断装置120と第二の容器切断装置130との間、第二の容器切断装置130と内部処理装置110との間をそれぞれ連絡するように設けられたローラコンベア151と、ローラコンベア151上に配備されるスキッド152と、スキッド152の上面に設けられたガイドローラ153と、スキッド152の上面にコンデンサ20を固定するクランプ154とを備えている。
【0028】
前記内部処理装置110は、図4,5に示すように、コンデンサ20の容器25に孔を開けて容器25内のPCB油1を回収すると共に、当該孔から容器25内に洗浄液を供給して容器25内を洗浄することができるようになっている。
【0029】
前記第一の容器切断装置120は、図4,5に示すように、前記コンデンサ移動装置150のスキッド152に保持された容器25の天板25dに沿う方向へ長手方向を向けるように敷設されたガイドレール121と、ガイドレール121に沿って移動できるように当該ガイドレール121上に設けられたスライドテーブル122と、スライドテーブル122上に立設されたコラム123と、長手方向を鉛直方向へ向けるようにコラム123の正面に取り付けられたガイドレール124と、当該ガイドレール124に沿ってスライド移動できるように当該ガイドレール124に取り付けられた昇降台125と、先端側の回転刃126aを前記スキッド152側へ向けるように昇降台125に保持された切断工具126と、前記コンデンサ移動装置150のスキッド152に保持された容器25の天板25dに沿う方向へ長手方向を向けるように敷設されたガイドレール127と、ガイドレール127に沿って移動できるように当該ガイドレール127上に設けられたスライドテーブル128と、スライドテーブル128上に昇降可能に支持された切断鋏129とを備えている。
【0030】
前記第一の切断部材搬出装置170は、図4,5に示すように、前記第一の容器切断装置120の近傍に上流側が配設されたローラコンベア171と、ローラコンベア171上に配設されて前記天板25dを保持するトレイ172とを備えている。
【0031】
前記第一の切断部材受渡装置210は、図4,5に示すように、第一の容器切断装置120と前記コンデンサ移動装置150の前記スキッド152との間と第一の切断部材搬出装置170のローラコンベア171の上流側との間を連絡するように敷設されたガイドレール211と、ガイドレール211に沿って移動できるように当該ガイドレール211上に設けられた台車212と、台車212上に旋回及び起伏可能に設けられて前記天板25dを着脱可能に把持する把持装置213とを備えている。
【0032】
前記第二の容器切断装置130は、図6,7に示すように、前記コンデンサ移動装置150のスキッド152に保持された容器25の底板25eに沿う方向へ長手方向を向けるように敷設されたガイドレール131と、ガイドレール131に沿って移動できるように当該ガイドレール131上に設けられたスライドテーブル132と、スライドテーブル132上に立設されたコラム133と、長手方向を鉛直方向へ向けるようにコラム133の正面に取り付けられたガイドレール134と、当該ガイドレール134に沿ってスライド移動できるように当該ガイドレール134に取り付けられた昇降台135と、先端側の回転刃136aを前記スキッド152側へ向けるように昇降台135に保持された切断工具136とを備えている。
【0033】
前記第二の切断部材搬出装置180は、図6,7に示すように、前記第二の容器切断装置130の近傍に上流側が配設されたローラコンベア181と、ローラコンベア181上に配設されて前記底板25eを保持するトレイ182とを備えている。
【0034】
前記第二の切断部材受渡装置220は、図6,7に示すように、第二の容器切断装置130と前記コンデンサ移動装置150の前記スキッド152との間と第二の切断部材搬出装置180のローラコンベア181の上流側との間を連絡するように敷設されたガイドレール221と、ガイドレール221に沿って移動できるように当該ガイドレール221上に設けられた台車222と、台車222上に旋回及び起伏可能に設けられて進退可能な電磁石223aにより前記底板25eを着脱可能に吸着保持する保持装置223とを備えている。
【0035】
前記容器搬出装置200は、図6,7に示すように、前記第二の容器切断装置130の近傍に上流側が配設されたローラコンベア201と、ローラコンベア201上に配設されて前記容器25を保持するトレイ202とを備えている。
【0036】
前記素子搬出装置190は、図6,7に示すように、前記容器搬出装置200のローラコンベア201の上流側の下流寄り付近に上流側が配設されて、当該上流側よりも下流側が下側へ位置するように傾斜するスロープ191と、スロープ191の下流側に連絡する作業台192とを備えている。
【0037】
前記容器受渡装置230は、図7に示すように、前記第二の容器切断装置130と内部処理装置110との間に位置する前記コンデンサ移動装置150の前記スキッド152の上方と前記容器搬出装置200の前記ローラコンベア201の上流側の上方及び前記素子搬出装置190のスロープ191の上流側の上方との間を連絡するように配設されたガイドレール231と、ガイドレール231に沿って走行移動できるように当該ガイドレール231に取り付けられた台車232と、台車232に対して昇降できるようにガイドロッド233を介して吊支された昇降板234と、昇降板234に設けられて前記容器25を着脱可能に把持する一対の把持アーム235とを備えている。
【0038】
素子受渡手段を兼ねる前記素子取出装置140は、図6に示すように、前記素子搬出装置190の前記スロープ191の上流側の上方の近傍に配設されて、前記容器受渡装置230の前記把持アーム234に把持された容器25内に侵入して素子21を押し出すプッシャ141を備えている。
【0039】
なお、図1中、251は外部と内部とを遮蔽する遮蔽壁、252は開閉可能なシャッタである。
【0040】
[解体方法]
次に、このような本実施の形態にかかるコンデンサの解体設備を使用するコンデンサの解体方法を説明する。
【0041】
<突起部除去>
ローラコンベア241によりコンデンサ20をターンテーブル242上に搬送して受入部240に搬入したら、前記コンデンサ保持装置160の把持アーム168で上記コンデンサ20を把持して前記遮蔽壁251で包囲された内側へ搬入し、コンデンサ保持装置160のスライドテーブル162、ターンテーブル163、昇降台166、旋回台167をそれぞれ作動して、コンデンサ20の向きを各種変更しながらグラインダ等の前記突起部除去装置で当該コンデンサ20の座金25bや耳金25c等の突起部を取り除くことにより、後工程での処理の容易化を図る。
【0042】
<位置決め>
このようにしてコンデンサ20の座金25bや耳金25c等の突起部を取り除いたら、コンデンサ保持装置160のスライドテーブル162、ターンテーブル163、昇降台166、旋回台167をそれぞれ作動して、コンデンサ移動装置150のターンテーブル155上のスキッド152上にコンデンサ20を位置させ、把持アーム168を開放してコンデンサ20をスキッド152上に載置して、コンデンサ20を所定の方向へ向けるようにターンテーブル155を旋回させた後、スキッド152に対するコンデンサ20の位置決めを行ってからコンデンサ20をスキッド152に対してクランプ154で固定保持する。
【0043】
<内部処理>
次に、前記シャッタ252を開放し、上記スキッド152をターンテーブル155からローラコンベア151上に移載して内部処理装置110に隣接する所定位置まで移送した後、前記シャッタ252を閉鎖したら、前記内部処理装置110を作動して、コンデンサ20の容器25に孔を開けて容器25内のPCB油1を回収すると共に、当該孔から容器25内に洗浄液を供給して容器25内を洗浄する。
【0044】
<天板切断>
コンデンサ20の内部を処理し終えたら、スキッド152を第一の容器切断装置120に隣接する所定位置まで移送し、前記第一の切断部材受渡装置210の把持装置213でコンデンサ20の碍子29を把持すると共に、第一の容器切断装置120のスライドテーブル122、昇降台125を作動させながら切削工具126の回転刃126aで容器25から天板25dを切り離すように当該容器25を切断する。
【0045】
<配線切断>
続いて、コンデンサ20の容器25と天板25dとを引き離すようにローラコンベア151上でスキッド152を所定長移動して、上記容器25内の素子21と天板25dの碍子29との間にある配線を当該容器25内から露出させた後、スライドテーブル128を作動させながら切断鋏129で上記配線を切断し、容器25側から天板25dを完全に分離させる。
【0046】
<天板搬出>
次に、第一の切断部材受渡装置210の台車212を第一の切断部材搬出装置170のローラコンベア171の上流側近傍にまで移動させ、当該ローラコンベア171上のトレイ172上に上記天板25dを受け渡すように、前記把持アーム213を作動させた後、ローラコンベア171に沿ってトレイ172を下流側に移動させることにより、天板25dを後処理工程へ搬出する。
【0047】
<底板切断>
他方、スキッド152を第二の容器切断装置130に隣接する所定位置に移送して、天板25dを切り離された容器25を所定位置に位置させ、第二の切断部材受渡装置220の保持装置223の電磁石223aを進出させて容器25の底板25eを吸着保持すると共に、第二の容器切断装置130のスライドテーブル132、昇降台135を作動させながら切削工具136の回転刃136aで容器25から底板25eを切り離すように当該容器25を切断する。
【0048】
<底板搬出>
続いて、前記第二の切断部材受渡装置220の電磁石223aを退避させることにより、容器25から底板25eを引き離したら、第二の切断部材受渡装置220の台車222を第二の切断部材搬出装置180のローラコンベア181の上流側近傍にまで移動させ、当該ローラコンベア181上のトレイ182上に上記底板25eを受け渡すように、前記保持装置223を作動させた後、ローラコンベア181に沿ってトレイ182を下流側に移動させることにより、底板25eを後処理工程へ搬出する。
【0049】
<容器移動>
このようにして天板25d及び底板25eを容器25から取り外したら、第二の容器切断装置130と内部処理装置110との間の所定位置に容器25を位置させるようにローラコンベア151上でスキッド152を移動させると共に、クランプ154を解除した後、容器受渡装置230の昇降板234を下降させて、スキッド152上の容器25を把持アーム235で把持し、昇降板234を上昇させて把持アーム235を介して容器25を吊り上げて、素子搬出装置190の上方に容器25を位置させるようにガイドレール231に沿って台車232を走行移動させる。
【0050】
<素子取出搬出>
次に、素子取出装置140を作動して、容器25内にプッシャ141を挿入すると、容器25内の素子21が押し出されて、素子搬出装置190のスロープ191に送り出され、当該スロープ191上を滑り落ちて作業台192上に送り出され、後処理される。
【0051】
<容器搬出>
このようにして容器25内から素子21を取り出したら、当該容器25を容器搬出装置200のローラコンベア201の上流側の上方に位置させるように容器受渡装置230の台車232をガイドレール231に沿って移動させ、昇降板234を下降させて、上記ローラコンベア201上のトレイ202上に容器25を受け渡すように、前記把持アーム235を開放した後、ローラコンベア201に沿ってトレイ202を下流側に移動させることにより、容器25を後処理工程へ搬出する。
【0052】
<スキッド移動>
なお、第二の容器切断装置130と内部処理装置110との間の所定位置で容器25を取り外された前記スキッド152は、前記内部処理装置110に隣接する前記所定位置を経由して前記ターンテーブル155上に位置するようにローラコンベア151上を移動する。
【0053】
以下、上述した作動が繰り返されることにより、多数のコンデンサ20の解体を連続して行うことができる。
【0054】
したがって、本実施の形態によれば、コンデンサ20を簡単かつ確実に解体することができる。
【0055】
また、前記スキッド152を例えば3台配設し、上述した各工程を各スキッド152ごとに流れ作業で順次行うようにすれば、作業効率をさらに高めることができる。
【0056】
このとき、前記容器切断装置120,130での容器25の天板25d及び底板25eの切断が律速作業となるので、当該切断作業にかかる時間に合わせて他の作業に要する時間を制御するとよい。
【0057】
具体的には、例えば、前記第一の容器切断装置120での作業と前記第二の容器切断装置130での作業とが同時に開始及び終了できるように当該容器切断装置120,130及びコンデンサ移動装置150の作動を制御すると共に、当該容器切断装置120,130での作業時間内に、第二の容器切断装置130と内部処理装置110との間のローラコンベア151上の前記所定位置でのスキッド152からの容器25の取り外し作業と、当該所定位置から内部処理装置110に隣接するローラコンベア151上の所定位置を経由したターンテーブル155上への移動作業と、コンデンサ保持装置160からスキッド152へのコンデンサ20の固定作業と、ターンテーブル115から内部処理装置110に隣接するローラコンベア151上の所定位置へのスキッド152の移動作業と、内部処理装置110によるコンデンサ20内部の処理作業とが行われるように、前記コンデンサ移動装置150、コンデンサ保持装置160、内部処理装置110の作動を制御するのである。
【0058】
これにより、3台のスキッド152に保持されたコンデンサ20のうち、2台のスキッド152に保持されたコンデンサ20に対して前記切断作業(約30分程度)をそれぞれ同時に行っている間に、残りの1台のスキッド152に保持されたコンデンサ20に対して内部処理作業(約25分程度)を行うことができ、最も効率よく作業を行うことができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、素子取出手段と素子受渡手段とを兼ねるようにしたが、それぞれ別個の構成部材を用いることも可能である。
【0060】
また、例えば、コンデンサ20の底板25eと素子21とがアース線等で接続されている場合には、第一の容器切断装置120のガイドレール127、スライドテーブル128、切断鋏129等と同様な部材を第二の容器切断装置130に設け、コンデンサ20の天板25dの碍子29と素子21との間にある配線を切断する場合と同様にして上記アース線を切断するようにすればよい。
【0061】
【発明の効果】
第一番目の発明によるコンデンサの解体設備は、PCB油を含有するコンデンサを受入部から受け取って当該コンデンサの容器の突起部を除去する突起部除去手段と、前記コンデンサの前記容器に孔を開けて当該容器内のPCB油を回収すると共に当該孔から当該容器内に洗浄液を供給して当該容器内を洗浄する内部処理手段と、前記容器の一端面側を切断する第一の容器切断手段と、前記容器の他端面側を切断する第二の容器切断手段と、前記容器の内部から素子を取り出す素子取出手段とを備えていることから、コンデンサを簡単かつ確実に解体することができる。
【0062】
第二番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第一番目の発明において、前記コンデンサを着脱可能に固定保持し、前記内部処理手段と前記第一の容器切断手段との間、前記第一の容器切断手段と前記第二の容器切断手段との間、前記第二の容器切断手段と前記内部処理手段との間で当該コンデンサを移動させるコンデンサ移動手段を備えているので、コンデンサの移動を容易に行うことができる。
【0063】
第三番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第二番目の発明において、前記コンデンサの向きを変更できるように当該コンデンサを旋回可能に把持すると共に、当該コンデンサを前記受入部から前記コンデンサ移動手段に受け渡すコンデンサ保持手段を備えているので、突起部除去手段によるコンデンサの容器の突起部の除去及びコンデンサ移動手段への移載を容易に行うことができる。
【0064】
第四番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第三番目の発明において、前記容器の一端面側を搬出する第一の切断部材搬出手段と、前記容器の他端面側を搬出する第二の切断部材搬出手段と、前記素子を搬出する素子搬出手段と、前記容器を搬出する容器搬出手段とを備えているので、解体作業を効率よく行うことができる。
【0065】
第五番目の発明によるコンデンサの解体設備は、第四番目の発明において、前記容器の一端面側を前記第一の切断部材搬出手段に受け渡す第一の切断部材受渡手段と、前記容器の他端面側を前記第二の切断部材搬出手段に受け渡す第二の切断部材受渡手段と、前記素子を前記素子搬出手段に受け渡す素子受渡手段と、前記容器を前記容器搬出手段に受け渡す容器受渡手段とを備えているので、解体作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンデンサの解体設備の実施の形態の全体概略構成を表す平面図である。
【図2】図1の一部抽出拡大平面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図1の一部抽出拡大平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図1の一部抽出拡大平面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】コンデンサの概略構成図である。
【図9】従来の有害物質処理システムの説明図である。
【符号の説明】
20 コンデンサ
21 素子
25 容器
25b 座板
25c 耳金
25d 天板
25e 底板
29 碍子
110 内部処理装置
120 第一の容器切断装置
121 ガイドレール
122 スライドテーブル
123 コラム
124 ガイドレール
125 昇降台
126 切削工具
126a 回転刃
127 ガイドレール
128 スライドテーブル
129 切断鋏
130 第二の容器切断装置
131 ガイドテーブル
132 スライドテーブル
133 コラム
134 ガイドレール
135 昇降台
136 切削工具
136a 回転刃
140 素子取出装置
141 プッシャ
150 コンデンサ移動装置
151 ローラコンベア
152 スキッド
153 ガイドローラ
154 クランプ
155 ターンテーブル
156 ガイドローラ
160 コンデンサ保持装置
161 ガイドレール
162 スライドテーブル
163 ターンテーブル
164 コラム
165 ガイドレール
166 昇降台
167 旋回台
168 把持アーム
170 第一の切断部材搬出装置
171 ローラコンベア
172 トレイ
180 第二の切断部材搬出装置
181 ローラコンベア
182 トレイ
190 素子搬出装置
191 スロープ
192 作業台
200 容器搬出装置
201 ローラコンベア
202 トレイ
210 第一の切断部材受渡装置
211 ガイドレール
212 台車
213 把持装置
220 第二の切断部材受渡装置
221 ガイドレール
222 台車
223 保持装置
223a 電磁石
230 容器受渡装置
231 ガイドレール
232 台車
233 ガイドロッド
234 昇降板
235 把持アーム
240 受入部
241 ローラコンベア
242 旋回台
251 遮蔽壁
252 シャッタ

Claims (5)

  1. PCB油を含有するコンデンサを受入部から受け取って当該コンデンサの容器の突起部を除去する突起部除去手段と、
    前記コンデンサの前記容器に孔を開けて当該容器内のPCB油を回収すると共に当該孔から当該容器内に洗浄液を供給して当該容器内を洗浄する内部処理手段と、
    前記容器の一端面側を切断する第一の容器切断手段と、
    前記容器の他端面側を切断する第二の容器切断手段と、
    前記容器の内部から素子を取り出す素子取出手段と
    を備えていることを特徴とするコンデンサの解体設備。
  2. 請求項1において、
    前記コンデンサを着脱可能に固定保持し、前記内部処理手段と前記第一の容器切断手段との間、前記第一の容器切断手段と前記第二の容器切断手段との間、前記第二の容器切断手段と前記内部処理手段との間で当該コンデンサを移動させるコンデンサ移動手段を備えている
    ことを特徴とするコンデンサの解体設備。
  3. 請求項2において、
    前記コンデンサの向きを変更できるように当該コンデンサを旋回可能に把持すると共に、当該コンデンサを前記受入部から前記コンデンサ移動手段に受け渡すコンデンサ保持手段を備えている
    ことを特徴とするコンデンサの解体設備。
  4. 請求項3において、
    前記容器の一端面側を搬出する第一の切断部材搬出手段と、
    前記容器の他端面側を搬出する第二の切断部材搬出手段と、
    前記素子を搬出する素子搬出手段と、
    前記容器を搬出する容器搬出手段と
    を備えていることを特徴とするコンデンサの解体設備。
  5. 請求項4において、
    前記容器の一端面側を前記第一の切断部材搬出手段に受け渡す第一の切断部材受渡手段と、
    前記容器の他端面側を前記第二の切断部材搬出手段に受け渡す第二の切断部材受渡手段と、
    前記素子を前記素子搬出手段に受け渡す素子受渡手段と、
    前記容器を前記容器搬出手段に受け渡す容器受渡手段と
    を備えていることを特徴とするコンデンサの解体設備。
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