JP2004049057A - コンバインの穀粒タンク支持構造 - Google Patents

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Masahito Asahara
浅原 将人
Shoichi Nakaya
仲谷 章一
Sadao Asakura
朝倉 定夫
Masaya Mizumoto
水本 雅也
Chu Aida
相田 宙
Yuichi Fumino
文野  裕一
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Abstract

【課題】穀粒タンク内の穀粒を自然流下排出するものにおいて、穀粒タンクにおける穀粒貯留容量の増大や穀粒タンクの周辺に配備された機器などに対するメンテナンス性の向上を図れるようにする。
【解決手段】走行機体2に搭載した穀粒タンク6を、脱穀装置5からの穀粒を貯留する下位の貯留位置と、穀粒タンク6内の穀粒をその底部の排出口31から排出する上位の排出位置とにわたって昇降させる昇降手段30を装備してあるコンバインの穀粒タンク支持構造において、走行機体2に、穀粒タンク6を昇降可能に片持ち支持する支柱29を立設した。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に搭載した穀粒タンクを、脱穀装置からの穀粒を貯留する下位の貯留位置と、前記穀粒タンク内の穀粒をその底部の排出口から排出する上位の排出位置とにわたって昇降させる昇降手段を装備してあるコンバインの穀粒タンク支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインにおいては、穀粒タンクに貯留した穀粒をスクリュー式の穀粒排出装置で機外に排出することが一般的に行われている。しかしながら、スクリュー式の穀粒排出装置は、スクリューで穀粒を強制的に押し込み搬送するものであり、又、スクリューとそれを外囲するケースとの間にクリアランスを有するものであることから、排出途中の穀粒が、スクリューとケースとの間に入り込み、擦り付けられて損傷する不都合を招き易くなっている。
【0003】
そこで近年では、スクリュー式の穀粒排出装置に代えて、穀粒タンクを貯留位置と排出位置とにわたって昇降させる昇降手段を装備し、この昇降手段によって穀粒タンクを貯留位置から排出位置まで上昇させることで、穀粒タンクに貯留した穀粒を、その底部に形成した排出口から運搬車の荷台などに自然流下排出させるようにすることが考えられている。
【0004】
そして、そのようなコンバインの穀粒タンク支持構造として、従来では、例えば特開平7−203757号公報で開示されているように、穀粒を排出する排出口とその排出口を開閉する扉体とを底部に備えた穀粒タンクを、走行機体における穀粒タンクの前後位置に立設した各支柱に、上下一対の揺動リンクを介して昇降揺動可能に両持ち支持させたものがあり、このものにおいては、昇降手段となる各支柱と下方の揺動リンクとにわたって架設した油圧シリンダの伸縮作動によって、穀粒タンクを、脱穀装置からの穀粒を貯留する貯留位置と、その底部の排出口を走行機体の外側方に向かわせる排出位置とにわたって昇降揺動させるように構成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術では、走行機体における穀粒タンクの前後位置に、穀粒タンクを昇降可能に支持するための頑丈で背の高い大掛かりな支柱を立設することから、それら前後の支柱によって、穀粒タンクの大きさが制約されて穀粒貯留容量が低下する不都合を招くようになり、又、穀粒タンクを排出位置まで上昇させて、走行機体の穀粒タンク前方箇所に搭載されたエンジンや変速装置、脱穀装置における穀粒タンク側の側壁に装備された脱穀装置の唐箕や回収スクリューなどに対する伝動系、あるいは、脱穀装置と穀粒タンクとの間に配備されたコンベヤなどに対するメンテナンスを行う際には、穀粒タンクの前後に立設された支柱が邪魔になってメンテナンスが行い難くなる不都合を招くようになっていた。
【0006】
本発明の目的は、穀粒タンク内の穀粒を自然流下排出するものにおいて、穀粒タンクにおける穀粒貯留容量の増大や穀粒タンクの周辺に配備された機器などに対するメンテナンス性の向上を図れるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、走行機体に搭載した穀粒タンクを、脱穀装置からの穀粒を貯留する下位の貯留位置と、前記穀粒タンク内の穀粒をその底部の排出口から排出する上位の排出位置とにわたって昇降させる昇降手段を装備してあるコンバインの穀粒タンク支持構造において、前記走行機体に、前記穀粒タンクを昇降可能に片持ち支持する支柱を立設した。
【0008】
〔作用〕
上記請求項1に記載の発明によると、穀粒タンクを昇降可能に支持するように走行機体に立設されることで、穀粒タンクの大きさを制約するようになり、又、穀粒タンクの周辺に配備された機器などに対するメンテナンスを行う際に邪魔になる支柱の本数を、支柱で穀粒タンクを両持ち支持する場合に比較して削減できるようになり、その分、穀粒タンクの大きさを大きくすることができるとともに、穀粒タンクの周辺に配備された機器などに対するメンテナンスも行い易くなる。
【0009】
〔効果〕
従って、走行機体に穀粒タンクを貯留位置と排出位置とにわたって昇降可能に搭載することで、穀粒タンク内の穀粒をその底部の排出口から自然流下排出させることができるようにしながらも、穀粒タンクの支持構造に工夫を凝らすことで、穀粒タンクにおける穀粒貯留容量の増大や、穀粒タンクの周辺に配備された機器などに対するメンテナンス性の向上を図れるようになった。
【0010】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記支柱を前記走行機体の後端部に立設した。
【0011】
〔作用〕
上記請求項2に記載の発明によると、走行機体における穀粒タンクの前方箇所に搭載されたエンジンや変速装置などに対する後方からのメンテナンス、及び、エンジンからの動力を穀粒タンクの横側方に配設され脱穀装置に伝達する伝動系などに対するメンテナンスが行い易くなる。
【0012】
又、走行機体における穀粒タンクの前方箇所に形成される搭乗運転部の直後方には支柱が立設されないことから、搭乗運転部からの視界を広くすることができ、その分、作業が行い易くなる。
【0013】
更に、支柱が、走行機体の前部に連結される刈取搬送部に対するバランスウェイトとして有効に機能するようになることから、走行機体の後部に装備するバランスウェイトとして小型で軽量のものを採用することや、バランスウェイトを無くすことができるようになる。
【0014】
〔効果〕
従って、メンテナンス性や作業性の向上を図れるとともにコンバイン全体としての軽量化を図れるようになった。
【0015】
〔構成〕
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記走行機体に、前記貯留位置に下降した前記穀粒タンクにおける前記支柱による支持位置の反対側端部を受け止め支持する支持フレームを立設した。
【0016】
〔作用〕
上記請求項3に記載の発明によると、穀粒タンクが貯留位置に位置する走行時には、支柱と支持フレームとの両持ちによる安定した状態で穀粒タンクを支持することができ、これによって、穀粒タンクが貯留位置に位置する走行時においても穀粒タンクを支柱で片持ち支持する場合に生じる虞のある、穀粒の貯留で重量が増加した穀粒タンクが走行時の振動で揺れ動くことに起因した支柱の変形などを未然に回避できるようになる。
【0017】
又、支持フレームは、貯留位置に下降した穀粒タンクを受け止め支持するだけのものであり、穀粒タンクを昇降可能に支持する支柱よりも背が低く構造が簡単で軽量かつ安価なものであることから、支柱のように搭乗運転部からの視界を遮ることがなく、又、支柱を立設する場合に比較して、コンバイン全体としての重量やコストを抑えることができるとともに、走行機体における穀粒タンクの前方箇所に搭載されたエンジンや変速装置などに対する後方からのメンテナンス、及び、脱穀装置の前部に配備された唐箕などに対する伝動係のメンテナンスも行い易くなる。
【0018】
〔効果〕
従って、メンテナンス性や作業性の向上、並びにコンバイン全体としての軽量化やコストの削減を図りながらも、穀粒タンクが貯留位置に位置する走行時には、穀粒タンクを安定性良く支持することができて、穀粒タンクの揺動に起因した支柱の変形を未然に回避できるようになった。
【0019】
〔構成〕
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記支柱を上下方向に分割可能に構成した。
【0020】
〔作用〕
上記請求項4に記載の発明によると、支柱を分割して上部側を取り外すことで、支柱とともにコンバイン全体としての高さを低くすることができ、これによって、移動走行時や運搬車などで輸送する際に支柱が他物に接触する虞を招き難くすることができるとともに、このコンバインを比較的に高さの低い納屋や運搬車の荷室などに格納できるようになる。
【0021】
〔効果〕
従って、移動走行時や輸送時に支柱が他物に接触して支柱などが破損する虞を効果的に回避できるとともに、格納や輸送の面で有利なものにすることができるようになった。
【0022】
〔構成〕
本発明のうちの請求項5に記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記穀粒タンクを着脱可能に装備した。
【0023】
〔作用〕
上記請求項5に記載の発明によると、例えば、穀粒タンクを取り外して穀粒タンクの代わりに作業台を昇降可能に装備すれば、コンバインを高所作業車として有効利用することができるようになる。
【0024】
〔効果〕
従って、コンバインを高所作業車として有効利用できる汎用性の高いものにすることができるようになった。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1には、コンバインの一例として豆類を収穫する普通形コンバインの一部を破断した全体左側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1の駆動で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送部3を、油圧シリンダ4の作動による昇降揺動操作が可能となるように装備し、刈取搬送部3からの刈取穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、この脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置5と、この脱穀装置5からの穀粒を貯留する穀粒タンク6とを走行機体2に搭載し、走行機体2における穀粒タンク6の前方箇所に搭乗運転部7を形成するとともにエンジン8などを搭載して構成されている。
【0026】
刈取搬送部3は、その前端部に備えた分草具9で分草した植立穀稈を、その株元側を円盤形のカッター10で切断するとともにベルト式の搬送装置11にて後方に向けて搬送し、その搬送装置11からの刈取穀稈をオーガ12にて左右方向の所定箇所に寄せ集めながら後方に送り出し、オーガ12の所定箇所から後方に送り出された刈取穀稈を供給コンベヤ13にて後方の脱穀装置5に向けて搬送するように構成されている。尚、図1に示す符号14は、圃場面の凹凸に追従してカッター10などを所望の対地高さに維持するゲージ輪である。
【0027】
脱穀装置5は、ビータ15を介して供給された供給コンベヤ13からの刈取穀稈を搬送ベルト16により後方に向けて搬送し、その搬送ベルト16からの刈取穀稈に対して脱穀ロータ17による脱穀処理を施し、その脱穀処理後の処理物に対して揺動選別装置18による篩い選別処理を施すとともに唐箕19からの選別風による風力選別処理を施し、選別ベルト20で搬送されずに1番回収部21に流下した穀粒を1番スクリュー22により搬送して、脱穀装置5と穀粒タンク6との間に立設された1番バケットコンベヤ23に供給し、2番回収部24に供給された穀粒と塵埃との混在物を2番スクリュー25により搬送して、脱穀装置5と穀粒タンク6との間に立設された2番バケットコンベヤ26に供給し、1番回収部21及び2番回収部24に回収されなかった塵埃を排稈口27から機外に排出するように構成されている。
【0028】
図1〜7に示すように、1番バケットコンベヤ23は、1番スクリュー22によって搬送された穀粒を穀粒タンク6の上端部に装備した受入部28に向けて揚送し、その受入部28から穀粒タンク6内に供給するように構成され、2番バケットコンベヤ26は、2番スクリュー25によって搬送された混在物を揚送して揺動選別装置18に還元するように構成されている。
【0029】
図2〜11に示すように、穀粒タンク6は、走行機体2の右後端部に立設された支柱29に、昇降手段30による下位の貯留位置と上位の排出位置とにわたる昇降操作が可能な状態に片持ち支持されており、下位の貯留位置では、その受入部28が1番バケットコンベヤ23に接続され、脱穀装置5からの穀粒を貯留することが可能となり、上位の排出位置では、貯留した穀粒をその底部の右端に形成した排出口31から自然流下排出することが可能となっている。
【0030】
図2〜18に示すように、穀粒タンク6の下部には、排出口31を開閉する開閉手段32と、排出口31から排出された穀粒を流下案内するシュート33とが装備され、開閉手段32は、電動モータ34の作動によるシャッター35のスライド操作で排出口31を開閉するように構成され、シュート33は、案内上手側部分36と案内下手側部分37とから、その向きが右向きになる排出案内位置と前向きになる格納位置とにわたって旋回可能に、かつ、その案内下手側部分37が案内上手側部分36に沿った流下案内姿勢と案内上手側部分36に向けて起立した流下阻止姿勢とに屈伸可能に構成されている。
【0031】
案内上手側部分36の上端には、排出口31に連通する開口38が形成されるとともに、穀粒タンク6に旋回可能に外囲支持されるフランジ39が備えられ、このフランジ39が、電動モータ40の作動で正逆転駆動されるピニオンギア41に噛合する従動ギアに兼用されている。案内下手側部分37は、その案内上手側底部が案内上手側部分36の案内下手側底部に横向きの支軸42を介して連結され、又、その案内上手側右上部と穀粒タンク6における排出口31の右後方箇所に垂下装備された支持アーム43とにわたって、シュート33の排出案内位置から格納位置への旋回操作に伴って案内下手側部分37を起立付勢し、シュート33の格納位置から排出案内位置への旋回操作に伴って案内下手側部分37の自重による倒伏を許容するバネ44が架設されている。
【0032】
つまり、バネ44によって、シュート33の格納位置から排出案内位置への旋回駆動操作に連動してシュート33を流下阻止姿勢から流下案内姿勢に切り換え、かつ、シュート33の排出案内位置から格納位置への旋回駆動操作に連動してシュート33を流下案内姿勢から流下阻止姿勢に切り換える機械式の連動機構が構成されている。
【0033】
上記の構成から、シュート33の排出案内位置と格納位置とにわたる旋回操作を電動モータ40の作動によるピニオンギア41の正逆転駆動で行えるとともに、その電動モータ40の作動によるシュート33の格納位置から排出案内位置への旋回駆動操作に連動してシュート33を流下阻止姿勢から流下案内姿勢に、又、シュート33の排出案内位置から格納位置への旋回駆動操作に連動してシュート33を流下案内姿勢から流下阻止姿勢に切り換えられるようになっている。つまり、単一の電動モータ40の作動で、シュート33を排出案内位置に位置させて流下案内姿勢に切り換えた排出案内状態と、格納位置に位置させて流下阻止姿勢に切り換えた格納状態とに切り換えることができ、排出案内状態では、シュート33の案内下手側部分37を走行機体2の右外側方に延出させることができ、格納状態では、シュート33の全体を走行機体2の幅内に納められるようになっている。
【0034】
図2〜10及び図19に示すように、支柱29は、走行機体2に立設固定された下部支柱45と、その上端に着脱可能に連結される上部支柱46とから上下方向に2分割可能に構成され、下部支柱45は、長尺で断面視C形のみぞ形鋼からなる左右一対の下部支柱部材47の上下中間部同士にわたって横向きフレーム48を、又、それらの上端部同士にわたって連結フレーム49をそれぞれ架設することで構成され、上部支柱46は、短尺で断面視C形のみぞ形鋼からなる左右一対の上部支柱部材50の上端部同士にわたって横向きフレーム51を、又、それらの下端部同士にわたって連結フレーム52をそれぞれ架設することで構成され、連結フレーム49,52などが着脱可能にボルト連結されるようになっている。
【0035】
昇降手段30は、ボルト連結によって穀粒タンク6が着脱可能に載置固定される支持枠53の後端部左右に、左右の対応する下部支柱部材47及び上部支柱部材50によって案内される上下一対のローラ54を配備し、左右の下部支柱部材47の間に立設固定した油圧シリンダ56のシリンダチューブ56Aと支持枠53とにわたって索条55としてのチェーンを掛け渡し、油圧シリンダ56におけるピストンロッド56Bの先端に、油圧シリンダ56の伸縮作動に伴ってチェーン55を案内するスプロケット58を配備し、油圧シリンダ56の伸縮作動によるチェーン55を介した引張力で穀粒タンク6を昇降させるように構成されている。
【0036】
図2、図3、図5及び図8に示すように、走行機体2における搭乗運転部7の直後方箇所には、穀粒タンク6を貯留位置まで下降させた際に、穀粒タンク6における支柱29による支持側と反対側の端部である前端部を受け止め支持する支持フレーム59が立設されている。又、走行機体2の右側端部における搭乗運転部7の後方箇所には、走行機体2と貯留位置に位置させた穀粒タンク6の右側壁との間に形成される空間、及び、それらの間に位置するシュート33や支持フレーム59などを隠す化粧パネル60が着脱可能に立設されている。
【0037】
図2〜6、図8及び図9に示すように、走行機体2の右後端部には、走行機体2と貯留位置に位置させた穀粒タンク6との間に形成される機体後部側の空間を有効利用して燃料タンク61が配備されている。
【0038】
図2〜17、図20及び図21に示すように、昇降手段30の作動による穀粒タンク6の昇降操作、開閉手段32による排出口31の開閉操作、及び、電動モータ40の作動によるシュート33の旋回操作は、搭乗運転部7に装備された穀粒排出操作部62の第1スイッチ63や第2スイッチ64の操作、又は、支柱29や油圧シリンダ56を隠す後部パネル65に保持されたコントローラ66の第1スイッチ67や第2スイッチ68の操作に基づくマイクロコンピュータからなる制御装置69の制御作動で行えるようになっている。
【0039】
各第1スイッチ63,67は十字操作式で中立復帰形のものであり、各第2スイッチ64,68は2位置切り換え式のものであり、制御装置69は、各第1スイッチ63,67からの上昇指令、下降指令、又は停止指令に基づいて、油圧シリンダ56に対する作動油の流動状態を切り換える電磁制御弁70の作動状態を切り換えることで、昇降手段30の作動による穀粒タンク6の昇降操作を行い、各第1スイッチ63,67からの左旋回指令、右旋回指令、又は停止指令に基づいて、電動モータ40を正逆転作動させることで、シュート33の旋回操作を行い、各第2スイッチ64,68からの開放指令又は閉塞指令に基づいて、電動モータ34を正逆転作動させてシャッター35をスライド操作することで、開閉手段32による排出口31の開閉操作を行うように構成されている。
【0040】
以上の構成から、穀粒タンク6に貯留した穀粒を図外のトラックの荷台などに排出する穀粒排出作業を行う場合には、穀粒排出操作部62又はコントローラ66の第1スイッチ63,67や第2スイッチ64,68を操作して、穀粒タンク6を昇降手段30の作動で貯留位置から排出位置まで上昇させた後に、シュート33を、電動モータ40の作動で格納位置から排出案内位置まで旋回させるとともに流下阻止姿勢から流下案内姿勢に切り換えて、その案内下手側が走行機体2の右外側方に延出する排出案内状態とした上で、排出口31を開閉手段32により開放させるようにすれば、穀粒タンク6に貯留した穀粒を、その底部の排出口31からシュート33を介してトラックの荷台などに自然流下排出させることができるようになり、その穀粒排出作業後に、排出口31を開閉手段32により閉塞し、シュート33を、電動モータ40の作動で排出案内位置から格納位置まで旋回させるとともに流下案内姿勢から流下阻止姿勢に切り換えて、その全体が走行機体2の幅内に納められた格納状態とした上で、穀粒タンク6を昇降手段30の作動で排出位置から貯留位置まで下降させるようにすれば、収穫作業走行時には、1番バケットコンベヤ23によって供給される脱穀装置5からの穀粒を穀粒タンク6に貯留することができるようになっており、これによって、穀粒タンク6に貯留した穀粒をスクリューで強制的に押し込み搬送するスクリュー式の穀粒排出装置を装備した場合に招き易くなる、排出途中の穀粒が、スクリューとそのケースとの間に入り込み擦り付けられて損傷する不都合を回避できるようになっている。
【0041】
又、穀粒タンク6を支柱29に昇降可能に片持ち支持させたことで、例えば前後の支柱で穀粒タンク6を昇降可能に両持ち支持する場合に比較して、穀粒タンク6を昇降可能に支持するための頑丈で背の高い大掛かりなものとなって穀粒タンク6の大きさを制約する支柱29の本数を削減することができるようになり、その結果、穀粒タンク支持構造の簡素化を図りながら、穀粒タンク6の大きさを大きくすることができて、穀粒タンク6における穀粒貯留容量の増大を図れるようになっている。
【0042】
しかも、その支柱29を走行機体2の後端部に立設したことで、走行機体2における穀粒タンク6の前方箇所に搭載されたエンジン8や図外の変速装置などに対する後方からのメンテナンス、並びに、そのエンジン8からの動力を脱穀装置5の唐箕19などに伝達する伝動系71や、脱穀装置5と穀粒タンク6との間に立設された1番バケットコンベヤ23及び2番バケットコンベヤ26などに対するメンテナンスが行い易くなり、又、搭乗運転部7の直後方には支柱29が立設されないことから、搭乗運転部7からの視界を広くすることができて作業が行い易くなり、その上、支柱29が、走行機体2の前部に連結される刈取搬送部3に対するバランスウェイトとして有効に機能するようになることから、走行機体2の後部に装備するバランスウェイトとして小型で軽量のものを採用できるようになっている。
【0043】
更に、貯留位置に位置する穀粒タンク6の前端部を受け止め支持する支持フレーム59を走行機体2に立設したことで、穀粒タンク6が貯留位置に位置する走行時には、支柱29と支持フレーム59との両持ちによる安定した状態で穀粒タンク6を支持することができ、これによって、穀粒タンク6が貯留位置に位置する走行時においても穀粒タンク6を支柱29のみで片持ち支持する場合に生じる虞のある、穀粒の貯留で重量が増加した穀粒タンク6が走行時の振動で揺れ動くことに起因した支柱29の変形などを未然に回避できるようになっている。
【0044】
その上、支柱29を上下方向に2分割可能に構成したことで、下部支柱45と上部支柱46とのボルト連結を解除して下部支柱45から上部支柱46を取り外すようにすれば、支柱29とともにコンバイン全体としての高さを低くすることができ、これによって、移動走行時や運搬車などで輸送する際に支柱29が他物に接触する虞を招き難くすることができるとともに、このコンバインを比較的に高さの低い納屋や運搬車の荷室などに格納することができるようになっている。
【0045】
又、昇降手段30の支持枠53に穀粒タンク6を着脱可能に載置したことで、図22に示すように、支持枠53から穀粒タンク6を取り外して穀粒タンク6の代わりに作業台72を昇降可能に装備すれば、コンバインを高所作業車として有効利用することができるようになっている。
【0046】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)コンバインとしては、稲や麦などを収穫するように構成された普通形のものや自脱形のものであってもよい。
(2)昇降手段30としては、索条55としてチェーンに代えてワイヤなどを採用して構成されたものや、油圧シリンダ56に代えてウィンチなどを採用して構成されたものであってもよく、又、油圧シリンダ56の伸縮作動で穀粒タンク6を直接的に昇降させるように構成されたものであってもよい。
(3)走行機体2における搭乗運転部7の直後方箇所に支柱29を立設し、走行機体2の後端部に支持フレーム59を立設するようにしてもよい。
(4)支持フレーム59を、起伏揺動又は折り畳み可能に走行機体2に立設するようにしてもよく、又、穀粒タンク6に連結装備して穀粒タンク6とともに昇降するように構成してもよい。
(5)支柱29としては、下部支柱45に上部支柱46を折り畳み可能に連結装備されたものであってもよく、又、昇降手段30の作動で下部支柱45に対して上部支柱46が上下方向に出退するように構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】普通形コンバインの一部を破断した全体左側面図
【図2】穀粒タンクを貯留位置に位置させた状態を示す要部の右側面図
【図3】穀粒タンクを排出位置に位置させた状態を示す要部の右側面図
【図4】普通形コンバインの背面図
【図5】穀粒タンクを貯留位置に位置させた状態を示す普通形コンバインの背面図
【図6】穀粒タンクを排出位置に位置させた状態を示す普通形コンバインの背面図
【図7】普通形コンバインの要部の平面図
【図8】穀粒タンクの支持構造を示す要部の側面図
【図9】穀粒タンクを貯留位置に位置させた状態を示す要部の縦断側面図
【図10】穀粒タンクを排出位置に位置させた状態を示す要部の縦断側面図
【図11】開閉手段により排出口を開放した状態を示す要部の縦断背面図
【図12】開閉手段により排出口を閉塞した状態を示す要部の横断平面図
【図13】開閉手段により排出口を開放した状態を示す要部の横断平面図
【図14】シュートの格納状態を示す要部の横断平面図
【図15】シュートの排出案内状態を示す要部の横断平面図
【図16】シュートの格納状態を示す要部の側面図
【図17】シュートの排出案内状態を示す要部の背面図
【図18】開閉手段及びシュートの構成を示す要部の分解斜視図
【図19】(イ)支柱の連結状態を示す要部の縦断側面図
(ロ)支柱の分割状態を示す要部の縦断側面図
【図20】穀粒排出操作部を示す搭乗運転部の正面図
【図21】穀粒排出用の制御構成を示すブロック図
【図22】穀粒タンクに代えて作業台を取り付けた状態を示す要部の側面図
【符号の説明】
2  走行機体
5  脱穀装置
6  穀粒タンク
29 支柱
30 昇降手段
31 排出口
59 支持フレーム

Claims (5)

  1. 走行機体に搭載した穀粒タンクを、脱穀装置からの穀粒を貯留する下位の貯留位置と、前記穀粒タンク内の穀粒をその底部の排出口から排出する上位の排出位置とにわたって昇降させる昇降手段を装備してあるコンバインの穀粒タンク支持構造であって、
    前記走行機体に、前記穀粒タンクを昇降可能に片持ち支持する支柱を立設してあるコンバインの穀粒タンク支持構造。
  2. 前記支柱を前記走行機体の後端部に立設してある請求項1に記載のコンバインの穀粒タンク支持構造。
  3. 前記走行機体に、前記貯留位置に下降した前記穀粒タンクにおける前記支柱による支持位置の反対側端部を受け止め支持する支持フレームを立設してある請求項1又は2に記載のコンバインの穀粒タンク支持構造。
  4. 前記支柱を上下方向に分割可能に構成してある請求項1〜3のいずれか一つに記載のコンバインの穀粒タンク支持構造。
  5. 前記穀粒タンクを着脱可能に装備してある請求項1〜4のいずれか一つに記載のコンバインの穀粒タンク支持構造。
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