JP2004048934A - Dcブラシレスモータのロータ角度検出装置 - Google Patents

Dcブラシレスモータのロータ角度検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】位置検出センサを用いることなく検出したロータ角度に基づいてDCブラシレスモータの作動を制御する際に生じる制御応答性の悪化を抑制したロータ角度検出装置を提供する。
【解決手段】角度検出部25は、余弦参照値と正弦参照値とを用いてモータのロータ角度の推定値(θ^)と実際値(θ)との位相差(θ−θ^)を表す第1の位相差データを算出し、該第1の位相差データに所定のoffset値を加えた第2の位相差データが表す位相差(θ−θ^)を解消するように構成したオブザーバにより、ロータ角度を検出する。角度検出部25は、モータ1の回転開始後、回転数センサ40により検出されるモータ1の回転数が上昇するに従って、前記offsetの設定を小さくする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、突極型のDCブラシレスモータのロータ角度を検出するロータ角度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DCブラシレスモータを駆動して所望のトルクを得るためには、磁極を有するロータの電気角(以下、ロータ角度という)に対応した適切な位相で電機子に電圧を印加する必要がある。そして、ロータ角度を検出する位置検出センサを省いてDCブラシレスモータと駆動装置のコストダウンを図るべく、位置検出センサを用いずにロータ角度を検出する種々の方法が提案されている。
【0003】
本願発明者らも、先の出願(特願2001−288303)において、位置検出センサを用いずにロータ角度を検出するロータ角度検出装置を提案している。かかるロータ角度検出装置においては、突極型のDCブラシレスモータの3相の電機子に印加する駆動電圧に高周波電圧を重畳したときに、該3相の電子機のうちの第1相に流れる電流の検出値及び第2相に流れる電流の検出値と、該高周波電圧に応じた高周波成分とを用いて、該モータのロータ角度の2倍角の正弦値に応じた正弦参照値と該2倍角の余弦値に応じた余弦参照値とを算出する。
【0004】
そして、前記正弦参照値と前記余弦参照値とを用いてDCブラシレスモータのロータ角度の推定値(θ^)と実際値(θ)との位相差(θ−θ^)を表す第1の位相差データを算出し、該第1の位相差データが表す該位相差(θ−θ^)に一定のオフセット値を加えた第2の位相差データが表す該位相差(θ−θ^)を解消するように構成したオブザーバを用いて前記ロータ角度を算出することによって、前記ロータ角度の検出誤差を減少させて前記ロータ角度の検出精度を高めている。
【0005】
しかし、本願発明者らは、その後の検討により、上述したオブザーバを用いて算出された前記モータのロータ角度に基づいて前記モータの電機子に印加する駆動電圧の位相を決定したときに、実際のロータ角度の変化に対する該駆動電圧の制御系の応答性が悪化し、該駆動電圧により生じる回転磁界の位相の遅れにより前記モータの脱調等が生じる場合があることを知見した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、位置検出センサを用いることなく検出したロータ角度に基づいてDCブラシレスモータの作動を制御する際に生じる制御応答性の悪化を抑制したロータ角度検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、突極型のDCブラシレスモータの3相の電機子に駆動電圧を印加する電圧印加手段と、該駆動電圧に高周波電圧を重畳する高周波重畳手段と、該3相の電機子のうちの第1相の電機子に流れる電流を検出する第1電流検出手段と、該3相の電機子のうちの第2相の電機子に流れる電流を検出する第2電流検出手段と、前記高周波重畳手段により前記駆動電圧に前記高周波電圧が重畳されたときに前記第1電流検出手段により検出される第1電流値及び前記第2電流検出手段により検出される第2電流値と、前記高周波電圧に応じた高周波成分とを用いて、前記モータのロータ角度の2倍角の正弦値に応じた正弦参照値と該2倍角の余弦値に応じた余弦参照値とを抽出する参照値抽出手段と、前記正弦参照値と前記余弦参照値とを用いて前記モータのロータ角度の推定値(θ^)と実際値(θ)との位相差(θ−θ^)を表す第1の位相差データを算出し、該第1の位相差データに所定のオフセット値を加えた第2の位相差データが表す前記位相差(θ−θ^)を解消するように構成したオブザーバにより、前記ロータ角度を算出するロータ角度算出手段とを備えたDCブラシレスモータのロータ角度検出装置の改良に関する。
【0008】
そして、前記モータの回転数を検出する回転数検出手段を備え、前記ロータ角度算出手段は、該回転数検出手段により検出される前記モータの回転数に応じて、前記オフセット値を決定することを特徴とする。
【0009】
かかる本発明において、前記モータの回転数が急激に増減すると、前記モータのロータ角度の変化に対して前記ロータ角度算出手段によるロータ角度の算出が追従できなくなって、ロータ角度の検出遅れが生じる場合があり、この場合は前記モータの実際のロータ角度に対するロータ角度の検出誤差が大きくなる。
【0010】
また、詳細は後述するが、前記オフセット値を小さくするほど、前記モータのロータ角度の変化量に対する前記第2の位相差データにより表される前記位相差(θ−θ^)の変化量が大きくなる。
【0011】
そこで、前記モータの回転数が急激に上昇する場合のように、前記ロータ角度検出手段による前記モータのロータ角度の検出遅れが生じるときは、前記ロータ角度算出手段は、前記オフセット値を小さくして前記モータのロータ角度の変化量に対する前記位相差(θ−θ^)の変化量を増大させることにより、前記モータのロータ角度の変化に対するロータ角度の検出遅れの影響を減少させ、ロータ角度の検出誤差を減少させることができる。
【0012】
そして、このようにロータ角度の検出誤差を減少させることによって、前記ロータ角度算出手段により算出されたロータ角度に基づいて、前記電圧印加手段により前記モータの電機子に印加する駆動電圧を決定したときに、該駆動電圧により生じる回転磁界と前記モータのロータ角度との位相のずれが小さくなるため、前記モータのロータ角度の変化に対する制御応答性の悪化を抑制して、前記モータの出力トルクの低下や脱調が生じることを防止することができる。
【0013】
また、前記モータの回転開始時は前記モータに比較的高いトルクを生じさせる必要があるため、前記モータのロータ角度を精度良く検出して前記モータの電機子に印加する前記駆動電圧の位相を決定する必要がある。一方、前記モータの回転数が上昇するに従って、前記ロータ角度算出手段によるロータ角度の検出遅れの影響が大きくなる。
【0014】
そこで、本発明は、前記ロータ角度算出手段は、前記モータの回転開始後、前記モータの回転数が上昇するに従って前記オフセット値を減少させることを特徴とする。
【0015】
かかる本発明によれば、前記ロータ角度検出手段は、前記モータの回転開始後、前記モータの回転数が上昇するに従って前記オフセット値を減少させることによって、回転開始時は前記オフセット値を加えた効果により前記ロータ角度の検出誤差を小さくして前記モータに確実にトルクを生じさせて前記モータの始動時間を短縮すると共に、前記モータの回転数の上昇による前記モータのロータ角度の検出遅れを抑制することができる。
【0016】
また、前記参照値抽出手段は、次式(5)と(6)により前記正弦参照値と前記余弦参照値を抽出し、前記ロータ角度算出手段は、前記第1の位相差データとして次式(7)により算出したΔθを用い、前記第2の位相差データとして次式(8)により算出したΔθを用いたことを特徴とする。
【0017】
【数5】
Figure 2004048934
【0018】
【数6】
Figure 2004048934
【0019】
【数7】
Figure 2004048934
【0020】
【数8】
Figure 2004048934
但し、上記式(5)〜(8)において、Vs:前記正弦参照値、Vc:前記余弦参照値、Iu:前記第1電流値、Iw:前記第2電流値、ω:前記高周波電圧の角速度、Δθ:前記第1の位相差データ、Δθ:前記第2の位相差データ、offset:前記オフセット値。
【0021】
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、前記参照値算出手段によって前記上記式(5),(6)により算出された前記正弦参照値(Vs)と前記余弦参照値(Vc)とを用いて、上記式(7),(8)により前記オブザーバの構成に必要となる前記第1の位相差データ(Δθ)と前記第2の位相差データ(Δθ)を算出することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例について図1〜図4を参照して説明する。図1はDCブラシレスモータの構成図、図2は図1に示したDCブラシレスモータの作動を制御するモータコントローラの制御ブロック図、図3はoffset値を加えた位相差データを用いたときの効果を示したグラフ、図4はoffset値/回転数の設定パターンを示したグラフである。
【0023】
図2に示したモータコントローラ10は、図1に示した突極型のDCブラシレスモータ1(以下、モータ1という)の電機子3,4,5に流れる電流をフィードバック制御するものであり、モータ1をロータ2の界磁極の磁束方向であるq軸上にあるq軸電機子と該q軸と直交するd軸上にあるd軸電機子とを有するdq座標系による等価回路に変換して扱う。
【0024】
そして、モータコントローラ10は、外部から与えられるd軸電機子に流れる電流(以下、d軸電流という)の指令値であるId_cとq軸電機子に流れる電流(以下、q軸電流という)の指令値であるIq_cとが、実際にモータ1の3相の電機子に流れる電流の検出値から3相/dq変換により算出したd軸電流の検出値であるId_sとq軸電流の検出値であるIq_sとに、それぞれ一致するように、モータ1の3相の電機子に印加する電圧を制御する。
【0025】
モータコントローラ10は、d軸電機子に印加する電圧(以下、d軸電圧という)の指令値であるVd_cとq軸電機子に印加する電圧(以下、q軸電圧という)の指示値であるVq_cとを、モータ1のU,V,Wの3相の電機子に印加する電圧の指令値であるVU_c,VV_c,VW_cに変換するdq/3相変換部20、dq/3相変換部20から出力されるVU_c,VV_c,VW_cに、それぞれ高周波電圧vu,vv,vwを重畳する高周波重畳部21(本発明の高周波重畳手段に相当する)、及び該高周波電圧が重畳されたVU_c,VV_c,VW_cに応じた電圧VU,VV,VWをモータ1のU,V,Wの各相の電機子にそれぞれ印加するパワードライブユニット22(本発明の電圧印加手段に相当する)を備える。
【0026】
さらに、モータコントローラ10は、モータ1のU相(本発明の第1相に相当する)の電機子に流れる電流を検出するU相電流センサ23(本発明の第1電流検出手段に相当する)、モータ1のW相(本発明の第2相に相当する)の電機子に流れる電流を検出するW相電流センサ24(本発明の第2電流検出手段に相当する)、U相電流センサ23の検出電流値Iu_sとW相電流センサ24の検出電流値Iw_sとを用いてモータ1のロータ角度θ(図1参照)を検出する角度検出部25、Iu_sとIw_sとを用いてId_sとIq_sとを算出する3相/dq変換部26、及びd軸とq軸間で干渉し合う速度起電力の影響を打消す処理を行なう非干渉演算部27を備える。
【0027】
モータコントローラ10は、d軸電流の指令値Id_cと検出値Id_sとを第1減算器28で減算し、その減算結果に第1のPI演算部29でPI(比例積分)処理を施し、第1加算器30で非干渉成分を加算して、Id_cとId_sとの偏差に応じたd軸電圧の指令値Vd_cを生成する。
【0028】
また、モータコントローラ10は、同様にして、q軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sとを第2減算器31で減算し、その減算結果に第2のPI演算部32でPI処理を施し、第2加算器33で非干渉成分を加算して、Iq_cとIq_sとの偏差に応じたq軸電圧の指令値Vq_cを生成する。
【0029】
そして、モータコントローラ10は、d軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cとをdq/3相変換部20に入力する。これにより、パワードライブユニット22を介して、d軸電流の指令値Id_cと検出値Id_sとの偏差、及びq軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sとの偏差を解消するように、モータ1の電機子に3相電圧VU,VV,VWが印加され、モータ1の電機子に流れる電流が制御される。
【0030】
ここで、3相/dq変換部26は、U相電流センサ23の検出電流値Iu_sと、W相電流センサ24の検出電流値Iw_sと、ロータ角度θとからd軸電流の検出値Id_sとq軸電流の検出値Iq_sとを、以下の式(9)と式(10)から算出するため、モータコントローラ10はロータ角度θを検出する必要がある。
【0031】
【数9】
Figure 2004048934
【0032】
【数10】
Figure 2004048934
そして、モータコントローラ10は、レゾルバ等の位置検出センサを用いずに、dq/3相変換部20から出力されるU,V,W相に印加する電圧の指令値VU_c,VV_c,VW_cに対して、高周波重畳部21から出力される高周波電圧vu,vv,vw(以下の式(11)で表される)をそれぞれ重畳することによってロータ角度θを検出する。
【0033】
【数11】
Figure 2004048934
すなわち、第3加算器34でVU_cにvuを加算し、第4加算器35でVV_cにvvを加算し、第5加算器36でVW_cにvwを加算する。そして、角度検出部25は、高周波電圧vu,vv,vwを重畳したときに、U相電流センサ23により検出される電流値Iu_sとW相電流センサ24により検出される電流値Iw_sとを用いて、ロータ角度θを検出する。
【0034】
また、モータコントローラ10には、回転数センサ40(本発明の回転数検出手段に相当する)によるモータ1の回転数の検出信号re_sが入力される。なお、角度検出部25は、本発明の参照値抽出手段とロータ角度算出手段と磁束密度検出手段の機能を含み、角度検出部25、パワードライブユニット22、高周波重畳部21、U相電流センサ23、W相電流センサ24、及び回転数センサ40により本発明のDCブラシレスモータのロータ角度検出装置が構成される。以下、高周波重畳部21と角度検出部25とによるロータ角度θの検出処理について説明する。
【0035】
角度検出部25は、上述した式(5)と式(6)のIuとIwに、U相電流センサ23により検出された電流値Iu_sとW相電流センサ24により検出された電流値Iw_sをそれぞれ代入し、式(5)と式(6)のωに高周波重畳部21により重畳された上記式(11)の高周波電圧vu,vv,vwの角速度ωを代入して、以下の式(12)と式(13)に示したように、ロータ角度θの2倍角の正弦参照値Vsと余弦参照値Vcとを算出する。
【0036】
【数12】
Figure 2004048934
【0037】
【数13】
Figure 2004048934
なお、式(12)と式(13)におけるωtについてのsin,cos成分が本発明の重畳した高周波電圧に応じた高周波成分に該当する。また、式(12)と式(13)における演算ゲインKは、以下の式(14)で示した形となる。
【0038】
【数14】
Figure 2004048934
但し、l:モータ1の各相の自己インダクタンスの直流分、Δl:lの変動分、m:各相間の相互インダクタンスの直流分。
【0039】
なお、上記式(12)と式(13)では、積分期間を0〜2π/ωとして、IuとIwの直流成分(Iudc,Iwdc)に関する積分値が0になるようにしたが、IuとIwが直流成分を含まず、以下の式(15),(16)の形で表される場合には、以下の式(17),(18)に示したように、積分期間を0〜π/ωとしても正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを算出することができる。
【0040】
【数15】
Figure 2004048934
【0041】
【数16】
Figure 2004048934
【0042】
【数17】
Figure 2004048934
【0043】
【数18】
Figure 2004048934
そして、以下の式(19)の関係式から、ロータ角度の推定値θ^と実際値θとの位相差(θ−θ^)に応じた位相差データとして以下の式(20)に示すΔθ(本発明の第1の位相差データに相当する)を算出し、該位相差(θ−θ^)を解消するように構成した以下の式(21)で表されるオブザーバによりロータ角度を算出することによって、高周波成分の大きさ(√(Vs+Vc))の変動に伴うゲインの変動を抑制してロータ角度算出の安定性を高めることができる。
【0044】
【数19】
Figure 2004048934
【0045】
【数20】
Figure 2004048934
【0046】
【数21】
Figure 2004048934
但し、K1,K2:演算ゲイン。
【0047】
また、角度検出部25の演算能力が低く、上記式(20)の平方根演算に要する時間が問題となる場合は、以下の式(22)に示す近似を行ってもよい。
【0048】
【数22】
Figure 2004048934
ここで、上記式(20)又は式(22)により算出した位相差データΔθを用いて構成したオブザーバによりロータ角度を検出し、該ロータ角度に基づいてモータ1に印加する駆動電圧(VU,VV,VW)を制御した場合、モータ1の出力トルクのボトム値が低下し、出力トルクの脈動が大きくなる場合がある。
【0049】
そして、このように出力トルクの脈動が生じる原因は、ロータ角度の推定値θ^と実際値θとの位相差の実際値(以下、実位相差という)と、上記式(20)又は上記式(22)により算出される該位相差の推定値(以下、位相差推定値という)とが乖離することにあると考えられる。
【0050】
図3(a)は、実位相差と推定位相差とが乖離する様子を示したグラフであり、縦軸を推定位相差、横軸を実位相差に設定している。実位相差と推定位相差との相関グラフが、図中Xで示した理想曲線である場合は、推定位相差を零とすることにより実位相差も零となるため、ロータ角度の検出誤差は生じない。
【0051】
しかし、実際には、実位相差と推定位相差との相関グラフは、図中Yで示した態様となり、この場合には、推定位相差を零に収束させてもE分の誤差が生じる。そして、この誤差によりロータ角度の検出値が実際のロータ角度からずれ、これにより上述したモータ1の出力トルクの脈動が生じると考えられる。
【0052】
そこで、以下の式(23)に示すように、上記式(20)により算出した位相差データΔθにoffset値を加えた位相差データΔθ(本発明の第2の位相差データに相当する)を用いて構成したオブザーバによりロータ角度を検出し、強制的にロータ角度の検出値をずらすことによって、ロータ角度の検出誤差を減少させることができる。
【0053】
【数23】
Figure 2004048934
図3(a)においては、offset値としてofbを加えており、この場合は、推定位相差を零に収束させたときの誤差がEからEに減少している。
【0054】
このように、offset値を加えた位相差データΔθを用いてオブザーバを構成することにより、モータ1のロータ角度の検出精度を高めることができる。しかし、モータ1の出力トルクの変動に影響を与える他の要因として、ロータ角度の算出に要する時間により生じるロータ角度の検出遅れの問題がある。
【0055】
すなわち、モータコントローラ10によりモータ1の回転数を急激に可変させる制御を行ったときに、角度検出部25により算出されるモータ1のロータ角度の検出値が、実際のロータ角度の変化に追従できなくなり、その結果、dq/3相変換部20により生成される駆動電圧の指令値VU_c,VV_c,VW_cに応じた駆動電圧VU,VV,VWの印加によりモータ1に生じる回転磁界と、モータ1の実際のロータ角度との間の位相のずれが大きくなってモータ1の出力トルクが低下する場合がある。
【0056】
そこで、角度検出部25は、図4に示したoffset/回転数の設定パターンに従って上記式(23)におけるoffset値を変更している。図4に示したoffset/回転数の設定パターンは、縦軸をoffset値、横軸を回転数センサ40により検出されるモータ1の回転数(re)に設定したものであり、角度検出部25は、モータ1の回転開始時はoffset値をofに設定する。
【0057】
そして、角度検出部25は、モータ1の回転数がr1に達するまでは、回転数が上昇するに従ってoffset値を小さく設定し、モータ1の回転数がr1以上となったときにoffset値を0(オフセットなし)としている。
【0058】
図3(b)は、offset値を変更したときの効果を説明したもので、縦軸を推定位相差、横軸を実位相差に設定している。図示したように、offset値をofmに設定したときは、実位相差dに対する推定位相差はdとなる。そして、offset値をofmよりも小さいofpとすると、実位相差dに対する推定位相差はdからdに拡大する。
【0059】
このように、offset値を小さく設定することにより、モータ1の実際のロータ角度の変化量に対する上記式(23)による位相差データΔθの変化量を大きくすることができる。すなわち、offset値を変更することは、モータ1の実際のロータ角度の変化量に対する位相差データΔθの変化量を増幅させる効果をもたらす。
【0060】
そこで、角度検出部25は、図4のoffset/回転数の設定パターンに従って、モータ1の回転開始時はoffset値を大きく設定してモータ1のロータ角度の検出誤差を減少させている。そして、これにより、モータ1の始動時における角度検出部25により算出されたロータ角度に基づいて生成される駆動電圧VU,VV,VWにより生じる回転磁界とモータ1の実際のロータ角度との位相のずれを減少させて、モータ1の出力トルクの落ち込みを抑制し、モータ1の始動の遅れや脱調等が生じることを防止している。
【0061】
また、角度検出部25は、モータ1の回転数の上昇に応じてしてoffset値を減少させ、モータ1の回転数がr1以上となったときには、offset値を0(オフセットなし)としている。
【0062】
そして、これにより、角度検出部25は、モータ1の回転数が上昇したときに、モータ1のロータ角度の変化量に対する位相差データΔθの変化量を増幅させてロータ角度の検出遅れを抑制し、ロータ角度の検出遅れの影響により、モータ1の実際のロータ角度と駆動電圧VU,VV,VWにより生じる回転磁界の位相のずれが生じてモータ1の出力トルクが低下することを防止している。
【0063】
なお、本実施の形態では、角度検出部25は、前記式(12),(13)において、時間に応じて変化する高周波成分に対して積分演算を行うことにより、ロータ角度θの2倍角の正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを算出したが、ローパスフィルタを施して正弦参照値と余弦参照値を出力するように処理してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】DCブラシレスモータの構成図。
【図2】図1に示したDCブラシレスモータの作動を制御するモータコントローラの制御ブロック図。
【図3】offset値を加えた位相差データを用いたときの効果を示したグラフ。
【図4】offset値/回転数の設定パターンを示したグラフ。
【符号の説明】
1…DCブラシレスモータ、2…ロータ、3…U相の電機子、4…V相の電機子、5…W相の電機子、10…モータコントローラ、20…dq/3相変換部、21…高周波重畳部、22…パワードライブユニット、23…U相電流センサ、24…W相電流センサ、25…角度検出部、26…3相/dq変換部、27…非干渉演算部、40…回転数センサ

Claims (3)

  1. 突極型のDCブラシレスモータの3相の電機子に駆動電圧を印加する電圧印加手段と、該駆動電圧に高周波電圧を重畳する高周波重畳手段と、該3相の電機子のうちの第1相の電機子に流れる電流を検出する第1電流検出手段と、該3相の電機子のうちの第2相の電機子に流れる電流を検出する第2電流検出手段と、
    前記高周波重畳手段により前記駆動電圧に前記高周波電圧が重畳されたときに前記第1電流検出手段により検出される第1電流値及び前記第2電流検出手段により検出される第2電流値と、前記高周波電圧に応じた高周波成分とを用いて、前記モータのロータ角度の2倍角の正弦値に応じた正弦参照値と該2倍角の余弦値に応じた余弦参照値とを抽出する参照値抽出手段と、
    前記正弦参照値と前記余弦参照値とを用いて前記モータのロータ角度の推定値(θ^)と実際値(θ)との位相差(θ−θ^)を表す第1の位相差データを算出し、該第1の位相差データに所定のオフセット値を加えた第2の位相差データが表す前記位相差(θ−θ^)を解消するように構成したオブザーバにより、前記ロータ角度を算出するロータ角度算出手段とを備えたDCブラシレスモータのロータ角度検出装置において、
    前記モータの回転数を検出する回転数検出手段を備え、前記ロータ角度算出手段は、該回転数検出手段により検出される前記モータの回転数に応じて、前記オフセット値を決定することを特徴とするDCブラシレスモータのロータ角度検出装置。
  2. 前記ロータ角度算出手段は、前記モータの回転開始後、前記モータの回転数が上昇するに従って前記オフセット値を減少させることを特徴とする請求項1記載のDCブラシレスモータのロータ角度検出装置。
  3. 前記参照値抽出手段は、次式(1)と(2)により前記正弦参照値と前記余弦参照値を抽出し、
    前記ロータ角度算出手段は、前記第1の位相差データとして次式(3)により算出したΔθを用い、前記第2の位相差データとして次式(4)により算出したΔθを用いたことを特徴とする請求項1記載のDCブラシレスモータのロータ角度検出装置。
    Figure 2004048934
    Figure 2004048934
    Figure 2004048934
    Figure 2004048934
    但し、上記式(1)〜(4)において、Vs:前記正弦参照値、Vc:前記余弦参照値、Iu:前記第1電流値、Iw:前記第2電流値、ω:前記高周波電圧の角速度、Δθ:前記第1の位相差データ、Δθ:前記第2の位相差データ、offset:前記オフセット値。
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