JP2004047881A - 有機半導体素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極間の漏れ電流の発生を抑制した有機半導体素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機半導体素子はソース電極及びドレイン電極間に挟持されかつキャリア移動性を有する有機半導体層を備え、さらに、有機半導体層に包埋されかつソース電極及びドレイン電極間に離間して並設された少なくとも2つの平面の各々に配置されかつ膜厚方向において配置された少なくとも2つの中間電極片からなるゲート電極を有する。有機半導体層の融解によりゲート電極が包埋される。
【選択図】 図3
【解決手段】有機半導体素子はソース電極及びドレイン電極間に挟持されかつキャリア移動性を有する有機半導体層を備え、さらに、有機半導体層に包埋されかつソース電極及びドレイン電極間に離間して並設された少なくとも2つの平面の各々に配置されかつ膜厚方向において配置された少なくとも2つの中間電極片からなるゲート電極を有する。有機半導体層の融解によりゲート電極が包埋される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア移動性の有機化合物からなる有機半導体層を備えた有機半導体素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機半導体層に電圧を加えると有機半導体層に電荷密度が増加するので、有機半導体層上に1対の電極を設けその間に電流を流すことが可能になる。例えば、縦型構造のSIT(静電誘導形トランジスタ)構造の有機トランジスタなどの有機半導体素子においては、有機半導体層を挟むソース電極及びドレイン電極の間のゲート電極で有機半導体層の厚さ方向に電圧を印加し、有機半導体層の厚さ方向の電流をスイッチングできる。
【0003】
SITは、図1に示すように、有機半導体層13を1対のソース電極11及びドレイン電極15で挟み、有機半導体層の厚さ方向の途中にゲート電極14を形成した3端子構造を有する。そのゲート電極に電圧を印加し、有機半導体層にできる空乏層DpLによってソース電極及びドレイン電極間の電流を制御することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
SIT構造の有機トランジスタでは、例えば、正電荷を印加したゲート電極14の複数の短冊形枝部の周りに生じる有機半導体層の複数の空乏層DpLによって、ソース電極及びドレイン電極間の膜厚方向のキャリア移動を阻止する。
しかしながら、空乏層DpL各々の拡がりが不十分であると、図2に示すゲート電極14の短冊形枝部の間隔Wを空乏層DpLで埋めることができず、漏れ電流が増加する。すなわち、キャリア移動を阻止し漏れ電流減少のためにゲート電極の短冊形枝部の間隔を狭めるには、微細構造のマスクを用いたゲート電極の形成が必要となる。
【0005】
一般に、SIT構造の有機トランジスタにおける有機半導体層の膜厚は数百nmであり、ソース電極及びドレイン電極の間に形成されるべきゲート電極も50〜100nmといった厚さとなる。そうすると有機半導体層、ゲート電極、有機半導体層と順次成膜した際、有機トランジスタは、ゲート電極の複数の短冊形枝部が、そのまま、その後工程で積層される有機半導体層やドレイン電極に転写され、表面に凹凸が残ってしまい、漏れ電流の増加に影響する。
【0006】
本発明の解決しようとする課題には、電極間の漏れ電流の発生を抑制した有機半導体素子及びその製造方法を提供することが一例として挙げられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の有機半導体素子は、ソース電極及びドレイン電極間に挟持されかつキャリア移動性を有する有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、前記有機半導体層に包埋されかつ前記ソース電極及びドレイン電極間に離間して並設された少なくとも2つの平面の各々に配置されかつ膜厚方向において配置された少なくとも2つの中間電極片からなるゲート電極を有することを特徴とする。
【0008】
請求項6記載の有機半導体素子の製造方法は、ソース電極及びドレイン電極間に成膜されかつゲート電極を包埋する有機半導体層を備えた有機半導体素子の製造方法であって、
ソース電極及びドレイン電極のいずれか上に、第1有機半導体層を形成する第1有機半導体層積層工程と、
前記第1有機半導体層上の一部に第1中間電極片を形成する第1中間電極片積層工程と、
前記第1有機半導体層及び前記第1中間電極片上に、第2有機半導体層を形成する第2有機半導体層積層工程と、
前記第2有機半導体層上の一部に、前記第1中間電極片とともに前記ソース電極及びドレイン電極を互いに補完して覆うように、第2中間電極片を形成する第2中間電極片積層工程と、
前記第2有機半導体層及び前記第2中間電極片上に、第3有機半導体層を形成する第3有機半導体層積層工程と、を含み、
前記第2及び第3有機半導体層積層工程において、形成された有機半導体を軟化せしめ前記中間電極片を包埋する包埋工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による有機半導体素子の実施形態例として有機トランジスタ及びその製造方法を図面を参照しつつ説明する。
図3は、実施形態のSIT構造の有機トランジスタの断面を示す。基板10上において、キャリア移動性を有する例えばp型有機半導体層13は、ソース電極11及びドレイン電極15の間に挟持されるように、設けられている。有機半導体層13はp型(正孔輸送性)の他に、n型(電子輸送性)でもよく、正孔輸送性及び電子輸送性の少なくとも一方を有する材料で形成できる。有機半導体層13には、それぞれ平板状の2つの中間電極片14a及び14bからなるゲート電極が包埋されている。中間電極片14a及び14bはソース電極11及びドレイン電極15の間に平行に離間して配置されている。図4に示すように、中間電極片14a及び14bは互いに電気的に接続されてゲート電極14として、ソース電極11及びドレイン電極15のどちら側から見ても、互いに補完してこれら電極を覆うように、形成されている。なお、中間電極片14a及び14bはソース電極11及びドレイン電極15の間の2つの平面内にそれぞれ存在するように離間して設けられているが、ソース電極11及びドレイン電極15の間であれば、3以上の平面内にそれぞれに中間電極片を設けることもできる。
【0010】
この実施形態の有機トランジスタは、例えば、次のように製造される。
まず、図5に示すように、基板10上にソース電極11を形成する。例えばスパッタ法によりインジウム錫酸化物(ITO)又はクロム(Cr)からなるソース電極11を膜厚50nmで成膜する。なお、ソース電極に限らず各電極形成には蒸着、スパッタ、CVDなどの方法を用いることができる。
【0011】
次に、図6に示すように、ソース電極11上に、第1有機半導体層13aとして、4,4’ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]−ビフェニル(いわゆる、α−NPD)を膜厚50nmで抵抗加熱蒸着により成膜する。
次に、図7に示すように、第1有機半導体層13aの上部平面の一部分上に、これを介してソース電極11の一部分を覆うように、マスクを用いてA1を第1中間電極片14aとして膜厚50nmで抵抗加熱蒸着法により平板状に形成する。
【0012】
次に、図8に示すように、第1有機半導体層13aの他の部分及び第1中間電極片14a上に、第2有機半導体層13bとして第1有機半導体層と同じα−NPDを膜厚50nm程度で成膜する。次に、基板10全体を有機半導体層のガラス転移点以上融点以下の温度に加熱する。すなわち、α−NPDのガラス転移温度である96℃よりも10〜50℃高い温度、例えば130℃で10分間、加熱して第1中間電極片14aを第2有機半導体層13bで包埋して、第2有機半導体層13bの表面の平坦化処理を行う。第2有機半導体層13bが軟化して、重力及び表面張力によって、第1有機半導体層13aと融合する。加熱処理は大気中でも可能であるが、材料劣化や汚染防止の点から真空チャンバ内又は窒素置換されたチャンバ内で処理される方が好ましい。軟化温度としては、ガラス転移点が96℃の有機材料の場合、150℃程度の加熱温度で軟化にかかる加熱時間は5分程度である。なお、基板全体は減圧又は真空チャンバ内でヒータで加熱されるが、加熱手段はハライドランプなどでもよい。
【0013】
次に、図9に示すように、第2有機半導体層13bの上部平面の一部分上に、これを介してソース電極11の他の部分を覆うように、マスクを用いてAlを第2中間電極片14bとして膜厚50nmで抵抗加熱蒸着法により平板状に形成する。ここで、第2中間電極片14b及び第1中間電極片14aは互いに補完してソース電極11を覆うように、形成される。第1中間電極片14a及び第2中間電極片14bは図9に示すように、第2有機半導体層13bを挟んで離間した重複部分DPを設けるように形成してもよい。第2中間電極片14bは第1中間電極片14aに電気的に接続されゲート電極の同一電位となり得るよう成膜される。第2有機半導体層13bの成膜により、第1中間電極片14a及び第2中間電極片14b間の距離は従来の1平面内のゲート電極短冊枝部をマスクで形成するより小さく、薄膜の膜厚で近接して形成でき、かつ精度が高く両電極間隔を保って形成できる。
【0014】
次に、図10に示すように、第2有機半導体層13bの他の部分及び第2中間電極片14b上に、第3有機半導体層13cとして第1有機半導体層と同じα−NPDを膜厚50nm程度で成膜する。次に、上記同様に基板10全体を有機半導体層のガラス転移点以上融点以下の温度に加熱、すなわち第2中間電極片14bを第3有機半導体層13cで包埋して、表面の平坦化処理を行う。
【0015】
最後に、図11に示すように、第3有機半導体層13c上に、ドレイン電極15としてA1を膜厚200nmで抵抗加熱蒸着法で成膜する。有機半導体層成膜後に熱処理を行うため有機半導体層が平坦化され、凹凸のない均一な有機半導体層を有する有機トランジスタが作製できる。
なお、上記実施形態では、第1、第2及び第3有機半導体層13a、13b及び13cをp型材料のα−NPDを成膜しているが、n型材料としてもよい。有機半導体層は電子輸送性及び正孔輸送性の少なくとも一方の材料であればよい。
【0016】
また、上記実施形態では、中間電極片14a及び14bは平板状に成膜しているが、この他に、図12に示すように、ソース電極11及びドレイン電極15の間の2平面におけるゲート電極の中間電極片14a及び14bは、それぞれ複数の短冊形枝部とし、それぞれ櫛状又は簾状で形成され得る。この場合も、図13に示すように、中間電極片14a及び14bは互いに電気的に接続されてゲート電極14として、ソース電極11及びドレイン電極15のどちら側から見ても、互いに補完してこれら電極を覆うように、形成される。
【0017】
さらに、図14に示すように、上記SIT構造の有機トランジスタの構造において、第1、第2及び第3有機半導体層13a、13b及び13cを正孔輸送層としてソース電極11及び第1有機半導体層13a間に電子輸送性の有機発光層16を設けることによって、有機トランジスタ一体型有機エレクトロルミネッセンス素子を構成できる。これにより、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンス(以下、ELともいう)を呈する有機化合物材料の少なくとも1つの薄膜からなる有機発光層を含む有機材料層を各々がアクティブ素子を備えた複数の有機EL素子を、マトリクスなどの所定パターンにて表示パネル基板上に形成できる。
【0018】
有機EL素子は、光を取り出す側を透明材料で構成して基板上の1対の電極層間に、有機材料層を順次積層されて構成される。例えば、トップエミッション構成の場合には、図14に示すものとは、逆に、ドレイン電極15と第3有機半導体層13cとの間に有機発光層16を設けることもできる。
また、本発明による他の実施形態の有機トランジスタでは図15及び図16に示すように、第1中間電極片14a及び第2中間電極片14bを、第2有機半導体層13bを挟んで離間した重複部分を設けないように形成してもよい。
【0019】
さらに、図17に示すように、本発明による他の実施形態の有機トランジスタでは、ソース電極11及びドレイン電極15の間の3平面のそれぞれにゲート電極の中間電極片14a、14b及び14cを積層し、それぞれ複数の短冊形枝部として櫛状又は簾状で形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機トランジスタを示す断面図。
【図2】図1の線AAにおける断面図。
【図3】本発明による実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図4】図3の線AAにおける断面図。
【図5】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図6】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図7】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図8】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図9】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図10】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図11】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図12】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図13】図12の線AAにおける断面図。
【図14】本発明による他の実施形態の有機トランジスタ一体型有機エレクトロルミネッセンス素子を示す断面図。
【図15】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図16】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図17】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【符号の説明】
10 基板
11 ソース電極
13 第1有機半導体層
13a、13b及び13c 第1、第2及び第3有機半導体層
14 ゲート電極
14a及び14b 中間電極片
15 ドレイン電極
16 有機発光層
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア移動性の有機化合物からなる有機半導体層を備えた有機半導体素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機半導体層に電圧を加えると有機半導体層に電荷密度が増加するので、有機半導体層上に1対の電極を設けその間に電流を流すことが可能になる。例えば、縦型構造のSIT(静電誘導形トランジスタ)構造の有機トランジスタなどの有機半導体素子においては、有機半導体層を挟むソース電極及びドレイン電極の間のゲート電極で有機半導体層の厚さ方向に電圧を印加し、有機半導体層の厚さ方向の電流をスイッチングできる。
【0003】
SITは、図1に示すように、有機半導体層13を1対のソース電極11及びドレイン電極15で挟み、有機半導体層の厚さ方向の途中にゲート電極14を形成した3端子構造を有する。そのゲート電極に電圧を印加し、有機半導体層にできる空乏層DpLによってソース電極及びドレイン電極間の電流を制御することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
SIT構造の有機トランジスタでは、例えば、正電荷を印加したゲート電極14の複数の短冊形枝部の周りに生じる有機半導体層の複数の空乏層DpLによって、ソース電極及びドレイン電極間の膜厚方向のキャリア移動を阻止する。
しかしながら、空乏層DpL各々の拡がりが不十分であると、図2に示すゲート電極14の短冊形枝部の間隔Wを空乏層DpLで埋めることができず、漏れ電流が増加する。すなわち、キャリア移動を阻止し漏れ電流減少のためにゲート電極の短冊形枝部の間隔を狭めるには、微細構造のマスクを用いたゲート電極の形成が必要となる。
【0005】
一般に、SIT構造の有機トランジスタにおける有機半導体層の膜厚は数百nmであり、ソース電極及びドレイン電極の間に形成されるべきゲート電極も50〜100nmといった厚さとなる。そうすると有機半導体層、ゲート電極、有機半導体層と順次成膜した際、有機トランジスタは、ゲート電極の複数の短冊形枝部が、そのまま、その後工程で積層される有機半導体層やドレイン電極に転写され、表面に凹凸が残ってしまい、漏れ電流の増加に影響する。
【0006】
本発明の解決しようとする課題には、電極間の漏れ電流の発生を抑制した有機半導体素子及びその製造方法を提供することが一例として挙げられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の有機半導体素子は、ソース電極及びドレイン電極間に挟持されかつキャリア移動性を有する有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、前記有機半導体層に包埋されかつ前記ソース電極及びドレイン電極間に離間して並設された少なくとも2つの平面の各々に配置されかつ膜厚方向において配置された少なくとも2つの中間電極片からなるゲート電極を有することを特徴とする。
【0008】
請求項6記載の有機半導体素子の製造方法は、ソース電極及びドレイン電極間に成膜されかつゲート電極を包埋する有機半導体層を備えた有機半導体素子の製造方法であって、
ソース電極及びドレイン電極のいずれか上に、第1有機半導体層を形成する第1有機半導体層積層工程と、
前記第1有機半導体層上の一部に第1中間電極片を形成する第1中間電極片積層工程と、
前記第1有機半導体層及び前記第1中間電極片上に、第2有機半導体層を形成する第2有機半導体層積層工程と、
前記第2有機半導体層上の一部に、前記第1中間電極片とともに前記ソース電極及びドレイン電極を互いに補完して覆うように、第2中間電極片を形成する第2中間電極片積層工程と、
前記第2有機半導体層及び前記第2中間電極片上に、第3有機半導体層を形成する第3有機半導体層積層工程と、を含み、
前記第2及び第3有機半導体層積層工程において、形成された有機半導体を軟化せしめ前記中間電極片を包埋する包埋工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による有機半導体素子の実施形態例として有機トランジスタ及びその製造方法を図面を参照しつつ説明する。
図3は、実施形態のSIT構造の有機トランジスタの断面を示す。基板10上において、キャリア移動性を有する例えばp型有機半導体層13は、ソース電極11及びドレイン電極15の間に挟持されるように、設けられている。有機半導体層13はp型(正孔輸送性)の他に、n型(電子輸送性)でもよく、正孔輸送性及び電子輸送性の少なくとも一方を有する材料で形成できる。有機半導体層13には、それぞれ平板状の2つの中間電極片14a及び14bからなるゲート電極が包埋されている。中間電極片14a及び14bはソース電極11及びドレイン電極15の間に平行に離間して配置されている。図4に示すように、中間電極片14a及び14bは互いに電気的に接続されてゲート電極14として、ソース電極11及びドレイン電極15のどちら側から見ても、互いに補完してこれら電極を覆うように、形成されている。なお、中間電極片14a及び14bはソース電極11及びドレイン電極15の間の2つの平面内にそれぞれ存在するように離間して設けられているが、ソース電極11及びドレイン電極15の間であれば、3以上の平面内にそれぞれに中間電極片を設けることもできる。
【0010】
この実施形態の有機トランジスタは、例えば、次のように製造される。
まず、図5に示すように、基板10上にソース電極11を形成する。例えばスパッタ法によりインジウム錫酸化物(ITO)又はクロム(Cr)からなるソース電極11を膜厚50nmで成膜する。なお、ソース電極に限らず各電極形成には蒸着、スパッタ、CVDなどの方法を用いることができる。
【0011】
次に、図6に示すように、ソース電極11上に、第1有機半導体層13aとして、4,4’ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]−ビフェニル(いわゆる、α−NPD)を膜厚50nmで抵抗加熱蒸着により成膜する。
次に、図7に示すように、第1有機半導体層13aの上部平面の一部分上に、これを介してソース電極11の一部分を覆うように、マスクを用いてA1を第1中間電極片14aとして膜厚50nmで抵抗加熱蒸着法により平板状に形成する。
【0012】
次に、図8に示すように、第1有機半導体層13aの他の部分及び第1中間電極片14a上に、第2有機半導体層13bとして第1有機半導体層と同じα−NPDを膜厚50nm程度で成膜する。次に、基板10全体を有機半導体層のガラス転移点以上融点以下の温度に加熱する。すなわち、α−NPDのガラス転移温度である96℃よりも10〜50℃高い温度、例えば130℃で10分間、加熱して第1中間電極片14aを第2有機半導体層13bで包埋して、第2有機半導体層13bの表面の平坦化処理を行う。第2有機半導体層13bが軟化して、重力及び表面張力によって、第1有機半導体層13aと融合する。加熱処理は大気中でも可能であるが、材料劣化や汚染防止の点から真空チャンバ内又は窒素置換されたチャンバ内で処理される方が好ましい。軟化温度としては、ガラス転移点が96℃の有機材料の場合、150℃程度の加熱温度で軟化にかかる加熱時間は5分程度である。なお、基板全体は減圧又は真空チャンバ内でヒータで加熱されるが、加熱手段はハライドランプなどでもよい。
【0013】
次に、図9に示すように、第2有機半導体層13bの上部平面の一部分上に、これを介してソース電極11の他の部分を覆うように、マスクを用いてAlを第2中間電極片14bとして膜厚50nmで抵抗加熱蒸着法により平板状に形成する。ここで、第2中間電極片14b及び第1中間電極片14aは互いに補完してソース電極11を覆うように、形成される。第1中間電極片14a及び第2中間電極片14bは図9に示すように、第2有機半導体層13bを挟んで離間した重複部分DPを設けるように形成してもよい。第2中間電極片14bは第1中間電極片14aに電気的に接続されゲート電極の同一電位となり得るよう成膜される。第2有機半導体層13bの成膜により、第1中間電極片14a及び第2中間電極片14b間の距離は従来の1平面内のゲート電極短冊枝部をマスクで形成するより小さく、薄膜の膜厚で近接して形成でき、かつ精度が高く両電極間隔を保って形成できる。
【0014】
次に、図10に示すように、第2有機半導体層13bの他の部分及び第2中間電極片14b上に、第3有機半導体層13cとして第1有機半導体層と同じα−NPDを膜厚50nm程度で成膜する。次に、上記同様に基板10全体を有機半導体層のガラス転移点以上融点以下の温度に加熱、すなわち第2中間電極片14bを第3有機半導体層13cで包埋して、表面の平坦化処理を行う。
【0015】
最後に、図11に示すように、第3有機半導体層13c上に、ドレイン電極15としてA1を膜厚200nmで抵抗加熱蒸着法で成膜する。有機半導体層成膜後に熱処理を行うため有機半導体層が平坦化され、凹凸のない均一な有機半導体層を有する有機トランジスタが作製できる。
なお、上記実施形態では、第1、第2及び第3有機半導体層13a、13b及び13cをp型材料のα−NPDを成膜しているが、n型材料としてもよい。有機半導体層は電子輸送性及び正孔輸送性の少なくとも一方の材料であればよい。
【0016】
また、上記実施形態では、中間電極片14a及び14bは平板状に成膜しているが、この他に、図12に示すように、ソース電極11及びドレイン電極15の間の2平面におけるゲート電極の中間電極片14a及び14bは、それぞれ複数の短冊形枝部とし、それぞれ櫛状又は簾状で形成され得る。この場合も、図13に示すように、中間電極片14a及び14bは互いに電気的に接続されてゲート電極14として、ソース電極11及びドレイン電極15のどちら側から見ても、互いに補完してこれら電極を覆うように、形成される。
【0017】
さらに、図14に示すように、上記SIT構造の有機トランジスタの構造において、第1、第2及び第3有機半導体層13a、13b及び13cを正孔輸送層としてソース電極11及び第1有機半導体層13a間に電子輸送性の有機発光層16を設けることによって、有機トランジスタ一体型有機エレクトロルミネッセンス素子を構成できる。これにより、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンス(以下、ELともいう)を呈する有機化合物材料の少なくとも1つの薄膜からなる有機発光層を含む有機材料層を各々がアクティブ素子を備えた複数の有機EL素子を、マトリクスなどの所定パターンにて表示パネル基板上に形成できる。
【0018】
有機EL素子は、光を取り出す側を透明材料で構成して基板上の1対の電極層間に、有機材料層を順次積層されて構成される。例えば、トップエミッション構成の場合には、図14に示すものとは、逆に、ドレイン電極15と第3有機半導体層13cとの間に有機発光層16を設けることもできる。
また、本発明による他の実施形態の有機トランジスタでは図15及び図16に示すように、第1中間電極片14a及び第2中間電極片14bを、第2有機半導体層13bを挟んで離間した重複部分を設けないように形成してもよい。
【0019】
さらに、図17に示すように、本発明による他の実施形態の有機トランジスタでは、ソース電極11及びドレイン電極15の間の3平面のそれぞれにゲート電極の中間電極片14a、14b及び14cを積層し、それぞれ複数の短冊形枝部として櫛状又は簾状で形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機トランジスタを示す断面図。
【図2】図1の線AAにおける断面図。
【図3】本発明による実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図4】図3の線AAにおける断面図。
【図5】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図6】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図7】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図8】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図9】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図10】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図11】本発明による実施形態の有機トランジスタの製造工程の一部を示す断面図。
【図12】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図13】図12の線AAにおける断面図。
【図14】本発明による他の実施形態の有機トランジスタ一体型有機エレクトロルミネッセンス素子を示す断面図。
【図15】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図16】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【図17】本発明による他の実施形態の有機トランジスタの断面図。
【符号の説明】
10 基板
11 ソース電極
13 第1有機半導体層
13a、13b及び13c 第1、第2及び第3有機半導体層
14 ゲート電極
14a及び14b 中間電極片
15 ドレイン電極
16 有機発光層
Claims (8)
- ソース電極及びドレイン電極間に挟持されかつキャリア移動性を有する有機半導体層を備えた有機半導体素子であって、前記有機半導体層に包埋されかつ前記ソース電極及びドレイン電極間に離間して並設された少なくとも2つの平面の各々に配置されかつ膜厚方向において配置された少なくとも2つの中間電極片からなるゲート電極を有することを特徴とする有機半導体素子。
- 前記中間電極片は平板状であることを特徴とする請求項1記載の有機半導体素子。
- 前記中間電極片は櫛状又は簾状であることを特徴とする請求項1記載の有機半導体素子。
- 前記有機半導体層は電子輸送性及び正孔輸送性の少なくとも一方を有する材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体素子。
- 前記中間電極片は前記有機半導体層の一部を挟んで離間した重複部分を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機半導体素子。
- ソース電極及びドレイン電極間に成膜されかつゲート電極を包埋する有機半導体層を備えた有機半導体素子の製造方法であって、
ソース電極及びドレイン電極のいずれか上に、第1有機半導体層を形成する第1有機半導体層積層工程と、
前記第1有機半導体層上の一部に第1中間電極片を形成する第1中間電極片積層工程と、
前記第1有機半導体層及び前記第1中間電極片上に、第2有機半導体層を形成する第2有機半導体層積層工程と、
前記第2有機半導体層上の一部に、前記第1中間電極片とともに前記ソース電極及びドレイン電極を互いに補完して覆うように、第2中間電極片を形成する第2中間電極片積層工程と、
前記第2有機半導体層及び前記第2中間電極片上に、第3有機半導体層を形成する第3有機半導体層積層工程と、を含み、
前記第2及び第3有機半導体層積層工程において、形成された有機半導体を軟化せしめ前記中間電極片を包埋する包埋工程と、を含むことを特徴とする有機半導体素子の製造方法。 - 前記包埋工程は、前記第1有機半導体層をそのガラス転移点以上融点以下の温度に加熱することを特徴とする請求項6記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記有機半導体層は、蒸着により形成されることを特徴とする請求項6記載の有機半導体素子の製造方法。
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