JP2004047211A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】特に車両への搭載性を考慮し、耐久性に優れた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】積層された発電セルに平行に配置され、その発電セルを挟持する一対のエンドプレート4,5を有する燃料電池本体2と、燃料電池本体を収納する筐体3と、エンドプレートに形成され、そのエンドプレートを筐体に取り付ける取付手段7,8とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】積層された発電セルに平行に配置され、その発電セルを挟持する一対のエンドプレート4,5を有する燃料電池本体2と、燃料電池本体を収納する筐体3と、エンドプレートに形成され、そのエンドプレートを筐体に取り付ける取付手段7,8とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、自動車等の移動体に好適に使用することができる燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料が有するエネルギを直接電気エネルギに変換する装置であり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち、一方の電極(陰極)に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の電極(陽極)に酸素を含有する酸化ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出すものである。
【0003】
陰極反応:H2 → 2H+ + 2e−
陽極反応:2H+ + 2e− +(1/2)O2 → H2O
陰極に供給する燃料ガスは、水素貯蔵装置から直接供給する方法、水素を含有する燃料を改質して改質した水素含有ガスを供給する方法等が知られている。水素を含有する燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリン等が考えられる。陽極に供給する酸化剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
【0004】
このような燃料電池システムにおいては、従来はエンドプレートから延設されたブラケットで車体にラバーマウントしていた(例えば、特開2001−143742号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、燃料電池本体は、燃料電池本体に含有されている水の量や温度変化により積層方向に伸縮するので、従来のエンドプレートから延設されたブラケットで車体にラバーマウントする方法では、燃料電池本体の伸縮によってラバー部が剪断方向の応力を受けるため、耐久性が劣る可能性があった。
【0006】
本発明の課題は、特に車両への搭載性を考慮し、耐久性に優れた燃料電池システムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
本発明は、積層された発電セルに平行に配置され、その発電セルを挟持する一対のエンドプレート(4,5)を有する燃料電池本体(2)と、前記燃料電池本体を収納する筐体(3)と、前記エンドプレートに形成され、そのエンドプレートを前記筐体に取り付ける取付手段(7,8)とを備える。
【0009】
【作用・効果】
本発明によれば、発電セルを一対のエンドプレートで挟持した燃料電池本体を筐体に収納し、エンドプレートを前記筐体に取り付けるので、小型化・高実装密度化が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明による燃料電池システムの第1実施形態を示す図であり、図1(A)は斜視図である。また、図1(B)は燃料電池システムにおける電子の流れを説明する平面模式図であり、図中の矢印の通り電子が流れる。
【0011】
1は燃料電池システムで有り、燃料電池システム1は燃料電池本体2(2a,2b)、スタックケース3、フロントエンドプレート4、リアエンドプレート5(5a,5b)、分配マニホールド6等を備える。
【0012】
燃料電池本体2(2a,2b)には、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極及びカソード電極で挟んで構成された複数枚の発電セル(単位セル)が、セパレータを介して、前後方向(図中矢印A方向)に積層されており、その前後両端にフロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5(5a,5b)が配置されている。また、燃料電池本体2a,2bは、水素極エキゾーストマニホールド2cを挟んで左右方向(図中矢印B方向)に並べられている。さらに、燃料電池本体2a,2bの側面には水素極インテークマニホールド2dが設けられている。さらにまた、燃料電池本体2a,2bの上部には空気極インテークマニホールド2e、下部には空気極エキゾーストマニホール(不図示)が、配置されている。また、フロントエンドプレート4の前方には分配マニホールド6が配置されている。このような状態で燃料電池本体2等はスタックケース3に収納されている。
【0013】
なお、図1(A)においては、スタックケース3内の収納状態の理解を容易にするために、スタックケース3の上蓋部3aを取り外した状態で図示してある。
【0014】
スタックケース3は、燃料電池本体2等を収納する筐体であり、上蓋部、壁部、下底部等を有する。スタックケース3の壁部3b,3cには、車体に燃料電池システム1を固定するための取付用ボス(車体固定手段)9が設けられている。この取付用ボス9にはラバーマウント部品9aが取り付けられている。このラバーマウント部品9aは車体の振動を吸収可能な振動吸収部であり、スタックケース3に伝わる車体の振動を軽減する。
【0015】
スタックケース3のフロント壁3bには、空気の吸気口3d及び排気口3e、冷却水の給水口3f及び排水口3gが形成されており、分配マニホールド6に接続されている。
【0016】
スタックケース3のリア壁3cには、水素の吸気口及び排気口(不図示)が形成されており、それぞれ、水素極インテークマニホールド2d及び水素極エキゾーストマニホールド2cに接続されている。
【0017】
スタックケース3の上蓋部3aには貫通孔3hが形成されており、スタックケース3の下底部には貫通孔3iが形成されている(図2参照)。
【0018】
フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5(5a,5b)は、燃料電池本体2を前後方向(矢印A方向)で挟持する板状部材であり、その上下(図中矢印C方向)に、それぞれ凸部7(7a,7b;図2(A)参照)、凸部8(8a,8b;図2(B)参照)が一体的に形成されている。この凸部7、8がスタックケース3に形成されている貫通孔3h,3iに挿入されることで(図2参照)、スタックケース3に対して固定される。このように凸部7、8は、フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5をスタックケース3に取り付けるための取付手段として機能する。
【0019】
フロントエンドプレート(第2のエンドプレート)4は、一枚の板状体であって、燃料電池本体2a,2bに当接し、等電位面になっている。また、リアエンドプレート5は、二体構造である。本発明では、後述の通り、このリアエンドプレート5から電力を取り出す構造となっており、一方のリアエンドプレート(第1のエンドプレート)5aが負極、他方のリアエンドプレート(第3のエンドプレート)5bが正極になる(図1(B))。
【0020】
分配マニホールド6は、上述の通り、フロントエンドプレート4の前方に配置されており、スタックケース3のフロント壁3bに形成されている空気の吸気口3d及び排気口3e、冷却水の給水口3f及び排水口3gを接続し、外部から接続された配管を燃料電池システム1内で各通路に分配する。
【0021】
このような構造とすることで、冷却水が等電位面であるフロントエンドプレート4側から給排水されるので、冷却水の配管に電流が流れ出にくくなる。
【0022】
図2はエンドプレートとスタックケースの固定構造を説明する図であり、図2(A)は図1(A)のIIA−IIA断面図、図2(B)は図1(A)のIIB−IIB断面図を示す。
【0023】
図2(A)に示すように、フロントエンドプレート4の凸部7(7a,7b)は、絶縁カバー11を介して、スタックケース3の貫通孔3h,3iに嵌合されてスタックケース3に固定されている。このように絶縁カバー11が設けられているので、フロントエンドプレート4とスタックケース3とは通電不能に絶縁される。
【0024】
また、図2(B)に示すように、リアエンドプレート5の凸部8(8a,8b)は、絶縁カバー10,11を介して、スタックケース3の貫通孔3h,3iに嵌合されてスタックケース3に固定されている。なお、絶縁カバー10には、貫通孔10aが形成されており、リアエンドプレート5の凸部8bがスタックケース3の外部に露出している。このような構造になっているので、リアエンドプレート5は、スタックケース3に対して絶縁が図られるとともに、この凸部8bを電力取り出し部として使用することができ、電力を容易に取り出すことが可能である。
【0025】
本実施形態によれば、燃料電池本体2をスタックケース3に対してエンドプレート4,5に形成された凸部7,8で固定するので、取付構造が簡素であり、部品点数も少なくてすむ。このため、スタックケース3内における取付構造が占めるスペースが少なくてすみ、スタックケース3の内部の高密度化を図ることができ、充填効率を高くすることができ、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
【0026】
また、スタックケース3の上蓋部3aに貫通孔3hが形成されているので、スタックケース3を組み立てるときに、その貫通孔3hを通してエンドプレート4,5を確認しやすい。そのため、スタックケース3の組み立てを容易に行うことができる。
【0027】
さらに、リアエンドプレート5の一部分(凸部8b)がスタックケース3の外部に露出しているので、電力取出部として使用することができ、電力を簡単に取り出すことができる。しかも、絶縁カバー10が設けられているので、フロントエンドプレート4,リアエンドプレート5とスタックケース3とは確実に絶縁される。また、エンドプレートを電力取り出し端子とするので、電力取り出し端子構造を簡素化することができ、端子構造が複雑化することで接触抵抗が増加することを防止することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、電力取り出し部を下側に設けたため、エンドプレート下部の絶縁物(絶縁カバー10)に貫通孔10aが形成されているが、上下を逆にして、エンドプレート上部の絶縁物に貫通孔を形成してリアエンドプレート5の凸部8aを露出させて上部を電力取り出し部としてもよい。
【0029】
さらにまた、スタックケース3の中に、間隙なく、分配マニホールド6、フロントエンドプレート4、燃料電池本体2、リアエンドプレート5を収納しており、小型化・高実装密度化が可能になる。
【0030】
また、スタックケース3の外壁部3b,3cに取付用ボス9が設けられているのでスタックケース3の内部の実装密度を高めることができ、またスタックケース3を小型にすることができる。この取付用ボス9にはラバーマウント部品9aが取り付けられており、車体の振動を吸収可能である。
【0031】
さらに、冷却水が等電位面であるフロントエンドプレート4側から給排水されるので、冷却水の配管に電流が流れ出にくい。
【0032】
(第2実施形態)
図3は、本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第2実施形態を示す図であり、第1実施形態の図2(B)に相当する図である。
【0033】
なお、以下に示す各実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0034】
本実施形態では、スタックケース3の上蓋部3aには、例えば切削等によって形成された凹部3jが設けられている。この凹部3jに、絶縁カバー11を介してリアエンドプレート5の凸部8aが嵌め込まれて、リアエンドプレート5がスタックケース3に対して固定される。
【0035】
本実施形態によれば、スタックケース3の上蓋部3aには貫通孔が形成されていないので、外部からの水、埃等の侵入を防止しつつ、燃料電池本体2をスタックケース3に対して、確実に固定することが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
図4は、本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第3実施形態を示す図であり、第1実施形態の図2(B)に相当する図である。
【0037】
本実施形態では、スタックケース3の上蓋部3aには、例えば型押し等によって絶縁カバー11の形状に合わせて上方に凸となり、下面が凹んだ凹部3kが設けられている。この凹部3k付近の板厚は、ほぼ一定である。この凹部3kに、絶縁カバー11を介してリアエンドプレート5の凸部8aが嵌め込まれて、リアエンドプレート5がスタックケース3に対して固定される。
【0038】
本実施形態によれば、凹部3k付近の板厚はほぼ一定であり周囲の厚さとほぼ同じであるので、スタックケース3の取付部剛性が向上する。そのため、例えば、上蓋部3aの板厚が薄い場合であっても、エンドプレートをしっかりと支えることが可能である。
【0039】
また、本実施形態においても、上蓋部3aに貫通孔が形成されていないので、第2実施形態と同様に、外部からの水、埃等の侵入を防止することができる。
【0040】
(第4実施形態)
図5は、本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第4実施形態を示す図であり、第1実施形態の図2(B)に相当する図である。
【0041】
本実施形態では、スタックケース3の上蓋部3aには、凸部3pが形成されている。また、リアエンドプレート5には、凹部8cが形成されている。この凹部8cに、絶縁カバー11を介して上蓋部3aの凸部3pが嵌め込まれて、リアエンドプレート5がスタックケース3に対して固定される。このように凹部8cは、リアエンドプレート5をスタックケース3に取り付けるための取付手段として機能する。
【0042】
本実施形態のように構成すれば、スタックケース3を外部に出っ張らせること無くエンドプレートとスタックケースとの固定を行うことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においても、上蓋部3aに貫通孔が形成されていないので、第2実施形態と同様に、外部からの水、埃等の侵入を防止することができる。
【0044】
(リアエンドプレートの下部のひとつの詳細な実施形態)
続いて、リアエンドプレートの下部形状について説明する。
【0045】
図6は、本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図であり、上記各実施形態に示したリアエンドプレートの下部形状を説明するものである。
【0046】
スタックケース3に開けられた貫通孔3iに絶縁カラー10を配置し、リアエンドプレート5の凸部8bを貫通させる。貫通孔3iを貫通した凸部8bには、さらに、絶縁ワッシャ12及び電力取り出し端子14が取り付けられ、ボルト13で固定されている。
【0047】
絶縁カラー10はリアエンドプレート5とスタックケース3との絶縁を行う絶縁手段である。絶縁ワッシャ12は電力取り出し端子14とスタックケース3との絶縁を行う絶縁手段である。電力取り出し端子14はボルト13を介してリアエンドプレート5に通電可能になっている。
【0048】
本実施形態によれば、絶縁カラー10及び絶縁ワッシャ12によって、リアエンドプレート5とスタックケース3との通電を確実に防止して絶縁を図ることができる。また、リアエンドプレート5が電力取り出し端子14と通電可能となっているので容易に電力を取り出すことができる。
【0049】
(リアエンドプレートの下部の他の詳細な実施形態)
図7は、本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図である。
【0050】
本実施形態では、絶縁カラー10の形状が上記実施形態と相違する。すなわち、本実施形態の絶縁カラー10の外縁部分10bはリアエンドプレート5に沿って折りあげられており、リアエンドプレート5の角部を覆っている。
【0051】
本実施形態によれば、絶縁カラー10の外縁部分10bがリアエンドプレート5に沿っておりあげられているので、万一、部品の取付バラツキ等による位置ずれが生じても、リアエンドプレート5とスタックケース3とを確実に絶縁することができる。また、仮にスタックケース3内に、水、ほこりが入った場合であっても、確実に絶縁を行うことが可能である。
【0052】
なお、ここでは、リアエンドプレート5に使用する絶縁カラー10の外縁部分10bを、リアエンドプレート5に沿っておりあげた形態で説明したが、フロントエンドプレート4や、リアエンドプレート5の上部に使用する絶縁カラー11において、外縁部分を折って起立させても、上記と同様に確実な絶縁を図ることができる。
【0053】
(フロントエンドプレートの収縮吸収構造のひとつの実施形態)
図8はフロントエンドプレートの収縮吸収構造のひとつの実施形態を説明する図であり、図2(A)に相当する図である。
【0054】
燃料電池本体2は、運転温度と雰囲気温度との温度差による熱膨張や電解質膜の含水による膨張等によって、発電セルの積層方向(図1の矢印A方向)に伸縮しやすい。そのため、エンドプレートの支持部分に、この伸縮を吸収する構造を設けるとよい。以下は、そのような伸縮吸収構造(伸縮対応部)の実施形態を示すものである。なお、本実施形態では、燃料供給をリアエンドプレート5側から行うため、フロントエンドプレート4の支持部分に伸縮吸収構造を設けることとしているが、燃料供給をフロントエンドプレート4側から行うのであれば、リアエンドプレート5の支持部分に伸縮吸収構造を設けるとよい。そのように燃料供給側でないエンドプレートに伸縮吸収構造を設けて燃料供給部分を移動させないことで、シールが簡単で確実になり、燃料漏れを生じるおそれがなく、安全性を高めることができるからである。
【0055】
本実施形態では、フロントエンドプレート4は、ワッシャ18及び絶縁カバー16を介して、凸部7(7a,7b)をスタックケース3に形成されている貫通孔3h,3iに挿入されている。この絶縁カバー16は、弾性素材(例えば、ゴム等)を使用するとよい。そのようにすれば、発電セルの積層方向(図1の矢印A方向)に伸縮した場合に、その伸縮を吸収することができ、伸縮対応部として機能させることができるからである。
【0056】
本実施形態によれば、絶縁カバー16がゴム等の弾性素材であるので、簡易な構造で燃料電池本体2の伸縮を吸収可能な伸縮対応部として機能させることができ、燃料電池本体2の伸縮によるマウント部への応力集中が回避され、耐久性に優れる。
【0057】
また、その伸縮吸収構造(伸縮対応部)を燃料供給側でないエンドプレートに設けるので、燃料供給部分が移動しない。したがって、燃料ガスのシールが簡単で確実になり、燃料漏れを生じるおそれがない。
【0058】
(フロントエンドプレートの収縮吸収構造の他の実施形態)
図9はフロントエンドプレートの収縮吸収構造の他の実施形態を説明する図であり、図1のIX−IX断面を示す図である。
本実施形態では、フロントエンドプレート4の下方の両側部分にローラ20が配置されている。このローラ20は、燃料電池本体2の伸縮にあわせてフロントエンドプレート4が移動するときに、抵抗を軽減して滑らかな移動を可能にする抵抗軽減手段である。ローラ20の軸はフロントエンドプレート4のボルト締め用フランジ部4aに一体に突出成形されている。または、軸を別体としてフランジ部4aにネジ固定してもよい。なお、ローラ20を絶縁素材にすることでフロントエンドプレート4とスタックケース3との絶縁が図られる。
【0059】
スタックケース3の孔部3h,3iは、図9に対して垂直方向(発電セルの積層方向(図1の矢印A方向)と同じ)に長い長孔であり、図9の垂直方向に前進後退移動自在になっている。
【0060】
本実施形態によれば、発電セルの積層方向に長い長孔3h,3iがスタックケース3に形成されているので、フロントエンドプレート4が発電セルの積層方向に移動自在となり、燃料電池本体2の伸縮を吸収することができる。
【0061】
また、フロントエンドプレート4の両側部分にローラ20が配置されているので、フロントエンドプレート4は燃料電池本体2の伸縮にあわせてスムーズに移動可能である。
【0062】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、すべて下部から電力を取り出すタイプを例示して説明したが上下を逆にして上部から電力を取り出すものにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、凸部7,8は、フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5に一体的に形成されている場合を例示して説明したが、例えば、凸部7,8を別体の小片で形成し、フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5に固着させたものであってもよい。
【0065】
さらに、上記説明では各構成要素ごとに説明しており、その組み合わせは任意に選択してよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料電池システムの第1実施形態を示す図である。
【図2】エンドプレートとスタックケースの固定構造を説明する図である。
【図3】本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第2実施形態を示す図である。
【図4】本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第3実施形態を示す図である。
【図5】本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第4実施形態を示す図である。
【図6】本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図である。
【図7】本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図である。
【図8】フロントエンドプレートの収縮吸収構造のひとつの実施形態を説明する図である。
【図9】フロントエンドプレートの収縮吸収構造の他の実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
1 燃料電池システム
2(2a,2b) 燃料電池本体
3 スタックケース(筐体)
3a 上蓋部
3h,3i 貫通孔
3j,3k 凹部
3p 凸部
4 フロントエンドプレート
5(5a,5b) リアエンドプレート
6 分配マニホールド
7(7a,7b) 凸部(取付手段)
8(8a,8b) 凸部(取付手段)
8c 凹部(取付手段)
9 取付用ボス(車体固定手段)
9a ラバーマウント部品(振動吸収部)
10,11 絶縁カバー(絶縁手段)
10b 外縁部分
12 絶縁ワッシャ(絶縁手段)
13 ボルト
14 電力取り出し端子
16 絶縁カバー(伸縮対応部;絶縁手段)
20 ローラ(抵抗軽減手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、自動車等の移動体に好適に使用することができる燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料が有するエネルギを直接電気エネルギに変換する装置であり、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち、一方の電極(陰極)に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに、他方の電極(陽極)に酸素を含有する酸化ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出すものである。
【0003】
陰極反応:H2 → 2H+ + 2e−
陽極反応:2H+ + 2e− +(1/2)O2 → H2O
陰極に供給する燃料ガスは、水素貯蔵装置から直接供給する方法、水素を含有する燃料を改質して改質した水素含有ガスを供給する方法等が知られている。水素を含有する燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリン等が考えられる。陽極に供給する酸化剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
【0004】
このような燃料電池システムにおいては、従来はエンドプレートから延設されたブラケットで車体にラバーマウントしていた(例えば、特開2001−143742号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、燃料電池本体は、燃料電池本体に含有されている水の量や温度変化により積層方向に伸縮するので、従来のエンドプレートから延設されたブラケットで車体にラバーマウントする方法では、燃料電池本体の伸縮によってラバー部が剪断方向の応力を受けるため、耐久性が劣る可能性があった。
【0006】
本発明の課題は、特に車両への搭載性を考慮し、耐久性に優れた燃料電池システムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
本発明は、積層された発電セルに平行に配置され、その発電セルを挟持する一対のエンドプレート(4,5)を有する燃料電池本体(2)と、前記燃料電池本体を収納する筐体(3)と、前記エンドプレートに形成され、そのエンドプレートを前記筐体に取り付ける取付手段(7,8)とを備える。
【0009】
【作用・効果】
本発明によれば、発電セルを一対のエンドプレートで挟持した燃料電池本体を筐体に収納し、エンドプレートを前記筐体に取り付けるので、小型化・高実装密度化が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明による燃料電池システムの第1実施形態を示す図であり、図1(A)は斜視図である。また、図1(B)は燃料電池システムにおける電子の流れを説明する平面模式図であり、図中の矢印の通り電子が流れる。
【0011】
1は燃料電池システムで有り、燃料電池システム1は燃料電池本体2(2a,2b)、スタックケース3、フロントエンドプレート4、リアエンドプレート5(5a,5b)、分配マニホールド6等を備える。
【0012】
燃料電池本体2(2a,2b)には、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極及びカソード電極で挟んで構成された複数枚の発電セル(単位セル)が、セパレータを介して、前後方向(図中矢印A方向)に積層されており、その前後両端にフロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5(5a,5b)が配置されている。また、燃料電池本体2a,2bは、水素極エキゾーストマニホールド2cを挟んで左右方向(図中矢印B方向)に並べられている。さらに、燃料電池本体2a,2bの側面には水素極インテークマニホールド2dが設けられている。さらにまた、燃料電池本体2a,2bの上部には空気極インテークマニホールド2e、下部には空気極エキゾーストマニホール(不図示)が、配置されている。また、フロントエンドプレート4の前方には分配マニホールド6が配置されている。このような状態で燃料電池本体2等はスタックケース3に収納されている。
【0013】
なお、図1(A)においては、スタックケース3内の収納状態の理解を容易にするために、スタックケース3の上蓋部3aを取り外した状態で図示してある。
【0014】
スタックケース3は、燃料電池本体2等を収納する筐体であり、上蓋部、壁部、下底部等を有する。スタックケース3の壁部3b,3cには、車体に燃料電池システム1を固定するための取付用ボス(車体固定手段)9が設けられている。この取付用ボス9にはラバーマウント部品9aが取り付けられている。このラバーマウント部品9aは車体の振動を吸収可能な振動吸収部であり、スタックケース3に伝わる車体の振動を軽減する。
【0015】
スタックケース3のフロント壁3bには、空気の吸気口3d及び排気口3e、冷却水の給水口3f及び排水口3gが形成されており、分配マニホールド6に接続されている。
【0016】
スタックケース3のリア壁3cには、水素の吸気口及び排気口(不図示)が形成されており、それぞれ、水素極インテークマニホールド2d及び水素極エキゾーストマニホールド2cに接続されている。
【0017】
スタックケース3の上蓋部3aには貫通孔3hが形成されており、スタックケース3の下底部には貫通孔3iが形成されている(図2参照)。
【0018】
フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5(5a,5b)は、燃料電池本体2を前後方向(矢印A方向)で挟持する板状部材であり、その上下(図中矢印C方向)に、それぞれ凸部7(7a,7b;図2(A)参照)、凸部8(8a,8b;図2(B)参照)が一体的に形成されている。この凸部7、8がスタックケース3に形成されている貫通孔3h,3iに挿入されることで(図2参照)、スタックケース3に対して固定される。このように凸部7、8は、フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5をスタックケース3に取り付けるための取付手段として機能する。
【0019】
フロントエンドプレート(第2のエンドプレート)4は、一枚の板状体であって、燃料電池本体2a,2bに当接し、等電位面になっている。また、リアエンドプレート5は、二体構造である。本発明では、後述の通り、このリアエンドプレート5から電力を取り出す構造となっており、一方のリアエンドプレート(第1のエンドプレート)5aが負極、他方のリアエンドプレート(第3のエンドプレート)5bが正極になる(図1(B))。
【0020】
分配マニホールド6は、上述の通り、フロントエンドプレート4の前方に配置されており、スタックケース3のフロント壁3bに形成されている空気の吸気口3d及び排気口3e、冷却水の給水口3f及び排水口3gを接続し、外部から接続された配管を燃料電池システム1内で各通路に分配する。
【0021】
このような構造とすることで、冷却水が等電位面であるフロントエンドプレート4側から給排水されるので、冷却水の配管に電流が流れ出にくくなる。
【0022】
図2はエンドプレートとスタックケースの固定構造を説明する図であり、図2(A)は図1(A)のIIA−IIA断面図、図2(B)は図1(A)のIIB−IIB断面図を示す。
【0023】
図2(A)に示すように、フロントエンドプレート4の凸部7(7a,7b)は、絶縁カバー11を介して、スタックケース3の貫通孔3h,3iに嵌合されてスタックケース3に固定されている。このように絶縁カバー11が設けられているので、フロントエンドプレート4とスタックケース3とは通電不能に絶縁される。
【0024】
また、図2(B)に示すように、リアエンドプレート5の凸部8(8a,8b)は、絶縁カバー10,11を介して、スタックケース3の貫通孔3h,3iに嵌合されてスタックケース3に固定されている。なお、絶縁カバー10には、貫通孔10aが形成されており、リアエンドプレート5の凸部8bがスタックケース3の外部に露出している。このような構造になっているので、リアエンドプレート5は、スタックケース3に対して絶縁が図られるとともに、この凸部8bを電力取り出し部として使用することができ、電力を容易に取り出すことが可能である。
【0025】
本実施形態によれば、燃料電池本体2をスタックケース3に対してエンドプレート4,5に形成された凸部7,8で固定するので、取付構造が簡素であり、部品点数も少なくてすむ。このため、スタックケース3内における取付構造が占めるスペースが少なくてすみ、スタックケース3の内部の高密度化を図ることができ、充填効率を高くすることができ、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
【0026】
また、スタックケース3の上蓋部3aに貫通孔3hが形成されているので、スタックケース3を組み立てるときに、その貫通孔3hを通してエンドプレート4,5を確認しやすい。そのため、スタックケース3の組み立てを容易に行うことができる。
【0027】
さらに、リアエンドプレート5の一部分(凸部8b)がスタックケース3の外部に露出しているので、電力取出部として使用することができ、電力を簡単に取り出すことができる。しかも、絶縁カバー10が設けられているので、フロントエンドプレート4,リアエンドプレート5とスタックケース3とは確実に絶縁される。また、エンドプレートを電力取り出し端子とするので、電力取り出し端子構造を簡素化することができ、端子構造が複雑化することで接触抵抗が増加することを防止することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、電力取り出し部を下側に設けたため、エンドプレート下部の絶縁物(絶縁カバー10)に貫通孔10aが形成されているが、上下を逆にして、エンドプレート上部の絶縁物に貫通孔を形成してリアエンドプレート5の凸部8aを露出させて上部を電力取り出し部としてもよい。
【0029】
さらにまた、スタックケース3の中に、間隙なく、分配マニホールド6、フロントエンドプレート4、燃料電池本体2、リアエンドプレート5を収納しており、小型化・高実装密度化が可能になる。
【0030】
また、スタックケース3の外壁部3b,3cに取付用ボス9が設けられているのでスタックケース3の内部の実装密度を高めることができ、またスタックケース3を小型にすることができる。この取付用ボス9にはラバーマウント部品9aが取り付けられており、車体の振動を吸収可能である。
【0031】
さらに、冷却水が等電位面であるフロントエンドプレート4側から給排水されるので、冷却水の配管に電流が流れ出にくい。
【0032】
(第2実施形態)
図3は、本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第2実施形態を示す図であり、第1実施形態の図2(B)に相当する図である。
【0033】
なお、以下に示す各実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0034】
本実施形態では、スタックケース3の上蓋部3aには、例えば切削等によって形成された凹部3jが設けられている。この凹部3jに、絶縁カバー11を介してリアエンドプレート5の凸部8aが嵌め込まれて、リアエンドプレート5がスタックケース3に対して固定される。
【0035】
本実施形態によれば、スタックケース3の上蓋部3aには貫通孔が形成されていないので、外部からの水、埃等の侵入を防止しつつ、燃料電池本体2をスタックケース3に対して、確実に固定することが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
図4は、本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第3実施形態を示す図であり、第1実施形態の図2(B)に相当する図である。
【0037】
本実施形態では、スタックケース3の上蓋部3aには、例えば型押し等によって絶縁カバー11の形状に合わせて上方に凸となり、下面が凹んだ凹部3kが設けられている。この凹部3k付近の板厚は、ほぼ一定である。この凹部3kに、絶縁カバー11を介してリアエンドプレート5の凸部8aが嵌め込まれて、リアエンドプレート5がスタックケース3に対して固定される。
【0038】
本実施形態によれば、凹部3k付近の板厚はほぼ一定であり周囲の厚さとほぼ同じであるので、スタックケース3の取付部剛性が向上する。そのため、例えば、上蓋部3aの板厚が薄い場合であっても、エンドプレートをしっかりと支えることが可能である。
【0039】
また、本実施形態においても、上蓋部3aに貫通孔が形成されていないので、第2実施形態と同様に、外部からの水、埃等の侵入を防止することができる。
【0040】
(第4実施形態)
図5は、本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第4実施形態を示す図であり、第1実施形態の図2(B)に相当する図である。
【0041】
本実施形態では、スタックケース3の上蓋部3aには、凸部3pが形成されている。また、リアエンドプレート5には、凹部8cが形成されている。この凹部8cに、絶縁カバー11を介して上蓋部3aの凸部3pが嵌め込まれて、リアエンドプレート5がスタックケース3に対して固定される。このように凹部8cは、リアエンドプレート5をスタックケース3に取り付けるための取付手段として機能する。
【0042】
本実施形態のように構成すれば、スタックケース3を外部に出っ張らせること無くエンドプレートとスタックケースとの固定を行うことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においても、上蓋部3aに貫通孔が形成されていないので、第2実施形態と同様に、外部からの水、埃等の侵入を防止することができる。
【0044】
(リアエンドプレートの下部のひとつの詳細な実施形態)
続いて、リアエンドプレートの下部形状について説明する。
【0045】
図6は、本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図であり、上記各実施形態に示したリアエンドプレートの下部形状を説明するものである。
【0046】
スタックケース3に開けられた貫通孔3iに絶縁カラー10を配置し、リアエンドプレート5の凸部8bを貫通させる。貫通孔3iを貫通した凸部8bには、さらに、絶縁ワッシャ12及び電力取り出し端子14が取り付けられ、ボルト13で固定されている。
【0047】
絶縁カラー10はリアエンドプレート5とスタックケース3との絶縁を行う絶縁手段である。絶縁ワッシャ12は電力取り出し端子14とスタックケース3との絶縁を行う絶縁手段である。電力取り出し端子14はボルト13を介してリアエンドプレート5に通電可能になっている。
【0048】
本実施形態によれば、絶縁カラー10及び絶縁ワッシャ12によって、リアエンドプレート5とスタックケース3との通電を確実に防止して絶縁を図ることができる。また、リアエンドプレート5が電力取り出し端子14と通電可能となっているので容易に電力を取り出すことができる。
【0049】
(リアエンドプレートの下部の他の詳細な実施形態)
図7は、本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図である。
【0050】
本実施形態では、絶縁カラー10の形状が上記実施形態と相違する。すなわち、本実施形態の絶縁カラー10の外縁部分10bはリアエンドプレート5に沿って折りあげられており、リアエンドプレート5の角部を覆っている。
【0051】
本実施形態によれば、絶縁カラー10の外縁部分10bがリアエンドプレート5に沿っておりあげられているので、万一、部品の取付バラツキ等による位置ずれが生じても、リアエンドプレート5とスタックケース3とを確実に絶縁することができる。また、仮にスタックケース3内に、水、ほこりが入った場合であっても、確実に絶縁を行うことが可能である。
【0052】
なお、ここでは、リアエンドプレート5に使用する絶縁カラー10の外縁部分10bを、リアエンドプレート5に沿っておりあげた形態で説明したが、フロントエンドプレート4や、リアエンドプレート5の上部に使用する絶縁カラー11において、外縁部分を折って起立させても、上記と同様に確実な絶縁を図ることができる。
【0053】
(フロントエンドプレートの収縮吸収構造のひとつの実施形態)
図8はフロントエンドプレートの収縮吸収構造のひとつの実施形態を説明する図であり、図2(A)に相当する図である。
【0054】
燃料電池本体2は、運転温度と雰囲気温度との温度差による熱膨張や電解質膜の含水による膨張等によって、発電セルの積層方向(図1の矢印A方向)に伸縮しやすい。そのため、エンドプレートの支持部分に、この伸縮を吸収する構造を設けるとよい。以下は、そのような伸縮吸収構造(伸縮対応部)の実施形態を示すものである。なお、本実施形態では、燃料供給をリアエンドプレート5側から行うため、フロントエンドプレート4の支持部分に伸縮吸収構造を設けることとしているが、燃料供給をフロントエンドプレート4側から行うのであれば、リアエンドプレート5の支持部分に伸縮吸収構造を設けるとよい。そのように燃料供給側でないエンドプレートに伸縮吸収構造を設けて燃料供給部分を移動させないことで、シールが簡単で確実になり、燃料漏れを生じるおそれがなく、安全性を高めることができるからである。
【0055】
本実施形態では、フロントエンドプレート4は、ワッシャ18及び絶縁カバー16を介して、凸部7(7a,7b)をスタックケース3に形成されている貫通孔3h,3iに挿入されている。この絶縁カバー16は、弾性素材(例えば、ゴム等)を使用するとよい。そのようにすれば、発電セルの積層方向(図1の矢印A方向)に伸縮した場合に、その伸縮を吸収することができ、伸縮対応部として機能させることができるからである。
【0056】
本実施形態によれば、絶縁カバー16がゴム等の弾性素材であるので、簡易な構造で燃料電池本体2の伸縮を吸収可能な伸縮対応部として機能させることができ、燃料電池本体2の伸縮によるマウント部への応力集中が回避され、耐久性に優れる。
【0057】
また、その伸縮吸収構造(伸縮対応部)を燃料供給側でないエンドプレートに設けるので、燃料供給部分が移動しない。したがって、燃料ガスのシールが簡単で確実になり、燃料漏れを生じるおそれがない。
【0058】
(フロントエンドプレートの収縮吸収構造の他の実施形態)
図9はフロントエンドプレートの収縮吸収構造の他の実施形態を説明する図であり、図1のIX−IX断面を示す図である。
本実施形態では、フロントエンドプレート4の下方の両側部分にローラ20が配置されている。このローラ20は、燃料電池本体2の伸縮にあわせてフロントエンドプレート4が移動するときに、抵抗を軽減して滑らかな移動を可能にする抵抗軽減手段である。ローラ20の軸はフロントエンドプレート4のボルト締め用フランジ部4aに一体に突出成形されている。または、軸を別体としてフランジ部4aにネジ固定してもよい。なお、ローラ20を絶縁素材にすることでフロントエンドプレート4とスタックケース3との絶縁が図られる。
【0059】
スタックケース3の孔部3h,3iは、図9に対して垂直方向(発電セルの積層方向(図1の矢印A方向)と同じ)に長い長孔であり、図9の垂直方向に前進後退移動自在になっている。
【0060】
本実施形態によれば、発電セルの積層方向に長い長孔3h,3iがスタックケース3に形成されているので、フロントエンドプレート4が発電セルの積層方向に移動自在となり、燃料電池本体2の伸縮を吸収することができる。
【0061】
また、フロントエンドプレート4の両側部分にローラ20が配置されているので、フロントエンドプレート4は燃料電池本体2の伸縮にあわせてスムーズに移動可能である。
【0062】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、すべて下部から電力を取り出すタイプを例示して説明したが上下を逆にして上部から電力を取り出すものにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、凸部7,8は、フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5に一体的に形成されている場合を例示して説明したが、例えば、凸部7,8を別体の小片で形成し、フロントエンドプレート4及びリアエンドプレート5に固着させたものであってもよい。
【0065】
さらに、上記説明では各構成要素ごとに説明しており、その組み合わせは任意に選択してよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料電池システムの第1実施形態を示す図である。
【図2】エンドプレートとスタックケースの固定構造を説明する図である。
【図3】本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第2実施形態を示す図である。
【図4】本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第3実施形態を示す図である。
【図5】本発明による燃料電池システムのエンドプレートとスタックケースとの固定構造の第4実施形態を示す図である。
【図6】本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図である。
【図7】本発明による燃料電池システムのリアエンドプレートの下部の詳細な実施形態を説明する図である。
【図8】フロントエンドプレートの収縮吸収構造のひとつの実施形態を説明する図である。
【図9】フロントエンドプレートの収縮吸収構造の他の実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
1 燃料電池システム
2(2a,2b) 燃料電池本体
3 スタックケース(筐体)
3a 上蓋部
3h,3i 貫通孔
3j,3k 凹部
3p 凸部
4 フロントエンドプレート
5(5a,5b) リアエンドプレート
6 分配マニホールド
7(7a,7b) 凸部(取付手段)
8(8a,8b) 凸部(取付手段)
8c 凹部(取付手段)
9 取付用ボス(車体固定手段)
9a ラバーマウント部品(振動吸収部)
10,11 絶縁カバー(絶縁手段)
10b 外縁部分
12 絶縁ワッシャ(絶縁手段)
13 ボルト
14 電力取り出し端子
16 絶縁カバー(伸縮対応部;絶縁手段)
20 ローラ(抵抗軽減手段)
Claims (17)
- 積層された発電セルに平行に配置され、その発電セルを挟持する一対のエンドプレートを有する燃料電池本体と、
前記燃料電池本体を収納する筐体と、
前記エンドプレートに形成され、そのエンドプレートを前記筐体に取り付ける取付手段と
を備える燃料電池システム。 - 前記取付手段は前記エンドプレートに設けられた凸状部であって、
前記筐体は前記凸状部を挿入可能な貫通孔を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記取付手段は前記エンドプレートに設けられた凸状部であって、
前記筐体は前記凸状部を挿入可能な凹状部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記筐体の前記凹状部の板厚は、その凹状部の周囲部分とほぼ同じ厚さであることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記取付手段は前記エンドプレートに設けられた凹状部であって、
前記筐体は前記凹状部に挿入可能な凸状部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記エンドプレートと前記筐体との間に設けられ、前記エンドプレートと前記筐体との導通を不能にして絶縁する絶縁手段を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記絶縁手段は、前記エンドプレートの発電セルとの平行面に沿って延設された外縁部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。 - 前記エンドプレートは、発電セルの積層方向への伸縮に合わせて移動可能にする伸縮対応部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記伸縮対応部は、前記エンドプレートと前記筐体との間に設けられた伸縮自在な弾性材料である
ことを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。 - 前記伸縮対応部は、前記エンドプレートと前記筐体との導通を不能にして絶縁する絶縁性を有する
ことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。 - 前記伸縮対応部は、燃料供給側でないエンドプレートに設けられている
ことを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記エンドプレートは、発電セル積層方向に前進後退移動するときの抵抗を軽減する抵抗軽減手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記エンドプレートは、前記筐体を貫通してその筐体の外部に露出し、前記燃料電池本体で発電された電力を取り出し可能な電力取出部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池本体は、発電セルを挟持する第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートを有する第1の燃料電池部と、発電セルを前記第2のエンドプレート及び第3のエンドプレートで挟持する第2の燃料電池部とを備え、
前記第1及び第3のエンドプレートは、前記筐体を貫通してその筐体の外部に露出し、前記第1及び第2の燃料電池部で発電された電力を取り出し可能な電力取出部を備え、
前記第2のエンドプレートは、前記第1及び第2の燃料電池部を冷却する冷却水を流す水配管を接続可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記筐体に形成され、車体に固定可能な車体固定手段を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記車体固定手段は、前記筐体の外壁に設けられている
ことを特徴とする請求項15に記載の燃料電池システム。 - 前記車体固定手段は、車体の振動を吸収可能な振動吸収部を有する
ことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の燃料電池システム。
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