JP2004046190A - 平板状粒子ハロゲン化銀乳剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】写真要素に適した、高いアスペクト比を有する高臭化物平板状粒子ハロゲン化銀乳剤の製造方法の提供。
【解決手段】平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を創成する粒子核生成工程および該平板状粒子核を平板状粒子に成長させる粒子成長工程を有しており、該粒子成長工程において、銀イオン源とハロゲン化物イオン源を添加してハロゲン化銀の沈殿反応を行なうに際し、添加する銀の0.4モル%以下の濃度でチオシアネートイオンを添加する。
【選択図】 なし
【解決手段】平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を創成する粒子核生成工程および該平板状粒子核を平板状粒子に成長させる粒子成長工程を有しており、該粒子成長工程において、銀イオン源とハロゲン化物イオン源を添加してハロゲン化銀の沈殿反応を行なうに際し、添加する銀の0.4モル%以下の濃度でチオシアネートイオンを添加する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平板状粒子ハロゲン化銀乳剤の改良された調製方法に関し、そして1またはそれ以上のこのような改良された乳剤を含む写真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
高臭化物平板状粒子乳剤の写真に関する利点は、ウィルガス等(Wilgus et al)の米国特許第4,434,226号明細書、コフロン等(Kofron et al)の米国特許第4,439,520号明細書およびソルベルグ等(Solberg et al)の米国特許第4,433,048号明細書によって初めて証明され、それらの特許明細書において、各種の形態のうち1またはそれ以上で明らかにされた化学および分光増感された乳剤がカラー写真および白黒写真(間接的な放射線写真を含めて)において有用であることが分かる。特定の条件下で平板状粒子核を作り、それから銀およびハロゲン化物イオンの同時添加によりこれらの核を成長させることによって、高臭化物平板状粒子乳剤を調製する。例えばコフロン等は、8より大きい平均アスペクト比を有する平板状粒子が乳剤粒子の総粒子投影面積の50%より多くを占める、化学および分光増感された平板状粒子乳剤が写真に関する利点を有することを証明し、開示した。ソルベルグ等は、横にずれた領域よりも中央領域でヨウ化物の割合がより少ない高臭化物平板状ヨウ臭化銀粒子乳剤の利点を証明した。
【0003】
平板状粒子乳剤の利点は、特に、例えば立方体または正八面体のような均一塊の三次元粒子に比較して体積比に対する増加された表面積に注目して、更に多くのその後の文献で証明されている。体積比に対するこのより大きな表面積の結果として、平板状乳剤は、本来の感度に対するより高いスペクトル感度比、与えられた分光感度での改良された粒状度、より高いカバリングパワーおよび減少された濁度を含めて、数多くの写真に関する利点を示す。平板状粒子の直径(通常、等価円の直径)に対する厚みの比であるアスペクト比は、平板状粒子乳剤が提供する潜在的な利点の大きさと直接相関する長所の一つの数字である。従って、二つの平板状粒子乳剤が同じ平均粒子径を有するが、異なったアスペクト比を有している場合、それらは、最適に増感された場合、おおよそ等しい分光感度を有する可能性がある。しかし、より高いアスペクト比を有するもの(即ち、同じ平均粒子径を有する乳剤で、より薄い粒子を含む乳剤)は、例えばカラーネガフィルムにおいてより低い粒状度の画像を形成する可能性がある。
【0004】
米国特許第4,914,014号明細書は、薄い平板状乳剤の沈殿に有用な、高pBrで核形成を行なう際の平板状粒子乳剤の作製方法を記載している。米国特許第5,250,403号明細書は、より厚い平板状粒子乳剤に対して非常に薄い平板状乳剤の改良された鏡面性(減少された濁度)と薄い平板状乳剤におけるモルフォロジー純度の重要性とを明らかにしている。
【0005】
写真要素の調製におけるチオシアネートイオンの使用は、当該技術分野では、主として写真感度の増強を目的として既に提案されている。例えば、米国特許第2,222,264号明細書は、AgBrI乳剤の沈殿におけるチオシアネートの使用を開示している。その発明者は、「乳剤中、ハロゲン化銀の2〜15モル%に相当するチオシアネート量」を使用することができると指摘している。彼等は、更に「特にチオシアネートを洗浄前に添加する場合、より多くのチオシアネート量を使用することができる」と述べ、0.05〜2モル%含有乳剤(洗浄後)を特許請求している。これらの発明者は、粒子モルフォロジーについて言及しておらず、特に、平板状粒子乳剤の沈殿に適したレベルを教示していない。
【0006】
米国特許第3,320,069号明細書は、「ハロゲン化銀1モル当り5〜50グラム」レベルでの水溶性チオシアネート化合物の使用を開示している。その発明者は個々の水溶性チオシアネート化合物を明記していないけれども、具体例の幾つかで用いているナトリウム塩に関する場合、この5〜50グラムレベルはハロゲン化銀に基づいて6.16〜61.6モル%に相当する。その発明者は乳剤の形態について記載しておらず、特に、平板状粒子乳剤の沈殿におけるチオシアネートの使用に関して教示していない。米国特許第4,853,323号明細書は、乳剤沈殿中、銀に対して0.5〜60モル%(好ましくは2〜40モル%)濃度でのチオシアネートイオンの使用を開示している。この特許および密接に関連する米国特許第4,921,784号明細書は、また、結果として得られた乳剤が2052cm−1にチオシアネートの著しいIR吸収強度を示すという分光特性を明記している。5またはそれ以上のアスペクト比を有する平板状粒子乳剤をその発明で用いることができると述べられているが、チオシアネート添加がこのような乳剤の調製に対して実際に有する効果についての教示はない。
【0007】
米国特許第4,433,048号明細書は平板状乳剤におけるチオシアネートの使用可能性について述べているが、乳剤調製工程中の添加するべき特定の時間について教示しておらず、好ましい量を指摘しておらず、そして期待される効果も記載していない。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第2,222,264号明細書
【特許文献2】
米国特許第3,320,069号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,433,048号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,434,226号明細書
【特許文献5】
米国特許第4,439,520号明細書
【特許文献6】
米国特許第4,853,323号明細書
【特許文献7】
米国特許第4,914,014号明細書
【特許文献8】
米国特許第4,921,784号明細書
【特許文献9】
米国特許第5,250,403号明細書
【特許文献10】
米国特許第5,576,168号明細書
【発明が解決しようとする課題】
アスペクト比は平板状乳剤の潜在的利点に直接関係するので、平板状粒子調製における長所のこの値を増加させる方法を求める。また、より高い写真感度に対する継続的要求故に、より大きな粒子乳剤を必要とする。従って、アスペクト比を維持または増大する平板状粒子乳剤を製造する沈殿方法は特に価値があろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
一つの態様では、本発明は、銀に基づいて50モル%より多い臭素化合物を含有し、総粒子投影面積の50%より多くを占め、平均アスペクト比が少なくとも5である、{111}主面および少なくとも2のアスペクト比を有する平板状粒子を含有するハロゲン化銀粒子と分散媒体とを含んでなる高臭化物平板状粒子乳剤を調製する、下記(i)および(ii)を含んでなる方法を指向している。
(i)粒子核生成工程において、平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を分散媒体中に創成すること、そして
(ii)粒子成長工程において、引き続いて、反応容器に銀イオン源とハロゲン化物イオン源とを添加し、そして前記平板状粒子核の上にハロゲン化銀を沈殿させることによって、ハロゲン化銀反応容器中で前記平板状粒子核を平板状粒子に成長させること、その際に、反応容器に添加する全銀量の少なくとも最後の10モル%の添加以前にハロゲン化銀反応容器にチオシアネートイオンを、反応容器に添加する全銀量に基づいて最大0.4モル%の濃度で導入すること。
【0010】
別の態様では、本発明は、支持体、および本発明方法に従って調製された乳剤を含んでなる該支持体上に塗布されたハロゲン化銀乳剤層を有する写真要素を指向している。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、平板状粒子乳剤の沈殿におけるチオシアネートの従来提案されたレベルでの使用が一般的にアスペクト比の減少とモルフォロジー純度の低下という結果になり、粒子沈殿中、従来の教示よりもより少ないレベルのチオシアネートの使用がモルフォロジー純度の低下なしにアスペクト比を増加させる結果になることを見出した。
【0012】
本発明は平板状粒子写真乳剤の調製の改良された方法を指向する。該乳剤は、カメラ感度のカラーまたは白黒写真フィルム、ならびにフォトサーモグラフィ要素も含めて、放射線写真フィルム要素への導入を特に意図している。
【0013】
本明細書で使用する限り、用語「平板状」粒子とは少なくとも2のアスペクト比を有するハロゲン化銀粒子をいう。ここで、アスペクト比を、粒子の主面の等価円直径(ECD)を粒子厚みで割った値と定義する。本発明に従って調製した平板状粒子乳剤は、総粒子投影面積の少なくとも50%を占める粒子集団が少なくとも5、より好ましくは8の平均アスペクト比を有する平板状粒子から成り立っている。本発明に従って調製した平板状粒子乳剤は、さらに好ましくは、25より大きな(より好ましくは100より大きな)平均平板度(T)を有する平板状粒子を含んでなる。ここで、用語「平板度」は、T=ECD/t2(ここで、ECDはμmで表わした平板状粒子の平均等価円直径であり、tはμmで表わした平板状粒子の平均厚さである)として当該技術分野で認知されている用法で用いている。平板度は平板粒子厚さの減少によって著しく増加する。好ましくは、本発明に従って調製した平板状粒子乳剤は、緑または赤感受性乳剤用には0.3μmより薄い平均厚さを、青感受性乳剤用には0.5μmより薄い平均厚さを有する。平均厚さが0.10μmより薄い平板状粒子を有する平板状粒子乳剤を、本明細書では「超薄」平板状粒子乳剤という。
【0014】
一般に平板状粒子に関して、高平板性の利点を最大化するために、一定の基準を満足する平板状粒子が乳剤の総粒子投影面積の中の最も高い都合よく達成可能な割合を占めることが通常好ましく、少なくとも50%総粒子投影面積(%TGPA)が一般的である。例えば、好ましい乳剤では、上記一定の基準を満足する平板状粒子は総粒子投影面積の中の少なくとも70%を占める。最も高い性能の平板状粒子乳剤では、上記基準を満足する平板状粒子は総粒子投影面積の中の少なくとも90%を占める。
【0015】
平板状粒子乳剤を、本発明に従って、(i)平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を分散媒体中に創成する粒子核生成工程および(ii)引き続いて、反応容器に銀イオン源とハロゲン化物イオン源とを添加し、平板状粒子核の上にハロゲン化銀を沈殿させることによって、ハロゲン化銀反応容器中で平板状粒子核を平板状粒子に成長させる粒子成長工程の組み合わせによって調製する。
【0016】
粒子核生成工程(i)に関して、よく知られた一般的なシングルまたはダブルジェット沈殿技法を用いることができる。好ましい態様では、例えば、水および親水性コロイドペプタイザーを含有する分散媒体に銀塩水溶液および臭化物塩水溶液を同時に加える、粒子核の平衡ダブルジェット沈殿が特に考えられる。銀塩を加える前に、好ましくは、臭化物塩の少量を反応容器に添加してハロゲン化物イオンを化学量論的に僅かに過剰とする。塩化物およびヨウ化物塩の一方もしくは両方を、臭化物ジェットによりまたは別のジェットにより別の水溶液として加えることができる。ハロゲン化物イオンは、例えばナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩の別々のもしくは混合された溶液として、またはリップマンAgCl、AgBrまたはAgIのような細かい粒子の懸濁液として加えることができる。塩化物および/またはヨウ化物の濃度を銀基準で20モル%より低くすることが好ましく、最も好ましくは、これら他のハロゲン化物は、銀基準で10モル%(最適には6モル%よりも低い)よりも低い濃度で存在する。硝酸銀は最も普通に利用される銀塩であり、最も普通に用いるハロゲン化物塩はハロゲン化アンモニウムおよびアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウム)ハロゲン化物である。
【0017】
銀およびハロゲン化物塩の水溶液を別々のジェットで加える代わりに、分散媒体にリップマン乳剤を加えることによって均一の核生成を達成することができる。リップマン乳剤粒子の平均ECDは一般的に0.05μmより小さいので、最初に加えたリップマン粒子の少量部分は沈殿部位として働き、残りのリップマン粒子の全ては、粒子核表面に沈殿する銀イオンおよびハロゲン化物イオンに解離する。少量の前もって作られたハロゲン化銀粒子を乳剤沈殿用の供給原料として使用する技法が、ミグノット(Mignot)の米国特許第4,334,012号明細書;サイトウ(Saito)の同第4,301,241号明細書;およびソルベルグ等(Solberg et al)の同第4,433,048号明細書に説明されている。
【0018】
本発明は粒子核に平行双晶面を導入するための二つの最も一般的な技法のいずれにも適合できる。好ましくそして最も普通のこれらの技法は、粒子核の集団を形成し、その集団を最終的に平板状粒子に成長させ、同時に同じ沈殿工程で平行双晶面を導入する。言い換えれば、粒子核生成は双晶形成を促す条件下で起こる。第二の方法は、安定な粒子核集団を形成し、それからその中間乳剤のpAgを双晶形成を促すレベルに調節することである。どの方法を用いるかに関係なく、沈殿反応の早い段階で粒子核に双晶面を導入することは有利である。平板状粒子乳剤を形成するために用いる全銀量の5%未満、好ましくは2モル%未満、さらに好ましくは1モル%未満を使用する平行双晶面を含む粒子核集団を得ることを目指す。平行双晶面含有粒子核集団を作るために、全銀量の少なくとも0.05%を使用することが通常好都合であるが、さらに少ない量を使用して達成することもできる。安定した粒子核集団の形成後、平行双晶面の導入を遅らせる時間が長ければ長い程、粒子バラツキの増大傾向が大きくなる。
【0019】
粒子核に平行双晶面を導入する段階で、粒子核の初期形成中またはその後直ちに、完成された乳剤中の粒子バラツキの到達可能な最も低いレベルを分散媒体の制御によって達成する。分散媒体のpAgを好ましくは5.4〜10.3の範囲に、さらに好ましくは7.0〜10.0の範囲に維持する。10.3より大きなpAgでは、平板状粒子のECDの増大傾向および厚みバラツキが見られるかも知れない。pAgをモニターして調整するのに好都合な一般的な技術は如何なるものも使用できる。
【0020】
粒子バラツキの減少は、また、分散媒体のpHの関数として観察される。非平板状粒子の発生率および非平板状粒子集団の厚みバラツキは両方とも、粒子核に平行双晶面を導入している時の分散媒体のpHが6.0未満である場合、減少が観察される。分散媒体のpHは、好都合で一般的な如何なる方法でも調整することができる。例えば硝酸のような強鉱酸をこの目的に使用することができる。
【0021】
粒子核生成および成長は水、溶解された塩および一般的なペプタイザーを含んでなる分散媒体中で起こる。例えばゼラチンおよびゼラチン誘導体のような親水性コロイドペプタイザーが特に注目される。粒子バラツキが最も少ない乳剤を作るためには、核生成工程中に加えられる銀1モルに対して20〜800(最適には40〜600)グラムのペプタイザー濃度にする。
【0022】
平行双晶面を有する粒子核の形成を、写真乳剤を目的とする一般的な沈殿反応温度で行ない、20〜80℃の範囲の温度が特に好ましく、20〜60℃の温度が最適である。
【0023】
一旦、平行双晶面を有する粒子核の集団を上述のように確立すれば、次の工程は好ましくは熟成によって粒子核集団のバラツキを減少することである。バラツキを減少させるために平行双晶面を有する粒子核を熟成させる目標は、ヒンメルライト(Himmelwright)の米国特許第4,477,565号明細書およびノットーフ(Nottorf)の米国特許第4,722,886号明細書の両者に開示されている。好ましい熟成薬剤を0.01〜0.1Nのアンモニアおよびチオエーテル類から選択する。熟成を誘導するためにハロゲン化銀溶媒を加える代わりに、pHを高レベル、例えば9.0より大きく調整することによって熟成工程を達成することが可能である。このタイプの熟成方法が米国特許第5,013,641号明細書に開示されている。次の粒子成長の前に粒子集団を昇温状態に保持することによって簡単に熟成を達成することもできる。
【0024】
たとえ如何に熟成期間を短縮しても、バラツキのいくらかの減少が起こるであろう。しかし、銀の総量の少なくとも20%を溶解し、残りの粒子核上に再沈殿するまで熟成を続けることが好ましい。熟成を長くすればする程、残存する核の数は少なくなるであろう。これは、次の成長工程で目的ECDの平板状粒子を製造するために、追加のハロゲン化銀沈殿が漸進的に減少することが必要であることを意味する。見方を変えれば、熟成を延長すると沈殿した銀の総グラム数の観点から乳剤製造の規模を減少させる。最適の熟成は、目的とする乳剤要件の関数として変化し、要望通りに調整することができる。
【0025】
一旦、核生成と熟成が完了すると、要望の最終平均粒子厚みおよびECDの達成と矛盾しない一般的な方法であればどのような方法ででも、ハロゲン化銀粒子の一層の成長に着手することができる。粒子成長中に加えるハロゲン化物を、核生成のために選んだハロゲン化物とは独立に選ぶことができる。平板状粒子乳剤は均一または不均一構造のハロゲン化銀粒子を含むことができる。粒子核の形成は好ましくは臭化物イオンとほんの少量の塩化物イオンおよび/またはヨウ化物イオンとを混合するけれども、成長工程の完了の際に製造される平板状粒子乳剤は、臭化物イオンに加えて、ヨウ素および塩化物イオンのいずれでもまたは組み合せて、高臭化物平板状粒子乳剤に見ることができる如何なる比率ででも含むことができる。成長を、粒子核生成と同じような、銀塩溶液とハロゲン化物塩溶液のダブルジェット添加によって、または予め作った高臭化物の細かい粒子の添加によって、達成することができる。必要であれば、例えばコア・シェル乳剤を作るような方法で平板状粒子乳剤の成長を完了することができる。エバンス等(Evans et al)の米国特許第4,504,570号明細書によって教示されるシェル形成手順、例えば、改良された写真特性を得るために一般的に試みられている例えばVIII族の金属イオンまたは配位錯体による平板状粒子の内部ドーピングが特に考えられる。
【0026】
本発明の方法では、銀の少なくとも最後の10%を反応容器に添加する以前に、さらに好ましくは銀の最後の50%を添加する以前に、最も好ましくは銀の最後の90%を添加する以前に、反応容器に添加する全銀量に基づいて最大0.4モル%の濃度でチオシアネートイオンをハロゲン化銀反応容器に加える。好ましくは、全銀量に基づいて少なくとも0.01モル%、さらに好ましくは0.05〜0.3モル%のチオシアネートイオンを加える。可能なチオシアネートイオン源は、NaSCN、KSCN、およびNH4SCNを含む。特に好ましい態様では、銀の5%未満(好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満)を反応容器に添加する粒子核生成工程後、そして残りの銀を添加する次の粒子成長工程前にチオシアネートイオンを加える。
【0027】
高臭化物平板状粒子乳剤を形成するための典型的な粒子核生成および成長工程を一般的に上述したが、本発明の方法は、このような乳剤粒子の成長中にチオシアネートを含むように本発明に従って変更することができる、高臭化物平板状粒子乳剤を沈殿させるための如何なる既知の方法にも適用できる。本発明に従って変更することができる代表的な高臭化物平板状粒子乳剤調製方法は、各種の一般的な教示、例えば次の文献、ケネス・メイソン・パブリケイションズ(Kenneth Mason Publications,Ltd)によって発行されたリサーチ・ディスクロージャー、アイテム34390、1983年1月、(Research Disclosure,Item34390,January 1983)、[エムスウァース、ハンプシャーP0107DD、英国(Emsworth,HampshireP0107DDQ,ENGLAND)];ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,414,310号明細書;ソルベルグ等(Solberg et al)の米国特許第4,433,048号明細書;ウィルガス等(Wilgus et al)の米国特許第4,434,226号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第4,435,501号明細書;コフロン等(Kofron et al)の米国特許第4,439,520号明細書;ヤマダ等(Yamada et al)の米国特許第4,647,528号明細書;スギモト等(Sugimoto et al)の米国特許第4,665,012号明細書;ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,672,027号明細書;ヤマダ等(Yamada et al)の米国特許第4,679,745号明細書;ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,693,964号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第4,713,320号明細書;ノットーフ(Nottorf)の米国特許第4,722,886号明細書;スギモト(Sugimoto)の米国特許第4,755,456号明細書;ゴダ(Goda)の米国特許第4,775,617号明細書;エリス(Ellis)の米国特許第4,801,552号明細書;イケダ等(Ikeda et al)の米国特許第4,806,461号明細書;オーハシ等(Ohashi et al)の米国特許第4,835,095号明細書;マキノ等(Makino et al)の米国特許第4,835,322号明細書;ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,914,014号明細書;アイダ等(Aida et al)の米国特許第4,962,015号明細書;イケダ等(Ikeda et al)の米国特許第4,985,350号明細書;ピギン等(Piggin etal)の米国特許第5,061,609号明細書;ピギン等(Piggin et al)の米国特許第5,061,616号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,147,771号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,147,772号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,147,773号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,171,659号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,210,013号明細書;ブラック等(Black et al)の米国特許第5,219,720号明細書;キム等(Kim et al)の米国特許第5,236,817号明細書;ブラスト(Brust)の米国特許第5,248,587号明細書;アントニアデス等(Antoniades et al)の米国特許第5,250,403号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,252,453号明細書;キム等(Kim et al)の米国特許第5,272,048号明細書;デルトン(Delton)の米国特許第5,310,644号明細書;ブラック等(Black et al)の米国特許第5,334,495号明細書;チャフィー等(Chaffee et al)の米国特許第5,358,840号明細書;デルトン(Delton)の米国特許第5,372,927号明細書;コーエン等(Cohen et al)の米国特許第5,391,468号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第5,411,851号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第5,411,853号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第5,418,125号明細書;デルトン(Delton)の米国特許第5,460,934号明細書;ウェン(Wen)の米国特許第5,470,698号明細書;およびフェントン等(Fenton et al)の米国特許第5,476,760号明細書に記載されているものを含む。
【0028】
本発明に従って調製した高臭化物平板状粒子乳剤は、全銀量に基づいて70モル%よりも多い、最適には少なくとも90モル%の臭化物を含む。ある形態において、高臭化物平板状粒子は臭化銀粒子であることができる。平板状粒子中に塩化物イオンおよび/またはヨウ化物イオンの少量を含むこともまた可能である。塩化銀は、臭化銀と同様、面心立方格子構造を形作る。従って、必要であれば、臭化物によって占められていないハロゲン化物の全てが塩化物であることができる。塩化物は、全銀量の好ましくは20モル%以下、最も好ましくは15モル%以下を占める。ヨウ化物は、その飽和限界までの濃度範囲で存在することができるが、通常20モル%またはそれ以下に、好ましくは12モル%またはそれ以下に制限される。平板状粒子はこのようにヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀および塩ヨウ臭化銀粒子(ここで、濃度が上昇する順番でハロゲン化物の名を挙げてある)を含むことができる。ヨウ臭化銀および塩ヨウ臭化銀は、高臭化物平板状粒子の好ましい形態に相当する。カメラ感度のフィルムにとって、平板状粒子が銀に基づいて少なくとも0.25(さらに好ましくは少なくとも0.5そして最も好ましくは少なくとも1.0)モル%のヨウ化物を、最も好ましくは1〜12モル%のヨウ化物を含むことが通常好ましい。
【0029】
本発明の好ましい態様では、調製する平板状粒子乳剤は、{111}主面を有し;銀に基づいて70モル%より多い(さらに好ましくは85モル%より多い、最も好ましくは90モル%より多い)臭化物を含み;総粒子投影面積の70%より多く(さらに好ましくは85%より多く、最も好ましくは90%より多く)を占め;少なくとも0.5μm(さらに好ましくは少なくとも0.7μm)の平均ECDを示し;そして0.10μm(さらに好ましくは0.08μm)に等しいかまたはそれより下の平均厚さを示す超薄平板状粒子を含んでなる。このような乳剤粒子は、さらに好ましくは、少なくとも0.25モル%のヨウ化物を含んでなる。これらの超薄粒子基準は既知の平板状粒子乳剤調製方法の大多数によって満足されるには厳し過ぎるかも知れないが、少数の発表された沈殿技法はこのような基準を満足する乳剤を製造することが可能である。米国特許第5,250,403号明細書はこれらの基準を満足するヨウ臭化銀乳剤の好ましい調製方法を明らかにしている。ゾラ(Zola)およびブライアント(Bryant)の欧州特許第0362699号明細書もまたこのような基準を満足するヨウ臭化銀乳剤の調製方法を開示している。ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第5,576,168号明細書は超薄平板状粒子のさらに好ましい調製手段を開示している。
【0030】
本発明の好ましい態様に従って調製する平板状粒子乳剤は、好ましくは、乳剤の総粒子投影面積の70%より多くを、さらに好ましくは90%より多くを占める平板状粒子を含んでなる。平板状粒子が総粒子投影面積の高割合を占める乳剤を提供することは、最も高い到達可能な画像鮮鋭度を達成するために、特に多層カラー写真フィルムでは重要である。銀を有効に利用することおよび最も好ましい感度−粒状度関係を達成することもまた重要である。高臭化物平板状粒子乳剤の沈殿反応中にチオシアネートイオンを添加する本発明方法は、このような望ましい特徴の達成を助ける。
【0031】
本発明に従って調製した平板状粒子乳剤の総粒子投影面積の50%よりも多くを占める平板状粒子の平均ECDは好ましくは少なくとも0.5μm、さらに好ましくは少なくとも0.7μmである。少なくとも0.7μmの平均ECDを維持することによって実現する利点は、米国特許第5,250,403号明細書の表IIIおよびIVに明らかにされている。非常に大きな平均粒子ECDを有する乳剤は学理的な粒子研究の目的で時折調製されるけれども、写真用途では、ECDは一般的に10μm未満に限定され、ほとんどの場合、5μm未満である。高画像構造特性に適度な最適ECD範囲は1〜4μmの範囲である。
【0032】
本発明の好ましい態様に従って調製した平板状粒子乳剤では、乳剤の総粒子投影面積の90%より多くを占める平板状粒子の平均厚さは0.08μm未満である。0.08μm未満の平均粒子厚さでは、緑および赤のスペクトル領域で反射率間にほとんど変化はない。加えて、0.08〜0.20μm範囲の平均粒子厚さの平板状粒子乳剤と比較して、マイナス青と青との反射率の差も大きくない。可視領域での露光波長からの反射量のこの分断は、同一または類似の平板状粒子乳剤を用いて緑および赤記録乳剤(および低度青記録乳剤に対しても)を構成することができ、フィルム構造を簡単にする。平板状粒子の平均厚さを0.07μmより薄くさらに減らすと、可視スペクトル内で観察される平均反射率もまた減少する。従って、平均粒子厚さを0.07μm未満に維持することは好ましい。用いた沈殿方法によって手ごろに実現される最も薄い平均平板状粒子厚さが一般的には好ましい。平均平板状粒子厚さが0.02μmまでの超薄平板状粒子乳剤は簡単に実現される。例えば、ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,672,027号明細書は0.017μmの平均平板状粒子厚さを得る方法を報告している。米国特許第5,250,403号明細書によって教示された粒子成長技法を用いると、これらの乳剤は、かなり厚くなることなしに、例えば0.02μm未満の平均厚さを維持しながら、少なくとも0.7μmの平均ECDまで成長することができた。平板状粒子の最小厚さは沈殿反応中に粒子に形成される最初の二つの平行双晶面の間隔によって限定される。0.002μm(即ち、2nmまたは20Å)程度の小さい最小双晶面間隔が米国特許第5,250,403号明細書の乳剤で観察されているけれども、米国特許第4,439,520号明細書は0.01μmの実用的な最小平板状粒子厚さを示唆している。
【0033】
本発明に従って調製した好ましい平板状粒子乳剤は、粒子間の変動が低レベルに保たれている。米国特許第5,250,403号明細書は、90%より多くの平板状粒子が六方晶主面である平板状粒子乳剤を報告している。米国特許第5,250,403号明細書はまた、ECDに基づく変動係数(COV)が25%未満、さらには20%未満である平板状粒子乳剤を報告している。本発明に従って、粒子沈殿反応中にチオシアネートイオンの混合によるこのような乳剤の調製方法の変更は、平板状粒子の均一化において一層の改良に導くことができる。平板状粒子乳剤の沈殿方法を次の方法、即ち、元々のメチオニン含量を低下させる処理をしていないゼラチンペプタイザーを用いて平板状粒子核生成を行ない、存在するおよびその後に添加するゼラチンペプタイザーのメチオニンを実質的に除去した後に粒子成長を行なう方法に変更することによって、平板状粒子のサイズ−頻度分布において平均ECDよりも大きな(以後、>ECDav.粒子と記載する)不調和なサイズ範囲の減少を、さらに実現することができる。これを達成するための手ごろな方法は、核生成後沈殿反応を中断し、成長が意味のある程度まで進行する前にメチオニン酸化薬剤を添加することである。例えば米国特許第5,576,168号明細書で論じられているような、ゼラチンペプタイザーのメチオニンを酸化する一般的な技法はどれでも使用することができる。
【0034】
本発明に従う高臭化物平板状粒子乳剤の沈殿に引き続いて、このような乳剤を一般的な技法に従って化学および分光増感することができる。化学増感は、例えば上記に引用した米国特許第4,435,501号明細書および同第5,576,168号明細書に記載されているようなエピタキシー増感類を含むことができ、その場合平板状粒子は、化学増感時に、相対的に少モル量(例えば、全銀量に対して0.5〜7モル%、ここで全銀量にはホストおよびエピタキシーの銀を含む)のエピタキシー沈殿させたハロゲン化銀形成突起部を平板状粒子表面の選択された部位に受け入れる。ハロゲン化銀エピタキシーは、それ自体で、硫黄および/または金による実質的に最適な化学増感によって作られたものと同等レベルに写真感度を増加することができる。一般的なミドルカルコゲン(即ち、硫黄、セレンまたはテルル)増感剤または貴金属(例えば金)増感剤によって沈積したハロゲン化銀エピタキシーを有する平板状粒子をさらに化学増感すると、写真感度のさらなる増大を実現することができる。ハロゲン化銀エピタキシー増感に適用することができる化学増感へのこれらの一般的アプローチの総括的要約が、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)、1989年12月、アイテム308119、セクションIII.化学増感に含まれている。米国特許第4,439,520号明細書は平板状粒子乳剤へのこれらの増感の適用を明らかにしている。
【0035】
化学増感への特に好ましいアプローチは、ミドルカルコゲン(一般的には硫黄)および貴金属(一般的には金)化学増感剤を組み合せた硫黄含有熟成剤を用いる。注目される硫黄含有熟成剤は、例えばマクブライド(McBride)の米国特許第3,271,157号明細書、ジョーンズ(Jones)の米国特許第3,574,628号明細書およびローゼンクランツ等(Rosencrants et al)の米国特許第3,737,313号明細書に説明されているようなチオエーテル類を含む。好ましい硫黄含有熟成剤は、ニーズ等(Nietz et al)の米国特許第2,222,264号明細書、ローベ等(Lowe et al)の米国特許第2,448,534号明細書およびイリングスワース(Illingsworth)の米国特許第3,320,069号明細書説明されているチオシアネート類である。ミドルカルコゲン増感剤の好ましい種類は、ハーズ等(Herz et al)の米国特許第4,749,646号および同第4,810,626号明細書に開示されているタイプのテトラ置換ミドルカルコゲン尿素類である。好ましい化合物は、次式によって表わされる化合物を含む。
【0036】
【化1】
【0037】
ここで、Xは硫黄、セレンまたはテルルであり、R1、R2、R3およびR4の各々はそれぞれ独立にアルキレン、シクロアルキレン、アルカリアリーレン、アラルキレンもしくは複素環式アリーレン基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になってR1とR2またはR3とR4が5〜7員の複素環を形成することができ、A1、A2、A3およびA4の各々は、A1R1からA4R4のうちの少なくとも一つが1〜6の炭素原子を含む炭素鎖を介して尿素窒素に結合している酸性基を含むという条件下で、それぞれ独立に水素または酸性基を含んでなる基であることができる。
【0038】
Xは好ましくは硫黄であり、A1R1からA4R4は好ましくはメチルまたはカルボキシメチル(ここで、カルボキシ基は酸または塩形態であることができる)である。特に好ましいテトラ置換チオ尿素増感剤は1,3−ジカルボキシメチル−1,3−ジメチルチオ尿素である。
【0039】
好ましい金増感剤は、ディートン(Deaton)の米国特許第5,049,485号明細書によって開示された金(I)化合物である。これらの化合物は次式によって表わされる化合物を含む。
【0040】
(VI) AuL2 +X− または AuL(L1)+X−
ここで、Lはメソイオン化合物であり、Xは陰イオンであり、L1はルイス酸供与体である。
【0041】
有用な分光増感色素の総括的要約が、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)、1989年12月、アイテム308119、セクションIV.分光増感および減感,A.分光増感色素によって提供されている。米国特許第4,439,520号明細書は、化学増感を生じる加熱工程(仕上げ)以前に乳剤中に分光増感色素を加える、「仕上げ時の色素」増感に関する利点を開示している。分光増感色素はまたサイトディレクターとして作用することができ、および/または仕上げ中に存在することもできるが、分光増感色素が行なう唯一の必要とされる機能は少なくとも一つの分光範囲で乳剤の感度を増加させることである。従って、必要であれば、化学増感を終了した後で、本発明に従って調製した平板状粒子に分光増感色素を添加することができる。米国特許第4,439,520号明細書に開示された分光増感色素、特に構造によって示される青分光増感色素およびスペクトルの緑および赤部分で最高吸収を示すより長いメチン鎖類似体は、超薄平板状粒子乳剤への混合用に特に好ましい。
【0042】
超薄平板状粒子乳剤は同じ平均ECDのより厚い平板状粒子よりもかなり小さな平均粒子容積を示すので、スペクトルの青範囲でのハロゲン化銀の固有の感度は、超薄平板状粒子に関してはより低い。従って、超薄平板状粒子のヨウ化物レベルが比較的高い場合ですら、青分光増感色素は写真感度をかなり改良する。固有のハロゲン化銀吸収に関して深色側にシフトされた露光波長のところでは、超薄平板状粒子は分光増感色素または光量子捕捉用色素にほとんど独占的に依存する。従って、超薄粒子乳剤の粒子表面に吸着している、430nmより長い波長(より長い波長の青、緑、赤および/または赤外の最大吸収を包含する)のところに最大光吸収を示す分光増感色素は、非常に大きな感度増加を産む。これは、一部分は相対的により低い平均粒子容積に起因し、一部分は分光増感色素吸着に利用できる相対的により高い平均粒子表面積に起因する。
【0043】
上述した平板状粒子乳剤の特徴と離れて、本発明に従って調製した乳剤はどんな要望の一般的な形態でもとることができる。例えば、一般的な慣行に従って、本発明の要求を満足する乳剤を調整した後、一種またはそれ以上の他の乳剤と混合することができる。一般的な乳剤混合が、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)、308巻、アイテム308119、セクションI、パラグラフI.に説明されている。
【0044】
本発明に従って調製する平板状粒子乳剤は、フォトサーモグラフィック要素を含めて、写真要素のどんなタイプにも使用することができ、そしてある態様では、スペクトルの3主領域の各々に感受性のある画像色素形成ユニットを含む多層カラー要素に好ましく使用することもできる。各ユニットは、与えられたスペクトル領域に感受性のある単一の乳剤層または複数の乳剤層を有することができる。典型的な多色写真要素は、少なくとも1つのシアン色素形成カップラーと関連している少なくとも1つの赤感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン色素画像形成ユニット、少なくとも1つのマゼンタ色素形成カップラーと関連している少なくとも1つの緑感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ色素画像形成ユニット、および少なくとも1つのイエロー色素形成カップラーと関連している少なくとも1つの青感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー色素画像形成ユニットを含んでなる。この要素は、例えばフィルター層、中間層、上塗り層および下塗り層のような付加的層を含むことができる。画像形成ユニットの層を含めて、この要素の層を当該技術分野で知られた各種の順序で配列することができる。
【0045】
必要であれば、本発明に従って調製した乳剤を使用する写真要素を、ケネス・メイソン・パブリケイションズ(Kenneth Mason Publications,Ltd)によって発行されたリサーチ・ディスクロージャー、1992年11月、アイテム34390(Research Disclosure,November 1992,Item34390)、[ダドレイ・アネックス、12aノース・ストリート、エムスウァース、ハンプシャーP0107DQ、英国(Dudley Annex,12aNorth Street,Emsworth,HampshireP0107DQ,ENGLAND)]および1994年3月15日に発行され、日本特許庁で利用できる発明協会公開技報番号1994−6023に記載されているような適用磁性層と一緒に用いることができる。小フォーマットのフィルムの中で本発明材料を用いることが望まれる場合、リサーチ・ディスクロージャー、1994年6月、アイテム36230、が好ましい態様を提供する。
【0046】
写真製品に使用するための適切な材料についての以下の考察において、上述のように利用可能な、リサーチ・ディスクロージャー、1994年11月、アイテム36544(以後、用語「リサーチ・ディスクロージャー」という)を参照する。以下引用するセクションはリサーチ・ディスクロージャーのセクションである。
【0047】
特別に断らない限り、本発明に従ったハロゲン化銀乳剤を含む要素は、その要素に提供された処理説明書のタイプ(即ち、カラーネガ、反転、または直接ポジ処理)によって指示されたようにネガ型またはポジ型であることができる。化学および分光増感の適切な方法はセクションI〜Vに記載されている。例えばUV色素、蛍光増白剤、カブリ防止剤、安定化剤、光吸収および散乱材料、および物性調節用添加物(例えば硬膜剤、塗布助剤、可塑剤、滑剤、および艶消し剤)のような各種添加剤が、例えば、セクションIIおよびVI〜VIIIに記載されている。カラー材料は、セクションX〜XIIIに記載されている。走査の促進がセクションXIVに記載されている。支持体、露光、現像システム、および処理方法と処理剤がセクションXV〜XXに記載されている。好ましい写真要素および処理段階、特にカラー反射プリントとの組み合わせに有用なものが、リサーチ・ディスクロージャー、1995年2月、アイテム37038に記載されている。
【0048】
例えば米国特許第2,367,531号、同第2,423,730号、同第2,474,293号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,002,836号、同第3,034,892号、同第3,041,236号、同第4,333,999号および同第4,883,746号明細書および「ファルブクプラー−アイネ・リテラチャー・ウーベルジヒト(Farbkuppler−eine Literature Ubersicht)」、第3版、アグファ・ミタイルンゲン(Agfa Mitteilungen)、1961年、p.156−175、のような代表的な特許および刊行物に記載されているような、酸化された発色現像主薬と反応してシアン色素を形成するカプラーのような画像色素形成カプラーを要素中に含むことができる。好ましくは、このようなカプラーは、酸化された発色現像主薬と反応してシアン色素を形成するフェノール類およびナフトール類である。
【0049】
酸化された発色現像主薬と反応してマゼンタ色素を形成するカプラーは、例えば米国特許第2,311,082号、同第2,343,703号、同第2,369,489号、同第2,600,788号、同第2,908,573号、同第3,062,653号、同第3,152,896号、同第3,519,429号、同第3,758,309号および同第4,540,654号明細書、および「ファルブクプラー−アイネ・リテラチャー・ウーベルジヒト(Farbkuppler−eine Literature Ubersicht)」、第3版、アグファ・ミタイルンゲン(Agfa Mitteilungen)、1961年、p.126−156、のような代表的な特許および刊行物に記載されている。好ましくは、このようなカプラーは、酸化されたカラー現像試薬と反応してマゼンタ色素を形成するピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類、またはピラゾロベンズイミダゾール類である。
【0050】
酸化された発色現像主薬と反応してイエロー色素を形成するカプラーは、例えば米国特許第2,298,443号、同第2,407,210号、同第2,875,057号、同第3,048,194号、同第3,265,506号、同第3,447,928号、同第4,022,620号および同第4,443,536号明細書、および「ファルブクプラー−アイネ・リテラチャー・ウーベルジヒト(Farbkuppler−eine Literature Ubersicht)」、第3版、アグファ・ミタイルンゲン(Agfa Mitteilungen)、1961年、p.112−126、のような代表的な特許および刊行物に記載されている。このようなカプラーは典型的には開鎖ケトメチレン化合物類である。
【0051】
酸化された発色現像主薬と反応して無色の生成物を形成するカプラーは、例えば英国特許第861,138号明細書;米国特許第3,632,345号、同第3,928,041号、同第3,958,993号および同第3,961,959号明細書のような代表的特許に記載されている。典型的には、このようなカプラーは、酸化された発色現像主薬と反応して無色の生成物を形成する環状カルボニル含有化合物類である。
【0052】
酸化された発色現像主薬と反応してブラック色素を形成するカプラーは、例えば米国特許第1,939,231号;同第2,181,944号;同第2,333,106号;同第4,126,461号;ドイツ国特許出願公開第2,644,194号;同第2,650,764号明細書のような代表的特許に記載されている。典型的には、このようなカプラーは、酸化された発色現像主薬と反応してブラックまたは中性の生成物を形成するレゾルシノール類またはm−アミノフェノール類である。
【0053】
上記のものに加えて、いわゆる「ユニバーサル」または「ウォッシュアウト」カプラーが使用されてもよい。これらのカプラーは画像色素形成には寄与しない。従って、例えば、無置換または2−もしくは3−位が低分子量置換基で置換されたカルバモイルを有するナフトールを用いることができる。このタイプのカプラーは例えば米国特許第5,026,628号;同第5,151,343号および同第5,234,800号明細書に記載されている。
【0054】
本発明の材料は、画質を改良するために、処理工程、例えば漂白または定着を促進するか、そうでなければ改良する材料と共に用いることができる。例えば欧州特許第193,389号および同第301,477号明細書および米国特許第4,163,669号;同第4,865,956号および同第4,923,784号明細書に記載されたような漂白促進剤放出カプラーが有用となることができる。核生成試薬、現像促進剤またはそれらの前駆体(英国特許第2,097,140号および同第2,131,188号明細書参照)、電子移動試薬(米国特許第4,859,578号および同第4,912,025号明細書参照)、例えばハイドロキノン類の誘導体、アミノフェノール類、アミン類、没食子酸、カテコール、アスコルビン酸、ヒドラジド類、スルホンアミドフェノール類のようなカブリ防止および混色防止試薬、および非色形成カプラーと共にこの組成物を使用することも考慮される。
【0055】
本発明の材料は、また、コロイド状銀ゾルまたはイエロー、シアンおよび/またはマゼンタフィルター色素を水中油滴型分散体、ラテックス分散体または固体粒子分散体として含有するフィルター色素層と組み合わせて要素中に用いることができる。さらに、それらは、スメアリングカプラー(例えば米国特許第4,366,237号;同第4,420,556号および同第4,543,323号明細書および欧州特許第96,570号明細書に記載されているような)と共に用いられてもよい。また、この組成物は、例えば日本公開特許公報61−258249号または米国特許第5,019,492号明細書に記載されているように保護された形にブロックされるかまたは塗布されてもよい。
【0056】
本発明の材料は、更に、例えば現像抑制剤放出化合物(DIR)のような画像改良化合物と組み合わせて用いることもできる。本発明構成物との組み合わせにおいて有用なDIRは当該技術分野で公知であり、その具体例は米国特許第3,137,578号;同第3,148,022号;同第3,148,062号;同第3,227,554号;同第3,384,657号;同第3,379,529号;同第3,616,506号;同第3,617,291号;同第3,620,746号;同第3,701,783号;同第3,733,201号;同第4,049,455号;同第4,095,984号;同第4,126,459号;同第4,149,886号;同第4,150,228号;同第4,211,562号;同第4,248,962号;同第4,259,437号;同第4,362,878号;同第4,409,323号;同第4,477,563号;同第4,782,012号;同第4,962,018号;同第4,500,634号;同第4,579,816号;同第4,607,004号;同第4,618,571号;同第4,678,739号;同第4,746,600号;同第4,746,601号;同第4,791,049号;同第4,857,447号;同第4,865,959号;同第4,880,342号;同第4,886,736号;同第4,937,179号;同第4,946,767号;同第4,948,716号;同第4,952,485号;同第4,956,269号;同第4,959,299号;同第4,966,835号;同第4,985,336号;英国特許第1,560,240号;同第2,007,662号;同第2,032,914号;同第2,099,167号;ドイツ国特許第2,842,063号;同第2,937,127号;同第3,636,824号;同第3,644,416号;欧州特許公開第272,573号;同第335,319号;同第336,411号;同第346,899号;同第362,870号;同第365,252号;同第365,346号;同第373,382号;同第376,212号;同第377,463号;同第378,236号;同第384,670号;同第396,486号;同第401,612号および同第401,613号明細書に記載されている。
【0057】
このような化合物は、また、シー・アール・バー(C.R.Barr)、ジェイ・アール・サートル(J.R.Thertle)およびピー・ダブリュ・ヴィトゥム(P.W.Vittum)、「カラー写真のための現像抑制剤放出(DIR)カプラー(Developer−Inhibitor−Releasing(DIR) Couplers for Color Photography)」、写真科学と工学(Photographic Science and Engineering)、1969年、第13巻、p.174、に記載されている。一般に、現像抑制剤放出(DIR)カプラーは、カプラー部分と抑制剤のカプリング−脱離部分(IN)を含んでいる。抑制剤放出カプラーは、抑制剤を遅れて放出させるタイミング部分または化学スイッチを含んでいる時間遅延タイプ(DIARカプラー)であってもよい。典型的な抑制剤部分の具体例は、オキサゾール類、チアゾール類、ジアゾール類、トリアゾール類、オキサジアゾール類、チアジアゾール類、オキサチアゾール類、チアトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、ベンゾイミダゾール類、インダゾール類、イソインダゾール類、メルカプトテトラゾール類、セレノテトラゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、セレノベンゾチアゾール類、メルカプトベンゾオキサゾール類、セレノベンゾオキサゾール類、メルカプトベンゾイミダゾール類、セレノベンゾイミダゾール類、ベンゾジアゾール類、メルカプトオキサゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトトリアゾール類、メルカプトオキサジアゾール類、メルカプトジアゾール類、メルカプトオキサチアゾール類、テルロテトラゾール類またはベンゾイソジアゾール類である。好ましい態様においては、抑制剤部分または基は下式から選ばれる。
【0058】
【化2】
【0059】
ここで、RIは、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基類、ベンジル基、フェニル基、およびアルコキシ基類からなるグループから選ばれ、これらの基は、1つまたはそれ以上のこのような置換基をさらに含有していてもよいし、含有していなくてもよい。RIIは、RIおよび−SRIから選ばれる。RIIIは、炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基である。RIVは、水素、ハロゲン、アルコキシ、フェニル、カルボンアミド、−COORVおよび−NHCOORV(ここで、RVは、置換および無置換のアリキル基およびアリール基から選ばれる)からなる群より選ばれる。
【0060】
現像抑制剤放出カプラーに含まれるカプラー部分は、それが存在する層で対応する画像色素を形成することが一般的であるけれども、異なった層に関連するカプラーとして異なった色を形成してもよい。現像抑制剤放出カプラーに含まれるカプラー部分が無色の生成物および/または処理中に写真材料を洗い流される生成物を形成することもまた有用であろう(いわゆるユニバーサルカプラー)。
【0061】
上述したように、現像抑制剤放出カプラーは、例えばヘミアセタールの開裂反応を利用する基(米国特許第4,146,396号明細書、および特開昭第60−249148号および同第60−249149号公報);分子内求核置換反応を利用する基(米国特許第4,248,962号明細書);共役系に沿った電子移動反応を利用する基(米国特許第4,409,323号および同第4,421,845号明細書;特開昭第57−188035号,同第58−98728号、同第58−209736号および同第58−209738号公報);エステル加水分解を利用する基(ドイツ特許公開第2,626,315号明細書);イミノケタール類の開裂を利用する基(米国特許第4,546,073号明細書);カプラー反応後カプラーまたは還元試薬として機能する基(米国特許第4,438,193号および同第4,618,571号明細書)および上記の特徴を合わせた基のような抑制基を時間的に遅れて放出させるタイミング基を含むことができる。タイミング基または部分は下式のものが典型的である。
【0062】
【化3】
【0063】
ここで、INは抑制剤部分であり、Zはニトロ、シアノ、アルキルスルホニル、スルファモイル(−SO2NR2)およびスルホンアミド(−NRSO2R)基からなる群から選ばれ、nは0または1であり、RVIは置換および無置換のアルキルおよびフェニル基からなる群から選ばれる。各タイミング基の酸素原子はDIARのそれぞれのカプラー部分のカップリング−脱離位置に結合している。
【0064】
好適な現像抑制剤放出カプラーは以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化4】
【0066】
【化5】
【0067】
乳剤は、表面感応性乳剤、即ち、潜像を主としてハロゲン化銀粒子の表面に形成する乳剤であることができ、または、乳剤は内部潜像を主としてハロゲン化銀粒子の内部に形成することもできる。乳剤は、例えば表面感応性乳剤もしくはカブらせてない内部潜像形成乳剤のようなネガ型の乳剤であってもよい。また、乳剤はカブらせてない内部潜像形成タイプの直接ポジ乳剤であってもよく、現像が一定の光の露光によって行なわれるかまたは核形成試薬の存在下で行なわれる場合、それはポジ型である。
【0068】
写真要素は、化学線、一般には可視光線に露光されて潜像を形成し、それから処理されて目に見える色素画像を形成する。目に見える色素画像を形成する処理は、現像可能ハロゲン化銀を還元して発色現像主薬を酸化するために、要素を発色現像主薬と接触させる工程を含んでいる。酸化された発色現像主薬は次にカプラーと反応して色素を生成する。
【0069】
ネガ型ハロゲン化銀によって、上記の処理工程はネガ画像を供給する。上述した要素は、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィ・アニュアル(British Journal of Photography Annual)、1988年、p.191−198に記載されている公知のコダック(Kodak)C−41カラープロセスで処理することができる。ポジ(または反転)画像を供給するために、発色現像工程は、露光したハロゲン化銀を現像するが色素を形成しない非発色現像主薬を用いる現像を先に行ない、引き続いてその要素を均一にカブらせて未露光ハロゲン化銀を現像可能にすることができる。このような反転乳剤は、例えばE−6のようなカラー反転処理を用いて処理する説明と共に一般的に市販されている。代わりに、ポジ画像を得るために直接ポジ乳剤を用いることができる。
【0070】
好ましい発色現像主薬は、例えば4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチルN,N−ジエチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(2−メタンスルホンアミドエチル)アニリンセスキスルフェイト水和物、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩、4−アミノ−3−(2−メタンスルホンアミドエチル)−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、および4−アミノ−N−エチル−N−(2−メトキシエチル)−m−トルイジンジ−p−トルエンスルホン酸のようなp−フェニレンジアミン類である。
【0071】
現像の後には、漂白、定着、または漂白定着(銀またはハロゲン化銀を除去する)、洗浄、および乾燥の一般的な工程が通常続く。
【0072】
【実施例】
次の特定の具体例の参照によって本発明を理解することができる。
例1:
[乳剤E−1(比較例)]
撹拌器を備えた反応容器に、石灰処理した骨ゼラチン2.95g、消泡剤としてMAPEG200DOTM(ポリエチレングリコールのジオレイン酸エステル、4−5EO、バスフ(BASF)社製)、NaBr4.04g、0.1MのH2SO4を1.05ccおよび十分な水を入れて、6Lの溶液にした。この時点から全てのAgNO3をこの沈殿反応に使用し終えるまで反応器の内容物を撹拌した。40℃に暖めてゼラチンを溶解した後、反応器およびその内容物を35℃に冷やし、0.06MのKI溶液2.5ccを添加した。10分後、3MのNaBrおよび3MのAgNO3を各々6.67ccずつ4秒間掛けて同時に添加することにより、核生成を行なった。このように、この沈殿反応の全銀量の0.1668%を核生成中に添加した。核生成完了の26秒後に、4.80%NaOCl溶液0.728ccを添加し、30秒間保持した後、5MNaCl溶液90ccを添加した。さらに90秒間保持した後、反応器と内容物を700秒間掛けて54℃に加熱し、54℃で120秒間保持した後、それから2分後に酸化骨ゼラチン100gを、MAPEG200DOTM消泡剤を含んだ十分な水と共に添加し、1500ccの溶液とした。さらに4分間54℃で保持した後、3MのNaBr溶液6.93ccを20秒間掛けて添加した。1分後に、AgNO3、NaBr、および酸化ゼラチンによって解膠したAgIの懸濁水溶液を同時に加速的に添加することによって、成長を開始した。銀イオン電位が、先に述べた3MのNaBr溶液6.93ccの添加によって示した値で一定となるように、そして結果として生じるハロゲン化銀の組成がAgBr0.985I0.015となるように、それぞれの溶液の流量を維持した。37.5分間掛けてAg(Br,I)1.214モルを形成した後、AgNO3およびAgIの流れを中断し、3MのNaBr43.76ccを172秒間掛けて添加し、それから新しい銀イオン電位を維持するように加速された3種類のジェット添加を再開した。22.5分間掛けてさらにAgBr0.985I0.015を1.547モル形成した後、AgNO3およびAgIの流れを再び中断し、3MのNaBr25.3ccを39秒間掛けて添加し、それから加速された3種類のジェット添加を再度再開し、得られる銀イオン電位を維持し、43.93分掛けてAgBr0.985I0.015を合計6.225モル形成した。この区分では、増加した5.705および5.895モルのAgBr0.985I0.015を形成した時間の間に、6.0×10−5gのK3IrCl6を含む溶液もまた添加した。次の成長区分では、21.22分間掛けて形成した乳剤の最後の3モルがAgBr0.94I0.06組成になるようにAgNO3およびAgIの相対的な流量を調整した。このように、合計12モルの乳剤を形成し、最初の75%はAgIが1.5%であり、残りの25%はAgIが6%であった。最後に、乳剤を凝固洗浄した。
【0073】
乳剤試料を走査電子顕微鏡で検査し、得られる粒子画像の投影面積を測定して平均面積を決定した。この平均粒子面積の等価円直径(ECD)を表1に示す。第二の試料上の1,1’−ジエチル−2,2’シアニン色素の飽和被覆量から、色素分子当り0.566nm2およびこの色素の溶液吸光係数を77,300L/モル−cmと仮定して、乳剤の比表面積もまた決定した。比表面積方程式を解いて厚さを求め、その結果もまた表1に示した。表1中のアスペクト比は、ECDおよび厚さのこれらの測定値の比によって与えられる。
[乳剤E−2(比較例)]
この乳剤は、ハロゲン化銀沈殿反応中に0.5〜60モル%の濃度でチオシアネートの使用を開示する米国特許第4,853,323号明細書で提案されたチオシアネートのレベルを試す。E−2の沈殿反応および分析手順は、このケースでは核生成後、成長前に添加するNaCl溶液にNaSCNを含めたことを除いて、上記した乳剤E−1と同じであった。添加したチオシアネートのレベルは480mg/MAgであった。それは、米国特許第4,853,323号明細書で提案された下限より僅かに上の0.592モル%に相当する。結果を表1に示す。
【0074】
チオシアネートのこのレベルは、本発明の目的に反して、アスペクト比がE−1よりも低い結果になったことに注目すべきである。その上、フィルターの詰まり等を含めて、乳剤の操作および塗布が複雑化するために、写真乳剤の製造には非常に好ましくないたくさんの非常に長い棒状物で汚染されていた。従来技術のレベルはアスペクト比とモルフォロジー純度を低下させるので、この比較例は本発明の非自明性を明らかにする。これらの結果は平板状粒子乳剤の沈殿反応へのチオシアネートの使用から逸らすであろう。
[乳剤E−3(発明例)]
本発明は、平板状粒子乳剤の沈殿反応へチオシアネートを本発明に従ったレベルで使用した場合の利点を証明する。
【0075】
この乳剤の沈殿反応および分析手順は、このケースでは核生成後そして成長前に添加するNaCl溶液にNaSCNを含めたことを除いて、乳剤E−1と同じであった。添加したチオシアネートのレベルは80mg/MAgであった。それは、米国特許第4,853,323号明細書で提案された下限より低い0.099モル%に相当する。結果を表1に示す。
【0076】
NaSCNの添加が厚さをほとんど増加させずに大きな平板状粒子の結果になったことに注目すべきである。E−3のアスペクト比がE−1よりも大きいことにも注目すべきであり、それはNaSCNの低レベルの使用が本発明の目的を満たすことを証明している。最後に、このチオシアネートの低レベルの使用がモルフォロジー純度を低下させなかったことに注目すべきである。
[乳剤E−4(比較例)]
この乳剤の沈殿反応手順は、次の変更を除いて、乳剤E−1と同じ一般的な手順に従った。初期反応器溶液は1.512倍多いKIおよび1.15倍多いNaBrを含有した。核生成温度は39℃であり、0.76倍のAgXを核生成中に形成した。このように、この沈殿反応中に添加する全銀量の0.1267%を核生成中に添加した。NaCl添加を成長前60秒まで遅らせ、過剰NaBrの添加を1回のみ行なった(成長中にAg(Br,I)を0.588モル添加した後、3MのNaBrを78cc)。成長組成は均一なAgBr0.985I0.015であり、成長の残り45%で成長温度を35℃に下げ、そして総成長時間はE−1の1.28倍であった。E−1と同じ分析方法をこの乳剤に適用した。結果を表1に示す。
[乳剤E−5(発明例)]
E−4と同じ手順でこの乳剤を沈殿させ、分析したが、このケースでは核生成後そして成長前に添加するNaCl溶液は、Ag1モル当り111mgに達する十分なNaSCNを含有し、それは沈殿したAgに基づいて0.136モル%に相当する。結果を表1に示す。
【0077】
NaSCNのレベルがE−3よりもE−5が高いにもかかわらず、E−5とE−4を対比してNaSCNの添加による相対的サイズの増大が、E−3とE−1の対比に見られるよりも少ない。これは、E−5ではNaSCNの添加を遅い時間に行なったためであると考える。E−3では、熟成工程のスタート近くでチオシアネートを添加し、その結果35℃で90秒間、35℃から54℃に温度を上げる700秒間、および追加のNaBrを添加するまで54℃で6分間核を熟成する機会があり、その直後に成長を始めた。対照的にE−5では、チオシアネートはNaBrを添加するまで54℃で60秒間存在したのみであった。すなわち、より早い添加は、より遅い添加よりも粒子サイズにより大きな相対的効果を有する。しかし、なお、NaSCNは、厚さをほとんど増加させずに、平板状粒子サイズを増加させるという好ましい効果を有する。従って、アスペクト比はNaSCN添加の結果として増加し、モルフォロジー純度は悪化しない。
[乳剤E−6(発明例)]
この乳剤の沈殿反応は、次の変更を除いて、乳剤E−1と同じ一般的な手順に従った。反応器中のゼラチンは酸化石灰処理型であり、ヨウ化物はKIよりもむしろAgIとして存在した。核生成を40℃で行ない、その間に0.010モルのAgBr0.985I0.015を形成した。成長前に添加するNaCl溶液は、NaSCNもAg1モル当り120mgのレベル(沈殿するAgの全量に基づいて0.149モル%)で含有した。成長温度は59℃であり、成長前に1.88倍程の多くのNaBrを添加したが、しかし成長中の他のNaBr添加はE−1とほとんど同じであった。この乳剤の組成概要は、最初の25%がAgBr0.985I0.015であり、次の12.5%がAgBr0.94I0.06であり、残りの沈殿物がAgBrであった。K3IrCl6添加は省き、そして最後の25%は温度を45℃に下げ、pBrを約2.9に上げた。E−1と同じ分析方法をこの乳剤に適用した。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
[分光分析:透過]
本発明に従って調製した乳剤の赤外吸収を、米国特許第4,853,323号および同第4,921,784号明細書に従って調製した乳剤と比較するために、上記の乳剤E−6および米国特許第4,921,784号明細書の乳剤1の記載に従って調製した乳剤(以後、比較乳剤E−7と称する)の試料をタカミン(Takamine)で非ゲル化し、それから0.19MのKBr中に再分散し、それから遠心分離機にかけ、蒸留水中に再分散し、再び遠心分離機にかけ、メタノール中に再分散し、再び遠心分離機にかけ、そして最後に真空乾燥した。それから、各乳剤から非ゲル化したハロゲン化銀粒子の試料20mgを、ゴム製O−リングおよび25mm径カラーを備えたダイセット(ウィルマド(Wilmad)カタログNo.107−3)に入れた。KBrクウィックプレス(インターナショナル・クリスタル・ラボラトリーズ(International Crystal Laboratories)カタログNo.0012−4977)を用いて、粒子を透明ウィンドウに圧縮した。プレスは再現できるが任意の圧力計を備えている。縁とり量を最小にする、透明ウィンドウを作る最低の圧力を使用することによって最適圧力を決めた。代表的な吸光度結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
E−7のスペクトル結果は、米国特許第4,921,784号明細書と申し分なく同じ結果を得ており(引用特許の表1は乳剤1に関して0.07の吸光度を報告しており、上記E−7について表2に示した値と非常に近い)、そしてこの作業で用いた計器の較正として処理することができる。表2中のE−6についてのデータは、明確に、比較乳剤E−7よりも2052cm−1で実質的により低い吸光度を示し、小さな信号の存在はハロゲン化銀粒子の中にチオシアネートイオンが存在することを示している。2052cm−1のSCN−吸光度はまた、非ゲル化した粉末からDRIFTS(拡散反射赤外フーリエ変換分光法)を用いてさらに高い感度で観察することもできる。この技法は、ハロゲン化銀の沈殿反応中に添加したSCN−と例えば化学増感工程の一部として後で添加したSCN−との間の区別をすることが可能である。2114および2070cm−1のバンドは粒子表面上のSCN−に特有であり、そしてKBr洗浄によってその物質を除去することができる。しかし、チオシアネートが沈殿反応中に存在していた場合、KBr洗浄後に2052cm−1のバンドが残り、そしてこの後者のバンドは、Ag1モル当りNaSCN10mg程度の少ない量で作った乳剤に、ノイズ比に対して良好な信号によって観察することができる。
例2:
[感度/粒状度の比較]
米国特許第5,576,168号明細書の乳剤MおよびLの記載と類似の手順を用いて、乳剤E−4およびE−5を各々最適に増感した。従って、これらの乳剤を、可視スペクトルの赤領域で吸収するように染色し、そしてAg(Cl,Br,I)エピタキシー(名目上組成:AgBr0.42Br0.42I0.16)の形成後、化学増感した。引用した文献との相違は、ホスト乳剤に基づいて6モル%のエピタキシーではなく3モル%にしたこと、モル比1:1の色素1および色素2の使用、および硫黄増感剤として増感剤1の使用を含んでいる。
【0082】
【化6】
【0083】
グレイの銀ハレーション防止層を被覆した酢酸セルロース支持体上に増感した乳剤を塗布し、そして該乳剤層をゼラチン層でオーバーコートした。乳剤を0.646gAg/m2でレイダウンし、この層はまた、カプラー1および2をそれぞれ0.323g/m2および0.019g/m2、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3A,7−テトラアザインデン(Na+塩)を10.5mg/m2、およびゼラチンを合計1.08g/m2含有した。
【0084】
【化7】
【0085】
そのように塗布した乳剤を感度と粒状度について、本ケースでは、粒状度段階が21段階のタブレットが0〜4の濃度範囲を有し、Dminの上0.15の濃度で感度を測定した点を除いて、米国特許第5,576,168号明細書の27欄65行から28欄25行の記載と同じように評価した。結果を表3に示す。ここで、感度差は100×ΔLogEの単位で記録し、相対的粒状度はコントラスト標準化粒状度プロットにおける最小値を引いた。表3から分かるように、熟成剤としてチオシアネートを使用して作った乳剤はより低いDmin、より高い感度、および調和した粒状度を有する。従って、熟成剤としてチオシアネートの使用は感度/粒状度比において有利な結果になる。
【0086】
【表3】
【0087】
例3:
本発明の他の有用な適用が、多少厚い平板状臭ヨウ化物乳剤の沈殿反応中に低レベルのチオシアネートを添加する場合に見出された。最初の90%の沈殿反応中に臭ヨウ化物塩溶液(臭素94%/ヨウ素6%)をかまに流し込むことによって、これらの乳剤を調製し、平均5.4%のヨウ化物を含む粒子を得た。このシリーズでの直径測定は、米国特許第5,786,898号明細書に記載されているディスク遠心分離技法を用いて行なった。遠心分離から得られるストークス直径を幾何学的に補正して、平板状粒子の等価円直径を得た。「オプティクス(Optics)」、ジョーン・ウィリィ&サンズ(John Wiley & Sons)、1970年、p.582〜585、に記載されている等式、および「写真プロセスの理論(The Theory of the Photographic Process)」、45版、1977年、p.579に記載されているゼラチンと臭化銀の屈折分散を用いて、粒子のスペクトル反射率から厚さを求めた。
[乳剤E−8(比較例)]
18.4gの酸化石灰処理骨ゼラチン、32.3gの臭化ナトリウム、および消泡剤を52℃に維持した蒸留水4.6L中に含有しており、そしてよく撹拌してある反応容器に、0.21Mの硝酸銀溶液を35mL/分の流量で14.83分間添加した。核生成に引き続いて、350mLの蒸留水を添加し、10分間熟成を行なった。蒸留水2.4L中の追加の消泡剤と共に追加の酸化石灰処理した骨ゼラチン222gを添加し、結晶の成長を開始した。最初の15分間の成長をpAg9.310で、ダブルジェット法でNaBr0.94KI0.06と共に3.9M硝酸銀を等モル添加することによって行なった。この間、流速を7.4mL/分から22.1mL/分に傾斜的に上げた。次の33.24分間、pAgを9.177に維持し、流速を22.1から169mL/分に傾斜的に上げた。この時点で、製造用の全銀量の90%を添加した。合計276mLの蒸留水中のKSeCNをAg1モル当り160μg添加し、その後NaBr0.94KI0.06の3.9M溶液を187mL/分で2分間添加した。3.9M硝酸銀を50mL/分の流速で7.9分間添加し、その時点で3.9M臭化ナトリウムの等モル添加をダブルジェット法で開始し、pAgを8.552に維持した。それから、沈殿反応を8.41分間追加して行ない、平均5.4%のヨウ化物を含む乳剤を15.8モル得た。過剰の塩を限外濾過により除去し、粒子サイズ1.52×0.134μmの乳剤を得た。
[乳剤E−9(発明例)]
核生成および熟成後、ゼラチン222gの添加と共にナトリウムチオシアネートを0.069モル%かまに添加することを除いて、E−8と同じ方法で乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが1.74×0.118μmであった。
【0088】
表4に示したように、乳剤沈殿反応への少量のナトリウムチオシアネートの添加は乳剤粒子を大きく且つ薄くし、それによってアスペクト比が増加する。
【0089】
【表4】
【0090】
[乳剤E−10(比較例)]
製造温度が40℃であり、最初の成長区分のpAgが9.681であり、残りの成長のpAgが9.543であり、そして最後の沈殿反応工程のpAgが8.890であることを除いて、E−8と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.69×0.126μmであった。
[乳剤E−11(発明例)]
0.247モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−10と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.95×0.118μmであった。
[乳剤E−12(比較例)]
0.493モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−10と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.79×0.154μmであった。
[乳剤E−13(比較例)]
0.740モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−10と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.71×0.261μmであった。
【0091】
E−10〜E−13の乳剤シリーズは、表5に示したように、ナトリウムチオシアネート量増加の効果を比較している。ナトリウムチオシアネートを0.247モル%添加した場合、粒子は大きく且つ薄くなり、アスペクト比が増大した。しかし、ナトリウムチオシアネートが0.493モル%およびそれ以上のレベルでは粒子が厚くなり、アスペクト比の減少を導いた。
【0092】
【表5】
【0093】
[乳剤E−14(比較例)]
製造温度が57℃であり、最初の成長区分のpAgが9.165であり、残りの成長のpAgが9.028であり、そして最後の沈殿反応工程のpAgが8.428であることを除いて、E−8と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが2.23×0.134μmであった。
[乳剤E−15(発明例)]
0.247モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−14と同じ方法でこの乳剤E−15を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが2.77×0.128μmであった。
[乳剤E−16(比較例)]
0.740モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−14と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが2.81×0.173μmであった。
【0094】
表6のデータは、十分に低いレベルで添加した場合の、粒子を厚くせずに平板状乳剤のアスペクト比を増加させるチオシアネートの能力を再び証明している。
【0095】
【表6】
【発明の属する技術分野】
本発明は平板状粒子ハロゲン化銀乳剤の改良された調製方法に関し、そして1またはそれ以上のこのような改良された乳剤を含む写真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
高臭化物平板状粒子乳剤の写真に関する利点は、ウィルガス等(Wilgus et al)の米国特許第4,434,226号明細書、コフロン等(Kofron et al)の米国特許第4,439,520号明細書およびソルベルグ等(Solberg et al)の米国特許第4,433,048号明細書によって初めて証明され、それらの特許明細書において、各種の形態のうち1またはそれ以上で明らかにされた化学および分光増感された乳剤がカラー写真および白黒写真(間接的な放射線写真を含めて)において有用であることが分かる。特定の条件下で平板状粒子核を作り、それから銀およびハロゲン化物イオンの同時添加によりこれらの核を成長させることによって、高臭化物平板状粒子乳剤を調製する。例えばコフロン等は、8より大きい平均アスペクト比を有する平板状粒子が乳剤粒子の総粒子投影面積の50%より多くを占める、化学および分光増感された平板状粒子乳剤が写真に関する利点を有することを証明し、開示した。ソルベルグ等は、横にずれた領域よりも中央領域でヨウ化物の割合がより少ない高臭化物平板状ヨウ臭化銀粒子乳剤の利点を証明した。
【0003】
平板状粒子乳剤の利点は、特に、例えば立方体または正八面体のような均一塊の三次元粒子に比較して体積比に対する増加された表面積に注目して、更に多くのその後の文献で証明されている。体積比に対するこのより大きな表面積の結果として、平板状乳剤は、本来の感度に対するより高いスペクトル感度比、与えられた分光感度での改良された粒状度、より高いカバリングパワーおよび減少された濁度を含めて、数多くの写真に関する利点を示す。平板状粒子の直径(通常、等価円の直径)に対する厚みの比であるアスペクト比は、平板状粒子乳剤が提供する潜在的な利点の大きさと直接相関する長所の一つの数字である。従って、二つの平板状粒子乳剤が同じ平均粒子径を有するが、異なったアスペクト比を有している場合、それらは、最適に増感された場合、おおよそ等しい分光感度を有する可能性がある。しかし、より高いアスペクト比を有するもの(即ち、同じ平均粒子径を有する乳剤で、より薄い粒子を含む乳剤)は、例えばカラーネガフィルムにおいてより低い粒状度の画像を形成する可能性がある。
【0004】
米国特許第4,914,014号明細書は、薄い平板状乳剤の沈殿に有用な、高pBrで核形成を行なう際の平板状粒子乳剤の作製方法を記載している。米国特許第5,250,403号明細書は、より厚い平板状粒子乳剤に対して非常に薄い平板状乳剤の改良された鏡面性(減少された濁度)と薄い平板状乳剤におけるモルフォロジー純度の重要性とを明らかにしている。
【0005】
写真要素の調製におけるチオシアネートイオンの使用は、当該技術分野では、主として写真感度の増強を目的として既に提案されている。例えば、米国特許第2,222,264号明細書は、AgBrI乳剤の沈殿におけるチオシアネートの使用を開示している。その発明者は、「乳剤中、ハロゲン化銀の2〜15モル%に相当するチオシアネート量」を使用することができると指摘している。彼等は、更に「特にチオシアネートを洗浄前に添加する場合、より多くのチオシアネート量を使用することができる」と述べ、0.05〜2モル%含有乳剤(洗浄後)を特許請求している。これらの発明者は、粒子モルフォロジーについて言及しておらず、特に、平板状粒子乳剤の沈殿に適したレベルを教示していない。
【0006】
米国特許第3,320,069号明細書は、「ハロゲン化銀1モル当り5〜50グラム」レベルでの水溶性チオシアネート化合物の使用を開示している。その発明者は個々の水溶性チオシアネート化合物を明記していないけれども、具体例の幾つかで用いているナトリウム塩に関する場合、この5〜50グラムレベルはハロゲン化銀に基づいて6.16〜61.6モル%に相当する。その発明者は乳剤の形態について記載しておらず、特に、平板状粒子乳剤の沈殿におけるチオシアネートの使用に関して教示していない。米国特許第4,853,323号明細書は、乳剤沈殿中、銀に対して0.5〜60モル%(好ましくは2〜40モル%)濃度でのチオシアネートイオンの使用を開示している。この特許および密接に関連する米国特許第4,921,784号明細書は、また、結果として得られた乳剤が2052cm−1にチオシアネートの著しいIR吸収強度を示すという分光特性を明記している。5またはそれ以上のアスペクト比を有する平板状粒子乳剤をその発明で用いることができると述べられているが、チオシアネート添加がこのような乳剤の調製に対して実際に有する効果についての教示はない。
【0007】
米国特許第4,433,048号明細書は平板状乳剤におけるチオシアネートの使用可能性について述べているが、乳剤調製工程中の添加するべき特定の時間について教示しておらず、好ましい量を指摘しておらず、そして期待される効果も記載していない。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第2,222,264号明細書
【特許文献2】
米国特許第3,320,069号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,433,048号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,434,226号明細書
【特許文献5】
米国特許第4,439,520号明細書
【特許文献6】
米国特許第4,853,323号明細書
【特許文献7】
米国特許第4,914,014号明細書
【特許文献8】
米国特許第4,921,784号明細書
【特許文献9】
米国特許第5,250,403号明細書
【特許文献10】
米国特許第5,576,168号明細書
【発明が解決しようとする課題】
アスペクト比は平板状乳剤の潜在的利点に直接関係するので、平板状粒子調製における長所のこの値を増加させる方法を求める。また、より高い写真感度に対する継続的要求故に、より大きな粒子乳剤を必要とする。従って、アスペクト比を維持または増大する平板状粒子乳剤を製造する沈殿方法は特に価値があろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
一つの態様では、本発明は、銀に基づいて50モル%より多い臭素化合物を含有し、総粒子投影面積の50%より多くを占め、平均アスペクト比が少なくとも5である、{111}主面および少なくとも2のアスペクト比を有する平板状粒子を含有するハロゲン化銀粒子と分散媒体とを含んでなる高臭化物平板状粒子乳剤を調製する、下記(i)および(ii)を含んでなる方法を指向している。
(i)粒子核生成工程において、平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を分散媒体中に創成すること、そして
(ii)粒子成長工程において、引き続いて、反応容器に銀イオン源とハロゲン化物イオン源とを添加し、そして前記平板状粒子核の上にハロゲン化銀を沈殿させることによって、ハロゲン化銀反応容器中で前記平板状粒子核を平板状粒子に成長させること、その際に、反応容器に添加する全銀量の少なくとも最後の10モル%の添加以前にハロゲン化銀反応容器にチオシアネートイオンを、反応容器に添加する全銀量に基づいて最大0.4モル%の濃度で導入すること。
【0010】
別の態様では、本発明は、支持体、および本発明方法に従って調製された乳剤を含んでなる該支持体上に塗布されたハロゲン化銀乳剤層を有する写真要素を指向している。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、平板状粒子乳剤の沈殿におけるチオシアネートの従来提案されたレベルでの使用が一般的にアスペクト比の減少とモルフォロジー純度の低下という結果になり、粒子沈殿中、従来の教示よりもより少ないレベルのチオシアネートの使用がモルフォロジー純度の低下なしにアスペクト比を増加させる結果になることを見出した。
【0012】
本発明は平板状粒子写真乳剤の調製の改良された方法を指向する。該乳剤は、カメラ感度のカラーまたは白黒写真フィルム、ならびにフォトサーモグラフィ要素も含めて、放射線写真フィルム要素への導入を特に意図している。
【0013】
本明細書で使用する限り、用語「平板状」粒子とは少なくとも2のアスペクト比を有するハロゲン化銀粒子をいう。ここで、アスペクト比を、粒子の主面の等価円直径(ECD)を粒子厚みで割った値と定義する。本発明に従って調製した平板状粒子乳剤は、総粒子投影面積の少なくとも50%を占める粒子集団が少なくとも5、より好ましくは8の平均アスペクト比を有する平板状粒子から成り立っている。本発明に従って調製した平板状粒子乳剤は、さらに好ましくは、25より大きな(より好ましくは100より大きな)平均平板度(T)を有する平板状粒子を含んでなる。ここで、用語「平板度」は、T=ECD/t2(ここで、ECDはμmで表わした平板状粒子の平均等価円直径であり、tはμmで表わした平板状粒子の平均厚さである)として当該技術分野で認知されている用法で用いている。平板度は平板粒子厚さの減少によって著しく増加する。好ましくは、本発明に従って調製した平板状粒子乳剤は、緑または赤感受性乳剤用には0.3μmより薄い平均厚さを、青感受性乳剤用には0.5μmより薄い平均厚さを有する。平均厚さが0.10μmより薄い平板状粒子を有する平板状粒子乳剤を、本明細書では「超薄」平板状粒子乳剤という。
【0014】
一般に平板状粒子に関して、高平板性の利点を最大化するために、一定の基準を満足する平板状粒子が乳剤の総粒子投影面積の中の最も高い都合よく達成可能な割合を占めることが通常好ましく、少なくとも50%総粒子投影面積(%TGPA)が一般的である。例えば、好ましい乳剤では、上記一定の基準を満足する平板状粒子は総粒子投影面積の中の少なくとも70%を占める。最も高い性能の平板状粒子乳剤では、上記基準を満足する平板状粒子は総粒子投影面積の中の少なくとも90%を占める。
【0015】
平板状粒子乳剤を、本発明に従って、(i)平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を分散媒体中に創成する粒子核生成工程および(ii)引き続いて、反応容器に銀イオン源とハロゲン化物イオン源とを添加し、平板状粒子核の上にハロゲン化銀を沈殿させることによって、ハロゲン化銀反応容器中で平板状粒子核を平板状粒子に成長させる粒子成長工程の組み合わせによって調製する。
【0016】
粒子核生成工程(i)に関して、よく知られた一般的なシングルまたはダブルジェット沈殿技法を用いることができる。好ましい態様では、例えば、水および親水性コロイドペプタイザーを含有する分散媒体に銀塩水溶液および臭化物塩水溶液を同時に加える、粒子核の平衡ダブルジェット沈殿が特に考えられる。銀塩を加える前に、好ましくは、臭化物塩の少量を反応容器に添加してハロゲン化物イオンを化学量論的に僅かに過剰とする。塩化物およびヨウ化物塩の一方もしくは両方を、臭化物ジェットによりまたは別のジェットにより別の水溶液として加えることができる。ハロゲン化物イオンは、例えばナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩の別々のもしくは混合された溶液として、またはリップマンAgCl、AgBrまたはAgIのような細かい粒子の懸濁液として加えることができる。塩化物および/またはヨウ化物の濃度を銀基準で20モル%より低くすることが好ましく、最も好ましくは、これら他のハロゲン化物は、銀基準で10モル%(最適には6モル%よりも低い)よりも低い濃度で存在する。硝酸銀は最も普通に利用される銀塩であり、最も普通に用いるハロゲン化物塩はハロゲン化アンモニウムおよびアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウム)ハロゲン化物である。
【0017】
銀およびハロゲン化物塩の水溶液を別々のジェットで加える代わりに、分散媒体にリップマン乳剤を加えることによって均一の核生成を達成することができる。リップマン乳剤粒子の平均ECDは一般的に0.05μmより小さいので、最初に加えたリップマン粒子の少量部分は沈殿部位として働き、残りのリップマン粒子の全ては、粒子核表面に沈殿する銀イオンおよびハロゲン化物イオンに解離する。少量の前もって作られたハロゲン化銀粒子を乳剤沈殿用の供給原料として使用する技法が、ミグノット(Mignot)の米国特許第4,334,012号明細書;サイトウ(Saito)の同第4,301,241号明細書;およびソルベルグ等(Solberg et al)の同第4,433,048号明細書に説明されている。
【0018】
本発明は粒子核に平行双晶面を導入するための二つの最も一般的な技法のいずれにも適合できる。好ましくそして最も普通のこれらの技法は、粒子核の集団を形成し、その集団を最終的に平板状粒子に成長させ、同時に同じ沈殿工程で平行双晶面を導入する。言い換えれば、粒子核生成は双晶形成を促す条件下で起こる。第二の方法は、安定な粒子核集団を形成し、それからその中間乳剤のpAgを双晶形成を促すレベルに調節することである。どの方法を用いるかに関係なく、沈殿反応の早い段階で粒子核に双晶面を導入することは有利である。平板状粒子乳剤を形成するために用いる全銀量の5%未満、好ましくは2モル%未満、さらに好ましくは1モル%未満を使用する平行双晶面を含む粒子核集団を得ることを目指す。平行双晶面含有粒子核集団を作るために、全銀量の少なくとも0.05%を使用することが通常好都合であるが、さらに少ない量を使用して達成することもできる。安定した粒子核集団の形成後、平行双晶面の導入を遅らせる時間が長ければ長い程、粒子バラツキの増大傾向が大きくなる。
【0019】
粒子核に平行双晶面を導入する段階で、粒子核の初期形成中またはその後直ちに、完成された乳剤中の粒子バラツキの到達可能な最も低いレベルを分散媒体の制御によって達成する。分散媒体のpAgを好ましくは5.4〜10.3の範囲に、さらに好ましくは7.0〜10.0の範囲に維持する。10.3より大きなpAgでは、平板状粒子のECDの増大傾向および厚みバラツキが見られるかも知れない。pAgをモニターして調整するのに好都合な一般的な技術は如何なるものも使用できる。
【0020】
粒子バラツキの減少は、また、分散媒体のpHの関数として観察される。非平板状粒子の発生率および非平板状粒子集団の厚みバラツキは両方とも、粒子核に平行双晶面を導入している時の分散媒体のpHが6.0未満である場合、減少が観察される。分散媒体のpHは、好都合で一般的な如何なる方法でも調整することができる。例えば硝酸のような強鉱酸をこの目的に使用することができる。
【0021】
粒子核生成および成長は水、溶解された塩および一般的なペプタイザーを含んでなる分散媒体中で起こる。例えばゼラチンおよびゼラチン誘導体のような親水性コロイドペプタイザーが特に注目される。粒子バラツキが最も少ない乳剤を作るためには、核生成工程中に加えられる銀1モルに対して20〜800(最適には40〜600)グラムのペプタイザー濃度にする。
【0022】
平行双晶面を有する粒子核の形成を、写真乳剤を目的とする一般的な沈殿反応温度で行ない、20〜80℃の範囲の温度が特に好ましく、20〜60℃の温度が最適である。
【0023】
一旦、平行双晶面を有する粒子核の集団を上述のように確立すれば、次の工程は好ましくは熟成によって粒子核集団のバラツキを減少することである。バラツキを減少させるために平行双晶面を有する粒子核を熟成させる目標は、ヒンメルライト(Himmelwright)の米国特許第4,477,565号明細書およびノットーフ(Nottorf)の米国特許第4,722,886号明細書の両者に開示されている。好ましい熟成薬剤を0.01〜0.1Nのアンモニアおよびチオエーテル類から選択する。熟成を誘導するためにハロゲン化銀溶媒を加える代わりに、pHを高レベル、例えば9.0より大きく調整することによって熟成工程を達成することが可能である。このタイプの熟成方法が米国特許第5,013,641号明細書に開示されている。次の粒子成長の前に粒子集団を昇温状態に保持することによって簡単に熟成を達成することもできる。
【0024】
たとえ如何に熟成期間を短縮しても、バラツキのいくらかの減少が起こるであろう。しかし、銀の総量の少なくとも20%を溶解し、残りの粒子核上に再沈殿するまで熟成を続けることが好ましい。熟成を長くすればする程、残存する核の数は少なくなるであろう。これは、次の成長工程で目的ECDの平板状粒子を製造するために、追加のハロゲン化銀沈殿が漸進的に減少することが必要であることを意味する。見方を変えれば、熟成を延長すると沈殿した銀の総グラム数の観点から乳剤製造の規模を減少させる。最適の熟成は、目的とする乳剤要件の関数として変化し、要望通りに調整することができる。
【0025】
一旦、核生成と熟成が完了すると、要望の最終平均粒子厚みおよびECDの達成と矛盾しない一般的な方法であればどのような方法ででも、ハロゲン化銀粒子の一層の成長に着手することができる。粒子成長中に加えるハロゲン化物を、核生成のために選んだハロゲン化物とは独立に選ぶことができる。平板状粒子乳剤は均一または不均一構造のハロゲン化銀粒子を含むことができる。粒子核の形成は好ましくは臭化物イオンとほんの少量の塩化物イオンおよび/またはヨウ化物イオンとを混合するけれども、成長工程の完了の際に製造される平板状粒子乳剤は、臭化物イオンに加えて、ヨウ素および塩化物イオンのいずれでもまたは組み合せて、高臭化物平板状粒子乳剤に見ることができる如何なる比率ででも含むことができる。成長を、粒子核生成と同じような、銀塩溶液とハロゲン化物塩溶液のダブルジェット添加によって、または予め作った高臭化物の細かい粒子の添加によって、達成することができる。必要であれば、例えばコア・シェル乳剤を作るような方法で平板状粒子乳剤の成長を完了することができる。エバンス等(Evans et al)の米国特許第4,504,570号明細書によって教示されるシェル形成手順、例えば、改良された写真特性を得るために一般的に試みられている例えばVIII族の金属イオンまたは配位錯体による平板状粒子の内部ドーピングが特に考えられる。
【0026】
本発明の方法では、銀の少なくとも最後の10%を反応容器に添加する以前に、さらに好ましくは銀の最後の50%を添加する以前に、最も好ましくは銀の最後の90%を添加する以前に、反応容器に添加する全銀量に基づいて最大0.4モル%の濃度でチオシアネートイオンをハロゲン化銀反応容器に加える。好ましくは、全銀量に基づいて少なくとも0.01モル%、さらに好ましくは0.05〜0.3モル%のチオシアネートイオンを加える。可能なチオシアネートイオン源は、NaSCN、KSCN、およびNH4SCNを含む。特に好ましい態様では、銀の5%未満(好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満)を反応容器に添加する粒子核生成工程後、そして残りの銀を添加する次の粒子成長工程前にチオシアネートイオンを加える。
【0027】
高臭化物平板状粒子乳剤を形成するための典型的な粒子核生成および成長工程を一般的に上述したが、本発明の方法は、このような乳剤粒子の成長中にチオシアネートを含むように本発明に従って変更することができる、高臭化物平板状粒子乳剤を沈殿させるための如何なる既知の方法にも適用できる。本発明に従って変更することができる代表的な高臭化物平板状粒子乳剤調製方法は、各種の一般的な教示、例えば次の文献、ケネス・メイソン・パブリケイションズ(Kenneth Mason Publications,Ltd)によって発行されたリサーチ・ディスクロージャー、アイテム34390、1983年1月、(Research Disclosure,Item34390,January 1983)、[エムスウァース、ハンプシャーP0107DD、英国(Emsworth,HampshireP0107DDQ,ENGLAND)];ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,414,310号明細書;ソルベルグ等(Solberg et al)の米国特許第4,433,048号明細書;ウィルガス等(Wilgus et al)の米国特許第4,434,226号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第4,435,501号明細書;コフロン等(Kofron et al)の米国特許第4,439,520号明細書;ヤマダ等(Yamada et al)の米国特許第4,647,528号明細書;スギモト等(Sugimoto et al)の米国特許第4,665,012号明細書;ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,672,027号明細書;ヤマダ等(Yamada et al)の米国特許第4,679,745号明細書;ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,693,964号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第4,713,320号明細書;ノットーフ(Nottorf)の米国特許第4,722,886号明細書;スギモト(Sugimoto)の米国特許第4,755,456号明細書;ゴダ(Goda)の米国特許第4,775,617号明細書;エリス(Ellis)の米国特許第4,801,552号明細書;イケダ等(Ikeda et al)の米国特許第4,806,461号明細書;オーハシ等(Ohashi et al)の米国特許第4,835,095号明細書;マキノ等(Makino et al)の米国特許第4,835,322号明細書;ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,914,014号明細書;アイダ等(Aida et al)の米国特許第4,962,015号明細書;イケダ等(Ikeda et al)の米国特許第4,985,350号明細書;ピギン等(Piggin etal)の米国特許第5,061,609号明細書;ピギン等(Piggin et al)の米国特許第5,061,616号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,147,771号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,147,772号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,147,773号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,171,659号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,210,013号明細書;ブラック等(Black et al)の米国特許第5,219,720号明細書;キム等(Kim et al)の米国特許第5,236,817号明細書;ブラスト(Brust)の米国特許第5,248,587号明細書;アントニアデス等(Antoniades et al)の米国特許第5,250,403号明細書;ツサウル等(Tsaur et al)の米国特許第5,252,453号明細書;キム等(Kim et al)の米国特許第5,272,048号明細書;デルトン(Delton)の米国特許第5,310,644号明細書;ブラック等(Black et al)の米国特許第5,334,495号明細書;チャフィー等(Chaffee et al)の米国特許第5,358,840号明細書;デルトン(Delton)の米国特許第5,372,927号明細書;コーエン等(Cohen et al)の米国特許第5,391,468号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第5,411,851号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第5,411,853号明細書;マスカスキー(Maskasky)の米国特許第5,418,125号明細書;デルトン(Delton)の米国特許第5,460,934号明細書;ウェン(Wen)の米国特許第5,470,698号明細書;およびフェントン等(Fenton et al)の米国特許第5,476,760号明細書に記載されているものを含む。
【0028】
本発明に従って調製した高臭化物平板状粒子乳剤は、全銀量に基づいて70モル%よりも多い、最適には少なくとも90モル%の臭化物を含む。ある形態において、高臭化物平板状粒子は臭化銀粒子であることができる。平板状粒子中に塩化物イオンおよび/またはヨウ化物イオンの少量を含むこともまた可能である。塩化銀は、臭化銀と同様、面心立方格子構造を形作る。従って、必要であれば、臭化物によって占められていないハロゲン化物の全てが塩化物であることができる。塩化物は、全銀量の好ましくは20モル%以下、最も好ましくは15モル%以下を占める。ヨウ化物は、その飽和限界までの濃度範囲で存在することができるが、通常20モル%またはそれ以下に、好ましくは12モル%またはそれ以下に制限される。平板状粒子はこのようにヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀および塩ヨウ臭化銀粒子(ここで、濃度が上昇する順番でハロゲン化物の名を挙げてある)を含むことができる。ヨウ臭化銀および塩ヨウ臭化銀は、高臭化物平板状粒子の好ましい形態に相当する。カメラ感度のフィルムにとって、平板状粒子が銀に基づいて少なくとも0.25(さらに好ましくは少なくとも0.5そして最も好ましくは少なくとも1.0)モル%のヨウ化物を、最も好ましくは1〜12モル%のヨウ化物を含むことが通常好ましい。
【0029】
本発明の好ましい態様では、調製する平板状粒子乳剤は、{111}主面を有し;銀に基づいて70モル%より多い(さらに好ましくは85モル%より多い、最も好ましくは90モル%より多い)臭化物を含み;総粒子投影面積の70%より多く(さらに好ましくは85%より多く、最も好ましくは90%より多く)を占め;少なくとも0.5μm(さらに好ましくは少なくとも0.7μm)の平均ECDを示し;そして0.10μm(さらに好ましくは0.08μm)に等しいかまたはそれより下の平均厚さを示す超薄平板状粒子を含んでなる。このような乳剤粒子は、さらに好ましくは、少なくとも0.25モル%のヨウ化物を含んでなる。これらの超薄粒子基準は既知の平板状粒子乳剤調製方法の大多数によって満足されるには厳し過ぎるかも知れないが、少数の発表された沈殿技法はこのような基準を満足する乳剤を製造することが可能である。米国特許第5,250,403号明細書はこれらの基準を満足するヨウ臭化銀乳剤の好ましい調製方法を明らかにしている。ゾラ(Zola)およびブライアント(Bryant)の欧州特許第0362699号明細書もまたこのような基準を満足するヨウ臭化銀乳剤の調製方法を開示している。ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第5,576,168号明細書は超薄平板状粒子のさらに好ましい調製手段を開示している。
【0030】
本発明の好ましい態様に従って調製する平板状粒子乳剤は、好ましくは、乳剤の総粒子投影面積の70%より多くを、さらに好ましくは90%より多くを占める平板状粒子を含んでなる。平板状粒子が総粒子投影面積の高割合を占める乳剤を提供することは、最も高い到達可能な画像鮮鋭度を達成するために、特に多層カラー写真フィルムでは重要である。銀を有効に利用することおよび最も好ましい感度−粒状度関係を達成することもまた重要である。高臭化物平板状粒子乳剤の沈殿反応中にチオシアネートイオンを添加する本発明方法は、このような望ましい特徴の達成を助ける。
【0031】
本発明に従って調製した平板状粒子乳剤の総粒子投影面積の50%よりも多くを占める平板状粒子の平均ECDは好ましくは少なくとも0.5μm、さらに好ましくは少なくとも0.7μmである。少なくとも0.7μmの平均ECDを維持することによって実現する利点は、米国特許第5,250,403号明細書の表IIIおよびIVに明らかにされている。非常に大きな平均粒子ECDを有する乳剤は学理的な粒子研究の目的で時折調製されるけれども、写真用途では、ECDは一般的に10μm未満に限定され、ほとんどの場合、5μm未満である。高画像構造特性に適度な最適ECD範囲は1〜4μmの範囲である。
【0032】
本発明の好ましい態様に従って調製した平板状粒子乳剤では、乳剤の総粒子投影面積の90%より多くを占める平板状粒子の平均厚さは0.08μm未満である。0.08μm未満の平均粒子厚さでは、緑および赤のスペクトル領域で反射率間にほとんど変化はない。加えて、0.08〜0.20μm範囲の平均粒子厚さの平板状粒子乳剤と比較して、マイナス青と青との反射率の差も大きくない。可視領域での露光波長からの反射量のこの分断は、同一または類似の平板状粒子乳剤を用いて緑および赤記録乳剤(および低度青記録乳剤に対しても)を構成することができ、フィルム構造を簡単にする。平板状粒子の平均厚さを0.07μmより薄くさらに減らすと、可視スペクトル内で観察される平均反射率もまた減少する。従って、平均粒子厚さを0.07μm未満に維持することは好ましい。用いた沈殿方法によって手ごろに実現される最も薄い平均平板状粒子厚さが一般的には好ましい。平均平板状粒子厚さが0.02μmまでの超薄平板状粒子乳剤は簡単に実現される。例えば、ダウベンディーク等(Daubendiek et al)の米国特許第4,672,027号明細書は0.017μmの平均平板状粒子厚さを得る方法を報告している。米国特許第5,250,403号明細書によって教示された粒子成長技法を用いると、これらの乳剤は、かなり厚くなることなしに、例えば0.02μm未満の平均厚さを維持しながら、少なくとも0.7μmの平均ECDまで成長することができた。平板状粒子の最小厚さは沈殿反応中に粒子に形成される最初の二つの平行双晶面の間隔によって限定される。0.002μm(即ち、2nmまたは20Å)程度の小さい最小双晶面間隔が米国特許第5,250,403号明細書の乳剤で観察されているけれども、米国特許第4,439,520号明細書は0.01μmの実用的な最小平板状粒子厚さを示唆している。
【0033】
本発明に従って調製した好ましい平板状粒子乳剤は、粒子間の変動が低レベルに保たれている。米国特許第5,250,403号明細書は、90%より多くの平板状粒子が六方晶主面である平板状粒子乳剤を報告している。米国特許第5,250,403号明細書はまた、ECDに基づく変動係数(COV)が25%未満、さらには20%未満である平板状粒子乳剤を報告している。本発明に従って、粒子沈殿反応中にチオシアネートイオンの混合によるこのような乳剤の調製方法の変更は、平板状粒子の均一化において一層の改良に導くことができる。平板状粒子乳剤の沈殿方法を次の方法、即ち、元々のメチオニン含量を低下させる処理をしていないゼラチンペプタイザーを用いて平板状粒子核生成を行ない、存在するおよびその後に添加するゼラチンペプタイザーのメチオニンを実質的に除去した後に粒子成長を行なう方法に変更することによって、平板状粒子のサイズ−頻度分布において平均ECDよりも大きな(以後、>ECDav.粒子と記載する)不調和なサイズ範囲の減少を、さらに実現することができる。これを達成するための手ごろな方法は、核生成後沈殿反応を中断し、成長が意味のある程度まで進行する前にメチオニン酸化薬剤を添加することである。例えば米国特許第5,576,168号明細書で論じられているような、ゼラチンペプタイザーのメチオニンを酸化する一般的な技法はどれでも使用することができる。
【0034】
本発明に従う高臭化物平板状粒子乳剤の沈殿に引き続いて、このような乳剤を一般的な技法に従って化学および分光増感することができる。化学増感は、例えば上記に引用した米国特許第4,435,501号明細書および同第5,576,168号明細書に記載されているようなエピタキシー増感類を含むことができ、その場合平板状粒子は、化学増感時に、相対的に少モル量(例えば、全銀量に対して0.5〜7モル%、ここで全銀量にはホストおよびエピタキシーの銀を含む)のエピタキシー沈殿させたハロゲン化銀形成突起部を平板状粒子表面の選択された部位に受け入れる。ハロゲン化銀エピタキシーは、それ自体で、硫黄および/または金による実質的に最適な化学増感によって作られたものと同等レベルに写真感度を増加することができる。一般的なミドルカルコゲン(即ち、硫黄、セレンまたはテルル)増感剤または貴金属(例えば金)増感剤によって沈積したハロゲン化銀エピタキシーを有する平板状粒子をさらに化学増感すると、写真感度のさらなる増大を実現することができる。ハロゲン化銀エピタキシー増感に適用することができる化学増感へのこれらの一般的アプローチの総括的要約が、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)、1989年12月、アイテム308119、セクションIII.化学増感に含まれている。米国特許第4,439,520号明細書は平板状粒子乳剤へのこれらの増感の適用を明らかにしている。
【0035】
化学増感への特に好ましいアプローチは、ミドルカルコゲン(一般的には硫黄)および貴金属(一般的には金)化学増感剤を組み合せた硫黄含有熟成剤を用いる。注目される硫黄含有熟成剤は、例えばマクブライド(McBride)の米国特許第3,271,157号明細書、ジョーンズ(Jones)の米国特許第3,574,628号明細書およびローゼンクランツ等(Rosencrants et al)の米国特許第3,737,313号明細書に説明されているようなチオエーテル類を含む。好ましい硫黄含有熟成剤は、ニーズ等(Nietz et al)の米国特許第2,222,264号明細書、ローベ等(Lowe et al)の米国特許第2,448,534号明細書およびイリングスワース(Illingsworth)の米国特許第3,320,069号明細書説明されているチオシアネート類である。ミドルカルコゲン増感剤の好ましい種類は、ハーズ等(Herz et al)の米国特許第4,749,646号および同第4,810,626号明細書に開示されているタイプのテトラ置換ミドルカルコゲン尿素類である。好ましい化合物は、次式によって表わされる化合物を含む。
【0036】
【化1】
【0037】
ここで、Xは硫黄、セレンまたはテルルであり、R1、R2、R3およびR4の各々はそれぞれ独立にアルキレン、シクロアルキレン、アルカリアリーレン、アラルキレンもしくは複素環式アリーレン基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になってR1とR2またはR3とR4が5〜7員の複素環を形成することができ、A1、A2、A3およびA4の各々は、A1R1からA4R4のうちの少なくとも一つが1〜6の炭素原子を含む炭素鎖を介して尿素窒素に結合している酸性基を含むという条件下で、それぞれ独立に水素または酸性基を含んでなる基であることができる。
【0038】
Xは好ましくは硫黄であり、A1R1からA4R4は好ましくはメチルまたはカルボキシメチル(ここで、カルボキシ基は酸または塩形態であることができる)である。特に好ましいテトラ置換チオ尿素増感剤は1,3−ジカルボキシメチル−1,3−ジメチルチオ尿素である。
【0039】
好ましい金増感剤は、ディートン(Deaton)の米国特許第5,049,485号明細書によって開示された金(I)化合物である。これらの化合物は次式によって表わされる化合物を含む。
【0040】
(VI) AuL2 +X− または AuL(L1)+X−
ここで、Lはメソイオン化合物であり、Xは陰イオンであり、L1はルイス酸供与体である。
【0041】
有用な分光増感色素の総括的要約が、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)、1989年12月、アイテム308119、セクションIV.分光増感および減感,A.分光増感色素によって提供されている。米国特許第4,439,520号明細書は、化学増感を生じる加熱工程(仕上げ)以前に乳剤中に分光増感色素を加える、「仕上げ時の色素」増感に関する利点を開示している。分光増感色素はまたサイトディレクターとして作用することができ、および/または仕上げ中に存在することもできるが、分光増感色素が行なう唯一の必要とされる機能は少なくとも一つの分光範囲で乳剤の感度を増加させることである。従って、必要であれば、化学増感を終了した後で、本発明に従って調製した平板状粒子に分光増感色素を添加することができる。米国特許第4,439,520号明細書に開示された分光増感色素、特に構造によって示される青分光増感色素およびスペクトルの緑および赤部分で最高吸収を示すより長いメチン鎖類似体は、超薄平板状粒子乳剤への混合用に特に好ましい。
【0042】
超薄平板状粒子乳剤は同じ平均ECDのより厚い平板状粒子よりもかなり小さな平均粒子容積を示すので、スペクトルの青範囲でのハロゲン化銀の固有の感度は、超薄平板状粒子に関してはより低い。従って、超薄平板状粒子のヨウ化物レベルが比較的高い場合ですら、青分光増感色素は写真感度をかなり改良する。固有のハロゲン化銀吸収に関して深色側にシフトされた露光波長のところでは、超薄平板状粒子は分光増感色素または光量子捕捉用色素にほとんど独占的に依存する。従って、超薄粒子乳剤の粒子表面に吸着している、430nmより長い波長(より長い波長の青、緑、赤および/または赤外の最大吸収を包含する)のところに最大光吸収を示す分光増感色素は、非常に大きな感度増加を産む。これは、一部分は相対的により低い平均粒子容積に起因し、一部分は分光増感色素吸着に利用できる相対的により高い平均粒子表面積に起因する。
【0043】
上述した平板状粒子乳剤の特徴と離れて、本発明に従って調製した乳剤はどんな要望の一般的な形態でもとることができる。例えば、一般的な慣行に従って、本発明の要求を満足する乳剤を調整した後、一種またはそれ以上の他の乳剤と混合することができる。一般的な乳剤混合が、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)、308巻、アイテム308119、セクションI、パラグラフI.に説明されている。
【0044】
本発明に従って調製する平板状粒子乳剤は、フォトサーモグラフィック要素を含めて、写真要素のどんなタイプにも使用することができ、そしてある態様では、スペクトルの3主領域の各々に感受性のある画像色素形成ユニットを含む多層カラー要素に好ましく使用することもできる。各ユニットは、与えられたスペクトル領域に感受性のある単一の乳剤層または複数の乳剤層を有することができる。典型的な多色写真要素は、少なくとも1つのシアン色素形成カップラーと関連している少なくとも1つの赤感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン色素画像形成ユニット、少なくとも1つのマゼンタ色素形成カップラーと関連している少なくとも1つの緑感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ色素画像形成ユニット、および少なくとも1つのイエロー色素形成カップラーと関連している少なくとも1つの青感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー色素画像形成ユニットを含んでなる。この要素は、例えばフィルター層、中間層、上塗り層および下塗り層のような付加的層を含むことができる。画像形成ユニットの層を含めて、この要素の層を当該技術分野で知られた各種の順序で配列することができる。
【0045】
必要であれば、本発明に従って調製した乳剤を使用する写真要素を、ケネス・メイソン・パブリケイションズ(Kenneth Mason Publications,Ltd)によって発行されたリサーチ・ディスクロージャー、1992年11月、アイテム34390(Research Disclosure,November 1992,Item34390)、[ダドレイ・アネックス、12aノース・ストリート、エムスウァース、ハンプシャーP0107DQ、英国(Dudley Annex,12aNorth Street,Emsworth,HampshireP0107DQ,ENGLAND)]および1994年3月15日に発行され、日本特許庁で利用できる発明協会公開技報番号1994−6023に記載されているような適用磁性層と一緒に用いることができる。小フォーマットのフィルムの中で本発明材料を用いることが望まれる場合、リサーチ・ディスクロージャー、1994年6月、アイテム36230、が好ましい態様を提供する。
【0046】
写真製品に使用するための適切な材料についての以下の考察において、上述のように利用可能な、リサーチ・ディスクロージャー、1994年11月、アイテム36544(以後、用語「リサーチ・ディスクロージャー」という)を参照する。以下引用するセクションはリサーチ・ディスクロージャーのセクションである。
【0047】
特別に断らない限り、本発明に従ったハロゲン化銀乳剤を含む要素は、その要素に提供された処理説明書のタイプ(即ち、カラーネガ、反転、または直接ポジ処理)によって指示されたようにネガ型またはポジ型であることができる。化学および分光増感の適切な方法はセクションI〜Vに記載されている。例えばUV色素、蛍光増白剤、カブリ防止剤、安定化剤、光吸収および散乱材料、および物性調節用添加物(例えば硬膜剤、塗布助剤、可塑剤、滑剤、および艶消し剤)のような各種添加剤が、例えば、セクションIIおよびVI〜VIIIに記載されている。カラー材料は、セクションX〜XIIIに記載されている。走査の促進がセクションXIVに記載されている。支持体、露光、現像システム、および処理方法と処理剤がセクションXV〜XXに記載されている。好ましい写真要素および処理段階、特にカラー反射プリントとの組み合わせに有用なものが、リサーチ・ディスクロージャー、1995年2月、アイテム37038に記載されている。
【0048】
例えば米国特許第2,367,531号、同第2,423,730号、同第2,474,293号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,002,836号、同第3,034,892号、同第3,041,236号、同第4,333,999号および同第4,883,746号明細書および「ファルブクプラー−アイネ・リテラチャー・ウーベルジヒト(Farbkuppler−eine Literature Ubersicht)」、第3版、アグファ・ミタイルンゲン(Agfa Mitteilungen)、1961年、p.156−175、のような代表的な特許および刊行物に記載されているような、酸化された発色現像主薬と反応してシアン色素を形成するカプラーのような画像色素形成カプラーを要素中に含むことができる。好ましくは、このようなカプラーは、酸化された発色現像主薬と反応してシアン色素を形成するフェノール類およびナフトール類である。
【0049】
酸化された発色現像主薬と反応してマゼンタ色素を形成するカプラーは、例えば米国特許第2,311,082号、同第2,343,703号、同第2,369,489号、同第2,600,788号、同第2,908,573号、同第3,062,653号、同第3,152,896号、同第3,519,429号、同第3,758,309号および同第4,540,654号明細書、および「ファルブクプラー−アイネ・リテラチャー・ウーベルジヒト(Farbkuppler−eine Literature Ubersicht)」、第3版、アグファ・ミタイルンゲン(Agfa Mitteilungen)、1961年、p.126−156、のような代表的な特許および刊行物に記載されている。好ましくは、このようなカプラーは、酸化されたカラー現像試薬と反応してマゼンタ色素を形成するピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類、またはピラゾロベンズイミダゾール類である。
【0050】
酸化された発色現像主薬と反応してイエロー色素を形成するカプラーは、例えば米国特許第2,298,443号、同第2,407,210号、同第2,875,057号、同第3,048,194号、同第3,265,506号、同第3,447,928号、同第4,022,620号および同第4,443,536号明細書、および「ファルブクプラー−アイネ・リテラチャー・ウーベルジヒト(Farbkuppler−eine Literature Ubersicht)」、第3版、アグファ・ミタイルンゲン(Agfa Mitteilungen)、1961年、p.112−126、のような代表的な特許および刊行物に記載されている。このようなカプラーは典型的には開鎖ケトメチレン化合物類である。
【0051】
酸化された発色現像主薬と反応して無色の生成物を形成するカプラーは、例えば英国特許第861,138号明細書;米国特許第3,632,345号、同第3,928,041号、同第3,958,993号および同第3,961,959号明細書のような代表的特許に記載されている。典型的には、このようなカプラーは、酸化された発色現像主薬と反応して無色の生成物を形成する環状カルボニル含有化合物類である。
【0052】
酸化された発色現像主薬と反応してブラック色素を形成するカプラーは、例えば米国特許第1,939,231号;同第2,181,944号;同第2,333,106号;同第4,126,461号;ドイツ国特許出願公開第2,644,194号;同第2,650,764号明細書のような代表的特許に記載されている。典型的には、このようなカプラーは、酸化された発色現像主薬と反応してブラックまたは中性の生成物を形成するレゾルシノール類またはm−アミノフェノール類である。
【0053】
上記のものに加えて、いわゆる「ユニバーサル」または「ウォッシュアウト」カプラーが使用されてもよい。これらのカプラーは画像色素形成には寄与しない。従って、例えば、無置換または2−もしくは3−位が低分子量置換基で置換されたカルバモイルを有するナフトールを用いることができる。このタイプのカプラーは例えば米国特許第5,026,628号;同第5,151,343号および同第5,234,800号明細書に記載されている。
【0054】
本発明の材料は、画質を改良するために、処理工程、例えば漂白または定着を促進するか、そうでなければ改良する材料と共に用いることができる。例えば欧州特許第193,389号および同第301,477号明細書および米国特許第4,163,669号;同第4,865,956号および同第4,923,784号明細書に記載されたような漂白促進剤放出カプラーが有用となることができる。核生成試薬、現像促進剤またはそれらの前駆体(英国特許第2,097,140号および同第2,131,188号明細書参照)、電子移動試薬(米国特許第4,859,578号および同第4,912,025号明細書参照)、例えばハイドロキノン類の誘導体、アミノフェノール類、アミン類、没食子酸、カテコール、アスコルビン酸、ヒドラジド類、スルホンアミドフェノール類のようなカブリ防止および混色防止試薬、および非色形成カプラーと共にこの組成物を使用することも考慮される。
【0055】
本発明の材料は、また、コロイド状銀ゾルまたはイエロー、シアンおよび/またはマゼンタフィルター色素を水中油滴型分散体、ラテックス分散体または固体粒子分散体として含有するフィルター色素層と組み合わせて要素中に用いることができる。さらに、それらは、スメアリングカプラー(例えば米国特許第4,366,237号;同第4,420,556号および同第4,543,323号明細書および欧州特許第96,570号明細書に記載されているような)と共に用いられてもよい。また、この組成物は、例えば日本公開特許公報61−258249号または米国特許第5,019,492号明細書に記載されているように保護された形にブロックされるかまたは塗布されてもよい。
【0056】
本発明の材料は、更に、例えば現像抑制剤放出化合物(DIR)のような画像改良化合物と組み合わせて用いることもできる。本発明構成物との組み合わせにおいて有用なDIRは当該技術分野で公知であり、その具体例は米国特許第3,137,578号;同第3,148,022号;同第3,148,062号;同第3,227,554号;同第3,384,657号;同第3,379,529号;同第3,616,506号;同第3,617,291号;同第3,620,746号;同第3,701,783号;同第3,733,201号;同第4,049,455号;同第4,095,984号;同第4,126,459号;同第4,149,886号;同第4,150,228号;同第4,211,562号;同第4,248,962号;同第4,259,437号;同第4,362,878号;同第4,409,323号;同第4,477,563号;同第4,782,012号;同第4,962,018号;同第4,500,634号;同第4,579,816号;同第4,607,004号;同第4,618,571号;同第4,678,739号;同第4,746,600号;同第4,746,601号;同第4,791,049号;同第4,857,447号;同第4,865,959号;同第4,880,342号;同第4,886,736号;同第4,937,179号;同第4,946,767号;同第4,948,716号;同第4,952,485号;同第4,956,269号;同第4,959,299号;同第4,966,835号;同第4,985,336号;英国特許第1,560,240号;同第2,007,662号;同第2,032,914号;同第2,099,167号;ドイツ国特許第2,842,063号;同第2,937,127号;同第3,636,824号;同第3,644,416号;欧州特許公開第272,573号;同第335,319号;同第336,411号;同第346,899号;同第362,870号;同第365,252号;同第365,346号;同第373,382号;同第376,212号;同第377,463号;同第378,236号;同第384,670号;同第396,486号;同第401,612号および同第401,613号明細書に記載されている。
【0057】
このような化合物は、また、シー・アール・バー(C.R.Barr)、ジェイ・アール・サートル(J.R.Thertle)およびピー・ダブリュ・ヴィトゥム(P.W.Vittum)、「カラー写真のための現像抑制剤放出(DIR)カプラー(Developer−Inhibitor−Releasing(DIR) Couplers for Color Photography)」、写真科学と工学(Photographic Science and Engineering)、1969年、第13巻、p.174、に記載されている。一般に、現像抑制剤放出(DIR)カプラーは、カプラー部分と抑制剤のカプリング−脱離部分(IN)を含んでいる。抑制剤放出カプラーは、抑制剤を遅れて放出させるタイミング部分または化学スイッチを含んでいる時間遅延タイプ(DIARカプラー)であってもよい。典型的な抑制剤部分の具体例は、オキサゾール類、チアゾール類、ジアゾール類、トリアゾール類、オキサジアゾール類、チアジアゾール類、オキサチアゾール類、チアトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、ベンゾイミダゾール類、インダゾール類、イソインダゾール類、メルカプトテトラゾール類、セレノテトラゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、セレノベンゾチアゾール類、メルカプトベンゾオキサゾール類、セレノベンゾオキサゾール類、メルカプトベンゾイミダゾール類、セレノベンゾイミダゾール類、ベンゾジアゾール類、メルカプトオキサゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトトリアゾール類、メルカプトオキサジアゾール類、メルカプトジアゾール類、メルカプトオキサチアゾール類、テルロテトラゾール類またはベンゾイソジアゾール類である。好ましい態様においては、抑制剤部分または基は下式から選ばれる。
【0058】
【化2】
【0059】
ここで、RIは、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基類、ベンジル基、フェニル基、およびアルコキシ基類からなるグループから選ばれ、これらの基は、1つまたはそれ以上のこのような置換基をさらに含有していてもよいし、含有していなくてもよい。RIIは、RIおよび−SRIから選ばれる。RIIIは、炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基である。RIVは、水素、ハロゲン、アルコキシ、フェニル、カルボンアミド、−COORVおよび−NHCOORV(ここで、RVは、置換および無置換のアリキル基およびアリール基から選ばれる)からなる群より選ばれる。
【0060】
現像抑制剤放出カプラーに含まれるカプラー部分は、それが存在する層で対応する画像色素を形成することが一般的であるけれども、異なった層に関連するカプラーとして異なった色を形成してもよい。現像抑制剤放出カプラーに含まれるカプラー部分が無色の生成物および/または処理中に写真材料を洗い流される生成物を形成することもまた有用であろう(いわゆるユニバーサルカプラー)。
【0061】
上述したように、現像抑制剤放出カプラーは、例えばヘミアセタールの開裂反応を利用する基(米国特許第4,146,396号明細書、および特開昭第60−249148号および同第60−249149号公報);分子内求核置換反応を利用する基(米国特許第4,248,962号明細書);共役系に沿った電子移動反応を利用する基(米国特許第4,409,323号および同第4,421,845号明細書;特開昭第57−188035号,同第58−98728号、同第58−209736号および同第58−209738号公報);エステル加水分解を利用する基(ドイツ特許公開第2,626,315号明細書);イミノケタール類の開裂を利用する基(米国特許第4,546,073号明細書);カプラー反応後カプラーまたは還元試薬として機能する基(米国特許第4,438,193号および同第4,618,571号明細書)および上記の特徴を合わせた基のような抑制基を時間的に遅れて放出させるタイミング基を含むことができる。タイミング基または部分は下式のものが典型的である。
【0062】
【化3】
【0063】
ここで、INは抑制剤部分であり、Zはニトロ、シアノ、アルキルスルホニル、スルファモイル(−SO2NR2)およびスルホンアミド(−NRSO2R)基からなる群から選ばれ、nは0または1であり、RVIは置換および無置換のアルキルおよびフェニル基からなる群から選ばれる。各タイミング基の酸素原子はDIARのそれぞれのカプラー部分のカップリング−脱離位置に結合している。
【0064】
好適な現像抑制剤放出カプラーは以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【化4】
【0066】
【化5】
【0067】
乳剤は、表面感応性乳剤、即ち、潜像を主としてハロゲン化銀粒子の表面に形成する乳剤であることができ、または、乳剤は内部潜像を主としてハロゲン化銀粒子の内部に形成することもできる。乳剤は、例えば表面感応性乳剤もしくはカブらせてない内部潜像形成乳剤のようなネガ型の乳剤であってもよい。また、乳剤はカブらせてない内部潜像形成タイプの直接ポジ乳剤であってもよく、現像が一定の光の露光によって行なわれるかまたは核形成試薬の存在下で行なわれる場合、それはポジ型である。
【0068】
写真要素は、化学線、一般には可視光線に露光されて潜像を形成し、それから処理されて目に見える色素画像を形成する。目に見える色素画像を形成する処理は、現像可能ハロゲン化銀を還元して発色現像主薬を酸化するために、要素を発色現像主薬と接触させる工程を含んでいる。酸化された発色現像主薬は次にカプラーと反応して色素を生成する。
【0069】
ネガ型ハロゲン化銀によって、上記の処理工程はネガ画像を供給する。上述した要素は、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィ・アニュアル(British Journal of Photography Annual)、1988年、p.191−198に記載されている公知のコダック(Kodak)C−41カラープロセスで処理することができる。ポジ(または反転)画像を供給するために、発色現像工程は、露光したハロゲン化銀を現像するが色素を形成しない非発色現像主薬を用いる現像を先に行ない、引き続いてその要素を均一にカブらせて未露光ハロゲン化銀を現像可能にすることができる。このような反転乳剤は、例えばE−6のようなカラー反転処理を用いて処理する説明と共に一般的に市販されている。代わりに、ポジ画像を得るために直接ポジ乳剤を用いることができる。
【0070】
好ましい発色現像主薬は、例えば4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチルN,N−ジエチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(2−メタンスルホンアミドエチル)アニリンセスキスルフェイト水和物、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩、4−アミノ−3−(2−メタンスルホンアミドエチル)−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、および4−アミノ−N−エチル−N−(2−メトキシエチル)−m−トルイジンジ−p−トルエンスルホン酸のようなp−フェニレンジアミン類である。
【0071】
現像の後には、漂白、定着、または漂白定着(銀またはハロゲン化銀を除去する)、洗浄、および乾燥の一般的な工程が通常続く。
【0072】
【実施例】
次の特定の具体例の参照によって本発明を理解することができる。
例1:
[乳剤E−1(比較例)]
撹拌器を備えた反応容器に、石灰処理した骨ゼラチン2.95g、消泡剤としてMAPEG200DOTM(ポリエチレングリコールのジオレイン酸エステル、4−5EO、バスフ(BASF)社製)、NaBr4.04g、0.1MのH2SO4を1.05ccおよび十分な水を入れて、6Lの溶液にした。この時点から全てのAgNO3をこの沈殿反応に使用し終えるまで反応器の内容物を撹拌した。40℃に暖めてゼラチンを溶解した後、反応器およびその内容物を35℃に冷やし、0.06MのKI溶液2.5ccを添加した。10分後、3MのNaBrおよび3MのAgNO3を各々6.67ccずつ4秒間掛けて同時に添加することにより、核生成を行なった。このように、この沈殿反応の全銀量の0.1668%を核生成中に添加した。核生成完了の26秒後に、4.80%NaOCl溶液0.728ccを添加し、30秒間保持した後、5MNaCl溶液90ccを添加した。さらに90秒間保持した後、反応器と内容物を700秒間掛けて54℃に加熱し、54℃で120秒間保持した後、それから2分後に酸化骨ゼラチン100gを、MAPEG200DOTM消泡剤を含んだ十分な水と共に添加し、1500ccの溶液とした。さらに4分間54℃で保持した後、3MのNaBr溶液6.93ccを20秒間掛けて添加した。1分後に、AgNO3、NaBr、および酸化ゼラチンによって解膠したAgIの懸濁水溶液を同時に加速的に添加することによって、成長を開始した。銀イオン電位が、先に述べた3MのNaBr溶液6.93ccの添加によって示した値で一定となるように、そして結果として生じるハロゲン化銀の組成がAgBr0.985I0.015となるように、それぞれの溶液の流量を維持した。37.5分間掛けてAg(Br,I)1.214モルを形成した後、AgNO3およびAgIの流れを中断し、3MのNaBr43.76ccを172秒間掛けて添加し、それから新しい銀イオン電位を維持するように加速された3種類のジェット添加を再開した。22.5分間掛けてさらにAgBr0.985I0.015を1.547モル形成した後、AgNO3およびAgIの流れを再び中断し、3MのNaBr25.3ccを39秒間掛けて添加し、それから加速された3種類のジェット添加を再度再開し、得られる銀イオン電位を維持し、43.93分掛けてAgBr0.985I0.015を合計6.225モル形成した。この区分では、増加した5.705および5.895モルのAgBr0.985I0.015を形成した時間の間に、6.0×10−5gのK3IrCl6を含む溶液もまた添加した。次の成長区分では、21.22分間掛けて形成した乳剤の最後の3モルがAgBr0.94I0.06組成になるようにAgNO3およびAgIの相対的な流量を調整した。このように、合計12モルの乳剤を形成し、最初の75%はAgIが1.5%であり、残りの25%はAgIが6%であった。最後に、乳剤を凝固洗浄した。
【0073】
乳剤試料を走査電子顕微鏡で検査し、得られる粒子画像の投影面積を測定して平均面積を決定した。この平均粒子面積の等価円直径(ECD)を表1に示す。第二の試料上の1,1’−ジエチル−2,2’シアニン色素の飽和被覆量から、色素分子当り0.566nm2およびこの色素の溶液吸光係数を77,300L/モル−cmと仮定して、乳剤の比表面積もまた決定した。比表面積方程式を解いて厚さを求め、その結果もまた表1に示した。表1中のアスペクト比は、ECDおよび厚さのこれらの測定値の比によって与えられる。
[乳剤E−2(比較例)]
この乳剤は、ハロゲン化銀沈殿反応中に0.5〜60モル%の濃度でチオシアネートの使用を開示する米国特許第4,853,323号明細書で提案されたチオシアネートのレベルを試す。E−2の沈殿反応および分析手順は、このケースでは核生成後、成長前に添加するNaCl溶液にNaSCNを含めたことを除いて、上記した乳剤E−1と同じであった。添加したチオシアネートのレベルは480mg/MAgであった。それは、米国特許第4,853,323号明細書で提案された下限より僅かに上の0.592モル%に相当する。結果を表1に示す。
【0074】
チオシアネートのこのレベルは、本発明の目的に反して、アスペクト比がE−1よりも低い結果になったことに注目すべきである。その上、フィルターの詰まり等を含めて、乳剤の操作および塗布が複雑化するために、写真乳剤の製造には非常に好ましくないたくさんの非常に長い棒状物で汚染されていた。従来技術のレベルはアスペクト比とモルフォロジー純度を低下させるので、この比較例は本発明の非自明性を明らかにする。これらの結果は平板状粒子乳剤の沈殿反応へのチオシアネートの使用から逸らすであろう。
[乳剤E−3(発明例)]
本発明は、平板状粒子乳剤の沈殿反応へチオシアネートを本発明に従ったレベルで使用した場合の利点を証明する。
【0075】
この乳剤の沈殿反応および分析手順は、このケースでは核生成後そして成長前に添加するNaCl溶液にNaSCNを含めたことを除いて、乳剤E−1と同じであった。添加したチオシアネートのレベルは80mg/MAgであった。それは、米国特許第4,853,323号明細書で提案された下限より低い0.099モル%に相当する。結果を表1に示す。
【0076】
NaSCNの添加が厚さをほとんど増加させずに大きな平板状粒子の結果になったことに注目すべきである。E−3のアスペクト比がE−1よりも大きいことにも注目すべきであり、それはNaSCNの低レベルの使用が本発明の目的を満たすことを証明している。最後に、このチオシアネートの低レベルの使用がモルフォロジー純度を低下させなかったことに注目すべきである。
[乳剤E−4(比較例)]
この乳剤の沈殿反応手順は、次の変更を除いて、乳剤E−1と同じ一般的な手順に従った。初期反応器溶液は1.512倍多いKIおよび1.15倍多いNaBrを含有した。核生成温度は39℃であり、0.76倍のAgXを核生成中に形成した。このように、この沈殿反応中に添加する全銀量の0.1267%を核生成中に添加した。NaCl添加を成長前60秒まで遅らせ、過剰NaBrの添加を1回のみ行なった(成長中にAg(Br,I)を0.588モル添加した後、3MのNaBrを78cc)。成長組成は均一なAgBr0.985I0.015であり、成長の残り45%で成長温度を35℃に下げ、そして総成長時間はE−1の1.28倍であった。E−1と同じ分析方法をこの乳剤に適用した。結果を表1に示す。
[乳剤E−5(発明例)]
E−4と同じ手順でこの乳剤を沈殿させ、分析したが、このケースでは核生成後そして成長前に添加するNaCl溶液は、Ag1モル当り111mgに達する十分なNaSCNを含有し、それは沈殿したAgに基づいて0.136モル%に相当する。結果を表1に示す。
【0077】
NaSCNのレベルがE−3よりもE−5が高いにもかかわらず、E−5とE−4を対比してNaSCNの添加による相対的サイズの増大が、E−3とE−1の対比に見られるよりも少ない。これは、E−5ではNaSCNの添加を遅い時間に行なったためであると考える。E−3では、熟成工程のスタート近くでチオシアネートを添加し、その結果35℃で90秒間、35℃から54℃に温度を上げる700秒間、および追加のNaBrを添加するまで54℃で6分間核を熟成する機会があり、その直後に成長を始めた。対照的にE−5では、チオシアネートはNaBrを添加するまで54℃で60秒間存在したのみであった。すなわち、より早い添加は、より遅い添加よりも粒子サイズにより大きな相対的効果を有する。しかし、なお、NaSCNは、厚さをほとんど増加させずに、平板状粒子サイズを増加させるという好ましい効果を有する。従って、アスペクト比はNaSCN添加の結果として増加し、モルフォロジー純度は悪化しない。
[乳剤E−6(発明例)]
この乳剤の沈殿反応は、次の変更を除いて、乳剤E−1と同じ一般的な手順に従った。反応器中のゼラチンは酸化石灰処理型であり、ヨウ化物はKIよりもむしろAgIとして存在した。核生成を40℃で行ない、その間に0.010モルのAgBr0.985I0.015を形成した。成長前に添加するNaCl溶液は、NaSCNもAg1モル当り120mgのレベル(沈殿するAgの全量に基づいて0.149モル%)で含有した。成長温度は59℃であり、成長前に1.88倍程の多くのNaBrを添加したが、しかし成長中の他のNaBr添加はE−1とほとんど同じであった。この乳剤の組成概要は、最初の25%がAgBr0.985I0.015であり、次の12.5%がAgBr0.94I0.06であり、残りの沈殿物がAgBrであった。K3IrCl6添加は省き、そして最後の25%は温度を45℃に下げ、pBrを約2.9に上げた。E−1と同じ分析方法をこの乳剤に適用した。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
[分光分析:透過]
本発明に従って調製した乳剤の赤外吸収を、米国特許第4,853,323号および同第4,921,784号明細書に従って調製した乳剤と比較するために、上記の乳剤E−6および米国特許第4,921,784号明細書の乳剤1の記載に従って調製した乳剤(以後、比較乳剤E−7と称する)の試料をタカミン(Takamine)で非ゲル化し、それから0.19MのKBr中に再分散し、それから遠心分離機にかけ、蒸留水中に再分散し、再び遠心分離機にかけ、メタノール中に再分散し、再び遠心分離機にかけ、そして最後に真空乾燥した。それから、各乳剤から非ゲル化したハロゲン化銀粒子の試料20mgを、ゴム製O−リングおよび25mm径カラーを備えたダイセット(ウィルマド(Wilmad)カタログNo.107−3)に入れた。KBrクウィックプレス(インターナショナル・クリスタル・ラボラトリーズ(International Crystal Laboratories)カタログNo.0012−4977)を用いて、粒子を透明ウィンドウに圧縮した。プレスは再現できるが任意の圧力計を備えている。縁とり量を最小にする、透明ウィンドウを作る最低の圧力を使用することによって最適圧力を決めた。代表的な吸光度結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
E−7のスペクトル結果は、米国特許第4,921,784号明細書と申し分なく同じ結果を得ており(引用特許の表1は乳剤1に関して0.07の吸光度を報告しており、上記E−7について表2に示した値と非常に近い)、そしてこの作業で用いた計器の較正として処理することができる。表2中のE−6についてのデータは、明確に、比較乳剤E−7よりも2052cm−1で実質的により低い吸光度を示し、小さな信号の存在はハロゲン化銀粒子の中にチオシアネートイオンが存在することを示している。2052cm−1のSCN−吸光度はまた、非ゲル化した粉末からDRIFTS(拡散反射赤外フーリエ変換分光法)を用いてさらに高い感度で観察することもできる。この技法は、ハロゲン化銀の沈殿反応中に添加したSCN−と例えば化学増感工程の一部として後で添加したSCN−との間の区別をすることが可能である。2114および2070cm−1のバンドは粒子表面上のSCN−に特有であり、そしてKBr洗浄によってその物質を除去することができる。しかし、チオシアネートが沈殿反応中に存在していた場合、KBr洗浄後に2052cm−1のバンドが残り、そしてこの後者のバンドは、Ag1モル当りNaSCN10mg程度の少ない量で作った乳剤に、ノイズ比に対して良好な信号によって観察することができる。
例2:
[感度/粒状度の比較]
米国特許第5,576,168号明細書の乳剤MおよびLの記載と類似の手順を用いて、乳剤E−4およびE−5を各々最適に増感した。従って、これらの乳剤を、可視スペクトルの赤領域で吸収するように染色し、そしてAg(Cl,Br,I)エピタキシー(名目上組成:AgBr0.42Br0.42I0.16)の形成後、化学増感した。引用した文献との相違は、ホスト乳剤に基づいて6モル%のエピタキシーではなく3モル%にしたこと、モル比1:1の色素1および色素2の使用、および硫黄増感剤として増感剤1の使用を含んでいる。
【0082】
【化6】
【0083】
グレイの銀ハレーション防止層を被覆した酢酸セルロース支持体上に増感した乳剤を塗布し、そして該乳剤層をゼラチン層でオーバーコートした。乳剤を0.646gAg/m2でレイダウンし、この層はまた、カプラー1および2をそれぞれ0.323g/m2および0.019g/m2、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3A,7−テトラアザインデン(Na+塩)を10.5mg/m2、およびゼラチンを合計1.08g/m2含有した。
【0084】
【化7】
【0085】
そのように塗布した乳剤を感度と粒状度について、本ケースでは、粒状度段階が21段階のタブレットが0〜4の濃度範囲を有し、Dminの上0.15の濃度で感度を測定した点を除いて、米国特許第5,576,168号明細書の27欄65行から28欄25行の記載と同じように評価した。結果を表3に示す。ここで、感度差は100×ΔLogEの単位で記録し、相対的粒状度はコントラスト標準化粒状度プロットにおける最小値を引いた。表3から分かるように、熟成剤としてチオシアネートを使用して作った乳剤はより低いDmin、より高い感度、および調和した粒状度を有する。従って、熟成剤としてチオシアネートの使用は感度/粒状度比において有利な結果になる。
【0086】
【表3】
【0087】
例3:
本発明の他の有用な適用が、多少厚い平板状臭ヨウ化物乳剤の沈殿反応中に低レベルのチオシアネートを添加する場合に見出された。最初の90%の沈殿反応中に臭ヨウ化物塩溶液(臭素94%/ヨウ素6%)をかまに流し込むことによって、これらの乳剤を調製し、平均5.4%のヨウ化物を含む粒子を得た。このシリーズでの直径測定は、米国特許第5,786,898号明細書に記載されているディスク遠心分離技法を用いて行なった。遠心分離から得られるストークス直径を幾何学的に補正して、平板状粒子の等価円直径を得た。「オプティクス(Optics)」、ジョーン・ウィリィ&サンズ(John Wiley & Sons)、1970年、p.582〜585、に記載されている等式、および「写真プロセスの理論(The Theory of the Photographic Process)」、45版、1977年、p.579に記載されているゼラチンと臭化銀の屈折分散を用いて、粒子のスペクトル反射率から厚さを求めた。
[乳剤E−8(比較例)]
18.4gの酸化石灰処理骨ゼラチン、32.3gの臭化ナトリウム、および消泡剤を52℃に維持した蒸留水4.6L中に含有しており、そしてよく撹拌してある反応容器に、0.21Mの硝酸銀溶液を35mL/分の流量で14.83分間添加した。核生成に引き続いて、350mLの蒸留水を添加し、10分間熟成を行なった。蒸留水2.4L中の追加の消泡剤と共に追加の酸化石灰処理した骨ゼラチン222gを添加し、結晶の成長を開始した。最初の15分間の成長をpAg9.310で、ダブルジェット法でNaBr0.94KI0.06と共に3.9M硝酸銀を等モル添加することによって行なった。この間、流速を7.4mL/分から22.1mL/分に傾斜的に上げた。次の33.24分間、pAgを9.177に維持し、流速を22.1から169mL/分に傾斜的に上げた。この時点で、製造用の全銀量の90%を添加した。合計276mLの蒸留水中のKSeCNをAg1モル当り160μg添加し、その後NaBr0.94KI0.06の3.9M溶液を187mL/分で2分間添加した。3.9M硝酸銀を50mL/分の流速で7.9分間添加し、その時点で3.9M臭化ナトリウムの等モル添加をダブルジェット法で開始し、pAgを8.552に維持した。それから、沈殿反応を8.41分間追加して行ない、平均5.4%のヨウ化物を含む乳剤を15.8モル得た。過剰の塩を限外濾過により除去し、粒子サイズ1.52×0.134μmの乳剤を得た。
[乳剤E−9(発明例)]
核生成および熟成後、ゼラチン222gの添加と共にナトリウムチオシアネートを0.069モル%かまに添加することを除いて、E−8と同じ方法で乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが1.74×0.118μmであった。
【0088】
表4に示したように、乳剤沈殿反応への少量のナトリウムチオシアネートの添加は乳剤粒子を大きく且つ薄くし、それによってアスペクト比が増加する。
【0089】
【表4】
【0090】
[乳剤E−10(比較例)]
製造温度が40℃であり、最初の成長区分のpAgが9.681であり、残りの成長のpAgが9.543であり、そして最後の沈殿反応工程のpAgが8.890であることを除いて、E−8と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.69×0.126μmであった。
[乳剤E−11(発明例)]
0.247モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−10と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.95×0.118μmであった。
[乳剤E−12(比較例)]
0.493モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−10と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.79×0.154μmであった。
[乳剤E−13(比較例)]
0.740モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−10と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが0.71×0.261μmであった。
【0091】
E−10〜E−13の乳剤シリーズは、表5に示したように、ナトリウムチオシアネート量増加の効果を比較している。ナトリウムチオシアネートを0.247モル%添加した場合、粒子は大きく且つ薄くなり、アスペクト比が増大した。しかし、ナトリウムチオシアネートが0.493モル%およびそれ以上のレベルでは粒子が厚くなり、アスペクト比の減少を導いた。
【0092】
【表5】
【0093】
[乳剤E−14(比較例)]
製造温度が57℃であり、最初の成長区分のpAgが9.165であり、残りの成長のpAgが9.028であり、そして最後の沈殿反応工程のpAgが8.428であることを除いて、E−8と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが2.23×0.134μmであった。
[乳剤E−15(発明例)]
0.247モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−14と同じ方法でこの乳剤E−15を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが2.77×0.128μmであった。
[乳剤E−16(比較例)]
0.740モル%のナトリウムチオシアネートを沈殿反応に添加することを除いてE−14と同じ方法でこの乳剤を調製した。得られた乳剤は粒子サイズが2.81×0.173μmであった。
【0094】
表6のデータは、十分に低いレベルで添加した場合の、粒子を厚くせずに平板状乳剤のアスペクト比を増加させるチオシアネートの能力を再び証明している。
【0095】
【表6】
Claims (6)
- 銀に基づいて50モル%より多い臭素化合物を含有し、総粒子投影面積の50%より多くを占め、平均アスペクト比が少なくとも5である、{111}主面および少なくとも2のアスペクト比を有する平板状粒子を含有するハロゲン化銀粒子と分散媒体とを含んでなる高臭化物平板状粒子乳剤を調製する方法であって、該方法は下記(i)および(ii)を含んでなる。
(i)粒子核生成工程において、平行双晶面を有する平板状ハロゲン化銀粒子核を分散媒体中に創成すること、そして
(ii)粒子成長工程において、引き続いて、反応容器に銀イオン源とハロゲン化物イオン源とを添加し、そして前記平板状粒子核の上にハロゲン化銀を沈殿させることによってハロゲン化銀反応容器中で前記平板状粒子核を平板状粒子に成長させること、その際に、反応容器に添加する全銀量の少なくとも最後の10モル%の添加以前にハロゲン化銀反応容器にチオシアネートイオンを、反応容器に添加する全銀量に基づいて最大0.4モル%の濃度で導入すること。 - 反応容器に添加する銀の最後の50%添加以前に反応容器にチオシアネートを導入する請求項1記載の方法。
- 銀の5%未満を反応容器に添加する粒子核生成工程(i)の後でチオシアネートイオンを反応容器に添加する請求項1または2に記載の方法。
- 平板状粒子の平均アスペクト比が少なくとも8である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 平板状粒子の平均粒子厚さが0.10μm未満である請求項1〜4いずれか一項に記載の方法。
- 支持体、および該支持体上に塗布した、請求項1〜5いずれか一項に記載の方法によって調製した乳剤を含んでなるハロゲン化銀乳剤層を有する写真要素。
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