JP2004045654A - 静電潜像現像用マゼンタトナー - Google Patents

静電潜像現像用マゼンタトナー Download PDF

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JP2004045654A JP2002201771A JP2002201771A JP2004045654A JP 2004045654 A JP2004045654 A JP 2004045654A JP 2002201771 A JP2002201771 A JP 2002201771A JP 2002201771 A JP2002201771 A JP 2002201771A JP 2004045654 A JP2004045654 A JP 2004045654A
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Yasuhiro Shibai
芝井 康博
Satoshi Ariyoshi
有好 智
Yoshiaki Akazawa
赤澤 良彰
Toshika Hayashi
林 利香
Katsumi Adachi
足立 克巳
Shinichi Nakano
仲野 真一
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【課題】高分散されたキナクリドン顔料を高濃度に含有し、透明性および色再現性に優れる小粒子径の静電潜像現像用マゼンタトナーを提供する。
【解決手段】静電潜像現像用マゼンタトナーは、キナクリドン顔料とイタコン酸を含むアクリル樹脂とを含み、トナー製造装置1において超臨界流体を利用して作製される。前記アクリル樹脂は、比較的構造が安定であり、炭素数が12以上のアルキル基をグラフトさせることによって立体構造がさらに安定化される。このことによって、長期にわたってキナクリドン顔料とアクリル樹脂との吸着が保持されキナクリドン顔料の分散性が向上するので、高分散されたキナクリドン顔料を高濃度に含有し透明性および色再現性に優れる静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することが可能になる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式による画像形成方法において静電潜像を現像して可視化する静電潜像現像用トナーに関し、特にマゼンタトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式において静電潜像の現像に利用される静電潜像現像用トナー(以後、トナーと略称する)は、画像の高精彩化の要求に伴い小粒子化される傾向にあり、トナーの粒子(以後、トナー粒子と呼ぶ)の体積平均粒子径が5〜15μm程度の微粒子として作製されている。
【0003】
トナーの作製には、粉砕法が広く用いられている。粉砕法は、予め別工程において作製された結着樹脂に顔料および帯電制御剤などを加え溶融混練によって混合後、粉砕工程において粉砕し小粒子径のトナー粒子を作製する。粉砕工程には、トナー粒子同士を衝突させることによって小粒子径のトナー粒子を作製する表面粉砕方式、トナー粒子を粉砕板に衝突させることによって小粒子径のトナー粒子を作製する体積粉砕方式などが用いられる。得られたトナー粒子はたとえば風力分級機によって予め定められた所望の粒子径範囲に調整される。粉砕法によれば、小粒子径になるほど所望のトナーを得るまでの工程が繁雑であるのでコストが高いだけでなく、得られるトナー粒子の粒子径分布を狭くするには限界がある。
【0004】
このため、得られるトナー粒子の形状が球形で粒子径の制御が容易であり、粉砕法と比較して生産性にも優れる重合法と呼ばれるトナーの作製方法が提案されている。重合法には、たとえば乳化重合法および懸濁重合法などが利用される。乳化重合法は、顔料などを分散させたモノマーを乳化剤を用いて乳化させ、水などの溶媒に可溶な開始剤で重合させることによって球状のトナー粒子を作製する方法である。また懸濁重合法は、顔料などを分散させたモノマーを油相とし、油相と水相とを攪拌することによって液滴を形成させ、液滴内のモノマーを重合させることによって球状のトナー粒子を作製する方法である。
【0005】
以上のような重合法は、ラジカル重合などの付加反応によってモノマーを重合し結着樹脂とするので、得られる結着樹脂は主にアクリル樹脂に限定される。したがって、重合法によって作製されたトナー粒子を利用して透明性が高く色再現性のよいカラー画像を得るには限界がある。
【0006】
重合反応を利用しないトナー作製方法としては液中乾燥法および特開2001−312098号公報開示の先行技術がある。液中乾燥法は、たとえばトルエンなどの溶剤に結着樹脂および顔料などのトナー材料を分散させて得られる油相を水相に乳化または懸濁後、脱溶剤を行なうことによってトナー粒子を作製する方法である。
【0007】
図1は、従来のトナー製造装置1の構成を簡略化して示す系統図である。特開2001−312098号公報開示の先行技術によれば、以下のようにトナー粒子が作製される。ガスボンベ2から超臨界流体となるたとえば二酸化炭素(化学式:CO)などのガスが、加圧ポンプ4によって所望の圧力に高められ反応容器3に供給される。また超臨界流体と顔料などのトナー材料との親和性を高めるエントレーナもボンベ5から加圧ポンプ6によって所望の圧力に高められ反応容器3に供給される。このとき前記ガスとエントレーナは図示しない加熱コイルなどで加熱され、第1および第2圧力調整バルブ7,8を介して反応容器3の内部空間にそれぞれ供給される。反応容器3の内部空間には予め結着樹脂および顔料などのトナー材料が供給され、加熱ヒータ9によって所望の温度に加熱される。前記ガスおよびエントレーナが反応容器3の内部空間に供給され圧力調整バルブ7,8によって反応容器3の内部空間の圧力が調整される。このとき、反応容器3の内部空間の温度および圧力は温度計10および圧力計11によりモニタされる。
【0008】
反応容器3の内部空間の温度および圧力が臨界点以上になると、結着樹脂および顔料などのトナー材料が超臨界流体に溶解され混合された状態となる。第3圧力調整バルブ12を開くことによって超臨界流体が急速に膨張し、超臨界流体中に溶解している結着樹脂および顔料などの溶解度が著しく低下する。顔料および結着樹脂と超臨界流体およびエントレーナとの親和性、反応容器3の内部空間の圧力条件を適切に設定しておくことによって、顔料などのトナー材料を含んで結着樹脂が微粒子状に析出しトナー粒子13が作製される。得られたトナー粒子13は、ノズル14を介してトナー粒子捕集箱15に採取される。
【0009】
以上のような液中乾燥法および特開2001−312098号公報開示の先行技術によれば、重合反応を利用することなくトナー粒子が作製されるので、結着樹脂の選択肢が広く、透明性および色再現性に優れる結着樹脂を使用することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述した液中乾燥法および特開2001−312098号公報開示の先行技術には以下の問題がある。耐候性が高く難分散性顔料として知られているマゼンタ顔料の1種であるキナクリドン顔料を用いて液中乾燥法または特開2001−312098号公報開示の先行技術によってトナー粒子を作製した場合、透明性および色再現性に優れる結着樹脂を使用してもシアン顔料およびイエロー顔料を使用して作製したトナー粒子と比較して、形成される画像の透明性および色再現性が充分ではないという問題がある。
【0011】
また近年、トナーの消費量を低減させる観点から顔料濃度の高いトナーが要求されており、顔料濃度を高くするために顔料の高分散化が必要とされている。結着樹脂中に顔料を高分散させる先行技術は、たとえば特開平8−160665号公報に開示されている。スチレン系高分子の主鎖と下記一般式(2)で示される側鎖とからなるグラフト重合体に顔料を均一に分散させたものを結着樹脂中に分散させると、グラフト重合体が、均一に分散された顔料を含む微粒子となって結着樹脂中に分散される。得られた分散液を使用して粉砕法によってトナー粒子が作製される。以上のように前記グラフト重合体を添加することによって顔料が高分散化されたトナー粒子が作製される。
【0012】
【化2】
Figure 2004045654
【0013】
(式中、Rは水素原子、炭素数11〜17のアルキル基またはアリール基を示す。RおよびRは、水素原子または炭素数1〜17のアルキル基を示す。Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。Rは水素原子、水酸基またはメチル基を示す。Xは陰イオンを示し、nは2以上の整数を示す。)
【0014】
前述したグラフト重合体は、特に黒色顔料の1種であるカーボンブラックに対して好適であるけれども、キナクリドン顔料に対しては顕著な効果は見られないという問題がある。また電子写真感光体の帯電プロセスにはコロナ放電が多く利用される。コロナ放電は、正の放電よりも負の放電において多くのオゾンが発生するので、電子写真感光体の正帯電化が求められている。正帯電化される電子写真感光体には負帯電トナーが使用されるが、前記グラフト重合体は塩基性を示し正に帯電するので、負帯電トナーの作製には好適ではないという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、高分散されたキナクリドン顔料を高濃度に含有し、透明性および色再現性に優れる小粒子径の静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料および樹脂を含み静電潜像を可視化するトナーを有する静電潜像現像用マゼンタトナーにおいて、
前記顔料には、キナクリドン顔料が含まれ、
前記樹脂は、下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする静電潜像現像用マゼンタトナーである。
【0017】
【化3】
Figure 2004045654
【0018】
本発明に従えば、静電潜像現像用マゼンタトナーはキナクリドン顔料と、一般式(1)で示される構造を有する樹脂とを含む。一般式(1)で示される構造を有する樹脂は、比較的固定された構造であり、このような構造はキナクリドン顔料に一旦吸着すると脱着しにくいと推測される。したがって、樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定になり、キナクリドン顔料間の凝集を抑制しキナクリドン顔料の分散性を向上させるので、高い顔料濃度を有し透明性および色再現性に優れる静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することが可能になる。また、前記樹脂は酸性を示し負に帯電するので、負帯電トナーの作製に好適に用いることができる。
【0019】
また本発明は、前記樹脂は、
前記一般式(1)で示される構造を有するイタコン酸を含むアクリル樹脂であることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、樹脂は、アクリル樹脂であり、イタコン酸をラジカル重合することによって得られる。したがって、モノマーの比率、開始剤の量および重合温度などのラジカル重合反応の条件を適切に設定することによって、たとえば所望の酸価、分子量およびガラス転移温度Tなどを有する樹脂を容易に作製することができる。
【0021】
また本発明は、前記樹脂は、
炭素数が12以上のアルキル基がグラフトされた構造を有するアクリル樹脂であることを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、アクリル樹脂に炭素数が12以上のアルキル基をグラフトさせることによって、アクリル樹脂の立体構造が安定化される。したがって、長期にわたって樹脂とキナクリドン顔料との吸着が保持され、キナクリドン顔料の分散性を高く保つことができる。このことによって、キナクリドン顔料が高分散された静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することができる。
【0023】
また本発明は、前記樹脂は、
酸価が10mgKOH/g以上、90mgKOH/g以下であることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、樹脂の酸価は適正な範囲に設定されるので、キナクリドン顔料は、樹脂の酸性基とキナクリドン顔料の塩基性基との相互作用によって樹脂に吸着され、樹脂に吸着されたキナクリドン顔料間で凝集が起こることなく高分散される。このことによって、透明性および色再現性の高い静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することができる。
【0025】
また本発明は、前記樹脂は、
重量平均分子量が3000以上、25000以下であることを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、樹脂の重量平均分子量を適正範囲に選択することによって、樹脂の立体構造が安定化されて樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定になり、キナクリドン顔料間の凝集が抑制されるので、キナクリドン顔料の分散性を高く保つことができる。
【0027】
また本発明は、前記キナクリドン顔料は、
表面が塩基性化された表面処理顔料であることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、キナクリドン顔料表面の塩基性基と樹脂の酸性基とが相互作用することによって、キナクリドン顔料と樹脂との親和性が高まると推測される。したがって、樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定化されて、キナクリドン顔料の分散性を向上させることが可能になる。
【0029】
また本発明は、前記キナクリドン顔料は、
トナーの重量に対する百分率で5重量%以上、20重量%以下となるように含有されることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、トナーは、キナクリドン顔料を5重量%以上、20重量%以下の高濃度に含有するので、静電潜像の現像に際してトナーの消費量を低減することが可能であり、かつ透明性や色再現性を確保することができる。
【0031】
また本発明は、前記トナーの粒子は、
体積平均粒子径が3μm以上、8μm以下であることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、トナーの粒子が小粒子径であるので、キナクリドン顔料を高濃度で含有させても階調性に優れ記録媒体に対して少ない付着量で画像濃度が高い画像を得ることができる。このことによって、トナーの消費量を低減することが可能になる。
【0033】
また本発明は、前記トナーの粒子は、
少なくとも前記樹脂およびキナクリドン顔料を溶剤に分散して得られる分散ペーストと結着樹脂とを混合した油相を水相に乳化または懸濁後、脱溶剤を行なう液中乾燥法によって作製されることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、トナーの粒子は液中乾燥法によって重合反応を行なうことなく作製されるので、使用できる結着樹脂に制約を受けることが少なく、多くの選択肢から所望の結着樹脂を使用することができる。このことによって、透明性および色再現性に優れる小粒子径の静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することが可能になる。
【0035】
また本発明は、前記トナーの粒子は、
少なくとも前記樹脂およびキナクリドン顔料を溶剤に分散して得られる分散ペーストと結着樹脂とを混合して超臨界流体中に溶解し、前記樹脂、キナクリドン顔料および結着樹脂の超臨界流体に対する溶解度を低下させて前記樹脂およびキナクリドン顔料を含むように結着樹脂を微粒子状に析出させることによって作製されることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、トナーの粒子は超臨界流体を利用して重合反応を行なうことなく作製されるので、使用できる結着樹脂に制約を受けることが少なく、多くの選択肢から所望の結着樹脂を使用することができる。このことによって、透明性および色再現性に優れる小粒子径の静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することが可能になる。
【0037】
また本発明は、前記分散ペーストは、
少なくとも前記樹脂、キナクリドン顔料および溶剤を容器の内部に供給し、容器の内部に回転可能に設けられる攪拌羽根を、周速25m/s以上の速度で回転させて遠心力を発生し、前記樹脂、キナクリドン顔料および溶剤を遠心力で容器の内壁に押付け混合することによって作製されることを特徴とする。
【0038】
本発明に従えば、樹脂およびキナクリドン顔料が均一に高分散された分散ペーストを作製することができるので、キナクリドン顔料が高分散された静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することが可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態である静電潜像現像用マゼンタトナー(以下、マゼンタトナーと略称する)は、顔料と樹脂とを含み静電潜像を可視化するトナーを有する。顔料には、キナクリドン顔料が含まれ、樹脂は、下記一般式(1)で示される構造を有する。
【0040】
【化4】
Figure 2004045654
【0041】
前記一般式(1)で示される構造を有する樹脂は、比較的固定された構造であり、このような構造はキナクリドン顔料に一旦吸着すると脱着しにくいと推測される。したがって、樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定になり、キナクリドン顔料間の凝集を抑制しキナクリドン顔料の分散性を向上させるので、高い顔料濃度を有し透明性および色再現性に優れるマゼンタトナーを提供することが可能になる。また、樹脂は酸性を示し負に帯電するので、負帯電トナーの作製に好適に用いることができる。
【0042】
前記樹脂としては、前記一般式(1)で示される構造を有するイタコン酸を含むアクリル樹脂が好適に使用される。前記アクリル樹脂は、イタコン酸をラジカル重合することによって作製される。したがって、モノマーの比率、開始剤の量および重合温度などのラジカル重合反応の条件を適切に設定することによって、たとえば所望の酸価、分子量およびガラス転移温度Tなどを有する樹脂を容易に作製することができる。
【0043】
またアクリル樹脂は、炭素数が12以上のアルキル基がグラフトされた構造を有する。したがって、アクリル樹脂の立体構造が安定化され、長期にわたってアクリル樹脂とキナクリドン顔料との吸着が保持される。このことによって、キナクリドン顔料の分散性を高く保つことができるので、キナクリドン顔料が高分散されたマゼンタトナーを提供することができる。
【0044】
炭素数が12以上のアルキル基をグラフトさせる方法としては、たとえばラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、分子片末端に重合性不飽和基を1個含有するマクロモノマー類をアクリル樹脂と共重合させる方法、水酸基含有アクリル樹脂にラクトン類を開環反応させる方法または高分子開始剤を用いる方法などがある。
【0045】
また、アクリル樹脂と共重合可能な前述した以外のモノマーとしては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどの芳香属ビニル類、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどの重合性ニトリル類、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、含フッ素アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類などのフッ素原子を有するビニルモノマー類、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾールなどの第三級アミノ基含有モノマー類、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどの紫外線吸収性または酸化防止性を有するモノマー類、N−ビニルピロリドン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド類などの官能基含有モノマー類、2−ホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、4−ホスホオキシブチル(メタ)アクリレートなどのリン酸基含有モノマー類などがある。またこれらのモノマーとイタコン酸とを共重合することによってアクリル樹脂を作製してもよい。
【0046】
以上のような構造を有するアクリル樹脂の合成にはラジカル重合性の開始剤が必要である。開始剤としては、たとえば亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩類、アゾ系類(V−60、V−65、VA−601、VA−501:和光純薬工業(株)製)、有機過酸化物(カヤエステルO、カヤブチルB、ラウロックス;化薬アクゾ(株)製)などがある。これらの開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
前記アクリル樹脂は、酸価が10mgKOH/g以上、90mgKOH/g以下、好ましくは20mgKOH/g以上、70mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以上、50mgKOH/g以下である。酸価が10mgKOH/g未満である場合、アクリル樹脂の酸性基とキナクリドン顔料の塩基性基との相互作用が小さくキナクリドン顔料がアクリル樹脂に吸着される量が少ない。したがって、アクリル樹脂に吸着していないキナクリドン顔料間で凝集が起こることによってキナクリドン顔料の分散性が低下する。また、酸価が90mgKOH/gを超える場合、アクリル樹脂に吸着しているキナクリドン顔料間で凝集が起こるために分散性が低下する。したがって、透明性や色再現性に劣るマゼンタトナーとなる。
【0048】
また前記アクリル樹脂は、重量平均分子量が3000以上、25000以下であり、好ましくは5000以上、20000以下、より好ましくは7000以上、15000以下である。重量平均分子量が3000未満である場合、アクリル樹脂の立体構造の安定性が低下し、キナクリドン顔料の分散性が低下する。また、重量平均分子量が25000を超える場合、アクリル樹脂に吸着したキナクリドン顔料間で凝集が起こりキナクリドン顔料の分散性が低下する。したがって、透明性や色再現性に劣るマゼンタトナーとなる。
【0049】
トナーの粒子(以後、トナー粒子と呼ぶ)は、液中乾燥法または特開2001−312098号公報開示のトナー作製方法によって作製される。トナー粒子は、体積平均粒子径が3μm以上、8μm以下であり、好ましくは、4μm以上、7μm以下、より好ましくは5μm以上、6μm以下である。体積平均粒子径が3μm未満である場合、トナー飛散により非画像部にトナーが付着する白地カブリが発生するとともに、所定の画像濃度の画像を形成するために必要なトナー付着量が増加し製造コストも大幅に増加する。また体積平均粒子径が8μmを超える場合、均一な画像を形成することができず、キナクリドン顔料を高濃度に含有させると形成される画像は透明性、色再現性および階調性に劣る。
【0050】
まず液中乾燥法によってトナー粒子を作製する各工程について以下に説明する。第1工程は、トナー材料を溶媒中に混合させて、溶解または分散する混合工程である。この混合工程で、少なくとも前記アクリル樹脂およびキナクリドン顔料を含むトナー材料を分散機を用いて溶剤中に溶解または分散させることによって分散ペーストを作製し、分散ペーストをトナー材料である結着樹脂と混合することによってトナー材料の混合液を得る。アクリル樹脂、キナクリドン顔料および結着樹脂以外のトナー材料としては、トナーの定着性向上のために用いられる離型剤、トナーの帯電性を制御する帯電制御剤、トナーに磁性を与える磁性粉などがある。
【0051】
分散機としては、サンドミルなどのメディア入り分散機、高圧分散機、超音波分散機または薄膜旋回型高速ミクサなどが用いられる。前述した分散機の中でも薄膜旋回型高速ミクサ(T.K.フィルミックス:特殊機化工業(株)製)が好ましい。薄膜旋回型高速ミクサは、少なくとも前記樹脂、キナクリドン顔料および溶剤を容器の内部に供給し、容器の内部に回転可能に設けられる攪拌羽根を、周速25m/s以上の速度で回転させて遠心力を発生し、前記樹脂、キナクリドン顔料および溶剤を遠心力で容器の内壁に押付け混合することによって分散ペーストを作製する。このことによって、少なくともアクリル樹脂およびキナクリドン顔料が均一に高分散された分散ペーストを作製することができるので、キナクリドン顔料が高分散されたマゼンタトナーを提供することが可能になる。
【0052】
また混合液は、分散ペーストを作製することなく、予めアクリル樹脂および結着樹脂にキナクリドン顔料、離型剤、帯電制御剤などを混練させた後溶剤中に溶解または分散させて作製してもよいし、アクリル樹脂と結着樹脂とを溶剤中に溶解させた後分散機などを用いてキナクリドン顔料、離型剤および帯電制御剤などを分散させて作製してもよい。混合工程では、結着樹脂が溶剤中に溶解し、キナクリドン顔料が分散した状態であれば、いかなる方法を用いて混合液を作製してもよい。
【0053】
結着樹脂としては、熱可塑性樹脂であり、分散媒として用いる溶剤に溶解し、前記アクリル樹脂と相溶するものであれば特に限定されない。たとえばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウムなどのエチレン性不飽和酸単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類などの単量体、単独重合体、単量体を2種以上組合せた共重合体または単量体の混合物、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂、非ビニル縮合系樹脂とビニル系樹脂との混合物または非ビニル縮合系樹脂およびビニル系樹脂の共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体などがある。これらの結着樹脂はとくに限定されないけれども、ポリエステル樹脂またはポリエーテル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂またはポリエーテル樹脂は、トナーの透明性および耐久性の向上に優れた特性を有する。
【0054】
顔料として、キナクリドン顔料がトナーの重量に対する百分率で5重量%以上、20重量%以下、好ましくは8重量%以上、17重量%以下、より好ましくは10重量%以上、15重量%以下となるように含有される。5重量%未満である場合、トナー消費量の低減量が少ない。20重量%を超える場合、色相および透明性に劣る。
【0055】
キナクリドン顔料には、表面が未処理のキナクリドン顔料を用いてもよいし、たとえば樹脂によって表面が処理された表面処理顔料であるキナクリドン顔料を用いてもよい。好ましくは、表面が塩基性化された表面処理顔料であるキナクリドン顔料を用いる。キナクリドン顔料の表面を塩基性化することによって、キナクリドン顔料表面の塩基性基と樹脂の酸性基とが相互作用し、アクリル樹脂とキナクリドン顔料との親和性が高まると推測される。したがって、アクリル樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定化されて、キナクリドン顔料の分散性を向上させることが可能になる。
【0056】
離型剤としては、各種ワックス、特に低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスなどがある。帯電制御剤としては、たとえば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などがある。磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイト、各種フェライトなどがある。
【0057】
また、トナー材料の溶解または分散に用いる溶剤としては、たとえばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、n−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ピロールなどの含窒素複素環式化合物、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物などから選択される1種単独または2種以上が混合して用いられる。好ましくはメチルエチルケトン、トルエンまたはキシレンが用いられる。これらの溶剤は、樹脂の溶解性が高く脱溶剤しやすい特性を有する。
【0058】
次に液中乾燥法の第2工程は、混合工程において得られた混合液を水系媒体中に乳化および懸濁させる乳化懸濁工程である。乳化懸濁工程においては、混合液を水系媒体にまたは水系媒体を混合液に加え、得られた溶液をたとえば攪拌羽根を有する乳化機を用いて所望の回転数で攪拌し乳化および懸濁させることによって懸濁液を得る。
【0059】
混合液を水系媒体に加え乳化および懸濁させる場合、水系媒体としては水に無機分散剤を分散させたものを用いる。水は、イオン交換水または蒸留水を用いる。無機分散剤は、粒子径の均一なトナー粒子を作製し、トナー粒子の粒子径分布の範囲を小さくする目的で添加される。無機分散剤としては、親水性のものを用いることが好ましく、たとえばシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二リン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイトなどがある。前述した無機分散剤の中では炭酸カルシウムを用いることが好ましい。無機分散剤は、ボールミル、サンドミルなどのメディア入り分散機、高圧分散機または超音波分散機などを用いて水中に分散させる。
【0060】
無機分散剤は、体積平均粒子径が1nm以上、1000nm以下、好ましくは5nm以上、500nm以下、より好ましくは10nm以上、300nm以下のものが使用される。体積平均粒子径が1nm未満である場合、無機分散剤自体を分散させることが困難である。体積平均粒子径が1000nmを超える場合、トナー粒子の粒子径との差が小さくなるため、トナー粒子の内部にトナー材料が均一に分散されるような分散状態を維持することが困難である。
【0061】
無機分散剤は、トナー100重量部に対して1重量部以上、300重量部以下、好ましくは4重量部以上、100重量部以下の範囲で使用される。1重量部未満である場合、充分な分散性と分散安定性を得ることができない。また300重量部を超える場合、水系媒体の粘度が高くなりやすく、トナー材料の分散および懸濁が不安定になることがある。
【0062】
また無機分散剤に加えて水溶性の高分子分散剤をさらに添加してもよい。高分子分散剤としては、好ましくは親水性の化合物が使用される。さらに好ましくはカルボキシル基を有する化合物の中でもヒドロキシプロポキシル基またはメトキシル基などの親油基を有しない化合物が使用される。たとえば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテルなどがあり、カルボキシメチルセルロースが好ましい。高分子分散剤は、水中に均一に溶解させることができる方法であれば、いかなる方法を用いて添加および分散させてもよい。
【0063】
水系媒体を混合液に加える場合は、無機分散剤または高分子分散剤を使用する必要はないけれども、結着樹脂中に水和官能基が付与されていることが必要である。水和官能基としては、たとえばカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、アミノ基、4級アンモニウム基、スルホニウム基などがある。この中でも樹脂への導入の容易さおよび高湿度下での帯電安定性などの点からカルボキシル基が好ましい。カルボキシル基を有する結着樹脂を使用する場合、解離を促進し水和能を保持するために中和剤が添加される。中和剤としては、たとえばアンモニア、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミンなどがある。中和剤は、混合液または水系媒体のいずれに添加してもよい。
【0064】
乳化懸濁工程において使用される攪拌羽根を有する乳化機としては、乳化機、分散機として一般に市販されているものであればいずれも使用することができる。たとえばウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、T.K.オートホモミクサ(特殊機化工業(株)製)、ナショナルクッキングミキサ(松下電器産業(株)製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、T.K.パイプラインホモミクサ、T.K.ホモミックラインフロー、(特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック(株)製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機(株)製)、キャビトロン((株)ユーロテック製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業(株)製)などのバッチまたは連続両用乳化機などがある。
【0065】
第3工程は、乳化懸濁工程において得られた懸濁液中に含有される溶剤を除去する溶剤除去工程である。溶剤除去工程によって懸濁液中に含まれる溶剤を除去してトナー粒子の分散液を得ることができる。
【0066】
溶剤除去工程では、トナー粒子の分散液を乾燥させることなく溶剤を除去し、除去後においてもキナクリドン顔料などのトナー材料および無機分散剤などが均一に分散した状態であることが必要とされる。この溶剤除去工程では、乳化懸濁工程において得られた懸濁液を0℃以上、100℃以下の範囲内で加熱または冷却することによって、懸濁液中に含まれる溶剤を除去しトナー粒子の分散液を得ることが好ましい。
【0067】
トナー粒子の作製には、以下のような工程を付加することができる。第4工程は、溶剤除去工程において得られたトナー粒子の分散液から水系媒体を除去した後、洗浄および脱水を行いトナーケークを得る工程(以後、洗浄脱水工程と呼ぶ)である。洗浄脱水工程においては、溶剤除去工程において得られたトナー粒子の分散液を酸処理することによって無機分散剤および中和剤などを除去した後、水で洗浄して脱水する。
【0068】
第5工程は、洗浄脱水工程において得られたトナーケークを乾燥させて篩分しシリカなどの外部添加剤を添加することによってマゼンタトナーの粉体を作製する工程(以後、乾燥篩分工程と呼ぶ)である。乾燥、篩分および外部添加は、トナー粒子の凝集および粉砕などが起こらない方法であればどのような方法を用いてもよい。
【0069】
次に特開2001−312098号公報開示のトナー作製方法によってトナー粒子を作製する各工程について説明する。第1工程は、液中乾燥法の第1工程と同様にトナー材料の混合液を調製する混合工程である。トナー材料は液中乾燥法と同一の化合物を用いる。
【0070】
第2工程は、第1工程で得られた混合液を超臨界流体または亜臨界流体中に混合する。超臨界流体は、臨界点以上の温度および圧力における気相と液相との密度が等しい流体であり、亜臨界流体は、臨界点に近い温度および圧力における超臨界流体に近い状態の流体である。超臨界流体および亜臨界流体は、拡散性および物質の溶解性が高い。超臨界流体または亜臨界流体として使用可能な物質には、たとえば二酸化炭素、窒素、メタン、エタン、トリフルオロメタン、アンモニア、クロロトリフルオロメタン、メタノール、エタノール、水などがある。前述した物質の中でも、臨界点が31.1℃、7.38MPaと比較的低く、安全性の高い二酸化炭素が好適に用いられる。
【0071】
また、超臨界流体または亜臨界流体とトナー材料との親和力を高めるために、エントレーナを加えてもよい。エントレーナとしては、使用する超臨界流体または亜臨界流体と混合するトナー材料との組合わせにもよるが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアセテート、アルキルカルボン酸エステルなどのエステル類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類、水、アンモニアなどがある。なお水およびアンモニアは、超臨界流体または亜臨界流体として水、アンモニアを用いない場合にエントレーナとして用いる。
【0072】
トナー粒子は、図1に示すトナー製造装置1によって作製される。ガスボンベ2から超臨界流体となる物質が、加圧ポンプ4によって所望の圧力に高められ反応容器3に供給される。またエントレーナもボンベ5から加圧ポンプ6によって所望の圧力に高められ反応容器3に供給される。このとき超臨界流体となる物質とエントレーナとは図示しない加熱コイルなどで加熱され、第1および第2圧力調整バルブ7,8を介して反応容器3の内部空間にそれぞれ供給される。超臨界流体となる物質とエントレーナとは予め別の容器で混合してから反応容器3の内部空間へ供給してもよい。反応容器3の内部空間には結着樹脂およびキナクリドン顔料などのトナー材料が供給され、加熱ヒータ9によって所望の温度に加熱される。超臨界流体となる物質とエントレーナが反応容器3の内部空間に供給され第1および第2圧力調整バルブ7,8によって反応容器3の内部空間の圧力が調整される。このとき、反応容器3の内部空間の温度および圧力は温度計10および圧力計11によりモニタされる。
【0073】
反応容器3の内部空間の温度および圧力が臨界点以上になると、結着樹脂およびキナクリドン顔料などのトナー材料が超臨界流体に溶解され混合された状態となる。このとき、図示しないたとえば攪拌羽根などの攪拌手段を有する攪拌装置によって攪拌してもよい。超臨界流体は、拡散性および物質の溶解性が高いので、キナクリドン顔料は、凝集が抑制されて超臨界流体中でさらに均一に高分散される。
【0074】
次に第3圧力調整バルブ12を開き、急速膨張(Rapid Expansion of
Supercritical Solution;略称:RESS)法によって超臨界流体を急速に膨張させることによって、各トナー材料の超臨界流体に対する溶解度が急速に低下する。各トナー材料と超臨界流体およびエントレーナとの親和性、反応容器3の内部空間の圧力条件を適切に設定しておくことによってアクリル樹脂およびキナクリドン顔料などを含むように微粒子状の結着樹脂が析出しトナー粒子13が作製される。作製されたトナー粒子13は、ノズル14を介してトナー粒子捕集箱15に採取されトナー粒子13を得る。
【0075】
洗浄脱水工程は特に必要ではないが、よりトナー粒子の純度を上げるために洗浄脱水工程を付加してもよい。また必要に応じて乾燥篩分工程を付加してもよい。
【0076】
以上のように、トナー粒子は重合反応を行なうことなく作製されるので、使用できる結着樹脂に制約を受けることが少なく、多くの選択肢から所望の結着樹脂を使用することができる。このことによって、透明性および色再現性に優れる小粒子径のマゼンタトナーを提供することが可能になる。
【0077】
(実施例)
以下本発明の実施例について説明する。アクリル樹脂、分散ペーストおよびマゼンタトナー作製例は例示であって、これに限定されるものではない。まずアクリル樹脂(R−1〜R−8)の作製例について説明する。なお、本実施例中におけるアクリル樹脂の固形分測定、酸価測定、重量平均分子量測定は次のようにして行なった。
【0078】
(A)固形分測定:105℃で3時間加熱処理を行なう前のアクリル樹脂の重量および加熱処理を行なった後のアクリル樹脂の重量を測定し、加熱処理前の重量に対する加熱処理後の重量の百分率を求めた。
【0079】
(B)酸価測定:アクリル樹脂1gをテトラヒドロフランに溶解し、指示薬にフェノールフタレイン、滴定液に0.1N水酸化カリウム(化学式:KOH)エタノール溶液を用いて、自動滴定装置(AT−510:京都電子工業(株)製)によって電位差滴定を行った。中和するために使用した水酸化カリウムのmg数を固形分換算を行い算出した。
【0080】
(C)重量平均分子量(Molecular Weight;略称:MW)測定:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;略称:GPC)によってアクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
【0081】
(アクリル樹脂R−1)
攪拌装置、温度計、窒素導入口および冷却管を備える300ml容のセパラブルフラスコにトルエンを100重量部投入した。窒素雰囲気下で加熱しセパラブルフラスコの内部空間の温度を90℃に保ち表1に示すモノマー溶液を3時間かけて滴下した。
【0082】
【表1】
Figure 2004045654
【0083】
反応液に開始剤を0.1重量部添加し、さらに5時間反応させた。生成した溶融状態のアクリル樹脂(以後、R−1とする)をセパラブルフラスコから取出してアクリル樹脂R−1を得た。得られたアクリル樹脂R−1は、プロピレングリコールが約13molグラフトされており、固形分は49%、酸価は41mgKOH/g、重量平均分子量は7500であった。
【0084】
(アクリル樹脂R−2)
表2に示すモノマー溶液を用いる以外は、アクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−2とする)を得た。アクリル樹脂R−2は、炭化水素が16個グラフトされており、固形分は50%、酸価は12mgKOH/g、重量平均分子量は21000であった。
【0085】
【表2】
Figure 2004045654
【0086】
(アクリル樹脂R−3)
表3に示すモノマー溶液を用いる以外は、アクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−3とする)を得た。固形分は50%、酸価は85mgKOH/g、重量平均分子量は4500であった。
【0087】
【表3】
Figure 2004045654
【0088】
(アクリル樹脂R−4)
イタコン酸を一般式(1)で示される構造を有しないメタクリル酸とする以外は、アクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−4とする)を得た。アクリル樹脂R−4は、プロピレングリコールが約13molグラフトされており、固形分は50%、酸価は30mgKOH/g、重量平均分子量は8000であった。
【0089】
(アクリル樹脂R−5)
表4に示すモノマー溶液を用いる以外は、アクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−5とする)を得た。アクリル樹脂R−5は、炭化水素が16個グラフトされており、固形分は49%、酸価は4mgKOH/g、重量平均分子量は20000であった。
【0090】
【表4】
Figure 2004045654
【0091】
(アクリル樹脂R−6)
表5に示すモノマー溶液を用いる以外はアクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−6とする)を得た。アクリル樹脂R−6は、炭化水素が16個グラフトされており、固形分は49%、酸価は110mgKOH/g、重量平均分子量は20500であった。
【0092】
【表5】
Figure 2004045654
【0093】
(アクリル樹脂R−7)
トルエン中の固形分濃度を25%に調製し、セパラブルフラスコの内部空間の温度を110℃に設定し、開始剤の添加量を5重量部とした以外は、アクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−7とする)を得た。アクリル樹脂R−7は、プロピレングリコールが約13molグラフトされており、固形分は25%、酸価は40mgKOH/g、重量平均分子量は2500であった。
【0094】
(アクリル樹脂R−8)
トルエン中の固形分濃度を55%に調整し、セパラブルフラスコの内部空間の温度を80℃に設定し、開始剤の添加量を0.75重量部とした以外はアクリル樹脂R−1の作製と同様にして作製しアクリル樹脂(以後、R−8とする)を得た。アクリル樹脂R−8は、プロピレングリコールが約13molグラフトされており、固形分は60%、酸価は42mgKOH/g、重量平均分子量は28000であった。
【0095】
表6に前述のようにして作製されたアクリル樹脂R−1〜R−8の特性を示す。
【0096】
【表6】
Figure 2004045654
【0097】
次にトナー粒子を構成する分散ペーストP−1〜P−8の作製例について説明する。
【0098】
(分散ペーストP−1〜P−8)
表面が塩基性処理されたキナクリドン顔料(大日本インキ化学工業(株)製)10重量部、アクリル樹脂を10重量部加え、固形分濃度が25%となるようにトルエンを加えて調製した。次に攪拌羽根の周速を40m/sとした薄膜旋回型高速ミクサ(T.K.フィルミックス56型:特殊機化工業(株)製)を用いて、5分間攪拌することによって分散ペーストを得た。アクリル樹脂R−1、R−2、R−3、R−4、R−5、R−6、R−7、R−8をそれぞれ用いて得られた分散ペーストを分散ペーストP−1、P−2、P−3、P−4、P−5、P−6、P−7、P−8とする。
【0099】
次に前述のようにして作製された各分散ペーストP−1〜P−8を用いて本発明の実施例のマゼンタトナーと、比較例のマゼンタトナーとを以下のように作製した。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は、精密粒度分布測定装置(コールターマルチサイザII:コールター社製)を用いて測定した。
【0100】
(実施例1)
80重量部の分散ペーストP−1にポリエーテル樹脂(TPO−349(酸価:12mgKOH/g、MW:37000):三井化学(株)製)80重量部および帯電制御剤としてアルキルサリチル酸金属塩2重量部を溶解および混合した混合液を、アンモニア水を混合したイオン交換水450重量部中に投入し、ポリトロン(キネマティカ社製)によって攪拌して懸濁させた。懸濁液中のトルエンは減圧除去した。イオン交換水を加え洗浄および濃縮を繰返した後乾燥させトナー粒子を得た。得られたトナー粒子100重量部にシランカップリング剤およびジメチルシリコーンオイルによって表面処理された疎水性シリカ微粉体(BET比表面積:120m/g)0.5重量部を加えて混合し、負帯電マゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、6.2μmであった。
【0101】
(実施例2)
分散ペーストP−2を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、5.6μmであった。
【0102】
(実施例3)
分散ペーストP−3を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、5.9μmであった。
【0103】
(実施例4)
120重量部の分散ペーストP−1にポリエステル樹脂(FZ−100(酸価:10mgKOH/g、MW:22000):大日本インキ化学工業(株))70重量部および帯電制御剤としてアルキルサリチル酸金属塩2重量部を溶解および混合した混合液を、エントレーナとしてエタノール100mlを供給した1000cmの反応容器3に供給した。反応容器を密閉した後、二酸化炭素を加圧ポンプ4によって25MPaとなるまで加圧してから反応容器3に供給した。反応容器3の内部空間の温度は40℃、圧力は25MPaであった。1時間攪拌した後、第3圧力調整バルブ12を開放して反応容器3の内部空間の圧力を低下させてトナー粒子13を作製し、ノズル14を介してトナー粒子採取箱15に採取してトナー粒子13を得た。得られたトナー粒子100重量部と、シランカップリング剤およびジメチルシリコーンオイルによって表面処理された疎水性シリカ微粉体(BET比表面積:120m/g)0.5重量部とを混合して、負帯電マゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、5.3μmであった。
【0104】
(実施例5)
分散ペーストP−2を用いる以外は、実施例4と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、5.1μmであった。
【0105】
(比較例1)
分散ペーストP−4を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、6.5μmであった。
【0106】
(比較例2)
分散ペーストP−5を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、5.2μmであった。
【0107】
(比較例3)
分散ペーストP−6を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、5.7μmであった。
【0108】
(比較例4)
分散ペーストP−7を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、6.0μmであった。
【0109】
(比較例5)
分散ペーストP−8を用いる以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを作製した。トナー粒子の体積平均粒子径は、6.1μmであった。
【0110】
前述のようにして得られた実施例1〜5のマゼンタトナーおよび比較例1〜5のマゼンタトナーの各特性(a)着色力、(b)彩度、(c)透明性を以下のように評価した。体積平均粒子径が60μmであるシリコンコートされたフェライトコアキャリアの重量に対する百分率が5重量%となるようにマゼンタトナーを混合し、2成分現像剤を得た。得られた2成分現像剤を用い所定のトナー付着量となるように調整して複写機(AR−C150:シャープ(株)製)によって記録媒体上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像を外部定着機によって予め定める温度で定着を行なった。記録媒体としては、フルカラー専用紙(PP106A4C:シャープ(株)製)を用いた。
【0111】
(a)着色力:記録媒体上のマゼンタトナーの付着量を0.80mg/cmとして画像を形成したときの画像濃度をマクベス反射濃度計(RD−918:マクベス社製)を用いて測定した。画像濃度が1.5以上の場合を良、1.5未満の場合を不良とした。
【0112】
(b)彩度:得られた画像について分光測色計(X−Rite:日本平板印刷機材(株)製)によってL表色系(CIE1976)(CIE:Commission Internationale de l’Eclairage:国際照明委員会)におけるクロマチックネス指数a,bの値を求め、式(a)に基づいて彩度Cを算出した。彩度Cを色再現性の指標とした。彩度Cが75以上の場合を良、75未満の場合を不良とした。
【0113】
=(a*2+b*21/2               …(a)
(c)透明性:画像濃度が1.7となるようにオーバーヘッドプロジェクター(Over Head Projector:略称OHP)専用シート(CX−7A4C:シャープ(株)製)上のマゼンタトナー付着量を調整し画像を形成した。この画像を試料として、直読ヘーズコンピュータC光源用HGM−2DP(スガ試験機(株)製)を使用して、拡散透過光量および全透過光量を測定しヘーズ値を算出した。ヘーズ値とは、透明な試料を透過した光線が拡散する度合いを表す指標である。拡散透過光量は、平行光線を試料に入射させ、試料を透過した光線のうち拡散する光線の光量であり、全透過光量は、試料を透過した光線(拡散光線および平行光線)の全光量である。拡散透過光量をTdとし、全透過光量をTtとすると、ヘーズ値は下記の式で表される。
【0114】
ヘーズ値(%)=(Td/Tt)×100
したがって、ヘーズ値が小さいほど、拡散透過光量が少なく、透明性が高いことを表し、ヘーズ値が15以下の場合を優良、20以下の場合を良、20を超え25未満の場合を可、25以上の場合を実用性にかけるとして不良とした。
【0115】
以上のようにして行なった着色力、彩度および透明性の評価結果を表7に示す。
【0116】
【表7】
Figure 2004045654
【0117】
実施例1〜5と比較例1との比較から明らかなように、イタコン酸を含むアクリル樹脂を用いた実施例1〜5のマゼンタトナーの方が、一般式(1)で示される構造を有しないメタクリル酸を含むアクリル樹脂を用いた比較例1のマゼンタトナーよりも彩度が高く色再現性および透明性に優れる。
【0118】
また実施例1〜5と比較例2との比較から明らかなように、アクリル樹脂の酸価が10mgKOH/g以上、90mgKOH/g以下の実施例1〜5のマゼンタトナーの方が、アクリル樹脂の酸価が10mgKOH/g未満である比較例2のマゼンタトナーよりも彩度が高く色再現性および透明性に優れる。また実施例1〜5と比較例3との比較から明らかなように、アクリル樹脂の酸価が10mgKOH/g以上、90mgKOH/g以下の実施例1〜5のマゼンタトナーの方が、アクリル樹脂の酸価が90mgKOH/gを超える比較例3のマゼンタトナーよりも彩度が高く色再現性および透明性に優れる。
【0119】
また実施例1〜5と比較例4との比較から明らかなように、アクリル樹脂の重量平均分子量が3000以上、25000以下である実施例1〜5のマゼンタトナーの方が、アクリル樹脂の重量平均分子量が3000未満である比較例4のマゼンタトナーよりも彩度が高く色再現性および透明性に優れる。また実施例1〜5と比較例5との比較から明らかなように、アクリル樹脂の重量平均分子量が3000以上、25000以下である実施例1〜5のマゼンタトナーの方が、アクリル樹脂の重量平均分子量が25000を超える比較例5のマゼンタトナーよりも彩度が高く色再現性および透明性に優れる。
【0120】
また実施例1,2,4,5と実施例3とを比較すると、アクリル樹脂に炭素数が12以上のアルキル基がグラフトされている実施例1,2,4,5のマゼンタトナーの方が、アクリル樹脂に炭素数12以上のアルキル基であるポリマーがグラフトされていない実施例3のマゼンタトナーよりも、より彩度が高くさらに色再現性および透明性に優れる。
【0121】
以上のように、イタコン酸を含むアクリル樹脂を用いることによって、色再現性および透明性に優れるマゼンタトナーが得られた。またアクリル樹脂の酸価を10mgKOH/g以上、90mgKOH/g以下とすることによって、色再現性および透明性に優れるマゼンタトナーが得られた。またアクリル樹脂の重量平均分子量を3000以上、25000以下とすることによって、色再現性および透明性に優れるマゼンタトナーが得られた。またアクリル樹脂に炭素数が12以上のアルキル基であるポリマーをグラフトすることによって、さらに色再現性および透明性に優れるマゼンタトナーが得られた。
【0122】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、静電潜像現像用マゼンタトナーはキナクリドン顔料と一般式(1)で示される樹脂とを含む。樹脂は比較的固定された構造であるので、樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定になりキナクリドン顔料間の凝集を抑制し分散性を向上させる。このことによって、高い顔料濃度を有し透明性および色再現性に優れる静電潜像現像用マゼンタトナーを提供することが可能になる。また前記樹脂は、酸性を示し負に帯電するので、負帯電トナーの作製に好適に用いられる。
【0123】
また本発明によれば、前記樹脂は、イタコン酸を含むアクリル樹脂であるので、ラジカル重合反応の条件を適切に設定することによって、所望の酸価、重量平均分子量などの特性を有するような樹脂を容易に作製することができる。また所望の酸価および重量平均分子量とすることによって、アクリル樹脂とキナクリドン顔料との吸着状態が安定になり、キナクリドン顔料の高分散性を維持することができる。
【0124】
また本発明によれば、アクリル樹脂に炭素数が12以上のアルキル基をグラフトさせることによって、アクリル樹脂の立体構造が安定化される。このことによって、長期にわたってアクリル樹脂とキナクリドン顔料との吸着が保持され、キナクリドン顔料の分散性を高く保つことができる。
【0125】
また本発明によれば、トナーの粒子は小粒子径であり、トナーはキナクリドン顔料を高濃度に含有するので、階調性に優れ記録媒体に対して少ない付着量で画像濃度が高い画像を得ることができる。このことによって、トナーの消費量を低減することが可能になり、かつ透明性および色再現性を確保することができる。
【0126】
また本発明によれば、表面が塩基性化された表面処理顔料であるキナクリドン顔料を用いることによって、キナクリドン顔料と樹脂との親和性が高まり、キナクリドン顔料の分散性を向上させることが可能になる。
【0127】
また本発明によれば、トナーの粒子は、重合反応を行なうことなく作製されるので、使用できる結着樹脂に制約を受けることが少なく、多くの選択肢から所望の結着樹脂を使用することができる。またキナクリドン顔料と樹脂とが均一に高分散された分散ペーストを作製することができる。以上のことによって、キナクリドン顔料が高分散され、透明性および色再現性に優れる小粒子径の静電潜像現像用トナーを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のトナー製造装置1の構成を簡略化して示す系統図である。
【符号の説明】
1 トナー製造装置
2 ガスボンベ
3 反応容器
4 加圧ポンプ
5 ボンベ
6 加圧ポンプ
7 第1圧力調整ポンプ
8 第2圧力調整ポンプ
9 加熱ヒータ
10 温度計
11 圧力計
12 第3圧力調整ポンプ
13 トナー粒子
14 ノズル
15 トナー粒子捕集箱

Claims (11)

  1. 顔料および樹脂を含み静電潜像を可視化するトナーを有する静電潜像現像用マゼンタトナーにおいて、
    前記顔料には、キナクリドン顔料が含まれ、
    前記樹脂は、下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする静電潜像現像用マゼンタトナー。
    Figure 2004045654
  2. 前記樹脂は、
    前記一般式(1)で示される構造を有するイタコン酸を含むアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  3. 前記樹脂は、
    炭素数が12以上のアルキル基がグラフトされた構造を有するアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  4. 前記樹脂は、
    酸価が10mgKOH/g以上、90mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  5. 前記樹脂は、
    重量平均分子量が3000以上、25000以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  6. 前記キナクリドン顔料は、
    表面が塩基性化された表面処理顔料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  7. 前記キナクリドン顔料は、
    トナーの重量に対する百分率で5重量%以上、20重量%以下となるように含有されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  8. 前記トナーの粒子は、
    体積平均粒子径が3μm以上、8μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  9. 前記トナーの粒子は、
    少なくとも前記樹脂およびキナクリドン顔料を溶剤に分散して得られる分散ペーストと結着樹脂とを混合した油相を水相に乳化または懸濁後、脱溶剤を行なう液中乾燥法によって作製されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  10. 前記トナーの粒子は、
    少なくとも前記樹脂およびキナクリドン顔料を溶剤に分散して得られる分散ペーストと結着樹脂とを混合して超臨界流体中に溶解し、前記樹脂、キナクリドン顔料および結着樹脂の超臨界流体に対する溶解度を低下させて前記樹脂およびキナクリドン顔料を含むように結着樹脂を微粒子状に析出させることによって作製されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
  11. 前記分散ペーストは、
    少なくとも前記樹脂、キナクリドン顔料および溶剤を容器の内部に供給し、容器の内部に回転可能に設けられる攪拌羽根を、周速25m/s以上の速度で回転させて遠心力を発生し、前記樹脂、キナクリドン顔料および溶剤を遠心力で容器の内壁に押付け混合することによって作製されることを特徴とする請求項9または10記載の静電潜像現像用マゼンタトナー。
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