JP2004044379A - 塗膜防水工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防水施工をしようとする下地に、複数のシートを敷設するに際し、シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設し、固定具によって二枚のシートの重なり合う部分を貫くように下地に固定すると共に、固定具及びシートの接合部の上を、補強布を接着することにより補強し、段差修正を行った後、その上に塗膜防水材を積層することを特徴とする塗膜防水工法。
【選択図】なし
Description
(1)防水施工をしようとする下地に、複数のシートを敷設するに際し、シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設し、固定具によって二枚のシートの重なり合う部分を貫くように下地に固定すると共に、固定具及びシートの接合部の上を、補強布を接着することにより補強し、段差修正を行った後、その上に塗膜防水材を積層することを特徴とする塗膜防水工法。
(2)シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合う部分の下側の部分と下地とを接着することを特徴とする前記(1)に記載の塗膜防水工法。
(3)シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設するに際し、シートの重なり合う部分を予め接着することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の塗膜防水工法。
(4) シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合う部分が、式(1)を満たすように、予めシートの製造時にシートの端部を加工したシート又は施工現場において加熱圧縮成形して端部を加工したシートを用いることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の塗膜防水工法。
(6)段差修正する際に、ウレタン樹脂を用いて段差修正することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の塗膜防水工法。
(7)段差修正する際に、粘度が20〜40Pa.s/23℃のウレタン樹脂を用いて段差修正することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の塗膜防水工法。
(8)使用するシートが、少なくとも4層以上で構成されており、厚さが0.05〜0.1mmであり、目付量が20〜80g/m2のポリエステル不織布、防湿フィルム、厚さが0.5〜3.0mmであり、目付量が300〜800g/m2のポリエステル不織布、厚さが3.5〜10mmであり目付量が100〜500g/m2のポリエステル不織布を積層するシートであり、厚さが3.5〜10mm、目付量が100〜500g/m2のポリエステル不織布が最下層に位置するように敷設することを特徴とする前記1乃至7のいずれかに記載の塗膜防水工法。
(9) 防水施工をしようとする下地に、複数のシートを敷設するに際し、シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設し、固定具によって二枚のシートの重なり合う部分を貫くように下地に固定すると共に、固定具及びシートの接合部の上を、補強布を接着することにより補強し、段差修正を行った後、その上に塗膜防水材を積層するに際し、当該塗膜防水剤が2液性のウレタン樹脂防水剤を使用することを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の塗膜防水工法。
本発明の塗膜防水工法は、固定具による局部的な固定であることから下地とシートとの間の通気性が十分確保され、シートとシートとの継ぎ目の(破断)強度が強いので、従来のシート防水工法での欠点であるシート間の継ぎ目での破断による上層の塗膜防水材の膨れや、塗膜防水材の破断がおこらず、上層の防水材が下地とシートの間に浸み出し、あるいは漏れて下地と通気性を損なうことがない。
前記固定具は、シートの重なり合う部分と下地とを固定できる機能を有するものであれば、特に限定しないが好ましいものとしてはピンとプレートを有する構造のものが挙げられる。前記ピンとプレートのような固定具を用いてシートを固定する場合は、ピンの頭とプレートは、角のない丸い形状がシートを傷つけないため特に好ましい。
前記粘度の範囲に調整されたウレタン樹脂を用いて段差修正を行うと、シートの重ね合わせた部分からウレタン樹脂が漏洩することがなく、下地とシートの間の通気経路が遮断されない。また、レベリング性がよく溝や隙間等の段差を均一に修正することができる。
また補強布の幅は、シートの重なり合う部分と同じ幅が好ましい。
更に好ましくは、少なくとも4層以上の構造からなる積層体であり、厚さが0.05〜0.1mmであり、目付量が20〜80g/m2のポリエステル不織布、防湿フィルム、厚さが0.5〜3.0mmであり目付量が300〜800g/m2のポリエステル不織布、厚さが3.5〜10mmであり目付量が100〜500g/m2のポリエステル不織布を積層するシートであり、敷設する際は厚さが3.5〜10mmであり目付量が100〜500g/m2のポリエステル不織布が下地(躯体)と向き合うように敷設するのがよい。
シートに対する固定具の好ましい割合は、国土交通省告示第109号(屋根葺き材、外装及び屋外に面する張り壁の基準)に照合し、その基準に安全率を乗じて決められる。基準では、負圧を受けやすい周辺部で4.2kN/m2、中央部で
1.4kN/m2の固定力が求められている。この基準値に安全率を乗じた数値を、固定具一個当たりの固定力を計測した数値で割ると単位面積当たりの固定具の数が求められ、その数を周辺部及び中央部に区分して均等割り付けする。
既存防水層が砂付きアスファルトルーフィングである試験下地に、前記シート2枚を並列に5cmの幅で重ね合わせ、2枚のシートを重ね合わせた部分を下地と下側シート、下側シートと上側シートそれぞれを5cmの幅で接着剤(商品名:CJブロックボンド、保土谷建材工業社製)により接着した。次いでシート重ね合わせ部の中央部に30cm間隔で、ピン状の固定具(商品名:エアーピンAK、サンコーテクノ社製)及びプレート状の固定具(商品名:ディスクA、保土谷建材工業社製、外側径50mmφ、内孔径4.2mm)で、エアーガン(商品名:エアロスミス、株式会社シュナイダージャパン)を用いて固定した。(図1)この段階では固定具がシート表面よりも低く窪み、重ね合わせ部もやや低くなっていた。
次にシートの重ね合わせ部分を中心に幅10cmに粘度を32Pa.s/23℃に調整されたウレタン(樹脂)防水材(商品名:HCエコプルーフV、保土谷建材工業社製)1.3kg/m2をゴムベラで平滑に補強布の接着剤として塗布し、次いで幅10cm、長さ5mの補強布(商品名:ミリオクロスK、保土谷建材工業社製)を張り補強し、更にその上に粘度を32Pa.s/23℃に調整されたウレタン(樹脂)防水材(商品名:HCエコプルーフV、保土谷建材工業社製)0.7kg/m2をローラー刷毛で塗布して、重ね合わせ部の段差修正を行った。この段階での重ね合わせ部はほぼシート表面と同じ高さになっていた。
段差修正を行った後、シート全体に2液性のウレタン樹脂防水材(商品名:HCエコプルーフ、保土谷建材工業社製)を一回目に2kg/m2塗布し、2回目に2kg/m2塗布してから保護塗料(商品名:HCエコトップ、保土谷建材工業社製)を0.2kg/m2塗布して仕上げた。この段階では、継ぎ目形状や固定具の形状はすべて表面に表れず、外観的にはフラットな仕上がりとなっていた。また、施工後1年経過後、及び2年経過後に、重ね合わせ部分を中心線として固定具3本分(90cm×90cm)の下層のシートを含めた防水層を正方形に切り取り、固定具も機械的に切断し、施工後1年、2年の状態を調べた。その結果、防水層の膨れや破断は一切観察されず、固定具周辺のシート重ね部にも破断はおきておらず、またそれらの兆候もなかった。また、防水材施工の際に、絶縁シートの重ね部から防水材の下地への浸み出しが発生したかどうかの確認を行ったが、防水材が浸み出した形跡は全く見られず、シートと下地との間に確保されるべき望ましい通気性は確保されていた。
この段階では固定具部分がシート表面より低く窪み、突き合わせ部はシート表面より目地テープの厚さ分高くなっていた。
次にシートの突き合わせ部を中心に幅10cmに、粘度を32Pa.s/23℃に調整されたウレタン樹脂(防水材)(商品名:HCエコプルーフV、保土谷建材工業社製)1.3kg/m2をゴムベラで平滑に塗布し、目地テープを覆った。
この段階での継ぎ目は、処理材料によって約1.6mm程度高くなっていた。
突き合わせ部の処理後、シート全体に2液性のウレタン樹脂防水材(商品名:HCエコプルーフ、保土谷建材工業社製)を一回目に2kg/m2塗布し、2回目に2kg/m2塗布してから保護塗料(商品名:HCエコトップ、保土谷建材工業社製)を0.2kg/m2塗布して仕上げた。この段階では、継ぎ目形状や固定具の形状はすべて表面に表れず、外観的にはフラットな仕上がりとなっていた。また、実施例と同じように試験体を切り取り、経年変化の観察を行った結果、施工後1年経過した試験体は、防水層の2個所に直径が3〜5cmの膨れが発生し、施工後2年経過した試験体でも、直径が3〜5cmの膨れが2箇所発生し、目地テープの端部に沿って、上層のトップコート材に微細亀裂が認められた。また、1年目と2年目の両方の試験体にも下層のシートの突き合わせ部の一部に、防水材が施工時に浸み出し下地に達したと思われる防水材が観察された。
[表1]に結果を示した。
なお、[表1]中、引張り強度は、前記試験体中の固定具と固定具の間の、シートとシートの重なりあう部分を幅3cm×長さ15cmに切りだし、塗膜防水材が載っているまま引っ張り試験機にセットし、シートとシートとの接合部が破断した時の強度を測定した。
(このとき上層の塗膜防水層は破断していない)
b= ジョイント補強クロス
c= 固定金属プレート
d= 固定作業によって発生する窪みには、立面用防水材を塗布充填
e= 絶縁シート
f= 重ね合わせ部は、接着剤を使用
g= 固定釘
h= 下地コンクリート
i= 図2の突き合わせ部に使用する目地テープ
j= 図2の突き合わせ部
Claims (9)
- 防水施工をしようとする下地に、複数のシートを敷設するに際し、シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設し、固定具によって二枚のシートの重なり合う部分を貫くように下地に固定すると共に、固定具及びシートの接合部の上を、補強布を接着することにより補強し、段差修正を行った後、その上に塗膜防水材を積層することを特徴とする塗膜防水工法。
- シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合う部分の下側の部分と下地とを接着することを特徴とする請求項1に記載の塗膜防水工法。
- シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設するに際し、シート同士の重なり合う部分を予め接着することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜防水工法。
- シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合う部分が、式(1)を満たすように、予めシートの製造時にシートの端部を加工したシート又は施工現場において加熱圧縮成形して端部を加工したシートを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の塗膜防水工法。
[数1]
シートの厚さ(mm)>シートの端部の厚さ(mm)×2 (式1) - シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合う部分の幅が2〜20cmである請求項1乃至4のいずれか1項記載の塗膜防水工法。
- 段差修正する際に、ウレタン樹脂を用いて段差修正することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の塗膜防水工法。
- 段差修正する際に、粘度が20〜40Pa.s/23℃のウレタン樹脂を用いて段差修正することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の塗膜防水工法。
- 使用するシートが、少なくとも4層以上で構成されており、厚さが0.05〜0.1mmであり、目付量が20〜80g/m2のポリエステル不織布、防湿フィルム、厚さが0.5mm〜3.0mmであり目付量が300〜800g/m2のポリエステル不織布、厚さが3.5〜10mmであり目付量が100〜500g/m2のポリエステル不織布を積層するシートであり、厚さが3.5〜10mm、目付量が100〜500g/m2のポリエステル不織布が最下層に位置すように敷設することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の塗膜防水工法。
- 防水施工をしようとする下地に、複数のシートを敷設するに際し、シートの端部と隣り合うシートの端部が重なり合うように敷設し、固定具によって二枚のシートの重なり合う部分を貫くように下地に固定すると共に、固定具及びシートの接合部の上を、補強布を接着することにより補強し、段差修正を行った後、その上に塗膜防水材を積層するに際し、当該塗膜防水材に2液性のウレタン樹脂防水材を使用することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の塗膜防水工法。
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