JP2004042997A - 運搬用容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができるように構成された運搬用容器を提供する。
【解決手段】運搬用容器は、底壁12とその底壁12の周縁に沿って立設された側壁13,14とより有底長四角板状に形成された容器本体11から構成されているうえ、複数の容器本体11を上下に多段積み可能となるように構成されている。底壁12の周縁には、複数の容器本体11を多段積みしたときに下方に位置する容器本体11の側壁13,14上端部内側面と係合するように構成された底壁突条23,24が垂下されている。これら底壁突条23,24は、断面U字状となるように形成されているうえ、その底壁突条23,24の外側壁23bと下端壁23aとの境界部(外部境界部23d)外面が面取りされている。
【選択図】 図1
【解決手段】運搬用容器は、底壁12とその底壁12の周縁に沿って立設された側壁13,14とより有底長四角板状に形成された容器本体11から構成されているうえ、複数の容器本体11を上下に多段積み可能となるように構成されている。底壁12の周縁には、複数の容器本体11を多段積みしたときに下方に位置する容器本体11の側壁13,14上端部内側面と係合するように構成された底壁突条23,24が垂下されている。これら底壁突条23,24は、断面U字状となるように形成されているうえ、その底壁突条23,24の外側壁23bと下端壁23aとの境界部(外部境界部23d)外面が面取りされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有底四角箱状に形成された容器本体からなり、複数の容器本体を上下にスタッキング状態で多段積みすることができるように構成された運搬用容器に関するものである。より詳しくは、下方に位置する容器本体の上部開口部に上方に位置する容器本体の底部を載置することにより、複数の容器本体を上下に多段積みできるように構成された運搬用容器に関するものである。さらに詳しくは、下方に位置する容器本体の上端縁に沿って上方に位置する容器本体の底部をスライドさせながら積み重ねることができるとともに、その際には下方に位置する容器本体内の収容物の傷付きが抑えられるように構成された運搬用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、四角板状に形成された底壁とその底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体からなる合成樹脂製の運搬用容器が知られている。この運搬用容器の底壁下面には、縦横に格子状に延びる多数の底壁リブが垂下されており、底壁の強度を高めている。これら底壁リブのうち最も外端部に位置する底壁リブ(以下、端部底壁リブと記載する)の外側面(容器本体の外方側に位置する側面)は、側壁の内側面のほぼ真下に位置するように垂下されている。
【0003】
そして、この運搬用容器では、複数の容器本体を上下にスタッキング状態で多段積みする際には、上方に位置する容器本体の端部底壁リブを下方に位置する容器本体の側壁上端部に係合させながら横方向にスライドさせて積み重ねることができ、その作業性を容易に高めることができる。さらに、積み重ね後においては、上方に位置する容器本体の端部底壁リブが下方に位置する容器本体の側壁上端部と係合され、上下の容器本体間の位置合わせを行うとともに安定状態で積み重ねられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の運搬用容器では、下方に位置する容器本体内に野菜や果物等の傷付きやすい収容物が収容されている状態で、前記横方向にスライドさせながら多段積みする作業を行った場合には、端部底壁リブの下端縁が収容物の上端部と擦れ、その収容物を傷付けてしまうおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができるように構成された運搬用容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の運搬用容器は、四角板状に形成された底壁と、その底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体を備え、下方に位置する容器本体の上端部に上方に位置する容器本体を載置することにより複数の容器本体が上下に多段積みされるように構成した運搬用容器であって、前記底壁の周縁に沿って、複数の容器本体を上下に多段積みしたときに下方に位置する容器本体の側壁上端部内側面と係合するように構成された底壁突条を垂下させるとともに、その底壁突条を断面略U字状又は断面略ロ字状に形成し、さらにその底壁突条の下面と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の運搬用容器は、請求項1に記載の発明において、前記底壁突条の下面と、同底壁突条の端部外側面との境界部を面取りしないように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の運搬用容器は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記底壁の下面に底壁リブを垂下させるとともに、その底壁リブの下端部を前記底壁突条の下端面よりも下方に位置するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の運搬用容器は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記底壁突条の両端部に脚部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の運搬用容器は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記底壁突条を底壁の周縁に沿って四角環状に延設したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に示すように、実施形態の運搬用容器を構成する容器本体11は、合成樹脂により有底長四角箱状に一体形成されている。この容器本体11は、長四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の周縁に沿って立設された対向する各一対の短側壁13及び長側壁14とから有底長四角板状に形成されている。この運搬用容器は、下方に位置する容器本体11の上端部(上部開口部)上に別の容器本体11の底部(下端部)を載置することにより、スタッキング状態で上下に多段積みすることができるように構成されている。
【0012】
底壁12の下面には、底面四角環状に形成された底部環状突部21と、その底部環状突部21の対向する各一対のコーナ部間を直線的に繋ぐことにより底面X字状に形成された2本の底壁リブ22とが垂下されており、底壁12の強度を高めている。図1及び図2(a)、(b)に示すように、底部環状突部21は、短側壁13の下方に位置する左右一対の第1底壁突条23と、長側壁14の下方に位置する前後一対の第2底壁突条24とから底面長四角環状に形成されている。さらに、この底部環状突部21の上方に位置する底壁12の上面周縁部には、環状凹溝25が平面長四角環状となるように凹設されている。
【0013】
第1底壁突条23は、底壁12の長手方向の両端部において、短側壁13の下端縁に沿って延設されているうえ、正断面U字状となるように形成されている。図2(b)に示すように、この第1底壁突条23は、下端部に位置し水平面に沿って延びる下端壁23aと、上下方向に延びるとともに容器本体11の外側方及び内側方に位置する外側壁23b及び内側壁23cとより正断面U字状に形成されている。なお、前記外側壁23bの外側面は、第1底壁突条23の端部外側面を構成している。前記外側壁23bは、短側壁13に対し上下にほぼ連続するように延設されているが、短側壁13の下端縁よりも僅かに容器本体11の内方に位置するように配設されている。
【0014】
さらに、前記下端壁23aと外側壁23bとの境界に位置する外部境界部23dの外面、及び同下端壁23aと内側壁23cとの境界に位置する内部境界部23eの外面は、いずれも滑らかな円弧状となるように面取りされている。なお、前記外部境界部23d及び内部境界部23eの外面を構成する円弧面は、半径(いわゆるアール(R))が前記外側壁23bの厚み(通常は2mm程度)を越える長さであるのが好ましく、その厚みの1.5倍以上であるのがより好ましく、2倍以上であるのがさらに好ましい。
【0015】
図2(a)に示すように、第2底壁突条24は、底壁12の長手方向の両側部において、長側壁14の下端縁に沿って延設されているうえ、側断面U字状となるように形成されている。この第2底壁突条24は、下端部に位置し水平面に沿って延びる下端壁24aと、上下方向に延びるとともに容器本体11の外側方及び内側方に位置する外側壁24b及び内側壁24cとより側断面U字状に形成されている。なお、前記外側壁24bの外側面は、第2底壁突条24の端部外側面を構成している。前記外側壁24bは、長側壁14に対して上下にほぼ連続するように延設されているが、長側壁14の下端縁よりも僅かに容器本体11の内方に位置するように配設されている。
【0016】
さらに、前記下端壁24aと外側壁24bとの境界に位置する外部境界部の外面、及び同下端壁24aと内側壁24cとの境界に位置する内部境界部の外面は、前記第1底壁突条23の場合と同様に、いずれも滑らかな円弧状となるように面取りされている。なお、前記外部境界部及び内部境界部の外面を構成する円弧面は、半径(R)が前記外側壁24bの厚み(通常は2mm程度)を越える長さであるのが好ましく、その厚みの1.5倍以上であるのがより好ましく、2倍以上であるのがさらに好ましい。
【0017】
図1及び図2(a)に示すように、容器本体11の下端部及び上端部には、各側壁13,14の外側面から外側方に延びる下部周縁フランジ31及び上部周縁フランジ32が突設されている。下部周縁フランジ31は、底壁12の外周縁と各側壁13,14の下端縁との接合部から水平方向に延びるように突設されている。上部周縁フランジ32は、各側壁13,14の上端縁から水平方向に延びるように突設されているうえ、前記下部周縁フランジ31の真上に位置するように設けられている。
【0018】
対向する一対の短側壁13の外側面中央部には、側面楕円形状に形成された側壁リブを突設させることにより、容器本体11を把持するための把持部33が設けられている。また、図2(a)に示すように、長側壁14の中央部には、その壁面を滑らかに外側方へと膨出させることにより、正面楕円形状、側断面円弧状に形成された側壁凸部34が設けられており、長側壁14の強度を高めるとともに容器本体11内の収容空間が僅かに拡大されている。なお、この側壁凸部34の外側面は、下部周縁フランジ31及び上部周縁フランジ32の外周縁よりも容器本体11の内方側に位置している。
【0019】
上記運搬用容器の作用について以下に記載する。
この運搬用容器は、下方に位置する容器本体11の上部周縁フランジ32の上面に、上方に位置する容器本体11の下部周縁フランジ31の下面を載置することによって、複数の容器本体11をスタッキング状態で上下に積み重ねることができるように構成されている。このとき、上方に位置する容器本体11下端部の底部環状突部21は、下方に位置する容器本体11の上端部と係合し、上下の容器本体11間の位置合わせが行われるとともに積み重ね時の安定性が高められている。即ち、上方に位置する容器本体11の底部環状突部21の外側面(外側壁23b,24bの外側面)と、下方に位置する容器本体11の各側壁13,14の上端部内側面とが、容器本体11の全周に渡って当接可能な状態で近接配置されている。
【0020】
この運搬用容器は、容器本体11の収容空間内に収穫後の果実や野菜、特に表面に傷が付いたときの傷みが著しく、商品価値が低下しやすい桃等の高級果実を収容して運搬するのに適している。
【0021】
さて、この運搬用容器内に収穫後の桃を収容して運搬する際には、まず、図3(a)に示すように、下方に位置する容器本体11の底壁12上面に単層(1層)となるように桃41を敷き並べて収容させる。続いて、前記下方に位置する容器本体11の上端部に別の容器本体11を載置した後、その容器本体11の底壁12上面に桃41を同様に敷き並べて収容させるという作業を繰り返し行うことにより、桃41が収容された複数の容器本体11が上下にスタッキング状態で多段積みされる。その結果、多数の桃41が上下に押し潰されることなく安定状態で多段積みされ、極めてコンパクトに運搬することができる。
【0022】
この運搬用容器は、図3(a)に示されるように、前記下方に位置する容器本体11の上端縁に沿って、上方に位置する容器本体11の下部周縁フランジ31及び底部環状突部21を係合状態でスライドさせることにより、容器本体11の多段積み作業の作業性を容易に高めることができる。このとき、前記上方に位置する容器本体11の対向する一対の第2底壁突条24は、下方に位置する容器本体11の対向する一対の長側壁14上端縁間に嵌り込んだ状態で、同容器本体11の長手方向へのスライドをガイドしている。
【0023】
なお、この運搬用容器は、多段積みしたときの全高を抑えてコンパクトに運搬するために、容器本体11内の収容空間の高さを桃41の平均的な直径よりも僅かに大きい高さとなるように形成されている。このため、前記平均的な直径を越える大きさの桃41を収容した場合、図3(a)に模式的に示されるように、前記上方に位置する容器本体11をスライドさせながら多段積みする際に、その容器本体11の第1底壁突条23の下端部が桃41の上端部と当接又は摺接するおそれがある。このとき、前記第1底壁突条23の外部境界部23dが滑らかな円弧状となるように面取りされていることから、桃41の上端部外表面に対する傷付きを容易に抑えることが可能である。また、容器本体11を短手方向にスライドさせながら多段積みする場合でも全く同様である。
【0024】
一方、前記多段積み状態で運搬された後の運搬用容器内から桃41を取り出す際には、まず、前記スタッキング状態を解除して各容器本体11を分離した後、その分離後の各容器本体11内から桃41を手で掴み出すことによって行われる。
【0025】
前記各容器本体11を分離する際には、上方に位置する容器本体11の一方の把持部33に指を引掛けて斜め上方へと引張りながら、その容器本体11を下方に位置する容器本体11の上端部に対して長手方向にスライドさせ、容器本体11を両手で把持しやすい位置まで移動させると作業性がよい。このとき、前記下方に位置する容器本体11内に収容されている桃41は、運搬時の振動や衝撃によって同容器本体11内で僅かに位置が変動している場合があることから、その桃41の上端部に上方に位置する容器本体11の第1底壁突条23の下端部が当接又は摺接するおそれが再び発生する。しかしながら、前記第1底壁突条23下端部の外部境界部23d及び内部境界部23eは、いずれも滑らかな円弧状となるように面取りされていることから、桃41の上端部外表面に対する傷付きは容易に抑えられ得る。また、容器本体11を短手方向にスライドさせながら分離する場合でも全く同様である。
【0026】
この分離後の容器本体11内には、底壁12上面のほぼ全体を覆うように桃41が密に敷き並べられている。この容器本体11内から桃41を掴み出す際には、図3(b)に模式的に示すように、長側壁14の中央部に設けられた側壁凸部34の内側面に沿って手指42を挿入しながら桃41を静かに掴み取るようにするとよい。このとき、底壁12の上面全体に密に敷き並べられた桃41の側部同士が互いに強く押し合うことが少なくなり、その押し合いに起因する桃41の傷付きや変形が効果的に抑えられ得る。
【0027】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の運搬用容器は、四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の周縁に沿って立設された各一対の側壁13,14とから有底四角箱状に形成された容器本体11から構成されている。さらに、この運搬用容器は、下方に位置する容器本体11の上端部に、上方に位置する容器本体11を載置することによって、複数の容器本体11を上下にスタッキング状態で多段積みすることができるように構成されている。加えて、この運搬用容器では、複数の容器本体11を多段積みしたときに下方に位置する容器本体11の側壁13,14上端部内側面と係合するように構成された第1底壁突条23又は第2底壁突条24が底壁12の周縁に沿うように垂下されている。そのうえ、前記第1底壁突条23又は第2底壁突条24は、断面U字状となるように形成されているうえ、その底壁突条23,24の下端壁23a,24aと外側壁23b,24bとの境界部(外部境界部23d)外面が滑らかな円弧状(丸みを帯びた形状)となるように面取りされている。
【0028】
このため、この運搬用容器は、底壁12の周縁部下面に底壁突条23,24を垂下させることにより、複数の容器本体11を上下にスタッキング状態で多段積みする際に、上下の容器本体11間の位置合わせを極めて迅速かつ容易に行うことができる。特に、対向する一対の第1底壁突条23又は第2底壁突条24を対向する一対の短側壁13又は長側壁14の上端縁間に落とし込むことにより、下方に位置する容器本体11に対して上方に位置する容器本体11を所定方向にスライドさせて適正な位置に積み重ねるのが極めて容易に行える。そして、この方法を採用することによって、多段積み作業時の作業性を飛躍的に高めることが容易となるうえ、作業者の疲労度の軽減に役立つ。
【0029】
さらに、底壁突条23,24の下端壁23a,24a下面と外側壁23b,24b外面との境界における角部が面取りされていることから、前記上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする作業時に、下方に位置する容器本体11内の収容物上端部の傷付きを容易に抑えることができる。特に、前記収容物として、形状や大きさが不揃いでかつ傷付きやすい桃41等の青果物を収容する場合には、多段積みしたときの全高を低く抑えつつ、収容物の傷付きを容易に抑えることができるという点で大変優れている。
【0030】
これに対し、前記従来の運搬用容器では、端部底壁リブの厚みが2mm程度であったことから、前記下端壁23a,24a下面と外側壁23b,24b外面との境界部に相当する端部底壁リブの下端部(下端縁)の面取りを十分に行うことができない。このため、前記従来の運搬用容器では、上方に位置する容器本体をスライドさせて多段積みする作業時に、下方に位置する容器本体内の収容物上端部に深い傷を付けてしまいやすい。
【0031】
・ この運搬用容器は、底壁12を長四角板状に形成し、その底壁12の長手方向の両端縁に沿って第1底壁突条23を延設するとともに、その第1底壁突条23の下端壁23aと外側壁23bとの境界部(外部境界部23d)を面取りするように構成されている。このため、この運搬用容器は、上方に位置する容器本体11をその長手方向にスライドさせることにより、多段積みする際の作業性を著しく高めることができるように構成されている。特に、前記主要なスライド方向である容器本体11の長手方向へのスライド作業は、対向する一対の短側壁13外側面に把持部33が設けられていることと相まって著しく高い利便性を発揮し得る。そして、この運搬用容器は、前記主要なスライド方向の前方側(前端部)に位置する第1底壁突条23の外部境界部23dが面取りされていることから、下方に位置する容器本体11内の収容物の傷付きを著しく容易かつ効果的に抑えることが可能となる。
【0032】
・ この運搬用容器は、底壁突条23,24(底部環状突部21)が底壁12の周縁全体に渡って四角環状に延設されているうえ、その底部環状突部21の下端壁23a,24aと外側壁23b,24bとの境界部外面全体が面取りされている。このため、この運搬用容器は、上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする作業を行う際に、下方に位置する容器本体11内の収容物の傷付きを抑えつつ、容器本体11の長手方向及び短手方向のいずれの方向にもスライドさせて多段積みすることができ、その利便性は著しく高い。また、対向する一対の第1底壁突条23又は第2底壁突条24を省略した構成の容器本体11と比較して、底壁12の強度を著しく効果的に高めることができるうえ、上方に位置する容器本体11のスライドをより一層安定かつ滑らかに行うことができる。
【0033】
・ この運搬用容器は、長側壁14の壁面中央部を、容器本体11の外側方へと膨出するように形成することによって側壁凸部34が設けられていることから、容器本体11内からの収容物の掴み出しを容易かつ迅速に行うことができる。即ち、この運搬用容器では、容器本体11の収容空間内における死空間(収容物が収容されていない空間、即ち隣接する収容物間の隙間)を減らしてより多くの収容物を収容させる際には、必然的に隣接する収容物間の隙間が狭くなり、手指42を用いて容器本体11内から収容物を掴み出すのが困難になる。特に、前記収容物として桃41等の柔らかくて傷付きやすい青果物を収容した場合には、側壁凸部34内側面の凹みを利用することにより、容器本体11内に手指42の先端を深く挿入して収容物の下端部に添えて引き上げやすくなることから、収容物の傷みや傷付きを容易に抑えることが可能である。
【0034】
・ この運搬用容器では、側壁凸部34の中央部(容器本体11の外側方に最も突出した部位)と、底壁12の上面との間の高さの差が指の長さとほぼ同じとなるように構成されている。即ち、この運搬用容器では、図3(b)に示すように容器本体11内に挿入した手指42の先端を桃41の下端部に添えたとき、手指42の屈曲部42aを中心とする局所的に分厚い部位の一部が側壁凸部34の凹み内に収容されるようになっている。このため、この運搬用容器では、容器本体11内から桃41を掴み出す際に、隣接する桃41間の隙間が狭かった場合でも、手指42挿入用の隙間を大きく必要とせずに済むという利点がある。
【0035】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 断面U字状に形成された第1底壁突条23又は第2底壁突条24の代わりに、図2(c)に示されるように中空状(断面ロ字状)となるように形成された底壁突条51を設けること。この底壁突条51は、底壁12の周縁部下面において、短側壁13又は長側壁14に沿うように水平方向に延びる四角筒状に形成されているうえ、その内部には不定形(断面略円形状又は略四角形状)の中空部52が設けられている。なお、この底壁突条51は、シンプレス法やAGI(Asahi Gas Injection)等の中空射出成形法(ガスアシスト射出成形法)を用いて四角筒状(中空状)に成形される。
【0036】
さらに、この底壁突条51の下端面51aと側部外側面51bとの境界部に位置する外部境界部51cの外面を、滑らかな円弧状となるように面取りすること。加えて、同底壁突条51の下端面51aと側部内側面51dとの境界部に位置する内部境界部51eの外面を、滑らかな円弧状となるように面取りするのがより好ましい。
【0037】
このように構成した場合には、外部境界部51cの外面が面取りされていることから、上記実施形態と全く同様に、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体11内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。さらに、前記中空状に形成された底壁突条51によって、第1底壁突条23又は第2底壁突条24よりも底壁12の強度を高めることが可能となる。
【0038】
・ 例えば図4〜図6に示すように、運搬用容器としての折り畳み式運搬用容器61の底面周縁部に、断面U字状に形成された第1底壁突条23及び第2底壁突条24からなる底部環状突部21を垂下させること。
【0039】
即ち、この折り畳み式運搬用容器61は、長四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の対向する一側縁に沿って立設された一対の短側壁13と、前記底壁12の対向する他側縁に沿って立設された一対の長側壁14とを備えた有底長四角箱状の容器本体11から構成されている。さらに、各側壁13,14の下端部には、各側壁13,14を容器本体11の内方に折り畳むための回動手段が設けられており、一対の短側壁13を底壁12の上面に折り畳んだ後、残り一対の長側壁14を短側壁13の上面に折り畳むことによって、容器本体11が折り畳み可能に構成されている。
【0040】
一方、短側壁13の外側面上端部には、中央部に操作リブ62が突設されるとともに両端部に係合突起63が設けられた係合部材64が、短側壁13の外側面に沿って上下動可能となるように添着されている。長側壁14の両端部には、短側壁13の外方への回動を規制するための規制板65と、前記係合突起63と係合して短側壁13の内方への回動を規制するための係合部とが設けられている。なお、前記係合部は、前記係合突起63の先端部を挿入するための四角孔状の挿入孔67と、その挿入孔67の内端部上端より下方に延びる板状の係合突起68とから構成されている。
【0041】
さらに、前記規制板65には規制孔71が貫設されており、容器本体11を組み立てたとき、短側壁13の両端部に突設された規制凸部72を係入させ、長側壁14の外方への回動を規制するようになっている。また、前記係合部材64の下面には、前記係合突起63と係合部との係合状態を維持するように係合部材64を短側壁13の上方位置に付勢するための弾性変形可能な付勢板73が斜め下方に延設されている。そして、この折り畳み式運搬用容器61は、前記係合部材64の操作リブ62を下動させることにより、前記係合突起63と係合部(係合突起68)との係合状態が解除され、容器本体11を折り畳むことができるように構成されている。
【0042】
加えて、この折り畳み式運搬用容器61において、底壁突条23,24の下端壁23a,24aと外側壁23b,24bとの境界部(外部境界部23d)の外面は面取りされている。また、この折り畳み式運搬用容器61を構成する長側壁14の中央部には、その壁面を外側方に膨出するように形成された側壁凸部34が設けられている。なお、この折り畳み式運搬用容器61に設けられた第1底壁突条23及び第2底壁突条24の下端壁23a,24aには、所定間隔をおいて複数個の水抜き孔が長孔状に貫設されている。
【0043】
このように構成した場合でも、上記実施形態と全く同様に、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体11内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。また、その他の形状をなす種々の折り畳み式運搬用容器の底面に、断面U字状に形成された第1底壁突条23及び第2底壁突条24からなる底部環状突部21を垂下させても構わない。
【0044】
・ 図7(a)、(b)に示すように、第2底壁突条24を省略するとともに、第1底壁突条23の両端部に位置する外部境界部23dの外面を必要以上に面取りしないこと。即ち、この第1底壁突条23は、その中央部に位置する下端壁23aと外側壁23bとの境界部(外部境界部23d)外面が面取りされているうえ、両端部に位置する下端壁23aと外側壁23bとの境界部(外部境界部23d)外面が必要以上に面取りされていないように構成されている。さらに、同底壁突条23の下端面(下端壁23aの下面)と端部外側面23fとの境界部が必要以上に面取りされていない。そして、この第1底壁突条23の両端部には、四角柱状に形成されたスタッキング凸部81が底壁12の各コーナ部下面から垂下されており、複数の容器本体11を上下にスタッキング状態で多段積みしたとき、上下の容器本体11間の位置ずれを効果的に防止することができるようになっている。
【0045】
このように構成した場合、複数の容器本体11をスタッキング状態で多段積みしたとき、上方に位置する容器本体11のスタッキング凸部81の外側面(側部外側面としての外側壁23bの外側面及び端部外側面23f)が、下方に位置する容器本体11の側壁13,14上端部内側面と確実に係合される。このため、上下の容器本体11間の位置ずれを極めて効果的に防止して多段積み時の安定性を高めることができる。さらに、上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする際のスライドガイド機能を容易に高めることもできる。また、第1底壁突条23を省略し、第2底壁突条24の両端部にスタッキング凸部81を垂下させてもよい。
【0046】
・ 図7(a)、(b)に示すように、底壁リブ22の下端部が、第1底壁突条23の下端面よりも低い位置に配置されるように構成すること。このように構成した場合、底壁12の強度を容易に高めることができる。さらに、上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする作業時に、前記底壁リブ22の下端部は、下方に位置する容器本体11内の収容物に接触し難いことから、その傷付きを容易に抑えることができる。
【0047】
・ 図8(a)、(b)に示すように、第1底壁突条23の中央部に位置する下端壁23aを、同底壁突条23の両端部に位置する下端壁23aよりも高い位置に配設することにより、第1底壁突条23の両端部(底壁12のコーナ部)に脚部82を設けること。なお、前記脚部82は、容器本体11を床面等の平坦面上に載置したとき、その下端面が前記平坦面と当接するように構成されている。さらに、前記脚部82の下端壁23aと外側壁23bとの境界に位置する外部境界部23d、及び同脚部82の下面と端部外側面23fとの境界部は、いずれも必要以上に面取りされていない。なおこのとき、第2底壁突条24の下端面及び底壁リブ22の下端部は、脚部82の下端面と同じ高さ又はそれよりも高い位置に配設されていればよい。
【0048】
・ 対向する一対の第1底壁突条23を省略すること。なおこのとき、対向する一対の第2底壁突条24の両端部は、いずれも短側壁13のほぼ真下位置まで延設されているのが好ましい。
【0049】
或いは、対向する一対の第2底壁突条24を省略すること。なおこのとき、対向する一対の第1底壁突条23の両端部は、いずれも長側壁14のほぼ真下位置まで延設されているのが好ましい。
【0050】
・ 内部境界部23eは面取りされていなくても構わない。
・ 第1底壁突条23の外側壁23b若しくは内側壁23c、又は第2底壁突条24の外側壁24b若しくは内側壁24cを、上方ほど拡がるテーパ形状に形成させること。このように構成した場合、多段積み作業中における容器本体11内の収容物の傷付きをさらに容易に抑えることができる。
【0051】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記底壁突条の両端部に脚部を垂下させるとともに、その脚部の下面を前記底壁リブの下端部と同じ高さ又はそれよりも下方に位置するように構成したことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0052】
・ 前記脚部を四角柱状に形成するとともに、その脚部の下面外周縁を面取りしないように構成したことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の運搬用容器。
【0053】
・ 前記底壁を長四角板状に形成し、その底壁の長手方向の両端縁に沿って前記底壁突条を延設したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0054】
・ 前記側壁の壁面中央部を容器本体の外側方へと膨出するように形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
・ 前記底壁突条の下面中央部と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面中央部との境界部を面取りしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0055】
・ 前記底壁突条の下面と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を滑らかな弧状となるように形成させたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0056】
・ 前記底壁を長四角板状に形成し、その底壁の長手方向の両端縁に沿って前記底壁突条を延設するとともに、前記底壁突条の上方に位置する側壁の中央部に、容器本体を把持するための把持部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0057】
・ 前記底壁突条の下面と、容器本体の内方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0058】
・ 四角板状に形成された底壁と、その底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体を備えた運搬用容器であって、前記底壁の周縁に沿って断面略U字状又は断面略ロ字状に形成された底壁突条を垂下させるとともに、容器本体の外方側に位置する底壁突条の外側面を前記側壁の内側面のほぼ真下位置に配設し、さらにその底壁突条の下面と容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とする運搬用容器。このように構成した場合、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。
【0059】
なお、この明細書中の記載において、「面取りしない」及び「必要以上に面取りしない」とは、例えば刃物のようにある目的をもって使用する場合を除いた通常の使用目的において、怪我の発生を防止できる程度の円弧面が形成されていることまでを含む。なお、前記円弧面は、半径(いわゆるアール(R))が1mm以下であり、通常は0.5〜1mm程度である。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項5に記載の発明の運搬用容器によれば、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施形態の運搬用容器の容器本体を示す斜視図、(b)は同じく容器本体の一部を示す正断面図。
【図2】(a)は実施形態の一部を破断した容器本体を示す側面図、(b)は図1(b)の一部を拡大した部分拡大正断面図、(c)は実施形態以外の運搬用容器の一部を拡大した部分拡大正断面図。
【図3】(a)は実施形態の運搬用容器の作用を模式的に示す正断面図、(b)は同じく側断面図。
【図4】(a)は実施形態外の組立て状態の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す平面図、(b)は同じく底面図。
【図5】(a)は実施形態外の一部を破断した組立て状態の容器本体を示す側面図、(b)は同じく折り畳み状態の容器本体を示す側面図。
【図6】(a)は実施形態外の一部を破断した組立て状態の容器本体を示す正面図、(b)は同じく折り畳み状態の容器本体を示す正面図。
【図7】(a)は実施形態以外の運搬用容器の容器本体を示す斜視図、(b)は同じく容器本体の一部を拡大した正断面図。
【図8】(a)は実施形態以外の運搬用容器の容器本体を示す斜視図、(b)は同じく容器本体の一部を示す正断面図。
【符号の説明】
11…容器本体、12…底壁、13…側壁としての短側壁、14…側壁としての長側壁、22…底壁リブ、23…底壁突条としての第1底壁突条、23d…境界部としての外部境界部、23f…端部外側面、24…底壁突条としての第2底壁突条、51…底壁突条、51a…下端面、51b…側部外側面、51c…境界部としての外部境界部、61…運搬用容器としての折り畳み式運搬用容器、82…脚部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、有底四角箱状に形成された容器本体からなり、複数の容器本体を上下にスタッキング状態で多段積みすることができるように構成された運搬用容器に関するものである。より詳しくは、下方に位置する容器本体の上部開口部に上方に位置する容器本体の底部を載置することにより、複数の容器本体を上下に多段積みできるように構成された運搬用容器に関するものである。さらに詳しくは、下方に位置する容器本体の上端縁に沿って上方に位置する容器本体の底部をスライドさせながら積み重ねることができるとともに、その際には下方に位置する容器本体内の収容物の傷付きが抑えられるように構成された運搬用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、四角板状に形成された底壁とその底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体からなる合成樹脂製の運搬用容器が知られている。この運搬用容器の底壁下面には、縦横に格子状に延びる多数の底壁リブが垂下されており、底壁の強度を高めている。これら底壁リブのうち最も外端部に位置する底壁リブ(以下、端部底壁リブと記載する)の外側面(容器本体の外方側に位置する側面)は、側壁の内側面のほぼ真下に位置するように垂下されている。
【0003】
そして、この運搬用容器では、複数の容器本体を上下にスタッキング状態で多段積みする際には、上方に位置する容器本体の端部底壁リブを下方に位置する容器本体の側壁上端部に係合させながら横方向にスライドさせて積み重ねることができ、その作業性を容易に高めることができる。さらに、積み重ね後においては、上方に位置する容器本体の端部底壁リブが下方に位置する容器本体の側壁上端部と係合され、上下の容器本体間の位置合わせを行うとともに安定状態で積み重ねられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の運搬用容器では、下方に位置する容器本体内に野菜や果物等の傷付きやすい収容物が収容されている状態で、前記横方向にスライドさせながら多段積みする作業を行った場合には、端部底壁リブの下端縁が収容物の上端部と擦れ、その収容物を傷付けてしまうおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができるように構成された運搬用容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の運搬用容器は、四角板状に形成された底壁と、その底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体を備え、下方に位置する容器本体の上端部に上方に位置する容器本体を載置することにより複数の容器本体が上下に多段積みされるように構成した運搬用容器であって、前記底壁の周縁に沿って、複数の容器本体を上下に多段積みしたときに下方に位置する容器本体の側壁上端部内側面と係合するように構成された底壁突条を垂下させるとともに、その底壁突条を断面略U字状又は断面略ロ字状に形成し、さらにその底壁突条の下面と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の運搬用容器は、請求項1に記載の発明において、前記底壁突条の下面と、同底壁突条の端部外側面との境界部を面取りしないように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の運搬用容器は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記底壁の下面に底壁リブを垂下させるとともに、その底壁リブの下端部を前記底壁突条の下端面よりも下方に位置するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の運搬用容器は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記底壁突条の両端部に脚部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の運搬用容器は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記底壁突条を底壁の周縁に沿って四角環状に延設したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に示すように、実施形態の運搬用容器を構成する容器本体11は、合成樹脂により有底長四角箱状に一体形成されている。この容器本体11は、長四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の周縁に沿って立設された対向する各一対の短側壁13及び長側壁14とから有底長四角板状に形成されている。この運搬用容器は、下方に位置する容器本体11の上端部(上部開口部)上に別の容器本体11の底部(下端部)を載置することにより、スタッキング状態で上下に多段積みすることができるように構成されている。
【0012】
底壁12の下面には、底面四角環状に形成された底部環状突部21と、その底部環状突部21の対向する各一対のコーナ部間を直線的に繋ぐことにより底面X字状に形成された2本の底壁リブ22とが垂下されており、底壁12の強度を高めている。図1及び図2(a)、(b)に示すように、底部環状突部21は、短側壁13の下方に位置する左右一対の第1底壁突条23と、長側壁14の下方に位置する前後一対の第2底壁突条24とから底面長四角環状に形成されている。さらに、この底部環状突部21の上方に位置する底壁12の上面周縁部には、環状凹溝25が平面長四角環状となるように凹設されている。
【0013】
第1底壁突条23は、底壁12の長手方向の両端部において、短側壁13の下端縁に沿って延設されているうえ、正断面U字状となるように形成されている。図2(b)に示すように、この第1底壁突条23は、下端部に位置し水平面に沿って延びる下端壁23aと、上下方向に延びるとともに容器本体11の外側方及び内側方に位置する外側壁23b及び内側壁23cとより正断面U字状に形成されている。なお、前記外側壁23bの外側面は、第1底壁突条23の端部外側面を構成している。前記外側壁23bは、短側壁13に対し上下にほぼ連続するように延設されているが、短側壁13の下端縁よりも僅かに容器本体11の内方に位置するように配設されている。
【0014】
さらに、前記下端壁23aと外側壁23bとの境界に位置する外部境界部23dの外面、及び同下端壁23aと内側壁23cとの境界に位置する内部境界部23eの外面は、いずれも滑らかな円弧状となるように面取りされている。なお、前記外部境界部23d及び内部境界部23eの外面を構成する円弧面は、半径(いわゆるアール(R))が前記外側壁23bの厚み(通常は2mm程度)を越える長さであるのが好ましく、その厚みの1.5倍以上であるのがより好ましく、2倍以上であるのがさらに好ましい。
【0015】
図2(a)に示すように、第2底壁突条24は、底壁12の長手方向の両側部において、長側壁14の下端縁に沿って延設されているうえ、側断面U字状となるように形成されている。この第2底壁突条24は、下端部に位置し水平面に沿って延びる下端壁24aと、上下方向に延びるとともに容器本体11の外側方及び内側方に位置する外側壁24b及び内側壁24cとより側断面U字状に形成されている。なお、前記外側壁24bの外側面は、第2底壁突条24の端部外側面を構成している。前記外側壁24bは、長側壁14に対して上下にほぼ連続するように延設されているが、長側壁14の下端縁よりも僅かに容器本体11の内方に位置するように配設されている。
【0016】
さらに、前記下端壁24aと外側壁24bとの境界に位置する外部境界部の外面、及び同下端壁24aと内側壁24cとの境界に位置する内部境界部の外面は、前記第1底壁突条23の場合と同様に、いずれも滑らかな円弧状となるように面取りされている。なお、前記外部境界部及び内部境界部の外面を構成する円弧面は、半径(R)が前記外側壁24bの厚み(通常は2mm程度)を越える長さであるのが好ましく、その厚みの1.5倍以上であるのがより好ましく、2倍以上であるのがさらに好ましい。
【0017】
図1及び図2(a)に示すように、容器本体11の下端部及び上端部には、各側壁13,14の外側面から外側方に延びる下部周縁フランジ31及び上部周縁フランジ32が突設されている。下部周縁フランジ31は、底壁12の外周縁と各側壁13,14の下端縁との接合部から水平方向に延びるように突設されている。上部周縁フランジ32は、各側壁13,14の上端縁から水平方向に延びるように突設されているうえ、前記下部周縁フランジ31の真上に位置するように設けられている。
【0018】
対向する一対の短側壁13の外側面中央部には、側面楕円形状に形成された側壁リブを突設させることにより、容器本体11を把持するための把持部33が設けられている。また、図2(a)に示すように、長側壁14の中央部には、その壁面を滑らかに外側方へと膨出させることにより、正面楕円形状、側断面円弧状に形成された側壁凸部34が設けられており、長側壁14の強度を高めるとともに容器本体11内の収容空間が僅かに拡大されている。なお、この側壁凸部34の外側面は、下部周縁フランジ31及び上部周縁フランジ32の外周縁よりも容器本体11の内方側に位置している。
【0019】
上記運搬用容器の作用について以下に記載する。
この運搬用容器は、下方に位置する容器本体11の上部周縁フランジ32の上面に、上方に位置する容器本体11の下部周縁フランジ31の下面を載置することによって、複数の容器本体11をスタッキング状態で上下に積み重ねることができるように構成されている。このとき、上方に位置する容器本体11下端部の底部環状突部21は、下方に位置する容器本体11の上端部と係合し、上下の容器本体11間の位置合わせが行われるとともに積み重ね時の安定性が高められている。即ち、上方に位置する容器本体11の底部環状突部21の外側面(外側壁23b,24bの外側面)と、下方に位置する容器本体11の各側壁13,14の上端部内側面とが、容器本体11の全周に渡って当接可能な状態で近接配置されている。
【0020】
この運搬用容器は、容器本体11の収容空間内に収穫後の果実や野菜、特に表面に傷が付いたときの傷みが著しく、商品価値が低下しやすい桃等の高級果実を収容して運搬するのに適している。
【0021】
さて、この運搬用容器内に収穫後の桃を収容して運搬する際には、まず、図3(a)に示すように、下方に位置する容器本体11の底壁12上面に単層(1層)となるように桃41を敷き並べて収容させる。続いて、前記下方に位置する容器本体11の上端部に別の容器本体11を載置した後、その容器本体11の底壁12上面に桃41を同様に敷き並べて収容させるという作業を繰り返し行うことにより、桃41が収容された複数の容器本体11が上下にスタッキング状態で多段積みされる。その結果、多数の桃41が上下に押し潰されることなく安定状態で多段積みされ、極めてコンパクトに運搬することができる。
【0022】
この運搬用容器は、図3(a)に示されるように、前記下方に位置する容器本体11の上端縁に沿って、上方に位置する容器本体11の下部周縁フランジ31及び底部環状突部21を係合状態でスライドさせることにより、容器本体11の多段積み作業の作業性を容易に高めることができる。このとき、前記上方に位置する容器本体11の対向する一対の第2底壁突条24は、下方に位置する容器本体11の対向する一対の長側壁14上端縁間に嵌り込んだ状態で、同容器本体11の長手方向へのスライドをガイドしている。
【0023】
なお、この運搬用容器は、多段積みしたときの全高を抑えてコンパクトに運搬するために、容器本体11内の収容空間の高さを桃41の平均的な直径よりも僅かに大きい高さとなるように形成されている。このため、前記平均的な直径を越える大きさの桃41を収容した場合、図3(a)に模式的に示されるように、前記上方に位置する容器本体11をスライドさせながら多段積みする際に、その容器本体11の第1底壁突条23の下端部が桃41の上端部と当接又は摺接するおそれがある。このとき、前記第1底壁突条23の外部境界部23dが滑らかな円弧状となるように面取りされていることから、桃41の上端部外表面に対する傷付きを容易に抑えることが可能である。また、容器本体11を短手方向にスライドさせながら多段積みする場合でも全く同様である。
【0024】
一方、前記多段積み状態で運搬された後の運搬用容器内から桃41を取り出す際には、まず、前記スタッキング状態を解除して各容器本体11を分離した後、その分離後の各容器本体11内から桃41を手で掴み出すことによって行われる。
【0025】
前記各容器本体11を分離する際には、上方に位置する容器本体11の一方の把持部33に指を引掛けて斜め上方へと引張りながら、その容器本体11を下方に位置する容器本体11の上端部に対して長手方向にスライドさせ、容器本体11を両手で把持しやすい位置まで移動させると作業性がよい。このとき、前記下方に位置する容器本体11内に収容されている桃41は、運搬時の振動や衝撃によって同容器本体11内で僅かに位置が変動している場合があることから、その桃41の上端部に上方に位置する容器本体11の第1底壁突条23の下端部が当接又は摺接するおそれが再び発生する。しかしながら、前記第1底壁突条23下端部の外部境界部23d及び内部境界部23eは、いずれも滑らかな円弧状となるように面取りされていることから、桃41の上端部外表面に対する傷付きは容易に抑えられ得る。また、容器本体11を短手方向にスライドさせながら分離する場合でも全く同様である。
【0026】
この分離後の容器本体11内には、底壁12上面のほぼ全体を覆うように桃41が密に敷き並べられている。この容器本体11内から桃41を掴み出す際には、図3(b)に模式的に示すように、長側壁14の中央部に設けられた側壁凸部34の内側面に沿って手指42を挿入しながら桃41を静かに掴み取るようにするとよい。このとき、底壁12の上面全体に密に敷き並べられた桃41の側部同士が互いに強く押し合うことが少なくなり、その押し合いに起因する桃41の傷付きや変形が効果的に抑えられ得る。
【0027】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の運搬用容器は、四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の周縁に沿って立設された各一対の側壁13,14とから有底四角箱状に形成された容器本体11から構成されている。さらに、この運搬用容器は、下方に位置する容器本体11の上端部に、上方に位置する容器本体11を載置することによって、複数の容器本体11を上下にスタッキング状態で多段積みすることができるように構成されている。加えて、この運搬用容器では、複数の容器本体11を多段積みしたときに下方に位置する容器本体11の側壁13,14上端部内側面と係合するように構成された第1底壁突条23又は第2底壁突条24が底壁12の周縁に沿うように垂下されている。そのうえ、前記第1底壁突条23又は第2底壁突条24は、断面U字状となるように形成されているうえ、その底壁突条23,24の下端壁23a,24aと外側壁23b,24bとの境界部(外部境界部23d)外面が滑らかな円弧状(丸みを帯びた形状)となるように面取りされている。
【0028】
このため、この運搬用容器は、底壁12の周縁部下面に底壁突条23,24を垂下させることにより、複数の容器本体11を上下にスタッキング状態で多段積みする際に、上下の容器本体11間の位置合わせを極めて迅速かつ容易に行うことができる。特に、対向する一対の第1底壁突条23又は第2底壁突条24を対向する一対の短側壁13又は長側壁14の上端縁間に落とし込むことにより、下方に位置する容器本体11に対して上方に位置する容器本体11を所定方向にスライドさせて適正な位置に積み重ねるのが極めて容易に行える。そして、この方法を採用することによって、多段積み作業時の作業性を飛躍的に高めることが容易となるうえ、作業者の疲労度の軽減に役立つ。
【0029】
さらに、底壁突条23,24の下端壁23a,24a下面と外側壁23b,24b外面との境界における角部が面取りされていることから、前記上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする作業時に、下方に位置する容器本体11内の収容物上端部の傷付きを容易に抑えることができる。特に、前記収容物として、形状や大きさが不揃いでかつ傷付きやすい桃41等の青果物を収容する場合には、多段積みしたときの全高を低く抑えつつ、収容物の傷付きを容易に抑えることができるという点で大変優れている。
【0030】
これに対し、前記従来の運搬用容器では、端部底壁リブの厚みが2mm程度であったことから、前記下端壁23a,24a下面と外側壁23b,24b外面との境界部に相当する端部底壁リブの下端部(下端縁)の面取りを十分に行うことができない。このため、前記従来の運搬用容器では、上方に位置する容器本体をスライドさせて多段積みする作業時に、下方に位置する容器本体内の収容物上端部に深い傷を付けてしまいやすい。
【0031】
・ この運搬用容器は、底壁12を長四角板状に形成し、その底壁12の長手方向の両端縁に沿って第1底壁突条23を延設するとともに、その第1底壁突条23の下端壁23aと外側壁23bとの境界部(外部境界部23d)を面取りするように構成されている。このため、この運搬用容器は、上方に位置する容器本体11をその長手方向にスライドさせることにより、多段積みする際の作業性を著しく高めることができるように構成されている。特に、前記主要なスライド方向である容器本体11の長手方向へのスライド作業は、対向する一対の短側壁13外側面に把持部33が設けられていることと相まって著しく高い利便性を発揮し得る。そして、この運搬用容器は、前記主要なスライド方向の前方側(前端部)に位置する第1底壁突条23の外部境界部23dが面取りされていることから、下方に位置する容器本体11内の収容物の傷付きを著しく容易かつ効果的に抑えることが可能となる。
【0032】
・ この運搬用容器は、底壁突条23,24(底部環状突部21)が底壁12の周縁全体に渡って四角環状に延設されているうえ、その底部環状突部21の下端壁23a,24aと外側壁23b,24bとの境界部外面全体が面取りされている。このため、この運搬用容器は、上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする作業を行う際に、下方に位置する容器本体11内の収容物の傷付きを抑えつつ、容器本体11の長手方向及び短手方向のいずれの方向にもスライドさせて多段積みすることができ、その利便性は著しく高い。また、対向する一対の第1底壁突条23又は第2底壁突条24を省略した構成の容器本体11と比較して、底壁12の強度を著しく効果的に高めることができるうえ、上方に位置する容器本体11のスライドをより一層安定かつ滑らかに行うことができる。
【0033】
・ この運搬用容器は、長側壁14の壁面中央部を、容器本体11の外側方へと膨出するように形成することによって側壁凸部34が設けられていることから、容器本体11内からの収容物の掴み出しを容易かつ迅速に行うことができる。即ち、この運搬用容器では、容器本体11の収容空間内における死空間(収容物が収容されていない空間、即ち隣接する収容物間の隙間)を減らしてより多くの収容物を収容させる際には、必然的に隣接する収容物間の隙間が狭くなり、手指42を用いて容器本体11内から収容物を掴み出すのが困難になる。特に、前記収容物として桃41等の柔らかくて傷付きやすい青果物を収容した場合には、側壁凸部34内側面の凹みを利用することにより、容器本体11内に手指42の先端を深く挿入して収容物の下端部に添えて引き上げやすくなることから、収容物の傷みや傷付きを容易に抑えることが可能である。
【0034】
・ この運搬用容器では、側壁凸部34の中央部(容器本体11の外側方に最も突出した部位)と、底壁12の上面との間の高さの差が指の長さとほぼ同じとなるように構成されている。即ち、この運搬用容器では、図3(b)に示すように容器本体11内に挿入した手指42の先端を桃41の下端部に添えたとき、手指42の屈曲部42aを中心とする局所的に分厚い部位の一部が側壁凸部34の凹み内に収容されるようになっている。このため、この運搬用容器では、容器本体11内から桃41を掴み出す際に、隣接する桃41間の隙間が狭かった場合でも、手指42挿入用の隙間を大きく必要とせずに済むという利点がある。
【0035】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 断面U字状に形成された第1底壁突条23又は第2底壁突条24の代わりに、図2(c)に示されるように中空状(断面ロ字状)となるように形成された底壁突条51を設けること。この底壁突条51は、底壁12の周縁部下面において、短側壁13又は長側壁14に沿うように水平方向に延びる四角筒状に形成されているうえ、その内部には不定形(断面略円形状又は略四角形状)の中空部52が設けられている。なお、この底壁突条51は、シンプレス法やAGI(Asahi Gas Injection)等の中空射出成形法(ガスアシスト射出成形法)を用いて四角筒状(中空状)に成形される。
【0036】
さらに、この底壁突条51の下端面51aと側部外側面51bとの境界部に位置する外部境界部51cの外面を、滑らかな円弧状となるように面取りすること。加えて、同底壁突条51の下端面51aと側部内側面51dとの境界部に位置する内部境界部51eの外面を、滑らかな円弧状となるように面取りするのがより好ましい。
【0037】
このように構成した場合には、外部境界部51cの外面が面取りされていることから、上記実施形態と全く同様に、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体11内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。さらに、前記中空状に形成された底壁突条51によって、第1底壁突条23又は第2底壁突条24よりも底壁12の強度を高めることが可能となる。
【0038】
・ 例えば図4〜図6に示すように、運搬用容器としての折り畳み式運搬用容器61の底面周縁部に、断面U字状に形成された第1底壁突条23及び第2底壁突条24からなる底部環状突部21を垂下させること。
【0039】
即ち、この折り畳み式運搬用容器61は、長四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の対向する一側縁に沿って立設された一対の短側壁13と、前記底壁12の対向する他側縁に沿って立設された一対の長側壁14とを備えた有底長四角箱状の容器本体11から構成されている。さらに、各側壁13,14の下端部には、各側壁13,14を容器本体11の内方に折り畳むための回動手段が設けられており、一対の短側壁13を底壁12の上面に折り畳んだ後、残り一対の長側壁14を短側壁13の上面に折り畳むことによって、容器本体11が折り畳み可能に構成されている。
【0040】
一方、短側壁13の外側面上端部には、中央部に操作リブ62が突設されるとともに両端部に係合突起63が設けられた係合部材64が、短側壁13の外側面に沿って上下動可能となるように添着されている。長側壁14の両端部には、短側壁13の外方への回動を規制するための規制板65と、前記係合突起63と係合して短側壁13の内方への回動を規制するための係合部とが設けられている。なお、前記係合部は、前記係合突起63の先端部を挿入するための四角孔状の挿入孔67と、その挿入孔67の内端部上端より下方に延びる板状の係合突起68とから構成されている。
【0041】
さらに、前記規制板65には規制孔71が貫設されており、容器本体11を組み立てたとき、短側壁13の両端部に突設された規制凸部72を係入させ、長側壁14の外方への回動を規制するようになっている。また、前記係合部材64の下面には、前記係合突起63と係合部との係合状態を維持するように係合部材64を短側壁13の上方位置に付勢するための弾性変形可能な付勢板73が斜め下方に延設されている。そして、この折り畳み式運搬用容器61は、前記係合部材64の操作リブ62を下動させることにより、前記係合突起63と係合部(係合突起68)との係合状態が解除され、容器本体11を折り畳むことができるように構成されている。
【0042】
加えて、この折り畳み式運搬用容器61において、底壁突条23,24の下端壁23a,24aと外側壁23b,24bとの境界部(外部境界部23d)の外面は面取りされている。また、この折り畳み式運搬用容器61を構成する長側壁14の中央部には、その壁面を外側方に膨出するように形成された側壁凸部34が設けられている。なお、この折り畳み式運搬用容器61に設けられた第1底壁突条23及び第2底壁突条24の下端壁23a,24aには、所定間隔をおいて複数個の水抜き孔が長孔状に貫設されている。
【0043】
このように構成した場合でも、上記実施形態と全く同様に、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体11内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。また、その他の形状をなす種々の折り畳み式運搬用容器の底面に、断面U字状に形成された第1底壁突条23及び第2底壁突条24からなる底部環状突部21を垂下させても構わない。
【0044】
・ 図7(a)、(b)に示すように、第2底壁突条24を省略するとともに、第1底壁突条23の両端部に位置する外部境界部23dの外面を必要以上に面取りしないこと。即ち、この第1底壁突条23は、その中央部に位置する下端壁23aと外側壁23bとの境界部(外部境界部23d)外面が面取りされているうえ、両端部に位置する下端壁23aと外側壁23bとの境界部(外部境界部23d)外面が必要以上に面取りされていないように構成されている。さらに、同底壁突条23の下端面(下端壁23aの下面)と端部外側面23fとの境界部が必要以上に面取りされていない。そして、この第1底壁突条23の両端部には、四角柱状に形成されたスタッキング凸部81が底壁12の各コーナ部下面から垂下されており、複数の容器本体11を上下にスタッキング状態で多段積みしたとき、上下の容器本体11間の位置ずれを効果的に防止することができるようになっている。
【0045】
このように構成した場合、複数の容器本体11をスタッキング状態で多段積みしたとき、上方に位置する容器本体11のスタッキング凸部81の外側面(側部外側面としての外側壁23bの外側面及び端部外側面23f)が、下方に位置する容器本体11の側壁13,14上端部内側面と確実に係合される。このため、上下の容器本体11間の位置ずれを極めて効果的に防止して多段積み時の安定性を高めることができる。さらに、上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする際のスライドガイド機能を容易に高めることもできる。また、第1底壁突条23を省略し、第2底壁突条24の両端部にスタッキング凸部81を垂下させてもよい。
【0046】
・ 図7(a)、(b)に示すように、底壁リブ22の下端部が、第1底壁突条23の下端面よりも低い位置に配置されるように構成すること。このように構成した場合、底壁12の強度を容易に高めることができる。さらに、上方に位置する容器本体11をスライドさせて多段積みする作業時に、前記底壁リブ22の下端部は、下方に位置する容器本体11内の収容物に接触し難いことから、その傷付きを容易に抑えることができる。
【0047】
・ 図8(a)、(b)に示すように、第1底壁突条23の中央部に位置する下端壁23aを、同底壁突条23の両端部に位置する下端壁23aよりも高い位置に配設することにより、第1底壁突条23の両端部(底壁12のコーナ部)に脚部82を設けること。なお、前記脚部82は、容器本体11を床面等の平坦面上に載置したとき、その下端面が前記平坦面と当接するように構成されている。さらに、前記脚部82の下端壁23aと外側壁23bとの境界に位置する外部境界部23d、及び同脚部82の下面と端部外側面23fとの境界部は、いずれも必要以上に面取りされていない。なおこのとき、第2底壁突条24の下端面及び底壁リブ22の下端部は、脚部82の下端面と同じ高さ又はそれよりも高い位置に配設されていればよい。
【0048】
・ 対向する一対の第1底壁突条23を省略すること。なおこのとき、対向する一対の第2底壁突条24の両端部は、いずれも短側壁13のほぼ真下位置まで延設されているのが好ましい。
【0049】
或いは、対向する一対の第2底壁突条24を省略すること。なおこのとき、対向する一対の第1底壁突条23の両端部は、いずれも長側壁14のほぼ真下位置まで延設されているのが好ましい。
【0050】
・ 内部境界部23eは面取りされていなくても構わない。
・ 第1底壁突条23の外側壁23b若しくは内側壁23c、又は第2底壁突条24の外側壁24b若しくは内側壁24cを、上方ほど拡がるテーパ形状に形成させること。このように構成した場合、多段積み作業中における容器本体11内の収容物の傷付きをさらに容易に抑えることができる。
【0051】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記底壁突条の両端部に脚部を垂下させるとともに、その脚部の下面を前記底壁リブの下端部と同じ高さ又はそれよりも下方に位置するように構成したことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0052】
・ 前記脚部を四角柱状に形成するとともに、その脚部の下面外周縁を面取りしないように構成したことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の運搬用容器。
【0053】
・ 前記底壁を長四角板状に形成し、その底壁の長手方向の両端縁に沿って前記底壁突条を延設したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0054】
・ 前記側壁の壁面中央部を容器本体の外側方へと膨出するように形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
・ 前記底壁突条の下面中央部と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面中央部との境界部を面取りしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0055】
・ 前記底壁突条の下面と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を滑らかな弧状となるように形成させたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0056】
・ 前記底壁を長四角板状に形成し、その底壁の長手方向の両端縁に沿って前記底壁突条を延設するとともに、前記底壁突条の上方に位置する側壁の中央部に、容器本体を把持するための把持部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0057】
・ 前記底壁突条の下面と、容器本体の内方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の運搬用容器。
【0058】
・ 四角板状に形成された底壁と、その底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体を備えた運搬用容器であって、前記底壁の周縁に沿って断面略U字状又は断面略ロ字状に形成された底壁突条を垂下させるとともに、容器本体の外方側に位置する底壁突条の外側面を前記側壁の内側面のほぼ真下位置に配設し、さらにその底壁突条の下面と容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とする運搬用容器。このように構成した場合、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。
【0059】
なお、この明細書中の記載において、「面取りしない」及び「必要以上に面取りしない」とは、例えば刃物のようにある目的をもって使用する場合を除いた通常の使用目的において、怪我の発生を防止できる程度の円弧面が形成されていることまでを含む。なお、前記円弧面は、半径(いわゆるアール(R))が1mm以下であり、通常は0.5〜1mm程度である。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項5に記載の発明の運搬用容器によれば、多段積み作業時の作業性を容易に高めることができるとともに、その作業中における容器本体内の収容物の傷付きを容易に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施形態の運搬用容器の容器本体を示す斜視図、(b)は同じく容器本体の一部を示す正断面図。
【図2】(a)は実施形態の一部を破断した容器本体を示す側面図、(b)は図1(b)の一部を拡大した部分拡大正断面図、(c)は実施形態以外の運搬用容器の一部を拡大した部分拡大正断面図。
【図3】(a)は実施形態の運搬用容器の作用を模式的に示す正断面図、(b)は同じく側断面図。
【図4】(a)は実施形態外の組立て状態の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す平面図、(b)は同じく底面図。
【図5】(a)は実施形態外の一部を破断した組立て状態の容器本体を示す側面図、(b)は同じく折り畳み状態の容器本体を示す側面図。
【図6】(a)は実施形態外の一部を破断した組立て状態の容器本体を示す正面図、(b)は同じく折り畳み状態の容器本体を示す正面図。
【図7】(a)は実施形態以外の運搬用容器の容器本体を示す斜視図、(b)は同じく容器本体の一部を拡大した正断面図。
【図8】(a)は実施形態以外の運搬用容器の容器本体を示す斜視図、(b)は同じく容器本体の一部を示す正断面図。
【符号の説明】
11…容器本体、12…底壁、13…側壁としての短側壁、14…側壁としての長側壁、22…底壁リブ、23…底壁突条としての第1底壁突条、23d…境界部としての外部境界部、23f…端部外側面、24…底壁突条としての第2底壁突条、51…底壁突条、51a…下端面、51b…側部外側面、51c…境界部としての外部境界部、61…運搬用容器としての折り畳み式運搬用容器、82…脚部。
Claims (5)
- 四角板状に形成された底壁と、その底壁の周縁に沿って立設された各一対の側壁とから有底四角箱状に形成された容器本体を備え、
下方に位置する容器本体の上端部に上方に位置する容器本体を載置することにより複数の容器本体が上下に多段積みされるように構成した運搬用容器であって、
前記底壁の周縁に沿って、複数の容器本体を上下に多段積みしたときに下方に位置する容器本体の側壁上端部内側面と係合するように構成された底壁突条を垂下させるとともに、
その底壁突条を断面略U字状又は断面略ロ字状に形成し、
さらにその底壁突条の下面と、容器本体の外方側に位置する同底壁突条の側部外側面との境界部を面取りしたことを特徴とする運搬用容器。 - 前記底壁突条の下面と、同底壁突条の端部外側面との境界部を面取りしないように構成したことを特徴とする請求項1に記載の運搬用容器。
- 前記底壁の下面に底壁リブを垂下させるとともに、その底壁リブの下端部を前記底壁突条の下端面よりも下方に位置するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運搬用容器。
- 前記底壁突条の両端部に脚部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の運搬用容器。
- 前記底壁突条を底壁の周縁に沿って四角環状に延設したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の運搬用容器。
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