JP2004040848A - ギヤードモータのモータ軸支持機構 - Google Patents

ギヤードモータのモータ軸支持機構 Download PDF

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Abstract

【課題】モータ軸のアキシアル方向の移動(ガタ)を減少またはなくすことができ、ピニオンとギヤの噛み合い位置の調整が容易なギヤードモータのモータ軸支持機構を提供する。
【解決手段】ハイポイドギヤ23と噛み合うハイポイドピニオン2が先端部に設けられたモータ軸3と、モータ軸3の負荷側を支持する一対の玉軸受4,4からなる負荷側軸受と、モータ軸3の反負荷側を支持する反負荷側玉軸受5と、一対の玉軸受4,4を支持する負荷側ブラケット6と、反負荷側玉軸受5を支持する反負荷側ブラケット7と、一対の玉軸受4,4の内の一つの側面と負荷側ブラケット6の支持部6aの段部との間に挿入される円環状のシム10と、一対の玉軸受4,4を負荷側ブラケット6に固定する軸受押さえ板12と、ボルト13とを備えるハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構であって、一対の玉軸受4,4の対向する内輪間に円環状のシム31が挿入される。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ギヤと噛み合うピニオンが先端部に設けられたモータ軸と、モータ軸の負荷側を支持する負荷側軸受と、モータ軸の反負荷側を支持する反負荷側軸受と、負荷側軸受を支持する負荷側ブラケットと、反負荷側軸受を支持する反負荷側ブラケットと、負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシムと、負荷側軸受を負荷側ブラケットに固定する固定手段とを備えるギヤードモータのモータ軸支持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ギヤードモータとして、図4に示すようなものが知られている。図4は従来のハイポイドギヤ式ギヤードモータの一部断面を含む側面図である。
【0003】
図4に示す従来のハイポイドギヤ式ギヤードモータは、モータ1と減速機21とから構成されており、両者は連結されて一体となっている。
【0004】
モータ1は、先端部にハイポイドピニオン2が設けられたモータ軸3と、モータ軸3の負荷側を支持する負荷側玉軸受4と、モータ軸3の反負荷側を支持する反負荷側玉軸受5と、負荷側玉軸受4を支持する負荷側ブラケット6と、反負荷側玉軸受5を支持する反負荷側ブラケット7と、モータフレーム8とを備えている。そして、負荷側ブラケット6と反負荷側ブラケット7はモータフレーム8の両端にそれぞれ通しボルト9によって組み付けられる。
【0005】
モータ軸3の負荷側は、モータ軸3のつば部3aが負荷側玉軸受4の内輪の側面に当接するまで圧入嵌合されている。負荷側ブラケット6の支持部6aに負荷側玉軸受4の外輪が収納され、負荷側玉軸受4の外輪の側面と支持部6aの段部との間には、1枚あるいは複数枚の円環状のシム10が挿入されている。
【0006】
また、モータ軸3の反負荷側は、反負荷側玉軸受5の内輪に圧入嵌合されている。反負荷側ブラケット7の支持部7aに反負荷側玉軸受5の外輪が収納され、反負荷側玉軸受5の側面と支持部7aの底面との間には、1枚あるいは複数枚の円環状のシム11が挿入されている。
【0007】
そして、負荷側ブラケット6の支持部6aの段部に所要枚数の円環状のシム10を挿入し、さらに、反負荷側ブラケット7の支持部7aの底面に所要枚数の円環状のシム11を挿入することによって、ハイポイドピニオン2の負荷側ブラケット6外への突出長さを調整し、ハイポイドピニオン2の後述するハイポイドギヤ23との噛み合い位置を調整するようになっている。なお、図4においては、理解を容易にするために、円環状のシム10,11はともにその厚さが誇張して図示されている。
【0008】
減速機21は、ギヤーケース22内にハイポイドピニオン2と噛み合うハイポイドギヤ23と、中空出力軸24とを内蔵している。そして、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23はハイポイドギヤ対を構成している。さらに、ハイポイドギヤ23は図示しない歯車対を介して中空出力軸24に連結されている。また、ギヤーケース22は図示しないボルトによりモータ1の負荷側ブラケット6に連結される。なお、ギヤーケース22の四隅には、相手機械に取り付けるためのボルト挿入穴またはタップ穴22bが設けられている。
【0009】
また、従来の別のギヤードモータとして、特開2001−124155号公報の「ハイポイドギヤ式減速機を用いた電動機」に開示されたようなものがある。図5は特開2001−124155号公報の「ハイポイドギヤ式減速機を用いた電動機」の図1に開示されたハイポイドギヤ式減速機を用いた電動機(以下、ハイポイドギヤ式ギヤードモータという。)の側断面図である。図6は図5に示す従来の別のハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構の負荷側支持部を説明するための部分拡大図である。
【0010】
図5に示すハイポイドギヤ式ギヤードモータは、モータ1と減速機21とから構成されており、両者は連結されて一体となっている。
【0011】
モータ1は、先端部にハイポイドピニオン2が設けられたモータ軸3と、モータ軸3の負荷側を支持する負荷側玉軸受4と、モータ軸3の反負荷側を支持する反負荷側玉軸受5と、負荷側玉軸受4を支持する負荷側ブラケット6と、反負荷側玉軸受5を支持する反負荷側ブラケット7と、モータフレーム8とを備えている。そして、負荷側ブラケット6と反負荷側ブラケット7はモータフレーム8の両端にそれぞれ通しボルト9によって組み付けられる。
【0012】
モータ軸3の負荷側は、モータ軸3のつば部3aが負荷側玉軸受4の内輪の側面に当接するまで圧入嵌合されている。負荷側ブラケット6の支持部6aに負荷側玉軸受4の外輪が収納され、負荷側玉軸受4の外輪の側面と支持部6aの段部との間には、1枚あるいは複数枚の円環状のシム10が挿入されている。そして、必要枚数の円環状のシム10を挿入することによって、ハイポイドピニオン2の負荷側ブラケット6外への突出長さを調整し、ハイポイドピニオン2の後述するハイポイドギヤ23との噛み合い位置を調整するようになっている。
【0013】
また、負荷側玉軸受4は、次のようにして負荷側ブラケット6の支持部6a内に固定される。まず、必要枚数の円環状のシム10を負荷側ブラケット6の支持部6a内に挿入した後に、続いて負荷側ブラケット6の支持部6a内に負荷側玉軸受4を収納する。次に、この支持部6aの開口部に軸受押さえ板12をねじ13’で固定する。これにより、負荷側玉軸受4の外輪は軸受押さえ板12により押さえられる。軸受押さえ板12とねじ13’が負荷側玉軸受4の負荷側ブラケット6への固定手段を構成している。また、負荷側玉軸受4の内輪をモータ軸3のつば部3aで受け、さらに、外輪を負荷側ブラケット6の支持部6aの段部で受けることにより、負荷側玉軸受4及びモータ軸3がアキシアル方向に移動しないように固定される。なお、図5及び図6においては、理解を容易にするために、円環状のシム10はその厚さが誇張して図示されている。
【0014】
また、モータ軸3の反負荷側は、反負荷側玉軸受5の内輪にすきまばめ嵌合されている。この反負荷側玉軸受5をすきまばめ嵌合する前に、モータ軸3に挿入されているカラー14によって、反負荷側玉軸受5の内輪を押さえている。また、反負荷側玉軸受5と反負荷側ブラケット7の支持部7aの底面との間には、波形座金15が設けられている。この波形座金15及び前述したすきまばめ嵌合によって、反負荷側玉軸受5に対して予圧を与えている。
【0015】
減速機21は、ギヤーケース22’と蓋部材22”とを備えている。ギヤーケース22’と蓋部材22”内には、ハイポイドギヤ23が取り付けられた出力軸24’が内蔵されている。そして、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23はハイポイドギヤ対を構成している。出力軸24’は玉軸受25,26により回転自在に支持されている。玉軸受25はギヤーケース22’の支持部22’aにより支持されており、玉軸受26は蓋部材22”の支持部22”aにより支持されている。さらに、ギヤーケース22’の支持部22’aの段部と玉軸受25の外輪の側面との間には1枚あるいは複数枚の円環状のシム27が挿入されており、蓋部材22”の支持部22”aの段部と玉軸受26の外輪の側面との間には1枚あるいは複数枚の円環状のシム28が挿入されている。そして、支持部22’aに挿入された円環状のシム27及び支持部22”aに挿入された円環状のシム28の枚数あるいは厚さを調整することにより、出力軸24’のギヤーケース22’からの突出長さを調整するようになっている。なお、図5においては、理解を容易にするために、円環状のシム27,28はその厚さが誇張して図示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4に示すハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構は、次のような問題点がある。
(1)ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23はハイポイドギヤ対を構成しているため、モータ1の正逆回転によりモータ軸3に図4において左右方向のアキシアル荷重が作用する。その結果、モータ軸3は、モータ1の正回転あるいは逆回転により左方向あるいは右方向に移動することになる。したがって、このモータ1の正逆回転によるモータ軸3のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)、すなわちハイポイドピニオン2の移動(ガタ)をなくす必要がある。図4に示すハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構においては、モータ軸3のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)をなくすのに、負荷側軸受部の円環状のシム10及び反負荷側軸受部の円環状のシム11の枚数あるいはその厚さを調整することにより行なっている。
(2)また、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の噛み合い位置の調整も、上記円環状のシム10,11の枚数あるいはその厚さの調整により同時に行う必要がある。例えば、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の噛み合い位置の調整のために厚さ0.2mmの円環状のシム10を1枚、モータ軸3のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)をなくすために厚さ0.07mmの円環状のシム11を2枚それぞれ挿入する必要がある。しかし、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の噛み合い位置の調整は、モータ軸3、負荷側ブラケット6、反負荷ブラケット7、モータフレーム8及びギヤケース22のそれぞれの精度の合計に依存するため、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の最適な噛み合いを得るための円環状のシム10,11の挿入位置、枚数あるいはその厚さの調整が困難である。
(3)また、負荷側玉軸受4及び反負荷側玉軸受5のそれぞれがアキシアル荷重を受ける構造であり、反負荷側玉軸受5には、高コストの長寿命軸受を用いるか、あるいは軸受サイズを上げる必要がある。
【0017】
また、図5に示すハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構は、次のような問題点がある。すなわち、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23はハイポイドギヤ対を構成しているため、モータ1の正逆回転によりモータ軸3に図5において左右方向のアキシアル荷重が作用する。ところで、玉軸受4にはアキシアル内部すきまがあるため、例えば、モータ1が正回転すると、図6(A)に示すように、モータ軸3に右方向(矢印方向)のアキシアル荷重が作用し、モータ軸3は負荷側玉軸受4の外輪に対する内輪の右方向移動量δ1だけ右方向に移動する。また、モータ1が逆回転すると、図6(B)に示すように、モータ軸3に左方向(矢印方向)のアキシアル荷重が作用し、モータ軸3は負荷側玉軸受4の外輪に対する内輪の左方向移動量δ2だけ左方向に移動する。すなわち、図6(A),(B)に示すように、負荷側玉軸受4のアキシアル内部すきまが押さえられていないため、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の噛み合いによって発生するアキシアル荷重により、負荷側玉軸受4の外輪に対する内輪の右方向移動量δ1と左方向移動量δ2の和、すなわちアキシアル内部すきま分だけ、モータ軸3は負荷側玉軸受4の内輪とともに左右にアキシアル方向(軸方向)に移動する。したがって、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の噛み合い位置がモータ1の正逆回転で変化してしまう。このモータ軸3の移動(ガタ)は、異常音の発生あるいは異常摩耗の発生の要因となる。
【0018】
そこで、本発明は、前記問題点を解決し、モータ軸のアキシアル方向の移動(ガタ)を減少またはなくすことができ、ピニオンとギヤの噛み合い位置の調整が容易なギヤードモータのモータ軸支持機構を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、前記問題点を解決するために、ギヤと噛み合うピニオンが先端部に設けられたモータ軸と、該モータ軸の負荷側を支持する負荷側軸受と、前記モータ軸の反負荷側を支持する反負荷側軸受と、前記負荷側軸受を支持する負荷側ブラケットと、前記反負荷側軸受を支持する反負荷側ブラケットと、前記負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシムと、前記負荷側軸受を前記負荷側ブラケットに固定する固定手段とを備えるギヤードモータのモータ軸支持機構において、前記負荷側軸受は一対の玉軸受で構成され、該一対の玉軸受の対向する内輪間にシムが挿入されるものである。
【0020】
請求項2記載の発明は、前記問題点を解決するために、請求項1記載のギヤードモータのモータ軸支持機構において、前記ギヤと前記ピニオンはハイポイドギヤ対を構成するものである。
【0021】
請求項1,2記載の発明によれば、一対の負荷側玉軸受の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)を減少またはなくすことができ、その結果、モータ軸の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)を減少またはなくすことができる。また、モータ軸に設けられたピニオンとギヤの噛み合い位置の調整が負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシムの枚数あるいは厚さの調整のみで可能となるので、モータ軸の組立が容易である。また、図4に示す従来のように、ハイポイドピニオンが設けられたモータ軸のアキシアル方向の移動(ガタ)をなくすために負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシム及び反負荷側軸受の側面と反負荷側ブラケットの支持部の底面との間に挿入されるシムで調整をする必要がない。また、モータ軸の反負荷側軸受部での調整が不要であるから、モータ軸の一部、モータフレーム及び反負荷側ブラケットの加工精度の低減が可能となり、その結果これらの加工工数の削減を図ることができる。また、モータ軸のアキシアル荷重は一対の負荷側玉軸受のみで受ける構造であり、反負荷側軸受にアキシアル荷重が加わらないため、反負荷側軸受の長寿命化が期待できるから、反負荷側軸受に長寿命タイプを使用する必要がなく、また、軸受サイズを上げる必要もない。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係るハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構について図1〜3に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係るモータ軸支持機構を適用したハイポイドギヤ式ギヤードモータの一部断面を含む側面図である。図2は図1に示すA部の拡大図である。図3は図1に示すハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構の要部を説明するための部分拡大図である。
【0023】
図1に示す本発明の実施の形態に係るモータ軸支持機構を適用したハイポイドギヤ式ギヤードモータは、モータ1と減速機21とから構成されており、両者は連結されて一体となっている。
【0024】
モータ1は、先端部にハイポイドピニオン2が設けられたモータ軸3と、モータ軸3の負荷側を支持する一対の負荷側玉軸受4,4と、モータ軸3の反負荷側を支持する反負荷側玉軸受5と、一対の負荷側玉軸受4,4を支持する負荷側ブラケット6と、反負荷側玉軸受5を支持する反負荷側ブラケット7と、モータフレーム8とを備えている。そして、負荷側ブラケット6と反負荷側ブラケット7はモータフレーム8の両端にそれぞれ通しボルト9によって組み付けられる。
【0025】
図2及び図3に明瞭に示されるように、モータ軸3の負荷側は、モータ軸3のつば部3aが一対の負荷側玉軸受4,4の一方の内輪の側面に当接するまで圧入嵌合されている。負荷側ブラケット6の支持部6aに一対の負荷側玉軸受4,4の外輪が収納され、支持部6aの段部とこの段部に対向する負荷側玉軸受4の外輪の側面との間には、1枚あるいは複数枚の円環状のシム10が挿入されている。そして、所要の枚数の円環状のシム10を挿入することによって、ハイポイドピニオン2の負荷側ブラケット6外への突出長さを調整し、ハイポイドピニオン2の後述するハイポイドギヤ23との噛み合い位置を調整するようになっている。
【0026】
また、図2及び図3に明瞭に示されるように、一対の負荷側玉軸受4,4の対向する内輪間に円環状のシム31が挿入されている。対向する内輪間に円環状のシム31が挿入されている一対の負荷側玉軸受4,4は負荷側ブラケット6の支持部6a内に収納され、この支持部6aの開口部に軸受押さえ板12をボルト13で固定する。これにより、一対の負荷側玉軸受4,4は軸受押さえ板12により押さえられる。軸受押さえ板12とボルト13が一対の負荷側玉軸受4,4の負荷側ブラケット6への固定手段を構成している。なお、図2及び図3においては、理解を容易にするために、円環状のシム10及び円環状のシム31はその厚さが誇張して図示されている。
【0027】
次に、図3を参照して、モータ軸支持機構の要部について説明する。円環状のシム31の厚さtと一対の負荷側玉軸受4,4の外輪に対する内輪の右方向移動量δ1及び左方向δ2との関係について以下に説明する。円環状のシム31の厚さtが、一対の負荷側玉軸受4,4の外輪に対する内輪の右方向移動量δ1と左方向移動量δ2の和、すなわちアキシアル内部すきまより小さい場合は、モータ軸3の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動量(ガタ)を円環状のシム31の厚さtの分だけ減少させることができる。また、円環状のシム31の厚さtが、一対の負荷側玉軸受4,4の外輪に対する内輪の右方向移動量δ1と左方向移動量δ2の和、すなわちアキシアル内部すきまより大きいか等しい場合は、モータ軸3の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動量(ガタ)をなくすことができる。
【0028】
また、モータ軸3の反負荷側は、反負荷側玉軸受5の内輪に嵌合されている。反負荷側ブラケット7の支持部7aに反負荷側玉軸受5の外輪が収納され、支持部7aの底面と反負荷側玉軸受5の側面との間には、波形座金15が設けられている。
【0029】
本発明の実施の形態に係るハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構を組み立てるには、次のような順序で組み立てる。まず、ロータ圧入済みのモータ軸3に軸受押さえ板12を挿入する。次に、一対の負荷側玉軸受4,4の内の一方をモータ軸3に圧入嵌合する。次に、円環状のシム31をモータ軸3の外周に挿入する。次に、一対の負荷側玉軸受4,4の内の他方をモータ軸3に圧入嵌合する。次に、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23との噛み合い位置が最適となるように所要の枚数の円環状のシム10を負荷側ブラケット6の支持部6aの段部に挿入する。次に、モータ軸3に圧入嵌合された一対の負荷側玉軸受4,4を負荷側ブラケット6の支持部6aに収納する。次に、軸受押さえ板12にボルト13を通し、モータ軸3に圧入嵌合された一対の負荷側玉軸受4,4を負荷側ブラケット6に固定する。次に、モータフレーム8の一端部を負荷側ブラケット6に嵌合する。次に、モータ軸3の反負荷側を反負荷側玉軸受5の内輪に嵌合する。次に、反負荷側ブラケット7の支持部7aの底面に波形座金15を挿入する。次に、反負荷側ブラケット7の支持部7aに、反負荷側玉軸受5の外輪を収納する。次に、モータフレーム8の他端部に反負荷側ブラケット7を嵌合する。最後に通しボルト9で負荷側ブラケット6、モータフレーム8、反負荷側ブラケット7を固定する。
【0030】
減速機21は、ギヤーケース22内にハイポイドピニオン2と噛み合うハイポイドギヤ23と、中空出力軸24とを内蔵している。そして、ハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23はハイポイド対を構成している。さらに、ハイポイドギヤ23は図示しない歯車対を介して中空出力軸24に連結されている。また、ギヤーケース22は図示しないボルトによりモータ1の負荷側ブラケット6に連結される。なお、ギヤーケース22の四隅には、相手機械に取り付けるためのボルト挿入穴あるいはタップ穴22bが設けられている。
【0031】
そして、本発明の実施の形態に係るハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構によれば、次のような効果を有する。
(1)一対の負荷側玉軸受4,4の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)を減少またはなくすことができ、その結果、モータ軸3の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)を減少またはなくすことができる。
(2)モータ軸3に設けられたハイポイドピニオン2とハイポイドギヤ23の噛み合い位置の調整が円環状のシム10の枚数あるいは厚さの調整のみで可能となるので、モータ軸3の組立が容易である。
(3)図4に示す従来のように、ハイポイドピニオン2が設けられたモータ軸3のアキシアル方向の移動(ガタ)をなくすための、負荷側軸受部の円環状のシム10及び反負荷側軸受部の円環状のシム11の調整が不要である。
(4)モータ軸3の反負荷側軸受部での調整が不要であるから、モータ軸3の一部、モータフレーム8及び反負荷側ブラケット7の加工精度の低減が可能となり、その結果、これらの加工工数の削減を図ることができる。
(5)モータ軸3のアキシアル荷重は一対の負荷側玉軸受4,4のみで受ける構造であり、反負荷側軸受5にアキシアル荷重が加わらないため、反負荷側軸受5の長寿命化が期待できるから、反負荷側軸受5に長寿命タイプを使用する必要がなく、また、軸受サイズを上げる必要もない。
【0032】
なお、前記本発明の実施の形態においては、ハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構について説明しているが、請求項1記載の発明は、先端部にピニオンが設けられたモータ軸に両方向のアキシアル荷重が作用する減速機構を有するギヤードモータのモータ軸支持機構に適用できるものであり、ハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構に限定されるものではない。
【0033】
【発明の効果】
請求項1,2記載の発明によれば、次のような効果を有する。
(1)一対の負荷側玉軸受の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)を減少またはなくすことができ、その結果、モータ軸の両方向のアキシアル方向(軸方向)の移動(ガタ)を減少またはなくすことができる。
(2)モータ軸に設けられたピニオンとギヤの噛み合い位置の調整が負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシムの枚数あるいは厚さの調整のみで可能となるので、モータ軸の組立が容易である。
(3)図4に示す従来のように、ハイポイドピニオンが設けられたモータ軸のアキシアル方向の移動(ガタ)をなくすために負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシム及び反負荷側軸受の側面と反負荷側ブラケットの支持部の底面との間に挿入されるシムで調整をする必要がない。
(4)モータ軸の反負荷側軸受部での調整が不要であるから、モータ軸の一部、モータフレーム及び反負荷側ブラケットの加工精度の低減が可能となり、その結果、これらの加工工数の削減を図ることができる。
(5)モータ軸のアキシアル荷重は一対の負荷側玉軸受のみで受ける構造であり、反負荷側軸受にアキシアル荷重が加わらないため、反負荷側軸受の長寿命化が期待できるから、反負荷側軸受に長寿命タイプを使用する必要がなく、また、軸受サイズを上げる必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るモータ軸支持機構を適用したハイポイドギヤ式ギヤードモータの一部断面を含む側面図である。
【図2】図1に示すA部の拡大図である。
【図3】図1に示すハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構の要部を説明するための部分拡大図である。
【図4】従来のハイポイドギヤ式ギヤードモータの一部断面を含む側面図である。
【図5】従来の別のハイポイドギヤ式ギヤードモータの側断面図である。
【図6】図5に示す従来の別のハイポイドギヤ式ギヤードモータのモータ軸支持機構の負荷側支持部を説明するための部分拡大図である。
【符号の説明】
1   モータ
2   ハイポイドピニオン
3   モータ軸
3a  つば部
4   負荷側玉軸受
5   反負荷側玉軸受
6   負荷側ブラケット
6a  支持部
7   反負荷側ブラケット
7a  支持部
8   モータフレーム
9   通しボルト
10  円環状のシム
12  軸受押さえ板
13  ボルト
15  波形座金
21  減速機
22  ギヤーケース
22b ボルト挿入穴またはタップ穴
23  ハイポイドギヤ
24  中空出力軸
31  円環状のシム
t   円環状のシム31の厚さ
δ1  外輪に対する内輪の右方向移動量
δ2  外輪に対する内輪の左方向移動量

Claims (2)

  1. ギヤと噛み合うピニオンが先端部に設けられたモータ軸と、該モータ軸の負荷側を支持する負荷側軸受と、前記モータ軸の反負荷側を支持する反負荷側軸受と、前記負荷側軸受を支持する負荷側ブラケットと、前記反負荷側軸受を支持する反負荷側ブラケットと、前記負荷側軸受の側面と負荷側ブラケットの支持部の段部との間に挿入されるシムと、前記負荷側軸受を前記負荷側ブラケットに固定する固定手段とを備えるギヤードモータのモータ軸支持機構において、
    前記負荷側軸受は一対の玉軸受で構成され、該一対の玉軸受の対向する内輪間にシムが挿入されることを特徴とするギヤードモータのモータ軸支持機構。
  2. 前記ギヤと前記ピニオンはハイポイドギヤ対を構成することを特徴とする請求項1記載のギヤードモータのモータ軸支持機構。
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