JP2004039009A - 光記録媒体及び光メモリ素子の記録/再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光記録用の記録層を有した光メモリ素子10がカートリッジ12内に収納され、カートリッジ12に、記録/再生光の通過用の開口部13A,13Bと、これを遮蔽し得る開閉部材14とが設けられている光記録媒体11。記録層は、開環量子収率が5×10−3以下のジアリールエテン系化合物を含む。カートリッジ12及び開閉部材14は、このジアリールエテン系化合物の開環体が吸収して閉環反応を起こす波長領域の光を実質的にカットするものである。記録/再生光として、このジアリールエテン系化合物の開環体が実質的に吸収を持たない波長領域の光を用いる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光記録媒体及び光メモリ素子の記録/再生方法に係り、詳しくは開環量子収率が著しく小さく、記録の耐久性に優れたジアリールエテン系フォトクロミック化合物を用いた光記録媒体と光メモリ素子の記録/再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック化合物とは、光の作用により色の異なる2つの異性体を可逆的に生成する化合物であり、調光レンズ、放射線線量計、光スイッチなどへの応用をめざして研究開発が進められている。
【0003】
そして、数あるフォトクロミック化合物の中でも、ジアリールエテン系化合物は、熱不可逆性に優れ、遮光下における保存安定性が高く、更に繰り返し耐久性にも優れているため、好ましいとされている。
【0004】
このようなフォトクロミック化合物は、フォトンモードを利用した光メモリ素子の研究においても広く用いられている。従来のフォトクロミック化合物を利用した光メモリ素子は、紫外線照射により化合物を閉環反応させて着色し、可視光波長の光線照射により開環反応させて消色することを繰り返し行うことにより、何回も情報の書き換えを行うタイプのものが殆どであった(入江他、Chemical Review 100,p1685−1716(2000))。
【0005】
しかしながら、光メモリ素子としては、書き換えタイプのものよりも、一度記録したデータを改竄することができないライトワンスタイプの方が需要は高く、実際、一度だけ記録できるコンパクトディスクであるCD−Rディスクは現在世界で年間数十億枚使われている。
【0006】
ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物を、ライトワンスタイプの光メモリ素子へ応用する場合の問題点は、該化合物の閉環体が、記録/再生光や室内光などの環境光に対して吸収を有するため、これらに長時間晒されることにより、レーザー光等の照射にて生じた(着色した)記録マークや、干渉縞などの記録部が消滅したり、未記録部分に意図せぬ着色が生じてしまうことである。
【0007】
例えば、Applied Physics A 61、p23−27(1995)には、フルギド化合物を用い、該化合物の開環体の吸収がある363.8nmで記録を行い、閉環体の最大吸収波長よりも長波長側の632.8nmで再生するホログラム記録媒体が提案されている。また、閉環体の最大吸収波長である500nmの光で記録を消去することも記載されている。しかし、記録/再生用に同一波長の光源を使用したライトワンスタイプ記録媒体の提案はこれまではなかった。
【0008】
通常、ジアリールエテン系化合物の閉環体における開環量子収率(以下「開環量子収率」と称す)は10−2程度であり、この程度の開環量子収率では、室内光の蛍光灯で簡単に開環反応が起こり、閉環体は数時間後にほぼ完全に消滅してしまう。従って、このような環境光による着色の退色を防ぎ、1日程度の室内光暴露では記録が消滅することがない、実用的な光記録媒体を得るためには、開環量子収率が5×10−3以下の化合物であることが必要である。
【0009】
例えば、特開平3−261782号公報には、以下に示すような、閉環/開環反応に関与する2カ所の反応部位に、共にメトキシ基を有するジアリールエテン系化合物が提案されている。
【0010】
【化5】
【0011】
しかし、上記化合物は、ヘテロアリール部分にベンゾチオフェン環を有しており、開環反応の量子収率が10−1〜10−2程度であり、環境光による記録部の退色(消滅)は避けられない。
【0012】
ところで、照射された記録光エネルギーを吸収することにより生じる化合物の反応を、光学的記録に使用する方法の一つとして、2光子吸収反応を使用することが考えられる。
【0013】
2光子吸収反応とは、ある分子が、1光子吸収の2倍の波長の光子を、2個同時に吸収して励起状態に到達する現象を指す。即ち、1光子のエネルギーでは起こらない反応が、2光子を同時に吸収することにより分子の励起1重項状態まで遷移し、それに引き続いて反応が誘起される機構である(この場合の中間準位は仮想準位であり、2光子吸収反応では準安定状態が必ずしも必要ではない。)。
【0014】
ただし、このような2光子同時吸収の遷移効率は、1光子吸収に較べて極めて低く、単位面積/単位時間当たりに極めて多くの光子を必要とするため、通常の光学的記録に使用されるレーザー光強度では殆ど無視される。
【0015】
しかし、遷移効率は光強度の2乗に比例して大きくなるので、ピーク光強度(最大発光波長における光強度)が極端に高いモード同期レーザーのようなフェムト秒程度の極超短パルスレーザーを用いると、十分観察される程度に起きることが実験的にも確かめられている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、従来のフォトクロミック化合物では、環境光及び再生光による記録部分の消滅の問題があり、本発明者らは、この問題を解決するためには、開環量子収率の小さいフォトクロミック化合物を使用する必要があると考えた。
【0017】
また、種々の研究の結果、本発明者らは、上述の2光子吸収反応をフォトクロミック化合物を用いた光メモリ素子に応用することにより、記録の消滅、記録信号強度の低下等の問題が解決できることを見出した。
【0018】
通常、フォトクロミック化合物、例えばジアリールエテン系化合物の開環体は、400nm以下のいわゆる紫外線波長領域に最大吸収波長を有し、可視光波長領域には殆ど吸収を有さない。一方、閉環体の最大吸収波長は400〜750nm程度のいわゆる可視光波長領域に存在する。ジアリールエテン系化合物を使用した光メモリ素子の場合、開環体に対し、その最大吸収波長付近の記録光を照射することにより、閉環反応を生じさせて情報を記録し、形成された閉環体の、開環体との光学的性質差(具体的には、反応により生じた記録部の透過光、反射光の光量・波長などの変化)を可視光波長領域にて検出することにより、情報の再生を行うことができる。また、閉環体が吸収を有し開環体が殆ど吸収を有さない波長の光を用いて、情報の消去が可能である。
【0019】
しかし、2光子吸収反応を利用することにより、開環体が吸収を有しない波長、例えば700nm以上の長波長のレーザー光によっても記録が可能となる。また、閉環体の吸収スペクトルの形状及び最大吸収波長の位置によっては、記録時と同じ波長(具体的には記録光波長の±5nm以内程度の波長)で再生を行うことも可能となる。
【0020】
そして、このように記録光として開環体の最大吸収波長付近の光を使用しないため、該波長近辺の光を遮断することができる。そして、開環体の最大吸収波長近辺の波長の光を遮断することにより、環境光中に含まれる紫外線により、意図せぬ閉環反応が生じて記録層が着色し、信号強度が低下することを防ぐことが可能となる。
【0021】
本発明は、このような知見のもとになされたものであって、開環量子収率が著しく小さいジアリールエテン系化合物を用いることにより、光メモリ素子の材料面から記録信号のS/N比低下を防止すると共に、光メモリ素子への記録に2光子吸収反応を利用することにより、光記録方式の面から記録部分の信号強度の低下を防止した光記録媒体及び光メモリ素子の記録及び再生方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の光記録媒体は、光記録用の記録層を有した光メモリ素子と、該光メモリ素子を内部に収納したカートリッジとを備えてなり、該カートリッジに、情報の記録/再生のための光の通過用の開口部と、該開口部を遮蔽し得る開閉部材とが設けられている光記録媒体において、該光メモリ素子の記録層は、開環量子収率が5×10−3以下である、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含み、該カートリッジ及び開閉部材は、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光を実質的にカットするものであることを特徴とする。
【0023】
本発明の光メモリ素子の記録/再生方法は、光記録用の記録層を有した光メモリ素子の情報の記録/再生方法において、該光メモリ素子の記録層は、開環量子収率が5×10−3以下である、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含み、記録/再生のための光として、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が実質的に吸収を持たない波長領域の光を用いることを特徴とする。
【0024】
この方法において、該光メモリ素子は、記録/再生のための光の通過用の開口部と、該開口部を遮蔽し得る開閉部材とが設けられたカートリッジの内部に収納されており、該カートリッジ及び開閉部材は、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光を実質的にカットするものであることが好ましい。
【0025】
即ち、本発明は、
(1)開環量子収率が一定以下であるフォトクロミック化合物を使用することにより、光メモリ素子の材料面から記録部分の消滅を防ぎ、
(2)2光子吸収反応を利用することにより、記録方式の面から記録部分の劣化を防ぎ、
更に、
(3)開環体の最大吸収波長近辺の光をカットすることにより、光記録媒体の構成面から記録部分の信号強度の低下を防止する
ことを可能とした。
【0026】
請求項1の光記録媒体にあっては、開環量子収率が5×10−3以下と著しく小さいジアリールエテン系フォトクロミック化合物を用いるため、環境光等による記録部分の消滅が防止される。
【0027】
また、光メモリ素子は、このジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光(以下「閉環光」と称す場合がある。)を実質的にカットするカートリッジ内に収納されているため、閉環光による記録部分の消滅の問題もない。
【0028】
この光記録媒体では、カートリッジの開閉部材を開けて、開口を表出させることにより、この開口を通して記録/再生用の光を光メモリ素子に直接照射することにより、情報の記録/再生を行うことができる。
【0029】
本発明の光メモリ素子の記録/再生方法は、開環量子収率が5×10−3以下と著しく小さいジアリールエテン系フォトクロミック化合物を用いた光メモリ素子に対して、2光子吸収反応を利用して、このジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が実質的に吸収を持たない波長領域の光を用いて記録を用い、この光と同程度の波長、例えば記録光波長の±5nm以内程度の波長の光で再生を行うものであり、記録光として開環体の最大吸収波長付近の光を使用しないため、この波長近辺の光メモリ素子を遮断することにより、環境光による信号強度の低下を防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
まず、本発明において、光メモリ素子の記録層に用いるフォトクロミック化合物について説明する。
【0032】
本発明で用いるフォトクロミック化合物は、開環量子収率が5×10−3以下のジアリールエテン系化合物である。開環量子収率が5×10−3を超えるフォトクロミック化合物では、1日程度の室内光暴露による記録部の消滅(光退色)が避けられないため、実用的な光メモリ素子を構成し得ない。
【0033】
このようなジアリールエテン系フォトクロミック化合物としては、例えば下記一般式[I]で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化6】
(一般式[I]において、Aは下記置換基[i]又は[ii]を表わし、Bは下記置換基[iii]又は[iv]を表わす。)
【0035】
【化7】
(置換基[i]及び[ii]において、R1はアルコキシ基又はアルキル基を表わし、R2は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていても良いアリール基を表し、Yは−O−又は−S−を表す。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基又はアルキル基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていても良いアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。
ただし、R1とR4のうち少なくとも一方はアルコキシ基である。)
【0036】
即ち、本発明者らは、ジアリールエテン系化合物の開環量子収率をより一層低減するべく、ジアリールエテン系化合物の置換基の種類やその置換位置について鋭意検討を重ねた結果、ジアリールエテン系化合物のアリール基にアルコキシ基と、置換されていても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環、特にアリール基、とを併せて導入することが有効であることを見出した。
【0037】
このようなジアリールエテン系化合物であれば、開環量子収率5×10−3以下を実現することが可能であり、このジアリールエテン系化合物は、本発明に係る光メモリ素子に用いるフォトクロミック化合物として好適である。本発明で用いるジアリールエテン系化合物の開環量子収率は、好ましくは10−3以下である。
【0038】
前記一般式[I]の置換基[i]〜[iv]において、R1及びR4は各々独立に、例えばメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜3のアルコキシ基;メチル基、エチル基などの炭素数1〜3のアルキル基を表し、少なくとも一方がアルコキシ基である。好ましくはR1、R4ともにアルコキシ基である。アルコキシ基の中でも好ましくはメトキシ基又はエトキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。
【0039】
R2及びR5は各々独立に−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表す。ジアリールエテン構造の両ヘテロアリール環から置換基R2及びR5へと、共役が延びている構造であることが好ましいため、一般式[I]におけるQは、好ましくは直接結合、−(−CH=CH−)n−(ポリエチレン基)(n=1〜5)、或いは−(−C≡C−)n−(ポリアセチレン基)(n=1〜5)であり、Arは好ましくは5員環又は6員環単環からなる基であるか、5員環及び/又は6員環が2〜3個、直接結合又は縮合してなる基が好ましく、これらはいずれも置換されていても良い。Arが置換基を有する場合、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基などが挙げられる。
【0040】
なお、ジアリールエテン構造におけるヘテロアリール環(構造[i]〜[iv]に示した−Y−又は−Z−を含む複素環)とR2やR5とが同一平面を形成している構造が好ましいため、Ar上の、一般式[I]で表されるジアリールエテン構造のオルト位には比較的嵩の低い基を有することが好ましい。
【0041】
Arの具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
(ただし、上記例示中では、各基における環構造の有しうる置換基の記載を省略している。)
【0044】
R2,R5の好ましい具体例としては次のようなものが挙げられる。
【0045】
【化10】
(ただし、上記例示中では、各基における環構造の有しうる置換基の記載を省略している。)
【0046】
本発明では、R1及び/又はR4のアルコキシ基と共に、R2及びR5に上記Ar基を導入することにより、開環量子収率を飛躍的に低減することができる。
【0047】
R3及びR6は各々独立に、例えば水素原子;メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基;シアノ基;フェニル基、トシル基などの、置換されていても良いアリール基を表す。R3及びR6としては、比較的嵩の低い基が好ましく、特に直鎖のアルキル基が好ましい。
【0048】
本発明に係るジヘテロアリールエテン系化合物としては、例えば次のようなものが例示される。
【0049】
【化11】
【0050】
このようなジヘテロアリールエテン系化合物は、公知の種々の方法により製造可能である。
【0051】
例えば、下記一般式(IV)で示されるシクロパーフルオロアルケン誘導体と、下記一般式(V)及び(VI)で表されるチオフェン誘導体とを反応させる方法、又は、下記一般式(VII)で示されるジケトン化合物について、分子内の二つのカルボキシル基同士を、低原子価チタンを用いて還元カップリングする方法などが挙げられる。
【0052】
【化12】
【0053】
【化13】
(R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0054】
【化14】
(R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0055】
なお、上記例では一般式[I]におけるAが置換基[i]であり、Bが置換基[iii]である場合について説明したが、置換基[ii]及び/又は[iv]を有する化合物についても同様に合成することができる。
【0056】
記録感度及び信号強度の点からは、ジアリールエテン系化合物としては、開環体及び閉環体の分子吸光係数の大きな化合物であることが好ましい。特に、記録後の屈折率変化を大きくするために、閉環体の最大吸収波長ピークにおける分子吸光係数が10000以上であることが好ましい。前記一般式[I]で表される化合物は、分子吸光係数の大きな化合物を得る上でも好ましい。
【0057】
次に、図面を参照して、本発明に係る光メモリ素子について説明する。
【0058】
図1〜3は本発明に係る光メモリ素子の構成例を示す模式的な断面図である。
【0059】
本発明に係る光メモリ素子は、前述した本発明の特徴、即ち、
(1)開環量子収率が一定以下であるフォトクロミック化合物を使用することにより、材料面から記録部分の消滅を防ぎ、
(2)2光子吸収反応を利用することにより、記録方式の面から記録部分の信号強度の低下を防ぐ
ことができる点を満たす限り、その層構成や材料に制限はない。代表的なものとしては、(a)ピット記録方式の光メモリ素子と、(b)ホログラム記録方式の光メモリ素子が挙げられる。前者の例としては、CD−RやDVD−R等、現行の有機色素を使用した光ディスクが挙げられ、後者の例としては導波路型デバイス等が挙げられる。
【0060】
まず、図1,2を参照して(a)ピット記録方式の光メモリ素子について説明する。
【0061】
図1は、(a)タイプの光メモリ素子の層構成の一例を示す模式的な断面図である。この光メモリ素子は、基板1と、その上に設けられた、前記一般式[I]で表されるジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む記録層2とを有する。図示はしないが、更に記録層2上に保護被膜を設けても良く、記録層と保護被膜との間に記録層と保護被膜層との混和を防止するための障壁層が設けられていても良い。また、基板1と記録層2との間に中間層が設けられても良く、記録層2のどちらか一方の面に反射層を設けても良い。
【0062】
図2は、図1に示す光メモリ素子の記録層2に反射層3を積層したもの2枚を、反射層3側が対面するように接着剤層4で貼り合わせてなる、両面記録可能な光メモリ素子の断面図である。なお、1枚の基板の両面にそれぞれ記録層を形成して、両面記録可能な光メモリ素子としても良い。
【0063】
このような光メモリ素子に対し、対物レンズにて集光された記録用レーザー光を照射することにより、記録層中に光学的特性が変化した部分(記録マーク)を形成し、マーク長変調(或いはマーク位置変調)記録を行うことができる。
【0064】
以下に、図1,2の光メモリ素子を構成する各層について説明する。
【0065】
1)基板について
本発明に係る光メモリ素子の基板材料としては、必要な強度、耐久性を有していれば特に限定されるものではなく、従来から光学的記録媒体の基板として用いられている材料、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂からなるもの、ガラスからなるもの、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等がいずれも使用可能である。
【0066】
なお、高生産性、コスト、耐吸湿性などの点からは、基板材料としては、射出成形ポリカーボネートが好ましく、耐薬品性、耐吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましく、また、高速回転時の機械的安定性などの点からは、ガラス基板が好ましい。
【0067】
記録光及び再生光を基板の反対側から入射する場合には、基板が該波長に対して透過性である必要はないため、高速回転時の振動防止等のために、ポリカーボネート等の樹脂に、カーボンファイバー等のフィラーを入れて剛性を高めた材料を用いても良い。
【0068】
基板の板面には、記録/再生光のトラッキング用案内溝やピット等が形成されていても良い。このような案内溝やピットは、基板の成形時に付与することが好ましいが、成形後の基板上に紫外線(UV)硬化樹脂層を形成して付与することもできる。案内溝がスパイラル状の場合、この溝ピッチは0.1〜1.6μm程度であることが好ましい。
【0069】
2)記録層について
記録層は、基板上、又は基板上に必要に応じて任意の中間層等を設けた上に、フォトクロミック化合物を用いて形成される。
【0070】
本発明において、このフォトクロミック化合物としてはジアリールエテン系化合物を用いる。ジアリールエテン系化合物は熱不可逆性が優れていて遮光下における保存安定性が高く、更に繰り返し耐久性にも優れている点において好ましい。
【0071】
特に、前記一般式[I]で表されるジアリールエテン系化合物は、開環量子収率が5×10−3以下と著しく小さく、環境光による記録部の消滅(光退色)が抑えられ、かつ閉環体の最大吸収波長ピークにおける分子吸光係数が10000以上と大きいといった、優れた性能を有する化合物である場合が多く、このようなジアリールエテン系化合物を用いることにより、記録後の屈折率変化が大きくなり、信号を読み取り易くなるという利点がある。
【0072】
記録層の成膜方法としては、真空蒸着法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等、一般に行われている薄膜形成法が挙げられるが、量産性、コスト面からはスピンコート法が好ましい。また、厚みの均一な記録層が得られるという点からは、塗布法より真空蒸着法の方が好ましい。
【0073】
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、加熱或いは溶媒蒸気に当てる等の処理を行っても良い。
【0074】
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒が好ましく、例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;nーヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
【0075】
塩化メチレン、シクロヘキサノン、キシレン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の、樹脂製の基板を侵す虞のある溶媒を使用する場合には、耐溶剤性が高い酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF2、SnO2等の無機物質や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等からなる中間層を予め形成しておき、該中間層上に各種塗布法により記録層を形成することが好ましい。
【0076】
真空蒸着法の場合は、例えばジアリールエテン系フォトクロミック化合物と、必要に応じて各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を真空ポンプで10−2〜10−5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることにより、記録層を形成する。
【0077】
なお、記録層は、記録層の安定性や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
【0078】
更に、記録層の成膜に際しては、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。この場合、好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、特に、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
【0079】
記録層の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、通常10nm〜5μm、好ましくは30nm〜3μmである。
【0080】
3)反射層について
反射層は、必要に応じて、記録層に対し、記録/再生光入射面とは逆の面に、直接接するように、或いは、間接的(即ち、任意の層を介して)に形成される。その膜厚は通常50〜300nmである。
【0081】
反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Ag、Cu、Ti、Al、Ni、Pt、Ta、Cr及びPdの金属を単独或いは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。また、反射層の材料は、Au、Al、Agを主成分とし、これら以外に例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ta、Ti、Pt、Pd、Ndなどの、金属及び半金属を1種又は2種以上含む合金であっても良い。なかでも、Agを主成分としているものはコストが安い点、高反射率が出やすい点等から特に好ましい。ここで主成分とは含有率が50原子%以上のものをいう。
【0082】
なお、金属以外の材料からなる、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜とを交互に積み重ねて多層膜を形成したものを、反射層として用いることも可能である。
【0083】
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
【0084】
なお、基板の上や反射層の下に反射率向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系又は有機系の中間層や接着層を設けることもできる。
【0085】
4)障壁層について
障壁層は、後述する保護被膜の成膜時における、記録層のフォトクロミック化合物等の保護被膜への拡散や、保護被膜形成用塗布液の記録層への浸透、或いは保護被膜接着時の接着剤成分の記録層への拡散、浸透などの混和現象を防止するためのものであり、保護被膜を記録層に接して設ける場合に特に有効である。
【0086】
この障壁層を構成する材料は、酸化硅素、特に二酸化珪素や、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化イットリウム等の酸化物;硫化亜鉛、硫化イットリウムなどの硫化物;窒化珪素などの窒化物;炭化珪素;酸硫化物;及び後述の合金などが好適である。また、酸化珪素と硫化亜鉛との30:70〜90:10程度(重量比)の混合物も好適である。また、イットリウムの酸硫化物と酸化亜鉛との混合物(Y2O2S−ZnO)も好適である。
【0087】
合金としては、銀を主成分とし、更にチタン、亜鉛、銅、パラジウム、及び金からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1〜15原子%含有するものが好適である。また、銀を主成分とし、少なくとも1種の希土類元素を0.1〜15原子%含有するものも好適である。この希土類としては、ネオジウム、プラセオジウム、セリウム等が好適である。
【0088】
この障壁層の厚みは2〜2000nm、好ましくは2〜20nm特に2〜10nm程度が好ましい。障壁層の厚さが過度に薄いと、上記の混和現象の防止が不十分となる。障壁層が過度に厚くても混和防止には不必要であるばかりでなく、光の透過率を低下させる恐れもある。特に、合金の場合は、光の透過率を過度に低下させるため2〜20nm特に2〜10nm程度の薄層として形成することが好ましい。
【0089】
5)保護被膜について
保護被膜の材料としては、記録層を外力による損傷から保護するものであれば良く、特に限定されず、各種の有機物質又は無機物質が挙げられる。有機物質の保護被膜材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質の保護被膜材料としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF2、SnO2等が挙げられる。
【0090】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などよりなる保護被膜は、これらの樹脂を適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。UV硬化性樹脂であれば、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって保護被膜を形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独で或いは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜として形成しても良い。
【0091】
塗布による保護被膜の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0092】
また、保護被膜は、上記の樹脂よりなる薄いフィルム又はシート状の被膜を、接着剤で接着して設けることもできる。この場合の接着剤としては、常温硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤、UV硬化型接着剤など各種のものを用いることができる。
【0093】
保護被膜の膜厚は、0.1μm〜0.3mm特に0.1μm〜0.2mm程度が好ましい。
【0094】
次に、図3を参照して(b)ホログラム記録方式の光メモリ素子について説明する。図3は、(b)タイプの光メモリ素子のうちのスラブ型導波路型デバイスの層構成の一例を示す模式的な断面図である。
【0095】
導波路型デバイスは、情報の記録及び再生に必要な光を導く伝送路として、導波光(記録光や再生光)の波長における屈折率が異なる、複数の透明な材料を交互に積層した構造を持つことが特徴である。
【0096】
具体的には、1)屈折率が相対的に大きい材料層(コア層)を、2)屈折率が小さい材料層(クラッド層)で挟んだ構造である。このような層構成の積層体に対して、コア層端面から入射された導波光は、コア層/クラッド層界面で材料の屈折率差により次々と全反射されながら、コア層内に閉じこめられて減衰することなく伝搬していく。
【0097】
このような導波路型デバイスを、再生専用媒体ではなく記録可能な媒体とする場合、上記コア層及びクラッド層に加えて、又はコア層の代わりに、記録層を設ける。つまり、本発明の光メモリ素子がこのタイプである場合、記録層は、コア層及び/又はクラッド層に隣接して設けられ、具体的な積層例としては、図3に示す如く、(A)クラッド層6A/コア層7/記録層8/クラッド層6Bの順で積層したものと、クラッド層/記録層/クラッド層の順に積層したものとがある。
【0098】
コア層及びクラッド層の構成材料はいずれも、記録光波長及び再生光波長において実質的に透明であり、その屈折率が(コア層)>(クラッド層)の関係を満たす材料であれば、特に制限はない。
【0099】
例えば、熱可塑性樹脂(具体的にはポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、熱硬化性樹脂(具体的には不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂など)、紫外線硬化性樹脂(具体的にはアクリル系樹脂など)などの有機材料、金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物やCa、Mg、Li等のフッ化物(具体的にはZnS、Si、Ge、Al、Ti、Zr、Ta金属の酸化物、Si、Alなどの窒化物、Si、Ti、Zr、Hfなどの炭化物、アモルファス炭素膜、ダイヤモンド状炭素膜など)などの無機材料の中から、適宜選択される。
【0100】
コア層及びクラッド層の構成材料は、好ましくは紫外線硬化性樹脂である。
【0101】
(A)、(B)の積層部はそれぞれ一つの光導波部材9を形成しており、記録層8に光記録が行われた後、記録情報に応じた再生像(ホログラム像)を形成することとなる。なお、コア層7,クラッド層6A,6Bの膜厚については、コア層7,クラッド層6が光導波路として機能するだけの膜厚であれば良い。即ち、コア層7の膜厚は通常10μm以下であり、更に、使用光波長域が可視光の波長域であればおおよそ1〜5μm程度になると考えられる。また、クラッド層6A,6Bの膜厚に関しては特に制限はないが、光メモリ素子全体の厚みを薄くすることを考慮すれば、各々100μm以下とすることが好ましい。あえて下限を規定するなら0.1μm以上になると思われる。通常5μm以上設ける。
【0102】
記録層8の上にクラッド層6Bを形成する際に、特に、該層形成用の塗布液が記録層中に拡散、浸透する等の混和現象が起こりやすい。従って記録層は、少なくとも記録層の上に形成されるべき層の塗布液に対して難溶性であることが好ましい。
【0103】
また、このような混和現象を防止する目的で、記録層と隣接する層の界面に障壁層を設けても良い。少なくとも、記録層8と、その後に形成するクラッド層6Bとのあいだに障壁層を設けるのが好ましい。障壁層は、前述したように記録層やクラッド層と相溶せず、かつ、ある程度の光透過性があればその構成材料は問わない。
【0104】
上記光導波部材(A)及び(B)同士を、更に積層して複数の記録可能な層を有する光メモリ素子としても良い。光導波部材(A)は、該部材のどちらの面から記録光が入射するよう設けてもかまわない。なお、コア層及びクラッド層を樹脂製にすることにより、多層構造を簡易に形成できるので、限られた体積で大容量の情報を記録/再生できる光メモリ素子を容易、且つ安価に実現することができる。
【0105】
図3において、記録層8は、ジアリールエテン系化合物を含有し、記録可能な層である。
【0106】
ここで、記録層8は、記録前又は記録後の屈折率が、光導波部材30のコア層7又はクラッド層6を構成する材料の屈折率とほぼ同じであることが好ましい。また、記録層8に含まれるジアリールエテン系化合物の記録前後の屈折率の変化は、約0.001〜約0.020、特に、約0.010であることが好ましい。
【0107】
記録層8を、情報を1度だけ書き込み得る記録層(ライトワンス型記録層)として構成することにより、記録された情報が誤って消去されたり、変更されてしまったりするのを防止できる。また、記録された情報の改竄を防ぐこともできるため、著作権情報、ID情報及び暗号化の際に使われるキー情報等の情報の記録には特に好ましい。
【0108】
図3の光メモリ素子を製造するには、例えば樹脂フィルム5A上に、光導波部材であるクラッド層6A及びコア層7を設け、該コア層7上に、前記一般式[I]で示されるジアリールエテン系化合物を含有する組成物(塗布液)を塗布して、記録層8を形成する。
【0109】
次に、クラッド層6B形成用の、例えば紫外線硬化性樹脂組成物(塗布液)を所定の膜厚(例えば、完全硬化時に約15〜約20μm)となるように塗布した後、樹脂フィルム5Aを載置し、紫外線を照射して完全に硬化させて樹脂製クラッド層6Aを形成する。
【0110】
これにより、樹脂フィルム5A及びクラッド層6A上に、コア層7、記録層8、クラッド層6B及び樹脂フィルム5Bがこの順に積層され、光導波部材9のクラッド層6A,6Bの間にコア層7、記録層8が挟み込まれてなる光メモリ素子が形成される。
【0111】
更に、ROM型の多層光メモリ素子に、光導波部材(A)及び/又は(B)を積層しても良い。これによれば、ROM型光メモリ素子において、記録可能な記録層を設けるので、複製防止(特に、不正コピー防止)やソフトウェアの不正使用防止等の著作権保護に利用可能な情報、シリアル番号等のような一枚一枚異なる情報等を書き込めるようにでき、また、アップデートに必要なデータや正誤表データのような情報等を追記することが可能となり、これにより、例えば同一のコンテンツデータを光メモリ素子に書き込んで大量複製する場合であっても、例えばシリアル番号等のような一枚一枚異なる情報はコンテンツデータとは別に書き込めるようになる。
【0112】
また、複製防止(特に、不正コピー防止)やソフトウェアの不正使用防止等の著作権保護に利用可能な情報として、著作権情報、ID情報、暗号化に際して用いられるキー情報等の情報を光メモリ素子に書き込んで、保護管理することができるようになる。このような記録層を設けることで、例えばROM型光メモリ素子の製造後に記録層にID情報等の情報を書き込むことができるようになる。
【0113】
特に、光メモリ素子の製造後に記録層にID情報を記録すれば、一つ一つの光メモリ素子を識別可能となる。なお、ID情報は一般に情報量が少ないので、記録層の記録可能密度が低くても記録することができる。更に、アプリケーションソフトをアップデートするためのデータ(情報)や正誤表データのようなデータ(情報)を、ユーザー側(例えば出荷先)で追記情報として書き込めるようになる。
【0114】
本発明の光記録媒体は、このような光メモリ素子がカートリッジに収納されたものである。
【0115】
このカートリッジは、記録再生用の光の通過用の開口部と、該開口部を遮蔽し得る開閉部材とが設けられており、カートリッジ及び開閉部材は、光メモリ素子の記録層に含まれるジアリールエテン系化合物の閉環光、即ち、ジアリールエテン系化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光を実質的にカットするものである。
【0116】
即ち、このカートリッジは内部に光メモリ素子を収納し、開閉部材でカートリッジの開口部を閉じた状態では、その全表面が閉環光を遮断し、内部の光メモリ素子が閉環光に照射されることを防止する。光メモリ素子の情報の記録再生時には、カートリッジの開閉部材を開けて開口部を露出させ、この開口部を通して光メモリ素子に直接、即ち光カット部材等を通さず記録/再生光を照射する。
【0117】
前述の如く、フォトクロミック化合物は光、特に紫外光によってフォトクロミズムを示すため、自然紫外線によって閉環反応を起こし、記録層が着色して記録部分の信号強度が低下する恐れがある。そこで、本発明では、光メモリ素子を開環体が吸収して閉環反応(着色)が起こり得る波長領域の光を実質的にカットするカートリッジに収納することにより、この閉環光による閉環反応(着色)を防止する。カートリッジが遮断する開環光の波長範囲としては好ましくは450nm以下であり、特に波長420nm以下の光をカットするカートリッジであることが望ましい。なお、本発明において、光を実質的にカットするとは、具体的には上記波長範囲の光透過率を5%以下、好ましくは1%以下に抑制することを意味する。
【0118】
本発明に係るカートリッジは、上述の如く、開口部とこの開口部を遮蔽する開閉部材とを有し、開閉部材を閉じた状態でその全表面において閉環光を実質的にカットするものであれば良く、その形状や構造には特に制限はなく、公知のカートリッジを用いることができる。
【0119】
以下に、図4を参照して本発明に好適なカートリッジを説明する。
【0120】
図4は本発明の光記録媒体の実施の形態を示し、(a)図は平面図、(b)図は底面図である。
【0121】
この光記録媒体は、カートリッジ12内に光メモリ素子10が収納されている。カートリッジ12は上シェル12Aと下シェル12Bとで構成されている。上シェルには開口13Aが形成されており、また、下シェル12Bには開口13B,13Cが設けられている。開口13A,13Bは光記録用のレーザーのアクセスのための開口であり、開口13Cは光メモリ素子10のクランピングプレート10aに作用して、光記録媒体を保持し、回転させるためのクランパ(図示せず)を光メモリ素子10にアクセスするための開口である。開口13A及び13Bは、開口13Cの中心を通る中心線上に配置され、しかも互いに対向して設けられている。
【0122】
カートリッジ12は、これらの開口13A,13B及び13Cを閉じるためのシャッタ14を備えている。このシャッタ14は、開口13Aを遮蔽するためのシャッタ片14A及び開口13Bと開口13Cを同時に遮蔽するためのシャッタ片14Bを備えている。これらのシャッタ片14A,14Bは、互いに平行な状態で、それらの一端辺において、連結片によって連結されている。
【0123】
上下シェル12A,12Bには、それぞれ浅い凹面のシャッタエリア15A,15Bが形成されており、シャッタ片14A,14Bがそれぞれ配置されている。これらのシャッタ片14A,14Bは、シャッタエリア15A,15B内を図4に示す開口遮蔽位置と開口から横にずれた開口開放位置の間でシャッタ全体として同時に摺動できるように構成されている。シャッタ14は、図4に示す位置にバネによって付勢されており、不使用時には常にカートリッジ12に形成された開口13A,13B,13Cを全て閉じるように構成されている。
【0124】
本発明の光記録媒体は、このようなカートリッジ12及び開閉部材であるシャッタ片14A,14Bとして、光メモリ素子10の記録層に用いたジアリールエテン系化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光を実質的にカットする材料(以下「閉環光カット材」)で構成されている。
【0125】
この閉環光カット材としては、閉環光を実質的にカットするものであれば良く、一般的には紫外線吸収材を含む樹脂材料や金属薄板等が挙げられる。紫外線吸収材としては、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アリールエステル系、オキザニリド系、ヒンダードアミン系などの有機系紫外線吸収剤;Ti、Si、Sb、Zn、Al、Pb、Zrなどの酸化物;カーボンブラック、炭素繊維、金属粉、金属繊維、金属フレークなどが挙げられる。なお、これらの紫外線吸収材は、樹脂材料中に混合されていても良いし、樹脂材料からなる成形体表面に積層(付着)されていても良い。
【0126】
本発明においては、記録を行わない時には光メモリ素子全体を閉環光から保護するよう、閉環光をカットするカートリッジに格納し、記録/再生時には開閉部材を開けて、カートリッジの開口部から素通しの状態で、光を照射して記録/再生を行う。
【0127】
次に、本発明の光メモリ素子の記録/再生方法について説明する。
【0128】
本発明の記録/再生方法において使用される光源は、光メモリ素子の記録層に含まれるジアリールエテン系化合物の閉環光、即ち、ジアリールエテン系化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長450nm以下の光源が望ましい。具体的には、メタルハライドランプ、高圧及び低圧水銀ランプ、窒化ガリウム系半導体レーザー、赤外発光半導体レーザーを用いたSHGレーザー、エキシマレーザー、Nd:YAG高調波レーザー(3倍波、4倍波)などが挙げられる。この中でも、構造がシンプルかつ小型で信頼性が高いこと、取り扱いの容易さなどから窒化ガリウム系半導体レーザーや赤外発光半導体レーザーを用いたSHGレーザーが好適である。
【0129】
また、前述の2光子吸収反応が起こり得る程度に強度が高いフェムト秒程度の超短パルスレーザーを使用しても良く、この場合の光源としては、CW受動モード同期色素レーザー、複合モード同期レーザー、CPMリング色素レーザー、ソリトン型受動モード同期チタンサファイアレーザー、複合共振器モード同期チタンサファイアレーザー、高速カーレンズモード同期チタンサファイアレーザー、エルビウムドープファイバーレーザーなどが挙げられる。この中でも、構造がシンプルで信頼性が高いこと、発振波長の可変範囲が広いこと、取り扱いの容易さなどからモード同期チタンサファイアレーザーやエルビウムドープファイバーレーザーが好適である。更に、この中でも、モード同期チタンサファイアレーザーの波長可変範囲は730〜800nm近辺であり、本発明に係るジアリールエテン系化合物の開環体は実質的にこの範囲には吸収を持たず、記録層を多層化する場合にも好適である。
【0130】
特に、本発明の光記録媒体への記録、及び本発明に係る光メモリ素子の記録においては、このようなフェムト秒程度の超短パルスレーザーが好ましい。
【0131】
また、2光子吸収によるジアリールエテン系化合物の異性体化で生成する閉環体の最大吸収波長は600nm前後であることが多く、上記モード同期チタンサファイアレーザーの波長可変範囲である730〜800nm近辺では屈折率波長依存性のピ−クに近くなることから、記録前後の屈折率変化が大きくなり好適である。
【0132】
本発明の光記録媒体及び光メモリ素子への記録は、カートリッジの開閉部材を開けて開口部を通じて光メモリ素子の基板の両面又は片面に設けた記録層に数μm〜数10μm程度に集束した上記レーザー光を直接照射することにより行う。記録層のレーザー光の照射された部分には、1光子又は2光子吸収によるジアリールエテン系化合物の異性体化反応が起こり、記録部分の光学特性、特に吸収率や屈折率が変化する。
【0133】
記録された情報の再生は、上記と同様にレーザー光を照射して光学特性の変化が起きている部分と起きていない部分の吸収率や屈折率の違いを反射率や位相差として読みとることにより行う。
【0134】
以下に図5を参照して前述の(b)のタイプの光メモリ素子の記録層への情報の記録方法について説明する。
【0135】
図5は、図3に示した(b)タイプの光メモリ素子の記録層への情報の記録方法を説明する模式的な断面図であり、図5においては、光メモリ素子の光導波部材のみが示されている。
【0136】
図5(a)に示す如く、光メモリ素子の記録層8の情報を記録すべき部分に局所的に、記録系レンズ20で集光したレーザー光(記録光)を照射して、その部分の記録層8の屈折率を変化させることによって、図5(b)に示す如く、屈折率の変化した記録マーク8Aとして情報を記録する。このように、記録層8Aの情報を記録すべき部分にレーザー光が局所的に照射されると、その部分の吸収率や屈折率が変化して記録層8に記録マーク(記録部)8Aが形成され、記録を行うことができる。
【0137】
また、記録層8を複数層設ける場合には、各記録層毎にレーザー光の焦点の深さ(焦点深度)を変えながら情報を記録することになるが、各記録層8の記録感度の立ち上がりを急激にしておくことで、レーザー光のパワーが弱いとき(即ち、焦点が合ってないとき)には各色素記録層の吸収率や屈折率が変化しないようにすることができ、これにより、記録層8を複数層設ける場合に、情報を記録したい記録層8以外の層には情報が記録されないようにすることができる。
【0138】
なお、記録層8への情報の記録方法は、これに限られるものではなく、波長の等しい2つの光(物体光と参照光)を干渉させて物体光の波面を干渉縞として記録層8に記録するようにしても良い。つまり、記録層8に、記録したい情報(像)を形成し得る記録光(物体光)を照射するとともに、記録層8に記録された情報を再生する際に入射される導入光(参照光)を照射することで、これらの記録光と導入光を干渉させて干渉縞を生じさせ、この干渉縞を記録層8に記録するようにしても良い。
【0139】
また、記録層8に記録されたホログラムに元の参照光(導入光)と同一条件の光を当てることで、干渉縞による回折現象を生じさせ、元の記録光(物体光)と同一の波面を再生することができ、これにより、記録層8に記録された情報(像)を再生できることになる。
【0140】
つまり、ジアリールエテン系化合物の閉環反応により吸収率や屈折率が変化した記録マーク8Aの情報を再生する際に、クラッド層6A,6Bに挟み込まれたコア層7と記録層8に入射光を導入することにより、その導入光が記録マーク(記録部)8Aで散乱しながら光メモリ素子中を伝播する。
【0141】
このときの散乱光が、導入光に対して上下方向(交差する方向)のそれぞれに伝播(透過)していき、最終的に光メモリ素子の両面部から外部へ放出され、記録マーク8Aに記録された情報に応じた画像が結像するようになっている。
【0142】
このような記録方法によれば、記録層8に情報を記録する際に、記録層8の全面を一度に照射して情報を記録することができるため、短時間で大きな面積に対して情報を記録できるようになり、効率的に情報記録を行なえるようになる。
【0143】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0144】
合成例1:1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテンの合成
(1−1)3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェンの合成
【化15】
【0145】
四塩化炭素40 mlに2−メトキシチオフェン16 g(145 mmol)を加え、氷水浴下で撹拌しながらN−ブロモスクシンイミド51 g(290 mmol)と四塩化炭素250 mlを徐々に加えた。水浴を外して終夜撹拌した後、氷水浴で冷却し、吸引濾過により固形物を濾過した。濾液をクロロホルムで抽出後、炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で順次洗浄した後乾燥した。この液体を減圧蒸留(b.p =90 ℃、8 mmHg)で精製して3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェンを得た。収量は24.6 g、収率は62.3 %であった。
【0146】
(1−2)3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェンの合成
【化16】
【0147】
3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェン24 g (90 mmol) にアルゴン雰囲気下で無水THF(テトラヒドロフラン)250 mlを加え、ドライアイス−メタノールで−60 ℃以下とした。その後、15 % n−ブチルリチウムヘキサン溶液56 ml (95 mmol)をゆっくり滴下した。1時間撹拌後、−60 ℃以下でホウ酸トリn−ブチル32 ml (12 mmol)をゆっくり滴下して2時間撹拌した。室温に戻し、20 重量% Na2CO3 90 ml、ヨードベンゼン6.4 g (90 mmol)、Pd (Ph3P)4 4.4 g (0.36 mmol)を加え、70 ℃で5時間還流した。エーテルで抽出後、塩水で洗浄した後、乾燥した。シリカゲルカラムを用いてヘキサンで展開分離し、無色固体の3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェンを得た。収量は4.90 g、収率は59.1 %であった。
【0148】
(1−3)1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテン(化合物1)の合成
【化17】
【0149】
3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェン14 g (52 mmol)にアルゴン雰囲気下で無水THF140 mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−60 ℃以下に冷却した。これに15 %n−ブチルリチウムヘキサン溶液36 ml (57 mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した。次に、無水THF 10 mlにペルフルオロシクロペンテン3.5 ml (26 mmol)を加え、−60℃以下で徐々に滴下し2時間撹拌した。メタノールを加え1N塩酸で洗浄し、エーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥させた後、濃縮した。シリカゲルカラムを用いてヘキサン:クロロホルム=9:1で展開分離し、化合物1を単離した。収量は7.23 g、収率は50.3 %であった。
【0150】
1H NMR (400 MHz, CDCl3,TMS) : δ 3.71 (s, 3H), 7.15 (s, 1H),7.2−7.5 (m, 5H),
MSm/z = 522 (M+)
Anal. Calcd for C27H18F6O2S2 : C=58.69, H=3.28
Found : C=58.87, H=3.29合成された化合物1について、閉環反応量子収率と開環反応量子収率の測定を行った。
(閉環反応量子収率測定手順)
▲1▼ 化合物1と比較試料とした1,2−ビス(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)ペルフルオロシクロペンテン(化合物2)の開環体のヘキサン溶液をつくり、波長309nm(化合物1の開環体の吸収極大波長)での吸光度を0.2〜0.3の間で両者同じにそろえた。
▲2▼ 吸収セルでの溶液の量を等しくした。
▲3▼ 測定では閉環体の可視光波長領域における吸収極大波長(化合物1 625nm,化合物2 575nm)での吸光度変化を検出した。キセノンランプで化合物1,2,リファレンスともに波長309nmの光を照射して検出波長の吸光度が0〜0.02程度の範囲内で10点測定した。
▲4▼ 時間に対する吸光度の変化をプロットし、その傾きの比較から(化合物2の量子収率=0.59)化合物1の閉環反応量子収率0.44を得た。
【0151】
(開環反応量子収率測定の手順)
▲1▼ 化合物1のヘキサン溶液をつくり、紫外光(波長492nm)照射して可視光波長領域における吸収極大波長625nmの吸光度を0.5程度にした。キセノンランプで波長625nmの光を照射して、吸光度がおおよそ0.01程度変化する時間ごとに測定を行った。
▲2▼ 比較試料としてはフルギドを用い、そのトルエン溶液に対し、化合物1と同様に波長492nmの光を照射して、492nmでの吸光度がおおよそ0.5から0.2へ変化する範囲で数点測定した。
▲3▼ 光量計を用いて波長625nmと492nmにおける光量を測定した。
▲4▼ 時間に対してlog(10A−1)(Aは吸光度)をプロットしてその傾きと▲3▼での光量の値による補正を行うことで、相対量子収率を求めた。
【0152】
その結果、消色反応(開環反応)の収率即ち開環量子収率は<2×10−5と認められた。室内光に3ヶ月間曝していても退色(開環反応)は認められなかった。
【0153】
実施例1
合成例1において合成した化合物1(1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテン)5重量%、及びポリスチレン(A&Mポリスチレン社製、商品名:HF77)5重量%をトルエンに溶解して溶液を作成した。
【0154】
ポリカーボネート基板(0.6mm厚)に厚さ約5μmの紫外線硬化樹脂層を設け、更にこの紫外線硬化樹脂層上に上記溶液を回転数400rpmでスピンコートした後、100℃で30分加熱して厚さ約1μmの記録層を形成し、実験用サンプルを作成した。
【0155】
上記記録層にチタン:サファイアレーザー(発振波長:780nm、パルス幅:約90fsec、繰り返し周波数:80MHz、平均パワー:0.9W、ビーム径:2mm)からのレーザー光を対物レンズ(倍率:20倍、背面開口:8mm、NA:0.5)で集光して約0.1sec照射したところ、レーザー光が最も絞れているビームウエストが上記記録層に当たった部分に円形(直径:約10μm)の青色に変色した部分が確認された。
【0156】
また、発振波長750nmでも同様に記録ができることを確認した。
【0157】
また、該記録層を用いて化合物1の開環体及び閉環体の吸収スペクトルを測定した結果を図6に示す。図6から分かるように、記録に使用した光源波長780nm及び750nmでは開環体の吸収は実質的にないことが読み取れる。つまり、実験用サンプルにおける記録層の、青色変色部分は、2光子吸収反応によるものであることが示された。
【0158】
また、高圧水銀ランプによる紫外光照射後(照射光量:1J/cm2)、エリプソメーターを使用して変色前後の屈折率変化を測定したところ、1.5×10−2の値が得られた。例えば、ホログラム記録媒体に要求される性能としては1×10−3以上の屈折率変化が必要とされており、本実施例で得られた1.5×10−2という値であれば十分実用可能な回折効率が得られると認められた。
【0159】
上記高圧水銀ランプによる紫外光照射サンプルを、昼光色蛍光灯(三菱電機製ネオルミスーパーFLR40S・W/M/36)をつけた通常環境の事務室内(平均照度;530lux、測定器;東京硝子器械(株)FLX−1332)で、図7に示すような透過特性を持つフィルター越しに約一ヶ月放置しておいたところ、青色に変色した部分は可視光線による開環反応により着色濃度が低下することもなく、着色濃度に変化は見られなかった。また、アルミフォイルで完全に遮光した状態で室温に約一ヶ月放置しておいたものについても、青色に変色した部分は熱による開環反応により着色濃度が低くなることもなく、着色濃度に変化は見られなかった。
【0160】
以上の実験により、本発明に係る光メモリ素子を、紫外線カットした部材(閉環光カット材)からなるカートリッジに格納することにより、意図せぬ記録層の着色を防ぐことが可能であることが示された。
【0161】
また、可視光線照射や、通常利用する環境で加えられる熱により、記録部が退色(フォトクロミック化合物の開環反応による消色)しないことも示された。
【0162】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の光記録媒体及び光メモリ素子の記録/再生方法によれば、
(1)開環量子収率が一定以下であるフォトクロミック化合物を使用することにより、光メモリ素子の材料面から記録部分の消滅を防ぎ、
(2)2光子吸収反応を利用することにより、記録方式の面から記録部分の劣化を防ぎ、
更に、
(3)開環体の最大吸収波長近辺の光をカットすることにより、光記録媒体の構成面から記録部分の信号強度の低下を防止する
ことが可能となり、記録の耐久性に優れた光記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光メモリ素子(タイプ(a))の、層構成の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係る光メモリ素子(タイプ(a))の、層構成の他の例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る光メモリ素子(タイプ(b))の、層構成の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の光記録媒体の実施の形態を示す図であり、(a)図は平面図、(b)図は底面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る光メモリ素子(タイプ(b))への記録方法を説明する模式的な断面図である。
【図6】実施例1にて使用したフォトクロミック化合物の、開環体と閉環体の吸収スペクトルを示す図である。
【図7】実施例1にて使用したフィルターの透過スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射層
4 接着剤層
5A,5B 樹脂フィルム
6A,6B クラッド層
7 コア層
8 記録層
8A 記録マーク
9 光導波部材
10 光メモリ素子
11 光記録媒体
12 カートリッジ
12A 上シェル
12B 下シェル
13A,13B,13C 開口
14 シャッタ
14A,14B シャッタ片
15A,15B シャッタエリア
20 記録系レンズ
Claims (5)
- 光記録用の記録層を有した光メモリ素子と、該光メモリ素子を内部に収納したカートリッジとを備えてなり、
該カートリッジに、情報の記録/再生のための光の通過用の開口部と、該開口部を遮蔽し得る開閉部材とが設けられている光記録媒体において、
該光メモリ素子の記録層は、開環量子収率が5×10−3以下である、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含み、
該カートリッジ及び開閉部材は、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光を実質的にカットするものであることを特徴とする光記録媒体。 - 請求項1において、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物が、下記一般式[I]で表されることを特徴とする光記録媒体。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基又はアルキル基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていても良いアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。
ただし、R1及びR4のうち少なくとも一方はアルコキシ基である。) - 光記録用の記録層を有した光メモリ素子の情報の記録/再生方法において、
該光メモリ素子の記録層は、開環量子収率が5×10−3以下である、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含み、
記録/再生のための光として、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が実質的に吸収を持たない波長領域の光を用いることを特徴とする光メモリ素子の記録/再生方法。 - 請求項3において、該光メモリ素子は、記録/再生のための光の通過用の開口部と、該開口部を遮蔽し得る開閉部材とが設けられたカートリッジの内部に収納されており、
該カートリッジ及び開閉部材は、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環体が吸収して閉環反応が起こり得る波長領域の光を実質的にカットするものであることを特徴とする光メモリ素子の記録/再生方法。 - 請求項3又は4において、該ジアリールエテン系フォトクロミック化合物が、下記一般式[I]で表されることを特徴とする光メモリ素子の記録/再生方法。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基又はアルキル基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていても良い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていても良いアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。
ただし、R1及びR4のうち少なくとも一方はアルコキシ基である。)
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