JP2004038728A - 画像処理方法、画像処理プログラム、および、画像処理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】原画像において、周辺領域における光量の低下、すなわち、周辺光量むらが生じている場合に、これを的確かつ効果的に補正する画像処理方法を提供する。
【解決手段】前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算する。また、各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求める。さらに、各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求める。
【選択図】 図1
【解決手段】前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算する。また、各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求める。さらに、各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば写真フィルム上に記録されている原画像をデジタル画像データとして読み取り、デジタル露光方式で印画紙に対して露光を行う際に、原画像の画像データに対して各画素の画素値を補正する画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、写真の焼き付けは、原画像が記録されている写真フィルムに光を照射し、この写真フィルムを透過した光を印画紙上に照射することによって焼付を行うアナログ露光が行われている。また、近年では、写真フィルム上の画像をスキャナ等によって読み取ることによって得られるデジタル画像データや、デジタルカメラによる撮影によって得られるデジタル画像データなどに基づいて、赤、青、緑の単色光を各画素毎に印画紙上に照射することによって焼付を行うデジタル露光が行われるようになっている。
【0003】
一方、例えば使い捨てカメラなどによって撮影が行われた場合、フィルムに記録されている画像において、画像の中心近傍が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなるような濃度むらが発生している場合がある。これは、カメラのレンズの収差による光量むらや、フラッシュ撮影時のフラッシュ光量不足による光量むらなどを原因として発生するものである。
【0004】
カメラのレンズの収差による光量むらは、次のような場合に生じる。一般的に、絞りを開いた状態で撮影が行われると、撮影された画像には、レンズの収差による影響が大きく反映されることになる。この場合、フィルム上の画像領域において、中心から遠ざかるほど照射される光量が低下する現象が生じる。特に、使い捨てカメラなどの安価なカメラにおいては、収差が比較的大きいレンズが使用されている場合が多く、また絞りの調整を行う機構を備えていない場合が多いので、上記のような周辺光量の低下の問題が顕著に生じることになる。
【0005】
このように、フィルムに記録されている画像に、周辺光量の低下が生じている場合、上記のようなアナログ露光やデジタル露光によって印画紙に対して焼付を行うと、言うまでもなく周辺光量が低下した状態で焼付が行われてしまい、良好なプリントを得ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような周辺光量の低下によるプリント写真の画質低下に対して、従来のアナログ露光では、例えば覆い焼きと呼ばれる手法が用いられることがある。覆い焼きとは、露光の際に、フィルム上の画像の一部をマスクで覆い、画像上の各領域によって露光時間を変えて焼付を行う手法である。すなわち、上記のような周辺光量の低下が生じている場合には、中心近傍の領域をマスクで覆った状態で露光を行う時間を設けることにより、中心近傍の領域に対する露光時間が、周辺部の領域に対する露光時間よりも短くなるように露光を行うことになる。
【0007】
しかしながら、このような覆い焼きを行った場合、マスクを用いた領域とそれ以外の領域との境界部分に、露光量の不連続が生じることになる。上記のような周辺光量の低下は、基本的に連続的に光量が変化するものであるので、覆い焼きによる露光量の不連続が生じると、不自然なプリント画像となってしまう。
【0008】
このような露光量の不連続を防止するために、覆い焼きにおいて用いるマスクとして、透過光量が連続的に変化するようなフィルタを用いる方法も考えられる。すなわち、上記のような周辺光量の低下が生じている場合には、中心近傍で透過光量が小さく、中心から離れるにしたがって透過光量が大きくなるようなフィルタを用いて露光を行うようにする。このような覆い焼きを行えば、露光量の不連続は生じず、ある程度良好なプリントを行うことが可能となる。
【0009】
しかしながら、フィルムに記録されている画像における周辺光量の低下の程度は、各画像ごとに異なっているものである。よって、各画像における周辺光量の低下を的確に補正するためには、上記のようなフィルタを多数種類用意しなければならないことになり、最適なフィルタを選択するために非常に手間がかかるとともに、コストも上昇することになる。また、フィルタを多数種類用意したとしても、各画像における周辺光量の低下の程度に完全に対応させることは困難である。
【0010】
また、従来のデジタル露光においては、例えば写真フィルム上の画像をスキャナ等によって読み取る際に、オペレータの指示が行われた場合に、読み取ったデータに対して、画像の周辺領域の画素値を上昇させるような補正を行った上で、画像処理部にデータを送信する構成などが提案されている。
【0011】
しかしながら、この構成の場合、画像の周辺領域の画素値を上昇させる補正を行うか行わないかの制御しか行っていないことになる。したがって、各画像における周辺光量の低下の程度に応じた補正を行うことはできないことになり、画像によっては、ほとんど補正の効果がでないような場合もありうることになる。
【0012】
また、読み取ったデータに対する補正も、各画像における周辺光量の低下の状態、すなわち周辺光量の変化に的確に対応することができるものであるとは限らないものである。したがって、このような補正を行うことによって、かえって不自然な画像データが得られてしまうような虞もある。
【0013】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、原画像において、周辺領域における光量の低下、すなわち、周辺光量むらが生じている場合に、これを的確かつ効果的に補正する画像処理方法、画像処理プログラム、および、画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の画像処理方法は、原画像の画像データに対して、各画素の画素値を補正する画像処理方法において、前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算するステップと、各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求めるステップと、各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求めるステップとを有していることを特徴としている。
【0015】
例えば、使い捨てカメラなどによって撮影が行われた場合、フィルムに記録されている画像において、画像の中心近傍が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなるような周辺光量むらが発生している場合がある。この周辺光量むらは種々の要因によって生じるものであるが、特にカメラのレンズの収差による周辺光量の低下による影響が大きい。このレンズの収差による周辺光量低下は、いわゆるコサイン4乗則に則している。
【0016】
また、使い捨てカメラ等においては、フィルムに撮影される画像の歪曲の発生を防止するため、および、フィルムの腰を強くして露光位置に確実に固定するために、フィルムの送り方向に平行となるフィルム両端部をレンズ方向に近づけるように、露光位置においてフィルム面全体を湾曲させている。このため、フィルムを湾曲させていない場合には同心円状に添って生じる周辺光量低下が、同心楕円状に沿って生ずることになる。また、レンズの形状、シャッター機構等によっても、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って発生することもある。
【0017】
ここで、上記の方法では、まず、画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、上記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算する処理が行われる。つまり、前記楕円上の各画素と上記基準画素位置との距離を、フィルムの湾曲等がなかったとした場合に同一量の周辺光量低下が生じる上記基準画素位置を中心とする真円の半径とする。これにより、同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素が、それぞれ上記基準画素位置と同一距離を有する画素とみなされることになる。
【0018】
上記の半径が求められると、この半径に比例する変数が求められ、この変数のコサイン4乗が求められる。そして、このコサイン4乗の逆数が各画素の画素値に対して乗じられることによって、補正画素値が求められるようになっている。
【0019】
以上のように、楕円上の各画素と上記基準画素位置との距離を、フィルムの湾曲等がなかったとした場合における同一量の光量低下が生じる真円の半径と換算し、前記換算した値(半径)を用いて、各画素の画素値に対してコサイン4乗の逆数が乗じられることにより、周辺光量の低下が相殺されることになる。したがって、上記の方法によれば、原画像における周辺光量の低下(周辺光量むら)を的確に補正することが可能になる。
【0020】
なお、上記基準画素位置は、周辺光量の低下状況に応じて決まる画素位置であり、画像データにおける様々な画素位置をとり得る。
【0021】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記楕円は、原画像に対して一定の傾きを有している楕円であることを特徴としている。
【0022】
原画像によっては、周辺光量の低下が、一定の傾きを有する同心楕円状に沿って生じている場合がある。つまり斜めに傾いた楕円上に同一量の光量低下が生じている画素が配列している場合がある。
【0023】
したがって、同一量の周辺光量低下が生じている画素が、原画像において傾きを有している楕円上に存在している場合にも、原画像における周辺光量の低下を的確に補正することが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、原画像における周辺光量低下の状態に応じて、前記比例係数を設定することを特徴としている。
【0025】
原画像において周辺光量の低下が生じている場合、その低下の程度は、各画像毎に異なっているものである。そこで、上記の方法では、上記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、これを周辺光量低下の程度に応じて変化させるようにしている。これにより、周辺光量の低下の程度が各画像において異なっていても、それぞれに最適な補正を行うことが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、上記原画像が、カメラによって撮影された写真画像であり、上記比例係数が、補正を行おうとしている画像データの原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定されることを特徴としている。
【0027】
例えば使い捨てカメラによって撮影が行われた場合、使い捨てカメラには絞りの調整機構やズーム機構などが備えられていないので、レンズの収差による周辺光量の低下は、どの画像においても全て同じように生じることになる。そこで、上記の方法のように、比例係数を、原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定するようにすれば、カメラの種類を設定するだけで、補正に最適な比例係数を設定することが可能となる。したがって、例えばオペレータが補正画像の状態を確認しながら比例係数を設定する、というような煩雑な処理を行う必要がなくなるので、オペレータの手間を省くことができるとともに、処理時間を短縮することが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0029】
上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る画像処理プログラムを記録した記録媒体は、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録していることを特徴としている。
【0031】
上記記録媒体に記録されている画像処理プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図2は、本発明の実施の形態に係る画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。該画像出力システムは、フィルムスキャナ1、画像処理装置2、写真焼付装置3、表示部4、および入力部5を備えた構成となっている。
【0033】
フィルムスキャナ1は、例えば、光源からの光を、写真フィルムであるネガフィルムに照射し、その透過光をCCD(Charge Coupled Device) 等で受光することにより、ネガフィルムに記録された画像を読み取るものである。このフィルムスキャナ1は、読み取った画像データを赤色成分、緑色成分、青色成分ごとに画像処理装置2に出力する。
【0034】
写真焼付装置3は、画像処理装置2によって処理がなされた画像データに基づいて感光材料である印画紙を露光することにより、印画紙上に画像を焼き付けるものである。デジタル画像データに応じた光を印画紙に照射するヘッドとしては、デジタル画像データに応じて各画素毎に印画紙への照射光を変調可能な光変調素子が用いられる。この光変調素子としては、例えばPLZT露光ヘッド、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)、LCD(Liquid Crystal Display;液晶表示装置)、LED(Light Emitting Diode)パネル、レーザー、FOCRT(Fiver Optic Cathode Ray Tube)、CRT(Cathode Ray Tube)等が挙げられる。
【0035】
なお、写真焼付装置3は、ネガフィルムのスキャニングと印画紙の露光とを両方行うことができるオートプリンタとして構成してもよい。この場合、写真処理装置を、画像の読み取りから焼付けまでを行うオートプリンタと、PC(Personal Computer) などによって構成される画像処理装置2とを接続した構成とすることにより、システムの簡素化を図ることができる。
【0036】
画像処理装置2は、フィルムスキャナ1から送られた画像データに対して、周辺光量むらを補正する処理を行い、この補正が行われた画像データを写真焼付装置3に供給するものである。該画像処理装置2は、データ入力部6、補正処理部7、露光量算出部8、およびデータ出力部9を備えた構成となっている。
【0037】
データ入力部6は、フィルムスキャナ1から送られた画像データを入力するブロックである。例えばフィルムスキャナ1と画像処理装置2とがSCSI(SmallComputer System Interface)によって接続されている場合には、SCSIインターフェースがデータ入力部6に相当することになる。
【0038】
補正処理部7は、データ入力部6によって入力された画像データに対して、周辺光量のむらを補正するための補正演算を行うためのブロックである。この補正処理部7は、例えば画像処理装置2をPCによって構成する場合、補正演算を行うプログラムを実行させることによって実現されることになる。なお、この補正処理部7による処理の詳細については後述する。
【0039】
露光量算出部8は、補正処理部7によって補正が行われた画像データ、もしくは補正が行われなかった画像データに基づいて、写真焼付装置3における露光処理に用いる露光量を算出するブロックである。この露光量算出部8も、例えば画像処理装置2をPCによって構成する場合、補正演算を行うプログラムを実行させることによって実現されることになる。
【0040】
データ出力部9は、露光量算出部8において算出された露光量データを写真焼付装置に出力するブロックである。例えば画像処理装置2と写真焼付装置3とがSCSIによって接続されている場合には、SCSIインターフェースがデータ出力部9に相当することになる。
【0041】
また、画像処理装置2には、表示部4および入力部5が接続されている。表示部4は、フィルムスキャナ1から画像処理装置2に入力された画像データや、この入力された画像データに対して補正処理が行われた画像データなどを表示する部材である。この表示部4は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)や、LCDなどのモニターによって構成される。
【0042】
入力部5は、画像処理装置2に対して、オペレータによる各種入力指示を行うための部材である。この入力部5は、例えばキーボードなどのキー入力手段、マウスなどのポインティングデバイスなどによって構成される。
【0043】
次に、画像処理装置2における補正処理に関して以下に説明する。まず最初に、写真フィルム上に記録されている画像において発生する周辺光量むらについて説明する。前記したように、収差が比較的大きいレンズが使用されている場合が多い使い捨てカメラなどによって撮影が行われた場合、画像の中心近傍が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなるような濃度むら、すなわち周辺光量むらが発生することがある。
【0044】
一般的に、レンズの光軸に垂直な平面物体面に正対する像面の光量は、物体面が均等拡散面の場合、レンズの入射瞳の中心から物体上の1点を見る角度θのコサイン4乗に比例する、という法則、いわゆるコサイン4乗則が知られている。図3は、このコサイン4乗則における物体面、レンズ(系)、像面などの配置関係を示す説明図である。なお、上記の角度θは、正確には像面の1点P´に対応する物体面上の点Pと、入射瞳の中心Aとを結ぶ直線が、光軸となす角度を示している。
【0045】
また、図4は、横軸に上記の角度θ、縦軸に像面の光量をとったときの、コサイン4乗則を示すグラフである。このグラフの縦軸の値は、角度θが0、すなわち光軸に平行な光が像面に照射される際の光量を1とし、その相対値を示している。このグラフが、角度θに対して光量がコサイン4乗に比例していることを示すものとなる。
【0046】
以上のことより、まず、写真フィルム上に記録されている画像において発生する周辺光量むらが、上記のコサイン4乗則に則って生じているものと仮定し、この逆数を画像データに対して乗じることによって周辺光量むらを補正する方法について説明する。
【0047】
上記のように、画像における周辺光量の低下が、コサイン4乗則に則っているものとすると、フィルムスキャナ1によって読み取られた画像の画像データは、画像の中心における画素値が高く、中心から離れるにつれて、コサイン4乗に比例して画素値が低くなっていることになる。つまり、画像の中心を中心とする複数の同心円を考えた場合、上記同心円の半径が大きいほど同心円上の画素値が低くなる。したがって、周辺光量むらの補正を行うためには、画像の中心における画素値に対しては補正を行わずに、中心から離れるにつれて、中心からの距離のコサインの4乗に比例した逆数を画素値に対して乗じる補正を行うようにする。
【0048】
まず、画像処理装置2におけるデータ入力部6に入力された画像データの各画素の画素値をdat(x,y)とする。ここで、データ入力部6に入力される画像データがカラー画像データ、すなわち、赤、緑、青の各色成分の画像データである場合、画素値dat(x,y)は、該当画素の各色成分の平均値、すなわち濃度に相当する値とする。また、(x,y)は、入力された画像データにおける、該当する画素の座標を示している。
【0049】
そして、補正後の各画素の画素値(補正画素値)をDat(x,y)とすると、Dat(x,y)は次の式によって算出されるものとする。
Dat(x,y)=dat(x,y)/(cosθ)4 (1)
θ=πr/4a (2)
上式において、rは、該当画素における画像の中心からの距離を規格化した値を示している。また、aは、どの程度の補正を行うかを決定する係数である。
【0050】
まず、上記のrについて説明する。このrは、入力された画像データにおける対角線の距離を1としたときの、該当画素における画像の中心からの距離を示している。すなわち、画像の中心から最も遠い点となる、画像の4隅の点は、r=0.5となる。したがって、rのとり得る値の範囲は、0以上0.5以下となる。
【0051】
ここで、元の画像データを、横の画素数がM個、縦の画素数がN個であるとすると、上記のrは、次に示す式
r=√[{(x−M/2)2+(y−N/2)2}/(M2+N2)] (3)
で表されることになる。
【0052】
次に、上記の係数aについて説明する。元の画像において、周辺光量の低下が生じている場合、その低下の程度は、各画像において様々である。例えばある画像では、中央近傍の画素値に対して、周辺部の画素値が大きく低下している一方、他の画像では、中央近傍の画素値に対して、周辺部の画素値の低下は僅かであるというようなことが考えられる。このように、周辺光量の低下の程度は、各画像によって異なるものであるが、コサイン4乗則にはほぼ則っている、すなわち、中心からの距離のコサイン4乗にはほぼ比例していると考えることができる。
【0053】
そこで、本実施形態では、図5に示すように、周辺光量の低下の状態に応じてθの有効範囲を設定し、これによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を設定するようにしている。例えば、周辺光量の低下が著しい場合には、θの有効範囲を大きめにとることによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を広くする、すなわち、周辺部における画素値の補正の度合いを大きくする。また、例えば周辺光量の低下が僅かである場合には、θの有効範囲を小さめにとることによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を狭くする、すなわち、周辺部における画素値の補正の度合いを小さくする。
【0054】
ここで、θは上記の(2)式で求められるものである。この式において、rは、画像の中心から最も遠くなる点で最大値0.5をとり、画像の中心の点で最小値0をとるものである。すなわち、0≦r≦0.5となる。したがって、図6にも示すとおり、係数aを様々に変化させることにより、各rの値に対して(cosθ)4のとり得る値を変化させることができる。
【0055】
仮に、係数aの値を0.5とすると、上記画像の中心から最も遠くなる点においてθがπ/4となる。つまり、上記係数aの値を0.5とすることにより、画角90度のレンズで生じる周辺光量低下を好適に補正することができる。また、上記係数aの値を1とすると、上記画像の中心から最も遠くなる点においてθがπ/8となる。つまり、上記係数aの値を1とすることにより、画角45度のレンズで生じる周辺光量低下を好適に補正することができる。すなわち、上記係数aの値を様々に変化させることにより、各画像における周辺光量の低下の状態に応じて、周辺光量むらを的確に補正することが可能となる。
【0056】
なお、例えば、図5に示すとおり、θの取り得る範囲の上限をπ/4と設定してもよい。上記のように、θの上限を設定することにより、(cosθ)4の値が小さくなって、Dat(x,y)の値がメモリの設定容量以上になる、つまりオーバーフローしてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
以上においては、上述したとおり、中心から離れるにつれて、コサイン4乗に比例して画素値が低くなっている場合、つまり、画像の中心を中心とする複数の同心円を考えたときに、上記同心円の半径が大きいほど同心円上の画素値が低くなっている場合についての補正方法について説明した。しかしながら、周辺光量の低下は、必ずしも同心円状に沿って発生するとは限らない。
【0058】
特に、使い捨てカメラ等においては、フィルムに撮影される画像の歪曲の発生を防止するため、および、フィルムの腰を強くして露光位置に確実に固定するために、図7に示すとおり、フィルムの送り方向に平行となるフィルム両端部(10・10)をレンズ方向に近づけるように、露光位置においてフィルム面全体を湾曲させている。このため、周辺光量の低下は、同心円状に沿って生じず、図8に示すとおり、ともに中心を同じくする同心楕円状に沿って発生する。なお、レンズの形状、シャッター機構等によっても、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って発生することもある。
【0059】
そこで、以下に、本発明の特徴となる、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って生じている場合における周辺光量むらの補正方法について説明する。
【0060】
まず、以下の式4で表される楕円上の各画素で同一量の光量低下が発生しているとする。なお、h、vは係数である。また、上記式4の座標系は、図9に示すとおり、原画像における中心位置を原点Oとし、原画像の最外周部にそれぞれ平行となるように、x軸およびy軸をとっている。
【0061】
hx2+vy2=1 (4)
ここで、上記楕円上の各画素の画素値を、上記の式(1)および式(2)を用いて補正すると以下のような問題が生じる。つまり、楕円では真円と異なり、上記rの値が一様に定まらず、楕円上の各画素において同一の補正係数、つまり(cosθ)4の値が得られなくなる。したがって、同一の光量低下が生じている楕円上の各画素に対し、異なる補正係数(1/(cosθ)4)が乗じられることになる。
【0062】
一方、周辺光量むらを的確に補正するためには、上記楕円上の各画素の画素値に対して、同一の補正係数を乗じる必要がある。そこで、本実施の形態においては、図10に示すとおり、フィルムの湾曲がなかった場合等における、楕円の各画素と同一の光量低下が生じている真円の半径を利用する。つまり、以下の式(5)で示される真円の半径を、規格値である一つのrの値とする。さらに、言い換えれば、上記楕円における長軸の半分の長さを、上記rの値とする。
【0063】
x2+y2=(1/√h)2 (5)
次に、上記rの値を利用して、式(2)からθを求める。そして、上記式(1)に示すとおり、楕円上の各画素に対し、同一の補正係数(1/(cosθ)4)を乗ずる。これにより、上記楕円上の各画素の画素値が補正できる。
【0064】
また、式(4)で示される楕円と長軸と短軸との比を一定に保ち、かつ、この楕円と中心を同じくする複数の同心楕円を作成し、この同心楕円上の各画素に対して上記の補正を行うことにより、原画像全体に対して補正ができる。
【0065】
以上により、フィルムが湾曲して、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って生じている場合においても、周辺光量むらの補正を的確に行うことが可能となる。
【0066】
ところで、レンズの形状、撮影時のフィルム状態、および、シャッター機構の構造等によっては、図11に示すとおり、上記同心楕円の中心O’が原画像における中心Oの位置からずれる場合が生じる。そこで、この場合には、原画像における中心位置を原点とせずに、同心楕円の中心O’に原点をシフトさせて、上述した周辺光量むらの補正を行えばよい。
【0067】
さらに、上記と同様な理由により、図12に示すとおり、上記同心楕円が、上記原点O’を中心にα度傾いた形状となる場合も生じる。そこで、この場合にも、図13に示すとおり、楕円の各画素が、フィルムの湾曲がなかった場合等における同一の光量低下が生じている真円の半径を利用する。
【0068】
つまり、上述したとおり、一つのrの値を計算して、式(2)によりθを求める。そして、上記式(1)に示すとおり、傾いた楕円上の各画素に対し、同一の補正係数(1/(cosθ)4)を乗ずる。これにより、上記楕円上の各画素の画素値が補正できる。
【0069】
次に、図2に示す画像出力システムの処理の流れについて、図1に示すフローチャートに基づきながら以下に説明する。
【0070】
まず、フィルムスキャナ1によって、写真フィルム上に記録されている原画像が読み取られ、原画像の画像データが取得される(ステップ1、以降、S1のように称する)。
【0071】
フィルムスキャナ1で原画像の画像データが取得されると、この画像データが、画像処理装置2に対してデータ入力部6から入力される。そして、この原画像の画像データに基づく画像が、表示部4において表示される(S2)。
【0072】
次に、表示部4に表示された画像をオペレータが観察し、この画像が、周辺光量むらの生じている画像であるか否かがオペレータによって判断される(S3)。オペレータが、原画像に光量むらが生じていると判断した場合(S3においてYes)、その旨が入力部5から画像処理装置2に対して送信され、補正処理部7において、周辺光量むら補正が行われる。
【0073】
周辺光量むら補正は、次のようにして行われる。まず、原画像が表示部4に表示された状態で、オペレータが、入力部5によって、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、上記の(2)式における係数aを適宜設定する。そして、上記の設定値に基づいて、上記の(1)式に基づいた補正処理が行われ、その補正画像が表示部4に表示される。オペレータは、この補正画像を観察し、その補正状態に応じて、楕円中心の位置、係数hおよび係数v、傾きα、および、係数aの値を適宜変更し、最適な補正状態となるように調整する。
【0074】
S3においてNo、すなわち、原画像に周辺光量むらが生じていないと判断された場合、および、S4において周辺光量むら補正が行われた後に、露光量算出部8において、露光量の算出処理が行われる(S5)。ここでは、出力すべき画像データに基づいて、ガンマ補正などの処理を施した後に、写真焼付装置3に向けて出力すべき露光量データを算出する処理が行われる。そして、算出された露光量データは、データ出力部9から写真焼付装置3に向けて出力される。
【0075】
そして、S6において、処理すべき全てのコマの画像に関して処理が終了したか否かが確認され、終了していない場合にはS1からの処理が繰り返される。そして、写真焼付装置3は、入力された露光量データに基づいて、印画紙に対して焼付、現像処理を行い、写真プリントを出力する。
【0076】
なお、以上の処理では、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、上記の(2)式における係数aの設定は、オペレータが画像の補正状態を確認しながら行うようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば以下に示すような処理によって、自動的に補正量を設定する方法も考えられる。
【0077】
周辺光量むらは、上記のように、撮影時に、カメラのレンズの収差を原因として生じるものである。ここで、使い捨てカメラは、通常絞りの調整やズームなどを行うことができないものであるので、使い捨てカメラによって撮影された画像における、レンズの収差を原因とした周辺光量むらは、どの画像においても常に一定の状態となっていることになる。すなわち、特定の機種の使い捨てカメラで撮影された画像は、全て同じ状態で周辺光量むらが生じていることになる。
【0078】
そこで、使い捨てカメラの機種ごとに、周辺光量むらの状態を予め求めておき、それぞれにおける、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、上記の(2)式の係数aの値を記憶しておくようにする。そして、実際に画像処理装置2に画像データが入力された際には、その画像データが、どの機種の使い捨てカメラで撮影されたものであるかを認識し、その機種の使い捨てカメラに対応する、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aの値を読み出して、補正処理部7における処理を行うようにする。このような処理によれば、オペレータが補正画像の状態を観察しながら楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aの値を設定する処理を行う必要がなくなるので、オペレータの手間を省くことができるとともに、処理の高速化を実現することができる。
【0079】
画像処理装置2に入力された画像データが、どの機種の使い捨てカメラで撮影されたものであるかを認識する方法としては、例えば次のような方法が考えられる。まず、フィルムスキャナ1にフィルムをセットする際に、セットしたフィルムがどの機種の使い捨てカメラで撮影されたかをオペレータが確認し、オペレータが入力部5からこの情報を画像処理装置2に対して入力する方法がある。この方法の場合、例えば上記の図1で示したフローチャートのS4において、オペレータが楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aを設定するかわりに、使い捨てカメラの機種を選択する処理を行えばよいことになる。
【0080】
また、フィルムスキャナ1において、フィルムの種類を検出する機構を設け、ここで検出されたフィルムの種類の情報を画像処理装置2に送信する構成としてもよい。フィルムの種類と使い捨てカメラの機種とは、通常1対1に対応しているので、画像処理装置2は、フィルムの種類の情報から使い捨てカメラの機種を特定し、該当機種に対応した楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aを設定することが可能である。この場合、オペレータは補正に関して何ら入力する必要がなくなるので、周辺光量むら補正処理を自動で行うことが可能となり、処理能力の大幅な向上を実現することができる。
【0081】
フィルムの種類を検出する機構としては、例えばAPS(Advanced Photo System)フィルムに記録されている磁気情報を読み出すことによってフィルムの種類を検出するものが考えられる。現在、使い捨てカメラにおいては、フィルムカートリッジのサイズが小さいAPSフィルムを用いているものがほとんどである。使い捨てカメラにおいては、各コマごとには磁気情報の記録は行われないものがほとんどであるが、フィルムの最初の部分にフィルムの種類などの情報が予め記録されているので、これを読み出すことによってフィルムの種類を検出することが可能である。
【0082】
また、フィルムの地の部分の濃度を検出し、この検出した濃度によってフィルムの種類を特定する構成も考えられる。一般に、フィルムの地の部分の濃度は、フィルムの種類によって全て異なっている。よって、フィルムの地の部分をCCDなどによって濃度検出することによって、フィルムの種類を特定することが可能である。この構成の場合、コマ画像の画像データを読み取るためのスキャニング手段によって、フィルムの地の部分の濃度をも検出するようにすれば、フィルムスキャナ1に新たに構成を追加することなく、フィルムの種類の検出を行う構成を実現することができる。
【0083】
なお、上記の実施の形態においては、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aをパラメータとして設定する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、構成を簡略化するために、楕円の傾きαを考慮しない構成としてもよい。すなわち、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、および、係数aのみを設定する構成としてもよい。また、楕円中心の位置を考慮しない構成としてもよい。すなわち、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数のみを設定する構成としてもよい。さらに、楕円の傾きαと楕円中心の位置とを考慮しない構成としてもよい。すなわち、上記楕円式の係数hおよび係数v、および、係数aのみを設定する構成としてもよい。
【0084】
ところで、以上の実施の形態で説明した処理は、プログラムで実現することが可能である。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体として、画像処理装置2で処理が行われるために必要な図示していないメモリ(例えばROMそのもの)であってもよいし、また図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても構わない。
【0085】
上記いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサ(図示せず)のアクセスにより実行される構成であってもよいし、格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードすることにより、そのプログラムが実行される構成であってもよい。この場合、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0086】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリーカードを含む)/光カードのカード系、あるいはマスクROM、EPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明の画像処理方法は、以上のように、前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算するステップと、各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求めるステップと、各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求めるステップとを有している方法である。
【0088】
これにより、楕円上の各画素と上記基準画素位置との距離を、フィルムの湾曲等がなかったとした場合における同一量の光量低下が生じる真円の半径と換算し、前記換算した値(半径)を用いて、各画素の画素値に対してコサイン4乗の逆数が乗じられることにより、周辺光量の低下が相殺されることになる。したがって、上記の方法によれば、原画像における周辺光量の低下を的確に補正することが可能になるという効果を奏する。
【0089】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記楕円は、原画像に対して一定の傾きを有している楕円である方法である。
【0090】
それゆえ、同一量の周辺光量低下が生じている画素が、原画像において傾きを有している楕円上に存在している場合にも、原画像における周辺光量の低下を的確に補正することが可能となるという効果を奏する。
【0091】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、原画像における周辺光量低下の状態に応じて、前記比例係数を設定する方法である。
【0092】
これにより、上記の画像処理方法による効果に加えて、上記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、これを周辺光量低下の程度に応じて変化させるようにしているため、周辺光量の低下の程度が各画像において異なっていても、それぞれに最適な補正を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記原画像が、カメラによって撮影された写真画像であり、上記比例係数が、補正を行おうとしている画像データの原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定される方法である。
【0094】
これにより、上記の画像処理方法による効果に加えて、カメラの種類を設定するだけで、補正に最適な比例係数を設定することが可能となる。したがって、例えばオペレータが補正画像の状態を確認しながら比例係数を設定する、というような煩雑な処理を行う必要がなくなるので、オペレータの手間を省くことができるとともに、処理時間を短縮することが可能となるという効果を奏する。
【0095】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させるものである。
【0096】
これにより、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
【0097】
また、本発明に係る画像処理プログラムを記録した記録媒体は、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録している構成である。
【0098】
これにより、上記記録媒体に記録されている画像処理プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像出力システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】上記画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】コサイン4乗則における物体面、レンズ(系)、像面などの配置関係を示す説明図である。
【図4】横軸に上記の角度θ、縦軸に像面の光量をとったときの、コサイン4乗則を示すグラフである。
【図5】コサイン4乗則のグラフにおいて、θの有効範囲を設定し、これによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を設定することを示す説明図である。
【図6】係数aを様々に変化させた場合の、規格値rに対する(cosθ)4のとり得る値を示すグラフである。
【図7】フィルムを湾曲させた状態を示す説明図である。
【図8】周辺光量低下が、同心楕円状に沿って生じていることを示す説明図である。
【図9】同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の画素を示す説明図である。
【図10】フィルムの湾曲がなかった場合等における、楕円の各画素と同一の光量低下が生じている真円を示す説明図である。
【図11】楕円の中心が原画像の中心からずれている場合の、楕円上の画素を示す説明図である。
【図12】上記楕円が、原画像に対してさらに傾きを有している場合の、楕円上の画素を示す説明図である。
【図13】フィルムの湾曲がなかった場合等における、上記楕円の各画素と同一の光量低下が生じている真円を示す説明図である。
【符号の説明】
1 フィルムスキャナ
2 画像処理装置
3 写真焼付装置
4 表示部
5 入力部
6 データ入力部
7 補正処理部
8 露光量算出部
9 データ出力部
10 フィルム両端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば写真フィルム上に記録されている原画像をデジタル画像データとして読み取り、デジタル露光方式で印画紙に対して露光を行う際に、原画像の画像データに対して各画素の画素値を補正する画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、写真の焼き付けは、原画像が記録されている写真フィルムに光を照射し、この写真フィルムを透過した光を印画紙上に照射することによって焼付を行うアナログ露光が行われている。また、近年では、写真フィルム上の画像をスキャナ等によって読み取ることによって得られるデジタル画像データや、デジタルカメラによる撮影によって得られるデジタル画像データなどに基づいて、赤、青、緑の単色光を各画素毎に印画紙上に照射することによって焼付を行うデジタル露光が行われるようになっている。
【0003】
一方、例えば使い捨てカメラなどによって撮影が行われた場合、フィルムに記録されている画像において、画像の中心近傍が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなるような濃度むらが発生している場合がある。これは、カメラのレンズの収差による光量むらや、フラッシュ撮影時のフラッシュ光量不足による光量むらなどを原因として発生するものである。
【0004】
カメラのレンズの収差による光量むらは、次のような場合に生じる。一般的に、絞りを開いた状態で撮影が行われると、撮影された画像には、レンズの収差による影響が大きく反映されることになる。この場合、フィルム上の画像領域において、中心から遠ざかるほど照射される光量が低下する現象が生じる。特に、使い捨てカメラなどの安価なカメラにおいては、収差が比較的大きいレンズが使用されている場合が多く、また絞りの調整を行う機構を備えていない場合が多いので、上記のような周辺光量の低下の問題が顕著に生じることになる。
【0005】
このように、フィルムに記録されている画像に、周辺光量の低下が生じている場合、上記のようなアナログ露光やデジタル露光によって印画紙に対して焼付を行うと、言うまでもなく周辺光量が低下した状態で焼付が行われてしまい、良好なプリントを得ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような周辺光量の低下によるプリント写真の画質低下に対して、従来のアナログ露光では、例えば覆い焼きと呼ばれる手法が用いられることがある。覆い焼きとは、露光の際に、フィルム上の画像の一部をマスクで覆い、画像上の各領域によって露光時間を変えて焼付を行う手法である。すなわち、上記のような周辺光量の低下が生じている場合には、中心近傍の領域をマスクで覆った状態で露光を行う時間を設けることにより、中心近傍の領域に対する露光時間が、周辺部の領域に対する露光時間よりも短くなるように露光を行うことになる。
【0007】
しかしながら、このような覆い焼きを行った場合、マスクを用いた領域とそれ以外の領域との境界部分に、露光量の不連続が生じることになる。上記のような周辺光量の低下は、基本的に連続的に光量が変化するものであるので、覆い焼きによる露光量の不連続が生じると、不自然なプリント画像となってしまう。
【0008】
このような露光量の不連続を防止するために、覆い焼きにおいて用いるマスクとして、透過光量が連続的に変化するようなフィルタを用いる方法も考えられる。すなわち、上記のような周辺光量の低下が生じている場合には、中心近傍で透過光量が小さく、中心から離れるにしたがって透過光量が大きくなるようなフィルタを用いて露光を行うようにする。このような覆い焼きを行えば、露光量の不連続は生じず、ある程度良好なプリントを行うことが可能となる。
【0009】
しかしながら、フィルムに記録されている画像における周辺光量の低下の程度は、各画像ごとに異なっているものである。よって、各画像における周辺光量の低下を的確に補正するためには、上記のようなフィルタを多数種類用意しなければならないことになり、最適なフィルタを選択するために非常に手間がかかるとともに、コストも上昇することになる。また、フィルタを多数種類用意したとしても、各画像における周辺光量の低下の程度に完全に対応させることは困難である。
【0010】
また、従来のデジタル露光においては、例えば写真フィルム上の画像をスキャナ等によって読み取る際に、オペレータの指示が行われた場合に、読み取ったデータに対して、画像の周辺領域の画素値を上昇させるような補正を行った上で、画像処理部にデータを送信する構成などが提案されている。
【0011】
しかしながら、この構成の場合、画像の周辺領域の画素値を上昇させる補正を行うか行わないかの制御しか行っていないことになる。したがって、各画像における周辺光量の低下の程度に応じた補正を行うことはできないことになり、画像によっては、ほとんど補正の効果がでないような場合もありうることになる。
【0012】
また、読み取ったデータに対する補正も、各画像における周辺光量の低下の状態、すなわち周辺光量の変化に的確に対応することができるものであるとは限らないものである。したがって、このような補正を行うことによって、かえって不自然な画像データが得られてしまうような虞もある。
【0013】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、原画像において、周辺領域における光量の低下、すなわち、周辺光量むらが生じている場合に、これを的確かつ効果的に補正する画像処理方法、画像処理プログラム、および、画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の画像処理方法は、原画像の画像データに対して、各画素の画素値を補正する画像処理方法において、前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算するステップと、各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求めるステップと、各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求めるステップとを有していることを特徴としている。
【0015】
例えば、使い捨てカメラなどによって撮影が行われた場合、フィルムに記録されている画像において、画像の中心近傍が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなるような周辺光量むらが発生している場合がある。この周辺光量むらは種々の要因によって生じるものであるが、特にカメラのレンズの収差による周辺光量の低下による影響が大きい。このレンズの収差による周辺光量低下は、いわゆるコサイン4乗則に則している。
【0016】
また、使い捨てカメラ等においては、フィルムに撮影される画像の歪曲の発生を防止するため、および、フィルムの腰を強くして露光位置に確実に固定するために、フィルムの送り方向に平行となるフィルム両端部をレンズ方向に近づけるように、露光位置においてフィルム面全体を湾曲させている。このため、フィルムを湾曲させていない場合には同心円状に添って生じる周辺光量低下が、同心楕円状に沿って生ずることになる。また、レンズの形状、シャッター機構等によっても、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って発生することもある。
【0017】
ここで、上記の方法では、まず、画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、上記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算する処理が行われる。つまり、前記楕円上の各画素と上記基準画素位置との距離を、フィルムの湾曲等がなかったとした場合に同一量の周辺光量低下が生じる上記基準画素位置を中心とする真円の半径とする。これにより、同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素が、それぞれ上記基準画素位置と同一距離を有する画素とみなされることになる。
【0018】
上記の半径が求められると、この半径に比例する変数が求められ、この変数のコサイン4乗が求められる。そして、このコサイン4乗の逆数が各画素の画素値に対して乗じられることによって、補正画素値が求められるようになっている。
【0019】
以上のように、楕円上の各画素と上記基準画素位置との距離を、フィルムの湾曲等がなかったとした場合における同一量の光量低下が生じる真円の半径と換算し、前記換算した値(半径)を用いて、各画素の画素値に対してコサイン4乗の逆数が乗じられることにより、周辺光量の低下が相殺されることになる。したがって、上記の方法によれば、原画像における周辺光量の低下(周辺光量むら)を的確に補正することが可能になる。
【0020】
なお、上記基準画素位置は、周辺光量の低下状況に応じて決まる画素位置であり、画像データにおける様々な画素位置をとり得る。
【0021】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記楕円は、原画像に対して一定の傾きを有している楕円であることを特徴としている。
【0022】
原画像によっては、周辺光量の低下が、一定の傾きを有する同心楕円状に沿って生じている場合がある。つまり斜めに傾いた楕円上に同一量の光量低下が生じている画素が配列している場合がある。
【0023】
したがって、同一量の周辺光量低下が生じている画素が、原画像において傾きを有している楕円上に存在している場合にも、原画像における周辺光量の低下を的確に補正することが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、原画像における周辺光量低下の状態に応じて、前記比例係数を設定することを特徴としている。
【0025】
原画像において周辺光量の低下が生じている場合、その低下の程度は、各画像毎に異なっているものである。そこで、上記の方法では、上記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、これを周辺光量低下の程度に応じて変化させるようにしている。これにより、周辺光量の低下の程度が各画像において異なっていても、それぞれに最適な補正を行うことが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、上記原画像が、カメラによって撮影された写真画像であり、上記比例係数が、補正を行おうとしている画像データの原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定されることを特徴としている。
【0027】
例えば使い捨てカメラによって撮影が行われた場合、使い捨てカメラには絞りの調整機構やズーム機構などが備えられていないので、レンズの収差による周辺光量の低下は、どの画像においても全て同じように生じることになる。そこで、上記の方法のように、比例係数を、原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定するようにすれば、カメラの種類を設定するだけで、補正に最適な比例係数を設定することが可能となる。したがって、例えばオペレータが補正画像の状態を確認しながら比例係数を設定する、というような煩雑な処理を行う必要がなくなるので、オペレータの手間を省くことができるとともに、処理時間を短縮することが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0029】
上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る画像処理プログラムを記録した記録媒体は、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録していることを特徴としている。
【0031】
上記記録媒体に記録されている画像処理プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図2は、本発明の実施の形態に係る画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。該画像出力システムは、フィルムスキャナ1、画像処理装置2、写真焼付装置3、表示部4、および入力部5を備えた構成となっている。
【0033】
フィルムスキャナ1は、例えば、光源からの光を、写真フィルムであるネガフィルムに照射し、その透過光をCCD(Charge Coupled Device) 等で受光することにより、ネガフィルムに記録された画像を読み取るものである。このフィルムスキャナ1は、読み取った画像データを赤色成分、緑色成分、青色成分ごとに画像処理装置2に出力する。
【0034】
写真焼付装置3は、画像処理装置2によって処理がなされた画像データに基づいて感光材料である印画紙を露光することにより、印画紙上に画像を焼き付けるものである。デジタル画像データに応じた光を印画紙に照射するヘッドとしては、デジタル画像データに応じて各画素毎に印画紙への照射光を変調可能な光変調素子が用いられる。この光変調素子としては、例えばPLZT露光ヘッド、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)、LCD(Liquid Crystal Display;液晶表示装置)、LED(Light Emitting Diode)パネル、レーザー、FOCRT(Fiver Optic Cathode Ray Tube)、CRT(Cathode Ray Tube)等が挙げられる。
【0035】
なお、写真焼付装置3は、ネガフィルムのスキャニングと印画紙の露光とを両方行うことができるオートプリンタとして構成してもよい。この場合、写真処理装置を、画像の読み取りから焼付けまでを行うオートプリンタと、PC(Personal Computer) などによって構成される画像処理装置2とを接続した構成とすることにより、システムの簡素化を図ることができる。
【0036】
画像処理装置2は、フィルムスキャナ1から送られた画像データに対して、周辺光量むらを補正する処理を行い、この補正が行われた画像データを写真焼付装置3に供給するものである。該画像処理装置2は、データ入力部6、補正処理部7、露光量算出部8、およびデータ出力部9を備えた構成となっている。
【0037】
データ入力部6は、フィルムスキャナ1から送られた画像データを入力するブロックである。例えばフィルムスキャナ1と画像処理装置2とがSCSI(SmallComputer System Interface)によって接続されている場合には、SCSIインターフェースがデータ入力部6に相当することになる。
【0038】
補正処理部7は、データ入力部6によって入力された画像データに対して、周辺光量のむらを補正するための補正演算を行うためのブロックである。この補正処理部7は、例えば画像処理装置2をPCによって構成する場合、補正演算を行うプログラムを実行させることによって実現されることになる。なお、この補正処理部7による処理の詳細については後述する。
【0039】
露光量算出部8は、補正処理部7によって補正が行われた画像データ、もしくは補正が行われなかった画像データに基づいて、写真焼付装置3における露光処理に用いる露光量を算出するブロックである。この露光量算出部8も、例えば画像処理装置2をPCによって構成する場合、補正演算を行うプログラムを実行させることによって実現されることになる。
【0040】
データ出力部9は、露光量算出部8において算出された露光量データを写真焼付装置に出力するブロックである。例えば画像処理装置2と写真焼付装置3とがSCSIによって接続されている場合には、SCSIインターフェースがデータ出力部9に相当することになる。
【0041】
また、画像処理装置2には、表示部4および入力部5が接続されている。表示部4は、フィルムスキャナ1から画像処理装置2に入力された画像データや、この入力された画像データに対して補正処理が行われた画像データなどを表示する部材である。この表示部4は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)や、LCDなどのモニターによって構成される。
【0042】
入力部5は、画像処理装置2に対して、オペレータによる各種入力指示を行うための部材である。この入力部5は、例えばキーボードなどのキー入力手段、マウスなどのポインティングデバイスなどによって構成される。
【0043】
次に、画像処理装置2における補正処理に関して以下に説明する。まず最初に、写真フィルム上に記録されている画像において発生する周辺光量むらについて説明する。前記したように、収差が比較的大きいレンズが使用されている場合が多い使い捨てカメラなどによって撮影が行われた場合、画像の中心近傍が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなるような濃度むら、すなわち周辺光量むらが発生することがある。
【0044】
一般的に、レンズの光軸に垂直な平面物体面に正対する像面の光量は、物体面が均等拡散面の場合、レンズの入射瞳の中心から物体上の1点を見る角度θのコサイン4乗に比例する、という法則、いわゆるコサイン4乗則が知られている。図3は、このコサイン4乗則における物体面、レンズ(系)、像面などの配置関係を示す説明図である。なお、上記の角度θは、正確には像面の1点P´に対応する物体面上の点Pと、入射瞳の中心Aとを結ぶ直線が、光軸となす角度を示している。
【0045】
また、図4は、横軸に上記の角度θ、縦軸に像面の光量をとったときの、コサイン4乗則を示すグラフである。このグラフの縦軸の値は、角度θが0、すなわち光軸に平行な光が像面に照射される際の光量を1とし、その相対値を示している。このグラフが、角度θに対して光量がコサイン4乗に比例していることを示すものとなる。
【0046】
以上のことより、まず、写真フィルム上に記録されている画像において発生する周辺光量むらが、上記のコサイン4乗則に則って生じているものと仮定し、この逆数を画像データに対して乗じることによって周辺光量むらを補正する方法について説明する。
【0047】
上記のように、画像における周辺光量の低下が、コサイン4乗則に則っているものとすると、フィルムスキャナ1によって読み取られた画像の画像データは、画像の中心における画素値が高く、中心から離れるにつれて、コサイン4乗に比例して画素値が低くなっていることになる。つまり、画像の中心を中心とする複数の同心円を考えた場合、上記同心円の半径が大きいほど同心円上の画素値が低くなる。したがって、周辺光量むらの補正を行うためには、画像の中心における画素値に対しては補正を行わずに、中心から離れるにつれて、中心からの距離のコサインの4乗に比例した逆数を画素値に対して乗じる補正を行うようにする。
【0048】
まず、画像処理装置2におけるデータ入力部6に入力された画像データの各画素の画素値をdat(x,y)とする。ここで、データ入力部6に入力される画像データがカラー画像データ、すなわち、赤、緑、青の各色成分の画像データである場合、画素値dat(x,y)は、該当画素の各色成分の平均値、すなわち濃度に相当する値とする。また、(x,y)は、入力された画像データにおける、該当する画素の座標を示している。
【0049】
そして、補正後の各画素の画素値(補正画素値)をDat(x,y)とすると、Dat(x,y)は次の式によって算出されるものとする。
Dat(x,y)=dat(x,y)/(cosθ)4 (1)
θ=πr/4a (2)
上式において、rは、該当画素における画像の中心からの距離を規格化した値を示している。また、aは、どの程度の補正を行うかを決定する係数である。
【0050】
まず、上記のrについて説明する。このrは、入力された画像データにおける対角線の距離を1としたときの、該当画素における画像の中心からの距離を示している。すなわち、画像の中心から最も遠い点となる、画像の4隅の点は、r=0.5となる。したがって、rのとり得る値の範囲は、0以上0.5以下となる。
【0051】
ここで、元の画像データを、横の画素数がM個、縦の画素数がN個であるとすると、上記のrは、次に示す式
r=√[{(x−M/2)2+(y−N/2)2}/(M2+N2)] (3)
で表されることになる。
【0052】
次に、上記の係数aについて説明する。元の画像において、周辺光量の低下が生じている場合、その低下の程度は、各画像において様々である。例えばある画像では、中央近傍の画素値に対して、周辺部の画素値が大きく低下している一方、他の画像では、中央近傍の画素値に対して、周辺部の画素値の低下は僅かであるというようなことが考えられる。このように、周辺光量の低下の程度は、各画像によって異なるものであるが、コサイン4乗則にはほぼ則っている、すなわち、中心からの距離のコサイン4乗にはほぼ比例していると考えることができる。
【0053】
そこで、本実施形態では、図5に示すように、周辺光量の低下の状態に応じてθの有効範囲を設定し、これによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を設定するようにしている。例えば、周辺光量の低下が著しい場合には、θの有効範囲を大きめにとることによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を広くする、すなわち、周辺部における画素値の補正の度合いを大きくする。また、例えば周辺光量の低下が僅かである場合には、θの有効範囲を小さめにとることによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を狭くする、すなわち、周辺部における画素値の補正の度合いを小さくする。
【0054】
ここで、θは上記の(2)式で求められるものである。この式において、rは、画像の中心から最も遠くなる点で最大値0.5をとり、画像の中心の点で最小値0をとるものである。すなわち、0≦r≦0.5となる。したがって、図6にも示すとおり、係数aを様々に変化させることにより、各rの値に対して(cosθ)4のとり得る値を変化させることができる。
【0055】
仮に、係数aの値を0.5とすると、上記画像の中心から最も遠くなる点においてθがπ/4となる。つまり、上記係数aの値を0.5とすることにより、画角90度のレンズで生じる周辺光量低下を好適に補正することができる。また、上記係数aの値を1とすると、上記画像の中心から最も遠くなる点においてθがπ/8となる。つまり、上記係数aの値を1とすることにより、画角45度のレンズで生じる周辺光量低下を好適に補正することができる。すなわち、上記係数aの値を様々に変化させることにより、各画像における周辺光量の低下の状態に応じて、周辺光量むらを的確に補正することが可能となる。
【0056】
なお、例えば、図5に示すとおり、θの取り得る範囲の上限をπ/4と設定してもよい。上記のように、θの上限を設定することにより、(cosθ)4の値が小さくなって、Dat(x,y)の値がメモリの設定容量以上になる、つまりオーバーフローしてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
以上においては、上述したとおり、中心から離れるにつれて、コサイン4乗に比例して画素値が低くなっている場合、つまり、画像の中心を中心とする複数の同心円を考えたときに、上記同心円の半径が大きいほど同心円上の画素値が低くなっている場合についての補正方法について説明した。しかしながら、周辺光量の低下は、必ずしも同心円状に沿って発生するとは限らない。
【0058】
特に、使い捨てカメラ等においては、フィルムに撮影される画像の歪曲の発生を防止するため、および、フィルムの腰を強くして露光位置に確実に固定するために、図7に示すとおり、フィルムの送り方向に平行となるフィルム両端部(10・10)をレンズ方向に近づけるように、露光位置においてフィルム面全体を湾曲させている。このため、周辺光量の低下は、同心円状に沿って生じず、図8に示すとおり、ともに中心を同じくする同心楕円状に沿って発生する。なお、レンズの形状、シャッター機構等によっても、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って発生することもある。
【0059】
そこで、以下に、本発明の特徴となる、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って生じている場合における周辺光量むらの補正方法について説明する。
【0060】
まず、以下の式4で表される楕円上の各画素で同一量の光量低下が発生しているとする。なお、h、vは係数である。また、上記式4の座標系は、図9に示すとおり、原画像における中心位置を原点Oとし、原画像の最外周部にそれぞれ平行となるように、x軸およびy軸をとっている。
【0061】
hx2+vy2=1 (4)
ここで、上記楕円上の各画素の画素値を、上記の式(1)および式(2)を用いて補正すると以下のような問題が生じる。つまり、楕円では真円と異なり、上記rの値が一様に定まらず、楕円上の各画素において同一の補正係数、つまり(cosθ)4の値が得られなくなる。したがって、同一の光量低下が生じている楕円上の各画素に対し、異なる補正係数(1/(cosθ)4)が乗じられることになる。
【0062】
一方、周辺光量むらを的確に補正するためには、上記楕円上の各画素の画素値に対して、同一の補正係数を乗じる必要がある。そこで、本実施の形態においては、図10に示すとおり、フィルムの湾曲がなかった場合等における、楕円の各画素と同一の光量低下が生じている真円の半径を利用する。つまり、以下の式(5)で示される真円の半径を、規格値である一つのrの値とする。さらに、言い換えれば、上記楕円における長軸の半分の長さを、上記rの値とする。
【0063】
x2+y2=(1/√h)2 (5)
次に、上記rの値を利用して、式(2)からθを求める。そして、上記式(1)に示すとおり、楕円上の各画素に対し、同一の補正係数(1/(cosθ)4)を乗ずる。これにより、上記楕円上の各画素の画素値が補正できる。
【0064】
また、式(4)で示される楕円と長軸と短軸との比を一定に保ち、かつ、この楕円と中心を同じくする複数の同心楕円を作成し、この同心楕円上の各画素に対して上記の補正を行うことにより、原画像全体に対して補正ができる。
【0065】
以上により、フィルムが湾曲して、周辺光量の低下が同心楕円状に沿って生じている場合においても、周辺光量むらの補正を的確に行うことが可能となる。
【0066】
ところで、レンズの形状、撮影時のフィルム状態、および、シャッター機構の構造等によっては、図11に示すとおり、上記同心楕円の中心O’が原画像における中心Oの位置からずれる場合が生じる。そこで、この場合には、原画像における中心位置を原点とせずに、同心楕円の中心O’に原点をシフトさせて、上述した周辺光量むらの補正を行えばよい。
【0067】
さらに、上記と同様な理由により、図12に示すとおり、上記同心楕円が、上記原点O’を中心にα度傾いた形状となる場合も生じる。そこで、この場合にも、図13に示すとおり、楕円の各画素が、フィルムの湾曲がなかった場合等における同一の光量低下が生じている真円の半径を利用する。
【0068】
つまり、上述したとおり、一つのrの値を計算して、式(2)によりθを求める。そして、上記式(1)に示すとおり、傾いた楕円上の各画素に対し、同一の補正係数(1/(cosθ)4)を乗ずる。これにより、上記楕円上の各画素の画素値が補正できる。
【0069】
次に、図2に示す画像出力システムの処理の流れについて、図1に示すフローチャートに基づきながら以下に説明する。
【0070】
まず、フィルムスキャナ1によって、写真フィルム上に記録されている原画像が読み取られ、原画像の画像データが取得される(ステップ1、以降、S1のように称する)。
【0071】
フィルムスキャナ1で原画像の画像データが取得されると、この画像データが、画像処理装置2に対してデータ入力部6から入力される。そして、この原画像の画像データに基づく画像が、表示部4において表示される(S2)。
【0072】
次に、表示部4に表示された画像をオペレータが観察し、この画像が、周辺光量むらの生じている画像であるか否かがオペレータによって判断される(S3)。オペレータが、原画像に光量むらが生じていると判断した場合(S3においてYes)、その旨が入力部5から画像処理装置2に対して送信され、補正処理部7において、周辺光量むら補正が行われる。
【0073】
周辺光量むら補正は、次のようにして行われる。まず、原画像が表示部4に表示された状態で、オペレータが、入力部5によって、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、上記の(2)式における係数aを適宜設定する。そして、上記の設定値に基づいて、上記の(1)式に基づいた補正処理が行われ、その補正画像が表示部4に表示される。オペレータは、この補正画像を観察し、その補正状態に応じて、楕円中心の位置、係数hおよび係数v、傾きα、および、係数aの値を適宜変更し、最適な補正状態となるように調整する。
【0074】
S3においてNo、すなわち、原画像に周辺光量むらが生じていないと判断された場合、および、S4において周辺光量むら補正が行われた後に、露光量算出部8において、露光量の算出処理が行われる(S5)。ここでは、出力すべき画像データに基づいて、ガンマ補正などの処理を施した後に、写真焼付装置3に向けて出力すべき露光量データを算出する処理が行われる。そして、算出された露光量データは、データ出力部9から写真焼付装置3に向けて出力される。
【0075】
そして、S6において、処理すべき全てのコマの画像に関して処理が終了したか否かが確認され、終了していない場合にはS1からの処理が繰り返される。そして、写真焼付装置3は、入力された露光量データに基づいて、印画紙に対して焼付、現像処理を行い、写真プリントを出力する。
【0076】
なお、以上の処理では、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、上記の(2)式における係数aの設定は、オペレータが画像の補正状態を確認しながら行うようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば以下に示すような処理によって、自動的に補正量を設定する方法も考えられる。
【0077】
周辺光量むらは、上記のように、撮影時に、カメラのレンズの収差を原因として生じるものである。ここで、使い捨てカメラは、通常絞りの調整やズームなどを行うことができないものであるので、使い捨てカメラによって撮影された画像における、レンズの収差を原因とした周辺光量むらは、どの画像においても常に一定の状態となっていることになる。すなわち、特定の機種の使い捨てカメラで撮影された画像は、全て同じ状態で周辺光量むらが生じていることになる。
【0078】
そこで、使い捨てカメラの機種ごとに、周辺光量むらの状態を予め求めておき、それぞれにおける、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、上記の(2)式の係数aの値を記憶しておくようにする。そして、実際に画像処理装置2に画像データが入力された際には、その画像データが、どの機種の使い捨てカメラで撮影されたものであるかを認識し、その機種の使い捨てカメラに対応する、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aの値を読み出して、補正処理部7における処理を行うようにする。このような処理によれば、オペレータが補正画像の状態を観察しながら楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aの値を設定する処理を行う必要がなくなるので、オペレータの手間を省くことができるとともに、処理の高速化を実現することができる。
【0079】
画像処理装置2に入力された画像データが、どの機種の使い捨てカメラで撮影されたものであるかを認識する方法としては、例えば次のような方法が考えられる。まず、フィルムスキャナ1にフィルムをセットする際に、セットしたフィルムがどの機種の使い捨てカメラで撮影されたかをオペレータが確認し、オペレータが入力部5からこの情報を画像処理装置2に対して入力する方法がある。この方法の場合、例えば上記の図1で示したフローチャートのS4において、オペレータが楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aを設定するかわりに、使い捨てカメラの機種を選択する処理を行えばよいことになる。
【0080】
また、フィルムスキャナ1において、フィルムの種類を検出する機構を設け、ここで検出されたフィルムの種類の情報を画像処理装置2に送信する構成としてもよい。フィルムの種類と使い捨てカメラの機種とは、通常1対1に対応しているので、画像処理装置2は、フィルムの種類の情報から使い捨てカメラの機種を特定し、該当機種に対応した楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aを設定することが可能である。この場合、オペレータは補正に関して何ら入力する必要がなくなるので、周辺光量むら補正処理を自動で行うことが可能となり、処理能力の大幅な向上を実現することができる。
【0081】
フィルムの種類を検出する機構としては、例えばAPS(Advanced Photo System)フィルムに記録されている磁気情報を読み出すことによってフィルムの種類を検出するものが考えられる。現在、使い捨てカメラにおいては、フィルムカートリッジのサイズが小さいAPSフィルムを用いているものがほとんどである。使い捨てカメラにおいては、各コマごとには磁気情報の記録は行われないものがほとんどであるが、フィルムの最初の部分にフィルムの種類などの情報が予め記録されているので、これを読み出すことによってフィルムの種類を検出することが可能である。
【0082】
また、フィルムの地の部分の濃度を検出し、この検出した濃度によってフィルムの種類を特定する構成も考えられる。一般に、フィルムの地の部分の濃度は、フィルムの種類によって全て異なっている。よって、フィルムの地の部分をCCDなどによって濃度検出することによって、フィルムの種類を特定することが可能である。この構成の場合、コマ画像の画像データを読み取るためのスキャニング手段によって、フィルムの地の部分の濃度をも検出するようにすれば、フィルムスキャナ1に新たに構成を追加することなく、フィルムの種類の検出を行う構成を実現することができる。
【0083】
なお、上記の実施の形態においては、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数aをパラメータとして設定する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、構成を簡略化するために、楕円の傾きαを考慮しない構成としてもよい。すなわち、楕円中心の位置、上記楕円式の係数hおよび係数v、および、係数aのみを設定する構成としてもよい。また、楕円中心の位置を考慮しない構成としてもよい。すなわち、上記楕円式の係数hおよび係数v、楕円の傾きα、および、係数のみを設定する構成としてもよい。さらに、楕円の傾きαと楕円中心の位置とを考慮しない構成としてもよい。すなわち、上記楕円式の係数hおよび係数v、および、係数aのみを設定する構成としてもよい。
【0084】
ところで、以上の実施の形態で説明した処理は、プログラムで実現することが可能である。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体として、画像処理装置2で処理が行われるために必要な図示していないメモリ(例えばROMそのもの)であってもよいし、また図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても構わない。
【0085】
上記いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサ(図示せず)のアクセスにより実行される構成であってもよいし、格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードすることにより、そのプログラムが実行される構成であってもよい。この場合、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0086】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリーカードを含む)/光カードのカード系、あるいはマスクROM、EPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0087】
【発明の効果】
本発明の画像処理方法は、以上のように、前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算するステップと、各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求めるステップと、各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求めるステップとを有している方法である。
【0088】
これにより、楕円上の各画素と上記基準画素位置との距離を、フィルムの湾曲等がなかったとした場合における同一量の光量低下が生じる真円の半径と換算し、前記換算した値(半径)を用いて、各画素の画素値に対してコサイン4乗の逆数が乗じられることにより、周辺光量の低下が相殺されることになる。したがって、上記の方法によれば、原画像における周辺光量の低下を的確に補正することが可能になるという効果を奏する。
【0089】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記楕円は、原画像に対して一定の傾きを有している楕円である方法である。
【0090】
それゆえ、同一量の周辺光量低下が生じている画素が、原画像において傾きを有している楕円上に存在している場合にも、原画像における周辺光量の低下を的確に補正することが可能となるという効果を奏する。
【0091】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記の画像処理方法において、前記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、原画像における周辺光量低下の状態に応じて、前記比例係数を設定する方法である。
【0092】
これにより、上記の画像処理方法による効果に加えて、上記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、これを周辺光量低下の程度に応じて変化させるようにしているため、周辺光量の低下の程度が各画像において異なっていても、それぞれに最適な補正を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明に係る画像処理方法は、上記原画像が、カメラによって撮影された写真画像であり、上記比例係数が、補正を行おうとしている画像データの原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定される方法である。
【0094】
これにより、上記の画像処理方法による効果に加えて、カメラの種類を設定するだけで、補正に最適な比例係数を設定することが可能となる。したがって、例えばオペレータが補正画像の状態を確認しながら比例係数を設定する、というような煩雑な処理を行う必要がなくなるので、オペレータの手間を省くことができるとともに、処理時間を短縮することが可能となるという効果を奏する。
【0095】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させるものである。
【0096】
これにより、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
【0097】
また、本発明に係る画像処理プログラムを記録した記録媒体は、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録している構成である。
【0098】
これにより、上記記録媒体に記録されている画像処理プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記画像処理方法をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像出力システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】上記画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】コサイン4乗則における物体面、レンズ(系)、像面などの配置関係を示す説明図である。
【図4】横軸に上記の角度θ、縦軸に像面の光量をとったときの、コサイン4乗則を示すグラフである。
【図5】コサイン4乗則のグラフにおいて、θの有効範囲を設定し、これによって(cosθ)4のとり得る値の範囲を設定することを示す説明図である。
【図6】係数aを様々に変化させた場合の、規格値rに対する(cosθ)4のとり得る値を示すグラフである。
【図7】フィルムを湾曲させた状態を示す説明図である。
【図8】周辺光量低下が、同心楕円状に沿って生じていることを示す説明図である。
【図9】同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の画素を示す説明図である。
【図10】フィルムの湾曲がなかった場合等における、楕円の各画素と同一の光量低下が生じている真円を示す説明図である。
【図11】楕円の中心が原画像の中心からずれている場合の、楕円上の画素を示す説明図である。
【図12】上記楕円が、原画像に対してさらに傾きを有している場合の、楕円上の画素を示す説明図である。
【図13】フィルムの湾曲がなかった場合等における、上記楕円の各画素と同一の光量低下が生じている真円を示す説明図である。
【符号の説明】
1 フィルムスキャナ
2 画像処理装置
3 写真焼付装置
4 表示部
5 入力部
6 データ入力部
7 補正処理部
8 露光量算出部
9 データ出力部
10 フィルム両端部
Claims (6)
- 原画像の画像データに対して、各画素の画素値を補正する画像処理方法において、
前記画像データにおける所定の基準画素位置を中心とする同一量の周辺光量低下が生じている楕円上の各画素と、前記基準画素位置との距離を、前記楕円の長軸を直径とする真円における半径に換算するステップと、
各画素に関して、前記半径に比例する変数を求め、この変数のコサイン4乗を求めるステップと、
各画素の画素値に対して、対応するコサイン4乗の逆数を乗じた補正画素値を求めるステップとを有していることを特徴とする画像処理方法。 - 前記楕円は、原画像に対して一定の傾きを有する楕円であることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
- 前記半径に比例する変数を求める際に用いる比例係数を変数とし、原画像における周辺光量低下の状態に応じて、前記比例係数を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理方法。
- 上記原画像が、カメラによって撮影された写真画像であり、上記比例係数が、補正を行おうとしている画像データの原画像を撮影したカメラの種類に応じて設定されることを特徴とする請求項3記載の画像処理方法。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録した記録媒体。
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