JP2004037483A - 光拡散シート - Google Patents
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Abstract
【課題】衝撃強度、及び光拡散性、物性バランスに優れた、更にシート加工時にシートの汚染が少ない熱可塑性樹脂組成物からなる光拡散シートを提供すること。
【解決手段】スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体とガラスビーズ、架橋樹脂ビーズを含有する樹脂組成物を多層シートの中間層とし、ガラスビーズや架橋樹脂ビーズを含まない、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体を表層、裏面層とすることを構成とする。
【選択図】 なし
【解決手段】スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体とガラスビーズ、架橋樹脂ビーズを含有する樹脂組成物を多層シートの中間層とし、ガラスビーズや架橋樹脂ビーズを含まない、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体を表層、裏面層とすることを構成とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート加工時にシート汚染が少ない光拡散シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体、またはゴム状物質を含有するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体に、ガラスビーズや架橋樹脂ビーズを配合することにより光拡散性の優れた光学用レンズシートが知られているが、押出機にてシート加工すると、押出機のダイス(吐出口)等に樹脂が付着しやすくなり、樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染し商品価値を低下させる問題があった。また、この問題を解消するために、適宜ダイスの掃除を行うことが必要となり、著しく生産性を低下させ、経済性に乏しいという欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、衝撃強度、及び光拡散性のいずれもがバランス良く高く、更にシート加工時にシートの汚染が少ないスチレン−メタアクリル酸エステル系共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる光拡散シートを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体とガラスビーズ、架橋樹脂ビーズを含有する樹脂組成物を多層シートの中間層とし、ガラスビーズや架橋樹脂ビーズを含まない、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体を表層、裏面層とすることによりこの課題にかなうことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、(1)多層構成(a:表層、b:中間層、c:裏面層)が以下の成分からなる多層シートであることを特徴とする光拡散シート。
a)、c) 下記(A)成分からなる熱可塑性樹脂。
b) 下記(A)成分と下記(B)成分からなる熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体(X)とゴム状物質(Y)を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、共重合体(X)は連続相を、ゴム状物質(Y)は粒子状の分散相を形成しており、該分散粒子は数平均粒子径が1.0〜2.0μmである分散粒子(I)、及び数平均粒子径が0.1〜0.5μmである分散粒子(II)からなり、分散粒子(I)に含まれるゴム成分量が(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して0.2〜3.5質量%、分散粒子(II)に含まれるゴム成分量が(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して4〜20質量%であって、かつその熱可塑性樹脂の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下である熱可塑性樹脂。
(B)成分:ガラスビーズ、及び/又は架橋樹脂ビーズ、
(2)(A)成分100質量部に対して、(B)成分が0.1〜20質量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を中間層bとする(1)記載の光拡散シート、(3)(B)成分の平均粒子径が5〜25μmである(1)又は(2)記載の光拡散シート、(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載の多層シートの厚みがa)、c):0.005〜0.07mm、b):0.2〜7mmであることを特徴とする光拡散シート、(5)(1)〜(4)のいずれか1項記載のb)層が(A)成分と(B)成分からなる多層構造である光拡散シート、(6)(1)〜(5)のいずれか1項記載の多層シートがa)層、b)層、及びc)層を同時に押出し加工して得られる光拡散シートである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用してもよい。
【0007】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用してもよい。好ましくは、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはこれらの混合物である。
【0008】
また、必要に応じてアクリロニトリル等のその他共重合性単量体を用いることもできる。
【0009】
分散相を形成するゴム状物質としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等を用いることができる。連続相の共重合体と屈折率を一致させやすいという意味において、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を好適に用いることができる。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用しても良い。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される分散粒子は、数平均粒子径が1.0〜2.0μmである分散粒子(I)、及び数平均粒子径0.1〜0.5μmである分散粒子(II)とからなる。
【0011】
分散粒子(I)の数平均粒子径は1.0〜2.0μmである。好ましくは1.2〜1.8μmである。1.0μm未満では、衝撃強度が低下し、2.0μmを越えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0012】
分散粒子(II)の数平均粒子径は0.1〜0.5μmである。好ましくは0.15〜0.45μmである。0.1μm未満では、衝撃強度が低下し、0.5μmを越えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0013】
分散粒子(I)に含有されるゴム成分量は、(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して0.2〜3.5質量%である。好ましくは0.3〜3質量%である。0.2質量%未満では、衝撃強度が低下し、3.5質量%を越えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0014】
分散粒子(II)に含有されるゴム成分量は、(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して4〜20質量%である。好ましくは6〜18質量%である。4質量%未満では衝撃強度が低下し、18質量%を越えると全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0015】
なお、分散粒子の数平均粒子径は、熱可塑性樹脂1gをN,N−ジメチルホルムアミド100ml中で24時間攪拌した液を用い、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LS230)を使用して測定した。ゴム成分量は、ハロゲン付加法により測定したポリブタジエン量を示す。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.5以下であることが必要である。2.5を越えると衝撃強度が低下し、衝撃強度と透明性のバランスの良さが失われるので好ましくない。重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnとも、下記記載のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作成し、重量平均分子量Mw、数平均分子量MnはPS換算値で表した。
【0017】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズは、平均粒子径が5〜25μmが好ましい。平均粒子径が5μm未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、25μmを超えると全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの平均粒子径は、コールター・マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
【0018】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。0.1質量部未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、20質量部を超えると、全光線透過率が低下し、光拡散性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に特に制限はないが、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体で分散粒子を含まないもの[以下、共重合体(A)と記す]、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体であって数平均粒子径1.0〜2.0μmの分散粒子(I)を含むもの[以下、共重合体(B)と記す]、及びスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体であって数平均粒子径0.1〜0.5μmの分散粒子(II)を含むもの[以下、共重合体(C)と記す]を別々に製造しておき、これらを混合し熱可塑性樹脂を得る方法は分散粒子を均一に分布させやすい利点があり、好ましい製造方法である。
【0020】
また、ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの配合方法に特に制限はなく、共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)の各々重合前、重合途中、重合後に配合する方法、共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)の混合時に配合する方法等が挙げられる。
【0021】
共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)の製造方法に特に制限はないが、共重合体(A)の製造には塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を、共重合体(B)の製造には塊状重合法、塊状−懸濁重合法、溶液重合法を、共重合体(C)の製造には乳化重合法を好適に採用できる。
【0022】
共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)、ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの混合方法については特に制限はないが、例えば、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等の公知の混合装置にて予備混合した後、単軸押出機または二軸押出機等の押出機を用いて溶融混練を行うことにより、均一に混合することができる。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を配合することができる。例えば、流動性や離型性を向上させるために、可塑剤、滑剤、シリコンオイル等を配合することができる。また、成形品の防塵のために帯電防止剤を配合することができる。また、耐熱性を付与するため、熱安定剤を配合することができる。また、耐光性を付与するため、光安定剤や紫外線吸収剤を配合することができるが、成形品の表面に紫外線硬化剤を塗布して紫外線硬化する場合は、硬化に影響を及ぼすので注意が必要である。その他、着色剤等を配合することもできる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中の部、%はいずれも質量基準で表した。
【0025】
共重合体(A)の製造
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート(MMA)57.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(A1)を得た。共重合体(A1)のGPC法にて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は、145,000であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0026】
共重合体(A1)の製造と、分子量調整剤を用いなかった以外は同様の方法にて重合を行い、共重合体(A2)を得た。共重合体(A2)の重量平均分子量は、167,000であった。
【0027】
共重合体(B)の製造
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート57.5部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(スチレン含量25%、旭化成工業社製「タフデン2000」(商品名))5部を仕込み、3時間室温にて攪拌後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2部を添加し、攪拌数200rpmにて攪拌しながら、温度90℃にて、重合転化率30%まで塊状重合した。次いで、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.2部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を加え、温度100℃で2時間、115℃で1.5時間、130℃で2.5時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(B1)を得た。共重合体(B1)のゴム成分量は3.7%であった。該ゴム状物質は粒子状の分散相を形成し、その分散粒子の数平均粒子径は1.4μmであった。また、重量平均分子量は129,000であった。
【0028】
共重合体(B1)の製造と同様の方法にて、塊状重合時の撹拌数のみを変化させることにより、数平均粒子径0.8μmの分散粒子を有する共重合体(B2)及び2.5μmの分散粒子を有する共重合体(B3)を得た。
【0029】
共重合体(B1)の製造と、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.3部を添加した以外は同様の方法にて重合を行い共重合体(B4)を得た。
該共重合体(B4)の重量平均分子量は103,000であった。また、その分散粒子の数平均粒子径は1.4μmであった。
【0030】
共重合体(C)の製造
撹拌機付きオートクレーブにブタジエン49部、スチレン16部、純水150部、オレイン酸カリウム0.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.13部、ロンガリット0.03部、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム塩0.003部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、t−ドデシルメルカプタン1.0部を仕込み、温度45℃にて17時間重合した。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスの数平均粒子径は0.08μmであった。ラテックスに、ナトリウムスルホサクシネート0.005部を加えて安定化させた。このラテックスに、撹拌下にて、塩化水素水溶液を加えることにより、ラテックス粒子を凝集肥大化させ、数平均粒子径0.2μmのゴムラテックスを得た。このラテックスにスチレン16部、MMA17部、n−ブチルアクリレート2部、ジビニルベンゼン0.04部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08部を加え、温度60℃で6時間重合した。このラテックスにt−ブチルフェノール0.5部、ジラウリルチオプロピオネート0.5部を添加した後、塩酸により共重合体を析出し、中和洗浄、脱水乾燥して、粉末状の共重合体(C1)を得た。この共重合体(C1)のゴム成分量は48.0%であった。
【0031】
共重合体(C1)の製造と同様の方法にて、ゴムラテックスの凝集条件のみを変化させることにより、数平均粒子径0.08μmの分散粒子を有する共重合体(C2)及び0.6μmの分散粒子を有する共重合体(C3)を得た。
【0032】
熱可塑性樹脂1〜4、熱可塑性樹脂組成物5〜21の製造
共重合体(A)、(B)、(C)、及びガラスビーズを表1及び表2に示す配合比にて混合し、40mm径の単軸押出機にて、温度240℃、スクリュー回転数100rpmにて混練し、ペレット化を行い、ペレットを得た。
このペレットを用いて組成物のGPCを測定した。また、このペレットを用いて温度220℃にて射出成形し、試験片を得た。この試験片を用いて各種物性測定を行った。
尚、ガラスビーズは、平均粒子径3μm、平均粒子径15μm、平均粒子径30μmを用いた。
【0033】
実施例1〜12、比較例1〜11
熱可塑性樹脂1〜4、熱可塑性樹脂組成物5〜21を用いて、Tダイ方式の多層押出機にて各構成の多層シートを作成した。尚、多層押出機は、メインの中間層用が65mmφのフルフライトスクリューの単軸押出機1台、表層用に30mmφのフルフライトスクリューの単軸押出機2台からなり各々の溶融樹脂がフィードブロックで合流多層化される試験押出機を使用した。シート化における各シリンダー温度は230℃にて運転、成形した。
得られた多層シートの物性、透明性、シート加工時の汚染開始時間を表3〜表5に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)全光線透過率、曇度:表1、表2に示したものは、射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度220℃で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの厚さ2mm部を用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
また、表3〜表5に示したものは、得られたシートを用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
光拡散シートは、全光線透過率が大きく、曇り度が高いほど、光拡散性が優れ、
全光線透過率が88%以上、曇り度が6%以上のものが、光拡散性に優れた光拡散シートとした。
【0040】
(2)シャルピー衝撃強度:東芝機械社製(IS−80CVN)を用いて、シリンダー温度220℃で、12.7×64×6.4mm寸法の試験片を成形した。この試験片を用いて、ISO179−2に準じて測定した。
【0041】
(3)折り曲げ試験:シート押出によって作成したサンプルシートを引き取り方向、反引き取り方向の2方向に折り曲げを行い、シートの割れの発生を目視観察した。
○:良好(割れなし)
×:不良(割れあり)
また、表3〜表5のシート加工時汚染開始時間とは、シート加工時でシートの汚染が始まる時間のことをいう。例えば、表3の実施例1のシート加工時汚染開始時間が10時間とは、シート加工を始めてから8時間後にシートの汚染が始まる意味である。シートの汚染とは、前述のように樹脂組成物を押出し機にてシート加工すると、押出機のシリンダー内やダイス(吐出口)等に付着した樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染してシートの商品価値を低下させることをいう。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、従来にない衝撃強度、及び光拡散性、物性バランスに優れた、更にシート加工時にシートの汚染が少ない光拡散シートを工業上極めて有利に提供することができる。本発明の光拡散シートは、衝撃強度、透明性に優れていることより、特にフレネルレンズやレンチキュラーレンズ等の光学用途に好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート加工時にシート汚染が少ない光拡散シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体、またはゴム状物質を含有するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体に、ガラスビーズや架橋樹脂ビーズを配合することにより光拡散性の優れた光学用レンズシートが知られているが、押出機にてシート加工すると、押出機のダイス(吐出口)等に樹脂が付着しやすくなり、樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染し商品価値を低下させる問題があった。また、この問題を解消するために、適宜ダイスの掃除を行うことが必要となり、著しく生産性を低下させ、経済性に乏しいという欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、衝撃強度、及び光拡散性のいずれもがバランス良く高く、更にシート加工時にシートの汚染が少ないスチレン−メタアクリル酸エステル系共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる光拡散シートを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体とガラスビーズ、架橋樹脂ビーズを含有する樹脂組成物を多層シートの中間層とし、ガラスビーズや架橋樹脂ビーズを含まない、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体を表層、裏面層とすることによりこの課題にかなうことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、(1)多層構成(a:表層、b:中間層、c:裏面層)が以下の成分からなる多層シートであることを特徴とする光拡散シート。
a)、c) 下記(A)成分からなる熱可塑性樹脂。
b) 下記(A)成分と下記(B)成分からなる熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体(X)とゴム状物質(Y)を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、共重合体(X)は連続相を、ゴム状物質(Y)は粒子状の分散相を形成しており、該分散粒子は数平均粒子径が1.0〜2.0μmである分散粒子(I)、及び数平均粒子径が0.1〜0.5μmである分散粒子(II)からなり、分散粒子(I)に含まれるゴム成分量が(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して0.2〜3.5質量%、分散粒子(II)に含まれるゴム成分量が(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して4〜20質量%であって、かつその熱可塑性樹脂の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下である熱可塑性樹脂。
(B)成分:ガラスビーズ、及び/又は架橋樹脂ビーズ、
(2)(A)成分100質量部に対して、(B)成分が0.1〜20質量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を中間層bとする(1)記載の光拡散シート、(3)(B)成分の平均粒子径が5〜25μmである(1)又は(2)記載の光拡散シート、(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載の多層シートの厚みがa)、c):0.005〜0.07mm、b):0.2〜7mmであることを特徴とする光拡散シート、(5)(1)〜(4)のいずれか1項記載のb)層が(A)成分と(B)成分からなる多層構造である光拡散シート、(6)(1)〜(5)のいずれか1項記載の多層シートがa)層、b)層、及びc)層を同時に押出し加工して得られる光拡散シートである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用してもよい。
【0007】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用してもよい。好ましくは、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはこれらの混合物である。
【0008】
また、必要に応じてアクリロニトリル等のその他共重合性単量体を用いることもできる。
【0009】
分散相を形成するゴム状物質としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等を用いることができる。連続相の共重合体と屈折率を一致させやすいという意味において、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を好適に用いることができる。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用しても良い。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される分散粒子は、数平均粒子径が1.0〜2.0μmである分散粒子(I)、及び数平均粒子径0.1〜0.5μmである分散粒子(II)とからなる。
【0011】
分散粒子(I)の数平均粒子径は1.0〜2.0μmである。好ましくは1.2〜1.8μmである。1.0μm未満では、衝撃強度が低下し、2.0μmを越えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0012】
分散粒子(II)の数平均粒子径は0.1〜0.5μmである。好ましくは0.15〜0.45μmである。0.1μm未満では、衝撃強度が低下し、0.5μmを越えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0013】
分散粒子(I)に含有されるゴム成分量は、(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して0.2〜3.5質量%である。好ましくは0.3〜3質量%である。0.2質量%未満では、衝撃強度が低下し、3.5質量%を越えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0014】
分散粒子(II)に含有されるゴム成分量は、(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して4〜20質量%である。好ましくは6〜18質量%である。4質量%未満では衝撃強度が低下し、18質量%を越えると全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。
【0015】
なお、分散粒子の数平均粒子径は、熱可塑性樹脂1gをN,N−ジメチルホルムアミド100ml中で24時間攪拌した液を用い、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LS230)を使用して測定した。ゴム成分量は、ハロゲン付加法により測定したポリブタジエン量を示す。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.5以下であることが必要である。2.5を越えると衝撃強度が低下し、衝撃強度と透明性のバランスの良さが失われるので好ましくない。重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnとも、下記記載のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作成し、重量平均分子量Mw、数平均分子量MnはPS換算値で表した。
【0017】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズは、平均粒子径が5〜25μmが好ましい。平均粒子径が5μm未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、25μmを超えると全光線透過率が低下し光拡散性が低下するので好ましくない。ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの平均粒子径は、コールター・マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
【0018】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。0.1質量部未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、20質量部を超えると、全光線透過率が低下し、光拡散性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に特に制限はないが、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体で分散粒子を含まないもの[以下、共重合体(A)と記す]、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体であって数平均粒子径1.0〜2.0μmの分散粒子(I)を含むもの[以下、共重合体(B)と記す]、及びスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体であって数平均粒子径0.1〜0.5μmの分散粒子(II)を含むもの[以下、共重合体(C)と記す]を別々に製造しておき、これらを混合し熱可塑性樹脂を得る方法は分散粒子を均一に分布させやすい利点があり、好ましい製造方法である。
【0020】
また、ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの配合方法に特に制限はなく、共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)の各々重合前、重合途中、重合後に配合する方法、共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)の混合時に配合する方法等が挙げられる。
【0021】
共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)の製造方法に特に制限はないが、共重合体(A)の製造には塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を、共重合体(B)の製造には塊状重合法、塊状−懸濁重合法、溶液重合法を、共重合体(C)の製造には乳化重合法を好適に採用できる。
【0022】
共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)、ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの混合方法については特に制限はないが、例えば、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等の公知の混合装置にて予備混合した後、単軸押出機または二軸押出機等の押出機を用いて溶融混練を行うことにより、均一に混合することができる。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を配合することができる。例えば、流動性や離型性を向上させるために、可塑剤、滑剤、シリコンオイル等を配合することができる。また、成形品の防塵のために帯電防止剤を配合することができる。また、耐熱性を付与するため、熱安定剤を配合することができる。また、耐光性を付与するため、光安定剤や紫外線吸収剤を配合することができるが、成形品の表面に紫外線硬化剤を塗布して紫外線硬化する場合は、硬化に影響を及ぼすので注意が必要である。その他、着色剤等を配合することもできる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中の部、%はいずれも質量基準で表した。
【0025】
共重合体(A)の製造
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート(MMA)57.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(A1)を得た。共重合体(A1)のGPC法にて測定したポリスチレン換算重量平均分子量は、145,000であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0026】
共重合体(A1)の製造と、分子量調整剤を用いなかった以外は同様の方法にて重合を行い、共重合体(A2)を得た。共重合体(A2)の重量平均分子量は、167,000であった。
【0027】
共重合体(B)の製造
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート57.5部、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(スチレン含量25%、旭化成工業社製「タフデン2000」(商品名))5部を仕込み、3時間室温にて攪拌後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2部を添加し、攪拌数200rpmにて攪拌しながら、温度90℃にて、重合転化率30%まで塊状重合した。次いで、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.2部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を加え、温度100℃で2時間、115℃で1.5時間、130℃で2.5時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(B1)を得た。共重合体(B1)のゴム成分量は3.7%であった。該ゴム状物質は粒子状の分散相を形成し、その分散粒子の数平均粒子径は1.4μmであった。また、重量平均分子量は129,000であった。
【0028】
共重合体(B1)の製造と同様の方法にて、塊状重合時の撹拌数のみを変化させることにより、数平均粒子径0.8μmの分散粒子を有する共重合体(B2)及び2.5μmの分散粒子を有する共重合体(B3)を得た。
【0029】
共重合体(B1)の製造と、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.3部を添加した以外は同様の方法にて重合を行い共重合体(B4)を得た。
該共重合体(B4)の重量平均分子量は103,000であった。また、その分散粒子の数平均粒子径は1.4μmであった。
【0030】
共重合体(C)の製造
撹拌機付きオートクレーブにブタジエン49部、スチレン16部、純水150部、オレイン酸カリウム0.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.13部、ロンガリット0.03部、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム塩0.003部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、t−ドデシルメルカプタン1.0部を仕込み、温度45℃にて17時間重合した。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスの数平均粒子径は0.08μmであった。ラテックスに、ナトリウムスルホサクシネート0.005部を加えて安定化させた。このラテックスに、撹拌下にて、塩化水素水溶液を加えることにより、ラテックス粒子を凝集肥大化させ、数平均粒子径0.2μmのゴムラテックスを得た。このラテックスにスチレン16部、MMA17部、n−ブチルアクリレート2部、ジビニルベンゼン0.04部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08部を加え、温度60℃で6時間重合した。このラテックスにt−ブチルフェノール0.5部、ジラウリルチオプロピオネート0.5部を添加した後、塩酸により共重合体を析出し、中和洗浄、脱水乾燥して、粉末状の共重合体(C1)を得た。この共重合体(C1)のゴム成分量は48.0%であった。
【0031】
共重合体(C1)の製造と同様の方法にて、ゴムラテックスの凝集条件のみを変化させることにより、数平均粒子径0.08μmの分散粒子を有する共重合体(C2)及び0.6μmの分散粒子を有する共重合体(C3)を得た。
【0032】
熱可塑性樹脂1〜4、熱可塑性樹脂組成物5〜21の製造
共重合体(A)、(B)、(C)、及びガラスビーズを表1及び表2に示す配合比にて混合し、40mm径の単軸押出機にて、温度240℃、スクリュー回転数100rpmにて混練し、ペレット化を行い、ペレットを得た。
このペレットを用いて組成物のGPCを測定した。また、このペレットを用いて温度220℃にて射出成形し、試験片を得た。この試験片を用いて各種物性測定を行った。
尚、ガラスビーズは、平均粒子径3μm、平均粒子径15μm、平均粒子径30μmを用いた。
【0033】
実施例1〜12、比較例1〜11
熱可塑性樹脂1〜4、熱可塑性樹脂組成物5〜21を用いて、Tダイ方式の多層押出機にて各構成の多層シートを作成した。尚、多層押出機は、メインの中間層用が65mmφのフルフライトスクリューの単軸押出機1台、表層用に30mmφのフルフライトスクリューの単軸押出機2台からなり各々の溶融樹脂がフィードブロックで合流多層化される試験押出機を使用した。シート化における各シリンダー温度は230℃にて運転、成形した。
得られた多層シートの物性、透明性、シート加工時の汚染開始時間を表3〜表5に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)全光線透過率、曇度:表1、表2に示したものは、射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度220℃で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの厚さ2mm部を用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
また、表3〜表5に示したものは、得られたシートを用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
光拡散シートは、全光線透過率が大きく、曇り度が高いほど、光拡散性が優れ、
全光線透過率が88%以上、曇り度が6%以上のものが、光拡散性に優れた光拡散シートとした。
【0040】
(2)シャルピー衝撃強度:東芝機械社製(IS−80CVN)を用いて、シリンダー温度220℃で、12.7×64×6.4mm寸法の試験片を成形した。この試験片を用いて、ISO179−2に準じて測定した。
【0041】
(3)折り曲げ試験:シート押出によって作成したサンプルシートを引き取り方向、反引き取り方向の2方向に折り曲げを行い、シートの割れの発生を目視観察した。
○:良好(割れなし)
×:不良(割れあり)
また、表3〜表5のシート加工時汚染開始時間とは、シート加工時でシートの汚染が始まる時間のことをいう。例えば、表3の実施例1のシート加工時汚染開始時間が10時間とは、シート加工を始めてから8時間後にシートの汚染が始まる意味である。シートの汚染とは、前述のように樹脂組成物を押出し機にてシート加工すると、押出機のシリンダー内やダイス(吐出口)等に付着した樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染してシートの商品価値を低下させることをいう。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、従来にない衝撃強度、及び光拡散性、物性バランスに優れた、更にシート加工時にシートの汚染が少ない光拡散シートを工業上極めて有利に提供することができる。本発明の光拡散シートは、衝撃強度、透明性に優れていることより、特にフレネルレンズやレンチキュラーレンズ等の光学用途に好適に用いることができる。
Claims (6)
- 多層構成(a:表層、b:中間層、c:裏面層)が以下の成分からなる多層シートであることを特徴とする光拡散シート。
a)、c) 下記(A)成分からなる熱可塑性樹脂。
b) 下記(A)成分と下記(B)成分からなる熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体(X)とゴム状物質(Y)を含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、共重合体(X)は連続相を、ゴム状物質(Y)は粒子状の分散相を形成しており、該粒子状の分散相[以下、分散粒子という]は数平均粒子径が1.0〜2.0μmである分散粒子(I)、及び数平均粒子径が0.1〜0.5μmである分散粒子(II)からなり、分散粒子(I)に含まれるゴム成分量が(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して0.2〜3.5質量%、分散粒子(II)に含まれるゴム成分量が(A)成分からなる熱可塑性樹脂100質量%に対して4〜20質量%であって、かつその熱可塑性樹脂の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下である熱可塑性樹脂。
(B)成分:ガラスビーズ、及び/又は架橋樹脂ビーズ - (A)成分100質量部に対して、(B)成分が0.1〜20質量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を中間層bとする請求項1記載の光拡散シート。
- (B)成分の平均粒子径が5〜25μmである請求項1又は2記載の光拡散シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の多層シートの厚みがa)、c):0.005〜0.07mm、b):0.2〜7mmであることを特徴とする光拡散シート。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のb)層が(A)成分と(B)成分からなる多層構造である光拡散シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の多層シートがa)層、b)層、及びc)層を同時に押出し加工して得られる光拡散シート。
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