JP2004036497A - 排ガス浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃費の悪化を防止し、複雑な機構を必要とせずにNOx浄化反応及び硫黄脱離反応を促進できる排ガス浄化方法を提供すること。
【解決手段】排気流路上にH2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒を配設し、該H2O分解触媒によりH2OをH2とO2に分解させ、該NOx吸着浄化触媒によりリーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させて排ガスを浄化する方法である。
排気流路上にNOx吸着浄化触媒及びH2O分解触媒をこの順に積層し、該H2O分解触媒によりH2OをH2とO2に分解させ、該NOx吸着浄化触媒によりリーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させて排ガスを浄化する方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】排気流路上にH2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒を配設し、該H2O分解触媒によりH2OをH2とO2に分解させ、該NOx吸着浄化触媒によりリーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させて排ガスを浄化する方法である。
排気流路上にNOx吸着浄化触媒及びH2O分解触媒をこの順に積層し、該H2O分解触媒によりH2OをH2とO2に分解させ、該NOx吸着浄化触媒によりリーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させて排ガスを浄化する方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車(ガソリン、ディーゼル)、ボイラーなどの内燃機関から排出される排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を浄化する方法に係り、特に酸素過剰領域でのNOx浄化に着目した排ガス浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油資源の枯渇問題、地球温暖化問題から、低燃費自動車の要求が高まっており、希薄燃焼自動車の開発が注目されている。希薄燃焼自動車においては、希薄燃焼走行時、排ガス雰囲気が理論空燃状態に比べ酸素過剰雰囲気(リーン)となるが、リーン域で通常の三元触媒を適用させた場合、過剰な酸素の影響からNOx浄化作用が不十分となるという問題があった。このため酸素が過剰となってもNOxを浄化できる触媒の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、リーン域のNOxを浄化する触媒は種々提案されており、例えば、特開平5−168860号公報に開示されている、白金(Pt)とランタン(La)を多孔質担体に担持した触媒のように、リーン域でNOxを吸蔵し、ストイキ時及びリッチ時にNOxを放出させ浄化する触媒が提案されている。
ところが、このような触媒を用いても次のような問題点があった。
【0004】
1)吸着NOxを浄化する際、実質リッチとせざるを得ず、燃料消費が増える。2)被毒物質である硫黄(S)をストイキ又はリッチで脱離処理する必要があり、燃料消費が増える。
いずれも燃料を過剰に供給することで排気中のHC、CO濃度を高めることとなる。
【0005】
一方、これらの還元ガスとしてH2も有効である。排気中へのH2の供給方法としては、例えば、特開平5−168856号公報にはH2Oを電気分解する方法、特開平5−106430号公報にはメタノールやLPGを改質する方法等が開示されている。
しかし、いずれも特殊で複雑な機構を要するという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃費の悪化を防止し、複雑な機構を必要とせずにNOx浄化反応及び硫黄脱離反応を促進できる排ガス浄化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、H2O分解触媒を用いて得られた水素をNOx吸着浄化触媒に供給することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化方法について詳細に説明する。なお、「%」は特記しない限り、質量百分率を示す。
本発明では、H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒を排気流路に配設して排ガスを浄化する。
ここで、上記H2O分解触媒には、排ガス中のH2OをH2とO2に分解させる。この分解反応は、触媒種により差はあるが200〜700℃で進行する。かかるH2O分解触媒としては、貴金属とセリアを含有し、該H2O分解触媒を100重量部としたときにセリアを10〜100重量部含む触媒を使用することが好適である。セリアはストイキ時〜リッチ時に酸素を放出し、酸素を吸着する活性点を有する。この活性点にあるときにH2Oが接することでH2O中の酸素が引き抜かれ、H2が生成することとなる。また、貴金属としては白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)などが挙げられ、これらを用いることで反応速度が上がる。このようなメカニズムによりH2が生成し、セリア量が多いほどH2生成量が増大する。
【0009】
また、上記NOx吸着浄化触媒には、リーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させる。かかるNOx吸着浄化触媒としては、貴金属とアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む触媒を使用することが好適である。
このような構成とすることで、リーン時にNOxを吸着し、ストイキ時、リッチ時に吸着したNOxをN2に還元することとなる。
【0010】
このように、本発明では、排ガス中に含まれるH2Oを熱のみによる触媒作用で分解するため、従来のH2Oの電気分解等に見られるような複雑な機構を必要としない点で有効である。
また、従来から知られているような、HCやCOとH2Oとの反応によってH2を生成させる反応(いわゆるシフト反応)では、HCやCOが必要なために過剰に燃料を供給しリッチ度合いを高めてHCやCOを得る必要があったが、本発明ではH2源がH2Oのみであるため過度な燃料供給は不必要となり、燃費が良好となる。
【0011】
また、本発明の第1の排ガス浄化方法では、図1に示すように、排気流路の上流側から、H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒をこの順に配設することを特徴とする。
このような構成によって、リッチ時又はストイキ時に後段のNOx吸着浄化触媒を流通する排ガス中の成分は、元来含まれるHC、CO及びH2の他に更に追加されるH2によりH2量が増大することになる。この結果としてNOxの浄化反応、S(硫黄)の脱離反応が促進される。
【0012】
更に、本発明の第2の排ガス浄化方法では、図2に示すように、排気流路上に、NOx吸着浄化触媒及びH2O分解触媒をこの順に積層することを特徴とする。言い換えれば、排気通路内に上記触媒成分が積層されているため、排ガス中のH2Oは一旦H2O分解触媒層を通ってH2に分解され、次いでこのH2を含む排ガスがNOx吸着浄化触媒層を通過する。これにより、内層のNOx吸着浄化触媒にとって好適なH2が供給され、NOxの浄化反応、S(硫黄)の脱離反応が促進する。
なお、これら2種の触媒成分と同種又は異種の触媒成分を中間層や表面層として更に設けることもできる。
【0013】
本発明の排ガス浄化方法では、例えば、図3又は図4に示すように、上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒の上流側に更に酸素低減手段を配設することが好適である。これより、リッチ時又はストイキ時に排ガス中の酸素を低減させうる。
即ち、H2O分解触媒によるH2生成の際に、酸素が過剰に存在すると、生成したH2が消費されるという問題が生じる。そこで、上流側に酸素低減手段を設けることで、酸素比率の低い排ガスがH2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒に供給され、H2生成量を確保できる。
上記酸素低減手段としては、例えば、三元触媒を用いることができる。これより、排気中のHC、COが酸素を消費し易くなるので有効である。
【0014】
なお、上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒は、一体構造型担体に担持して用いるのが望ましい。一体構造型担体としては、耐熱性材料から成るモノリス担体が望ましく、例えばコーディライトなどのセラミックや、フェライト系ステンレスなどの金属を用いた担体を挙げられる。
また、H2O分解触媒にPt、Pd又はRh、及びこれらの任意の組合せに係る元素を含有させるときは、多孔質体に担持させることが望ましく、特にアルミナに担持させることが望ましい。更に、アルミナは耐熱性の高いものが望ましく、アルミナの耐熱性を向上させる目的で、従来から三元触媒で適用されているように、セリウム、ランタン等の希土類化合物やジルコニウムなどを更に添加してもよい。更にまた、耐熱性を強化するために、従来から三元触媒に用いられている材料、例えば酸素ストレージ機能を持つセリアや、貴金属へのHC吸着被毒を緩和するバリウムや、Rhの耐熱性向上に寄与するジルコニア等を添加してもよい。
更に、上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒には、構成元素に含まれる不純物を含んでも、その作用を妨げる量でなければ構わない。例えば、バリウム中に含まれるストロンチウムや、セリウム中に含まれるランタンや、ネオジウム、サマリウム又はジルコニウム中に含まれるハフニウムやイオウなどである。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0016】
1.H2O分解活性評価試験
モデルガス評価装置にて、H2O分解触媒として触媒例1及び参考例1のH2O分解活性を評価した。
【0017】
(触媒例1)
ジニトロジアンミンンPt水溶液をセリア粉末に含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持セリア粉末を得た。
この粉末と、活性アルミナ粉末と、ベーマイトと水と硝酸とを磁性ボ−ルミルに投入し、混合粉砕してスラリ液を得た。このスラリ液をコーディライト質モノリス担体に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、触媒1としてコート層重量200g/L−担体(触媒1)を得た。
この触媒の容積は0.1L、Pt量は0.5g、セリア量は10gであった。
【0018】
(参考例1)
セリアの代わりに活性アルミナを用いた以外は、触媒例1と同様の操作を繰り返して触媒2を得た。
【0019】
(評価方法)
▲1▼前処理
まず触媒を以下の条件で還元処理した。
600℃
H2=1%、H2O=10%、残部窒素
トータルガス量10L/min、30min
▲2▼H2量評価
前処理後、還元ガスのH2をゼロとして、以下の条件でH2Oのみを流通させ、H2O分解活性を評価した。
600℃
H2O=10%、残部窒素
トータルガス量10L/min
H2をゼロとした後の1min間のガスをバックに採取し、ガスクロマトグラフィーによりH2量を定量した。
【0020】
【表1】
【0021】
以上の結果から、セリアを含むH2O分解触媒は、H2Oの分解によるH2生成反応が速やかに起こることが確認できる。
【0022】
2.S脱離評価試験
S(硫黄)を300ppm含むガソリンを用いてエンジンを運転させ、触媒入口温度を350℃としSを付着させ、その後モデルガス評価装置にてS脱離処理を行った。S脱離処理後の触媒のNOx浄化特性をモデルガス評価装置にて行った。
【0023】
▲1▼触媒の製造
ジニトロジアンミンンPt水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持アルミナ粉末を得た。
硝酸Rh水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Rh担持アルミナ粉末を得た。
この粉末と、活性アルミナ粉末と、ベーマイトと水と硝酸とを磁性ボ−ルミルに投入し、混合粉砕してスラリ液を得た。このスラリ液をコーディライト質モノリス担体に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量200g/L−担体を得た。
また、酢酸Ba水溶液を含浸し、余剰の溶液を取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量230g/L−担体を得た。
この触媒の容積は、0.1L、Pt量は0.5g、Rh量は0.1g、Ba量は酸化物換算で30gであった。
【0024】
▲2▼モデルガスによるS脱離処理条件
実施例1では前段にH2O分解触媒を置いた後の排気組成を模擬し、比較例1ではH2O分解能力のない触媒を置いた後の排気組成を模擬し、試験した。
【0025】
(実施例1)
以下のモデルガス組成で、S脱離処理を行った。
H2=1%、H2O=10%、CO2=14%、残部N2
トータル流量40L/min、15min
(比較例1)
H2の代わりにCOを用いた以外は、実施例2と同様のモデルガス組成で、S脱離処理を行った。
【0026】
▲3▼モデルガスによる評価条件
リーン:NO=300ppm、O2=4%、H2O=10%
リッチ:NO=300ppm、H2=1.35%、HC(プロピレン)=3000 ppmC、H2O:10%
トータル流量=40L/min
触媒入口温度=350℃
リーン30sec、リッチ2sec
なお、耐久方法は、排気量3000ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、前段の触媒入口温度を700℃とし、30時間運転した。
【0027】
【表2】
【0028】
以上の結果から、前段にH2O分解触媒を配置することでNOx吸着浄化触媒のS脱離が促進され、その結果NOx吸着浄化触媒としての活性が向上したことが確認できる。
【0029】
以上、本発明を実施例及び比較例により、詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の用紙の範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、酸素低減触媒をH2O分解触媒に積層して、更に排ガス中の酸素比率を低下させることができる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、H2O分解触媒を用いて得られた水素をNOx吸着浄化触媒に供給することとしたため、燃費の悪化を防止し、複雑な機構を必要とせずにNOx浄化反応及び硫黄脱離反応を促進できる排ガス浄化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の更に他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の他の例を示す概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車(ガソリン、ディーゼル)、ボイラーなどの内燃機関から排出される排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を浄化する方法に係り、特に酸素過剰領域でのNOx浄化に着目した排ガス浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油資源の枯渇問題、地球温暖化問題から、低燃費自動車の要求が高まっており、希薄燃焼自動車の開発が注目されている。希薄燃焼自動車においては、希薄燃焼走行時、排ガス雰囲気が理論空燃状態に比べ酸素過剰雰囲気(リーン)となるが、リーン域で通常の三元触媒を適用させた場合、過剰な酸素の影響からNOx浄化作用が不十分となるという問題があった。このため酸素が過剰となってもNOxを浄化できる触媒の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、リーン域のNOxを浄化する触媒は種々提案されており、例えば、特開平5−168860号公報に開示されている、白金(Pt)とランタン(La)を多孔質担体に担持した触媒のように、リーン域でNOxを吸蔵し、ストイキ時及びリッチ時にNOxを放出させ浄化する触媒が提案されている。
ところが、このような触媒を用いても次のような問題点があった。
【0004】
1)吸着NOxを浄化する際、実質リッチとせざるを得ず、燃料消費が増える。2)被毒物質である硫黄(S)をストイキ又はリッチで脱離処理する必要があり、燃料消費が増える。
いずれも燃料を過剰に供給することで排気中のHC、CO濃度を高めることとなる。
【0005】
一方、これらの還元ガスとしてH2も有効である。排気中へのH2の供給方法としては、例えば、特開平5−168856号公報にはH2Oを電気分解する方法、特開平5−106430号公報にはメタノールやLPGを改質する方法等が開示されている。
しかし、いずれも特殊で複雑な機構を要するという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃費の悪化を防止し、複雑な機構を必要とせずにNOx浄化反応及び硫黄脱離反応を促進できる排ガス浄化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、H2O分解触媒を用いて得られた水素をNOx吸着浄化触媒に供給することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化方法について詳細に説明する。なお、「%」は特記しない限り、質量百分率を示す。
本発明では、H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒を排気流路に配設して排ガスを浄化する。
ここで、上記H2O分解触媒には、排ガス中のH2OをH2とO2に分解させる。この分解反応は、触媒種により差はあるが200〜700℃で進行する。かかるH2O分解触媒としては、貴金属とセリアを含有し、該H2O分解触媒を100重量部としたときにセリアを10〜100重量部含む触媒を使用することが好適である。セリアはストイキ時〜リッチ時に酸素を放出し、酸素を吸着する活性点を有する。この活性点にあるときにH2Oが接することでH2O中の酸素が引き抜かれ、H2が生成することとなる。また、貴金属としては白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)などが挙げられ、これらを用いることで反応速度が上がる。このようなメカニズムによりH2が生成し、セリア量が多いほどH2生成量が増大する。
【0009】
また、上記NOx吸着浄化触媒には、リーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させる。かかるNOx吸着浄化触媒としては、貴金属とアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む触媒を使用することが好適である。
このような構成とすることで、リーン時にNOxを吸着し、ストイキ時、リッチ時に吸着したNOxをN2に還元することとなる。
【0010】
このように、本発明では、排ガス中に含まれるH2Oを熱のみによる触媒作用で分解するため、従来のH2Oの電気分解等に見られるような複雑な機構を必要としない点で有効である。
また、従来から知られているような、HCやCOとH2Oとの反応によってH2を生成させる反応(いわゆるシフト反応)では、HCやCOが必要なために過剰に燃料を供給しリッチ度合いを高めてHCやCOを得る必要があったが、本発明ではH2源がH2Oのみであるため過度な燃料供給は不必要となり、燃費が良好となる。
【0011】
また、本発明の第1の排ガス浄化方法では、図1に示すように、排気流路の上流側から、H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒をこの順に配設することを特徴とする。
このような構成によって、リッチ時又はストイキ時に後段のNOx吸着浄化触媒を流通する排ガス中の成分は、元来含まれるHC、CO及びH2の他に更に追加されるH2によりH2量が増大することになる。この結果としてNOxの浄化反応、S(硫黄)の脱離反応が促進される。
【0012】
更に、本発明の第2の排ガス浄化方法では、図2に示すように、排気流路上に、NOx吸着浄化触媒及びH2O分解触媒をこの順に積層することを特徴とする。言い換えれば、排気通路内に上記触媒成分が積層されているため、排ガス中のH2Oは一旦H2O分解触媒層を通ってH2に分解され、次いでこのH2を含む排ガスがNOx吸着浄化触媒層を通過する。これにより、内層のNOx吸着浄化触媒にとって好適なH2が供給され、NOxの浄化反応、S(硫黄)の脱離反応が促進する。
なお、これら2種の触媒成分と同種又は異種の触媒成分を中間層や表面層として更に設けることもできる。
【0013】
本発明の排ガス浄化方法では、例えば、図3又は図4に示すように、上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒の上流側に更に酸素低減手段を配設することが好適である。これより、リッチ時又はストイキ時に排ガス中の酸素を低減させうる。
即ち、H2O分解触媒によるH2生成の際に、酸素が過剰に存在すると、生成したH2が消費されるという問題が生じる。そこで、上流側に酸素低減手段を設けることで、酸素比率の低い排ガスがH2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒に供給され、H2生成量を確保できる。
上記酸素低減手段としては、例えば、三元触媒を用いることができる。これより、排気中のHC、COが酸素を消費し易くなるので有効である。
【0014】
なお、上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒は、一体構造型担体に担持して用いるのが望ましい。一体構造型担体としては、耐熱性材料から成るモノリス担体が望ましく、例えばコーディライトなどのセラミックや、フェライト系ステンレスなどの金属を用いた担体を挙げられる。
また、H2O分解触媒にPt、Pd又はRh、及びこれらの任意の組合せに係る元素を含有させるときは、多孔質体に担持させることが望ましく、特にアルミナに担持させることが望ましい。更に、アルミナは耐熱性の高いものが望ましく、アルミナの耐熱性を向上させる目的で、従来から三元触媒で適用されているように、セリウム、ランタン等の希土類化合物やジルコニウムなどを更に添加してもよい。更にまた、耐熱性を強化するために、従来から三元触媒に用いられている材料、例えば酸素ストレージ機能を持つセリアや、貴金属へのHC吸着被毒を緩和するバリウムや、Rhの耐熱性向上に寄与するジルコニア等を添加してもよい。
更に、上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒には、構成元素に含まれる不純物を含んでも、その作用を妨げる量でなければ構わない。例えば、バリウム中に含まれるストロンチウムや、セリウム中に含まれるランタンや、ネオジウム、サマリウム又はジルコニウム中に含まれるハフニウムやイオウなどである。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0016】
1.H2O分解活性評価試験
モデルガス評価装置にて、H2O分解触媒として触媒例1及び参考例1のH2O分解活性を評価した。
【0017】
(触媒例1)
ジニトロジアンミンンPt水溶液をセリア粉末に含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持セリア粉末を得た。
この粉末と、活性アルミナ粉末と、ベーマイトと水と硝酸とを磁性ボ−ルミルに投入し、混合粉砕してスラリ液を得た。このスラリ液をコーディライト質モノリス担体に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、触媒1としてコート層重量200g/L−担体(触媒1)を得た。
この触媒の容積は0.1L、Pt量は0.5g、セリア量は10gであった。
【0018】
(参考例1)
セリアの代わりに活性アルミナを用いた以外は、触媒例1と同様の操作を繰り返して触媒2を得た。
【0019】
(評価方法)
▲1▼前処理
まず触媒を以下の条件で還元処理した。
600℃
H2=1%、H2O=10%、残部窒素
トータルガス量10L/min、30min
▲2▼H2量評価
前処理後、還元ガスのH2をゼロとして、以下の条件でH2Oのみを流通させ、H2O分解活性を評価した。
600℃
H2O=10%、残部窒素
トータルガス量10L/min
H2をゼロとした後の1min間のガスをバックに採取し、ガスクロマトグラフィーによりH2量を定量した。
【0020】
【表1】
【0021】
以上の結果から、セリアを含むH2O分解触媒は、H2Oの分解によるH2生成反応が速やかに起こることが確認できる。
【0022】
2.S脱離評価試験
S(硫黄)を300ppm含むガソリンを用いてエンジンを運転させ、触媒入口温度を350℃としSを付着させ、その後モデルガス評価装置にてS脱離処理を行った。S脱離処理後の触媒のNOx浄化特性をモデルガス評価装置にて行った。
【0023】
▲1▼触媒の製造
ジニトロジアンミンンPt水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持アルミナ粉末を得た。
硝酸Rh水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Rh担持アルミナ粉末を得た。
この粉末と、活性アルミナ粉末と、ベーマイトと水と硝酸とを磁性ボ−ルミルに投入し、混合粉砕してスラリ液を得た。このスラリ液をコーディライト質モノリス担体に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量200g/L−担体を得た。
また、酢酸Ba水溶液を含浸し、余剰の溶液を取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量230g/L−担体を得た。
この触媒の容積は、0.1L、Pt量は0.5g、Rh量は0.1g、Ba量は酸化物換算で30gであった。
【0024】
▲2▼モデルガスによるS脱離処理条件
実施例1では前段にH2O分解触媒を置いた後の排気組成を模擬し、比較例1ではH2O分解能力のない触媒を置いた後の排気組成を模擬し、試験した。
【0025】
(実施例1)
以下のモデルガス組成で、S脱離処理を行った。
H2=1%、H2O=10%、CO2=14%、残部N2
トータル流量40L/min、15min
(比較例1)
H2の代わりにCOを用いた以外は、実施例2と同様のモデルガス組成で、S脱離処理を行った。
【0026】
▲3▼モデルガスによる評価条件
リーン:NO=300ppm、O2=4%、H2O=10%
リッチ:NO=300ppm、H2=1.35%、HC(プロピレン)=3000 ppmC、H2O:10%
トータル流量=40L/min
触媒入口温度=350℃
リーン30sec、リッチ2sec
なお、耐久方法は、排気量3000ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、前段の触媒入口温度を700℃とし、30時間運転した。
【0027】
【表2】
【0028】
以上の結果から、前段にH2O分解触媒を配置することでNOx吸着浄化触媒のS脱離が促進され、その結果NOx吸着浄化触媒としての活性が向上したことが確認できる。
【0029】
以上、本発明を実施例及び比較例により、詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の用紙の範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、酸素低減触媒をH2O分解触媒に積層して、更に排ガス中の酸素比率を低下させることができる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、H2O分解触媒を用いて得られた水素をNOx吸着浄化触媒に供給することとしたため、燃費の悪化を防止し、複雑な機構を必要とせずにNOx浄化反応及び硫黄脱離反応を促進できる排ガス浄化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の更に他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の排ガス浄化方法に採用される触媒配置の他の例を示す概略図である。
Claims (6)
- 排気流路の上流側から、H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒をこの順に配設し、該H2O分解触媒によりH2OをH2とO2に分解させ、該NOx吸着浄化触媒によりリーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させることを特徴とする排ガス浄化方法。
- 排気流路上に、NOx吸着浄化触媒及びH2O分解触媒をこの順に積層し、該H2O分解触媒によりH2OをH2とO2に分解させ、該NOx吸着浄化触媒によりリーン時にNOxを吸着させ、リッチ時又はストイキ時に吸着したNOxをN2に浄化させることを特徴とする排ガス浄化方法。
- 上記H2O分解触媒及びNOx吸着浄化触媒の上流側に酸素低減手段を配設し、この酸素低減手段によりリッチ時又はストイキ時に排ガス中の酸素を低減させることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化方法。
- 上記酸素低減手段が、三元触媒であることを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化方法。
- 上記H2O分解触媒が、貴金属とセリアを含有して成り、該H2O分解触媒を100重量部としたときにセリアを10〜100重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化方法。
- 上記NOx吸着浄化触媒が、貴金属とアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化方法。
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