JP2004036280A - アンカー部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工性に優れ、かつ、施工コストを低減できるアンカー部材の提供
【解決手段】アンカー部材1は、ゴム製の筒状弾性体2と、筒状弾性体2の内部に収容した硬球体3と、前記筒状弾性体2の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板4、5と、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7からなる。このアンカー部材1は、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を上側の硬質板4に固着させているので、施工作業において、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を取り付ける作業が不要になり、構造物の上部構造6をアンカー部材1の上側の硬質板4に固定するボルト締結の作業が簡単に行えるようになる。
【選択図】 図1
【解決手段】アンカー部材1は、ゴム製の筒状弾性体2と、筒状弾性体2の内部に収容した硬球体3と、前記筒状弾性体2の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板4、5と、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7からなる。このアンカー部材1は、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を上側の硬質板4に固着させているので、施工作業において、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を取り付ける作業が不要になり、構造物の上部構造6をアンカー部材1の上側の硬質板4に固定するボルト締結の作業が簡単に行えるようになる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の上部構造と下部構造との間に装着され、下部構造の上に上部構造を固定するアンカー部材に関するものであって、特に、施工性が良く、施工コストを低減させることができるものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、基礎101(下部構造)の上に建築物の土台103(上部構造)を固定する場合は、例えば、図7に示すように、L字状のアンカーボルト102の下部を基礎コンクリート101に埋設し、アンカーボルト102の上部を土台103に貫通させ、その土台103の上面に突出した部分をワッシャ104、ナット105で固定していた。しかし、単に土台103を基礎101の上に固定しただけでは、大型車の通行により生じる交通振動が、基礎コンクリート101から土台103にそのまま伝わる。
【0003】
そのため、図8に示すように、土台103と基礎コンクリート101の間にゴム板100を挟んで、交通震動を緩和するものがあった。しかし、アンカーボルト102は、基礎コンクリート101から土台103に貫通する剛性の芯として土台103を基礎コンクリート101にしっかりと連結しており、震動がアンカーボルト102を介して基礎コンクリート101から土台103にそのまま伝わるため、震動はさほど緩和されず、十分な免震効果は得られなかった。(特開平10−25832号にも同様の技術が開示されている。)
【0004】
なお、このようなゴム板100は、住宅の基礎部の通気用の基礎パッキン材としての機能を備えている。すなわち、ゴム板100を、基礎コンクリート101と住宅の土台103との間に所定の間隔を開けて複数配設することにより、土台103と基礎コンクリート101との間に生じた隙間から基礎コンクリート101の内部の換気が行え、基礎コンクリート101内の空気の流れが良くなる。また、基礎コンクリート101と土台103との縁を切ることにより、基礎コンクリート101が吸った水分を土台103に伝えないという作用がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、地震やダンプカーなどの大型の自動車による振動や鉄道車両の通行に伴う振動を吸収する制振機能と、上記の基礎パッキン材の機能を兼ねたアンカー部材201として、図9(a)(b)に示すように、硬球体203を筒状弾性体202の内部の中央に位置決めした状態で収容し、筒状弾性体202の上下端面にそれぞれ上下の硬質板204、205を取り付けたアンカー部材201を提案することを考えている。なお、このアンカー部材201は、硬球体203を筒状弾性体202の内部の中央に位置決めする位置決め手段として、硬球体203を筒状弾性体202に内接させたものである。
【0006】
このアンカー部材201は、図9(a)に示すように、基礎コンクリート206に埋設したアンカーボルト207に下側の硬質板205を締結し、そして、アンカー部材201の上側の硬質板204の上に住宅の土台208を設置し、アンカー部材201の上側の硬質板4と住宅の土台208をボルト209で締結して設置している。
【0007】
このアンカー部材201は、住宅の土台208から受ける荷重は、上側の硬質板204及び硬球体203で支持している。このアンカー部材201によれば、基礎コンクリート206に埋設したアンカーボルト207が住宅の土台208を貫通していないので、地震時に振動はアンカー部材201を介して住宅の土台208に伝わるようになる。地震時には、アンカー部材201は、図9(b)に示すように、硬球体203が住宅の土台208から受ける荷重を支持しながら、筒状弾性体202の弾性支承を受けて所定の振幅で滑りなく転がり、基礎コンクリート206に対する住宅の土台208の相対変位を許容している。これにより、住宅の土台208に伝わる揺れを緩和することができる。
【0008】
また、このアンカー部材201は、硬球体203を筒状弾性体202の内部の中央に位置決めしているので、せん断方向への変形量とせん断方向の反力との関係を予測することができ、これにより制振性能を予測することができる。
【0009】
このアンカー部材201は住宅の基礎部の基礎パッキン材および制振装置を兼ねたアンカー部材であり、嵩張らず、安価で、高性能の振動吸収性能を備えているので、特に、一般住宅のアンカー部材として好適である。
【0010】
しかし、このアンカー部材201は、施工作業において、住宅の土台208をアンカー部材201の上側の硬質板204に固定するボルト締結の作業がかなり手間の掛かる作業になるので、施工性が悪く、施工コストが嵩むという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、施工性に優れ、かつ、施工コストを低減できるアンカー部材を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のアンカー部材は、筒状弾性体と、前記筒状弾性体に収容した硬球体と、前記筒状弾性体の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板と、前記硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段とを備え、構造物の下部構造と上部構造との間に挟んで装着し、前記上側の硬質板に掛かる荷重を硬球体に支持させるアンカー部材において、前記上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを前記上側の硬質板に固着したことを特徴としている。このアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に固着したので、施工作業において、住宅の土台をアンカー部材の上側の硬質板に固定するボルト締結の作業が不要になり、施工性に優れている。このようなアンカー部材は、例えば、通常の一般住宅では、50個以上使うことを想定しており、一つのアンカー部材の施工性を向上させることにより、住宅一軒当たりにすると、施工時間及び施工コストをかなり低減させることができる。
【0013】
請求項2に記載のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に溶接したことを特徴としている。このアンカー部材は、上側の硬質板にアンカーボルトを固着させる手段として、溶接を採用したものであり、製造コストを安くすることができる。
【0014】
なお、上側の硬質板にアンカーボルトを固着させる他の手段としては、接着によるものや、しまりばめ(嵌着)によるものなどを例示することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るアンカー部材を図面に基づいて説明する。
【0016】
アンカー部材1は、図1(a)に示すように、ゴム製の筒状弾性体2と、筒状弾性体2の内部に収容した硬球体3と、前記筒状弾性体2の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板4、5と、上側の硬質板4と構造物の上部構造6(例えば、住宅の土台)を締結するアンカーボルト7からなる。
【0017】
筒状弾性体2は、高減衰性の弾性材料からなる略円筒形状の部材である。筒状弾性体2の内径は硬球体3の直径と略同じである。筒状弾性体2の高さは硬球体3の直径と同じか、硬球体3の直径よりも少し高くするのが良い。
【0018】
硬球体3は、所要の剛性を備えた球状体であり、例えば、鋼鉄製の鋼球を採用することができる。硬球体3は、筒状弾性体2に内接させた状態で筒状弾性体2の内部に収容している。
【0019】
上下の硬質板4、5は、例えば、矩形の板状部材であり、その四隅にボルト穴9を形成している。
【0020】
硬球体3の滑らかな転動を確保するため、硬球体3と硬質板4、5は載荷時にそれぞれが変形しないように同程度の硬度を有する材料(例えば、ロックウェル硬度で±5以内、望ましくは同一材料)で形成することが望ましい。なお、同程度の硬度であれば、一方を金属にし、他方をプラスチックにしてもよい。ただし、硬質板4、5側に大きな凹状変形が生じると、水平せん断変位−水平反力の履歴曲線に負勾配を生じ、不安定な応答性能を示すため、硬質板4、5の硬度は硬球体3の硬度よりも高いことが望ましい。また、両者の材質をS45Cに焼入れ・焼鈍しの熱処理を加えてロックウェル硬度を30以上にすることにより、載荷時においてほとんど変形が生じないものになる。
【0021】
上側の硬質板4のボルト穴9には、図1(b)に拡大して示すように、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を、上側の硬質板4のボルト穴9に差込んだ状態で溶接して、上側の硬質板4に固着させている。
【0022】
このアンカー部材1は、例えば、下側の硬質板5に、筒状弾性体2を加硫接着し、硬球体3を筒状弾性体2の内部に入れ、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を固着させた上側の硬質板4を、筒状弾性体2の上端に加硫接着したものである。
【0023】
このアンカー部材1は、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を上側の硬質板4に固着させているので、施工するときは、まず、図2に示すように、構造物の下部構造8に植設したアンカーボルト10に、下側の硬質板5を締結し、図1(a)に示すように、上側の硬質板4に固着させたアンカーボルト7に構造物の上部構造6を設置し、アンカーボルト7にナット11を取り付けて締結する。これにより、構造物の上部構造6を下部構造8の上に固定している。
【0024】
このアンカー部材1は、地震時においては、図1(c)に示すように、硬球体3が構造物の上部構造6から受ける荷重を支持しながら、筒状弾性体2の弾性支承を受けて所定の振幅で滑りなく転がり、構造物の上部構造6に伝わる揺れを緩和することができる。このとき、上下の硬質板4、5と硬球体3には、構造物の上部構造6から受ける荷重が掛かっており、十分な摩擦力が働くので、硬球体3は滑ることなく転動する。
【0025】
このアンカー部材1によれば、施工作業において、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を取り付ける作業が不要になり、構造物の上部構造6をアンカー部材1の上側の硬質板4に固定するボルト締結の作業が簡単に行えるようになる。通常の一般住宅では、このアンカー部材1を50個以上使うことを想定しており、一つのアンカー部材1の施工性を向上させることにより、住宅一軒当たりの施工時間及び施工コストを大幅に低減させることができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態に係るアンカー部材を説明したが、本発明のアンカー部材は、上記に限定されるものではない。
【0027】
本発明のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に固着したことを特徴としている。アンカーボルトを固着させる手段として、溶接を例示したが、接着によるものや、しまりばめ(嵌着)によるものでも良い。
【0028】
また、アンカー部材は、せん断方向への変形量とせん断方向の反力との関係を予測することができるように、硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めしているが、硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段は上記に限定されない。位置決め手段の変形例を以下に示す。なお、同一の作用を奏する部材・部位には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
第1変形例に係るアンカー部材20は、図3(a)に示すように、筒状弾性体21の内径が硬球体3の直径よりも大きくなっており、かつ、図3(b)に示すように、中央に形成した穴22に硬球体3を装着し、外周端部23を筒状弾性体21の内周面に嵌めて装着したプレート状の弾性部材24によって、硬球体3を筒状弾性体21の内部の中央に位置決めしている。
【0030】
第2変形例に係るアンカー部材30は、図4に示すように、筒状弾性体31の内径が硬球体3の直径よりも大きくなっており、かつ、上側の硬質板4の上面と下側の硬質板5の上面の少なくとも一方に、中央部に硬球体3が嵌まり込む穴32、33(又は窪み)を形成し、この穴32、33に硬球体3を嵌まり込ませて、硬球体3を筒状弾性体31の内部の中央に位置決めしている。
【0031】
第3変形例に係るアンカー部材40は、図5に示すように、筒状弾性体41の内径が硬球体3の直径よりも大きくなっており、かつ、上側の硬質板4の下面と下側の硬質板5の上面の少なくとも一方に、硬球体3を筒状弾性体2の内部の中央に位置決めするシート状位置決め部材42、43を貼り付けたものである。シート状位置決め部材42、43は、例えば、弾性材料からなり、硬球体3をめり込ませて位置決めするものや、中央部に硬球体3が嵌まり込む窪みや穴を備えたものを例示することができる。なお、シート状位置決め部材42、43は、硬球体3を筒状弾性体41の内部の中央に位置決めすることができればよいので、上下の硬質板4、5の中央部にのみ貼り付けてもよい。
【0032】
第4変形例に係るアンカー部材50は、図6に示すように、筒状弾性体51の上端52及び下端53の内径を硬球体3の直径よりも大きくし、かつ、筒状弾性体51の内周面の高さ方向の中央部を内径側に突出させ、その頂部54を硬球体3に接触させて硬球体3を筒状弾性体51の内部の中央に位置決めしている。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に固着したので、施工作業において、住宅の土台をアンカー部材の上側の硬質板に固定するボルト締結の作業が不要になり、施工性に優れている。一つのアンカー部材の施工性を向上させることにより、住宅一軒当たりにすると、施工時間及び施工コストをかなり低減させることができる。
【0034】
請求項2に記載のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に溶接したので、製造コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るアンカー部材を示す縦断面図であり、(b)は上側の硬質板にアンカーボルトを固着させた部分を示す拡大断面図であり、(c)はアンカー部材の地震時の状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る本発明の一実施形態に係るアンカー部材の施工時の状態を示す縦断面図。
【図3】(a)はアンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第1変形例を示す縦断面図であり、(b)はそのプレート状の弾性部材を示す平面図である。
【図4】アンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第2変形例を示す縦断面図。
【図5】アンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第3変形例を示す縦断面図
【図6】アンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第4変形例を示す縦断面図
【図7】住宅土台を基礎に固定する構造を示す図。
【図8】基礎パッキン材を示す図。
【図9】(a)は本発明者が提案することを考えているアンカー部材の一形態を示す縦断面図であり、(b)はその地震時の状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アンカー部材
2 筒状弾性体
3 硬球体
4 上側の硬質板
5 下側の硬質板
6 構造物の上部構造
7 アンカーボルト
8 構造物の下部構造
9 ボルト穴
10 アンカーボルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の上部構造と下部構造との間に装着され、下部構造の上に上部構造を固定するアンカー部材に関するものであって、特に、施工性が良く、施工コストを低減させることができるものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、基礎101(下部構造)の上に建築物の土台103(上部構造)を固定する場合は、例えば、図7に示すように、L字状のアンカーボルト102の下部を基礎コンクリート101に埋設し、アンカーボルト102の上部を土台103に貫通させ、その土台103の上面に突出した部分をワッシャ104、ナット105で固定していた。しかし、単に土台103を基礎101の上に固定しただけでは、大型車の通行により生じる交通振動が、基礎コンクリート101から土台103にそのまま伝わる。
【0003】
そのため、図8に示すように、土台103と基礎コンクリート101の間にゴム板100を挟んで、交通震動を緩和するものがあった。しかし、アンカーボルト102は、基礎コンクリート101から土台103に貫通する剛性の芯として土台103を基礎コンクリート101にしっかりと連結しており、震動がアンカーボルト102を介して基礎コンクリート101から土台103にそのまま伝わるため、震動はさほど緩和されず、十分な免震効果は得られなかった。(特開平10−25832号にも同様の技術が開示されている。)
【0004】
なお、このようなゴム板100は、住宅の基礎部の通気用の基礎パッキン材としての機能を備えている。すなわち、ゴム板100を、基礎コンクリート101と住宅の土台103との間に所定の間隔を開けて複数配設することにより、土台103と基礎コンクリート101との間に生じた隙間から基礎コンクリート101の内部の換気が行え、基礎コンクリート101内の空気の流れが良くなる。また、基礎コンクリート101と土台103との縁を切ることにより、基礎コンクリート101が吸った水分を土台103に伝えないという作用がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、地震やダンプカーなどの大型の自動車による振動や鉄道車両の通行に伴う振動を吸収する制振機能と、上記の基礎パッキン材の機能を兼ねたアンカー部材201として、図9(a)(b)に示すように、硬球体203を筒状弾性体202の内部の中央に位置決めした状態で収容し、筒状弾性体202の上下端面にそれぞれ上下の硬質板204、205を取り付けたアンカー部材201を提案することを考えている。なお、このアンカー部材201は、硬球体203を筒状弾性体202の内部の中央に位置決めする位置決め手段として、硬球体203を筒状弾性体202に内接させたものである。
【0006】
このアンカー部材201は、図9(a)に示すように、基礎コンクリート206に埋設したアンカーボルト207に下側の硬質板205を締結し、そして、アンカー部材201の上側の硬質板204の上に住宅の土台208を設置し、アンカー部材201の上側の硬質板4と住宅の土台208をボルト209で締結して設置している。
【0007】
このアンカー部材201は、住宅の土台208から受ける荷重は、上側の硬質板204及び硬球体203で支持している。このアンカー部材201によれば、基礎コンクリート206に埋設したアンカーボルト207が住宅の土台208を貫通していないので、地震時に振動はアンカー部材201を介して住宅の土台208に伝わるようになる。地震時には、アンカー部材201は、図9(b)に示すように、硬球体203が住宅の土台208から受ける荷重を支持しながら、筒状弾性体202の弾性支承を受けて所定の振幅で滑りなく転がり、基礎コンクリート206に対する住宅の土台208の相対変位を許容している。これにより、住宅の土台208に伝わる揺れを緩和することができる。
【0008】
また、このアンカー部材201は、硬球体203を筒状弾性体202の内部の中央に位置決めしているので、せん断方向への変形量とせん断方向の反力との関係を予測することができ、これにより制振性能を予測することができる。
【0009】
このアンカー部材201は住宅の基礎部の基礎パッキン材および制振装置を兼ねたアンカー部材であり、嵩張らず、安価で、高性能の振動吸収性能を備えているので、特に、一般住宅のアンカー部材として好適である。
【0010】
しかし、このアンカー部材201は、施工作業において、住宅の土台208をアンカー部材201の上側の硬質板204に固定するボルト締結の作業がかなり手間の掛かる作業になるので、施工性が悪く、施工コストが嵩むという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、施工性に優れ、かつ、施工コストを低減できるアンカー部材を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のアンカー部材は、筒状弾性体と、前記筒状弾性体に収容した硬球体と、前記筒状弾性体の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板と、前記硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段とを備え、構造物の下部構造と上部構造との間に挟んで装着し、前記上側の硬質板に掛かる荷重を硬球体に支持させるアンカー部材において、前記上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを前記上側の硬質板に固着したことを特徴としている。このアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に固着したので、施工作業において、住宅の土台をアンカー部材の上側の硬質板に固定するボルト締結の作業が不要になり、施工性に優れている。このようなアンカー部材は、例えば、通常の一般住宅では、50個以上使うことを想定しており、一つのアンカー部材の施工性を向上させることにより、住宅一軒当たりにすると、施工時間及び施工コストをかなり低減させることができる。
【0013】
請求項2に記載のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に溶接したことを特徴としている。このアンカー部材は、上側の硬質板にアンカーボルトを固着させる手段として、溶接を採用したものであり、製造コストを安くすることができる。
【0014】
なお、上側の硬質板にアンカーボルトを固着させる他の手段としては、接着によるものや、しまりばめ(嵌着)によるものなどを例示することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るアンカー部材を図面に基づいて説明する。
【0016】
アンカー部材1は、図1(a)に示すように、ゴム製の筒状弾性体2と、筒状弾性体2の内部に収容した硬球体3と、前記筒状弾性体2の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板4、5と、上側の硬質板4と構造物の上部構造6(例えば、住宅の土台)を締結するアンカーボルト7からなる。
【0017】
筒状弾性体2は、高減衰性の弾性材料からなる略円筒形状の部材である。筒状弾性体2の内径は硬球体3の直径と略同じである。筒状弾性体2の高さは硬球体3の直径と同じか、硬球体3の直径よりも少し高くするのが良い。
【0018】
硬球体3は、所要の剛性を備えた球状体であり、例えば、鋼鉄製の鋼球を採用することができる。硬球体3は、筒状弾性体2に内接させた状態で筒状弾性体2の内部に収容している。
【0019】
上下の硬質板4、5は、例えば、矩形の板状部材であり、その四隅にボルト穴9を形成している。
【0020】
硬球体3の滑らかな転動を確保するため、硬球体3と硬質板4、5は載荷時にそれぞれが変形しないように同程度の硬度を有する材料(例えば、ロックウェル硬度で±5以内、望ましくは同一材料)で形成することが望ましい。なお、同程度の硬度であれば、一方を金属にし、他方をプラスチックにしてもよい。ただし、硬質板4、5側に大きな凹状変形が生じると、水平せん断変位−水平反力の履歴曲線に負勾配を生じ、不安定な応答性能を示すため、硬質板4、5の硬度は硬球体3の硬度よりも高いことが望ましい。また、両者の材質をS45Cに焼入れ・焼鈍しの熱処理を加えてロックウェル硬度を30以上にすることにより、載荷時においてほとんど変形が生じないものになる。
【0021】
上側の硬質板4のボルト穴9には、図1(b)に拡大して示すように、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を、上側の硬質板4のボルト穴9に差込んだ状態で溶接して、上側の硬質板4に固着させている。
【0022】
このアンカー部材1は、例えば、下側の硬質板5に、筒状弾性体2を加硫接着し、硬球体3を筒状弾性体2の内部に入れ、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を固着させた上側の硬質板4を、筒状弾性体2の上端に加硫接着したものである。
【0023】
このアンカー部材1は、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を上側の硬質板4に固着させているので、施工するときは、まず、図2に示すように、構造物の下部構造8に植設したアンカーボルト10に、下側の硬質板5を締結し、図1(a)に示すように、上側の硬質板4に固着させたアンカーボルト7に構造物の上部構造6を設置し、アンカーボルト7にナット11を取り付けて締結する。これにより、構造物の上部構造6を下部構造8の上に固定している。
【0024】
このアンカー部材1は、地震時においては、図1(c)に示すように、硬球体3が構造物の上部構造6から受ける荷重を支持しながら、筒状弾性体2の弾性支承を受けて所定の振幅で滑りなく転がり、構造物の上部構造6に伝わる揺れを緩和することができる。このとき、上下の硬質板4、5と硬球体3には、構造物の上部構造6から受ける荷重が掛かっており、十分な摩擦力が働くので、硬球体3は滑ることなく転動する。
【0025】
このアンカー部材1によれば、施工作業において、上側の硬質板4と構造物の上部構造6を締結するアンカーボルト7を取り付ける作業が不要になり、構造物の上部構造6をアンカー部材1の上側の硬質板4に固定するボルト締結の作業が簡単に行えるようになる。通常の一般住宅では、このアンカー部材1を50個以上使うことを想定しており、一つのアンカー部材1の施工性を向上させることにより、住宅一軒当たりの施工時間及び施工コストを大幅に低減させることができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態に係るアンカー部材を説明したが、本発明のアンカー部材は、上記に限定されるものではない。
【0027】
本発明のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に固着したことを特徴としている。アンカーボルトを固着させる手段として、溶接を例示したが、接着によるものや、しまりばめ(嵌着)によるものでも良い。
【0028】
また、アンカー部材は、せん断方向への変形量とせん断方向の反力との関係を予測することができるように、硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めしているが、硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段は上記に限定されない。位置決め手段の変形例を以下に示す。なお、同一の作用を奏する部材・部位には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
第1変形例に係るアンカー部材20は、図3(a)に示すように、筒状弾性体21の内径が硬球体3の直径よりも大きくなっており、かつ、図3(b)に示すように、中央に形成した穴22に硬球体3を装着し、外周端部23を筒状弾性体21の内周面に嵌めて装着したプレート状の弾性部材24によって、硬球体3を筒状弾性体21の内部の中央に位置決めしている。
【0030】
第2変形例に係るアンカー部材30は、図4に示すように、筒状弾性体31の内径が硬球体3の直径よりも大きくなっており、かつ、上側の硬質板4の上面と下側の硬質板5の上面の少なくとも一方に、中央部に硬球体3が嵌まり込む穴32、33(又は窪み)を形成し、この穴32、33に硬球体3を嵌まり込ませて、硬球体3を筒状弾性体31の内部の中央に位置決めしている。
【0031】
第3変形例に係るアンカー部材40は、図5に示すように、筒状弾性体41の内径が硬球体3の直径よりも大きくなっており、かつ、上側の硬質板4の下面と下側の硬質板5の上面の少なくとも一方に、硬球体3を筒状弾性体2の内部の中央に位置決めするシート状位置決め部材42、43を貼り付けたものである。シート状位置決め部材42、43は、例えば、弾性材料からなり、硬球体3をめり込ませて位置決めするものや、中央部に硬球体3が嵌まり込む窪みや穴を備えたものを例示することができる。なお、シート状位置決め部材42、43は、硬球体3を筒状弾性体41の内部の中央に位置決めすることができればよいので、上下の硬質板4、5の中央部にのみ貼り付けてもよい。
【0032】
第4変形例に係るアンカー部材50は、図6に示すように、筒状弾性体51の上端52及び下端53の内径を硬球体3の直径よりも大きくし、かつ、筒状弾性体51の内周面の高さ方向の中央部を内径側に突出させ、その頂部54を硬球体3に接触させて硬球体3を筒状弾性体51の内部の中央に位置決めしている。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に固着したので、施工作業において、住宅の土台をアンカー部材の上側の硬質板に固定するボルト締結の作業が不要になり、施工性に優れている。一つのアンカー部材の施工性を向上させることにより、住宅一軒当たりにすると、施工時間及び施工コストをかなり低減させることができる。
【0034】
請求項2に記載のアンカー部材は、上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に溶接したので、製造コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るアンカー部材を示す縦断面図であり、(b)は上側の硬質板にアンカーボルトを固着させた部分を示す拡大断面図であり、(c)はアンカー部材の地震時の状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る本発明の一実施形態に係るアンカー部材の施工時の状態を示す縦断面図。
【図3】(a)はアンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第1変形例を示す縦断面図であり、(b)はそのプレート状の弾性部材を示す平面図である。
【図4】アンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第2変形例を示す縦断面図。
【図5】アンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第3変形例を示す縦断面図
【図6】アンカー部材の硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段の第4変形例を示す縦断面図
【図7】住宅土台を基礎に固定する構造を示す図。
【図8】基礎パッキン材を示す図。
【図9】(a)は本発明者が提案することを考えているアンカー部材の一形態を示す縦断面図であり、(b)はその地震時の状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アンカー部材
2 筒状弾性体
3 硬球体
4 上側の硬質板
5 下側の硬質板
6 構造物の上部構造
7 アンカーボルト
8 構造物の下部構造
9 ボルト穴
10 アンカーボルト
Claims (2)
- 筒状弾性体と、前記筒状弾性体に収容した硬球体と、前記筒状弾性体の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板と、前記硬球体を筒状弾性体の内部の中央に位置決めする位置決め手段とを備え、構造物の下部構造と上部構造との間に挟んで装着し、前記上側の硬質板に掛かる荷重を硬球体に支持させるアンカー部材において、
前記上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを前記上側の硬質板に固着したことを特徴とするアンカー部材。 - 前記上側の硬質板と構造物の上部構造を締結するアンカーボルトを上側の硬質板に溶接したことを特徴とする請求項1に記載のアンカー部材。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2013177959A (ja) * | 2012-01-31 | 2013-09-09 | Three M Innovative Properties Co | 制振装置 |
JP2016199860A (ja) * | 2015-04-07 | 2016-12-01 | 住友ゴム工業株式会社 | 橋梁用ゴムダンパー |
-
2002
- 2002-07-04 JP JP2002196362A patent/JP2004036280A/ja active Pending
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