JP2004036245A - ベントナイトを用いた止水剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、異なる径の骨材とベントナイトを混合することにより止水効果の優れた止水剤を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、ベントナイトと、粒径の異なる複数の骨材からなる混合骨材と、ゲル化材とを混合してなる止水剤である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、ベントナイトと、粒径の異なる複数の骨材からなる混合骨材と、ゲル化材とを混合してなる止水剤である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はベントナイトを用いた止水方法および止水剤に関する。詳しくはダムや貯水槽等の漏水や逸水を止水するベントナイトを用いた止水剤に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
ダムや貯水槽など水に満たされた状態での漏水や逸水の止水としては、そのコンクリート壁の裏面の漏水個所のひびや空隙部に対し、セメント系あるいは合成樹脂系の止水剤を注入したり、又ひびの部分をV字にカットし、その部分に止水剤を充填する方法が採られている。
【0003】
しかし前記の止水方法ではダムや浄水場ではコンクリート壁が底面から数十メートルにも及ぶことが多く、足場設営などに非常な手間と労力を要すると共に、漏水個所が多い場合には非常に煩雑となる問題がある。
更にはダムや浄水場の水圧によって微細な隙間から水が侵入して隙間を押し広げたり、あるいは止水剤を押出しなどの問題がある。
【0004】
このような問題を解消する方法として水が満たされた状態でのダムや貯水槽では、壁面近傍に止水効果の優れたベントナイトを散布し、これらのベントナイトが沈降しながら漏水個所へ流入圧によって自然に注入されることで隙間がべントナイトによって充填され、止水を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらベントナイトを散布する方法では、粉状のベントナイトはしばらくの間水面に漂いながら水と反応し、互いに結合してダンゴ状態となって沈降することが多く、投入されるベントナイトの量に対して、漏水個所に流入するベントナイトの量が少なく、更に底面に沈降したベントナイトを回収しなければならない場合もあり、非常に作業効率の悪い作業となる問題がある。
【0006】
また、漏水個所に流入するベントナイトは隙間の径が小さい個所ではベントナイトの膨潤特性により止水効果を得ることができるものであるが、隙間の径が大きい個所では水圧によって隙間に留まらずに、漏水として流出される場合が多く、充分な止水効果を得ることができない問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、異なる径の骨材とベントナイトを混合することにより止水効果の優れた止水剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るベントナイトを用いた止水剤は、ベントナイトと、粒径の異なる複数の骨材からなる混合骨材と、ゲル化材とを混合した構成とする。
【0009】
ここで、ベントナイトとゲル化材と骨材とが混合されことにより、ベントナイトとゲル化材との混合及びベントナイトとゲル化材が粒径の異なる複数の骨材表面に付着した構成となり、これらを水面に散布することによりベントナイトとゲル化材が水と反応して膨潤した状態でそれぞれの粒径の異なる複数の骨材が互いに離反した状態で沈降することになる。
【0010】
そこで漏水個所にそれぞれの粒径の異なる複数の骨材が流入した場合に、割れ目の径に応じた粒径の骨材がそれぞれ充填され、その骨材を覆う膨潤したベントナイトによって割れ目が完全に塞がれて優れた止水効果を得ることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0012】
実施例1
ダムのコンクリート壁面の一個所からの漏水を止水するための下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 18重量%
粒状ベントナイト 3mmアンダー 8重量%
真砂土 3mmアンダー 30重量%
寒水石 1mmアンダー 14重量%
土 0.5mmアンダー 29.8重量%
セメント 0.2重量%
【0013】
前記真砂土、寒水石および土は粒径の異なる骨材として、更にセメントはゲル化材として使用した。
【0014】
そして漏水個所近傍の水面へ4日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.6リットルの漏水が投入後において0.3リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に0.36リットルの漏水が投入後において0.11リットルに減少し、更に第3日目では投入前では1分間に0.10リットルの漏水が投入後において0.08リットルに減少し、第4日目では投入前では1分間に0.04リットルの漏水が投入後において0.03リットルに減少し、投入を開始する前からの減少量は0.57リットルとなった。
【0015】
実施例2
ダムのコンクリート壁面から水が滲み出るような漏水を止水するために下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 20重量%
粒状ベントナイト 1mmアンダー 5重量%
珪砂 0.85mm〜0.15mm 2.5重量%
珪砂 0.3mm〜0.05mm 7.5重量%
シリカ粉 0.6〜44ミクロン 17重量%
寒水石 1mmアンダー 3重量%
土 0.5mmアンダー 40重量%
高炉スラグ微粉末 5重量%
【0016】
前記珪砂、シリカ粉、寒水石および土は粒径の異なる骨材として、更に高炉スラグ微粉末はゲル化材として使用した。
【0017】
そして漏水個所近傍の水面へ3日間を通じての止水剤の散布を行い、数カ所ある漏水の一部の止水の状況の測定を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.41リットルの漏水が投入後において0.03リットルに減少し、一日おいて第2日目では投入前では1分間に0.07リットルの漏水が投入後において0.075リットルに増加したが、更に第3日目では投入前では1分間に0.17リットルの漏水が投入後において0.018リットルに著しく減少した。
従って投入を開始する前からの減少量は0.39リットルとなった。
又他に1分間に0.33リットル程度の漏水個所にあっては、数日後には漏水が殆ど検出されない個所もあった。
【0018】
実施例3
ダムのコンクリート壁面から多量の漏水を止水するために下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 9.5重量%
粒状ベントナイト 3mmアンダー 8.5重量%
真砂土 3mmアンダー 60重量%
寒水石 1mmアンダー 12重量%
珪砂 0.3mm〜0.05mmアンダー 29.8重量%
【0019】
実施例3においてはゲル化材を使用せずに、粒径の異なる骨材として前記真砂土、珪砂および寒水石のみを使用した。
【0020】
そして漏水個所近傍の水面へ4日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に11.4リットルの漏水が投入後において6.8リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に9.36リットルの漏水が投入後において5.70リットルに減少し、更に第3日目では投入前では1分間に5.6リットルの漏水が投入後において4.18リットルに減少し、第4日目では投入前では1分間に4.24リットルの漏水が投入後において4.08リットルに減少した。
従って投入を開始する前からの減少量は6.08リットルであり、ゲル化材を使用した場合と比べ、漏水の減少量は一段と少なくなった。
【0021】
実施例4
浄水場のコンクリート壁面の一部からの漏水を止水するための下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 25重量%
砂 0.5mmアンダー 34重量%
シリカ粉 0.6〜44ミクロン 33重量%
高炉スラグ微粉末 8重量%
【0022】
前記砂およびシリカ粉は粒径の異なる骨材として、更に高炉スラグ微粉末はゲル化材として使用した。
【0023】
そして漏水個所近傍の水面へ3日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.5リットルの漏水が投入後において0.16リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に0.15リットルの漏水が投入後において0.12リットルに減少し、更に第3日目では投入前では1分間に0.11リットルの漏水が投入後において0.10リットルに減少し、後は投入せずに日が経過するにつれて漏水が減少した。
又他に1分間に0.41リットル程度の漏水個所にあっては、1〜2回の止水剤の散布により数日後には漏水が殆ど検出されない個所があった。
【0024】
実施例5
浄水場のコンクリート壁面の一部からの漏水を止水するための下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 30重量%
寒水石 0.3mmアンダー 5重量%
シリカ粉 0.6〜44ミクロン 17重量%
珪砂 0.15〜0.85mm 6重量%
土 0.5mmアンダー 42重量%
【0025】
実施例5においてはゲル化材を使用せずに、粒径の異なる骨材として前記土、珪砂、シリカ粉および寒水石のみを使用した。
【0026】
そして漏水個所近傍の水面へ3日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.75リットルの漏水が投入後において0.53リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に0.50リットルの漏水が投入後において0.51リットルに増加し、更に第3日目では投入前では1分間に0.48リットルの漏水が投入後において0.51リットルに増加した。
従って投入を開始する前からの減少量は0.24リットルであり、ゲル化材を使用した場合と比べ、漏水の減少量は一段と少なくなった。
【0027】
以上の結果より、ゲル化材を使用する場合と使用しない場合とでは漏水の止水効果に歴然とした差が生じることが判明した。
又漏水の状況に応じて粒径の異なる複数の骨材の配合割合を調整することによって、優れた止水効果を得ることが判明した。
【0028】
ここで、骨材として必ずしも真砂土、寒水石、珪砂およびシリカ粉により形成される必要性は無く、その表面にベントナイトが付着しやすく、かつ衝撃に対して崩れない程度の硬度を有するものであればいかなる材質であっても良い。
【0029】
また、ベントナイトは粒状ベントナイトおよび粉末ベントナイトを用意し、例えば水が滲み出るような状態の漏水にあっては粉末ベントナイトを多めに配合することによって微細な割れ目に対して流入して止水効果を高めることが可能となる。
【0030】
また、ゲル化材として必ずしもセメント、高炉スラグ微粉末により形成される必要性は無く、粘性および水に対する拡散性を抑える効果を有するものであれば、例えば石膏や石灰などいかなる材質であっても良い。
【0031】
更に、粒径の異なる骨材は、予めミリメートル単位からミクロン単位までの各種粒径の異なる骨材を用意し、ダムや浄水場のコンクリート壁のひび割れの状況に応じて、各種粒径の異なる骨材の配合割合を調整する。
【0032】
本発明では粒径の異なる複数の骨材と、ベントナイトおよびゲル化材を混合することによって、骨材の表面にベントナイトおよびゲル化材が混合された状態で付着する。
【0033】
そしてダムや貯水槽に水が満たされた状態で、壁面近くに本発明の止水剤を散布することにより、骨材の表面に混合された状態で付着するベントナイトおよびゲル化材が水と反応し膨潤し水に対する拡散性を抑えることで、ベントナイトが骨材に付着した状態で沈降する。
【0034】
そこでコンクリート等の構築物の打ち継ぎ部やひび割れの為に漏水や逸水がある場合には、水のあるところよりない方へ水が流れており、この水の流れによって図1に示すように沈降する骨材1が、構築物Aの割れ目B内へと侵入していく。
【0035】
この場合、割れ目B内に侵入する粒径の異なる複数の骨材1のうち、粒径の大きいものが割れ目B内において係留し、次に骨材1との隙間に順次粒径の小さい骨材1が係留しながら割れ目B内を防ぎ、かつ骨材表面のゲル化されたベントナイトおよび単独のゲル化されたベントナイトによって止水が行われることとなる。
【0036】
従って割れ目B内に係留する粒径の異なる複数の骨材は、ダムや貯水場に水が満たされている限り、その水圧によって係留が解除されることなく止水効果を継続することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
以上述べて来た如く本発明によれば、粒径の異なる複数の骨材によって漏水の原因である割れ目にくまなく係留し、これらの骨材に付着したベントナイトによって優れた止水効果を得ることが可能となる。
【0038】
又、ゲル化材によってベントナイトが水に拡散するのを抑制し、かつ骨材との粘着性を確保することにより少量のベントナイト配合量で充分な止水性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したベントナイトを用いた止水剤の作用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 構築物
B 割れ目
1 骨材
【発明の属する技術分野】
本発明はベントナイトを用いた止水方法および止水剤に関する。詳しくはダムや貯水槽等の漏水や逸水を止水するベントナイトを用いた止水剤に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
ダムや貯水槽など水に満たされた状態での漏水や逸水の止水としては、そのコンクリート壁の裏面の漏水個所のひびや空隙部に対し、セメント系あるいは合成樹脂系の止水剤を注入したり、又ひびの部分をV字にカットし、その部分に止水剤を充填する方法が採られている。
【0003】
しかし前記の止水方法ではダムや浄水場ではコンクリート壁が底面から数十メートルにも及ぶことが多く、足場設営などに非常な手間と労力を要すると共に、漏水個所が多い場合には非常に煩雑となる問題がある。
更にはダムや浄水場の水圧によって微細な隙間から水が侵入して隙間を押し広げたり、あるいは止水剤を押出しなどの問題がある。
【0004】
このような問題を解消する方法として水が満たされた状態でのダムや貯水槽では、壁面近傍に止水効果の優れたベントナイトを散布し、これらのベントナイトが沈降しながら漏水個所へ流入圧によって自然に注入されることで隙間がべントナイトによって充填され、止水を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらベントナイトを散布する方法では、粉状のベントナイトはしばらくの間水面に漂いながら水と反応し、互いに結合してダンゴ状態となって沈降することが多く、投入されるベントナイトの量に対して、漏水個所に流入するベントナイトの量が少なく、更に底面に沈降したベントナイトを回収しなければならない場合もあり、非常に作業効率の悪い作業となる問題がある。
【0006】
また、漏水個所に流入するベントナイトは隙間の径が小さい個所ではベントナイトの膨潤特性により止水効果を得ることができるものであるが、隙間の径が大きい個所では水圧によって隙間に留まらずに、漏水として流出される場合が多く、充分な止水効果を得ることができない問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、異なる径の骨材とベントナイトを混合することにより止水効果の優れた止水剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るベントナイトを用いた止水剤は、ベントナイトと、粒径の異なる複数の骨材からなる混合骨材と、ゲル化材とを混合した構成とする。
【0009】
ここで、ベントナイトとゲル化材と骨材とが混合されことにより、ベントナイトとゲル化材との混合及びベントナイトとゲル化材が粒径の異なる複数の骨材表面に付着した構成となり、これらを水面に散布することによりベントナイトとゲル化材が水と反応して膨潤した状態でそれぞれの粒径の異なる複数の骨材が互いに離反した状態で沈降することになる。
【0010】
そこで漏水個所にそれぞれの粒径の異なる複数の骨材が流入した場合に、割れ目の径に応じた粒径の骨材がそれぞれ充填され、その骨材を覆う膨潤したベントナイトによって割れ目が完全に塞がれて優れた止水効果を得ることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0012】
実施例1
ダムのコンクリート壁面の一個所からの漏水を止水するための下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 18重量%
粒状ベントナイト 3mmアンダー 8重量%
真砂土 3mmアンダー 30重量%
寒水石 1mmアンダー 14重量%
土 0.5mmアンダー 29.8重量%
セメント 0.2重量%
【0013】
前記真砂土、寒水石および土は粒径の異なる骨材として、更にセメントはゲル化材として使用した。
【0014】
そして漏水個所近傍の水面へ4日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.6リットルの漏水が投入後において0.3リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に0.36リットルの漏水が投入後において0.11リットルに減少し、更に第3日目では投入前では1分間に0.10リットルの漏水が投入後において0.08リットルに減少し、第4日目では投入前では1分間に0.04リットルの漏水が投入後において0.03リットルに減少し、投入を開始する前からの減少量は0.57リットルとなった。
【0015】
実施例2
ダムのコンクリート壁面から水が滲み出るような漏水を止水するために下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 20重量%
粒状ベントナイト 1mmアンダー 5重量%
珪砂 0.85mm〜0.15mm 2.5重量%
珪砂 0.3mm〜0.05mm 7.5重量%
シリカ粉 0.6〜44ミクロン 17重量%
寒水石 1mmアンダー 3重量%
土 0.5mmアンダー 40重量%
高炉スラグ微粉末 5重量%
【0016】
前記珪砂、シリカ粉、寒水石および土は粒径の異なる骨材として、更に高炉スラグ微粉末はゲル化材として使用した。
【0017】
そして漏水個所近傍の水面へ3日間を通じての止水剤の散布を行い、数カ所ある漏水の一部の止水の状況の測定を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.41リットルの漏水が投入後において0.03リットルに減少し、一日おいて第2日目では投入前では1分間に0.07リットルの漏水が投入後において0.075リットルに増加したが、更に第3日目では投入前では1分間に0.17リットルの漏水が投入後において0.018リットルに著しく減少した。
従って投入を開始する前からの減少量は0.39リットルとなった。
又他に1分間に0.33リットル程度の漏水個所にあっては、数日後には漏水が殆ど検出されない個所もあった。
【0018】
実施例3
ダムのコンクリート壁面から多量の漏水を止水するために下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 9.5重量%
粒状ベントナイト 3mmアンダー 8.5重量%
真砂土 3mmアンダー 60重量%
寒水石 1mmアンダー 12重量%
珪砂 0.3mm〜0.05mmアンダー 29.8重量%
【0019】
実施例3においてはゲル化材を使用せずに、粒径の異なる骨材として前記真砂土、珪砂および寒水石のみを使用した。
【0020】
そして漏水個所近傍の水面へ4日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に11.4リットルの漏水が投入後において6.8リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に9.36リットルの漏水が投入後において5.70リットルに減少し、更に第3日目では投入前では1分間に5.6リットルの漏水が投入後において4.18リットルに減少し、第4日目では投入前では1分間に4.24リットルの漏水が投入後において4.08リットルに減少した。
従って投入を開始する前からの減少量は6.08リットルであり、ゲル化材を使用した場合と比べ、漏水の減少量は一段と少なくなった。
【0021】
実施例4
浄水場のコンクリート壁面の一部からの漏水を止水するための下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 25重量%
砂 0.5mmアンダー 34重量%
シリカ粉 0.6〜44ミクロン 33重量%
高炉スラグ微粉末 8重量%
【0022】
前記砂およびシリカ粉は粒径の異なる骨材として、更に高炉スラグ微粉末はゲル化材として使用した。
【0023】
そして漏水個所近傍の水面へ3日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.5リットルの漏水が投入後において0.16リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に0.15リットルの漏水が投入後において0.12リットルに減少し、更に第3日目では投入前では1分間に0.11リットルの漏水が投入後において0.10リットルに減少し、後は投入せずに日が経過するにつれて漏水が減少した。
又他に1分間に0.41リットル程度の漏水個所にあっては、1〜2回の止水剤の散布により数日後には漏水が殆ど検出されない個所があった。
【0024】
実施例5
浄水場のコンクリート壁面の一部からの漏水を止水するための下記の構成からなる止水剤を使用した。
粉末ベントナイト 30重量%
寒水石 0.3mmアンダー 5重量%
シリカ粉 0.6〜44ミクロン 17重量%
珪砂 0.15〜0.85mm 6重量%
土 0.5mmアンダー 42重量%
【0025】
実施例5においてはゲル化材を使用せずに、粒径の異なる骨材として前記土、珪砂、シリカ粉および寒水石のみを使用した。
【0026】
そして漏水個所近傍の水面へ3日間を通じての止水剤の散布を行った。
この結果、第1日目では投入前では1分間に0.75リットルの漏水が投入後において0.53リットルに減少し、第2日目では投入前では1分間に0.50リットルの漏水が投入後において0.51リットルに増加し、更に第3日目では投入前では1分間に0.48リットルの漏水が投入後において0.51リットルに増加した。
従って投入を開始する前からの減少量は0.24リットルであり、ゲル化材を使用した場合と比べ、漏水の減少量は一段と少なくなった。
【0027】
以上の結果より、ゲル化材を使用する場合と使用しない場合とでは漏水の止水効果に歴然とした差が生じることが判明した。
又漏水の状況に応じて粒径の異なる複数の骨材の配合割合を調整することによって、優れた止水効果を得ることが判明した。
【0028】
ここで、骨材として必ずしも真砂土、寒水石、珪砂およびシリカ粉により形成される必要性は無く、その表面にベントナイトが付着しやすく、かつ衝撃に対して崩れない程度の硬度を有するものであればいかなる材質であっても良い。
【0029】
また、ベントナイトは粒状ベントナイトおよび粉末ベントナイトを用意し、例えば水が滲み出るような状態の漏水にあっては粉末ベントナイトを多めに配合することによって微細な割れ目に対して流入して止水効果を高めることが可能となる。
【0030】
また、ゲル化材として必ずしもセメント、高炉スラグ微粉末により形成される必要性は無く、粘性および水に対する拡散性を抑える効果を有するものであれば、例えば石膏や石灰などいかなる材質であっても良い。
【0031】
更に、粒径の異なる骨材は、予めミリメートル単位からミクロン単位までの各種粒径の異なる骨材を用意し、ダムや浄水場のコンクリート壁のひび割れの状況に応じて、各種粒径の異なる骨材の配合割合を調整する。
【0032】
本発明では粒径の異なる複数の骨材と、ベントナイトおよびゲル化材を混合することによって、骨材の表面にベントナイトおよびゲル化材が混合された状態で付着する。
【0033】
そしてダムや貯水槽に水が満たされた状態で、壁面近くに本発明の止水剤を散布することにより、骨材の表面に混合された状態で付着するベントナイトおよびゲル化材が水と反応し膨潤し水に対する拡散性を抑えることで、ベントナイトが骨材に付着した状態で沈降する。
【0034】
そこでコンクリート等の構築物の打ち継ぎ部やひび割れの為に漏水や逸水がある場合には、水のあるところよりない方へ水が流れており、この水の流れによって図1に示すように沈降する骨材1が、構築物Aの割れ目B内へと侵入していく。
【0035】
この場合、割れ目B内に侵入する粒径の異なる複数の骨材1のうち、粒径の大きいものが割れ目B内において係留し、次に骨材1との隙間に順次粒径の小さい骨材1が係留しながら割れ目B内を防ぎ、かつ骨材表面のゲル化されたベントナイトおよび単独のゲル化されたベントナイトによって止水が行われることとなる。
【0036】
従って割れ目B内に係留する粒径の異なる複数の骨材は、ダムや貯水場に水が満たされている限り、その水圧によって係留が解除されることなく止水効果を継続することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
以上述べて来た如く本発明によれば、粒径の異なる複数の骨材によって漏水の原因である割れ目にくまなく係留し、これらの骨材に付着したベントナイトによって優れた止水効果を得ることが可能となる。
【0038】
又、ゲル化材によってベントナイトが水に拡散するのを抑制し、かつ骨材との粘着性を確保することにより少量のベントナイト配合量で充分な止水性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したベントナイトを用いた止水剤の作用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 構築物
B 割れ目
1 骨材
Claims (2)
- ベントナイトと、
粒径の異なる複数の骨材からなる混合骨材と、
ゲル化材とを混合した
ことを特徴とするベントナイトを用いた止水剤。 - 前記ベントナイトを粒径の異なる複数の混合ベントナイトとしたことを特徴とする請求項1記載のベントナイトを用いた止水剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002195340A JP2004036245A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | ベントナイトを用いた止水剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002195340A JP2004036245A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | ベントナイトを用いた止水剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004036245A true JP2004036245A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31703742
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002195340A Pending JP2004036245A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | ベントナイトを用いた止水剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004036245A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009138468A (ja) * | 2007-12-07 | 2009-06-25 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 漏水補修方法 |
CN104131532A (zh) * | 2014-07-28 | 2014-11-05 | 中国电建集团贵阳勘测设计研究院有限公司 | 一种用于岩溶管道的堵漏方法及结构 |
CN104674762A (zh) * | 2014-12-24 | 2015-06-03 | 维特国际新材料(武汉)有限公司 | 一种水利建筑防水涂层 |
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2002
- 2002-07-04 JP JP2002195340A patent/JP2004036245A/ja active Pending
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