JP5033699B2 - 防水シート付着用グラウト材および施工方法 - Google Patents
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Description
岩盤側からのトンネル内への漏水は、冬季の路面凍結、氷結による通行障害、覆工コンクリートの劣化、トンネル内の設備に対する悪影響等の要因となるため、防水処理を必ず行う必要があった。
一般には、吹付けコンクリートと覆工コンクリートとの間に防水シートを張り付ける工法が用いられているが、吹付けコンクリートの仕上げ面は、その施工方法から必然的に凹凸が発生し、防水シートの張りあがりに余裕不足や、余裕過剰があると、引っ張りやたわみが発生し、その結果二次覆工コンクリートの充てんを妨げる結果となる。
流動性を高めた配合では充てん時にリークが生じ易く、エアモルタルは注入圧力によって気泡が減少し比重が増加することがあり、また、モルタルは細骨材を使用するため比重が大きいグラウト材となり、型枠などに作用する圧力が増加する場合がある。
また本発明の他の目的は、前記本発明のグラウト材を用いて、新設トンネルにおけるトンネル止水構造、特にウォータータイト型トンネル等の施工方法を提供することである。
また、「圧縮強度値」は、グラウト材を用いた供試体の寸法をΦ5×10cmとし、JIS A 1216「一軸圧縮強度試験」に準拠して材齢14時間後強度を測定した値を示す。
「フロー値」は、日本道路公団規格「エアモルタル及びエアミルクの試験方法(JHSA 313−1992)」のコンシステンシー試験方法のシリンダー法に準拠して測定した値として示す。即ち、内径8cm高さ8cmのシリンダーに各グラウト材試料を入れて、引き抜き後のグラウト材試料の底面の直径を測定した値を示す。
「付着強度値」は、不織布等の緩衝層または透水層として用いられる素材を50×50mmの鉄製の治具、たとえば建研式引張り試験と同様の治具に貼付け、不織布等の緩衝層または透水層として用いられる素材とグラウト材が密着するよう打設した後、所定の時間において得られた引張荷重を接触面積で除した値を示す。
「ブリーディング率」は、「土木学会基準」JSCE−F522−2007「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(案)」に準じて得られた値を示す。
また本発明のウォータータイト型トンネル等の止水構造の施工方法は、前記本発明のグラウト材を用いて、新設トンネルにおけるトンネル止水構造、特にウォータータイト型トンネル等の止水構造に有効に適用でき、トンネル内壁面の凹凸形状に関係なく、防水シート等を全体的にたるみ、しわ等を生じることなく、優れた防水効果及びクラック防止効果を有し、全体的に高品質に均一に固着施工することができる。
また、短時間での付着強度発現等を可能にすることができるため、型枠等の取り外しも短時間で可能となり、施工性を向上させることができるため、連続施工が可能となり、経済的にも有利となる。
本発明の防水シート用グラウト材は、ウォータータイト型トンネルの施工時に一次覆工コンクリートと防水シートとの間に充てんするグラウト材料であって、詳細には、掘削したトンネルに吹付けコンクリート坑壁を設けた後に、不織布等の緩衝層または透水層を内周面に有する防水シートを該コンクリート坑壁の内周面に布設し展張させ、その間隙を充てんするグラウト材であって、ブレーン比表面積4500cm2/g以上のセメント系水硬性組成物とブレーン比表面積10000cm2/g以上の粘土鉱物とを含有し、フロー値が100mm〜140mm、ブリーディング率が0%、材齢14時間の付着強度が10KN/m2以上でかつ圧縮強度が2N/mm2以上を有する。
本発明においては、このため、フロー値が100mm〜140mm、ブリーディング率が0%、また、夕方にグラウト材を施工し、翌日朝から防水シートの展張をはずして二次覆工コンクリートの施工準備を想定して、材齢14時間後の付着強度が10KN/m2以上でかつ圧縮強度が2N/mm2以上であることが要される。
本発明のグラウト材に用いるセメント系水硬性組成物は、比表面積が4500cm2/g以上、好ましくは4800cm2/g以上のものである。
かかる比表面積より小さいと、得られるグラウト材の圧縮強度、例えば材例14時間後の圧縮強度が低くなってしまうからである。
かかる比表面積より小さいと、得られるグラウト材にブリーディングが発生し、付着強度、例えば材例14時間後の付着強度が低くなってしまう。
即ち、前記セメント系水硬性組成物100質量部に対し、粘土鉱物を9〜12質量部、水を80〜100質量部の割合で配合することが望ましい。
このような配合割合とすることにより、フロー値が100mm〜140mm、ブリーディング率が0%、材齢14時間の付着強度が10KN/m2以上でかつ圧縮強度が2N/mm2以上であり、本発明の上記効果をより有効に達成することが可能となる。
調製するのに使用できる混合ミキサとしては、重力式ミキサ、強制パン型ミキサ、強制水平式一軸ミキサ、強制水平式二軸ミキサ、ハンドミキサ等を有効に用いることができる。
従って、本発明のウォータータイト型トンネルの施工方法としては、掘削したトンネルに吹付けコンクリート坑壁を設けた後に、緩衝層または透水層を有する防水シートを該コンクリート坑壁の内周面に布設し展張させ、その間隙に本発明のグラウト材を充てんし、防水シート面に二次覆工コンクリートを打設する施工方法がある。
更に、具体的には、前記防水シート又は隙間抑制材に通孔を穿孔させ、この通孔から、本発明のグラウト材を注入し、前記基台を、二次覆工コンクリートを打設するための移動式型枠とし、前記防水シートまたは隙間抑制材の固着後、この移動式型枠により二次覆工コンクリートが打設され、該二次覆工コンクリートによって前記通孔は閉塞される。
即ち、本発明のグラウト材を用いることで、施工後14時間でグラウト材が防水シートを付着するため、内面の型枠が翌日に取り外せ、その施工場所へ移動可能である。これにより日々連続施工となり経済的にも有利となる。
(使用材料)
(1)セメント系水硬性組成物:普通ポルトランドセメント(ブレーン比表面積3400cm2/g)を粉砕して調整・住友大阪セメント株式会社製
(2)粘土鉱物:市販品ベントナイトを粉砕してブレーン比表面積を調整
(3)水:水道水
上記セメント系水硬性組成物(ブレーン比表面積3400cm2/gの普通ポルトランドセメント、それを粉砕したブレーン比表面積4000cm2/g、4500cm2/g、5000cm2/gの4種類のもの)800kg、上記粘土鉱物(ブレーン比表面積は20000cm2/g)80kg、水を712kgの配合割合で混合し、十分に混練して、グラウト材を調製した。
得られた各グラウト材について、圧縮強度試験を行い、その結果を表1に示す。
但し、圧縮強度試験は、試用する各グラウト材を用いた供試体の寸法をΦ5×10cmとし、JIS A 1216「一軸圧縮強度試験」に準拠して材齢14時間後強度を測定した値として示す。
上記セメント系水硬性組成物(比表面積は50000cm2/g)800kg、上記粘土鉱物(比表面積は4000cm2/g、6000cm2/g、10000cm2/g、20000cm2/gの4種類のもの)80kg、水を712kgの配合割合で混合し、十分に混練して、グラウト材を調製した。
得られた各グラウト材について、上記ブリーディング試験及び付着試験を行い、その結果を表2に示す。
但し、付着強度値及びブリーディング率値は、以下の方法により実施した。
・付着強度:不織布等の緩衝層または透水層として用いられる素材を50×50mmの鉄製の治具、たとえば建研式引張り試験と同様の治具に貼付け、不織布等の緩衝層または透水層として用いられる素材とグラウト材が密着するよう打設した後、14時間後の引張荷重を接触面積で除した値を示す。
・ブリーディング率:「土木学会基準」JSCE−F522−2007「プレパックドコンクリートの注入モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(案)」に準じて得られた値を示す。
比較例3及び比較例4では、ブリーディングが発生しているため、発生したブリーディングによって防水シート(不織布)との界面の水が上方に浸出して、セメント系水硬性組成物および粘土鉱物の微粒分が不織布に入り込んだため、見かけ上の付着強度が上昇したものと考えられる。
上記セメント系水硬性組成物(普通ポルトランドセメントを粉砕し、そのブレーン比表面積は5000cm2/g)、上記粘土鉱物(比表面積は20000cm2/g)及び水を、下記表3の配合割合(重量比)で混合し、十分に混練して、グラウト材を調製した。
得られた各グラウト材について、フロー試験、ブリーディング試験及び圧縮強度試験を行い、その結果も表3に示す。
但し、フロー試験、ブリーディング試験及び圧縮強度試験は以下の方法により実施した。
・フロー試験:日本道路公団規格「エアモルタル及びエアミルクの試験方法(JHSA 313−1992)」のコンシステンシー試験方法のシリンダー法に準拠して測定した値として示す。即ち、内径8cm高さ8cmのシリンダーに各グラウト材試料を入れて、引き抜き後のグラウト材試料の底面の直径を測定した値として示す。
・ブリーディング試験:実施例3と同一のブリーディング試験を実施した。
・圧縮強度試験:実施例1と同一の圧縮強度試験を実施した。
・評価:○・・・フロー値が100〜140mm、ブリーディング率が0%、圧縮強度が2N/mm2以上の基準を満足するもの
×・・・フロー値、ブリーディング率、圧縮強度のいずれかが、上記基準を満足しないもの
Claims (4)
- 掘削したトンネルに吹付けコンクリート坑壁を設けた後に、緩衝層または透水層を内周面に有する防水シートを該コンクリート坑壁の内周面に布設し展張させ、その間隙を充てんするグラウト材であって、ブレーン比表面積4500cm2/g以上のセメント系水硬性組成物とブレーン比表面積10000cm2/g以上の粘土鉱物とを含有し、フロー値が100mm〜140mm、ブリーディング率が0%、材齢14時間の付着強度が10KN/m2以上でかつ圧縮強度が2N/mm2以上であることを特徴とする、グラウト材。
- 請求項1記載のグラウト材において、前記セメント系水硬性組成物100質量部に対し、粘土鉱物を9〜12質量部、水を80〜100質量部の割合で配合することを特徴とする、グラウト材。
- 請求項1又は2記載のグラウト材において、ブレーン比表面積4500cm2/g以上のセメント系水硬性組成物は、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、エコセメント及びセメント系固化材からなる群より選ばれることを特徴とする、グラウト材。
- 掘削したトンネルに吹付けコンクリート坑壁を設けた後に、緩衝層または透水層を有する防水シートを該コンクリート坑壁の内周面に布設し展張させ、その間隙に請求項1〜3いずれかの項記載のグラウト材を充てんし、防水シート面に二次覆工コンクリートを打設することを特徴とする、ウォータータイト型トンネルの施工方法。
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