JP2004036179A - 構造物の解体方法および解体装置 - Google Patents

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Tomio Kishino
岸野 富夫
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Shimizu Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】装置自体のコストが安く、また、解体時の煙突の揺れが少なく安全で、しかも、効率良く作業が進めることができて工期を短縮する。
【解決手段】解体しようとする構造物である煙突Bが中心に来るように、複数のスチールボール2をワイヤー3を介して吊り下げ、それら複数のスチールボールに外方へ拘束力を加えてスチールボールを開いた状態とし(イ)、それら複数のスチールボール2を拘束力を解除し自重により内下方へ移動させて、これにより、煙突Bの外周面Baの同じ高さ位置を同時に打撃する。
以上の複数のスチールボール2を煙突Bの外周面Baの高さ位置を打撃する工程を、煙突Bの上方から下方へ至るよう順に高さを変えながら繰り返し行う。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はRC構造の煙突等、比較的高い構造物を解体するのに用いて好適な構造物の方法および解体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、高さが50m以上の比較的高いRC構造の煙突を解体する場合、従来、以下の方法が採用されていた。
すなわち、
▲1▼煙突に昇降するための足場を取り付け、これを利用しながらピックハンマー等で打撃し、煙突を上部から解体する方法、
▲2▼昇降ステージ上に油圧圧砕機を搭載し、これを作動させながら解体する方法、
▲3▼タワークレーンに圧砕機の部分を取り付けて破壊する方法、
等が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の構造物の解体方法にあっては、以下の問題があった。
▲1▼の煙突に取り付けた足場を利用しピックハンマーで打撃しながら解体する方法では、効率が悪く全て解体するまでに長時間要する。また▲2▼の油圧圧砕機により解体する方法では、油圧圧砕機から反力を受けるので、この反力にたえうるよう昇降ステージの剛性を高めなければならず、結果的に装置が大掛かりとなりコスト高になる。さらに、▲3▼のタワークレーンに圧砕機の部分を取り付けて破壊する方法では、圧搾機等の反力で煙突自体の揺れが大きくなり、危険を伴うという問題があった。
【0004】
前記事情に鑑み、本発明においては、装置自体のコストが安く、また、解体時の煙突の揺れが少なく安全性が確保でき、しかも、作業効率がよく工期を短縮できる構造物の解体方法および解体装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明においては、以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の構造物の解体方法は、図1に示すように、解体しようとする構造物、例えばRC構造の煙突Bが中心に来るように、複数(図1では2個)のスチールボール2をワイヤー3を介して吊り下げ、それら複数のスチールボール2に外方へ拘束力を加えて該スチールボール2を開いた状態とし(図1中(イ)の状態)、該複数のスチールボール2を拘束力を解除し自重により内下方へ移動させて(図1中(ロ)、(ハ)の状態)、煙突Bの外周面Baの同じ高さ位置を同時に打撃することを特徴としている。
なお、図1において煙突Bの実線で示す小径部分は煙突の上部、2点鎖線で示す大径部分は煙突の下部をそれぞれ表している。
【0006】
また、請求項2記載の構造物の解体方法は、請求項1記載の方法において、前記複数のスチールボールを前記構造物の外周面の高さ位置を打撃する工程を、前記構造物の上方から下方へ順に高さを変えながら繰り返し行うことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3記載の構造物の解体構造は、解体しようとする構造物の外方に配置される支持フレームと、該支持フレームに水平方向旋回可能に設けられる水平ビームと、該水平ビームを旋回させる旋回手段と、前記水平ビームにワイヤーを介して吊り支持された複数のスチールボールと、該スチールボールを、外方へ拘束力を加えて開いた状態としかつその拘束力を解除してスチールボールを自重により内下方へ移動させるスチールボール外方拘束手段とを備えてなることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4記載の構造物の解体構造は、請求項3記載のものにおいて、前記スチールボール外方拘束手段が、前記スチールボールに一端が固着されて該スチールボールを外方へ引き上げる引上用ワイヤーと、前記水平ビームに支持されて引上用ワイヤーの他端側を巻込むウインチとから構成されることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、ワイヤー3を介して吊り下げた複数のスチールボール2を開いた状態にし、この状態で外方への拘束力を解除すると、スチールボール2は自重により内下方へ移動する。そして、それらスチールボール2は、それらの中心に位置する、解体しようとする構造物である煙突Bの外周面Baの同じ高さ位置を同時に打撃する。このときの衝撃力によって、煙突Bを解体する。
このように煙突B等の構造物の外周面を、その周りにある複数のスチールボール2によって同時に打撃するので、それらスチールボール2の打撃による構造物に作用するモーメントが互いにうち消され、結果的に、構造物に揺れが発生したり、振動が発生することはなく、構造物を安全に解体できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は本発明に係る構造物の解体装置を示す側面図である。図2中符号20はタワークレーンを示し、このタワークレーン20のブーム21の先端からはワイヤー22が延びており、ワイヤー22の先端には本発明に係る構造物の解体装置Aが吊り下げられている。また、この図2では、構造物の解体装置Aによって解体する構造物の例としてRC構造の煙突Bの場合を挙げている。煙突Bは下端から上端に向けて漸次径が細くなる円筒状に形成されている。
【0011】
前記構造物の解体装置Aについて説明すると、図3において符号5は解体対象構造物である煙突Bの外方に配置される鋼製の支持フレームである。支持フレーム5は上面視四角形に形成され、それぞれの頂点からは脚部5aが下方に延びている。支持フレーム5の上部にはリング状のビーム受け6が取り付けられ、このビーム受け6によって水平ビーム7が水平方向へ旋回可能に支持されている。ビーム受け6と水平ビーム7との間には、水平ビーム7を旋回させる旋回手段8が介装されている。
【0012】
旋回手段8は、例えば、ビーム受け6の内周に設けられた内歯車8aと、この内歯車8aに噛合する図示せぬ歯車が先端に取り付けられたモータ8bとからなっている。そして、モータ8bは水平ビーム7に一体的に支持されており、このモータ8bが回転駆動されることによって、水平ビーム7が任意角度旋回されるようになっている。なお、この図では、旋回手段8として歯車同士を組み合わせたものを例に挙げて説明しているが、これに代わり、チェーンと歯車とを組み合わせたものであってもよい。
【0013】
水平ビーム7の中央部には2本のワイヤー3が適宜間隔をあけて取り付けられ、これらワイヤー3によってそれぞれ左右のスチールボール2が同じ高さ位置になるように吊り支持されている。また、左右のスチールボール2にはそれぞれスチールボール外方拘束手段9が併設されている。そして、このスチールボール外方拘束手段9によって、左右のスチールボール2が、外方へ拘束力を加えられて開かれた状態とされ、かつ、この拘束力が解除されたとき、自重により内下方へ移動されるようになっている。
【0014】
スチールボール外方拘束手段9は、図3,図4に示すように、スチールボール2に一端が固着されてスチールボール2を外方へ引き上げる引上用ワイヤー9aと、引上用ワイヤー9aの他端側を巻込むよう水平ビーム7上に設けられたウインチ9bと、水平ビーム7の先端部に設けられて引上用ワイヤー9aの中間部を案内するシーブ9cとから構成されている。また、前記前記スチールボール外方拘束手段9を構成する左右のウインチ9bは、それぞれ同期して駆動されるようになっている。
また、煙突Bの外周部であって、構造物の解体装置Aの直下部分には盛り替え可能な作業足場Cが取り付けられている(図2参照)。
【0015】
次に、上記構成の構造物の解体装置Aを用いて煙突Bを解体する方法について説明する。
まず、作業用足場Cを、これから解体しようとする構造物である煙突Bの上部所定位置に取り付ける。また、本発明に係る構造物の解体装置Aを、タワークレーン20を用いワイヤー22により吊り下げた状態で、煙突Bと同心状となるようにかつ前記作業用足場Cの上方所定位置に配置する。ここで、必要に応じて支持フレーム5の脚部5aを作業用足場上に固定する。
【0016】
この状態で左右のスチールボール2をスチールボール外方拘束手段9により、外方へ開いた状態とする(図1中(イ)参照)。
すなわち、左右のウインチ9bを同期させて駆動し、スチールボール2に取り付けた引上用ワイヤー9aの他端側を巻き上げて、スチールボール2を外方へ移動させながら上方へ吊り上げる。
そして、ウインチ9bによるワイヤー9bの吊り支持を解放する。すると、スチールボール2は、ワイヤー3によって吊り下げられているから、自重により落下しながら内方へ移動する。つまり内下方へ移動する。そして、煙突Bの外周面Baの同じ高さ位置を左右から同時に打撃する。
【0017】
上記煙突Bの外周面Baの所定高さ位置の左右からの同時打撃を、水平ビーム7を旋回させなが繰り返し行うことにより、煙突Bの所定高さの外周面の全域にわたって所定角度置きに打撃し、これにより煙突Bの所定高さ部分を解体する。
次に、煙突Bの解体した高さ分だけ作業足場Cを下げるとともに、構造物の解体装置Aも同じ高さ分だけ煙突Bに沿って下げる。そして、前述した作業を繰り返すことで、煙突Bの解体した部分の下側部分を解体する。
以下、上記操作を繰り返し行うことにより、煙突Bの上端から下端に至る全高さ位置にわたって解体する。
【0018】
上述した構造物の解体方法にあっては、解体しようとする構造物である煙突Bの外周面Baを、その周りにある2個のスチールボール2によって左右から同時に打撃するので、それらスチールボール2の打撃による煙突Bに作用するモーメントが互いにうち消され、結果的に、煙突Bに揺れが発生したり、振動が発生することはなく、煙突Bを安全に解体することができる。
また、スチールボール2の打撃により煙突Bを解体していくので、例えば、従来のピックハンマーで打撃しながら解体する方法に比べ、効率が数段優れ、短い工期で煙突Bを解体できる。
また、装置自体は、支持フレーム5、リング受け6、水平ビーム7並びに水平ビーム7によって吊り支持されるスチールボール2等からなるごく簡単な構成であるので、低コストで容易に製作できる。
【0019】
以上において本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用することができる。
例えば、前記実施の形態においては、構造物の解体装置Aを支持するのに、ワークレーン20を用いて吊り支持しているが、これに限られることなく、移動式クレーンを用いて吊り支持してもよく、また、構造物の解体装置Aを作業足場Cに固定し、作業足場Cによって支持してもよい。
また、ワイヤー巻上げのウインチ9bを駆動するのに電源を利用する場合、支持フレーム5や水平ビーム7に予め小型発電機を組み付け、この小型発電機を利用してもよく、また、商用電源を電線コードでウインチまで導いて利用しても良い。
また、上記した実施の形態では、スチールボール2を2個用いているが、これに限られることなく、スチールボール2を3個以上用いても良い。
さらに、スチールボール2を外方へ拘束力を加えて開いた状態とするスチールボール外方拘束手段9としては、ワイヤー9aを介してウインチ9bによって巻き上げる方法の他、油圧シリンダあるいは空気シリンダによってワイヤーを介してスチールボール2に外方への力を加えるような構成のものもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
構造物の外周面を、その周りにある複数のスチールボールによって同時に打撃するので、それらスチールボールの打撃による構造物に作用するモーメントが互いにうち消され、結果的に、構造物に揺れが発生したり、振動が発生することはなく、構造物を安全に解体することができる。
また、前述したとおりスチールボールの打撃により構造物を解体していくので、例えば、従来のピックハンマーで打撃しながら解体する方法に比べ、効率が数段優れ、短い工期で構造物を解体でき、また、装置自体が支持フレーム、水平ビーム、スチールボール等からなる簡単な構成であるので、低コストで容易に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を説明する側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、構造物の解体装置によって煙突を解体する状況を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す構造物の解体装置の側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す構造物の解体装置の平面図である。
【符号の説明】
A 構造物の解体装置
B 煙突(解体しようとする構造物)
C 作業足場
2 スチールボール
3 ワイヤー
5 支持フレーム
6 ビーム受け
7 水平ビーム
8 旋回手段
9 スチールボール外方拘束手段
9a 引上用ワイヤー上面端部
9b ウインチ
9c シーブ

Claims (4)

  1. 解体しようとする構造物が中心に来るように、複数のスチールボールをワイヤーを介して吊り下げ、それら複数のスチールボールに外方へ拘束力を加えて該スチールボールを開いた状態とし、該複数のスチールボールを拘束力を解除し自重により内下方へ移動させて前記構造物の外周面の同じ高さ位置を同時に打撃することを特徴とする構造物の解体方法。
  2. 請求項1記載の構造物の解体方法において、
    前記複数のスチールボールを前記構造物の外周面の高さ位置を打撃する工程を、前記構造物の上方から下方へ順に高さを変えながら繰り返し行うことを特徴とする構造物の解体方法。
  3. 解体しようとする構造物の外方に配置される支持フレームと、
    該支持フレームに水平方向旋回可能に設けられる水平ビームと、
    該水平ビームを旋回させる旋回手段と、
    前記水平ビームにワイヤーを介して吊り支持された複数のスチールボールと、
    該スチールボールを、外方へ拘束力を加えて開いた状態としかつその拘束力を解除してスチールボールを自重により内下方へ移動させるスチールボール外方拘束手段とを備えてなることを特徴とする構造物の解体装置。
  4. 請求項3記載の構造物の解体装置において、
    前記スチールボール外方拘束手段は、前記スチールボールに一端が固着されて該スチールボールを外方へ引き上げる引上用ワイヤーと、前記水平ビームに支持されて引上用ワイヤーの他端側を巻込むウインチとから構成されることを特徴とする構造物の解体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102704707A (zh) * 2012-07-03 2012-10-03 中建八局第一建设有限公司 自动拆除墙体装置

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