JP2004035594A - ニ軸延伸ポリエステル系フィルム - Google Patents

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Kazumoto Imai
今井 一元
Naonobu Oda
小田 尚伸
Hiroyuki Ueno
上野 裕之
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Abstract

【課題】表面に和紙のような外観を有し、ひねり包装、折り曲げ包装に用いることができる、ひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムを提供することにある。
【解決手段】フィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であることを見出したことによるものである。応力−ひずみ曲線に於いて、上降伏点と下降伏点を有し、これらの比(下降伏点強度/上降伏点強度)が0.95以下であり、且つ150℃に30分間放置した際の長手方向の熱収縮率が3.5%以下であることを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムに関する。更に詳しくは、ポリエステル延伸フィルムの優れた特性である耐熱性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、包装用途として好適な和紙のような外観を有し、且つ良好なひねり性、デッドホールド性を具備したポリエステル系延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、包装材料として紙が用いられている。紙はデッドホールド性(折り曲げ固定性)、耐熱性に優れており、各種包装材料として重用されている。しかしながら、紙は吸湿性を有する為特性が季節により変動し一定の品質のものを常に供給することは困難であった。更に、紙は耐水性に劣っており、水滴等により破れるといった問題があった。また、ポリエチレンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋は、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの強靭性、耐熱性、耐水性、透明性などの優れた特性の良さを買われて用いられているが、これらの優れた特性を有する反面、デッドホールド性を有していない為にひねり包装、折り曲げ包装に用いることができない等の欠点があった。
【0003】
また、和紙は独特の風合いを有しており、その外観によって、包装された商品の商品価値を高める、高級感を演出する効果を有している。その為に、和紙調の外観を有するポリエチレンテレフタレートフィルムとして、フィルム表面にセルロース繊維をコートするといった特殊なコーティングが考えられたが、均一なコーティングが容易ではない、コート膜の耐久性に劣るといった問題があった。
【0004】
更に、従来から紙調のフィルムとして、非相溶な樹脂、或いは無機粒子を配合し、空洞を含有させたフィルムもあるが、単に空洞を含有させるだけではフィルムの隠蔽性は高くなるものの、フィルムの表面は比較的平滑であり、和紙調の外観は得られない。
【0005】
例えば、特開平2−16130号公報には、結晶性ポリプロピレンを3〜40重量%含有する微細気泡含有ポリエステルフィルムが開示されているが、これはホワイトボード等の基材に用いられるもので、フィルム表面は比較的平滑性に優れたものであり、和紙のような外観は得られない。
【0006】
また、特開昭63−193822号公報には、ポリオレフィン系重合体を2〜30重量%含有する微小気泡を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムが開示されているが、これは例えばトレーシングペーパーのような外観となり、和紙のような外観は得られない。
【0007】
更に、特開昭63−235338号公報には白色無機粒子を5〜30重量%含有し、ボイド率が5〜30%である白色ポリエチレンテレフタレートフィルムが開示されているが、これもテレホンカード等の基材に用いられるもので、フィルム表面は比較的平滑性に優れ、和紙のような外観は得られない。
【0008】
或いは、非相溶な樹脂と無機粒子を配合させた和紙風模様を形成したフィルムが特開平2−180933号公報に開示されているが、筆記性を目的とする為、和紙のような外観としては充分ではない等の課題を有する。
【0009】
このように、和紙のような外観を得るには、従来のポリエステル系フィルムでは性能が不充分であった。更に、これらのポリエステル系フィルムに於いては、ひねり性、デッドホールド性を有しておらず、ひねり包装、折り曲げ包装に用いることは不可能であった。
【0010】
更に、従来から、ひねり性の優れたフィルムとしては、セロハンが知られている。セロハンは、その優れた透明性と易切断性、ひねり性等の特性により各種包装材料、粘着テープ用として重用されている。しかし、一方ではセロハンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し一定の品質のものを常に供給することは困難であった。また、ポリエチレンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋は、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの強靱性、耐熱性、耐水性、透明性などの優れた特性の良さを買われて用いられているが、これらの優れた特性を有する反面、切断しにくく、包装用袋の口を引き裂き難い欠点や、粘着テープが切りにくい欠点、及びひねり性が劣るためにひねり包装用に用いることができない等の欠点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、その目的とするところは、表面に和紙のような外観を有し、ひねり包装、折り曲げ包装に用いることができる、ひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、特に和紙調の外観に注目し、これらの外観を有し、更にポリエステルフィルムの優れた特性である強靭性、耐熱性、耐水性等を合わせて有するひねり性を有するポリエステル系フィルムを得ることを目的として研究を重ねた結果、フィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であることを見出したことによるものである。
【0013】
つまり、本発明はフィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であることによって、和紙のような凸凹を有する外観と、手に触れた時のクッション性が和紙の風合いを与えるという特性を見出し本発明に至った。
【0014】
更に、ひねり戻り角度が75度以下となることで、ひねり包装に好適なおり曲げ性、デッドホールド性が得られる。
【0015】
すなわち、本願発明のニ軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であり、且つひねり戻り角度が75度以下であることを特徴とする、ひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムである。
【0016】
この場合において、長手方向、及び幅方向の150℃に30分間放置した際の熱収縮率が5%以下であることが好適である。
また、この場合において、ポリエステル系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を含有することが好適である。
さらにまた、この場合において、ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルが混合されてなるポリエステル樹脂組成物を用いることが好適である。
さらにまた、この場合において、少なくとも片面の表面固有抵抗が1×1015(Ω/□)以下であることが好適である。
さらにまた、この場合において、ポリエチレンテレフタレート、及び35℃以上のガラス転移温度を有するポリエステル及び/または共重合ポリエステル(A)、及び34℃以下のガラス転移温度を有するポリエステル及び/または共重合ポリエステル(B)、及びポリエステル系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂の混合物からなり、該混合物の主たる融点が225℃以上であることが好適である。
【0017】
【本願発明の実施の形態】
本発明に於けるひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムは、フィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、好ましくは8μm以上である。該厚み差が5μm未満の場合、和紙調の外観となる凸凹が不満足となり、和紙調の外観が不充分となる。更に、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であることが必要である。見掛け比重が1.0g/cmを超えた場合、表面の凸凹が不充分となり、和紙調の外観が得られないだけでなく、手に触れた時の柔らかさが不足し、和紙の風合いが得られない。
【0018】
本発明に於いて、ポリエステル系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を含有することが、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重を1.0g/cm以下とするに好ましい。ポリエステル系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を含有することにより、フィルムを延伸する際にボイドが形成され、フィルム表面のボイドの有無によりフィルム表面の凸凹を作成し、フィルム内部のボイドにより、得られるフィルムの見掛け比重を1.0g/cm以下とすることができる。
【0019】
本発明におけるひねり戻り角度は75度以下が好ましい。該ひねり戻り角度は後述の通り、実際のひねり包装を模しており、使用形態に則した評価方法である。
ひねり戻り角度が75度を超えた場合、現在ひねり包装に一般的に使用されているセロハンと同等のひねり性を得ることが困難となり、使用する際にひねり機械の調整、或いはひねり包装された商品の形態が従来のものと異なることが生じ好ましくない。
【0020】
本発明に於ける150℃の雰囲気下に30分放置した際の熱収縮率は5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることが更に好ましい。150℃に30分間放置した際の熱収縮率が5.0%より大きいとフィルムに印刷や蒸着層を形成する等の後加工時にシワ発生や平面性の乱れが発生することがあり、ひねり包装の際に、機械トラブルとなったり、包装品の見栄えが悪くなり好ましくない。
【0021】
本発明に於いて、ポリエステル樹脂組成物は、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルが混合されてなるポリエステル樹脂組成物を用いることが好ましい。結晶状ポリエステルと非晶状ポリエステルが海に浮かぶ島のような状態で分散することにより(海島構造と称する)、本発明の目的であるひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムが得られると考えられる。また、通常ポリエステルは押出し等の工程で熱を加えられるとエステル交換反応により分子同士が結合し、目的とする海島構造が得られないことがある。その際には、樹脂温度を下げる、滞留時間を下げる、或いは、熱安定剤を添加することでエステル交換反応を抑制し、目的とする海島構造が得られる。
【0022】
本発明に於いて、内容物のフィルムへの付着、或いは加工時に加工機へのまとわり付きを防止する為、帯電防止性を有することが好ましい。すなわち、本発明のポリエステルフィルムの表面固有抵抗値は1×1015(Ω/□)以下であり、更に好ましくは1×1012(Ω/□)以下である。表面固有抵抗値が1×1015(Ω/□)よりも高いと加工機へのまとわり付きが激しく、好ましくない。
【0023】
帯電防止性を付与する方法としては、一般的に、帯電防止剤をフィルムに練り混む方法、或いはフィルム上に帯電防止剤を塗布する方法等が用いられる。
【0024】
帯電防止剤は表面固有抵抗を低減するものであれば特に限定されないが、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジエタノールアマイド、アルキルスルホン酸塩、アルキルホスフェート、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
【0025】
本発明に用い得るポリエステルフィルムは、公知のフィルム製膜法によって形成し得る。フィルム製膜法としては、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの二軸延伸法を行ない、次いで熱固定処理する方法が用い得る。例えば、逐次二軸延伸法としては、縦延伸及び横延伸または横延伸及び縦延伸を順に行なう方法のほか、横−縦−縦延伸法、縦−横−縦延伸法、縦−縦−横延伸法などの延伸方法を採用することができる。また、同時二軸延伸法としては、従来の同時二軸延伸法でもよい。なお、多段階に分けて同時二軸延伸してもよい。また、熱収縮率を更に低減する為に、必要に応じて、縦弛緩処理、横弛緩処理などを施してもよい。
【0026】
次に本発明フィルムの製造法の一例を説明するが、これはあくまで具体例であり、本発明内容を拘束するものではない。
【0027】
本発明で使用するポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用するポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオール等が挙げられる。
【0029】
更に、該ニ軸延伸ポリエステル系フィルムの易滑性を向上させる為に、例えば二酸化チタン、微粒子状シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機滑剤、長鎖脂肪酸エステル等の有機滑剤を含有させるのも好ましい。また、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0030】
上記ポリエステルは、いずれも従来の方法により重合して製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法、ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法等を用いてポリエステルが得られる。重合は、回分式及び連続式のいずれの方法で行われてもよい。
【0031】
又、和紙のような外観を有する為には、例えば少なくとも片面に、空洞を含有する層を設けることが有効である。該空洞含有層には、上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上配合させることが好ましい。上記ポリエステル樹脂組成物と非相溶な特定の熱可塑性樹脂を配合し、混合、押し出し、延伸することでフィルム内部に空洞が出来上がり、その空洞の影響で和紙のような外観を有するフィルムが得られる。
【0032】
上記ポリエステル樹脂組成物と、ポリエステルに非相溶な特定の熱可塑性樹脂を配合し、特定の条件で混合、押し出し、延伸することで、前記従来の空洞含有ポリエステルフィルムより大きな空洞が形成され、光の散乱が起こると供に、形成した空洞径が部分的に異なりを生じ、表面の凸凹が大きくなり、和紙のような外観になるものと考えられる。
【0033】
上記ポリエステルと非相溶な特定の熱可塑性樹脂の例としては、ポリメチルペンテン系樹脂、アイオノマー系樹脂等が挙げられる。或いは、ガラス転移点又は軟化温度が上記ポリエステル樹脂組成物より高い熱可塑性樹脂が好ましい。
【0034】
上記ポリエステルと非相溶な熱可塑性樹脂の配合量は、空洞含有層全体の11重量%以上が好ましく、更に好ましくは13重量%以上である。該熱可塑性樹脂が11重量%未満の場合、フィルム内部の空洞が不充分なものとなり、和紙のような外観が得られず、好ましくない。
【0035】
又、フィルムの強度を向上させる為に、空洞含有層に空洞を含有しない層を積層してもよい。その場合、空洞含有層に添加されるポリエステルと非相溶な熱可塑性樹脂の配合量は、15重量%以上であることが好ましい。15重量%未満の場合、総厚みに対する空洞の量が不充分となり、和紙の風合いを得る為の外観、クッション性が得られない。また、空洞含有層と空洞非含有層を積層した場合に於いても、見掛け比重が1.0g/cm以下となることが好ましい。この際に、見掛比重が1.0g/cmを超えると、フィルムの隠蔽性が不足するものとなる。
【0036】
フィルムの厚み差は、フィルムの長手方向、幅方向それぞれの長さ1cm当り5μm以上が好ましく、更に好ましくは8μm以上である。フィルムの厚み差が5μm未満の場合、和紙のような外観とならず好ましくない。
【0037】
次に本発明のニ軸延伸ポリエステル系フィルムの製造方法について、具体例を説明するが、この製造方法に限定されるものではない。
【0038】
本発明に用いるポリエステル樹脂をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、又は真空乾燥機を用いて乾燥する。乾燥したポリエステル樹脂と、ポリエステルと非相溶な熱可塑性樹脂を所定の割合として混合した後、押出し機に供給し、溶融押し出しし、口金より押し出し冷却固化させて未延伸フィルムを成形する。
【0039】
このようにして得られた未延伸フィルムを、それを構成する組成物のうち、最も高いガラス転移温度を有するポリエステル樹脂または共重合体のガラス転移温度以上で延伸を行なう。延伸倍率としては延伸面積で2〜30倍、好ましくは9〜16倍である。
【0040】
この延伸フィルムに熱処理を行なう。この熱処理では、必要に応じて弛緩処理を行ってもよい。また、これらの熱処理、弛緩処理を行なうことにより、150℃に30分間放置した際の熱収縮率が5.0%以下となるフィルムが得られる。
【0041】
【作用】
フィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であることにより和紙のような凸凹を有する外観と、手に触れた時のクッション性が和紙の風合いを与えるという特性が得られる。更に、ひねり戻り角度が75度以下のなることで、良好なひねり性、デッドホールド性が得られる。
【0042】
本発明に用いるポリエステル樹脂及びポリエステルと非相溶な熱可塑性樹脂は、できる限り押出し機の直前で混合することが好ましい。押出し機の直前で混合することで、該樹脂組成物の偏析を防止することができ、より安定した外観のフィルムが得られる。
【0043】
更に、本発明に於いて、押し出し樹脂温度は260℃から300℃が好ましい。押し出し樹脂温度が260℃未満であると、ポリエステルと非相溶な熱可塑性樹脂による空洞が比較的小さくなり、和紙のような外観が得られ難い。また、押し出し温度が300℃以上であると、該熱可塑性樹脂が押出し機内で分散不良となり易く、その結果安定した外観のフィルムが得られなかったり、製膜が不安定になり易い。
【0044】
本発明のニ軸延伸ポリステルフィルムは、そのデッドホールド性、及び和紙のような風合を生かし、チョコレートやキャンディー、或いは和菓子等のひねり包装や折り曲げ包装、また、和紙の様な風合に優れることから、シーラント層をラミネートすることにより一般の包装袋として用いることが出来る。
【0045】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。実施例及び比較例に於ける評価の方法については(a)〜(e)の方法で行った。
【0046】
(a)厚み差
アンリツ(株)社製の接触式厚み計(型式:KG60/A型)を用いて、長手方向、幅方向それぞれ4cm×50cm、50cm×4cmのサンプルを切り出し、それぞれのサンプルの長辺方向に厚みを測定し、得られたチャートよりそれぞれ長さ1cm毎に、最大厚みと最小厚みの差を20個読み取り、平均した結果を厚み差とした。
【0047】
(b)ひねり性
「ひねり戻り角度」と称する官能テストで行った。まず、100mm□のサンプルを切りだし、直径20mmの丸棒に50mmはみ出すように、長手方向に巻き付ける。次いで、はみ出した部分を360°ひねり、360°から戻った角度を測定した。これらの測定を100回行ない、平均値を求めた。
ちなみに現在ひねり包装に用いられているセロハンを同方法で測定したのひねり戻り角度は70°であった。
ひねり戻り角度が75°以下を○、76〜85°を△、85°を超えたものを×とした。
【0048】
(c)熱収縮性
フィルムの長手方向、幅方向それぞれに、幅10mm、長さ250mmのサンプルを切り出し、200mm間隔で印をつけ、5gの一定張力で間隔Aを測る。続いて、150℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間放置した。オーブンから取り出し室温まで冷却後に、5gの一定張力で間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求め、以下の基準で判定した。
熱収縮率=(A−B)/A×100(%)
フィルムの長手方向、幅方向共に熱収縮率が3%以下:◎
フィルムの長手方向、幅方向共に熱収縮率が5%以下:○
フィルムの長手方向又は幅方向の熱収縮率が5%を超える:×
【0049】
(d)見掛け比重
フィルムを280mm×400mmに正確に切り出し、その厚みを50点測定し平均厚みt(μm)を求める。次いでこのフィルムの質量を0.1mgまで測定しW(g)とし、見掛け比重を下記式により求めた。
見掛け比重(g/cm)=w/(28×40×t)×10000
【0050】
(e)和紙調外観
得られたフィルムの外観を目視にて評価し、以下の基準で判定した。
和紙調の風合いあり:○
和紙調の風合いなし:×
【0051】
【実施例1】
ポリエステル樹脂組成物として、ポリエチレンテレフタレート(A)45重量%、酸成分としてテレフタル酸100mol%、グリコール成分としてエチレングリコール70mol%及びネオペンチルグリコール30mol%からなる共重合ポリエステル(B)30重量%、ポリブチレンテレフタレート(C)10重量%、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂としてポリメチルペンテン15重量%からなるポリエステル樹脂組成物を、290℃で溶融押出しし、30℃の冷却ドラムで急冷して未延伸シートを得た。
【0052】
該未延伸シートをまず縦方向に80℃で3.7倍、次いでテンターにおいて横方向に85℃で4.2倍に延伸した後、3%の弛緩を行ないつつ210℃の温度で熱処理を行ない平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0053】
【実施例2】
ポリエステル(A)/(B)/(C)の配合比を48/30/10重量%、ポリメチルペンテン12重量%とした以外は比較例1と同じ方法で平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0054】
【比較例1】
ポリエステル(A)/(B)/(C)の配合比を55/30/10重量%、ポリメチルペンテン5重量%とした以外は比較例1と同じ方法で平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0055】
【比較例2】
ポリエステル(A)/(B)/(C)の配合比をそれぞれ40/30/10重量%とし、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂としてポリスチレンを20重量%用いた以外は実施例1と同じ方法で平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0056】
【実施例3】
ポリエステル(A)/(B)/(C)の配合比をそれぞれ35/25/20重量%とし、ポリメチルペンテン20重量%とした以外は比較例1と同じ方法で平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0057】
【比較例3】
ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂としてポリプロヒピレンを20重量%添加した以外は比較例2と同様に平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0058】
【比較例4】
ポリエステル(A)を85重量%とし、ポリメチルペンテンを15重量%用いた以外は実施例1と同じ方法で平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムはひねり性がなかった。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0059】
【比較例5】
熱固定温度を200℃とした以外は実施例1と同じ原料・方法で平均厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 2004035594
【0061】
【発明の効果】
以上の如く、和紙調の外観、及び風合いを有する、ひねり性、デッドホールド性を有するニ軸延伸ポリエステル系フィルムが得られ、ひねり包装用、折り曲げ包装用として有効なことがわかる。

Claims (6)

  1. フィルムの長手方向、及び幅方向の、長さ1cm当たりのフィルムの厚み差が5μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し、フィルムの見掛け比重が1.0g/cm以下であり、ひねり戻り角度が75°以下であることを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
  2. 請求項1記載のニ軸延伸ポリエステル系フィルムであって、長手方向、及び幅方向の150℃に30分間放置した際の熱収縮率が5%以下であることを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
  3. 請求項1或いは2記載のニ軸延伸ポリエステル系フィルムに於いて、ポリエステル系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を含有することを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
  4. 請求項1、2或いは3に記載のニ軸延伸ポリエステル系フィルムであって、ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルが混合されてなるポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
  5. 請求項1、2、3或いは4に記載のニ軸延伸ポリエステル系フィルムであって、少なくとも片面の表面固有抵抗が1×1015(Ω/□)以下であることを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
  6. 請求項1、2、3、4或いは5に記載のニ軸延伸ポリエステル系フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、及び35℃以上のガラス転移温度を有するポリエステル及び/または共重合ポリエステル(A)、及び34℃以下のガラス転移温度を有するポリエステル及び/または共重合ポリエステル(B)、及びポリエステル系樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂の混合物からなり、該混合物の主たる融点が225℃以上であることを特徴とするニ軸延伸ポリエステル系フィルム。
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