JP2004035401A - セリウムを含む磁性ガーネット単結晶およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明にかかるセリウムを含む磁性ガーネット単結晶セリウムは、セリウムを含む磁性ガーネットの多結晶体を融帯と固体との固液界面に急峻でかつ大きな温度勾配を与えながら加熱溶融した後に冷却凝固させることにより得られる。多結晶体の加熱は、光学的加熱装置を用いることが好ましく、たとえばレーザー光を用いた主加熱装置12,14a,14b,16a,16bと、ハロゲンランプ20a,20bの反射光を用いた補助加熱装置18とを組み合わせたものが用いられる。
【選択図】 図1
Description
このYIGは、いわゆる分解溶融型の化合物であり、合致溶融組成の原料から直接YIG単結晶を得ることができない。そのため、フラックス法を用いてYIG単結晶を作製するのが一般的である。また、YIG単体ではファラデー回転角が小さく、ファラデー回転角の温度依存性が大きいという欠点があるため、従来より、前者の解決策としてYのサイトにBiを置換し、後者の解決策としてYサイトにGdなどの希土類元素を置換することが行われている。
これを説明するために、まず、BiGd:YIGの製造方法について以下に説明する。
そのため、BiGd:YIG単結晶を作製するためには、フラックス法,フローティング法、液相成長法などの方法がとられる。たとえばフラックス法では、酸化鉛(PbO)と三酸化二硼素(B2O3)と混合した溶媒に、三酸化二鉄(Fe2O3)、三酸化二イットリウム(Y2O3)、三酸化二ビスマス(Bi2O3)および三酸化二ガドリニウム(Gd2O3)を溶質として溶かし込んだ溶液を準備し、この溶液に、種結晶を入れて除冷することによりバルク結晶が得られる。また、フローティング法の一種であるTSFZ法によっても同様にバルク結晶が得られる。一方、液相成長法(Liquid Phase Epitaxy法:以下「LPE法」と略記する)では、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(Gd3Ga5O12:以下「GGG」と略記する)単結晶基板上に、YIG単結晶薄膜を成長させることにより、YIG単結晶膜が得られる。
その結果、目的とするセリウムを含む磁性ガーネット単結晶28を得ることができる。
図2のグラフに示すように、ハロゲンランプによるエネルギ分布は、比較的幅広い形であるが、レーザーによるエネルギ分布は、幅狭でかつ強力である。
この単結晶育成装置10では、ハロゲンランプのエネルギとレーザーのエネルギとが組み合わされて、融帯26とその近傍との間に急峻でかつ大きなエネルギ分布が実現される。そのため、この単結晶育成装置10では、たとえば図3のグラフに示すように、約800℃/10mmという急峻でかつ大きな温度分布が単結晶形成部分としての固液界面に実現されることとなる。本実施例で用いた加熱装置ではこの範囲の温度勾配を実現できたが、レーザーの出力を上昇させ、温度勾配を更に大きくしても所望の目的が達成されるものと予想される。なお、温度勾配が約500℃/10mm以下になると、オルソフェライトが先に析出する傾向が増大するので、好ましくない。
たとえば、ヒーターによって加熱する方法や、高周波誘導加熱される貴金属製ルツボ中で融液をつくり、その融液から単結晶を引く等して急速に冷却する方法等であっても、上述の条件を満足するものであれば同様の効果が得られる。
その結果を表4から表15に示す。それぞれ◎印の条件で単結晶化して大きなファラデー効果が確認できた。
これらについても表3から表15に示した効果と同様の効果を得ることができた。
(実施例4)図1に示す単結晶育成装置10を用いて、幅2mm、厚さ0.8mm、長さ20mmの薄板状のセリウムを含む磁性ガーネット単結晶を作製した。その組成は、実施例1から実施例3のものである。その結果、ファイバーと同様にセリウムを含む磁性ガーネット単結晶板が得られた。
(実施例5)幅2mm、厚さ0.5mm、長さ50mmの(lll)GGG単結晶板上に厚さ50μmのセリウムを含む磁性ガーネット多結晶体をスラリ状にして付着させ、図1に示した単結晶育成装置10で単結晶育成を行った。その結果、上述の実施例1から実施例4に示したものと同じ組成のセリウムを含む磁性ガーネット単結晶膜がGGG基板上に得られた。そして、これらのYIG単結晶膜においても、それぞれ表3から表15に示した結果と同様にファラデー効果が認められた。さらに、得られたYIG単結晶膜に電極を付けて、図6に示すように、1.9GHzでのフィルター特性を測定した。図6において、GGG基板30上にYIG単結晶膜32が形成され、YIG単結晶膜32上に信号入力用トランスデューサ34aおよび信号出力用トランスデューサ34bが形成される。
その結果、図7に示すように、良好な特性が得られた。
12 YAGレーザー発生装置
16a,16b レーザー光発射口
18 双楕円ミラー
20a,20b ハロゲンランプ
24 原料棒
26 融帯
28 セリウムを含む磁性ガーネット単結晶
Claims (7)
- セリウムを含む磁性ガーネットの多結晶体を固液界面に、500℃/10mmよりも大きい温度勾配を与えながら加熱溶融させた後、冷却凝固させることにより得られる、セリウムを含む磁性ガーネット単結晶。
- 前記多結晶体は、一般式CexR3-x MyFe5-y O12で表され、RはYおよび原子番号59から71までの希土類元素のうちから選択される少なくとも1種であり、MはGa若しくはAlの少なくとも1種であり、0<x≦2、0≦y≦2である、請求項1に記載のセリウムを含む磁性ガーネット単結晶。
- 前記組成式において、Rはイットリウムである、請求項2に記載のセリウムを含む磁性ガーネット単結晶。
- セリウムを含む磁性ガーネットの多結晶体を準備するステップ、
前記多結晶体を固液界面に大きな温度勾配を与えながら加熱溶融させるステップ、および溶融した前記多結晶体を冷却凝固させるステップを含む、セリウムを含む磁性ガーネット単結晶の製造方法。 - セリウムを含む磁性ガーネットの多結晶体を準備するステップ、
セリウムを含む磁性ガーネットの単結晶の種結晶を準備して、前記多結晶体に当接させるステップ、
前記多結晶体の前記種結晶に当接した部分を固液界面に大きな温度勾配を与えるための光学的加熱装置で加熱し溶融させて溶融帯を形成するステップ、および前記溶融帯を移動させることにより、直前に溶融していた部分を冷却させるステップを含む、セリウムを含む磁性ガーネット単結晶の製造方法。 - 前記光学的加熱装置は、主加熱装置および補助加熱装置を含み、
前記主加熱装置は、レーザー光を多結晶体の加熱部分に直接照射するためのレーザー装置を含み、
前記補助加熱装置は、熱源としての光源および前記光源からの光を反射させて加熱部分に集光させる反射器を含む、請求項5に記載のセリウムを含む磁性ガーネット単結晶の製造方法。 - 前記セリウムを含む磁性ガーネットの多結晶体は、棒状、薄板状あるいは薄膜状のいずれかの形状で準備される、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のセリウムを含む磁性ガーネット単結晶。
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JP2003296304A JP2004035401A (ja) | 1996-03-22 | 2003-08-20 | セリウムを含む磁性ガーネット単結晶およびその製造方法 |
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