JP2004035307A - 金属−セラミックス複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のSiCセラミックスを強化材とし、金属Siをマトリックスとする金属−セラミックス複合材料は、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムと比較して靭性が低くて加工性が悪いという課題がある。従って、靭性を改善して加工性の良い複合材料を提供する。
【解決手段】SiCセラミックスを強化材とし、Si合金をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料において、Si合金マトリックス中のSiの含有率を60〜30質量%、Cuの含有率を40〜70質量%とすることにより金属−セラミックス複合材料の靭性を3.5MN/m3/2以上に改善する。
【選択図】 なし
【解決手段】SiCセラミックスを強化材とし、Si合金をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料において、Si合金マトリックス中のSiの含有率を60〜30質量%、Cuの含有率を40〜70質量%とすることにより金属−セラミックス複合材料の靭性を3.5MN/m3/2以上に改善する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Si合金をマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料に関するもので、特に、従来よりも靭性が改善された金属−セラミックス複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属Siをマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料については、一般に純度97%以上のSiを金属マトリックスとする複合材料が主流であった。
これは、その複合材料の製造方法が、溶融Siが炭素と反応してSiCとなる原理を利用するものであり、具体的には有機バインダーを炭化処理し、SiC粉末または繊維からなるプリフォームに溶融Siを浸透させて複合化する方法であるため、純度の高いSiを使用していたものである。
また、Siは通常の金属の場合と異なり、SiCと濡れやすく密着性が良好であり、複合効果が発現されやすいこと、及び凝固膨張する性質を有するので、SiC粉末または繊維に浸透させた溶融Siが凝固する際に、体積変化しても欠陥ができないこと、等の理由で純度の高いSiが使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の純度97%以上のSiを金属マトリックスとする複合材料は、Siが靭性の低い材料であるためその複合材料の破壊靭性は3.0MN/m3/2程度と靭性が低く、酸化アルミニウム(4.0MN/m3/2)や窒化アルミニウム(3.5MN/m3/2)などの市販のセラミックスと比較して、加工に際してチッピングを生じるなど加工性が悪いという課題があった。
【0004】
本発明は、従来のSiCセラミックスを強化材とし、金属Siをマトリックスとする複合材料が有する上記した課題を鑑みて、鋭意検討してなされたものであって、その目的は靭性が改善された金属−セラミックス複合材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、複合材料中の金属SiマトリックスをSi合金とすることにより、破壊靭性が大きく、且つヤング率も大きい金属―セラミックス複合材料が得られ、加工性が向上するのではないかとの着想を基に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、Si合金をマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料であって、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上で、且つ、ヤング率が300GPa以上であることを特徴とする金属―セラミックス複合材料によって達成される。
【0006】
さらに、本発明の目的は、SiCセラミックスを強化材とし、金属をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料において、金属マトリックス中のSiの含有率が60〜30質量%で、Cuの含有率が40〜70質量%であることを特徴とする金属−セラミックス複合材料によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の内容を詳細に説明する。
本発明者等は、複合材料の靭性を改善するために、Siに合金として含ませる添加元素としてCu以外に、Sn,Fe,Niも検討した。その結果、いずれの添加元素もSiに含ませる量によっては破壊靭性3.5MN/m3/2以上を達成できることを確認している。
【0008】
しかし、本発明においては、複合材料の靭性を改善するために、Siに合金として含ませる添加元素として、特にCuを限定している。その理由は、Cuならば破壊靭性を改善することができるに加えて、複合材料のヤング率を維持できること、また、Cuの凝固収縮量が比較的少ないため、複合材料中に体積変化にともなう欠陥が生じ難いのではないかと着想による。
【0009】
ちなみに、Sn,Fe,NiをSiに含ませた合金をマトリックスとした複合材料からはヤング率は、300GPa以上のものは得られなかった。これについてはよく分からないが、これらの添加元素がSiCと濡れ難く、密着していないことが原因と思われる。
【0010】
次に、本発明でSiに含ませるCuの含有量を40〜70質量%と限定したのは、Cuが40質量%より少ないと、靭性改善の効果が十分に得られず、破壊靭性を3.5MN/m3/2以上とできないからである。
【0011】
またCuが70質量%よりも多いと複合材料のヤング率が低下し、300GPaを維持できないこと、及びSi合金が凝固する際のCuの凝固収縮分をSiの凝固膨張分で補うことができなくなり欠陥が生じるためである。
【0012】
また、本発明の範囲内で、破壊靭性は最も大きくなり、この範囲を超えてCuの含有量を増やすと、逆に破壊靭性は低下する。これについては不明であるが、Cuの量が増えすぎると、硬くて脆いSi−Cu金属間化合物がマトリックス中に析出するためと推定される。またこれとは別に、CuはSiやSiCに比べ密度が大きいので、Cu量を増やすと複合材料の密度が大きくなり、複合材料の軽量化に貢献できないという問題もある。
【0013】
次に、本発明の複合材料の製造方法としては、SiC粉末または繊維に有機バインダーを添加し、それを混合し、成形した後、非酸化雰囲気中で900〜1100℃の温度で加熱処理することにより、有機バインダーを炭化したプリフォームを形成し、そのプリフォームにCuを含むSi合金を非酸化雰囲気中で1500℃以上の温度で溶融してプリフォーム中に含まれている炭素と反応させてSiCとすると同時に浸透させる。
なお、Cuを含むSi合金は、あらかじめ合金化処理したものを使用しても、CuとSiを別々に供し、熱処理中に結果的に合金化されたものであっても良い。
【0014】
上記のようにSiC粉末または繊維でプリフォームを形成したのは、プリフォームを形成しないとSiCの含有率を高くできないためである。また、SiC粉末または繊維の他に炭素を含ませたのは、炭素がないと溶融されたSi合金がプリフォーム中に浸透しないためである。炭素があると浸透するのは、Siが炭素と反応してSiCを生成しながら浸透するからであり、炭素がないとSiが反応しないため浸透しない。
【0015】
本発明の製造方法をさらに詳しく述べると、先ずセラミックスとしてSiC粉末または繊維を用意する。SiC粉末の場合、その細かさは平均粒径で70μm以下であることが好ましい。70μmより粗いと、作製した複合材料の強度が大きく低下する。
【0016】
そのSiC粉末または繊維に有機バインダーを添加し、それを混合し、成形した後、非酸化雰囲気中で900〜1100℃の温度で加熱処理することにより、有機バインダーを炭化したSiC粉末または繊維からなるプリフォームを形成する。成形する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、SiC粉末または繊維に水あるいはSiCと反応を起こさない有機溶媒を加え、これにバインダーを加え混合してスラリーとし、フィルタープレスにより成形する方法や、SiC粉末または繊維にバインダーを加え、混合したSiC粉末または繊維をプレスにより成形する方法などを挙げることができる。
【0017】
成形した成形体のSiC粉末または繊維の充填率を制御する方法は種々の方法が考えられるが、例えば、充填率を高くする方法としては、SiC粉末の粗粒と細粒とを適当な割合で配合する方法や、プレス圧を高くする方法などが挙げられる。逆に充填率を低くする方法としては、ウィスカ、短繊維などを用いる方法などを挙げることができる。
【0018】
次いで、得られたプリフォームにCuを含むSi合金を非酸化雰囲気中で1500℃以上の温度で溶融してプリフォーム中に含まれている炭素と反応させてSiCとすると同時に浸透させることにより、本発明の破壊靭性が3.5MN/m3/2以上であり且つヤング率が300GPa以上である金属−セラミックス複合材料を作製することができる。これを必要に応じて機械加工する。
【0019】
以上の方法で得られた金属−セラミックス複合材料によれば、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上であり且つヤング率が300GPa以上であるため、加工に際してチッピングや欠け等の不具合を発することなく、しかも外部からの応力に対して歪の少ない高剛性の金属−セラミックス複合材料を得ることができる。
【0020】
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
(実施例)
(1)金属−セラミックス複合材料の作製
市販のSiC粉末の粗粒(信濃電気精錬社製、平均粒径50μm)60重量部と微粒(信濃電気精錬社製、平均粒径10μm)40重量部に有機バインダーとしてフェノール樹脂10重量部(炭素換算3重量部)を混合し、プレス成形した後、窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間加熱処理し、フェノール樹脂を炭化した70体積%の充填率を有するプリフォームを形成した。
【0022】
得られたプリフォームと表1に示すSi合金(添加元素はCu)とをアルゴン雰囲気中で1500℃の温度で3時間保持して溶融したSi合金とプリフォーム中に含まれている炭素とを反応させてSiCとすると同時にSi合金を浸透させて複合材料を作製した。
【0023】
(2)評価
得られた複合材料を切断し、Si合金の浸透状態を目視で観察した。また、得られた複合材料から3×4×40mmの試験片を切り出し、その試験片で破壊靭性、ヤング率を求めた。それらの結果を表1にまとめて示す。
【0024】
(比較例)
比較例として、プリフォームに浸透させるSi合金の種類(添加元素はCu以外にもSn,Fe,Niを用いた。)と組成を表1に示すように変化させて、実施例と同様にして複合材料を作製した。また、実施例と同様の評価を行った。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、実施例1〜3では、破壊靭性とヤング率は、本発明の範囲内にあり、また、凝固する際の溶融Si合金の体積変化に伴う、欠陥の生成はなく、組織は良好であった。
また、加工試験の結果、チッピングや欠け等の発生がなく加工性は極めて良好であった。
【0027】
これに対して比較例1〜4では、マトリックスであるSiにCuが含まれないため、ヤング率が本発明の範囲外であった。また、比較例5,6では、Si合金中のCuの含有率が本発明の範囲外にあるため、破壊靭性またはヤング率のいずれか一方が本発明の範囲外であった
【0028】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の金属−セラミックス複合材料であれば、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上であり且つヤング率が300GPa以上である金属―セラミックス複合材料とすることができるようになった。このことにより、窒化アルミニウムやアルミナと同程度の加工性を有する複合材料とすることができるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、Si合金をマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料に関するもので、特に、従来よりも靭性が改善された金属−セラミックス複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属Siをマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料については、一般に純度97%以上のSiを金属マトリックスとする複合材料が主流であった。
これは、その複合材料の製造方法が、溶融Siが炭素と反応してSiCとなる原理を利用するものであり、具体的には有機バインダーを炭化処理し、SiC粉末または繊維からなるプリフォームに溶融Siを浸透させて複合化する方法であるため、純度の高いSiを使用していたものである。
また、Siは通常の金属の場合と異なり、SiCと濡れやすく密着性が良好であり、複合効果が発現されやすいこと、及び凝固膨張する性質を有するので、SiC粉末または繊維に浸透させた溶融Siが凝固する際に、体積変化しても欠陥ができないこと、等の理由で純度の高いSiが使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の純度97%以上のSiを金属マトリックスとする複合材料は、Siが靭性の低い材料であるためその複合材料の破壊靭性は3.0MN/m3/2程度と靭性が低く、酸化アルミニウム(4.0MN/m3/2)や窒化アルミニウム(3.5MN/m3/2)などの市販のセラミックスと比較して、加工に際してチッピングを生じるなど加工性が悪いという課題があった。
【0004】
本発明は、従来のSiCセラミックスを強化材とし、金属Siをマトリックスとする複合材料が有する上記した課題を鑑みて、鋭意検討してなされたものであって、その目的は靭性が改善された金属−セラミックス複合材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、複合材料中の金属SiマトリックスをSi合金とすることにより、破壊靭性が大きく、且つヤング率も大きい金属―セラミックス複合材料が得られ、加工性が向上するのではないかとの着想を基に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、Si合金をマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料であって、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上で、且つ、ヤング率が300GPa以上であることを特徴とする金属―セラミックス複合材料によって達成される。
【0006】
さらに、本発明の目的は、SiCセラミックスを強化材とし、金属をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料において、金属マトリックス中のSiの含有率が60〜30質量%で、Cuの含有率が40〜70質量%であることを特徴とする金属−セラミックス複合材料によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の内容を詳細に説明する。
本発明者等は、複合材料の靭性を改善するために、Siに合金として含ませる添加元素としてCu以外に、Sn,Fe,Niも検討した。その結果、いずれの添加元素もSiに含ませる量によっては破壊靭性3.5MN/m3/2以上を達成できることを確認している。
【0008】
しかし、本発明においては、複合材料の靭性を改善するために、Siに合金として含ませる添加元素として、特にCuを限定している。その理由は、Cuならば破壊靭性を改善することができるに加えて、複合材料のヤング率を維持できること、また、Cuの凝固収縮量が比較的少ないため、複合材料中に体積変化にともなう欠陥が生じ難いのではないかと着想による。
【0009】
ちなみに、Sn,Fe,NiをSiに含ませた合金をマトリックスとした複合材料からはヤング率は、300GPa以上のものは得られなかった。これについてはよく分からないが、これらの添加元素がSiCと濡れ難く、密着していないことが原因と思われる。
【0010】
次に、本発明でSiに含ませるCuの含有量を40〜70質量%と限定したのは、Cuが40質量%より少ないと、靭性改善の効果が十分に得られず、破壊靭性を3.5MN/m3/2以上とできないからである。
【0011】
またCuが70質量%よりも多いと複合材料のヤング率が低下し、300GPaを維持できないこと、及びSi合金が凝固する際のCuの凝固収縮分をSiの凝固膨張分で補うことができなくなり欠陥が生じるためである。
【0012】
また、本発明の範囲内で、破壊靭性は最も大きくなり、この範囲を超えてCuの含有量を増やすと、逆に破壊靭性は低下する。これについては不明であるが、Cuの量が増えすぎると、硬くて脆いSi−Cu金属間化合物がマトリックス中に析出するためと推定される。またこれとは別に、CuはSiやSiCに比べ密度が大きいので、Cu量を増やすと複合材料の密度が大きくなり、複合材料の軽量化に貢献できないという問題もある。
【0013】
次に、本発明の複合材料の製造方法としては、SiC粉末または繊維に有機バインダーを添加し、それを混合し、成形した後、非酸化雰囲気中で900〜1100℃の温度で加熱処理することにより、有機バインダーを炭化したプリフォームを形成し、そのプリフォームにCuを含むSi合金を非酸化雰囲気中で1500℃以上の温度で溶融してプリフォーム中に含まれている炭素と反応させてSiCとすると同時に浸透させる。
なお、Cuを含むSi合金は、あらかじめ合金化処理したものを使用しても、CuとSiを別々に供し、熱処理中に結果的に合金化されたものであっても良い。
【0014】
上記のようにSiC粉末または繊維でプリフォームを形成したのは、プリフォームを形成しないとSiCの含有率を高くできないためである。また、SiC粉末または繊維の他に炭素を含ませたのは、炭素がないと溶融されたSi合金がプリフォーム中に浸透しないためである。炭素があると浸透するのは、Siが炭素と反応してSiCを生成しながら浸透するからであり、炭素がないとSiが反応しないため浸透しない。
【0015】
本発明の製造方法をさらに詳しく述べると、先ずセラミックスとしてSiC粉末または繊維を用意する。SiC粉末の場合、その細かさは平均粒径で70μm以下であることが好ましい。70μmより粗いと、作製した複合材料の強度が大きく低下する。
【0016】
そのSiC粉末または繊維に有機バインダーを添加し、それを混合し、成形した後、非酸化雰囲気中で900〜1100℃の温度で加熱処理することにより、有機バインダーを炭化したSiC粉末または繊維からなるプリフォームを形成する。成形する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、SiC粉末または繊維に水あるいはSiCと反応を起こさない有機溶媒を加え、これにバインダーを加え混合してスラリーとし、フィルタープレスにより成形する方法や、SiC粉末または繊維にバインダーを加え、混合したSiC粉末または繊維をプレスにより成形する方法などを挙げることができる。
【0017】
成形した成形体のSiC粉末または繊維の充填率を制御する方法は種々の方法が考えられるが、例えば、充填率を高くする方法としては、SiC粉末の粗粒と細粒とを適当な割合で配合する方法や、プレス圧を高くする方法などが挙げられる。逆に充填率を低くする方法としては、ウィスカ、短繊維などを用いる方法などを挙げることができる。
【0018】
次いで、得られたプリフォームにCuを含むSi合金を非酸化雰囲気中で1500℃以上の温度で溶融してプリフォーム中に含まれている炭素と反応させてSiCとすると同時に浸透させることにより、本発明の破壊靭性が3.5MN/m3/2以上であり且つヤング率が300GPa以上である金属−セラミックス複合材料を作製することができる。これを必要に応じて機械加工する。
【0019】
以上の方法で得られた金属−セラミックス複合材料によれば、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上であり且つヤング率が300GPa以上であるため、加工に際してチッピングや欠け等の不具合を発することなく、しかも外部からの応力に対して歪の少ない高剛性の金属−セラミックス複合材料を得ることができる。
【0020】
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
(実施例)
(1)金属−セラミックス複合材料の作製
市販のSiC粉末の粗粒(信濃電気精錬社製、平均粒径50μm)60重量部と微粒(信濃電気精錬社製、平均粒径10μm)40重量部に有機バインダーとしてフェノール樹脂10重量部(炭素換算3重量部)を混合し、プレス成形した後、窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間加熱処理し、フェノール樹脂を炭化した70体積%の充填率を有するプリフォームを形成した。
【0022】
得られたプリフォームと表1に示すSi合金(添加元素はCu)とをアルゴン雰囲気中で1500℃の温度で3時間保持して溶融したSi合金とプリフォーム中に含まれている炭素とを反応させてSiCとすると同時にSi合金を浸透させて複合材料を作製した。
【0023】
(2)評価
得られた複合材料を切断し、Si合金の浸透状態を目視で観察した。また、得られた複合材料から3×4×40mmの試験片を切り出し、その試験片で破壊靭性、ヤング率を求めた。それらの結果を表1にまとめて示す。
【0024】
(比較例)
比較例として、プリフォームに浸透させるSi合金の種類(添加元素はCu以外にもSn,Fe,Niを用いた。)と組成を表1に示すように変化させて、実施例と同様にして複合材料を作製した。また、実施例と同様の評価を行った。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、実施例1〜3では、破壊靭性とヤング率は、本発明の範囲内にあり、また、凝固する際の溶融Si合金の体積変化に伴う、欠陥の生成はなく、組織は良好であった。
また、加工試験の結果、チッピングや欠け等の発生がなく加工性は極めて良好であった。
【0027】
これに対して比較例1〜4では、マトリックスであるSiにCuが含まれないため、ヤング率が本発明の範囲外であった。また、比較例5,6では、Si合金中のCuの含有率が本発明の範囲外にあるため、破壊靭性またはヤング率のいずれか一方が本発明の範囲外であった
【0028】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の金属−セラミックス複合材料であれば、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上であり且つヤング率が300GPa以上である金属―セラミックス複合材料とすることができるようになった。このことにより、窒化アルミニウムやアルミナと同程度の加工性を有する複合材料とすることができるようになった。
Claims (2)
- Si合金をマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料であって、破壊靭性が3.5MN/m3/2以上で、且つ、ヤング率が300GPa以上であることを特徴とする金属―セラミックス複合材料。
- Si合金をマトリックスとし、SiCセラミックスを強化材とする金属−セラミックス複合材料であって、Si合金マトリックス中のSiの含有率が60〜30質量%で、且つ、Cuの含有率が40〜70質量%であることを特徴とする請求項1記載の金属−セラミックス複合材料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002193228A JP2004035307A (ja) | 2002-07-02 | 2002-07-02 | 金属−セラミックス複合材料 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2004035307A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3034298A1 (en) * | 2014-12-16 | 2016-06-22 | DACC Carbon Co., Ltd. | Method for manufacturing vehicle brake disc |
WO2023181532A1 (ja) * | 2022-03-25 | 2023-09-28 | 三井金属鉱業株式会社 | 金属セラミックス複合材料 |
-
2002
- 2002-07-02 JP JP2002193228A patent/JP2004035307A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3034298A1 (en) * | 2014-12-16 | 2016-06-22 | DACC Carbon Co., Ltd. | Method for manufacturing vehicle brake disc |
JP2016114248A (ja) * | 2014-12-16 | 2016-06-23 | デク カーボン カンパニー リミテッド | 自動車ブレーキディスクの製造方法 |
US10174801B2 (en) | 2014-12-16 | 2019-01-08 | Dacc Carbon Co., Ltd. | Method for manufacturing vehicle brake disc |
WO2023181532A1 (ja) * | 2022-03-25 | 2023-09-28 | 三井金属鉱業株式会社 | 金属セラミックス複合材料 |
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