JP2004035300A - 水素供給システム - Google Patents

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Yasushi Goto
五藤 靖志
Kazuhiro Fukada
深田 和宏
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】水素供給量が十分であり、かつシステム内で固着したり、配管を閉塞させることがない水素供給システムの提供。
【解決手段】(a)水素供給体を収納する原料貯蔵手段と、(b)水素供給体の脱水素反応を行わせる反応装置と、(c)金属担持触媒の加熱手段と、(d)水素供給体供給手段と、(e)水素と脱水素体に分離する気液分離手段と、(f)分離した脱水素体を回収する反応物回収手段とからなり、
かつ、その際、水素供給体としてデカリンを使用するとともに、上記気液分離手段(e)に対して、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及び1−メチルナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物を脱水素体の溶解剤として供給することを特徴とする水素供給システムにて提供。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素供給システムに関し、さらに詳しくは、毒性が軽減され、水素供給体単位重量当たりの水素発生量が多く、気液分離手段内において配管閉塞が起こらなく連続操業が可能であり、ひいては需要電力の負荷変動に迅速にリスポンスできる燃料電池システムを可能とする、水素供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の悪化、例えば地球温暖化等が問題となっており、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として水素燃料が、また、その利用形態の一つとして水素による燃料電池システムが注目を浴びている。水素は水の電気分解により製造できるため、海水や河川の水を電気分解することを前提とすれば、水素燃料は無尽蔵に存在することになる。しかしながら、水素は、常温で気体であり可燃性物質でもあるため、貯蔵や運搬が難しく、取扱いにも極めて注意を要する。
【0003】
分散型電源として住宅用等の燃料電池システムを検討する場合には、水素の供給形態が重要となるが、水素をそのまま各家庭に供給する方法には、安全性の問題があるばかりでなく、供給のためのインフラを整備する必要があるという問題があり、現在、実用化可能な水素の供給形態として、下記の方法が考えられている。
A.水素をボンベ等に圧入して各家庭に配送する方法。
B.既存インフラである都市ガス、プロパンガスから水蒸気改質等の方法により水素を得る方法。
C.夜間電力により水を電気分解して水素を得る方法。
D.太陽電池等で得た電気エネルギーにより水を電気分解して水素を得る方法。
E.光触媒反応により光エネルギーと水から直接水素を得る方法。
F.光合成細菌や嫌気性水素発生細菌等を用いて水素を得る方法。
【0004】
これらの中で、A.は、供給システムとしては容易に実現可能であるが、家庭において水素ガスを取り扱うことになるので、安全性に問題があり、実用性は低いと考えられる。
一方、B.は、既に家庭内に供給されているガスが利用できるという点では現実的であるが、家庭内の負荷変動に対する改質器のリスポンス性が十分ではないという問題がある。
また、C.〜F.でも、供給側と需要側にタイムラグが生じるため、家庭内の負荷変動に追従できないという問題がある。
【0005】
従って、実用化の可能性のある上記B.〜F.の方法を実現させるために、発生させた水素を一旦貯蔵し、必要に応じてリスポンスよく水素を燃料電池システムに供給する水素貯蔵・供給システムが検討されており、例えば、特開平7−192746号公報には、水素吸蔵合金を用いたシステムが、特開平5−270801号公報には、フラーレン類やカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等のカーボン材料を用いたシステムが開示されている。
【0006】
しかしながら、水素吸蔵合金を用いたシステムでは、熱によって水素の出し入れを制御できる簡便なシステム構築を可能にするものの、合金単位重量当たりの水素貯蔵量が低く、代表的なLaNi合金の場合でも、水素の吸蔵量は3重量%程度に留まっている。また、合金であるため重く、安定性にも欠ける。さらに、合金の価格が高いことも実用上の大きな問題点となっている。
【0007】
また、カーボン材料を用いたシステムでは、水素の高吸蔵が可能な材料が開発されつつあるものの未だ十分ではなく、例えば、カーボンナノチューブは、嵩密度が大きくて単位体積当たりの貯蔵量が低いため、システムが大型となる。また、これらの材料は、工業的な規模での合成が難しく、いずれも実用に供するまでには至っていない。
【0008】
かかる状況下、本出願人らは、低コストで、安全性、運搬性、貯蔵能力にも優れた水素貯蔵・供給システムとして、ベンゼン/シクロヘキサン系やナフタレン/デカリン・テトラリン系の炭化水素に着目し、芳香族化合物からなる水素貯蔵体の水素化反応と、該芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応との少なくとも一方を利用して水素の貯蔵及び/又は供給を行う水素貯蔵・供給システムを開発した。この水素貯蔵・供給システムは、シクロヘキサンやデカリン等の飽和炭化水素を、反応装置内の金属担持触媒(活性炭等の担体に白金等の金属を担持)に噴射ノズルを用いて霧状に供給して水素を発生させ、一方、水素が充填された反応装置内の金属担持触媒にベンゼンやナフタレン等を同様に噴射して水素を貯蔵するというものである(特願2000−388043号、特願2001−069639号、特願2001−069676号、特願2001−069694号)。
【0009】
一方、本出願人らは、上記の特願2000−388043号等に記載した反応装置に代えて、耐熱性の高い絶縁体の筒状体で形成され、その内部には、層状又は顆粒体の金属担持触媒が塗布又は充填され、その外部には金属担持触媒加熱手段としてニクロム線ヒーター又は電磁誘導コイル加熱ヒーターを備え、該筒状体の一端が原料供給手段と、他端が生成気体排出手段と連通していることを特徴とする反応装置を備えた水素貯蔵・供給システムを特許出願した(特願2001−069661号)。
【0010】
これらの水素貯蔵・供給システムでは、水素供給体として、シクロヘキサン、1−メチルシクロヘキサン、又はデカリン等を使用し、これらを反応器内の脱水素触媒で水素を発生させ、同時にベンゼン、トルエン、又はナフタレンを生成させ、水素貯蔵体として利用している。
水素貯蔵体は、水の電気分解や、石油成分の熱分解によって得られた水素と反応させ、再び水素供給体に変換される。
【0011】
これらの水素供給体は、エタン、プロパン、ブタン等の脂肪族炭化水素や、ベンゼン核を3個以上有するアントラセンやフェナントレン等の多環式芳香族炭化水素の水素化物と比較して、水素発生量、反応装置内における流動性、蒸留分離性、触媒被毒性等において優位性があり、多用されている。
しかしながら、これらの水素供給体はそれぞれ単独で使用されており、それぞれ下記のような問題が指摘されている。
【0012】
すなわち、シクロヘキサンからベンゼンへの水素発生反応では、生成したベンゼンが発ガン物質で、危険性が非常に高いので、これ単独で使用することには問題がある。
また、1−メチルシクロヘキサンからトルエンへの反応では、生成したトルエンは、ベンゼンほどの危険性はないものの、中毒性のある物質であり、少ないながらも危険性があり、これもこれ単独で使用することには問題がある。
デカリンからナフタレンへの反応では、危険性は非常に少ないものの、生成したナフタレンは、融点が80.2℃であり、常温で固体であるため、気液分離手段内において冷却されると配管閉塞が起り連続操業が不可能となる問題がある。
【0013】
ナフタレンを水素貯蔵体として水素貯蔵反応を行わせる場合、固体(融点80.2℃)であるナフタレンへの水素添加反応は、他の溶媒に溶解させてから行う必要があったが、溶媒の選択(たとえば、直鎖状のn−へキサンや、ヘプタンのようなn−アルカン、エーテル類、ケトン類等々の水素貯蔵/供給能力のないもの)によっては、水素添加後に生成するデカリン混合液中のデカリンの割合すなわち水素供給体の割合が低下し、その溶液からの水素発生能力が低くなってしまう問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした従来技術の問題点に鑑み、毒性が軽減され、水素供給体単位重量当たりの水素発生量が多く、気液分離手段内において配管閉塞が起こらなく連続操業が可能であり、ひいては需要電力の負荷変動に迅速にリスポンスできる燃料電池システムを可能とする、水素供給システムを提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、水素供給体の脱水素反応を利用して水素の供給を行う特定の水素供給システムにおいて、水素供給体としてデカリンを使用するとともに、該システム中の気液分離手段に対して、脱水素体の溶解剤として特定の芳香族化合物を供給すると、上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、水素供給体の脱水素反応を利用して水素の供給を行う水素供給システムであって、該システムは、(a)水素供給体を収納する原料貯蔵手段と、(b)水素供給体の脱水素反応を行わせる金属担持触媒を収納する反応装置と、(c)金属担持触媒を加熱する加熱手段と、(d)原料貯蔵手段内の水素供給体を反応装置へ供給する水素供給体供給手段と、(e)反応装置からの生成気体を凝集させて水素と脱水素体に分離する気液分離手段と、(f)分離した脱水素体を回収する反応物回収手段とからなり、その際、水素供給体としてデカリンを使用するとともに、上記気液分離手段(e)に対して、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及び1−メチルナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物を脱水素体の溶解剤として供給することを特徴とする水素供給システムが提供される。
【0017】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記の芳香族化合物は、気液分離手段の直前に供給することを特徴とする水素供給システムが提供される。
【0018】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、上記の芳香族化合物は、1−メチルナフタレンであることを特徴とする水素供給システムが提供される。
【0019】
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、金属担持触媒は、担持金属はニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であり、担持金属を担持する担体は、活性炭、カーボンナノチューブ、モレキュラシーブ、ゼオライト、シリカゲル、又はアルミナあるいは金属の多孔質体から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする水素貯蔵・供給システムが提供される。
【0020】
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、上記の芳香族化合物は、原料貯蔵手段(a)とは別個の貯蔵手段(a’)で貯蔵し、そこから気液分離手段(e)に供給した後、反応物回収手段(f)で脱水素体と芳香族化合物とに分離されることを特徴とする水素供給システムが提供される。
【0021】
【発明の実施の態様】
以下に、本発明の水素供給システムについて、各項目毎に説明する。
【0022】
1.水素供給体としてのデカリン
本発明においてデカリンとは、下記の化学構造式(1)及び(2)でそれぞれ表わされる異性体の総称であり、化学構造式(1)のcis−デカリンは、融点−43.26℃、沸点195.7℃であり、化学構造式(2)のtrans−デカリンは、融点−31.16℃、沸点185.5℃の化合物である。
【0023】
【化1】
Figure 2004035300
【0024】
【化2】
Figure 2004035300
【0025】
デカリンは、反応装置内の金属担持触媒によって脱水素され、ナフタレンと水素を発生するので、水素供給体となる。デカリンは、水素供給能力、安全性、入手の容易さから、水素供給体として最も優れているため、本発明においては、水素供給体としてデカリンを採用している。
デカリンは上記したように融点が約−43〜−31℃と低いので、常温で流動性があり、原料貯蔵手段や水素供給体供給手段において流動性があり利点となっている。
しかし、デカリンは、反応装置内の金属担持触媒で、ナフタレンに転化されるが、ナフタレンの融点は80.2℃であり、ナフタレンと水素を分離する気液分離手段においては、気液分離効率を上げるために操作温度は低くしており、ナフタレンが凝固し配管閉塞を起こすこともある。また、気液分離手段においては、流動性があっても、反応物回収手段の温度は、通常省エネルギーの観点から更に低温としているので、ナフタレンは凝固状態になっており、リサイクルが出来ない。本発明は、上記のナフタレンのプロセス中における凝固問題を解決することを課題としている。
【0026】
2.芳香族化合物
本発明において芳香族化合物とは、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及び1−メチルナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらの芳香族化合物は、水素供給体が脱水素され生成した脱水素体の優れた溶解剤であることを実証し(参考例1に示す)、本発明を完成させた。特に1−メチルナフタレンが、ナフタレンの溶解性にすぐれており、また水素貯蔵体として使用する場合に水素貯蔵能力がすぐれており、特に好ましい。
上記したようにデカリンの脱水素反応により生成したナフタレン(脱水素体)は、プロセス中において凝固問題がある。
ナフタレンは毒性が少なく、単位重量当たりの水素発生量が多いので、最も好ましい水素貯蔵体として多用されているが、ナフタレンを水素貯蔵体として水素貯蔵反応を行わせる場合、常温で固体(融点80.2℃)であるから、これ単独では、反応装置のパイプライン中を流動させて供給することはできないので、ナフタレンへの水素添加反応は、他の溶媒に溶解させてから行う必要があったが、溶媒の選択(たとえば、直鎖状のn−へキサンや、ヘプタンのようなn−アルカン、エーテル類、ケトン類等々の水素貯蔵/供給能力のないもの)によっては、水素添加後に生成するデカリン混合液中のデカリンの割合すなわち水素供給体の割合が低下し、その溶液からの水素発生能力が低くなってしまう問題があった。上記の問題を解決するために、本発明者等は、上記の直鎖状のn−へキサンや、ヘプタンのようなn−アルカン、エーテル類、ケトン類等々の溶媒を代替でき、かつ水素貯蔵能力のすぐれた流動化剤の探索を試みたところ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及び1−メチルナフタレン等が、ナフタレンの溶解力が大きいことを実証し(参考例1)、上記のナフタレンの流動性問題を解決したものである。
【0027】
3.芳香族化合物の供給場所
本発明においては、上記したように、ナフタレンの流動性問題は、気液分離手段内、及びそれ以降の工程で起こる。従って、通常の操作条件では、ナフタレンは、気液分離手段の入口から始まるらせん状細管において冷却され、凝固を開始するので、気液分離手段の入口から供給すればよい。
ただし、外気温度が極端に低い寒冷地の冬場においては、反応装置で生成したナフタレンは、気液分離手段までは、輸送パイプ内を通ってくるので、輸送パイプ中で凝固することもあるので、この場合は、芳香族化合物は、輸送パイプの始点から終点(気液分離手段の入口)までのいずれかの位置で輸送パイプに供給することとなる。また、輸送パイプの外部を保温すれば、凝固条件は緩和される。いずれのケースにおいても芳香族化合物は、気液分離手段の入口から、気液分離手段供給されることとなる。
【0028】
輸送パイプへの芳香族化合物の供給点は、上記したように操作条件によっては、多くの供給点が考えられるが、芳香族化合物を輸送パイプに供給するための配管コスト、輸送パイプの保温コスト、気液分離手段の操作コスト、安定操業等の観点から、気液分離手段の入口の直前にあることが特に好ましい。
数値的に表わせば、直前とは、気液分離手段の入口から1m以内、好ましくは0.5m以内、特に好ましくは0.2m以内の位置である。
【0029】
4.水素供給システムの基本構成
本発明の特定の水素供給体を用いる水素供給システムは、(a)水素供給体を収納する原料貯蔵手段と、(b)水素供給体の脱水素反応を行わせる金属担持触媒を収納する反応装置と、(c)金属担持触媒を加熱する加熱手段と、(d)原料貯蔵手段内の水素供給体を反応装置へ供給する水素供給体供給手段と、(e)反応装置からの生成気体を凝集させて水素と脱水素体に分離する気液分離手段と、(f)分離した脱水素体を回収する反応物回収手段が具備されていることを基本構成とする。
上記基本構成には、反応装置における脱水素反応の条件を制御する制御手段を含ませることが好ましい。以下、本発明に係る水素供給システムの実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、水素の供給を行うことができる水素供給システムの構成を模式的に示す説明図である。
この水素供給システム1は、主に、デカリン貯蔵手段21及び芳香族化合物貯蔵手段22と、デカリン供給手段31及び芳香族化合物供給手段32と、反応装置4と、気体分離手段5と、反応物回収手段8と、制御手段10とを備えている。
【0031】
原料貯蔵手段21及び22は、タンク状に形成され、水素供給体であるデカリン及び芳香族化合物がそれぞれ収納される。
また、デカリン供給手段31は、デカリン貯蔵手段21から導いたデカリンを加圧して反応装置4にデカリンを供給するための構成部であり、コンプレッサ(ポンプ)311と、電磁弁よりなるバルブ312とにより構成されており、デカリン貯蔵手段21と配管接続されている。バルブ312により、反応装置4に供給されるデカリンの供給量や供給時間が制御される。
更にまた、芳香族化合物供給手段32は、芳香族化合物貯蔵手段22から導いた芳香族化合物を気液分離手段5のデカリン蒸気凝縮部51の熱交換器51aにデカリンを供給するための構成部であり、コンプレッサ(ポンプ)321と、電磁弁よりなるバルブ322とにより構成されており、芳香族化合物貯蔵手段22と配管接続されている。バルブ322により、熱交換器51aに供給されるデカリンの供給量や供給時間が制御される。
【0032】
反応装置4は、デカリンを金属担持触媒に噴射、供給して、脱水素反応を行わせる構成部である。反応装置4の内面底部には、ハニカムシート状の触媒41が設けられており、反応装置4の上部中央付近には、触媒41に対向して、原料供給手段3に配管接続された噴射ノズル42が設けられている。噴射ノズル42は、原料が触媒上に均一に噴射されるように設置されており、原料を噴射ノズル42から噴射することにより、反応装置4内の触媒41表面に、原料の均一な液膜が形成される。
【0033】
触媒41としては、本実施の形態では、ハニカムシート状の活性炭素地に主金属として白金を、副金属としてロジウムを担持させた触媒を用い、反応装置内の触媒重量を5gとしているが、その重量や大きさは必要に応じて調整すべき因子であり、特に限定されない。
【0034】
反応装置4の底部には、触媒41を加熱するヒーター43が備えられている。ヒーター43は、ニクロム線による抵抗加熱体であり、触媒41に接しているアルミ製のヒーター格納部44に一体的に内蔵され、ヒーター格納部44を介して熱伝導により触媒41が加熱される。また、触媒41に接した熱電対45により触媒温度を検知し、ヒーターへの供給熱量を調整して触媒41の温度が調整される。
ところで、本実施の形態では、触媒の加熱にニクロム線による抵抗加熱体を用いているが、加熱手段は特に限定されず、電磁誘導コイルに高周波電流を流すことにより発生させた高周波で導電体を誘導加熱する高周波誘導加熱等も使用できる。高周波誘導加熱を用いる場合は、金属担持触媒の担体としてカーボン等の導電体を用い、渦電流が発生する形状に形成することにより、触媒を直接加熱することができる。
【0035】
触媒41の温度は、ヒーター43により、デカリンの脱水素反応によりナフタレンを生成させる際には、約220〜400℃に加熱する。同様に変換効率を考慮すると、250〜380℃に加熱することが好ましい。なお、触媒温度を高目に設定するのは、脱水素反応は吸熱反応であるため、熱エネルギーをより多く必要とするからである。
反応装置4は、電磁弁よりなるバルブ6を介して気液分離手段5に、また、電磁弁よりなるバルブ7を介して水素供給手段(図示せず)に配管接続されている。
【0036】
バルブ6は、反応装置4内の生成物を気液分離手段5に導くときに使用される。反応装置4において、デカリンの脱水素反応が起きるとナフタレンと水素が生成するが、これらの生成物は気体であるため、気液分離手段5は、反応装置4から送られてくるナフタレンを完全に液化させて水素を分離するために設けられている。
また、バルブ7は、水素を、水素供給手段から反応装置4内に導入・制御するためのバルブであり、水素付加反応でナフタレンからデカリンを生成させるときに使用するものである。
なお、水素は住宅の屋根等にとりつけられた太陽電池パネルにより発電した電力や商用電力の夜間電力を利用して電気分解装置で水が電気分解されたものであってもよい。
【0037】
気液分離手段5は、冷却水による冷却を行う、らせん状細管、交互冷却パイプ構造等の熱交換器51aからなる蒸気凝縮部51と、水素に同伴する液滴を分離する、活性炭や水素セパレータ膜等の水素分離部52aからなる水素抽出部52とにより構成されている。蒸気凝縮部51は、発生した水素とナフタレンとの気液分離を効率的に実現するため、例えば、冷却水温度(例えば5〜20℃)を調節して最適化を図ることが好ましい。
【0038】
水素抽出部52は、通常、蒸気凝縮部51の接触面積、冷却水温度、発生水素速度等の諸因子を操作することにより、水素の分離・精製を行うことが可能であるため、必ずしも必要とはしないが、より高純度(99.9%以上)の水素の供給が要求される場合には、活性炭や、水素セパレータ膜のシリカ分離膜やパラジウム・銀分離膜等の従来技術を用いて水素の高純度化を行う必要があるので、本実施の形態では追加設置している。なお、反応物回収手段8と水素抽出部52との間に、例えばガラスウール、ワイヤーメッシュ等を充填した気液分離部(図示せず)を設けて、水素抽出部52への液滴の同伴量を減少させることもできる。
【0039】
反応物回収手段8は、気液分離手段5の蒸気凝縮部51と配管接続されており、蒸気凝縮部51で冷却されて液化したナフタレンは、反応物回収手段8に送られて回収される。
また、反応物回収手段8は、気液分離手段5の水素抽出部52とも配管接続されており、生成した水素は、蒸気凝縮部51で液化したナフタレンと共に一旦反応物回収手段8に入った後、水素抽出部52に送られ、水素抽出部52内に設置された活性炭や水素セパレータ膜からなる水素分離部52aにより、質量が軽く、また拡散速度が大きい水素ガスのみが分離精製される。精製された水素は、水素抽出部52に接続された配管91及び水素放出側バルブ92を通って外部、例えば、住宅用燃料電池システム等に効率的に供給される。
【0040】
上述のように、気液分離手段5の水素抽出部52は、通常は不用なので、気液分離手段5の蒸気凝縮部51と水素抽出部52出口とを直接配管接続し、水素抽出部52をバイパスして水素を配管91に送り、蒸気凝縮部51の底部に溜まった液状のシクロヘキサン又はベンゼンを反応物回収手段8に回収してもよい。
また、配管91には、発生ガス量を計測するためのセンサ93が設置されているため、水素の発生量を測定することができる。
【0041】
一方、コンプレッサ(ポンプ)311、バルブ312、ヒーター43、熱電対45、バルブ6、バルブ7、バルブ92、センサ93は、それぞれ制御手段10と電気的に接続されており、熱電対45、センサ93等からの情報をもとに、コンプレッサ(ポンプ)や各バルブの作動、ヒーターへの熱量(制御手段は図示せず)を制御できるように構成されている。
本発明の水素供給システムの基本構成について、以上図1に基づき詳細に説明したが、図2に示す基本構成も本発明の水素供給システムに適用できる。
【0042】
図2の基本構成は、図1の構成と比較して基本的に反応装置4の構成が異なるのみなので、反応装置4の構成について詳述する。
図2の反応装置4は、ナフタレンを触媒に接触させて、脱水素反応を行わせる構成部であるが、少なくとも1本の筒状体で反応装置を形成することを特徴とする。
反応装置4は、アルミナ、セラミック等の耐熱性の高い絶縁体の筒状体で形成されており、筒状体本体42の内部には、ポーラスな触媒41が収納されている。筒状体本体42の一端42aは原料供給手段3に配管接続されており、原料供給装置3からの原料が、例えば分散板により、触媒41上に均一に分散される。尚、反応装置4は、原料の均一な分散、触媒の加熱効率等の観点から、複数の細管で形成してもよい。
【0043】
ここで、筒状体本体42は、流路を保ちながら金属担持触媒を充填できるものであれば任意の形状でよく、また、内径をすり鉢状や蛇腹状のように変化させてもよく、その形状寸法は使用状態に合わせて適宜選択することができる。
また、筒状体本体42は、ニクロム線等のヒーターにより触媒を加熱する場合には、アルミ等の熱伝導性のよい材質で形成するのが好ましい。
【0044】
触媒41としては、本実施の形態では、活性炭素地に主金属として白金を、副金属としてロジウム担持させた、原料及び反応生成物が透過可能なポーラスな触媒を用い、反応装置内の触媒の重量を5gとしているが、その重量や大きさは必要に応じて調整すべき因子であり、特に限定されない。
【0045】
また、触媒の加熱手段としては、特に限定されず、ニクロム線ヒーターによる抵抗加熱、高周波誘導加熱等が使用できるが、本実施の形態においては、反応装置4の筒状体本体42を取り巻くように、触媒41を加熱するコイル状の電磁誘導コイル11が配置されており、触媒41に接した熱電対45により触媒温度を検知し、電磁誘導コイルへの高周波電流を調整して触媒41の温度が調整される。
【0046】
尚、高周波誘導加熱は、電磁誘導コイルに高周波電流を流すことにより発生させた高周波で導電体を誘導加熱するもので、電磁誘導作用により導電体に渦電流が発生し、ジュール熱によって導電体が過熱されるものである。電磁誘導コイルに印加する高周波電流の周波数としては、加熱する導電体とのインピーダンスマッチングにもよるが、一般的には350〜450kHzが使用される。
【0047】
電磁誘導コイルの形状としては、一般的なコイル形状の他、渦巻き形状が採用できる。コイル形状の場合は、加熱する導電体をコイルの中心に、渦巻き形状の場合は、導電体を渦巻きの中心線上に配置すると、効率的かつリスポンスよく加熱できる。
【0048】
高周波誘導加熱を行う場合には、電磁誘導コイルに高周波電流を流し続けると導電体が加熱され続けるため、一般的には温度制御が必要となる。温度制御の方法としては、導電体の温度を測定して電磁誘導コイルに流れる高周波電流を制御する種々のフィードバック制御が可能であり、本発明で用いる加熱温度(100〜500℃)においては、一般的な熱電対によるフィードバック制御で十分である。また、加熱のために投入されるエネルギーと反応に要するエネルギーとのバランスを取るために、反応に必要な単位時間当たりの熱量を求めて電磁誘導コイルに印加する電流(電力)を制御することも可能である。
【0049】
また、より効率的に、かつリスポンスよく加熱を行うためには、金属担持触媒の担体としてカーボン等の導電体を用い、渦電流が発生する形状に形成することにより、金属担持触媒を直接加熱することが好ましい。担体が非導電体の場合には、担体とステンレス等の一般的な導電体とを層状又はブレンド状等に形成し、担体に導電性を付与する。さらに、金属担持触媒のみを効率よく瞬時に加熱するために、筒状体本体をアルミナやセラミック等の耐熱性の高い絶縁体で形成する。筒状体本体が複数の場合には、各筒状体本体を電磁誘導コイルで取り囲んで各々加熱するようにしてもよく、複数の筒状体本体をまとめて1つの電磁誘導コイルで取り囲んで加熱してもよい。
尚、筒状体本体の長手方向に電磁誘導コイルを複数配置し、例えば、原料の供給側から順に触媒温度が高くなるように加熱してもよい。
【0050】
触媒41の温度は、電磁誘導コイル11により、デカリンの脱水素反応によりナフタレンを生成させる際には、約220〜400℃に加熱する。同様に変換効率を考慮すると、250〜380℃に加熱することが好ましい。尚、触媒温度を高目に設定するのは、脱水素反応は吸熱反応であるため、熱エネルギーをより多く必要とするからである。
また、反応装置4の筒状体本体42の他端42bは電磁弁よりなるバルブ6を介して気体分離手段5に配管接続され、反応装置4とデカリン供給手段31との間の配管は、分岐されて電磁弁よりなるバルブ7を介して水素供給手段(図示せず)に配管接続されている。
【0051】
5. 水素供給システムの稼動方法
本発明の水素供給システムは、上述のような構成からなり、かつ、反応装置(b)中に収納された金属担持触媒は、下記に記載する金属担持触媒を用いる。
【0052】
5.1 脱水素反応
本発明の水素供給システムを用いて、デカリンの脱水素反応により外部に水素を供給する手順との一例を、図1に基づいて簡単に説明する。
デカリンの脱水素反応により水素を外部に供給する場合には、まず、反応装置4内のヒーター43に通電して触媒41の温度を350℃前後に調整しながら、バルブ32を開くと共に、コンプレッサ(ポンプ)311を作動させて、デカリン貯蔵手段21内のデカリンを反応装置4に所定量供給し、噴射ノズル42より触媒41に向けてデカリンを噴射させる。噴射終了後は、コンプレッサ(ポンプ)311の作動を停止させると共に、バルブ312を閉じる。
【0053】
このとき、脱水素反応に伴なって気体状のナフタレンと水素が生成するが、生成したナフタレンは、気液分離手段5の蒸気凝縮部51の入口の直前で芳香族化合物と合流し、蒸気凝縮部51で冷却されて液状となり、反応物回収装置8に移動して反応物回収手段8内に蓄えられる。一方、生成した水素は、一旦反応物回収手段8に入り、気液分離手段5の水素抽出部52から配管91、センサ93を経由して、外部に移動する。ナフタレンは、蒸気凝縮部51の熱交換器a内にて凝固し、流動しなくなることがあるので、本発明においては、芳香族化合物の添加によりこの問題を解決している。
【0054】
以上、燃料電池への適用を前提に本発明の水素供給システムを説明したが、当然のことながら、本発明の水素供給システムを燃料電池以外の発電装置に適用してもよい。例えば、水素を燃やしてスチームを発生させ、タービンを回転させて発電機によって電気をつくるようにしてもよい。また、従来の火力発電所や原子力発電所等の電気供給システムと、本発明の水素供給システムとを併用してもよい。
【0055】
5.2 反応圧力
水素供給システムにおけるデカリン脱水素化反応時の水素分圧は、通常は0.1〜50気圧、好ましくは0.1〜10気圧、より好ましくは0.5〜5気圧である。脱水素化反応時は上記水素分圧範囲内の低圧側が好ましい。
【0056】
6 金属担持触媒
本発明で使用される金属担持触媒は、デカリンの脱水素反応を促進する機能をもつものであり、下記の担体に金属を担持させて得られたものである。
【0057】
担持される金属としては、ニッケル、パラジウム、白金、バナジウム、クロム、コバルト、鉄、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト等の貴金属類等が挙げられるが、これらは単一であっても2種以上併用してもよい。その内、白金、パラジウム、タングステン、レニウム、モリブデン、ロジウム、バナジウム、ルテニウムは、活性、安定性、取り扱い性等の面から特に好ましい。
【0058】
金属担持触媒における金属の担持率は、担体に対して通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。また、2種以上の金属を用いる複合金属系触媒の場合は、主金属成分M1に対して添加金属M2の添加量が、M2/M1原子数比で0.001〜10、特に、0.01〜5であることが好ましい。なお、M1及びM2は、各々以下に示す金属である。
M1:白金、パラジウム、クロム
M2:イリジウム、レニウム、ニッケル、モリブデン、タングステン、ロジウム、ルテニウム、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、鉄
【0059】
一方、触媒金属を担持する炭素系材料及び無機系材料の担体としては、公知の担体ならば特に限定されないが、例えば、炭素系材料としては、活性炭、カーボンナノチューブ、グラファイト等を用いるのが好ましく、また、無機系材料としては、モレキュラーシーブス、ゼオライト等の多孔質担体、又はシリカゲル、アルミナあるいは金属の多孔質体等を用いるのが好ましい。
【0060】
また、上記金属担持触媒の形状は、特に限定されず、顆粒状、シート状、織布状、ハニカム状、メッシュ状、ポーラス状等、使用形態に合わせて適宜選択される。
【0061】
本発明の水素貯蔵・供給システムでは、金属担持触媒の触媒金属を担持する担体は、水素の供給を行う脱水素反応であるので、炭素系材料であることが好ましい。
このような担体を選択することにより、脱水素反応においてデカリンは、その化学的な構造から、分子としての極性は非常に小さいため、活性炭等の炭素系材料のような極性の小さい担体には親和性が大きく、吸着しやすくなり、触媒金属近傍に存在しやすくなって、反応が容易に進行する。
【0062】
7.水素貯蔵システムへの転換
本発明の水素供給システムは、水素貯蔵システムへの転換が可能である。
すなわち、原料のデカリンを、、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、ナフタレン等に置換し、シリカゲルやアルミナ担体に白金やニッケルを担持させた触媒を用い、反応温度を60〜200℃程度に下げ、反応圧力は50〜100気圧程度に上げることによって、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン、1−メチルデカリン等の水素貯蔵体を製造することができる。
【0063】
【実施例】
以下に、本発明の水素供給システムに関して、実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0064】
水素供給用(脱水素反応用)金属担持触媒Aの調製
主担持金属用として、1.328gの塩化白金酸6水和物を蒸留水200mlに溶かした水溶液を作製した。
この水溶液に担体として4.45gの活性炭を浸漬させて十分に攪拌し、一夜放置させた後、活性炭を混合液の中から取り出し、十分に水洗した後、乾燥させた。
そして、この乾燥活性炭を窒素気流下400℃で加熱して付着した塩分を十分に分解させ、さらに、約400ml/分の流量の水素気流下350℃で4時間加熱し担持金属を還元・活性化させて、約5gの水素供給用金属担持触媒Aを調製した。調製された金属担持触媒Aにおける主担持金属の白金の含有量は、10wt%であった。
【0065】
(実施例1) 水素発生試験
図1に示す装置を用いて実験を行った。金属担持触媒としては、活性炭に10重量%の白金を担持させたハニカムシート状のもの(触媒A)を用いた。触媒の量は5gとし、次の要領でデカリンの水素化反応を行わせた。
図1に示す装置の反応装置4に、金属担持触媒として上記触媒Aを収納し、この触媒Aを350℃に加熱して、原料としてのデカリンを1回あたり2mlの割合で触媒に噴射して水素発生を行わせた。原料の噴射時間と停止時間をそれぞれ1秒、5秒とした。また、液体状態の1−メチルナフタレンを、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)の直前部分に0.2ml/秒で供給し、デカリン脱水素反応物流体と合流させた。1分間あたりの水素発生量を測定した結果、水素生成速度は10l/分であった。
評価
水素生成速度は十分速く、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)系内にナフタレンの固着は観測されなかった。
【0066】
(比較例1)
実施例1において、液体状態の1−メチルナフタレンを、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)の直前部分に供給しなかった以外は、実施例1と同様な実験を行った。
評価
1分間あたりの水素発生量を測定した結果、水素生成速度は10l/分であった。
しかしながら、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)以降の系内にナフタレンが固着し、配管の断面積の約1/2が閉塞した。
【0067】
(比較例2)
実施例1において、液体状態の1−メチルナフタレンを、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)の直前部分に供給しなく、またデカリンと1−メチルナフタレンの混合物(体積比で1:1)を反応装置の触媒に噴射した以外は、実施例1と同様な実験を行った。
評価
冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)以降の系内にナフタレンの固着はないものの、水素発生量は4L/分と低下した。
【0068】
参考例1−溶解度比較
ナフタレン1gを完全に溶解するのに必要な溶媒量
1−メチルナフタレン:2ml
トルエン:3ml
ベンゼン:2.5ml
デカリン:6ml
シクロヘキサン:7ml
メチルシクロヘキサン:8ml
n−デカン:10ml
【0069】
【発明の効果】
以上のように、本発明の水素貯蔵・供給システムは、家庭内の電力の負荷変動に迅速にリスポンスできる燃料電池システムを可能とし、水素の供給を行う脱水素化反応において、デカリンを水素供給体とし、特定の芳香族化合物を、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)の入口から供給しているので、冷却器(蒸気凝縮部の熱交換器51a)の系内以降でナフタレンが凝固することなく、単位時間当たりの水素発生量が多く、かつ連続操業ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素供給システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の他の水素供給システムの構成を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1    水素貯蔵・供給システム
2    原料貯蔵手段
21   水素供給体(デカリン)貯蔵手段
22   芳香族化合物貯蔵手段
3    原料供給手段
31   水素供給体(デカリン)供給手段
311  コンプレッサ(ポンプ)
312  バルブ
32   芳香族化合物供給手段
321  コンプレッサ(ポンプ)
322  バルブ
4    反応装置
41   触媒
42   噴射ノズル
43   ヒーター
44   ヒーター格納部
45   熱電対
5    気液分離手段
51   蒸気凝縮部
51a  熱交換器(らせん状細管と冷却パイプ)
52   水素抽出部
6    バルブ
7    バルブ
8    反応物(ナフタレン)と芳香族化合物回収手段
91   水素送出ライン
92   バルブ
93   センサ
10   制御手段

Claims (5)

  1. 水素供給体の脱水素反応を利用して水素の供給を行う水素供給システムであって、該システムは、(a)水素供給体を収納する原料貯蔵手段と、(b)水素供給体の脱水素反応を行わせる金属担持触媒を収納する反応装置と、(c)金属担持触媒を加熱する加熱手段と、(d)原料貯蔵手段内の水素供給体を反応装置へ供給する水素供給体供給手段と、(e)反応装置からの生成気体を凝集させて水素と脱水素体に分離する気液分離手段と、(f)分離した脱水素体を回収する反応物回収手段とからなり、その際、水素供給体としてデカリンを使用するとともに、上記気液分離手段(e)に対して、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及び1−メチルナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物を脱水素体の溶解剤として供給することを特徴とする水素供給システム。
  2. 上記の芳香族化合物は、気液分離手段の直前に供給することを特徴とする請求項1に記載の水素供給システム。
  3. 上記の芳香族化合物は、1−メチルナフタレンであることを特徴とする請求項1に記載の水素供給システム。
  4. 上記の金属担持触媒は、担持金属がニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、又は鉄から選ばれる少なくとも1種の金属であり、担持金属を担持する担体は、活性炭、カーボンナノチューブ、モレキュラシーブ、ゼオライト、シリカゲル、又はアルミナあるいは金属の多孔質体から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の水素供給システム。
  5. 上記の芳香族化合物は、原料貯蔵手段(a)とは別個の貯蔵手段(a’)で貯蔵し、そこから気液分離手段(e)に供給した後、反応物回収手段(f)で脱水素体と芳香族化合物とに分離されることを特徴とする請求項1に記載の水素供給システム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006062884A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 燃料改質装置及び燃料改質方法
JP2007039312A (ja) * 2005-06-30 2007-02-15 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 水素製造装置及び方法

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